h1-4 worksight lab 再戻 ol ·...

15

Upload: others

Post on 22-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research
Page 2: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

WORKSIGHT LAB. 創設にあたってコクヨ株式会社常務執行役員コクヨファニチャー株式会社 代表取締役社長

黒田英邦

コクヨは次世代の働き方と学び方を常に自ら実験し、社会

に発信してまいりました。1969年に「明日のビジネスシス

テムを考える生きた実験ビル」としてライブオフィスをス

タートさせ、1986年にはオフィス研究所を創設、未来のオ

フィス環境についてお客様と共に考えコンセプトを描いて

きました。しかし、企業を取り巻く環境は年々厳しく、競

争が激化するとともに、社会課題や生活者の価値観の変

化という大きなパラダイムシフトが起きています。その変

化のスピードは速く、多くの企業がビジネスモデルやプロ

セスの再構築を目指しているのではないでしょうか。また、

工業社会から知識社会へと移行し、価値の源泉となる生

産手段は工場から人/組織の知恵へと変化してきました。

組織による知識創造=働き方は、もはや重要な経営課題

の一つといえます。実際に、企業経営者の方々とお話して

いると、業種や業態に関わらず人/組織の働き方が変わ

ってきていると感じます。そのための環境やインフラはど

うあれば良いのか、働き方と学び方から考えて試行してい

く必要があると思いました。オフィス研究所は約20年の

歴史がありますが、今日ここで改めて、働き方と学び方の

研究機関として、WORKSIGHT LAB.(ワークサイトラボ)

を立ち上げます。コクヨの研究員がハブとなり外部の専

門家やパートナーの方々と共に、未来の働き方を創り発信

していきます。よろしくお願いいたします。

Page 3: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

2 WORKSIGHT LAB. 3

次世代の兆しや調査研究などから生まれたアイデアを具

体的な形にしていきます。異業種企業のコラボレーション

や産学連携のプロジェクトによって、次世代の働き方/学

び方のコンセプトを見出し、新しい技術や外部の知を取り

入れながら協働でプロトタイプを制作します。これらをさ

らに実験・検証を重ねることで、より効果的なソリューショ

ンとして進化させていきます。

働くしくみと空間をつくるマガジン『WORKSIGHT』をコ

アに、働き方/学び方に関する潮流と知見をクロスメディ

アで発信していきます。国内外の先進企業や先端教育機

関を独自の視点で取材し、再現可能な知識として整理しま

す。また、ソーシャルメディアとリアルイベントを連携させ

て、読者と当ラボの研究員がダイレクトに課題や問題意識

を共有し、ディスカッションできる機会を設けます。

MEDIAメディア

働き方/学び方の実態調査から現在の姿を洗い出し、未

来像のオプションを導き出します。数値で現状を提示する

とともに、コミュニティメンバーの抱える課題や問題意識

から、未来を考えるためのキーワードを引き出し、経営層が

働き方/学び方に関わるビジョンや戦略を考える際の素

材を提供します。リサーチは毎年実施し、レポートとして

広く配信していきます。

RESEARCHリサーチ

働き方/学び方を通じて企業や教育機関を変えたい人、

パートナーとして知見を活用したい人、価値創造を起こ

す働き方/学び方を研究したい人など、未来志向のキー

パーソンで構成されるWORKSIGHT LAB.のコミュニ

ティです。異なるバックグラウンドを持つメンバーが当ラ

ボに蓄積されている知見を活用し、研究会やワークショッ

プを行っていきます。

COMMUNITYコミュニティ

WORKSIGHT LAB.は次世代の働き方/学び方を追求し、価値創造する組織へ

変革したいキーパーソンに実践知とソリューションを提供する研究機関です。

基礎データと収集した先進事例から、未来の課題と打ち手を探り出し、多様なバックグラウンドを持つ

コミュニティメンバーと一緒にアイデアを形にしていきます。具現化されたアイデアを元に

検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。

WORKSIGHT LAB.では、PROTOTYPING、RESEARCH、MEDIA、COMMUNITYという

4つの活動を循環させ、次世代の働き方/学び方を発信していきます。

活動概要

PROTOTYPINGプロトタイピング

Page 4: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

4 WORKSIGHT LAB. 5

渋谷というカルチャーの発信地で、クリエイティブを交差させる

異分野の人をつなぐワークラウンジ

 2012年4月、渋谷ヒカリエ8階にオープンしたメ

ンバー制ラウンジ「Creative Lounge MOV(モヴ)」。

次世代の働く環境として、業種や国境の壁を越えて、

新しいアイデアやビジネスを生み出していく「ワー

クラウンジ」というPrototypingの一例です。

 渋谷ヒカリエは東急文化会館の後継として渋谷

の文化創造の拠点として2012年4月に開業しました。

その8階はクリエイティブフロアとして、オフィス、

ギャラリー、カフェ、イベントスペース等、多様なク

リエイティブが混ざり合う場所です。成熟社会、グ

ローバル経済の中で、企業組織内の限られたリソー

スや既存の枠組みの中で、新市場を開拓し、新規事

業を生み出していくのが難しい時代となりました。

個人事業主や起業家の活動拠点としてコワーキン

グスペースが急速に増えていますが、企業内個人

にも外部ネットワークを活用しながらコラボレーシ

ョンベースで働く場が必要になると考えています。

メンバーの交流から新しいアジェンダを生み出すイノベーションのための空間

 MOV(モヴ)は開業から三カ月で会員数が600人

を越え(ワンタイム利用含む)、異分野・異文化のク

リエイターやアントレプレナーによるコラボレーシ

ョンが始まっています。企業にとって生活者の声

が多く集まる渋谷は、商品開発には欠かせないマー

ケティング拠点であり、ここに集まる多種多様な人

たちのネットワークがイノベーションの機会を生み

出します。MOVはムーブメントを意味し、クリエイ

ティブなビジネスやプロジェクトを生み、発信して

いくことを目指しています。

 MOVはこれまでのシェアオフィスとは違い、異

分野・異文化のメンバーの交流から、新しいアジェ

ンダを生み出し価値を創造していくことを様々なハ

ードやソフトでサポートします。コンシェルジュが

常駐しコミュニティを活性化すると共に、定期的に

イベントを開催し外部刺激をコミュニティに持ち込

むことで、新しい発見や発想が生まれやすい環境を

つくり続けます。

 MOVには大きく二つの利用形態があります。一

つはラウンジ会員で、MOVの中央に広がるオープン・

ラウンジを9時から22時迄の間、自由に使うことが

可能です。空間のデザイン・コンセプトは、街の中

心にある広場。ベンチやソファー、集中ブース席など、

仕事内容やその日のモードによって好きな場所を選

んで働くことができます。 渋谷ヒカリエ8階にあるMOVの様子。888㎡のワークスペースは街の広場をコンセプトに様々な交流を生み出している。

Creative Lounge MOV

RESEARCHPROTOTYPING

COMMUNITY MEDIA

Page 5: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

6 WORKSIGHT LAB. 7

 もう一つはレジデンス会員で、ラウンジの奥にあ

るセキュリティレベルの高いゾーンを24時間制限

なくオフィスとして利用することが可能です。ロー

パーティションで仕切られたブース席と、ロッカー

付のシェアテーブル席があります。いずれも月単位

での契約で、海外や地方に本社を置く企業の活動

拠点としてのニーズも高まっています。

利用者のコラボレーションを誘発する空間と仕組みのデザイン

 MOVは六つの空間要素と三つの仕組みによって

場が構成されています。MOVのエントランスゾー

ンにある「Showcase aiiima」(ショーケース アイ

ーーーマ)は一般来場者の方々も自由に出入りでき

るショーケースです。「合間」をコンセプトに、スケ

ッチとプロダクトの間、アイデアとビジネスの間、個

人と組織の間など、合間的なコンテンツを約2週間

毎に展示しています。クリエイティブプロセスを広

く公開することで新たな出会いやイノベーションの

機会が生まれています。

 オープンラウンジでMOVのアイコンとなっている

のが「Idea KIOSK」(アイデア キオスク)です。クリ

エイティブを刺激する書籍を集めたライブラリや、コ

ミュニケーションを活性化するためのゲーム、グッズ

が入っています。その隣にある長いベンチの壁面に

はMOVを映像で盛り上げる「Connective Window」

(コネクティブ ウインドウ)があり、クリエイターの映

像作品やMOVのコンセプトが配信されています。ラ

ウンジの中央にある「10 Pit」(テンピット)は、個人が

資料作成や情報収集を行うためのこもり部屋で、周

囲の視線を気にすることなく集中して仕事ができるブ

ース形式です。オープンラウンジを見渡すようにテラ

ス状になっている場所が「Dialogue Terrace」(ダイ

アログ テラス)です。落ちついて対話ができるスペ

ースでワークショップにも活用できます。オープンラ

ウンジの周囲にあるのが時間単位で貸し出しする

「Session Rooms」(セッション ルームズ)です。6

名から24名まで収容可能で、アイデアの発散・収束

や海外とのプレゼンテーション、セミナーや動画配信

など、さまざまなミーティングシーンをサポートします。

 MOVが会員に提供する価値は、個を磨き、有機

的なコミュニティを作り、個人と個人、そして企業

がつながっていくこと。渋谷から始まる、新しい働

き方を実践できるワークスペースとして今後もビジ

ネスモデルの検証を行っていきます。

施設構成 オープン・ラウンジ/ミィーティング・ルーム レジデンス・エリア/ショーケース「アイーーーマ」 他設計、デザイン コクヨファニチャー(株)、ジャモ アソシエイツ企画 コクヨファニチャー(株)、コクヨ(株)RDIセンター運営 コクヨファニチャー(株)

DATA

名称 Creative Lounge MOV (クリエイティブラウンジ モヴ)用途 メンバー制ラウンジ事業主体 コクヨファニチャー株式会社住所 東京都渋谷区渋谷2-21-1  渋谷ヒカリエ8階 8/(ハチ)内開業 2012年4月26日

個人会員法人会員

アドバイザリ会員

OpenResource

Matching/Contest

Business innovation /reform

Idea

Agenda

Events Methodology

MOV’s Framework

MOV’s Components

Tool & Methodologyツール&メソトロジー

Conciergeコンシェルジュ

Showcase aiiimaショーケース アイーーーマ

Connective Windowコネクティブ ウィンドウ

Session Roomsセッション ルームズ

Dialogue Terraceダイアログ テラス

Mixing Eventsミキシング イベンツ

Idea KIOSKアイデア キオスク

10 Pitテンピット

ムーブメントを起こす仕掛け

STYLE

Page 6: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

8 WORKSIGHT LAB. 9

ダイバシティ社外を巻き込み

造るためのつながり

コミュニティユーザーから

学ぶためのつながり

ライン部門連携で

売るためのつながり

プロジェクト分散チームで

創るためのつながり

創造 実行

社内(深輪)

社外(広縁)

THINK DO

DEEP

WIDEコミュニティサロン

コワークラウンジ

シェアウォールルーム

チームサイネージアドレス

ICTで人と人をつなぐクラウド型ワークスタイルの実験

場所やPCに依存しない近未来の働き方を実践する

 新しい働き方を模索するPrototypingの中でも、

おもにソフト面から取り組んでいるのが、Cloud Work

Style(クラウドワークスタイル)です。

 最新の ICT(情報通信技術)ツールを使うと私た

ちの働き方はどう変わるのでしょうか?

 顧客との協働ワークが主で、外出が多いメンバー

と遠隔地間でも質の高いコミュニケーションがとれ

るか実験を行いました。

 メンバーは最新式のスマートフォンとタブレット

を携帯し、企業内SNSとTV電話を使うことで働く

場所はフリー、可能な限り集まらなくても良い状態

を作れます。お互いの位置はGPS機能で可視化し、

状況をそれとなく把握することもできます。

 実際にこのような環境で働いてみた結果、わかっ

たことは、10年前から始まった携帯電話やノート

PC、メールを基盤とするモバイルワークとは明らか

に違う姿でした。もっと以前、それこそ20年前の私

たちは、PCもネットもない環境で、チームメンバー

は机を並べて当たり前のようにフェイス toフェイス

で会話をし、アフター5は飲み屋で信頼関係を深め

ていました。それがPCの普及後、効率化という名

のもとに、この10数年どんどん乾いた(ドライな)関

係になっていきました。

 ところが最新のツールを使ってみると、かつて20

年前にあったような、再びチームの深い関係が甦っ

てくるのです。これは「ニュー・ディープ」とでも言

うべきもので、企業内SNSで「いいね!」と返し、TV

電話で表情を見ながら会話する環境です。

 さらに強く感じるものは、そういった環境にいるこ

とで、自ら外部との接点を広げようとする意識が持

てるということ。いまや様々なSNSを使えば友達の

友達までも可視化され、いろいろな経験やスキルを

持つ人と出会う機会があります。昔は上司だけが持

っていた人的ネットワークを、その気になれば若い

社員も広げていくことができます。

 クラウドツールを使ってどのように働き方を変え

ていくのか。その答えに私たちは『深輪・広縁(シン

リン・コウエン)』という名前をつけました。「チーム

の輪をより深めるつながり」と「社外の人との縁を

広げるつながり」という意味です。

 具体的な解の一つとして、個人とチームの創造性

向上を支援するiPad向け専用アプリケーション『te.

to.te』をパートナーとともに開発しました。te.to.te

は複数のメンバーで「描く」ことを通じてリアルタイ

ムにコミュニケーションをとりながら共創を実現す

るツールです。クラウドの時代となり確実にこれら

のテクノロジーは私達のつながりのあり方を変えて

いくでしょう。

workstyle 人と人のつながり

workplace 対応するオフィス

Cloud Work Style

RESEARCHPROTOTYPING

COMMUNITY MEDIA

Cloud Work Styleを実現するためのプロトタイプとして作られた iPad専用アプリ。ドローイングエリアに描いたアイデアや概念が、ネットワークを通じて他のユーザと瞬時に同期されるため、離れた場所にいる人同士が情報を共有・編集できるツール。http://www.tetote.io

ドローイング・コミュニケーション『te.to.te』

Page 7: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

10 WORKSIGHT LAB. 11

フューチャーワークシナリオ

RESEARCHPROTOTYPING

COMMUNITY MEDIA

バックキャスティングという手法で近未来のエコワークスタイルを描く

持続可能な働き方をデザインする

 Prototypingから得られたソリューションの先に

ある未来オプションを導き出すための取組みがフュ

ーチャーワークシナリオです。

 現在の延長線上でない新しい持続可能なワーク

スタイルを創出し、社会に提言すると共に今後のソ

リューション開発に応用するため、東北大学大学院

環境科学研究科との共同研究『未来のエコワークス

タイル創出プロジェクト』を行っています。

 地球環境をとりまく様々なリスクは2030年頃に

最大になります。石油、電気、ガス、灯油の価格高騰

により、エネルギー価格が2倍になると言われてい

ます。金属、非金属、プラスチック、樹脂も価格高騰

が起こり、こちらの価格も2倍になるという指摘があ

ります。そして世界的な生活用水、工業用水、農業

用水の不足により、日本では不自由のなかったはず

の水の価格もやはり2倍に上昇すると言われています。

 同時に、世界的な食糧不足が起こり、国内では自

給率の低い大豆、小麦、果物、牛肉、豚肉、魚介類な

どが入手困難になると予測されます。また、温室効

果ガス削減規制はさらに激しくなり、日本全体で

CO2排出量を50%削減しなければならないとも言

われています。このような制約下で、企業が現在と

同じ事業活動を続けていけば、コスト高により継続

が難しくなってしまいます。

 企業は顧客の要求にただ応えていくだけでなく、

顧客に新たな豊かさや価値観を提供するワークスタ

イル、ライフスタイルを自ら提案していかなければな

りません。

 これらの環境制約をポジティブに受け止め、それ

を原動力として心豊かに生きるために、バックキャ

スティングという手法を用いて2030年のワークス

タイルを描き出しました。この成果をまとめた書籍

が『未来の働き方をデザインしよう 2030年のエコ

ワークスタイルブック』です。

 本書では、コクヨと東北大学の研究者が協働でワ

ークスタイルのアイデアを50個提案し、それぞれに

ついてヒアリング、アンケートなどによる社会受容

性の調査、因子分析を行い、顧客がワークスタイル

に求める要素を抽出しました。実際にワーカーを巻

込んだ調査によって得られた考察から、低環境負荷

で心豊かなワークスタイル、ライフスタイルを実現す

る具体的なソリューションを検討しています。

2030年の環境制約(日本)

人口 人口、世帯数、人口構成の大幅な変化

地球温暖化 温室効果ガス削減規制資源 石油、電気、ガス、灯油の価格高騰 金属、非金属、プラスチック、樹脂の価格高騰 生活用水、工業用水、農業用水の不足 食料不足

総人口1億1800万人、世帯数4900万世帯、生産年齢人口6740万人

CO2排出量を日本全体で50%以上削減することが必須エネルギー価格が2倍に上昇価格が2倍に上昇水道料金が2倍に上昇自給率の低い大豆、小麦、果物、牛肉、豚肉、魚介類などが入手困難

出典:国立社会保障・人口問題研究所、IPCC、日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット、物質・材料研究機構、FAO、農林水産省など

2030年ワークスタイルマップ

企業・個人

地域・社会

エコマインド行動

資源エネルギー価値観の変革

シェア・助け合い感謝・信頼

連帯・義務楽しみ・喜び

ワークエネルギーマネジメント

修理ビジネス

ワーキングシェア

どこかに切り替えのあそび

緊張感の提供サービス

ノマドワーカーグッズ専門店

名前を刻んで育てるオフィス

ホワイトカラーはスーパーフレックスを活用

エコ労働組合

エコ川柳大会を開く

ロール状ペンケース

在宅ワーク用のウエアブランド

早朝ワークで午後は自由気ままに

サバイバル・チームワークショップ

オフィススペース付き住宅

1時間体験の浸透

オフィスバスで移動

エコ提案活動

ドライブ会議

クールティー、ウォームティー

オフィスの大半は社交のしつらえになる

モバイルワーク用コミュニケーション

ツール

在宅SOHOパッケージ

窓の透明カーテンで野菜を育てる

足湯コミュニケーション

ツリーオフィスでオ風を感じて仕事感じ

石器文具

避暑/避寒渡り鳥ワーク

会議・・議会星空空星空空会空会ンドル会議議会議会ルドンキャャンン

貯水プールの開放

人感センサーで開けっ放し撲滅

椅子を衣服の一部にする 快適ビジネス

ファッションコーディネーター

いつもいる人が快適な場所を選ぶ

筆記できる電子ペーパー

自然エネルギーで時間を感じる

エネルギー年金制度

朝は発電から始まる

企画が統一され、共通の素材が使われる

階段マイレージ

新しい指標CO2通貨

緊急充電は発電スポットで

姉妹オフィスと助け合う

自然エネルギーは共有になる

ものを使いこなす顧客を育てる

飲食は前日までに予約

企業間リユース制度

屋台の浸透

プロダクトも地産池消

オフィスヴィレッジで集まって働く

人の未利用エネルギーを活用する創エネジム

エコ募金制度

「地球の働き方」で楽しくノマドワーク

憧れのオフィスに宿泊

20年後みらい後年0 後みモデル都市ルデモ ルル

日照権の価値上昇

太陽に合わせて行動する

距離と内容で判断して仕事を

決める

オフィスはハレの雰囲気を持ち始める

EV充電所の周辺は市場のようになる

ミーティングでン代謝アッププ

自然でもてなすて野食会会

すべての仕事場がキッザニア

オフィスは地域住民の遊び場

オフィスにファミリーボックス

地域の売りはりは生態系マッププ

「ユーモア」が重要な能力

地域仕事Bar

肉体系ボランティア

小学校の空きスペースがサテライトオフィス

夏のオフィスキャンプ

もうけを考えない仕事がドライビングフォース  

オフィス菜園はワークスペースとつながりの場 地域の環境づくりに

貢献した人を表彰

紙も電気も個人で負担

商品は投票制で生産

町内に「オフィス貸します」

仕事しながら参加できる海外ツアー

365日着られる服

マイ書斎になるボックス型自転車

半働半遊ワークスタイル

社長の日課

地域合意でエネルギー供給

地域のビジネスギャラリー

人生やりなおし制度

ミ ロ

環境コンシェルジュ駐在

余ったエネルギーを貸してポイントに

オフピーク通勤でポイントを貯めるワークステイ制度

多様人種のシンプル会議

オフィス3交代ワーク

入退室で健康管理

自然に合わせたオフィスビルのワーク配置

星を見ながらアイデアワーク

アウトドアワーク情報を配信

エネルギーは再生して何度も使う

容器持参エココンビニ

高いところで過ごす、仕事をする

自然の風でフレッシュワーク

パオで空調効率を最大限にするオフィス

地下ワーク

五感を刺激する自分カプセル

移動式シャワー・銭湯

消費者が集まって商品をつくる

自然エネルギーにIDをつけてプレゼント

地球環境のリフレッシュ休暇

名刺にエコの肩書き

暗闇バーで褒めあって愚痴る

シニアが集まるR55カフェ

1時間ごとの切替チャイム

エレベーター優先バッジ

エネルギー日報

スワップスペースワーク

オフィスビルの低層化

ファームビルディング

高齢者によるビジネス駆け込み寺

毎週水曜日はアナログデー

バーチャルミーティング

日替わり行き先選択コンテナ

完全定時ワーク

自転車と歩行者のためのスペース拡大

男性でも日傘で移動

多国籍時間差ワーク

打ち水コミュニティ

好きな姿勢で働く家具

地域・社会のための両方の仕事に関わる

地域とつながって働く

ユーモアで乗り越える

仕事ぶりを見せて伝える

ワークライフバランスマネジメント

タイムマネジメント

暮らしと仕事でつながる村

エネルギーシェア

リスクマネジメント

自然や季節を楽しむ工夫

持続可能性ポイント(エコポイント制度)

自然に合わせたオフィス空間

おもてなしの変化

エコマインド醸成

モバイルワークサポートツール

ロングライフ商品

オフィスのオープン化

地域から企業へエネルギー共有

企業と消費者の新しい関係

環境に貢献する

未来を発信する

ボランティアの浸透ビジネス以外でつながる企業

省資源・リサイクルエネルギーマネジメント

創エネ活動自然に合わせたスタイル変化

コミュニティのあり方脱経済優先主義

心の充足

ワークとライフの関係

魅せる化見える化

新しい評価指標

ビジネスモデルの変化

自然の刺激で創造作業

自由な働き場

仕事を楽しむ道具

自然エネルギーと共に暮らす

新しいコミュニケーション

Page 8: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

12 WORKSIGHT LAB. 13

どんなレイアウトが採用されているか?

 Prototypingからのフィードバックをもとに、オフ

ィス計画に特化した数値ベースのResearchがオフ

ィスデータブックです。

 みなさんは、オフィスを作る際、デスクのサイズや

会議室の数をどのように決めているでしょうか?

 多くの企業では「なんとなく」決められてきたのが

実態です。もしくは、「とにかく現状維持で」と、今ま

での数やスタイルを変えることなく、せっかくのオフ

ィス改善の機会を無駄にしているかもしれません。

ではどのように決めればいいのか、その答えの一つ

として、世の中のスタンダードを知り、それを基準に

数値で計画していく方法があります。

 コクヨが年1回実施している『オフィスデータブ

ック』は、企業活動を行う器としてのオフィスの状況

を継続的に把握するための独自の調査です。用途

別に、面積規模や分類、席数や書類量などを集計し

ています。また、オフィスの活用方法や運用ルール

なども適宜取り入れ、時代性を考慮しています。調

査範囲は日本国内を対象とし、首都圏だけでなくロ

ーカルエリアも含めて分析しており、地域特性も踏

まえています。

 具体的な例をあげると、「1人あたりのオフィス面

積は8 .8㎡」「デスクエリアはオフィスの約6割、ミー

ティングエリアはオフィスの約2割」「デスク幅は

1200 mmが約5割」「会議室は35人に1室」「400

人以下のオフィスでは8割が無人受付」「コピー・複

合機は約30人に1台、プリンタは約55人に1台」「リ

フレッシュスペースの設置率は約7割、喫煙室の設

置率は約4割、更衣室は約5割」など、日本のオフィ

スの今を具体的に表す数値を抽出しています。

 こうしたスタンダードを社会に還元することで、

オフィスの目的や働き方に合わせた適正なスペース

配分が可能となり、経営視点でのオフィス構築をサ

ポートしていきます。

2011年に発行された『OFFICE DATA BOOK 2011』。100件のオフィスを分析し、会議室の数やデスクの配置の仕方など、右ページのようなデータをまとめた。

対向島型のレイアウトが全体で 89%を占め、 圧倒的に多く採用されており、主流のレイアウトといえます。

A

B

C

D

EF

A

【対向島型】ストレートデスク

48%

E

【ブーメラン型】ブーメランデスク

1%

D

【ブース型】L型デスク

8%

F

その他

2%

対向島型レイアウトが約9割と圧倒的

『OFFICE DATA BOOK 2011』の分析対象としたオフィス2010年の1年間で竣工したオフィスから100件を無作為に抽出。【規模】100名未満オフィス34件/100名以上オフィス66件、【所有区分】自社ビル22件/テナント78件、【フロア総数】313フロア、【総面積(有効面積)】320370.7㎡、【入居総人数】36488名

デスク形状は何が多い?

・ストレートデスクが約5割・ロングデスクが約4割・ロングデスクの比率が高まる

デスク形状はストレートデスクを採用するオフィスが 48%、ロングデスク(大テーブル)が 38%でした。例年この 2つのデスクタイプで全体の85%程度を占めますが、内訳はストレートデスクが減り、ロングデスクが増える傾向にあります。その理由として、ロングデスクは人数増減に対応しやすいことや、組織変更時にデスクを動かさないユニバーサルプランが定着してきていることなどが推測されます。

フリーアドレスはどのくらいのオフィスで採用されているか?

フリーアドレス採用率 17%自席を決めずに自由に座ることのできる、「フリーアドレス方式」を採用しているオフィスは全体の17%でした。

C

【対向島型】変形デスク

3%

日本全国のオフィスを調査、職場環境のスタンダードを探る

オフィスの今がわかるデータ集

オフィスデータブック

RESEARCHPROTOTYPING

COMMUNITY MEDIA

B

【対向島型】ロングデスク

38%

Page 9: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

14 WORKSIGHT LAB. 15

働くしくみと空間にフォーカスしたワークスタイル戦略情報メディア

先進企業の働き方をクロスメディアで発信

年2回発行のMAGAZINE版

WEB版にご登場いただいた方々

 コクヨは1988年から20年以上にわたって、国内

外の先進的な働き方とワークスペースの知見を収集

しつづけています。収集した知見は、海外事例を中

心としてまとめられた『ECIFFO』や、経営視点から

オフィスを捉えた『CATALYZER』といった研究媒

体を通して発信してきました。

 2011年、社会課題や生活者の価値観の変化とい

うパラダイムシフトに合わせて、これまでの知見や

研究機能を集約し、「会社の悩みは環境の工夫で解

決できる」をコンセプトに、『WORKSIGHT』を2011

年秋に創刊しました。企業が抱える経営課題に「働

く環境(=空間インフラ+制度インフラ)のリデザイ

ン」という視点からアプローチし、先進事例を独自の

取材で紹介しています。ハードとソフトの両面から

捉えることで、より的確に課題解決に貢献する働く

環境のあり方に迫っています。掲載されている知見

は、一般の企業でも再現できるようフレームワーク

化しています。

 『WORKSIGHT』は、WORKSIGHT LAB.の中

でコアをなす取り組みです。年2回発行の紙媒体

【MAGAZINE版】と、随時更新のインターネット媒

体【WEB版】および参加型のリアルなイベントと

いうクロスメディアで展開しています。特にイベン

トによるコミュニティを形成し、共通の課題や問題

意識を通じて次世代の働く環境のアイデアを読者と

一緒に考えていきます。また、twitterや facebook

といったソーシャルメディア上での読者とのコミュ

ニケーションにも力を入れています。

 これまでの実績として、先進的な働き方を実践す

る企業や団体を15社、各業界のトップランナー9名、

ビジネス分野の研究者3名の取材を実施しました。

次号以降も未来の働き方を実現するために必要と

なるしくみと空間についての知見を蓄積・発信して

いきます(2012年8月現在)。

WORKSIGHT 創刊準備号特集「境界を越える発想」2010年11月12日発行非売品

リーダー層に求められるバックキャストの思考法石田秀輝東北大学大学院環境科学研究科 教授

デザインとエンジニアリングの垣根を壊したい田川欣哉takram design engineering 代表

経営者と社員の間の“幸せな関係”は復活するか?金井壽宏神戸大学大学院経営学研究科 教授

企業とクリエイターの間に立ってコミュニケーションを仲介する諏訪光洋株式会社ロフトワーク 代表取締役社長

作り手・語り手の体温が伝わる職場の条件とは?ナガオカケンメイD&DEPARTMENT PROJECT 代表取締役会長

会社の闘い方に合ったワークプレイスを創造する柳澤大輔面白法人カヤック 代表取締役

シブヤ大学の人脈とノウハウを企業や地域活性化に役立てる左京泰明NPO法人シブヤ大学 学長

企業に勤めている人にこそコワーキングを活用してほしい佐谷恭Paxi House東京/Pax Coworking 代表

「働きがい」と「働きやすさ」を追求して優秀な人材を集める駒崎弘樹NPO法人フローレンス 代表理事

社員一人ひとりがアイデアを持つイノベーティブな職場とは?山崎亮株式会社studio-L 代表コミュニティ・デザイナー

WORKSIGHTWOKSIGHT 01号特集「外とのつながりで発想するオフィス」2011年10月7日発行定価1,200円(税抜)

WOKSIGHT 02号特集「オーガニック・コミュニケーション」2012年6月28日発行定価800円(税抜)

RESEARCHPROTOTYPING

COMMUNITY MEDIA

Page 10: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

16 WORKSIGHT LAB.

「働き方」をとりまくノウハウやビジョンを広く発信

WORKSIGHT LAB.メンバーによる書籍発行

 ResearchやPrototypingの検証から得られた研

究成果を書籍の形で発信しています。なかでも、コ

ミュニケーションや創造性を高めるにはどうすれば

良いのか、将来の働き方はどのように変化していく

のかなど、働き方と働く環境に関するテーマは、以

前から複数の書籍で取り扱ってきました。

 ワークスタイルの未来像についてマクロな視点か

らまとめているのが『未来の働き方をデザインしよ

う 2030年のエコワークスタイルブック』です。

2030年には環境制約が厳しくなり、今と同じように

事業を継続していくことは難しいと言われています。

そのような中で新しい未来を創造していくため、東

北大学の石田秀輝教授、古川柳蔵准教授とコクヨ

が一緒に考えたアイデアを紹介しています。なにも

しなければ訪れる危機、その時代のワークスタイル

に求められる新しい価値観とは何か。この本には環

境制約下でも豊かに生きるための未来のワークスタ

イル「50のヒント」が詰まっています。

 社内におけるファシリテーションのノウハウをま

とめているのが『会議がうまくいくたった3つの方法』

です。会議がうまくいっていないパターンを調べて

みると、だいたい大きく3つのタイプに分かれていま

す。「意見が出ない会議」「時間通りに結論が出ない

会議」「ギスギスした重苦しい空気の会議」の3つ。

それらの症状に対して必要なのは、会議の進行役が

ちょっとしたコツを知っていることです。参加者の

アイデアや意見を引き出す質問をつくる「会議のア

イデアマネジメント」、時間を意識させつつ合意形成

をつくる「会議のタイムマネジメント」、重い空気を

和やかな雰囲気にする「会議のチームワークマネジ

メント」。以上3つの視点を提示することでグッと質

が向上していきます。

 社外のパートナーに対して伝える力をまとめたの

が『コクヨの1分間プレゼンテーション』です。ビジ

ネススキルの基本であるプレゼンテーション力に苦

手意識のある人は少なくありません。人前で自信を

持って話すためのポイントについて、コクヨの研修

で実践されているテクニックをわかりやすくまとめ

ています。基本となる考え方は話す順番を「疑問を

投げる」→「結論を述べる」→「理由を説明する」に

するだけです。短くポイントをまとめる「シナリオづ

くり」のコツ、堂々と自信感じさせる「話し方」を身に

つけるコツ、見やすくわかりやすい「資料づくり」の

コツなどを盛り込んでいます。

スタイルブック

RESEARCHPROTOTYPING

COMMUNITY MEDIA

『コクヨの1分間プレゼンテーション』下地寛也/著中経出版/刊189ページ2011年8月26日 発売定価1,500円(税抜)

『未来の働き方をデザインしよう 2030年のエコワークスタイルブック』石田秀輝、古川柳蔵、コクヨ(株)RDIセンター/著日刊工業新聞社/刊215ページ2011年11月21日 発売定価1,470円(税抜)

『会議がうまくいく たった3つの方法』下地寛也/著中経出版/刊191ページ2010年11月16日 発売定価1,500円(税抜)

Page 11: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

18 WORKSIGHT LAB. 19

 ResearchやMediaを通じて発信されたテーマ

は様々なバックグラウンドをもつメンバーとさらに

深められていきます。その一例がクリエイティブ・シ

ティ・コンソーシアムの活動拠点であるカタリスト

BAです。約80社の法人企業(2012年8月現在)と

有識者、大学や行政などの関係者が集まり、二子玉

川をモデル地区として次世代の働き方や暮らし方に

ついて対話しながら新しいビジネスやサービスの社

会実験を行っています。カタリストBAはこれらの

活動が実際に行なわれる場であると同時に、クリエ

イターやアントレプレナーのシェアオフィスも備え

ているコミュニティ型ワークスペースです。個人を

起点にオープンに交流するコミュニティから価値あ

るアイデアやビジネスが生み育てられていくという

働き方の変化を体現している空間です。

 コンセプトは、オープンイノベーションのための「知

の交差点」。初年度は百十のイベント・プログラムが

開催され、社会実験プロジェクトも三つ生まれました。

オープンイノベーションの場を通じて分野や業種を超えた才能が連携する

 この背景には、1社単独でイノベーションを起こ

すことに限界を感じる企業が多いという問題意識が

あります。市場のニーズがどんどん多様化・複雑化

していくなか、自社内のリソースだけでそれらに応え

ていくことは難しくなりました。未来課題を共有し

ながら社外の様々な組織や個人とつながり、イノベ

ーションのヒントを模索する働き方が、新規事業や

企画開発担当者の間で多く生まれつつあります。

 とくに地域活性や都市開発など、多くのステーク

ホルダーが関係する領域ではその傾向が顕著です。

大企業がマスタープランを描ききるのではなく、分

野や業種を越えた専門家が協働し、また生活者も巻

込みながら、ビジネスイノベーションとソーシャル

イノベーションの同時実現が必要とされています。

 IT技術の進化により、時間と場所を越えたクラウ

ド上でコミュニケーションが可能になり、世界中の

知恵を集めてコラボレーションしていくことが可能

になりました。しかし、多くの企業ではセキュリティ

や知的財産の問題で、組織の壁を越えたコラボレー

ションはまだまだ発展途上の段階にあります。カタ

リストBAは、コンソーシアム活動とも連携しながら

二子玉川というリアルな街の中でイノベーションを

起こしていくために、新しい働き方の機会を提供し

ています。それが、バウンダリーオフィスという中間

領域的な新しいワークプレイスのモデルです。特定

のタグで結ばれたステークホルダー同士が自由に出

二子玉川という地域に根ざしたバウンダリーオフィスの実験場

組織の枠を越えた共創空間

CATALYST BA

RESEARCHPROTOTYPING

COMMUNITY MEDIA

バウンダリーオフィスとして、様々なイベントやコラボレーションの場としても使われている。

写真提供:CATALYST BA

人と情報の交流を促す仕掛けとしてデジタルサイネージやコミュニティLANなどが設置されている。

会員が研究開発中の機材を持ち込み、プロトタイプを展示・試行する場としても活用される。

Page 12: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

20 WORKSIGHT LAB. 21

入りしながら、交流したり協働できるオフィスの実

験場です。

常時そこに集まる「住人」を介してクリエイターを巻き込んでいく

 カタリストBAはコンソーシアムのメンバーはもち

ろん、会員制のシェアオフィスであるため地域企業

や個人事業主、社会起業家などもここをベースに活

動しています。また、イベントは会員同士の交流を

深めるものと、共通テーマを掲げて誰もが参加でき

るものがあり、住民や学生もイベントを通してこの

場を訪れます。

 バウンダリーオフィスとして空間インフラと制度

インフラが両面でデザインされていることも特徴です。

このカタリストBAは二子玉川の駅に直結するライズ・

オフィスの中に126坪のスペースを構える施設です。

受付にはコンシェルジュが常駐し、空間の中心に円

形の「スタジオ」があり、これを取り囲むように「コネ

クティブキッチン」「ツールラボ」「アウトドアサロン」

「コラボレーションオフィス」という五つの空間から

構成されています。

 「スタジオ」は最大100人規模のセミナーやワーク

ショップが可能で、円形であるためフラットな会話や

アイデア創発を促します。「コネクティブキッチン」

はカタリストBAの飲食をサポートする場ですが、同

時にイベントのアーカイブがディスプレイされ、隣り

合わせた人同士がコミュニケーションを深めること

もあります。「ツールラボ」はカタリストBAの会員

が研究開発中の機材や商品を持ち込み、他の会員や

地域住民に触ってもらいながら商品開発のアイデア

を練るスペースです。「アウトドアサロン」は窓の外

にみえる多摩川の風景を眺めながら、会員同士がリ

ラックスした雰囲気で対話を進めることができます。

ここにはカタリストBAのコミュニティが運営するラ

イブラリーの機能もあります。「コラボレーションオ

フィス」は会員制のシェアオフィスで、ブースタイプ、

シェアタイプ、ノンレジデンスの3種類があり、日常

的な協働が生まれています。

 バウンダリーオフィスの可能性を探るとき、非日

常的にそこを活用する組織ばかりでなく、常時そこ

にいる組織や個人がいることが重要です。彼らが媒

介となってインフォーマルなコラボレーションが起

こるケースも多く、イベントを通して常に新しい人や

情報のネットワークが持ち込まれるため、テーマや

アイデアが広がる効果が望めます。外部のコミュニ

ティを活用する、新しいワークスペースとして今後

も運営検証していきます。

施設構成 コラボレーションオフィス/ミーティングルーム アウトドアサロン/ツールラボ/コネクティブキッチン 360°スタジオ設計、デザイン コクヨファニチャー(株)企画 コクヨ(株)RDIセンター、東京急行電鉄(株)運営 カタリストBA施設運営管理団体 〈東京急行電鉄(株)・コクヨファニチャー(株) 春蒔プロジェクト(株)〉

DATA

名称 CATALYST BA (カタリスト バ)用途 バウンダリーオフィス事業主体 東京急行電鉄株式会社住所 東京都世田谷区玉川2-21-1 ライズ・オフィス8階開業 2011年4月25日

オープンイノベーションの場をデザイン

クリエイティブプロセスをうながす仕組みと場

オープン・プラットフォームCATALYST BA

知の交差点

ビジネスイノベーション ソーシャルイノベーション

企業[クリエイティブ・シティ・コンソーシアム]約 80社

投資家

有識者/学生

社会起業家

生活者/地元地域

行政

クリエイター[co-lab]

社会実験

収束あたため

情報収集

発散

ひらめき

ミーティングルーム

コラボレーションオフィス

360°スタジオコネクティブキッチン

ツールラボ

アウトドアサロン文化醸成

Page 13: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

22 WORKSIGHT LAB. 23

未来の働き方について対話するコミュニティ・ゼミ

オフィスに外とつながる場を創る

 ResearchやMediaで提示した話題をさらに深

めていくのが、Communityの活動です。コクヨは『働

き方、暮らし方の未来』をテーマに、品川エコライブ

オフィスの中にオープンな対話の場「エコ+クリ

Cafe」を運営しています。ここは誰でも参加可能で、

得られた成果は公開することを前提としています。

 働き方、暮らし方といっても、私たちが普段から

考える機会は限られています。自分自身の日常を改

めて振り返り、見直すキッカケにしてもらうため、

2011年4月から活動をスタートしました。以来、チ

ームの創造力向上や、コミュニティの活かし方、クラ

ウドが変える働き方など、コクヨ社員で企画したイ

ベントと社外メンバーとの協催イベントとを合わせて、

年間で約50セッションを開催しています。

 エコ+クリCafeでは、先進的な取り組みをしてい

るゲストから普段、実践していることを紹介してもら

い、それをインプットとしてワールドカフェ形式でブ

レストを行います。テーマに関心のある人同士が集

まり、業種・職種を越えて様々な経験を共有します。

対話する中でお互いに「大切なことは何か」を見つけ、

自分自身が仕事や生活の中で活かせるヒントとして

持ち帰ることができます。

 具体的な例をご紹介しましょう。『チームの創造

力を向上させるマネジメント』をテーマとして、現場

のリーダー同士がディスカッションした回では、「自

分が生きるチーム」というキーワードが出されました。

これは与えられた仕事を「自分ごと」として考え、自

分の考えを外に出し、チームで共有する仕組みをつ

くることの重要性を指摘したもので、参加者同士の

深い共感を呼びました。

 働き方、暮らし方は日々のことだからこそ、立ち止

まって自ら見直すことがなければ何も変わりません。

とはいえ、それぞれの企業の置かれている状況は異

なるので、すべての人に共通する答えもありません。

だからこそ、自ら課題に気づき、それを解消する機会、

すなわち、共通のテーマを一緒に考えていけるコミ

ュニティの存在が重要であり、WORKSIGHT LAB.

では、その形成を目指しています。

ワークショップの様子。品川のエコライブオフィスで様々な分野の参加者と対話が行われる。

エコ+クリCafeは、未来のための対話を行う「フューチャーセンター」としての役割も担う。

付箋を使ったグルーピングなどをしながら、課題の抽出・解決策のアイデア出しを行っていく。

エコ+クリCafe

RESEARCHPROTOTYPING

COMMUNITY MEDIA

Page 14: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research

齋藤敦子(さいとうあつこ)所長/ワークスタイルリサーチャーテーマ領域:次世代のワークスタイルと働く環境(空間+制度)の研究およびコンセプト立案。クリエイティブプロセスに基づいた空間パッケージの企画開発等。

下地寛也(しもじかんや)ワークスタイルコンサルタントテーマ領域:人材育成、リーダーシップ、コミュニケーションの研究およびコンサルティング。[コクヨの研修]スキルパークのシニアトレーナー。

鈴木賢一(すずきけんいち)ワークスタイルコンサルタントテーマ領域:クラウドを活用したワークスタイル、次世代の組織コミュニケーション、ファシリティコスト最適化の研究およびコンサルティング。ビジネスコーチ。

山下正太郎(やましたしょうたろう)ワークスタイルリサーチャーテーマ領域:経営課題を解決する次世代のワークスタイルやワークスペース、チェンジマネジメントの研究およびコンサルティング。WORKSIGHT編集長。

金森裕樹(かなもりゆうき)コミュニティリサーチャーテーマ領域:企業と個人、これからのヒトのつながりのあり方を追求するコミュニティの研究およびコンサルティング。WORKSIGHT編集員。

一色俊秀(いっしきとしひで)シニアデザイナーテーマ領域:オフィス運用実態調査、オフィスのユニバーサルデザインの研究、および次世代オフィスコンセプトの立案。

八塚裕太郎(やつづかゆうたろう)リサーチャーテーマ領域:オープンコミュニティ、共創の研究およびコンサルティング。エコ+クリ Cafe コミュニティマネジャー。

飯沼朋也(いいぬまともなり)リサーチャーテーマ領域:サスティナブルソリューションの研究開発。自然エネルギーの地産地消/直流給電システムの開発。CASBEE建築評価員。

福田麻衣子(ふくだまいこ)ワークスタイルリサーチャーテーマ領域:サスティナブルワークスタイル、ワーカーの意識と行動を変えるデザイン、五感の活用に関する研究およびソリューションデザイン。

メンバー紹介

Page 15: H1-4 WORKSIGHT LAB 再戻 ol · 検証を重ね、次世代の働き方/学び方のソフト、ハード両面を開発していきます。 worksight lab.では 、prototyping、research