h24m1(1)解答11・12...平成24年度 m1「代謝生化学a」...
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平成 24 年度 M1「代謝生化学A」 定期試験(1)・田原担当(1枚目/全 3枚) 2012.11.27 酵素の反応速度論、 解答と配点
11.酵素触媒 12.阻害、調節 【1】以下はある酵素 E の触媒する S P という反応の活性 v(反応速度)を理論的に求める過程である。空所を適当な式や言葉で補い、そのあとの問に答えよ。
この反応が、酵素-基質複合体 ES を経由する E + S ES E + P という素反応からなると考える。1 段目(可逆)の正反応の速度 v + 1(速度定数 k + 1)、逆反応の速度 v - 1(速度定数 k - 1)、 2 段目(不可逆)の速度 v 2(速度定数 k 2)とすると、各成分の濃度 [E]、 [S ]、[ES]、[P ]等を用いて ES 複合体の生成・分解速度を次のように表すことができる。[計 32]
(1 )[ 4] ES の生成速度 =
(2 )[ 4] ES の分解速度 = 1 段目の正逆反応が 2 段目の反応に比べて非常に速い[①迅速平衡の仮定]とすると、 2
段目の反応が律速段階となる。このとき酵素反応の速度 v は
v = k 2 [ES] (3 )
となるが、不安定な ES 複合体の濃度 [ES]は測定困難なので、[ES]を全酵素種の濃度 [E] T で置き換え、さらに重要な仮定[ ②B r i g g s - H a l d a n e の定 常 状 態 仮 説 ]を置く。すなわち、
B r iggs -Ha ldane の定常状態仮説:ES の生成速度と分解速度が等しい[併せて 4]
により、 (1 ) (2 )から [ES]を [E]と [S ]で表すことができ、
(4 )[ 4] [ES] =
全酵素種の濃度は、 ES 複合体とフリーの酵素 E の濃度から、
(5 )[ 4] [E ] T =
(4 ) (5 )から [E]を消去し、[ES]について解くと(この段階で KM = (k - 1 + k 2 )/ k + 1 としてよい)
(6 )[ 4] [ES] =
ここで、 (3 )に注意して反応速度 v を k 2 , [E ] T , [S ] , KM で表すと、
(7 )[ 4] v =
ここで、[ ③基 質 濃 度 無 限 大 の仮 定 ] を置くと、 v→ k 2 [E] T≡Vm a x ( [S ]=s→∞ )であるから、
(8 )[ 4] v =
という式(Michae l i s -Menten の式)を得る。
!!! = !!![E][S]
!!! + !! = (!!! + !!)[ES]
!!!!!! + !!
[E][S]
k+ 1 + k+ 1
[E] + [S]
[E]![S]!! + [S]
!![E]![S]!! + [S]
!!"#[S]!! + [S]
平成 24 年度 M1「代謝生化学A」 定期試験(1)・田原担当(2枚目/全 3枚) 2012.11.27 酵素の反応速度論、 解答と配点
11.酵素触媒 12.阻害、調節 問 (8 )式導出のために置いた仮説に関して次の各問に答えよ。[○○ :8, ○× :5, ○×× :3] (1)②に関する以下の記述のうち、正しいものの番号を○で囲め。
1.非現実的であり、現代では実際の細胞活動とは関わりがないとされる
2.実験的にはあり得るが、現実の細胞で起こることはほとんどない
3.細胞内の多くの代謝物は濃度一定であり、妥当な仮定といえる
4.ヒトを含む真核生物にはあてはまるが、原核生物では成り立たない
5.生体に普遍的に見られる恒常性を酵素レベルであらわしたものである
6.一部の酵素にしか成り立たず、酸化還元酵素などには適応不可能である
(2)③が成立しているとき、E と ES はどのような量的関係にあるか、簡潔に述べよ。[ 10]
E の全量が ES になっている 【2】以下はある酵素の代謝回転数を4つの異なる温度で測定したものである。
温度(℃) 逆温度( K - 1)× 10 - 3 代謝回転数( k c a t , 1 / s) lnk c a t(無名数)
25 0 .003355 67 .4 4 .21
30 0 .003300 80 .7 4 .39
35 0 .003246 98 .9 4 .59
40 0 .003194 114 .6 4 .74
(1)この酵素反応の 37℃における活性化エネルギー E f から活性化自由エンタルピー変化∆H ‡ (kJ /mol )を求めよ。気体定数 R=8 .3145 J /mol・K 【 d lnk c a t/ d (1 /T ) = -E f/ R を使う】[ 20]
! = 1 ! , ! = ln!!"# として回帰直線 y=a+bx の式を求めると、傾きbより、 !! = −!×! = −8.3145× −3334.6 = 27725
したがって、
∆!‡ = !! − !"
= 27725 − 8.3145×310 = 25148 (J mol)
∴ ∆!‡ = 25.1kJ mol 活性化に伴うエンタルピー変化は正であり、結合による安定化は失われたことになる。
(2) ∆H ‡が単一の結合の形成・切断のみに由来すると仮定して、以下の結合エネルギーから、何結合が形成または切断されたと推論できるか、 に適語を記入せよ。
結合の種類 結合エネルギー (kJ /mol )
イオン結合 600~ 1 ,000
共有結合 200~ 800(生体分子なら 300~ 500)
水素結合 10~ 40
ファン ・デル ・ワールス力 ~ 1
水素 結合が一つ 切断 されたと考えられる。[ 5× 2]
平成 24 年度 M1「代謝生化学A」 定期試験(1)・田原担当(3枚目/全 3枚) 2012.11.27 酵素の反応速度論、 解答と配点
11.酵素触媒 12.阻害、調節 (3) 37℃の ∆G ‡が 31kJ /mol と求められたとき、 ∆S ‡を J /mol・K 単位で求めよ。[ 15]
∆!‡ = ∆!‡ − !∆!‡ から、
∆!‡ =∆!‡ − ∆!‡
! =25.148 − 31
310
= −0.0188 (kJ mol ∙ K)
∴ ∆!‡ = −19 J mol ∙ K 活性化に伴うエントロピー変化が負ということは、分子の取り得る状態の数が減少したことを意味する。
(4)∆S ‡の正負・値から推論して X ‡の形成機構として妥当な記述の記号を○で囲め。[ 5] 1.酵素にある程度束縛された状態にある
2.水中にフリーである状態と同じ状態にある
3.酵素に結合されることで分子の自由度がより高まる