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建設業界の「働き方改革」を掲げて、 HoloLens による業務ソリュー ションのプロトタイプ開発に着手 MR ( 複合現実 ) テクノロジーを活用しトレーサビリティの実現や 業務効率化を目指す 小柳建設株式会社は、創業から 70 年以上にわたり、新潟県を拠点に土木 / 建築事業、浚渫事業 などを展開しています。同社では 2017 4 月、建設業における計画 / 工事/ 検査の効率化や、ア フター メンテナンスをはじめとする事業のトレーサビリティ向上をテーマに、日本マイクロソフト と連携して Microsoft ® HoloLens を活用したプロジェクト「Holostruction ( ホロストラクション) の推進を発表しました。その第一歩として、マイクロソフト エンタープライズ サービスの支援を 受け、BIM/CIM データを活用した検査ソリューションなどのプロトタイプ開発を急ピッチで進めて います。 導入の背景とねらい 手作業や紙文書などが多くアナログな 業界そのものを変革する新たな可能性を直感 新潟県エリアにおける地場の建設会社として、土木や建築事業に加え、独自の技術を活かした浚 渫事業や環境保全事業などで、地域社会に貢献してきた小柳建設株式会社 ( 以下、小柳建設 )同社は近年、最新の IT 技術の導入による業務改革を積極的に推進。2016 年には、Microsoft ® Azure ® への IT 基盤移行や Microsoft ® Office 365 ® の導入に踏み切りました。 今回 HoloLens に着目した理由を、小柳建設株式会社 代表取締役社長 小柳 卓蔵 氏は、「単なる業 務の効率化などにとどまらない、業界そのものを変革する力があると直感した 」と明かします。土木 / 建築の業務は手作業や紙文書に依存する部分が多く、その結果として残業など長時間労働を余儀 なくされていました。また「3K ( きつい、汚い、危険) 」などと言われ、少子化の中での人材獲得も喫 緊の課題です。これらを解決するうえで、IT は有効なツールとなると小柳 氏は確信していました。 特に今回、HoloLens に期待したのは、土木 / 建築工事におけるトレーサビリティの実現です。ビ ルや橋梁などの建造物は、完成してしまえば工事途中の情報=どのように施工されたかなどは、 再現して見ることができません。しかし HoloLens ならば、 Mixed Reality ( 複合現実 ) テクノロジー によって、着工から完成までのプロセスを自由にシミュレーションし、工程を確認できるのです。 導入の経緯 マイクロソフト エンタープライズ サービスの全面的バックアップを受け 社内公募のプロジェクト チームによる開発がスタート 小柳 氏によれば、土木 / 建築業界は長い歴史の分、従来の手法を変えるにはひときわ保守的な 面があると言います。特にデジタル化は、人の手で行う土木 / 建築の業務にはなじまないと言わ れ続けてきました。 「その点 HoloLens は動きや効果を視覚的に体験できるため、IT の専門知識がなくてもメリットや 価値を直感的に理解できます。ここを突破口に、デジタル化への目を開いてもらえるのではと期待 したのです」。 小柳 氏に HoloLens を紹介した株式会社ティーケーネットサービス 代表取締役 武田 勇人 氏は、 IT 基盤の移行業務などを通じて、小柳 社長の意思決定の速さと常に一歩先を見る姿勢はよく存 じ上げていました。HoloLens をお勧めしたのも、きっとこの製品の先進性を理解してくださると 考えたからです」と振り返ります。 導入プロジェクトのメンバーは、社内で公募しました。もともと新しい仕事に挑戦する意欲や積 極性を高く評価してきた社風もあり、「HoloLens で何かを変えたいと思う人」を募ったところ、た ソリューション概要 ○プロファイル 1945 年の創業以降、建設事業を通じて、新潟県 における地域社会の成長発展に貢献してきた小 柳建設株式会社。その時代の最先端技術を取り 入れるべく常に挑戦し続ける同社は、土木や建築 事業に加え、自社開発の技術を用いた浚渫事業 をもって、これからも地域社会への貢献と、グロー バル規模でのビジネス展開を行っていきます。 ○導入製品とサービス Microsoft ® HoloLens マイクロソフトコンサルティングサービス ○パートナー企業 株式会社ティーケーネットサービス ○導入メリット · MR ( 複合現実 ) テクノロジーが、計画 / 工事/ 検査 / アフター メンテナンスまでの全工程を表 現するツール [Holostruction] を提供。日本政府 が提唱する i-Construction の加速に貢献。 · すべての工程を 3D ホログラフで忠実に再現し て、工事のトレーサビリティを担保することで、 正確な工程の再現および把握はもちろん、コ ンプライアンス強化にも貢献。 · 設計図面を 3D ホログラフによって可視化。そ のイメージを遠隔地の複数の担当者でリアルタ イム共有できるようになり、検討と検証作業の 効率化や品質および安全性が大幅に向上。 ○ユーザー コメント 「これまで設計図面を見ながら実際のしあがりを イメージするのは、ベテランの技術者でなければ 困難でした。しかし HoloLens なら、新入社員で もすぐに 2D の図面から起こした 3D のホログラ フを確認できます。さらに、さまざまなデータを デジタル化することで、多くの人と瞬時に情報共 有が可能になり、作業進捗の効率化や品質の向 上も期待できます。そうした点で HoloLens は、 土木 / 建築業界にデジタル トランス フォーメー ションを起こす革新的技術となると確信していま す」 小柳建設株式会社 代表取締役社長 小柳 卓蔵 小柳建設株式会社

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Page 1: HoloLens MR (複合現実 テクノロジーを活用しト …・ Microsoft ® HoloLens ・ マイクロソフトコンサルティングサービス パートナー企業 株式会社ティーケーネットサービス

建設業界の「働き方改革」を掲げて、HoloLens による業務ソリューションのプロトタイプ開発に着手MR (複合現実) テクノロジーを活用しトレーサビリティの実現や業務効率化を目指す

小柳建設株式会社は、創業から 70 年以上にわたり、新潟県を拠点に土木 /建築事業、浚渫事業などを展開しています。同社では 2017 年 4 月、建設業における計画 /工事/検査の効率化や、アフター メンテナンスをはじめとする事業のトレーサビリティ向上をテーマに、日本マイクロソフトと連携して Microsoft® HoloLens を活用したプロジェクト「Holostruction」 (ホロストラクション)

の推進を発表しました。その第一歩として、マイクロソフト エンタープライズ サービスの支援を受け、BIM/CIM データを活用した検査ソリューションなどのプロトタイプ開発を急ピッチで進めています。

導入の背景とねらい手作業や紙文書などが多くアナログな業界そのものを変革する新たな可能性を直感

新潟県エリアにおける地場の建設会社として、土木や建築事業に加え、独自の技術を活かした浚渫事業や環境保全事業などで、地域社会に貢献してきた小柳建設株式会社 (以下、小柳建設 )。同社は近年、最新の IT 技術の導入による業務改革を積極的に推進。2016 年には、Microsoft®

Azure® への IT 基盤移行や Microsoft® Office 365® の導入に踏み切りました。今回 HoloLens に着目した理由を、小柳建設株式会社 代表取締役社長 小柳 卓蔵 氏は、「単なる業務の効率化などにとどまらない、業界そのものを変革する力があると直感した」と明かします。土木/建築の業務は手作業や紙文書に依存する部分が多く、その結果として残業など長時間労働を余儀なくされていました。また「3K (きつい、汚い、危険 )」などと言われ、少子化の中での人材獲得も喫緊の課題です。これらを解決するうえで、IT は有効なツールとなると小柳 氏は確信していました。特に今回、HoloLens に期待したのは、土木 /建築工事におけるトレーサビリティの実現です。ビルや橋梁などの建造物は、完成してしまえば工事途中の情報=どのように施工されたかなどは、再現して見ることができません。しかし HoloLens ならば、Mixed Reality (複合現実 ) テクノロジーによって、着工から完成までのプロセスを自由にシミュレーションし、工程を確認できるのです。

導入の経緯マイクロソフト エンタープライズ サービスの全面的バックアップを受け社内公募のプロジェクト チームによる開発がスタート

小柳 氏によれば、土木 /建築業界は長い歴史の分、従来の手法を変えるにはひときわ保守的な面があると言います。特にデジタル化は、人の手で行う土木 /建築の業務にはなじまないと言われ続けてきました。「その点 HoloLens は動きや効果を視覚的に体験できるため、IT の専門知識がなくてもメリットや価値を直感的に理解できます。ここを突破口に、デジタル化への目を開いてもらえるのではと期待したのです」。小柳 氏に HoloLens を紹介した株式会社ティーケーネットサービス 代表取締役 武田 勇人 氏は、「IT 基盤の移行業務などを通じて、小柳 社長の意思決定の速さと常に一歩先を見る姿勢はよく存じ上げていました。HoloLens をお勧めしたのも、きっとこの製品の先進性を理解してくださると考えたからです」と振り返ります。導入プロジェクトのメンバーは、社内で公募しました。もともと新しい仕事に挑戦する意欲や積極性を高く評価してきた社風もあり、「HoloLens で何かを変えたいと思う人」を募ったところ、た

ソリューション概要

○プロファイル1945 年の創業以降、建設事業を通じて、新潟県における地域社会の成長発展に貢献してきた小柳建設株式会社。その時代の最先端技術を取り入れるべく常に挑戦し続ける同社は、土木や建築事業に加え、自社開発の技術を用いた浚渫事業をもって、これからも地域社会への貢献と、グローバル規模でのビジネス展開を行っていきます。

○導入製品とサービス・ Microsoft® HoloLens・ マイクロソフトコンサルティングサービス

○パートナー企業株式会社ティーケーネットサービス

○導入メリット· MR (複合現実 ) テクノロジーが、計画 /工事/検査 /アフター メンテナンスまでの全工程を表現するツール [Holostruction]を提供。日本政府が提唱する i-Construction の加速に貢献。

· すべての工程を 3D ホログラフで忠実に再現して、工事のトレーサビリティを担保することで、正確な工程の再現および把握はもちろん、コンプライアンス強化にも貢献。

· 設計図面を 3D ホログラフによって可視化。そのイメージを遠隔地の複数の担当者でリアルタイム共有できるようになり、検討と検証作業の効率化や品質および安全性が大幅に向上。

○ユーザー コメント「これまで設計図面を見ながら実際のしあがりをイメージするのは、ベテランの技術者でなければ困難でした。しかし HoloLens なら、新入社員でもすぐに 2D の図面から起こした 3D のホログラフを確認できます。さらに、さまざまなデータをデジタル化することで、多くの人と瞬時に情報共有が可能になり、作業進捗の効率化や品質の向上も期待できます。そうした点で HoloLens は、土木 /建築業界にデジタル トランス フォーメーションを起こす革新的技術となると確信しています」

小柳建設株式会社代表取締役社長小柳 卓蔵 氏

小柳建設株式会社

Page 2: HoloLens MR (複合現実 テクノロジーを活用しト …・ Microsoft ® HoloLens ・ マイクロソフトコンサルティングサービス パートナー企業 株式会社ティーケーネットサービス

小柳建設株式会社

ちまち 20 名を超える社員が集まってきました。また HoloLens はマイクロソフトの最新テクノロジーであり、当初は導入例もほとんどありませんでした。そこでプロジェクトには、世界をリードする最新テクノロジーの導入実績を持つマイクロソフト エンタープライズ サービスが、アメリカ本社との体制を構築し、プロトタイプ開発を完了いたしました。また、プロジェクトの推進メンバーとして、ティーケーネットサービスも参画いたしました。

導入効果MR (複合現実 ) の特性をフルに活かして土木/建築の業務変革ソリューションを開発中

現在、小柳建設では、以下の 3 つの業務ソリューションのプロトタイプを開発中です。

1. 業務トレーサビリティ向上を推進:計画、工事、検査、アフター メンテナンスまでのプロセスを、ホログラフで再現し、時間軸で見ることのできるソリューション。オーディオのボリュームつまみを動かすイメージで、時間軸に沿って動かすことができるので、工事完了後もコンクリートに隠れた部分の構造を確認できる。また、ある時点からこの後どのように作られていくのかといったことが、視覚的に理解できる。

2. BIM /CIM データの活用試行:BIM/CIM とは、設計、工事、メンテナンスまでの建造物にかかわる 3D データなどすべての情報を活用するしくみのこと。今回は、設計図を 3D で可視化すると同時に、工事検査に必要なデータや文書もあわせてシステムに取り込み、必要な時にすぐ表示できる機能を開発している。

3. 新しいコミュニケーション アイデアの試行:複数の人が同時に

HoloLens の同じホログラム画像を見られるソリューション。建設現場と本社など遠隔地ともリアルタイムでイメージを共有できるため、必要な時すぐに詳細な意見交換や検討などが可能になり、業務の効率化と品質および安全性の向上が期待できる。

ティーケーネットサービスとマイクロソフトのサポートに、小柳 氏は「良いソリューションを作ってくれて感謝の一言です。特に、両社と私や社員が触れ合う中でさまざまな刺激を受けたことは、何より大きな成果物です。プロジェクトを通じて、三者によるいわば "共創 " とも呼べるリレーションが実現したことを大変嬉しく思っています」と評価します。

今後の展望業界の「働き方改革」を目標にすえてデジタル トランス フォーメーションを力強く推進

今後の展望として小柳 氏は、これまでの業界の常識を根本から変える「働き方改革」を目指したいと抱負を語ります。「土木 /建築は、造ったものが長く残り、人々や社会のために役立つ仕事です。こんなに壮大なスケールの仕事をしているのに、その手法がいまだにアナログや 3K でよいはずがありません。せっかくやるなら "格好いい仕事 " をしたい。そして、それを見た若い方たちがこの業界に関心を持ち、新しい志を持って入ってきてほしいと思います」。すべての仕事は人のためにあるものであり、その目的が達せられなければ仕事ではないと力強く語る小柳 氏。今回の HoloLens の導入プロジェクトが、小柳建設のさらなる飛躍に向けたステップ ボードとなることは間違いありません。

小柳建設株式会社代表取締役社長小柳 卓蔵 氏

株式会社ティーケーネットサービス代表取締役武田 勇人 氏

導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。https://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2017 年 5 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ https://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft、Azure、office 365 は、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における登録商標または商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

BIM (Building Information Modeling) / CIM (Construction Information Modeling) :設計から工事、メンテナンスに至るまで建造物ライフ サイクル全体のモデルに蓄積された 3D データなどのすべての情報を活用するしくみ

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