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兵庫教育大学学校教育学研究, 2016, 29, pp 43-50 高等学校家庭科教員 を支援す る教育情報サイ ト の開発 43 The Development of Educational Information Site for Supporting High School Home Economics Teachers 亜 美* 永 田 智 子** YAMAMOT0 Ami NAGATA Tomoko 本研究の目的は、 効率よ く 最新の情報を共有す るための一つの方法と し て、 高等学校家庭科教員のための教育情報サイ ト を開発 し、 その有効性について検討するこ と である。 開発にあたり 、 兵庫県高等学校家庭科教員 を対象に、 コ ンピュ ー タやイ ンタ ーネ ッ ト の利用状況と家庭科の教育情報サイ ト のニーズについての調査 を実施 し た。 調査結果よ り 、 普段から コ ンピュータやイ ンターネ ットは利用しているものの、 それらに対し不安を抱いていることがわかった。 そのため、 コン ータ操作の熟練度に関わらず利用 ・ 管理がで きるように、 CM S を用いたサイ ト の開発を行った。 公開後に行った評 価に関する質問紙調査では、 サイ ト の有用性の高さが示唆さ れた。 その一方で、 教材の投稿に関しては、 消極的な意見が 多かったこ から、 それらに関する不安 を取り 方法や管理 ・ 運営についての対策が必要であるこ と が示唆 さ れた。 キ ーワ ー ド : 高校、 家庭科、 学習指導情報、 情報共有、 教育情報サイ ト 1. 研究の背景と目的 高等学校学習指導要領解説家庭編 ( 文部科学省2010) では、 「生活するために必要な衣食住、 家族、 保育、 消 費、 環境 な どの知識と技術 を実践的 ・ 体験的 な学習 を通 して習得させること」 を高等学校家庭科の目標と し てい る。 こ こから、 家庭科で学習する分野は衣食住のみなら ず、 家族や保育、 消費 ・ 環境など広範囲にわたるこ とが わかる。 また、 こ れらは社会の変化に伴い、 内容も変化 し続けている。 そのため、 家庭科教員は、 広範囲かつ変 化し続ける学習内容に関する新しい情報が常に必要であ り、 それら を効果的に指導する能力が求められている。 家庭科教員の現状 と し て、 野中ら (2012) が全国21 道府県立全日制普通科高等学校の家庭科主任 を対象に行 っ た調査では、 家庭科教員の減少や時間数の減少が課題と してあげられていた。 平成15年より 2 単位の必修履修科 目である 「家庭基礎」 が登場したことにより、 単位数が 減少されたが、 学習内容は削減されていない。 そのため、 学習指導要領の目標にあるよう な実践的 ・ 体験的な学習 活動の充実は、 困難な状況である。 しかしそのよう な状 況の中で、 家庭科教員数は減少し、 特に、 普通科が設置 さ れてい る高等学校では家庭科教員は 1 人 し か配属 さ れ ていない場合も多く、 相談をしたいと思ってもすぐに相 談できない状況である。 このよ う な家庭科教員の現状 を解決するための一つの 方策として、 ICT (Information and Communication Technology) を活用 し た教員支援が考え ら れる。 田中 ら (2000) や、 奥谷 (2012) においても、 ウェ ブサイ ト を 活用 し た教員支援の有用性が示 さ れてい る。 「教育の情 報化に関す る手引 き」 (文部科学省2010) では、 教員一 1 台のパソコンの支給やグループウェア等の校内 LAN (Local Area Network) を用い情報共有をするなど、 ICT を活用するこ と で業務の軽減と効率化や教育の質の 向上に有効であることが示されている。 また、 「平成26 年度学校におけ る教育の情報化の実態等に関する調査結 果」 (文部科学省2015) において、 教員の校務用 コ ンピュ ー タ 整備率は全国平均 で113.8% で あ る こ と が示唆 さ れた。 全国的に半数以上の学校において、 教員一人 1 台のコン ピュータに加え、 成績処理用の共用コンピュータも整備 されている。 30M bps 以上の超高速イ ンタ ーネ ッ ト接続 率についても、 全国平均で81.6% と 、 教育の情報化に向 けた整備が進められている。 以上のこ と から本研究では、 効率よ く 最新の情報を共 有するための一つの方法と し て、 高等学校家庭科教員の ための教育情報サイ ト を開発し、 その有効性について検 討す る こ と と し た。 2. 家庭科教員のニ ーズ調査 教育情報サイ ト の開発にあたり 、 家庭科教員のコ ンピュ ー タやイ ンタ ーネ ッ ト の利用状況と家庭科の教育情報サイ ト のニーズを明らかにするために、 兵庫県高等学校家庭 科教員 を対象 と し た質問紙調査 を行 っ た。 2.1 調査内容 調査概要については、 表 1 の通り である。 調査内容に ついては、 家庭科教員の状況と ニーズを把握するため、 ①調査対象の回答者に関す る項目、 ②コンピュータ ・ イ ン タ ーネ ッ ト の利用状況に関す る項目、 ③ 「家庭科」 の 指導上必要な情報に関す る項日の 3 項目を設けた。 また、 家庭科教員の情報通信ネ ッ ト ワークの利用傾向 を詳細に 把握 し、 教育情報サイ ト の形式 を検討するため、 「一般 サイ ト」、 「投稿サイ ト」、 「SNS 」、 「掲示板サイ ト」 の 4 種類のサイ ト に関す る項目 を設け た。 * 兵庫県立有馬高等学校 * * 兵庫教育大学大学院教科教育実践開発専攻生活 ・ 健康 ・ 情報系教育 コ ース 教授 平成286 27 日受理

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Page 1: Home Economics Teachersrepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17044/1/...Home Economics Teachers 山 本 亜 美* 永 田 智 子** YAMAMOT0 Ami NAGATA Tomoko 本研究の目的は、効率よく最新の情報を共有するための一つの方法として、高等学校家庭科教員のための教育情報サイ

兵庫教育大学学校教育学研究, 2016, 第29巻, pp 43-50

高等学校家庭科教員 を支援する教育情報サイ ト の開発

43

The Development of Educational Information Site for Supporting High School Home Economics Teachers

山 本 亜 美* 永 田 智 子** YAMAMOT0 Ami NAGATA Tomoko

本研究の目的は、 効率よ く 最新の情報を共有す るための一つの方法と し て、 高等学校家庭科教員のための教育情報サイ

ト を開発 し、 その有効性について検討するこ と である。 開発にあたり 、 兵庫県高等学校家庭科教員 を対象に、 コ ンピュ ー

タやイ ンタ ーネ ッ ト の利用状況 と家庭科の教育情報サイ ト のニ ーズについての調査 を実施 し た。 調査結果よ り 、 普段から

コ ンピ ュ ー タ やイ ンタ ーネ ッ ト は利用 し てい る も のの、 そ れら に対 し不安 を抱 いてい る こ と がわかっ た。 そのため、 コ ン

ピ ュ ータ操作の熟練度に関わらず利用 ・ 管理がで き るよ う に、 CMS を用いたサイ ト の開発 を行 っ た。 公開後に行 っ た評

価に関す る質問紙調査では、 サイ ト の有用性の高 さが示唆 さ れた。 その一方で、 教材の投稿に関 し ては、 消極的な意見が

多 かっ たこ と から、 それら に関す る不安 を取り 除 く 方法や管理 ・ 運営についての対策が必要であるこ と が示唆 さ れた。

キーワー ド : 高校、 家庭科、 学習指導情報、 情報共有、 教育情報サイ ト

1 . 研究の背景と目的

高等学校学習指導要領解説家庭編 ( 文部科学省2010) では、 「生活す るために必要な衣食住、 家族、 保育、 消

費、 環境な どの知識と技術 を実践的 ・ 体験的な学習 を通

し て習得 させるこ と」 を高等学校家庭科の目標と し てい

る。 こ こ から、 家庭科で学習す る分野は衣食住のみな ら

ず、 家族や保育、 消費 ・ 環境な ど広範囲にわたるこ と が

わかる。 ま た、 こ れらは社会の変化に伴い、 内容も変化

し続け てい る。 そのため、 家庭科教員は、 広範囲かつ変

化 し続け る学習内容に関する新 しい情報が常に必要であ

り 、 それら を効果的に指導す る能力が求めら れてい る。

家庭科教員の現状と し て、 野中ら (2012) が全国21都

道府県立全日制普通科高等学校の家庭科主任を対象に行っ

た調査では、 家庭科教員の減少や時間数の減少が課題と

し てあげら れていた。 平成15年よ り 2 単位の必修履修科

目である 「家庭基礎」 が登場 し たこ と によ り 、 単位数が

減少 さ れたが、 学習内容は削減さ れていない。 そのため、

学習指導要領の目標にあるよ う な実践的 ・ 体験的な学習

活動の充実は、 困難な状況である。 しかし そのよ う な状

況の中で、 家庭科教員数は減少 し、 特に、 普通科が設置

さ れている高等学校では家庭科教員は 1 人しか配属 さ れ

ていない場合 も多 く 、 相談を し たい と 思っ てもす ぐに相

談でき ない状況であ る。

こ のよ う な家庭科教員の現状 を解決す るための一つの

方 策 と し て 、 ICT ( Information and Communication Technology) を活用 し た教員支援が考え ら れる。 田中ら

(2000) や、 奥谷 (2012) においても、 ウェ ブサイ ト を

活用 し た教員支援の有用性が示 さ れてい る。 「教育の情

報化に関する手引き」 (文部科学省2010) では、 教員一

人 1 台 のパ ソ コ ン の支給 や グル ー プ ウ ェ ア等 の校内

LAN (Local Area Network) を用い情報共有をするな ど、

ICT を活用するこ と で業務の軽減と効率化や教育の質の

向上に有効であ る こ と が示 さ れてい る。 ま た、 「平成26 年度学校におけ る教育の情報化の実態等に関す る調査結

果」 (文部科学省2015) において、 教員の校務用コ ンピュー

タ整備率は全国平均で113.8% であるこ と が示唆さ れた。

全国的に半数以上の学校において、 教員一人 1 台のコ ン

ピ ュ ー タ に加え、 成績処理用の共用 コ ンピ ュ ー タ も整備

さ れてい る。 30Mbps 以上の超高速イ ン タ ーネ ッ ト 接続

率についても、 全国平均で81.6% と 、 教育の情報化に向

け た整備が進めら れてい る。

以上のこ と から本研究では、 効率よ く 最新の情報を共

有するための一つの方法と し て、 高等学校家庭科教員の

ための教育情報サイ ト を開発 し、 その有効性について検

討するこ と と し た。

2 . 家庭科教員のニーズ調査

教育情報サイ ト の開発にあたり、 家庭科教員のコ ンピュー

タ やイ ンタ ーネ ッ ト の利用状況と家庭科の教育情報サイ

ト のニーズ を明 ら かにす るために、 兵庫県高等学校家庭

科教員 を対象と した質問紙調査を行った。

2.1 調査内容

調査概要については、 表 1 の通り である。 調査内容に

ついては、 家庭科教員の状況と ニーズを把握す るため、

①調査対象の回答者に関す る項目、 ② コ ン ピ ュ ータ ・ イ

ンタ ーネ ッ ト の利用状況に関する項目、 ③ 「家庭科」 の

指導上必要な情報に関する項日の 3 項目を設けた。 また、

家庭科教員の情報通信ネ ッ ト ワークの利用傾向 を詳細に

把握 し、 教育情報サイ ト の形式 を検討す るため、 「一般

サイ ト」、 「投稿サイ ト」、 「SNS」、 「掲示板サイ ト」 の 4 種類のサイ ト に関す る項目 を設け た。

* 兵庫県立有馬高等学校 * * 兵庫教育大学大学院教科教育実践開発専攻生活 ・ 健康 ・ 情報系教育 コース 教授 平成28年 6 月27 日受理

Page 2: Home Economics Teachersrepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17044/1/...Home Economics Teachers 山 本 亜 美* 永 田 智 子** YAMAMOT0 Ami NAGATA Tomoko 本研究の目的は、効率よく最新の情報を共有するための一つの方法として、高等学校家庭科教員のための教育情報サイ

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表 1 質問紙調査概要

学校教育学研究, 2016, 第29巻

調査時期 2013年 7 月中旬~ 8 月下旬

調査対象 兵庫県内の高等学校家庭科教員

調査方法 郵送によ る質問紙調査

配 布 数 約560枚 (226校)

2.2 結果及び考察

質問紙の回収数は166枚であ る。 すべての項目につい

て単純集計を行っ た。

①回答者に関する項目

回答者の任用形態について、 「教論」 と答え た人が70 % (116人) と最も多 く 、 常勤講師、 非常勤講師、 実習

助手と いう 順であった (表 2 ) 。 こ れは、 夏季休業の直

前に送付 したため、 非常勤講師に質問紙調査用紙が届 く

こ と が難 し か っ た ためだ と 思われる。 そ れで も 、 講師

(常勤講師、 非常勤講師) の割合は全体の約 4 分の 1 であ

り 、 家庭科の教員数から見ると、 講師の割合は多いよ う

に思われる。

表 2 任用形態について (N=166) 回 答 度数 比率

教諭

常勤講師

非常勤講師

実習助手

未記入

116 22 20 6 2

70% 13% 12% 4% 1%

回答者の勤務する高等学校における、 家庭科の担当者

数については、 「 2 人」 と答えた人が26% (43人) と最

も多い結果と な っ た (表 3 ) 。 先行研究におい て も、 野

中ら (2012) の調査によ り 、 ほと んどの学校において 2 人以下で家庭科を担当 し ている状況が課題と し てあげら

れていたため、 兵庫県の家庭科教員の配置状況について

も同 じ よ う な状況であ るこ と がう かがえ る。

表 3 家庭科担当者数について (N=166) 回 答 度数 比率 回 答 度数 比率

1人

2人

3人

4人

5人

27 43 33 22 11

16% 26% 20% 13% 7%

6人

7人

8人

9人 未記入

7 5 9 2 7

4% 3% 6% 1% 4%

② コ ンピ ュ ータ ・ イ ンタ ーネ ッ ト の利用状況に関す る項日

コ ンピ ュ ータ の利用状況について、 「資料 ・ 文書作成

をする」 と答えた人が96% (160人)、 次いで、 「イ ンター

ネ ッ ト を使う」 と答えた人が80% (132人) と多かった。

コ ン ピ ュ ータ をほと ん ど使わない と 回答 し た人が全体の

4 % ( 6 人) と少な く 、 全体的に校務においては、 コ ン

ピュ ータ を利用 し てい るこ と がう かがえ る (表 4 ) 。

表 4 コ ン ピュ ータの利用状況について

(複数回答、 N= 166) 回 答 度数 比率

資料 ・ 文書作成 をする

イ ン タ ーネ ッ ト を使 う

電子メ ール を使用する

コ ン ピュー タ を使っ て授業 を進める

コンピュータの使い方について授業で指導する

コ ン ピュ ー タ はほ どん ど使わない

その他

160 132 84 53 18 6 5

96% 80% 51% 32% 11% 4% 3%

また、 イ ンタ ーネ ッ ト を利用す ると きの端末と し ては、

「パソ コ ン」 と答え た人が98% (163人) と 最も多かっ た

(表 5 )。 その理由と して、 平成26年度学校におけ る教育

の情報化の実態等に関する調査結果 (文部科学省2015) において、 教員の校務用 コ ンピ ュ ータ整備率は兵庫県で

は115.8% であ り 、 ま た、 超高速イ ン タ ーネ ッ ト 接続率

について も91.6% と平均値の81.6% を上回 っ てい る。 そ

のため、 一人 1 台の コ ン ピ ュ ー タが支給 さ れてい る学校

も増え てき てお り 、 いつで も自由に コ ン ピ ュ ータ やイ ン

タ ーネ ッ ト が使え る環境にあ ると 考え ら れる。

表 5 イ ン タ ーネ ッ ト利用時の端末について

(複数回答、 N=166) 回 答 度数 比率

パソ コ ン

スマー ト フ オン

携帯電話 タ ブ レ ッ ト 端末 ゲーム機器

テ レ ビ

わから ない その他

163 58 32 20 1 0 0 0

98% 35% 12% 19% 1% 0% 0% 0%

ウェ ブペー ジの利用状況について、 掲示板サイ ト の閲

覧73% (122人)、 投稿サイ ト86% (142人) と、 それぞ

れの 「閲覧をする」 と答えた人が過半数を超え ていたが、

ウェ ブページの作成や掲示板サイ ト での質問、 記事の投

稿等、 自 ら情報を発信するこ と についての項目の回答者

は、 いずれも少数であ っ た (表 6 ) 。 特に、 sNs につい

て は、 「 ア カ ウ ン ト を所持 し て い る」 と 答 え た人は、

28% (46人) に対 し、 「わからない」 と答えた人が52% (86人) と最も多かった。 回答者の年齢層が比較的高く 、

SNS に対 し て関心がないためか、 SNS に関 し ては消極

的な回答が多 く 見受け ら れた。 また、 掲示板サイ ト や投

稿サイ ト についても 「閲覧す る」 と答え た人は過半数を

表 6 ウ ェ ブページの利用状況について (複数回答、 N=166) 掲示板サイ ト SNS

回 答 度数 比率 回 答 度数 比率

閲覧する

掲示板サイ トは知つてい るが、 利用 していない

わから ない

質問する

他者の質問に答える

122 32 10 5 1

73% 19% 6% 3% 1%

わから ない

ア カ ウン ト を所持 してい る

閲覧する

つぶやき、 近況な どを投稿する

SNS は知つているが、 利用 していない

86 46 44 19 17

52% 28% 27% 11% 10%

Page 3: Home Economics Teachersrepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17044/1/...Home Economics Teachers 山 本 亜 美* 永 田 智 子** YAMAMOT0 Ami NAGATA Tomoko 本研究の目的は、効率よく最新の情報を共有するための一つの方法として、高等学校家庭科教員のための教育情報サイ

高等学校家庭科教員 を支援する教育情報サイ ト の開発

超え ていた ものの、 自 ら情報を投稿 し たり 、 質問 し たり

す る な どの積極的な利用は少なかっ た。 こ のこ と から、

閲覧はし ていても、 自 ら情報発信するこ とは少ないため、

ウェ ブページを使 っ て も 情報交換はあま り 積極的に さ れ

てい ない よ う に思われる。

③ 「家庭科」 の指導上必要な情報に関する項目

「家庭科」 を指導する上で欲 しい と 思う 情報について

は、 「教材 ・ 教具、 資料」 と答えた人が83% (138人) と

最も多 く 、 次いで 「指導内容」 と回答 した人が53% (88 人) 、 「指導方法」 と回答した人が47% (78人) であった

(表7 )。表 7 「家庭科」 の指導上、 欲 しい情報について

(複数回答、 N=166) 回 答 度数 比率

教材 ・ 教具、 資料

指導内容

指導方法

施設 ・ 設備、 予算

評価

授業時間数

その他

な し

138 88 78 61 42 26 4 2

83% 53% 47% 37% 25% 16% 2% 1%

「家庭科」 の情報が欲しい時の情報の収集方法につい

て、 「イ ン タ ーネ ッ ト で検索す る」 と 答え た人が85% (141人) と最も多 く 、 「同 じ学校の同僚な どに直接会っ

て聞 く」 と回答 した人が64% (106人) 、 「研修会や研究

会な どで情報収集する」 と回答 し た人が61% (101人) であっ た (表 8 ) 。

家庭科教員の コ ン ピ ュ ータ やイ ン タ ーネ ッ ト の利用状

況については、 各教員が個人で利用でき る コ ンピ ュ ータ

が整備 さ れてい るこ と もあり 、 教材研究や業務において

利用 し てい る人は多 く 、 家庭科の情報サイ ト に関し て も

45

必要性 を感 じ てい る人は多 かっ た。

また、 情報収集においては、 家庭科担当教員が複数い

た場合、 他校の知り 合いに聞 く こ と よ り も、 同 じ学校の

同僚な どに直接会っ て聞 く こ と が多いが、 それら の回答

よ り も イ ン タ ーネ ッ ト で検索す る と の回答が多 かっ た。

以上のこ と から も、 必要な情報がま と ま っ て掲載 さ れて

い る教育情報サイ ト があれば活用 し ても らえ るのではな

いかと 推察 さ れた。

ただ し、 SNS や掲示板サイ ト の利用が極端に少ない

こ と 、 コ ン ピ ュ ータ を使 っ た授業や使い方につい ての授

業 をす るこ と が少ない こ と も あり 、 コ ン ピ ュ ータ が得意

ではない教員が多い と 考え ら れる。 また、 自由記述にお

い て も 、 ウェ ブペ ー ジに掲載 さ れてい る情報に関す る不

安やサイ ト を管理す るこ とへの不安、 見え ない相手と の

やり と り に関す る不安等、 イ ン タ ーネ ッ ト やコ ン ピ ュ ー

タ を使う こ と への不安 を感 じ てい る教員が多いこ と がわ

かっ た。 以上のこ と から、 教育情報サイ ト を開発す るに

あたっ て不安 を取り 除く 工夫が必要であ ろ う 。

④教育情報サイ ト に関する項目

教育情報サイ ト の形式 を検討す るため、 「A 資料集や

指導案、 授業に役立ちそう なべ一 ジ情報を閲覧 ・ ダウ ン

ロ ー ドでき る一般サイ ト」 (一般サイ ト ) 、 「B 資料集や

指導案、 授業に役立ちそう なべ一 ジ情報を閲覧 ・ 投稿 ・

ダウ ンロ ー ドでき る投稿サイ ト」 (投稿サイ ト ) 、 「c 情

報共有 ・ 交換ができ る sNs」 (sNs) 、 「D 情報共有 ・ 交

換ができ る掲示板サイ ト」 (掲示板サイ ト ) の 4 種類のサ

イ ト を例と し てあげた (表 9 ) 。

一般サイ ト 、 投稿サイ ト について、 「有用だと 思う 」

と答えた人は一般サイ ト が76% (126人) 、 投稿サイ ト も

90% (149人) 、 「閲覧し たいと思う」 と答えた人は一般

サイ トが93% (154人) 、 投稿サイ トは83% (138人) と

多かっ た (表10、 11) 。 想定 しやすいサイ ト のため、 こ

表 8 「家庭科」 の情報が欲 しい時の情報の収集方法について (複数回答、 N=166) 回 答 度数 比率

イ ン ターネ ッ ト で検索する

同 じ学校の同僚な どに直接会っ て聞 く

研修会や研究会な どで情報収集する

図書館等で必要な文献資料を探す

別の学校の知り合いに直接会っ て聞 く

近 く に相談相手がいない場合は、 電子メ ール ・ 電話な どを使っ て聞く

イ ン ターネ ッ ト の掲示板サイ ト を利用 し、 相談する

その他

SNS を利用 し、 相談する

141 106 101 73 60 35 9 4 3

85% 64% 61% 44% 36% 21% 5% 2% 2%

表 9 家庭科教育情報サイ トの形式

A 「資料集や指導案, 授業に役立ちそ う なべ一 ジ情報を閲覧 ・ ダウンロー ドでき るサイ ト」

例 : 各教科書会社や各教育委員会など, 各団体によ り提供される一般的なサイ ト

B 「資料集や指導案, 授業に役立ちそ う なべ一 ジ情報 を閲覧 ・ 投稿 ・ ダウンロー ドでき るサイ ト」

例 : YouTubeやウイ キペデ イ ア , ク ツクパ ツ ドな ど, 個人が自由に投稿 ・ 閲覧でき るサイ ト

c 「情報共有 ・ 交換ができ る SNS」

例 : mixi や facebook な どのサイ ト

D 「情報共有 ・ 交換ができ る掲示板サイ ト」

例 : Yahoo!知恵袋, Yahoo!掲示板, 2 ちやんねるなどの掲示板サイ ト

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46 学校教育学研究, 2016, 第29巻

のよ う な結果にな っ た と 考え ら れる。 情報提供につい て

は、 一般サイ ト は 「条件次第なら」 と答え た人は63% (104人) であ っ たが、 投稿サイ ト では、 「思わない」 と

答えた人が49% (82人) と多かった (表12)。SNS につい ては、 閲覧、 情報提供につい て も、 「思わ

ない」 と回答 し た人が多かっ た (表11、 12) 。 イ ンタ ー

ネ ッ ト の利用状況に関す る質問でも sNs を利用 し てい

ない、 わから ない と答え た人が多 かっ たため、 こ のよ う

な結果が出たと 思われる。

掲示板サイ ト では、 sNs と 比べる と 、 有用性や閲覧

についても 「思う」 と回答 し た人は多かっ たが、 情報提

供については、 「思わない」 と答えた人が、 74% (123人) と最も多かっ た (表10、 11、 12) 。 その理由と し て、 「い

たずら目的な人 もいて、 信用でき ない情報も多い と 思う

から」、 「不特定多数の人が見れるこ と が不信、 間違っ た

情報かも」 な ど、 サイ ト や情報に関す る信用性につい て

疑問 を持つ声が多かっ た。

3 . 家庭科教員を支援する教育情報サイ トの開発

ニーズ調査の結果において、 情報通信機器を使う こ と

に不安に感 じ てい る教員が多 かっ た。 そのため、 ウェ ブ

サイ ト 作成に関する知識がな く ても管理ができ るよ う に

す る ため、 CMS (Content Management System) の一つ

であ る 「NetCommons」 を採用 し た。 調査では、 サイ ト

形式については、 教材や授業実践な どが自由に閲覧 ・ ダ

ウ ンロ ー ド でき る一般的なサイ ト が求めら れてい る こ と

が明ら かにな っ たが、 提供でき る情報がす ぐにないこ と

や、 情報やサイ ト を管理する担当者が必要なこ と から、

運営が難 しいこ と が考え ら れる。 そのため、 教材や授業

実践な どの情報を各自で投稿でき るべ一 ジを含めたサイ

ト を開発の コ ンセ プ ト と し た。 なお、 サイ ト の信用性 を

高めるため、 サーバの管理を兵庫県教育研修所に委託 し、

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教言i器 続a ll ブラウザ : ''M' e l 前 で も入会 要 す. : : ■ 器 : イ タ ネfト し るパソコン :

入a發 l る : : スマートフ ・ ン、 タブレ ッ トでも . : 前 まで前 い

°わせ : l m・ 四能です l ・ . < ・ さ ._…__ .・ ..________…___..

1 ◆マ二 ・ ア1 : 一、合

l 目,月言t等, M °マニュアル」1 1 r サイ ト 用について」 内mrマ l ・

j ユア' 2ンo ード」 より、 ダウンo -1ド t してく さい・

m : t .. f に目一)oe ole 要le t . .

図 1 「 みんなの家庭科」 ト ッ プペ ージ

兵庫県の家庭科教員が所属する家庭部会の公式サイ ト と

し て開発した。

サイ ト タ イ ト ルは、 公式 なサイ ト であ るこ と を ア ピー

ル し 、 ま た、 みんな で自由 に閲覧 ・ 投稿 で き る よ う に

「兵庫県高等学校教育研究会家庭部会 みんなの家庭科」

(図 1 ) と した。

サイ ト の詳 しい利用方法については、 会員全員が閲覧

でき るよ う サイ ト 上にマニ ュ アルを公開 し てい る。 特に、

教材の投稿方法やロ グイ ン方法、 記事の投稿、 記事の編

集、 削除につい て簡単にま と めたマ ニ ュ アル ( ク イ ッ ク

ガイ ド 図 2 ) を作り 、 全会員に配布 した。

3.1 閲覧の範囲

サイ ト 構成は、 教材や授業実践の投稿べ一 ジと家庭部

会に関す る報告や連絡 を行 う べ一 シ (「 みんなの教材 ・

表10 教育情報サイ ト が有用だと 思う か (N=166) 一般サイ ト 投稿サイ ト SNS 掲示板

回 答 度数 比率 度数 比率 度数 比率 度数 比率

思 う

思わない

わから ない

未記入

126 17 22 1

76% 10% 13% 1%

149 3

13 1

90% 2% 8% 0%

47 58 60 1

28% 35% 36% 1%

52 53 59 2

31% 32% 36% 1%

表11 教育情報サイ ト を閲覧したいと思う か (N=166) 一般サイ ト 投稿サイ ト SNS 掲示板

回 答 度数 比率 度数 比率 度数 比率 度数 比率

思 う

思わない

わから ない

未記入

126 17 22 1

76% 10% 13% 1%

138 8

18 2

83% 5%

11% 1%

43 79 40 4

26% 48% 24% 2%

64 54 44 4

39% 33% 26% 2%

表12 教育情報サイ トに情報提供 したいと思 う か (N=166) 一般サイ ト 投稿サイ ト SNS 掲示板

回 答 度数 比率 度数 比率 度数 比率 度数 比率

思 う

条件次第な ら

思わない

未記入

16 104 45 1

10% 63% 27% 0%

8 75 82 1

5% 45% 49% 1%

4 37

119 6

2% 22% 72% 4%

3 29

123 11

2% 17% 74% 7%

Page 5: Home Economics Teachersrepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17044/1/...Home Economics Teachers 山 本 亜 美* 永 田 智 子** YAMAMOT0 Ami NAGATA Tomoko 本研究の目的は、効率よく最新の情報を共有するための一つの方法として、高等学校家庭科教員のための教育情報サイ

47

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図 2 ク イ ッ ク ガイ ド

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Page 6: Home Economics Teachersrepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17044/1/...Home Economics Teachers 山 本 亜 美* 永 田 智 子** YAMAMOT0 Ami NAGATA Tomoko 本研究の目的は、効率よく最新の情報を共有するための一つの方法として、高等学校家庭科教員のための教育情報サイ

48 学校教育学研究, 2016, 第29巻

授業実践」) を作成 した。 閲覧範囲は、 家庭部会員のみ

が閲覧で き るサイ ト と し たため、 ト ッ プペ ー ジのみ、 制

限な く 閲覧が可能なべ一 ジと し た。 その他のべ一 ジはす

べてロ グイ ンを し ない と見るこ と ができ ないよ う に非公

開のべ一 ジと し た。 そのため、 全会員 に対 し、 ア カ ウ ン

ト の発行 を行い、 郵送にて送付 し た。

3.2 利用者権限

利用者権限は、 家庭部会の会長 ・ 事務局長は 「管理者」、

役員は 「主担」、 会員は 「一般」 のよ う に家庭部会の役

割 ご と に ア カ ウ ン ト を作成 し た。 「管理者」 は、 シス テ

ムの最高責任者であ る ため、 会員用のア カ ウ ン ト 作成、

ト ッ プページデザイ ン等のすべての作業が可能であ る。

「主担」 は、 各委員会等のべ一 ジの主担当者用に発行 し

た アカ ウ ン ト であ る。 それぞれの委員会の長が担当者と

なり 、 委員会べ一 ジの記事の投稿が可能である。 「一般」

は、 すべての家庭部会会員が全べ一 ジの閲覧、 「 みんな

の教材 ・ 授業実践」 への記事の投稿ができ る。

3.3 教材投稿べ一 ジへの投稿と 承認

教材や授業実践等を共有するこ と を目的と し、 「みん

なの教材 ・ 授業実践」 のべ一 ジ を設け た。 こ のべ一 ジは

アカ ウン ト を有する会員のみが自由に閲覧 ・ 投稿するこ

と が可能である。 教材等の投稿があ っ た場合、 す ぐに全

体に公開 さ れないよ う に し てい る。 管理者によ っ て記事

の内容 を確認後、 承認さ れ、 公開さ れる。

4 . 教育情報サイ トの評価と改善

4.1 教育情報サイ トの評価に関する質問紙調査

家庭部会員293名を対象に、 有用性や使用感を調査す

る ため、 郵送によ る質問紙調査 を行 っ た。 調査概要は表

13の通り であ る。 回答の際には、 サイ ト へのロ グイ ンを

必須事項と し た。 主に、 ①サイ ト全般について、 ②投稿

べ一 ジについ て、 ③サイ ト の信用性につい ての 3 項目に

ついて問う た。

表13 調査概要

調査時期 2015年 6 月中旬~ 7 月下旬

調査対象 家庭部会に所属する高等学校家庭科教員

調査方法 質問紙調査

配 布 数 293枚 (153校)

回答率は、 88枚 (30%) である。 サイ ト全般について

有用だと思う かという 質問に対 し、 「そう 思う」 「少しそ

う 思う」 と回答 し た人は89% (78人) と概ね公式サイ ト

に対 し有用性を感 じ てい るこ と が示唆 さ れた (表14) 。

ま た、 家庭部会員のみが閲覧でき るこ と について信用性

を感 じ るかと いう 質問に対 し、 「 と てもそう 思う」 「少 し

そう 思う」 と回答した人が91% (80人) だったこ とから、

閲覧制限を設け るこ と で家庭科教員はサイ ト に信用性が

あ る と感 じ てい るこ と が示唆 さ れた (表15) 。 し かし、

サイ ト 内にあ る教材等の投稿べ一 ジについ ては、 有用性

は感 じ ながら も、 教材の投稿 を し たいかと いう 質問に対

し ては、 「あま り そ う 思わない」 「全 く そ う 思わない」 と

回答 した人が51% (45人) であった (表16) 。 自由記述

におい て も 、 「教材の投稿が増え た ら いい と 思う 」 のよ

う な消極的な意見が多 く 、 自 ら投稿を し たいと回答する

人は少ない結果と な っ た。

以上のこ と から、 家庭部会の公式サイ ト全般と しては、

家庭科教員にと っ て開発 したサイ ト の信用性は高いと考

え ら れる。 ま た、 公立の機関にサーバを設置 し、 大学が

サポー ト し、 閲覧を制限す るこ と で、 サイ ト の信用性が

高ま っ たと いえ る。 しかし、 教材投稿べ一 ジについては、

閲覧は し たい と 思っ てい る も のの、 投稿に関 し ては消極

的な傾向が伺え る。 サイ ト を持続可能にす るため、 家庭

科教員の教材の投稿を促す方策の検討が必要である。

表14 サイ トは有用だと思 う か (N=88) 回 答 度数 比率

と て も そ う 思 う

少 しそ う 思 う

あま り そ う 思わない

全 く そ う 思わない

未記入

40 38 10 0 0

46% 43% 11% 0% 0%

表15 会員のみの閲覧の信用性について (N=88) 回 答 度数 比率

と て も そ う 思 う

少 し そ う 思 う

あま り そ う 思わない

全 く そ う 思わない

未記入

42 38 6 0 2

48% 43% 7% 0% 2%

表16 教材を投稿 したいと思 う か (N=88) 回 答 度数 比率

と て も そ う 思 う

少 しそ う 思 う

あま り そ う 思わない

全 く そ う 思わない

未記入

9 34 39 6 0

10% 39% 44% 7% 0%

4.2 継続可能な活用 ・ 運営方法の検討

今後も継続し てサイ ト 運営ができ るこ と を目指 し、 改

善策を検討 した。

第一に、 教材の投稿数 を含め、 サイ ト全体のコ ンテ ン

ツ を増やす方法についてである。 教材投稿べ一 ジへの投

稿は未承認のも のを含めて も約30件 しか投稿 さ れてい な

い (2016年 2 月現在) 。 教材 ・ 授業実践の投稿に消極的

な理由と して考え ら れるものと して、 忙 しい ・ 面倒といっ

た多忙と いう 要因があげら れる。 日頃の業務が多忙であ

り 、 新たに導入 さ れた今回のサイ ト を活用す るには時間

を要す るのではない だ ろ う か。 委員会のべ一 ジにおい て

も、 活動報告等がさ れてい るべ一 ジも あ るが、 なにも投

稿がさ れていないべ一 ジの割合の方が多い。 継続 し て運

営 を続け るために も、 サイ ト 内の情報の充実が重要と な

るこ と が推測 さ れる。 そのため、 教材の投稿 を促す方策

を検討 し、 家庭科教員にと っ てサイ ト を活用するこ と が

仕事の簡素化につながるこ と を伝え、 サイ ト利用 を広め

ていき たい。

第二に、 教材投稿べ一 ジの承認方法についてである。

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高等学校家庭科教員 を支援する教育情報サイ ト の開発

改善前の方法では、 年に数回行われる委員会時において、

メ ンバー全員の確認を得るこ と が必要条件と さ れていた。

しかし、 遠方から集ま るこ と も あり 時間と場所には限り

があ るこ と、 投稿が増え てき た場合、 公開までに時間が

かかるこ と等が課題であった。 そこで、 委員会のメ ンバー

のみが閲覧するこ と ができ る非公開べ一 ジを作り 、 ペー

ジ内で承認の有無を確認でき るよう にし た。 具体的には、

各投稿に対 し、 「引用元の記載 「写真の加工」、 「個人情

報」、 「キ ャ ラ ク タ ー」、 「製作者等に許可」 の 5 項目に関

する項目を設け、 承認でき る項目についてチ ェ ッ ク をす

る と い う も のであ る。 こ れはア ンケ ー ト 形式 にな っ てお

り 、 集計が簡単にでき るよ う にな っ ている (図 3 、 4 ) 。

こ の項目は承認をす る際に も使用 し、 一つで も当 てはま

ら ない投稿については 「未承認」 と なるため、 再度、 投

稿者に対 し編集を求めるよ う に し た。

5 . まと めと今後の課題

以上、 本研究では、 高等学校家庭科教員のニーズと実

態を把握し た上で、 効率よ く 最新の情報を共有するため

の一つの方法と し て、 教育情報サイ ト を開発 し た。

教材投稿べ一 ジの有用性の高さ を伺う こ とはできたが、

教材や授業実践の投稿数が伸びなかっ たこ と が現状であ

る。 日頃の業務が多忙な中、 イ ンタ ーネ ッ ト を使う こ と

に不安 を感 じ てい る教員 も多いため、 家庭部会と し てサ

(' ) 「 記事を書く 」 をク リ ック する② 必須事項の入力をする

口 タイ トル口 学校名口 本文口 カテゴリ ー選択

:3 画像などの添付フ ァイルがあれば、ツールパーよ り選択する

④ 決定ボタ ンをク リ ック する

49

イ ト を活用 した取り 組みに関する研修等が今後の課題で

あ る。

参考文献

文部科学省 (2010) 「高等学校学習指導要領解説 家庭

編」

野中美津枝、 荒井紀子、 鎌田浩子、 亀井祐子、 川邊淳

子、 川村めぐみ、 齊藤美保子、 新山みつ枝、 鈴木真由

子、 長澤由喜子、 中西雪夫、 綿引伴子 (2012) 「高等

学校家庭科の単位数をめぐる現状と 課題一21都道府県

の家庭科教員調査を通して 」 日本家庭科教育学会誌

54 (4) , pp226-235田中洋子、 佐々木貴子、 貴田康乃 (2000) 「家庭科教

育におけ る教育と研究と のネ ッ ト ワーク形成に関す る

基礎調査 (第 1 報) : 兵庫県家庭科教員にもつ悩みと

研究者への期待を中心と して」 日本家庭科教育学会誌

第43巻第 1 号, pp 3-39奥谷めぐみ (2012) 「消費者教育関連ウェ ブサイ ト に

よ る教育支援の在り方」 消費者教育 vol.32, pp 81-90 文部科学省 (2010) 「教育の情報化に関する手引き」

pp 2, pp.145 < http://www.cec.or.jp/seisaku/pdf/tebiki/ H22tebiki.pdf> 最終アクセス日2015/12文部科学省 (2015) 「平成26年度学校における教育の

情報化の実態等に関する調査結果 [速報値] (平成27年

投 a 前にチエツク !●

● ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ●. : 口 生 の作品を投稿する時には、 制作者である生1走の了承を得る。 :

' 口 授業や活動の様子を投稿する時には、 写っている生徒の了承を得る。 ・ : 口 個人が特定できるよ うな写真は、 モザイ ク処理や ト リ ミ ングなどの加工をする。 : ' 口 生従氏名や評価簿などの個人情報が記載されていないか確認する。 ・ : 口 引用元を記載する。 : ' 口 動画を投稿する場合は、 動画の制作者 ・ 出演者等に了承を得る。 ・ l●

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

投m時に ついて

管理者よ り 「承認」された後、 ウエプ上に公開されます。そのため、 公開されるまでに時間がかかることがあり ます。

図 3 投稿用 チ エ ツク リ ス ト

l みんなの教材 - 授能の素認

8 月分承認記事について

買間 l :「2015/08; 17 i-.1 れあい育児体験 0 0 0 高積口引用元の記載 口写真の加工 口 個入'情報 口 キャラクター 口製作者等に許可

l 回警 f 3 l 図 4 ア ンケー ト を使った承認作業 (例)

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50 学校教育学研究, 2016, 第29巻

3 月現在) 」 < http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyou hou/_ icsFiles/afieldfile/2015/08/31/1361388_01 .pdf> 最

終アクセス日2015/12