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1 Homenaje al Maestro Kojima 2016.8.27 小島門下生による エルフラメンコ公演 ~感謝と愛と尊敬を込めて~ フラメンコ界を牽引し続ける 小島章司先生へ

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Homenaje al Maestro Kojima

2016.8.27 小島門下生による

エルフラメンコ公演

~感謝と愛と尊敬を込めて~

フラメンコ界を牽引し続ける

小島章司先生へ

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photo:荻久保次郎

ギター:高橋紀博 鈴木尚

カンテ:El Prateao 須田隆久

バイレ:小林伴子 入交恒子 川崎さとみ 手下倭里亜 望月美奈子 高野美智子 企画:上藪洋子

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■■小島章司先生に聞く■■

■小島章司 ■小林伴子

今回は小林伴子さんの恩師であり、フラメンコ界を牽引し続けていらっしゃる巨匠小島章司先生にお話

を伺わせていただきました(2016年 11月 28日 エストゥディオ・コジマにて)

◆初めに◆

昨年 8月 27日に「マエストロ・コジマへのオマージュ~感謝と愛と尊敬をこめて~」と題した公演に参加し

ました。小島門下の世代の違う踊り手達 6人が出演し、49年の歴史を閉じようとしているタブラオ「新宿エル・

フラメンコ」で行われた公演は私にとってとても印象深いものとな

りました。「小島先生が今年喜寿を迎えられるので、先生へのお祝

いの会を企画しています。参加してくれますか?」と同門の上薮

洋子さんから突然のメール連絡があったのは 5月頃だったでしょう

か。ずっと後輩で、日頃お付き合いのない上薮さんからの不意なお

誘いに驚きましたが、初期から彼女の世代までの門下に声をかけて

フラメンコ関係者には特別な場所だった「エル・フラメンコ」の終

わりに「先生へのお祝いの会」を開くと言う素敵な企画。喜んで参加させて貰いました。

私は参加した 6名の踊り手の中では当然一番年長…、私たち6人以外にも小島門下の色々な世代の大勢がそ

れぞれ活動をしていてそのまた生徒達がいる事を思うと、先生の日本のフラメンコ界に与えた影響の大きさに

改めて気づかされます。公演は大盛会、先生も喜んで下さって、参加した皆も上薮さんに大感謝!でした。

「スペインに10年も行ったきりで修行した素晴らしい踊り手が、帰国してクラスを開いているそうなので、

一緒に習いに行きましょう!」と友達に誘われて、阿佐ヶ谷のアルスノーバという今はもう無い稽古場を訪ね

たのは 40年も前のことです。

まだプロになる!というはっきりとした決意はなかった私でしたが先生

のクラスにはプロの人たちが大勢出席していて新進気鋭の先生の元、とて

も刺激を受けました。グループで代わりばんこに踊り、私がパルマ組にな

った時でした。となりにいたベテランの踊り手さんから「トットと行くん

じゃない!」とひと言。無邪気にパルマの大切さも知らず、なにげなく手

を打っていた私はびっくりしましたが、有難い学びと気づきがありました。楽しい思い出です。以来小島先生

は私の師として、いつも輝き続けています。喜寿を迎えた今も踊り手として、創造者として前進し続ける姿は

いつもオーラを放っています。

こんな言い方をすると先生は嫌がるかもしれませんが、私の生徒の皆さんは先生の孫弟子にあたります。

会報 22号では、いよいよ先生にご登場いただきました!(小林伴子)

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―――今日はお忙しい中、お時間をとっていただきありがとうございます。

このスタジオは正面と右側の壁面が全面鏡になっていて雰囲気があって本当に

素敵ですね!

小林 私の知っている頃より絵が増えましたね?

―――この絵は親友でいらした甲斐隆さんが描かれたものですね?

小島 そうです。多くは僕がモデルになっています。彼はパリで活躍し数々の

賞も受けた画家なんだけど、残念なことに55歳の若さで死んでしまいました。

パリから「タカシが死にそう」って電話をもらった時は信じられなかったんです

けど、すぐに日本から駆けつけましたら、肝臓がんだったんです。その後の治療

で一時持ち直して帰国し僕の公演も観てくれましたけど、その半年後に亡くなり

ました。彼の義弟で李香蘭(山口淑子)の半生を書いて評判になったジャーナリ

ストの藤原昨弥も同世代で、それぞれの道は違ったけど三人で励まし合い、切磋

琢磨して30年以上の付き合いでしたね。

<Simulacrum/シミュレイクラム>

―――先月(10月 13日~15日)にノルウェーのオスロで公演さ

れたばかりで、まだお疲れでいらっしゃいますでしょう。

小島 ああちょっとね。劇場はオスロのオペラハウスで…。床に

コンパネをちゃんと貼って下さいと度々お願いをしていたんで

すが、フラメンコのことがそれほど分かっているわけではないの

で深く考えなかったんだと思いますけど、色が黒だからそのまま

でいいかっていうことになってしまって…。やはり足に負担がか

かったらしく帰ってきたら足だけでなく下半身がパンパンにな

っていて、いまだに少し引きずっています。

―――大成功だったと伺っていますが、どのような公演だった

の のでしょうか?

小島 お蔭様で。『Simulacrum/シミュレイクラム』というタイト

ルの舞踊劇で一緒に踊ったのはダニエル・プロイエット氏という

アルゼンチン出身の33歳のコンテンポラリーダンサーです。彼

はブエノスアイレスのコロン劇場などでも踊っていた人なんで

すが、いろんなオーディションやコンクールを受けるためにヨー

ロッパに渡り今では国際的に活躍しています。今回の作品は二人の生い立ち、人生を自伝的に描いたものでこ

ういう形の公演は初めての体験でした。僕の子供の頃はどんな少年だったか、いろんな困難がありながら不可

能に近いことを可能にしてきて今日の自分がある…という今までの人生を振り返るストーリー。それとダニエ

ルの方は経済破綻、政情不安定という状況のアルゼンチンを若くして離れ、ヨーロッパに移り困難を克服して

きたというストーリーで、この二つがお互い交差するというものです。舞台の上で僕もあまり出来ない英語で

しゃべるところがあったり(笑)、スペイン語でダニエルと会話したり…そんなことすべてが作品に取り入れ

られています。ダニエルは日本舞踊も藤間勘十郎に学び、今回の作品の中では僕の亡母を女形舞踊で演じてい

る部分もあるんですよ。

―――シミュレイクラムというタイトルはどういう意味ですか?