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2008/5/20 1 HSRゲートの紹介 河川の新型可動堰 豊国工業株式会社

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Page 1: HSRゲートの紹介...2008/5/20 4 HSRゲート開発の背景 コスト縮減 耐久性 維持管理性 起伏堰への要求 技術的解決手段 鋼製起伏堰と ゴム袋体技術の組合せ

2008/5/20 1

   HSRゲートの紹介

河川の新型可動堰

豊国工業株式会社

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はじめに

可動堰の設置目的 : 利水および治水

従来の可動堰の形式 : 鋼製起伏堰やゴム引布製起伏堰

HSRゲート(Houkoku Steel and Rubber Hybrid Gate)鋼製扉をゴム製空気袋で起立させるゴムと鉄のハイブリッド(融合)ゲート

豊国工業のゲート専業メーカーとして長年培った鋼製起伏堰,ゴム堰および防水扉の技術 → HSRゲートの開発

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【鋼製起伏堰】

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従来技術

鋼製起伏堰

油圧シリンダで鋼製の扉を起こし,水を堰止めます。

ゴム引布製起伏堰

ゴム袋体を空気で膨らませ,水を堰止めます。設置断面は,台形断面となります。

防水扉(類似技術)

鋼製の扉をゴム袋で起立させ,建物への浸水を防止します。

【ゴム引布製起伏堰】

【防水扉】

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HSRゲート開発の背景

コスト縮減耐久性

維持管理性

起伏堰への要求 技術的解決手段

鋼製起伏堰とゴム袋体技術の組合せ

HSRゲートコ ス ト:鋼製起伏堰より安価

耐久性:ゴム引布製起伏堰より堅牢

維持管理:鋼製起伏堰より容易

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HSRゲート 技術の概要(1/2)空気袋を膨張させて,鋼製の扉を起立させる起伏堰です。

径間が長くなると、単位(ユニット)ゲートを連結して施工します。

HSRゲート 標準断面

水流方向

河床

扉体(倒伏状態)

扉体(起立状態)

空気袋

扉体

空気袋

扉体

鳥瞰図:下流側より望む

1ユニット

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HSRゲート 技術の概要(2/2)起立操作はエアコンプレッサーから圧縮空気を供給し、行います。

フロート式自動倒伏装置などによる自動倒伏も可能です。

操作装置系統イメージ

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HSRゲート 全景イメージ(1/2)

空気袋

扉体

鳥瞰図:上流側より望む

扉体

22.0m×1.6m×2門

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HSRゲート 全景イメージ(2/2)

鳥瞰図:下流側より望む

扉体

空気袋

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HSRゲートと鋼製起伏堰の比較

扉体が空気袋により面で支持されるため,扉体構造を軽量化可能。

開閉装置は油圧装置を使用せず,空圧装置を使用。

コスト軽減 ・ 取扱い容易

油漏れの心配が無い。

油圧機格納のためのピット不要。

【鋼製起伏堰】

水流方向

河床

扉体(倒伏状態)

扉体(起立状態)

空気袋

【HSRゲート】

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HSRゲートとゴム引布製起伏堰の比較

ゴム製空気袋が鋼製扉体に保護されるため,転石に強い。

倒伏時に局所的な流れの増大(ゴム引布製起伏堰特有のVノッチ現象)が起こらない。

【ゴム引布製起伏堰】

水流方向

河床

扉体(倒伏状態)

扉体(起立状態)

空気袋

【HSRゲート】

ゴム引布製起伏堰の倒伏状況(Vノッチ)

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HSRゲートの位置付け

鋼製起伏堰およびゴム引布製起伏堰とHSRゲートの比較を述べてきました。ここでは,起伏堰の中での,HSRゲートの位置付けを考えます。

コスト比較

  ゴム引布製起伏堰 < HSRゲート < 鋼製起伏堰ゴム引布製起伏堰 < HSRゲート < 鋼製起伏堰安価←                 →高価安価←                 →高価

性能比較(堅牢性および水位精度)

  ゴム引布製起伏堰 < HSRゲート < 鋼製起伏堰ゴム引布製起伏堰 < HSRゲート < 鋼製起伏堰柔軟・水位精度低←               →堅牢・水位精度高柔軟・水位精度低←               →堅牢・水位精度高

※ 以上のように,HSRゲートは,起伏堰の中にあって,ゴム引布製起伏堰と鋼製起伏堰の中間的な存在であると考えています。

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HSRゲートの特徴(1/4)

鋼製ヒンジの採用により扉体の挙動が安定します。ゴムヒンジ形式に比較し,扉体が径間方向に傾斜したり,ずれることがないため、高い水密性や円滑な動作が可能となります。

【 鋼製ヒンジ形式 】

【 ゴムヒンジ形式 】

空気袋ストッパー

ヒンジ部

空気袋固定部

下部戸当り

空気袋

扉体

水流方向

ゴムヒンジ

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HSRゲートの特徴(2/4)

引止帯のないシンプルな構造です。ヒンジ部にストッパー機構を設け,引止帯をなくしました。施工が容易になり,全起立開度も安定します。

【 引止帯有り 】【 引止帯無し 】

引止帯のないスッキリした背面 引止帯引止帯

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HSRゲートの特徴(3/4)

空気袋が、容易に取外せる独自の固定方法を開発。空気袋の着脱が,容易な構造となりました。空気袋のメンテナンスも,容易におこなえます。

【 空気袋固定 説明図 】 【 空気袋 固定作業 】

空気袋

空気袋膨張時

水流方向

袋取付金具空気袋取付溝

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HSRゲートの特徴(4/4)

ゴム袋体の気密信頼性が向上。ゴム袋体は、工場で全密閉構造で作られるため、現場における袋体本体の気密作業がありません。従って、ゴム袋体の気密信頼性が向上しています。

ゴム袋体を国内メーカーで生産。更新時などに、安定した供給が可能です。

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制限条件

河川条件ゲート設置部河床に従来の起伏堰と

  同様に落差が必要です。

  鋼製起伏ゲートに比べ、小さな落差と

  なります。

HSRゲートの一般的な制限条件を示します。

ゲート設置部は,矩形断面となります。ゴム引布製起伏堰のような台形断面には

  対応していません。

準拠基準「鋼製起伏堰(ゴム袋体支持式)設計指針(一次案)」(SR堰技術検討会)国土技術研究センターホームページで公開。

「鋼製起伏堰ゲート設計要領(案)」

「ゴム引布製起伏堰技術基準(案)」

水流方向

河床

扉体(倒伏状態)

扉体(起立状態)

空気袋

落差

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施工実績

納入年月 契 約 先 工 事 名 都道府県 規模 (幅×高×門数) 備考

※ HSR式は,自社開発のゲートです。米国式は,オーベルマイヤ-社(米国)製の袋体を使用したゲートです。

15.0m×1.5m×1門 HSR形式施工中鳥取県

東部総合事務所 県土整備局 殿大井手川 河原転倒堰 更新工事 鳥取

鋼製起伏堰(ゴム袋体支持式) 納入実績表

2005年8月 福岡県 福岡土木事務所 殿

2005年1月八束郡宍道町土地改良区 殿 ㈱豊国エンジニアリング 殿

平成15年度指定(平成16年度執行)補助災害第18537-008号15年災害復旧助成工事((山渋井 上部工))

福岡

金山頭首工自動堰扉体改修工事 島根 3.9m×0.8m×1門

2004年 徳島県 川島土木事務所 殿平成14年度統合一級河川整備事業江川堰設備製作据付工事

徳島 22.5m×2.4m×1門 米国式

米国式19.1m×1.3m×1門

HSR形式

14.5m×1.3m×2門 HSR形式2007年3月 鹿児島県 伊集院耕地事務所 殿県営農業用河川工作物応急対策事業宇都地区 18-2工区

鹿児島

22.0m×1.6m×2門 HSR形式2008年3月 島根県 県央県土整備事務所 殿平成18年度 ため池等整備事業(農業用河川工作物応急対策事業)和田地区 可動堰製作工事

島根

豊国工業株式会社2008年4月1日現在

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施工実施例(1)

扉体

上流側より 下流側より

空気袋

堰幅H=3.9m

スポイラ

堰高0.8m

金山堰:幅3.9m×高0.8m×1門

平成17年1月 竣工

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施工実施例(2)-1

宇都堰:幅14.5m×高1.3m×2門

平成19年6月 1門分据付完了

堰高0.8m

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施工実施例(2)-2

宇都堰 操作室内

市販のディーゼルエンジンコンプレッサを採用

堰高0.8m

宇都堰 ドライ状態での起立

ボックス状の補強縦桁を採用

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施工実施例(3)-1

堰高0.8m

和田堰 越流状態22mx1.6mx2径間

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おわりにハイブリッドゲート技術は約10年前から米国より導入され始めました。これに対し,弊社では,独自のコンセプトからハイブリッドゲートの開発をすすめ,HSRゲートを開発致しました。この結果, HSRゲートは,説明させていただいた,様々な特徴を持つハイブリッドゲートとすることができました。

また,開発の過程で,国内ゴムメーカと空気袋を共同開発して,純国産の製品とすることができました。

現在,公共工事等における新技術活用システム(NETIS)の試行申請型に登録させていただいております。事前審査では、実施に関し問題ないとの評価を頂きました。

HSRゲートは,まだ生まれたばかりの製品ですが,よい性質を備えており,今後,さらに品質向上を図る研究などをすすめ,より大きく育てていきたいと考えています。