human and engineered environmental studies2|人間環境学専攻....

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人間環境学専攻 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 http://www.h.k.u-tokyo.ac.jp Human and Engineered Environmental Studies 2017–2018

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Page 1: Human and Engineered Environmental Studies2|人間環境学専攻. ものづくりの新たな地平−その先の、未来を描け。 超高齢社会への対応、低炭素社会の実現。

人 間 環 境 学 専 攻東京大学大学院 新領域創成科学研究科

http://www.h.k.u-tokyo.ac.jp

Human and Engineered Environmental Studies

2017–2018

Page 2: Human and Engineered Environmental Studies2|人間環境学専攻. ものづくりの新たな地平−その先の、未来を描け。 超高齢社会への対応、低炭素社会の実現。

2|人間環境学専攻

ものづくりの新たな地平−その先の、未来を描け。超高齢社会への対応、低炭素社会の実現。

課題先進国ニッポンはいま、従来の学問の枠組だけでは解決が困難な、

複雑に絡み合うさまざまな問題と向き合っています。

人間環境学専攻は、環境学、情報学、工学を土台として、

ひとと環境をとりまく今日的課題の解決に寄与する

要素技術の研究開発とシステム設計に、日々取り組んでいます。

新領域創成科学研究科人間環境学専攻 専攻長

割澤 伸一

Page 3: Human and Engineered Environmental Studies2|人間環境学専攻. ものづくりの新たな地平−その先の、未来を描け。 超高齢社会への対応、低炭素社会の実現。

人間環境学専攻|3

 世界は、気候変動、食糧、エネルギー、環境、少子化、高齢化、セキュリティに関わる多くの課題を抱えています。

日本は、その中でも、国際的に先例のない課題に直面しています。健康で安全・安心かつ持続可能な社会を築いてい

くためには、独自の視点と革新的な技術によって課題を解決することが大切です。人間環境学専攻は、そのミッショ

ンを「低炭素社会の実現と超高齢社会の課題解決」と位置付けて、教育と研究を推進しています。

 先例のない課題解決には、特定の要素技術や基盤学理に立脚しながらも分野融合的あるいは学際的な取り組み方を

習得し実践する人材が求められます。人間環境学専攻が提供する教育カリキュラムは、このことを強く意識して設計

されています。具体的には、エネルギー工学、システム工学、スポーツ科学、メカトロニクス、センシング、情報通

信、計算工学など必要と考える要素科目を提供するとともに、皆さんがすでに学部で身につけたディシプリンとの融

合を図りながら、これらを組み合わせて課題解決を実践する演習を進めています。

 新領域創成科学研究科では、社会動態や環境の変化に応じた問題予測対応型のプロアクティブな人材育成や、海外

大学との連携推進プロジェクトによる人材交流に取り組んでいます。人間環境学専攻はこれらの中核的な役割を担っ

ていますので、このような先進的な取り組みを通して、自身の能力を試してみる機会も多くあると言えるでしょう。

 人間環境学専攻は、国内外の優秀な人材が集まり切磋琢磨する魅力的な教育研究の場を提供しています。ぜひ、そ

の扉を開いて飛び込んできてください。そして、ともに研鑽し世界に貢献して行きましょう。

ようこそ、人間環境学専攻へ

ものづくりの新たな地平−その先の、未来を描け。

Page 4: Human and Engineered Environmental Studies2|人間環境学専攻. ものづくりの新たな地平−その先の、未来を描け。 超高齢社会への対応、低炭素社会の実現。

4|人間環境学専攻

環境マネジメントプログラム(※)

サステイナビリティ論

環境プランニング基礎論

環境ビジネス論

環境経済学

環境システム学概論

自然環境学概論

社会文化環境学概論

持続可能な社会のビジネスと金融

プロジェクトマネジメント特論

 

人間環境学専攻

環境エネルギーシステム学特論

人間エネルギー環境基礎論

人間機能支援システム学

環境情報機器特論

最適システム設計論

環境メカトロニクス特論

人間人工環境特別講義Ⅰ・Ⅱ

生体医工学概論

適応生理科学特論

人工物工学特論

連続体振動論

環境アメニティ特論

生体信号計測・解析論

ニューロエンジニアリング

知識情報処理特論

人間環境情報ウェアラブルセンシング

低炭素工学システム学特論

環境シミュレーション学特論Ⅰ・II

カリキュラム

※環境マネジメントプログラム経済やビジネス、文化、社会などの多方面から、環境技術について研究するプログラムです。環境技術を総合的に学習、構想、開発し、技術移転、起業することに関心をもつ方を対象とし、環境学研究系の各専攻から横断的に選択することができます。環境問題の生じる構造や、その技術的、社会的解決方法の全体像を理解することにより、環境配慮型の社会の潤滑油になるさまざまな事業を発掘し、遂行できる能力を養成していきます。「環境プランナー」(環境プランニング学会 認定)の資格を取得できます。

■講義一覧

C U R R I C U L U M

生活支援工学特論

振動音響環境学

環境モニタリングデバイス特論

フレキシブルデバイス構成特論

人間環境学(基礎Ⅰ・Ⅱ、応用)

人間環境設計演習

 

 人間環境学専攻では、人間と人工物に対する幅広い知識をもち、環境を俯瞰することによって今日の社会が抱える様々な課題解決に対応できる人材の育成を目指します。 カリキュラムには、エネルギー工学、システム工学、スポーツ科学、メカトロニクス、センシング、情報通信、計算工学などの要素技術、基盤学理に立脚した多彩な講義を用意し、有機的に結びつく学理を追究します。

4|人間環境学専攻

イノベーションの源を築く多彩な講義。異なるディシプリンの融合が、未来への扉を開きます。

異なるディシプリンの融合

人間 環境

物流オンデマンドバス

物流オンデマンドバス

クラウドCAEクラウドCAE

QOL生活支援QOL生活支援

ウェアラブル情報機器ウェアラブル情報機器

野菜工場野菜工場水素社会水素社会

超高齢社会超高齢社会への対応への対応の実現の実現

低炭素社会低炭素社会 革新的ものづくり革新的ものづくり

地域連携/国際連携/産学連携地域連携/国際連携/産学連携

エネルギー工学

最適化

設計論

ヒューマン

インタフェース

メカトロニクス

シミュレーション

スポーツ科学

情報通信

Page 5: Human and Engineered Environmental Studies2|人間環境学専攻. ものづくりの新たな地平−その先の、未来を描け。 超高齢社会への対応、低炭素社会の実現。

人間環境学専攻|5

大学/研究機関/官公庁 

935

1249

22

12

24

%

電機/精密機器

自動車/機械

鉄鋼/材料/医薬/その他製造

建設/プラント運輸/エネルギー

情報/通信

コンサルティング

金融/その他サービス

例年、修士課程修了者は50人程度、博士課程修了者は10人程度です。修士課程修了者のうち1割程度が博士課程に進学するほか、その多くは、幅広い分野の機関、企業に就職しています。

〈業種別就職実績〉

研究一色の5年間。ここで学んだ経験のすべてが人生における大きな礎となっています。

在学中、研究員としてフランスに交換留学の機会にも恵まれ大きく成長しました。

近年の就職先の例 ▶

進路状況

電機・精密機器

ソニー/パナソニック/日立製作所/日立ハイテクノロジーズ/日立メディコ/ 日立アプライアンス/東芝/東芝メディカルシステムズ/三菱電機/NEC/住友電工/キヤノン/ニコン/オリンパス/富士通/ファナック/セイコーエプソン/富士ゼロックス/キーエンス/日本光電/東京精密/シーメンス・ジャパン/ABB/LGエレクトロニクス ほか

自動車・機械トヨタ自動車/デンソー/本田技研工業/マツダ/スズキ/ジヤトコ/三菱重工業/日本精工/ダイキン工業/ブリヂストン/IHI/コマツ/クボタ/牧野フライス製作所/アドヴィックス/ヤマザキマザック ほか

鉄鋼・材料・医薬・その他製造

JFEスチール/新日鉄住金/東レ/旭硝子/宇部興産/富士フイルム/ヒロハマ/大正製薬/和光純薬工業/富山小林製薬/ロシュ・ダイアグノスティックス/ヤマハ/パイロット/花王/ヤクルト ほか

建設・プラント日揮/千代田化工建設/東洋エンジニアリング/JFEエンジニアリング/日立プラントテクノロジー/三菱日立パワーシステムズ/日本海洋掘削/鹿島/日比谷アメニス/青木茂建築工房 ほか

運輸・エネルギーJR東日本/JR西日本/JR東海/西武鉄道/ANA/日本航空インターナショナル/日本郵船/東京電力/東北電力/九州電力/大阪ガス ほか

情報・通信

NTT東日本/NTTデータ/NTTドコモ/NTTコミュニケーションズ/NTT研究所/ソフトバンク/ヤフー/グーグル/サイバーエージェント/アクセス/日本IBM/日本アイビーエム・ソリューション・サービス/日本オラクル/日本SGI/パナソニック システムソリューションズ ジャパン/インプレスホールディングス/プロメティック・ソフトウェア/トレンドマイクロ/ガイアックス/ウィングル ほか

コンサルティング野村総合研究所/みずほ情報総研/JSOL/豊田中央研究所/アクセンチュア/アーサー・D・リトルジャパン/アビームコンサルティング/日本エル・シー・エー/日本経営 ほか

金融・その他サービス

日本生命保険/第一生命保険/三菱東京UFJ銀行/みずほ銀行/りそな銀行/ゆうちょ銀行/中央三井信託銀行/日興シティホールディングス/野村アセット・マネジメント/ゴ−ルドマン・サックス証券/JPモルガン証券/BNPパリバ証券/三菱商事/三井物産/住友商事/豊田通商/電通/博報堂/楽天/ディー・エヌ・エー/ベネッセコーポレーション/インテリジェンス/ボイジャー/ポケモン ほか

大学・研究機関・官公庁

東京大学/神戸大学/横浜国立大学/放送大学/神奈川工科大学/産業技術総合研究所/海陽学園/流通経済大学付属柏高校/UR都市機構/医薬品医療機器総合機構/日本体育協会/防衛装備庁/陸上自衛隊/福岡市役所/Bangladesh Atomic Energy Commission ほか

※所属等は取材当時のものです。

 現在、Yahoo! JAPAN 研究所で上席研究員として働いています。Yahoo! JAPANに蓄積されている膨大なデータを解析する「コンテキストアウェアネス」の研究に取り組んでいます。 大学院在籍中は、オンデマンドバスという新しい交通システムの開発と実証の研究をしていました。研究室にいる時はもちろん、趣味のランニング中も、就寝前も、ほぼ常にオンデマンドバスの事を考えている、研究一色の5年間でした。最適化や統計等の解析スキル、研究を自身で組み立て、実践し、さらに次へと発展させる一連の研究スキルについて様々な先生方から教授いただきました。「しっかりやりきった」製本された博士論文を見て、まずそう思いました。この5年間に学んだ経験すべてが私の人生における大きな礎となっています。 皆さん、ぜひご自身の研究に誇りと責任を持ち、研究活動に没頭してください。

 NTT研究所でIoT関連の研究に取り組んでいます。新しいセンシング技術、そしてAI、ビッグデータ処理による情報の価値化を目指し、日々励んでいます。 大学院在籍中は、製造業を対象とした巨大部品の複雑な三次元形状の計測と評価、加工手法の検討を行っていました。これまで、造船会社を対象として、レーザスキャナなどの三次元計測機器を利用した曲がり外板三次元形状の評価手法、そして三次元形状評価治具木型のバーチャル化による曲がり外板の加工方案生成システムを開発しました。研究員として半年間フランスに交換留学の機会にも恵まれました。 在学生の皆さん、進学を希望されている皆さん、大学院での数年間の経験は、今後のキャリアにとってきっと大事な糧になるでしょう。ぜひ研究活動に没頭し、成長の機会をつかんでください。

日本電信電話株式会社 (NTT)未来ねっと研究所 研究員

孫 晶鈺2008年 北京航空航天大学ソフトエンジニアリング学科卒業2013年 人間環境学専攻修士課程修了2014年 サンテティエンヌ・ジャン・モネ大学(仏)留学2016年 人間環境学専攻博士課程修了

Yahoo! JAPAN研究所 上席研究員

坪内 孝太2005年 東京大学工学部システム創成学科卒業2007年 人間環境学専攻修士課程修了2010年 人間環境学専攻博士課程修了

メか セッ ーのGB らOO ジ

C A R E E R O P T I O N S

人間環境学専攻|5

卒業生の多くが、日本をリードする企業や研究所で先導的な立場で活躍しています。

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6|人間環境学専攻

程があります。シミュレーションにおける計算

規模の大きさや連成現象の複雑さが課題となっ

ているのです。

 文部科学省では、平成32年までにスーパーコ

ンピュータ「京」の100倍以上の計算性能を有

する後継機ポスト「京」を開発するプロジェク

ト (フラッグシップ2020プロジェクト) が進め

られています (図1参照)。このプロジェクトで

は、日本が直面している社会的・科学的課題を

解決するため、高性能な計算機だけでなく、そ

れと協調的に動くアプリケーションソフトも開

発すること (Co-design) を目標としています。

平成26年12月、文部科学省は、重点的に取り

組むべき社会的・科学的課題を選定しました。

 我々は、文部科学省が選定した重点課題の一

つである「近未来型ものづくりを先導する革新

的設計・製造プロセスの開発」に参画していま

す。そして、製造業と密接に産学連携を行いな

がら、スーパーコンピュータ「京」で実績のあ

る並列構造解析ソフトウェア「FrontISTR (フ

ロントアイスター)」を基盤として、超並列有

限要素法シミュレータの開発を進めています。

FrontISTRは有限要素法のアプリケーションソ

フトであり、拡張性の高い並列計算基盤ライブ

ラリ上で実装されています。先進的な並列計算

機能を有する、可搬性の高いプログラムである

ため、非線形解析 (大変形・材料非線形・接触

問題の静解析・動解析、固有値解析、熱伝導

解析) を様々な計算環境 (PCやPCクラスタ、

スーパーコンピュータ) で実行できます (図2

と図3参照)。ポスト「京」で動く超並列有限

要素法シミュレータが完成すると、これまでで

は考えられない計算規模の複雑な連成現象を解

析できるようになります。我々は、このシミュ

レータを活用して、新材料利用や燃費向上な

どを促進させる「低環境負荷CAE」を実現し、

日本の国際競争力強化につなげたいと考えてい

ます。

図3 フィラー充填ゴムの大変形解析 (約2億自由度の計算結果)図2 電子基板の熱応力解析 (約75億自由度の計算結果)図1 スーパーコンピュータ「京」  (82,944個のCPU、1秒間に最大10の16乗回の計算が可能)

事例1●産学連携による超並列有限要素法シミュレータの開発

ポスト「京」で低環境負荷CAEを実現

 我が国では、製造業は高い国際競争力を持つ

産業分野であり、これまでの日本経済の成長を

支えてきました。日本の基幹産業である自動車

をはじめ、圧力容器、タービンなどの工業製品

の製造には、世界トップレベルの技術が用いら

れています。従来の製造業は「大量生産・大量

消費のものづくり」を掲げて、生産時間短縮や

コストダウンを目指していました。ところが、

90年代から地球温暖化をはじめ様々な環境問

題が取り上げられるようになりました。そこ

で、製造業は生産時間短縮やコストダウンだけ

でなく、環境負荷低減を意識するようになって

きました。すなわち、「大量生産・大量消費の

ものづくり」から「環境負荷を意識したものづ

くり」に移行してきたのです。

 ものづくり工程は設計・解析・加工・検査の

順に行われ、結果のフィードバックを繰り返す

ことで工業製品が製造されます。コンピュー

タを利用して製品の応力やひずみの分布をシ

ミュレーションすることによって、設計・解

析を支援することをCAE (Computer Aided

Engineering) といいます。今日のものづくり

においてCAEは不可欠です。しかし、製造業

には熟練工によるトライアル&エラーにまだま

だ頼っている、CAE が十分に適用できない工

複雑環境システムシミュレーション分野 奥田 洋司 教授、陳 昱 准教授、橋本 学 講師

社会実証実験を積み重ね、評価し、 課題の解決策を社会に示していく。

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人間環境学専攻|7

振り返り、日常生活の中でその効果を確認する

ポジティブなフィードバックができるサービス

(ウェアラブルヘルスケアプラットフォーム)

のあり方も追求しなければなりません(図5)。

そのために、引き続き、医工・産学連携の体制

をとって研究開発を進めています。

血圧計測システムです。心電センサの電極を胸

に装着し、脈波センサのクリップを耳たぶに装

着します。制御・表示用端末で計測の開始・終

了を行い、画面上で計測中の心電図、脈波、脈

拍数、そして血圧を確認できます。それぞれの

モジュールは無線で通信しているため日常行動

下においても邪魔にならないウェアラブルなデ

ザインになっています。

 血圧算出には脈波伝播速度法を拡張して、心

臓の収縮によって駆出された血液が体のある部

位に到達するまでの時間と血圧の関係を定式化

しました。図3に示すように心電のR波と脈波

のFootpointとの間の脈波伝播時間(PTT)を

連続計測します。これによって、収縮時血圧を

一拍毎に計算できるようになりました。図4は

開発したシステムで計測した結果の一例です。

トイレの直後に血圧が急激に低下する排尿後低

血圧や、食後に血圧が徐々に低下する食後低血

圧の症状が捉えられています。

 これらの成果は、我々工学系と東大病院との

間で進められ、ウェアラブルなシステムデザイ

ンにするために企業と連携しました。今後、シ

ステムの実用化に向けては、ハードウエア、ソ

フトウエアのブラッシュアップに加えて、健康

状態の変化を把握し、個人が自らの生活習慣を

 日本の医療費は39兆円を突破しています。

高齢者人口や生活習慣病患者の増加がその主因

となっています。生活習慣病としては高血圧、

肥満、糖尿病、脂質異常症が代表的です。いず

れも自覚症状がほとんとないままその症状が進

行するため、日頃の健康管理や予防医療が大切

です。

 我々の血圧を一日にわたって計測しますと、

図1に示すような血圧の超短期的な変動や日内

変動があるとされています。これらは血圧関連

疾患に関わる重要な症状と考えられています

が、病院や家庭での単回の血圧計測では把握す

ることはできません。血圧の超短期変動には連

続的な血圧計測が必要であり、血圧の日内変動

には長時間計測が必要です。医療現場で使用さ

れている自由行動下血圧測定装置(ABPM)は、

10〜30分程度の時間間隔で自動計測できます

が、超短期的な変動を捉えることは困難です。

また、ABPMでは上腕を圧迫するカフ方式が採

用されていて、これが負担となるという課題が

あります。

 そこで、研究室では、日常生活においてカフ

を必要とせずに連続的に血圧測定が可能なハー

ドウエアとソフトウエアを開発してきました。

 図2は、研究室で開発したウェアラブル連続

プロジェクト事例

P R O J E C T S

図5 ウェアラブルヘルスケアプラットフォーム

図1 一日の血圧変動の一例

図4 開発したシステムを用いた計測事例

図3 脈波伝播時間

図2 開発したウェアラブル連続血圧計測システム

事例2●ウェアラブルヘルスケアシステムの実現に向けた医工・産学連携

ウェアラブル連続血圧モニタリング人間環境情報学分野 割澤 伸一 教授

Page 8: Human and Engineered Environmental Studies2|人間環境学専攻. ものづくりの新たな地平−その先の、未来を描け。 超高齢社会への対応、低炭素社会の実現。

8|人間環境学専攻

研究室紹介人間環境学専攻の研究室では、随時、

見学や質問を受け付けています。

個別の研究内容の詳細に興味がある方は、

研究室ホームページをご参照のうえ、

各担当教員までお気軽にお問い合わせください。

奥田 洋司OKUDA Hiroshi •教授

1962年福井県生まれ。東京大学大学院工学系研究科原子力工学専攻博士課程修了、工学博士。ひと・社会・環境との関わりの中で人工物の価値を定量化する「人工物シミュレータ」を一緒に作ってみませんか? アイデアや作業の経過を緻密に記録できる人、楽観的な人が向いています。

 計算科学および先端IT技術を活用して、人間と環境の複雑問題にチャレンジしています。

 「マルチシナリオシミュレーション(MS)研究室」では、人工物の機能や導入評価シナリオ

を修正・再構築できるシミュレータの開発を目指しており、先進的スパコン上での実問題応

用シミュレーションによるグリーンイノベーション創出のために次の研究を進めています。

 ①環境エージェント設計と低炭素社会構築への応用 ②並列有限要素解析システムFront

ISTRの開発と産業応用 ③マルチフィジックス問題に対する数理手法の開発 ④次世代エ

クサスケール計算機システムに向けたHPC基盤

 「複雑系シミュレーション(CS)研究室」では、複雑系の離散ミクロモデルの構築および

それを用いたシミュレーションの研究を進めており、金融市場、コロイド、腫瘍の発生と

成長を複雑系の典型例として、3つの研究方向を設けています。

 ①マルチエージェント協調進化ゲームによる金融市場の解析 ②離散運動論モデルを用

いた複雑流体のシミュレーション ③セルベースがんのモデル化とシミュレーション

http://www.multi.k.u-tokyo.ac.jp、http://www.scslab.k.u-tokyo.ac.jp

Simulation of Complex Environmental Systems

先端Simulationで人間環境問題を解く複雑環境システムシミュレーション分野

MS研究室で開発されているマルチシナリオシミュレータ CS研究室で行われている複雑系のシミュレーション

陳  昱CHEN Yu • 准教授

1967年中国上海市生まれ。上海交通大学動力機械工学科卒業。東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻博士課程修了、博士(工学)。専門は複雑系のモデル化とシミュレーション。物理システムであれ人間社会システムであれ、複雑系のモデル化とシミュレーションの研究を一緒に楽しみましょう!

橋本  学HASHIMOTO Gaku • 講師

1978年三重県生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了、博士(工学)。専門分野は,計算力学、マルチフィジックス。HPC技術を駆使しながら情報・力学・社会のシステムをつなぎ、人間環境を予測できるシミュレーションモデルを一緒に創っていきましょう。これまでの分野の枠にとらわれない発想が大切です。

L A B O R A T O R I E S

Page 9: Human and Engineered Environmental Studies2|人間環境学専攻. ものづくりの新たな地平−その先の、未来を描け。 超高齢社会への対応、低炭素社会の実現。

人間環境学専攻|9

L A B O R A T O R I E S

酸素濃度を変えて運動できる環境シミュレータ室 等速性筋力測定

 超高齢社会における生活の質(Quality of Life; QOL)を向上させるうえで、個人が身体

を自由に活動させることの価値が高まっています。また、高齢者も受動的な福祉に甘んじ

ることなく、積極的な生き方や活動に取り組むことが求められるようになってきました。

そのためには、中高齢者の積極的な体力の維持増進が必要となります。そこで本分野では、

中高齢者それぞれの健康状態やライフスタイルを考慮しながら、安全かつ効果的で継続し

やすい運動の方法を研究開発することを目指し、以下の課題に取り組んでいます。

 ①運動に関わる身体機能の生理学的メカニズムの研究 ②筋・脳機能のメカニズムに基

づく新規運動・トレーニング方法の開発 ③呼吸循環機能のメカニズムに基づく新規運動・

トレーニング方法の開発(例えば低酸素・高酸素環境を応用したトレーニング方法)④健

康の維持増進のための栄養学的サポートシステム

http://webpark1277.sakura.ne.jp

石井 直方ISHII Naokata •教授

1955年東京都生まれ。東京大学理学部生物学科卒業、東京大学大学院理学系研究科修了、理学博士。専門は筋生理学、身体運動科学。これまで、力学的環境への筋の適応機構の解明と、その応用としての新たなトレーニング法の開発に携わってきました。筋に限らず、生命の基本的メカニズムの解明や、新規技術の開発につながる研究ができればと思っています。

福崎 千穂FUKUSAKI Chiho •准教授

1970年神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科身体教育学コース博士課程修了、博士(教育学)。東洋英和女学院大学助教授を経て現職。専門は運動生理学。高酸素や低酸素環境への生体応答の研究を行う傍ら、高齢者や身障者への水中運動を指導。運動や環境変化などの刺激を上手に用いながら、身体機能の維持向上を図る方法の開発を目指しています。

Sports Science for Health and Activity

人間の未知なる可能性を科学する健康スポーツ科学分野

割澤 伸一WARISAWA Shin'ichi •教授

1966年広島県生まれ。東京大学工学部機械工学科卒業、東京大学工学系研究科修了、博士(工学)。東京工業大学精密工学研究所助手、東京大学工学系研究科講師、准教授を経て現職。その間MIT客員研究員。専門は、ナノメカニクス、ナノ・マイクロ加工、生産システム、医療支援システム、生産文化。人を幸せにしようとする想いが社会貢献できる研究に結びつくと信じています。

福井 類FUKUI Rui •准教授

1979年東京都生まれ。東京大学工学部機械情報工学科卒業、同大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻修了、博士(情報理工学)。三菱重工業、東京大学知能機械情報学専攻助教、同機械工学専攻特任講師を経て現職。専門は、ロボット工学、知能センシングシステム。世の中にないモノを創り上げる喜びを、学生と共有していたいと思っています。

米谷 玲皇KOMETANI Reo •准教授

1981年兵庫県生まれ。姫路工業大学理学部物質科学科卒業。兵庫県立大学大学院物質理学研究科修了、博士(理学)。東京大学大学院工学系研究科助教、講師を経て現職。専門は、荷電粒子ビーム工学、ナノ・マイクロ加工、ナノ計測、ナノメカニクス、NEMS。「おもしろい!」と思う心を大切に、人の生活・社会を豊かにする新しい技術を生み出したいと思っています。

 生活環境や生産現場の革新に向けて、情報通信技術と融合したセンシング技術をいかに

活用するかが重要です。我々は、革新的なセンサベース情報ネットワークシステムのある

べき姿を提示して、安心・安全で快適な生活環境・生産現場の実現に貢献します。このた

め、モバイル情報端末やウェアラブルデバイスに組み込み可能な新しい検出原理のナノ・

マイクロセンシングデバイスの開発や、新しいセンシング技術を利用して人や環境を見守

る環境分散型のロボットシステムの開発を進めています。このように人の生活空間や生産

現場の中にさりげなく入り込み、人の活動データや環境データを取得・分析する研究に取

り組んでいます。

http://www.lhei.k.u-tokyo.ac.jp

Human and Environment Informatics

快適で安全安心な社会をセンサと情報技術で実現する人間環境情報学分野

ナノメカニカル振動子 家庭内物流支援ロボットシステム

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10|人間環境学専攻

L A B O R A T O R I E S

 本研究分野では、高齢化、個別化、高度技術化、グローバル化などの社会変化に合わせ

て変遷する人間の生活を、生活の質と人生の質の観点から捉え、生活に関連する全ての学

問の知見を統合し、新たな支援技術の開発・社会システムの構築・政策提言を行うことで、

学術の進展と社会への貢献を図ることを目的としています。

 研究内容は、支援技術に関する設計論、解析・モデリング、機器開発および支援機器のデ

ザインから高齢者のモビリティ、社会実装までを広範囲にカバーしています。人間の行動

や運動・認知・生理・心理特性の理解やヒューマンインタラクションの研究を通して、フィー

ルドベースの社会に役立つ実学の実践を目指しています。高齢社会総合研究機構コンソー

シアムやナショナルプロジェクト、ユーザグループ、企業とのコラボレーションを通して、

国内の生活支援工学分野の中核となる研究活動を行っています。また、アシスティブテク

ノロジーやジェロンテクノロジーを展開する研究機関と国際的な研究交流があります。

http://www.sl.t.u-tokyo.ac.jp

Assistive Technology

社会に役立つ実学の実践と科学的アプローチ生活支援工学分野鎌田  実KAMATA Minoru •教授

1959年神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科舶用機械工学専攻博士課程修了、工学博士。専門は、車両工学、福祉工学。人と機械、人と社会のかかわりについて興味を持っており、超高齢社会における課題を解決し、世界の模範となるような社会システム、生活環境などを工学的アプローチにより作り上げていくことを目指しています。

小竹 元基SHINO Motoki •准教授

1974年和歌山県生まれ。東京農工大学大学院工学研究科機械システム工学専攻博士課程修了、工学博士。専門は、機械力学、アシスティブテクノロジー。人間のもつ機能・能力・感性に基づくインターフェイスの高度化、ヒューマンインタラクティブな場面におけるエラー発生要因の解明に関する研究を行い、快適な生活・移動を可能とする機械設計、技術の確立を目指しています。

二瓶 美里NIHEI Misato •講師

宮城県生まれ。早稲田大学大学院生命理工学専攻博士課程修了、博士(工学)。国立障害者リハビリテーションセンター研究所等を経て現職。専門は、人間・生活支援工学、アクセシブルデザイン。真に人に有用な機器を提供するために、工学の枠組みを超えて、生活や人生そのもの、人と支援機器の関わりを様々な観点から紐解き、人や社会に役立つ支援システムを提案することを目指しています。 自動車安全関連 支援技術関連

太陽光コージェネレーション マイクロチャンネルエネルギー機器の開発

 オゾン層の破壊、PM2.5などの大気汚染、地球温暖化など地球規模の環境問題が顕在化

し、その解決に対して一刻の猶予も許されない状況となっています。環境問題を解決する

ためには、大量生産、大量消費社会からリサイクル社会への転換、エネルギー資源のさら

なる有効利用など、新しい技術イノベーションにより、これまでの社会を変革し、環境に

配慮した持続的発展が可能な社会を形成する必要があります。

 本分野では、環境に調和し人間の快適性も損なわないエネルギーの利用技術を創造する

ことを目指し、身近な空調技術に注目して機械要素技術研究からエネルギーシステム全体

の研究に至るまで、エネルギー利用技術について総合的に研究を行っています。 

 ①太陽エネルギーを利用した空調システム ②潜熱処理と顕熱処理を分離した空調シス

テム ③低温室効果(GWP)冷媒ヒートポンプ ④マイクロチャンネルを利用した高性能小

型熱交換器 ⑤吸湿性に優れたデシカント材料の研究

http://www.hee.k.u-tokyo.ac.jp

Energy Environment

環境に調和したエネルギー技術を創造する人間エネルギー環境学分野

党  超鋲DANG Chaobin •准教授

1973年中国四川省生まれ。中国北京航空航天大学飛行機設計および応用力学学科卒業。東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻博士課程修了、博士(工学)。専門は熱工学、冷凍工学。再生可能エネルギーの使用拡大のための太陽エネルギー、自動車エンジン排熱などの有効利用と、次世代高効率、低環境負荷空調機及びマイクロチャンネルエネルギー機器の開発に取り組んでいます。

飛原 英治HIHARA Eiji •教授

1954年広島県生まれ。東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻博士課程修了、工学博士。専門はエネルギー環境学。温暖化防止のためには、民生部門のベストミックスエネルギーシステムの導入や環境負荷の小さい冷凍空調システムの普及が重要です。ノンフロン化などの革新的冷凍空調技術に関する基盤技術の確立により、持続的社会の実現を目指しています。

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人間環境学専攻|11

L A B O R A T O R I E S

潜熱蓄熱システムの開発(速度場・温度場の可視化計測結果)

速度場・温度場の可視化計測のための機能性トレーサー粒子の開発

 低環境負荷で持続的な社会システム実現に資するため、熱流体の計測技術とシミュレー

ション技術の開発、これら最先端技術を用いた熱流体システムの基礎研究およびこれらの

技術を社会に繋げるための応用研究に取り組んでいます。(独)産業技術総合研究所と協力

し、開発が急務とされている高効率な自然エネルギー利用や省エネルギーシステムなど、

低炭素社会実現を目指したグリーンイノベーションを推進します。

 見えないものを「視える化」して未知の現象を解明し、高効率熱エネルギー機器開発に

繋げます。例えば、未利用熱有効利用のための蓄熱・熱輸送システムの開発などを通じて、

将来を見据えた低炭素社会システムの探求を行います。

 ①熱流体の可視化計測技術とシミュレーション技術の開発およびこれらを用いた高効率

熱流体システム開発 ②未利用熱有効利用のための蓄熱・熱輸送システム開発 ③燃料電

池システム開発

http://lcs.k.u-tokyo.ac.jp

Green Energy Innovation

革新的な低炭素社会システムの創発低炭素工学システム学講座宗像 鉄雄MUNAKATA Tetsuo •客員教授

1961年福島県生まれ。豊橋技術科学大学工学部エネルギー工学課程卒業、東京大学大学院工学系研究科舶用機械工学専攻博士課程修了、工学博士。専門は伝熱工学。新エネ・省エネの機器やプロセスにおける熱・物質移動現象の解明と制御を通し、低炭素社会構築に向けた次世代型エネルギーシステムの開発を目指しています。

染矢  聡SOMEYA Satoshi •客員准教授

1971年山口県生まれ。東京大学工学部原子力工学科卒業、同大学院工学系研究科システム量子工学専攻博士課程修了、博士(工学)。専門は流れの可視化、熱工学、流体工学。「見えないものを視る」ことで現象を発見・解明し、エネルギー機器の省エネ・高効率化を進めます。

需要家機器を制御して電力系統の運用を安定化させる仕組みを考える 空調機を用いたスマートグリッドの階層制御構造

 地球温暖化の防止は、単一の技術を開発し普及することによって実現することは不可能

です。環境負荷の小さいエネルギー生産技術、使いやすく効率的なエネルギー利用技術、

低炭素社会へ誘導する社会システムの構築、国際的視野からの環境政策など多面的な取り

組みを強化する必要があります。一般財団法人電力中央研究所との本連携講座では、低炭

素社会を実現するために社会システムを変革し、エネルギーセキュリティと環境保全を両

立させる技術をグローバルな視点から研究し、グローバルに活躍することのできる人材を

養成することを目的とします。

 本講座の学生は、技術と社会経済の双方に関心があり、電力システム、経済学、制御工学、熱

力学の基礎知識を習得し、次世代エネルギーシステムを対象とする以下の研究に従事します。

 ●太陽光発電や風力発電の大量普及時の需要調整メカニズムの設計 ●蓄エネルギー機

能とスマート機器の制御 ●最適電源構成モデルによる需要マネジメントの経済性評価

http://www.ges.k.u-tokyo.ac.jp

浅野 浩志ASANO Hiroshi • 客員教授

1960年岐阜県生まれ。東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻修士課程修了、博士(工学)。専門はエネルギーシステム工学。技術と経済の両面から次世代エネルギーシステムの在り方とその実現方法を研究し、グローバルな問題の解決に資する人を輩出していきたいと考えています。

坂東  茂BANDO Shigeru • 客員准教授

1976年奈良県生まれ。 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻博士課程修了、博士(環境学)。 専門はエネルギーシステム工学。当研究室ではいわゆるスマートグリッドに関する研究を展開しています。需要サイドのスマート化が、巨大な電力系統にどのように貢献できるのか、一緒に探求しませんか?

Global Energy Systems

次世代エネルギーシステムを創造するグローバルエネルギー工学講座

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12|人間環境学専攻

L A B O R A T O R I E S

 現代社会は、高度情報通信社会であり計算機ネットワークの上に活動の主体が分散し協

調する時代です。新しい情報基盤の有効な活用によって、既存の産業を改変し、また従来

にない産業を創出するための検討を行うのが産業環境学です。

 具体的には、製品のメンテナンス・ライフサイクルを考慮した情報プラットフォームの開

発、先端的センサによる製品計測に基づくプロセス改善、物流シミュレーションに基づく

輸送機関設計、知識システムによる設計支援、オンデマンドバスの開発といった研究テー

マに取り組んでいます。また、産業環境学は本質的に学問の融合です。例えば工学と情報

技術、経済と経営、情報技術と文学、産業個別の知識など、従来別々に研究教育されてき

たものを統合し産業環境学として体系づけること自体も重要な研究課題と考えています。

http://www.nakl.t.u-tokyo.ac.jp

柏にて実証実験中のオンデマンドバス

稗方 和夫HIEKATA Kazuo •准教授

1974年神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科環境海洋工学専攻修士課程修了、博士(工学)。日本IBM、東京大学大学院工学系研究科助教を経て現職。専門は設計工学、情報システム。産業現場における先端的な情報技術の活用を支援しています。情報システムを開発し、情報システムから得られるデータにより産業環境を改善する方法論の構築を目指します。

Industrial Information Systems

IT による新産業の創出を目指す産業環境学分野

開発したオープンソースソフトウェア“ShareFast”

動物用の無線センサ 大面積デバイス集積化技術

 N/MEMS(Nano/Micro Electro Mechanical Systems)の実装・集積化技術をベース

に、人を支援する機器ならびに、生活環境、製造現場、社会インフラ等、あらゆる人をと

りまく環境の時々刻々の稼働状態を認識するセンシング技術の研究開発を行っていきます。

そして、これらのセンシング技術の社会実装を図るため、フィールド実験を積極的に行っ

ていきたいと考えています。

 以下は研究テーマの一例です。

 ●畜産動物や伴侶動物の健康をモニタリングするための超小型高感度MEMSセンサ開発

と無線センサネットワークシステムの開発 ●産業インフラ機器を状態ベースメンテナン

スするための無線センサネットワークシステムの開発 ●橋梁などの社会インフラの健全

性をモニタリングするための高感度ひずみセンシングシートの開発 ●繊維状基材微細加

工・集積化技術によるウェアラブルセンサテキスタイルの開発

http://www.hem.k.u-tokyo.ac.jp

Human Environment Monitoring

N/MEMSを散蒔いて人間環境を見守る人間環境モニタリング分野伊藤 寿浩ITOH Toshihiro •教授

1965年岐阜県生まれ。東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻博士課程修了。東京大学先端科学技術研究センター、産業技術総合研究所等を経て現職。博士(工学)。専門は、ネットワークMEMS(無線センサ)、大面積デバイス製造技術。研究は問題意識や課題設定が大事だと考えています。まずは、自分たちが本気で取り組める課題を一緒に見つけて行きましょう。

高松 誠一TAKAMATSU Seiichi •准教授

1979年広島県生まれ。東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻博士課程修了。産業技術総合研究所等を経て現職。博士(情報理工学)。専門は、有機MEMS、電子テキスタイル製造技術。人や社会が抱える課題を、衣服やカーペットや壁紙など部屋中にセンサを組み込むことで解決することを目指しています。新しいセンサシステムを一緒に作ってみませんか。

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人間環境学専攻|13

L A B O R A T O R I E S

10MHz 10MHz

ジャイロ型発電機 人体を伝送路とする通信システム

 情報通信、センシング、メカトロニクスを基盤技術として、ユビキタス情報機器を用い

た環境情報ネットワークの構築を進めています。デバイスを極限まで小型化するとともに、

入力情報を多様化して、あらゆる自然、人間、人工物に装着することを狙っています。端

末は、センサ、エネルギー源、CPU、無線デバイスからなり、自然界の情報をネットワー

クに取り込むための最小機能をもった素子です。当研究室の学生は、ダイナミクス、メカ

トロニクス、生体計測、情報処理などの基礎知識の習得と、以下の研究に従事します。

 ●形状記憶圧電アクチュエータ ●人体を信号伝送路とするワイヤレスPersonal Area

Network ●人体および自然物の微小振動を電気エネルギーに変換するマイクロ発電 ●

バーチャルリアリティ機器を利用したスイッチ操作感覚の設計と評価 ●自動車運転中の

無拘束心拍周期計測 ●モバイル通信網を用いる位置探査と位置データマイニング ●環

境にやさしい非鉛圧電材料

http://www.ems.k.u-tokyo.ac.jp

保坂  寛HOSAKA Hiroshi • 教授

1956年東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻修士課程修了。電電公社(現NTT)を経て現職。博士(工学)。専門は機械力学、センサネットワーク。未来の機械は周囲情報を収集し、人と環境に自らを適合させます。私たちは、力学、統計、アルゴリズムを武器にこれを実現します。

佐々木 健SASAKI Ken • 教授

1957年神奈川県生まれ。東京大学工学系研究科精密機械工学専攻修士課程修了。日本電気(株)等を経て現職。博士(工学)。専門はメカトロニクス、信号処理。技術は人類の生存と繁栄のための知識体系です。知的探求心とともに生活感覚や遊び心も大切にしたいと思います。

森田  剛MORITA Takeshi • 准教授

1970年埼玉県生まれ。東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻博士後期課程修了、博士(工学)。理化学研究所、スイス連邦工科大学、東北大学を経て現職。専門は強誘電体応用デバイス。本気で楽しむ。これってけっこう難しいことです。充実した学生生活を楽しめるように一緒に頑張りましょう。

Environmental Information Microsystems

情報センシングのためのメカトロニクスとダイナミクス環境情報マイクロシステム学分野

 アメニティ科学分野では、MEMS技術やメカトロニクス技術を基盤技術として下記分野

の研究を行っています。

 ①微小流体デバイス応用 ②Lab on a Chipデバイス ③農業用デバイス

 具体的なテーマは以下となります。

 ●新しいフラットパネルディスプレイを目指した電子ペーパーの研究 ●食品、医療応

用ならびに土壌環境浄化のための機能性マイクロカプセル生成法に関する研究 ●食品工

場、植物工場における生菌数計測などの環境計測デバイス ●農作物のヘルスケア管理を

行うためのオンサイトヘルスケアデバイス ●拡散係数などの食品物性計測用デバイス

●デジタルフルイディクス関連デバイス

 これらの研究を通じて、サステナビリティ、QOL向上を図ることを目指し、人に優しい

デバイス技術の開発を行っています。

http://www.dt.k.u-tokyo.ac.jp

鳥居  徹TORII Toru •教授

1955年東京都生まれ。東京大学農学部農業工学科卒業、同大学院工学系研究科産業機械工学修士課程修了。自動車メーカ、農学系助手などを経て現職。博士(農学)。専門は微小流体素子を中心としたMEMSデバイス。本研究分野では、工学と農学との融合をもとに人と環境に優しいデバイス技術の開発を目指しています。

Environmental Amenities

人に優しいデバイス技術の開発アメニティ科学分野

機能性マイクロカプセルに関する研究 電子ペーパーに関する研究

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14|人間環境学専攻

生活支援工学分野

アメニティ科学分野

人間環境情報学分野

人間エネルギー環境学分野

複雑環境システムシミュレーション分野

環境情報マイクロシステム学分野

健康スポーツ科学分野

グローバルエネルギー工学講座

低炭素工学システム学講座

P.10

P.13

P.9

P.10

P.8

P.13

P.9

P.11

P.11

人間環境モニタリング分野 P.12

人間環境学専攻

東京大学大学院

新領域創成科学

研究科

環境学研究系

基盤科学研究系

研究科附属施設

物質系専攻

先端エネルギー工学専攻

複雑理工学専攻

基盤情報学専攻

自然環境学専攻

海洋技術環境学専攻

環境システム学専攻

国際協力学専攻

社会文化環境学専攻

サステイナビリティ学教育プログラム

バイオイメージングセンター

ファンクショナルプロテオミクスセンター

革新複合材学術研究センター

オーミクス情報センター

生涯スポーツ健康科学研究センター

生命科学研究系先端生命科学専攻

メディカル情報生命専攻

産業環境学分野 P.12

鎌田 実/教授、小竹 元基/准教授、二瓶 美里/講師

鳥居 徹/教授

割澤 伸一/教授、福井 類/准教授

飛原 英治/教授、党 超鋲/准教授

伊藤 寿浩/教授、高松 誠一/准教授

奥田 洋司/教授、陳 昱/准教授、橋本 学/講師

保坂 寛/教授、佐々木 健/教授、森田 剛/准教授

石井 直方/教授、福崎 千穂/准教授

浅野 浩志/客員教授、坂東 茂/客員准教授

宗像 鉄雄/客員教授、染矢 聡/客員准教授

稗方 和夫/准教授

■組織

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人間環境学専攻|15

国 道 6 号( 水 戸 街 道 )

国道16号

常 磐 自 動 車 道

至 秋葉原 つくばエクスプレス

10分

8分

柏キャンパス

柏の葉キャンパス駅

10 分

8分

18分

3分

49分

5分

南流山駅

西船橋駅

船橋駅

京成船橋駅

成田空港から

秋葉原駅

浜松町駅

羽田空港から

東武バス西柏10(江戸川台駅東口行)

「東大前」「東大西」下車

東武バス西柏03(流山おおたかの森駅東口行)又は

(江戸川台駅東口行)「東大前」「東大西」下車

つくば

エクスプレス

JR

武蔵野線

JR

総武線

徒歩

京成本線特急

つくばエクスプレス

JR山手線

内回り

東京

モノレール

33 分

7分

30分30分

25分

柏キャンパス

J R 柏 駅 西 口

JR山手線

内回り

東京

モノレール

東武バス西柏01(柏の葉公園経由国立がん研究センター行)

「東大前」「東大西」下車

徒歩

東武アーバン

パークライン

京成本線特急

JR常磐線快速

29分

49分

5分

浜松町駅

船橋駅

京成船橋駅

成田空港から

上野駅

羽田空港から

29分

柏 I.C.

JR常磐線J R 柏 駅

至 水戸

至 東京

至 上野至 船橋

西口

国立がん研究センター

十余二工業団地

柏の葉公園

江戸川台駅

流山おおたかの森駅 柏の葉

キャンパス駅

柏たなか駅

至 つくば柏キャンパス

東武アーバンパークライ

ン 

柏キャンパスへのアクセス:

つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」 よりバス約10分、「東大前」「東大西」下車

又は JR常磐線「柏駅」 よりバス約25分、「東大前」「東大西」下車

物性研究所本館新領域基盤棟

守衛所

東大前正門

東大前

物性研究所研究実験棟

宇宙線研究所

生協柏店・カフェテリア

国立がん研究センター

情報生命科学実験棟

総合研究棟新領域生命棟

大気海洋研究所

海洋観測機器棟新領域基盤科学実験棟

柏図書館

食堂 ( プラザ・憩い )

東大西

東大西 柏の葉公園北

柏の葉公園北

駐車場駐車場

新領域事務室 (1階 )

東京大学柏キャンパス

新領域環境棟

■交通案内

■入試に関するお問い合わせ先

東京大学大学院新領域創成科学研究科 人間環境学専攻事務室

〒277-8563 千葉県柏市柏の葉5-1-5 東京大学柏キャンパス新領域環境棟2階

TEL:04-7136-5541 FAX:04-7136-4602 Eメール:

(受付時間:土・日・祝日を除く10:00〜12:00、13:00〜16:30)

ホームページ http://www.h.k.u-tokyo.ac.jp

入試に関する情報の詳細は、大学院募集要項および入試案内書をご参照ください。これらの書類の入手方法や、入試説明会の詳しい開催日程につ

いては、東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻ホームページ(http://www.h.k.u-tokyo.ac.jp/)で、最新情報をご案内しています。

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東京大学大学院新領域創成科学研究科 人間環境学専攻事務室〒277-8563 千葉県柏市柏の葉5-1-5 東京大学柏キャンパス新領域環境棟2階TEL:04-7136-5541 FAX:04-7136-4602 Eメール:

(受付時間:土・日・祝日を除く10:00〜12:00、13:00〜16:30)

http://www.h.k.u-tokyo.ac.jp2017.04

Department of Human and Engineered Environmental Studies,Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo

人 間 環 境 学 専 攻東京大学大学院 新領域創成科学研究科