hypothermia against stroke

内在性神経細胞保護機構を活用した虚血脳保護戦略の展望

脳梗塞に対する脳低温療法の作用機序と臨床応用

新潟大学脳研究所神経内科下畑享良，西澤正豊

脳低温療法の適応

動物モデルから見た作用機序

ヒト脳梗塞に有効か？

概　略

概　略


1. 脳低温療法の対象疾患

2. 脳虚血に対するエビデンス

28 29 30 31 32 33 34 35 36 37℃

28-32℃

Moderate

33-36℃

Mild

脳低温療法の分類

全脳虚血局所虚血（脳梗塞）

脳低温療法の対象疾患

×

全脳虚血局所虚血（脳梗塞）

脳低温療法の対象疾患

RCT；心停止後　 NEJM 2002

新生児仮死　Lancet 2005

NEJM2005

なし

脳梗塞で行われない理由

安全性

副作用感染症，不整脈血小板減少等

利便性

大掛かり全身麻酔

人工呼吸器管理

Protocol ？

至適温度Time window持続時間

↓動物モデル

小括１



ヒト脳梗塞に有効か？

概　略

Prof. Gary K Steinberg

Prof. Zhao Heng

Stanford university 　 2004~2006

動物モデルとヒト脳梗塞の違い

虚血・再灌流モデル

100% 再開通

実際の臨床では・・・

動物モデルとヒト脳梗塞の違い

Suture modelは適切か？　

Neurology 71, 1304–1312, 2008.

再開通再開通せず

部分的再開通

tPA静注後転帰38%

29%

32%

ヒト脳梗塞に似た動物モデル

部分的再開通モデル

総頸動脈閉塞CCAo 1h

24 h 48 h

中大脳動脈遠位閉塞distal MCAo

Zhao H et al. J Neurosci 25; 9794-9806, 2005

30℃

強力な脳低温療法（ 24h後）

30℃37℃Zhao H et al. J Neurosci 25; 9794-9806, 2005

強力な脳低温療法（ 24h後）

80%減



長期的効果（２週後）

Intraischemic hypothemiaのメカニズム

PI3K/Akt活性化

PKC活性化

PKC抑制

生存シグナル抗アポトーシス作用

アポトーシス促進

Zhao H et al. J Neurosci 25; 9794-9806, 2005Shimohata T et al. Stroke 38; 375-380, 2007Shimohata T et al. JCBFM 27; 1463-1475, 2007

多彩な内在性脳保護機構

Yenari M et al. Nat Rev Neurosci 13; 267-278, 2012

小括２

30℃ 　 Intra-ischemic！

総頸動脈閉塞CCAo 1h

24 h 48 h

中大脳動脈遠位閉塞distal MCAo

脳低温療法は部分再開通モデルでも有効

実際の臨床でありえない！


概　略

臨床応用のため検討すべきこと

至適温度持続時間 Time window

Intra-ischemic 30℃(Moderate)

Intra-ischemic 33℃(Mild)

Post-ischemic 30℃(Moderate)

至適温度と開始時間

33℃に上げるとどうか？

Zhao H et al. J Neurosurg 107; 636-641, 2007

4h

2h CCAo 48h

1. 37℃

2. 33℃3. 30℃

distal MCAo


至適温度

37℃ 33℃ 30℃


至適温度

80

60

40

20

037/37 33/33 30/30

P<0.01 P<0.05

P<0.001

梗塞サイズ（

半

球％）

33℃有効！

至適温度


2h 2h

2h CCAo 48h

2. 33 373. 37 33

5. 30 37

distal MCAo

1. 37 37

4. 33 33

6. 30 30

Intra-ischemicPost-ischemic

持続時間（ 2h vs 4h）


至適温度

80

60

40

20

037/37 33/37 37/33 33/33 30/37 30/30

33℃では 4時間行わないと無効

30℃では上乗せ効果なし延長効果も限度あり

Intra 2hPost 2h

4h

Intra 2h 4h

開始時間（ Time window）

Lee SM et al. JCBFM 29; 1589-1600, 2009

Delayed hypothermia


Normo Intra Immediate Delayed

梗塞サイ

ズ

(cm3)

35

30

25

20

15

10

5

0

わずか 30分の　違いで効果消失


• Time windowは非常に短い• 持続時間をさらに伸ばせばどうか？• Time windowは非常に短い• 持続時間をさらに伸ばせばどうか？

持続時間　 (1)

90 m

1h

33℃, 24h 35℃, 24h

１ヶ月

90 m １ヶ月

Colbourne F et al. JCBFM 20; 1702-1708, 2000

虚血・再灌流モデル

持続時間　 (1)

梗塞サイ

ズ

(mm3)

normothermia hypothermia

1h12h

24h

48h

Clark DL et al. Exp Neurol 212; 386-392, 2008

持続時間　 (2)

永久閉塞モデル

持続時間　 (2)

Clark DL et al. Exp Neurol 212; 386-392, 2008

Normo 12h 24h 48h

200

150

100

50

0

梗塞サイ

ズ

(mm3)

* *

長時間望ましい（上限は不明）

基礎研究から臨床へ

至適温度持続時間Time window

33℃でも有効持続時間に依存

非常に狭い持続時間に依存

長時間が望ましい合併症を考慮

再灌流の有無を考慮する再灌流の有無を考慮する

結　論

脳梗塞に対する脳低温療法は有効かもしれない

動物モデルを参考にしたプロトコール

利便性・安全性の追求

hypothermia against stroke

Health & Medicine