(1) 令和元年(2019年)5月10日 友 愛 第558・559合併号 · 2019. 5. 28. ·...

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(1)    令和元年(2019年)5月10日 友   愛 第558・559合併号 使 宿 宿 使 宿 使 調

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Page 1: (1) 令和元年(2019年)5月10日 友 愛 第558・559合併号 · 2019. 5. 28. · (1) 令和元年(2019年)5月10日 友 愛 第558・559合併号 元 号 が 令

 (1)    令和元年(2019年)5月10日 友   愛 第558・559合併号

 元号が令和と改まるのに合わせるように、一般財団法人友愛

は公益財団法人友愛と衣替えをすることになった。公益法人化

に当たり、人知れぬ苦労と並々ならぬ執念を燃やした事務局長

始め、ご指導ご協力してくださった多くの方々に感謝を申し上

げたい。

 元々「友愛の理念」を国内外に広めて行くこと自体、公益性

のある事業と理解していたが、内閣府公益認定等委員会では、

今までみなさまに最も親しみをもってお使いいただいていた軽

井沢友愛山荘事業は公益事業と見なされず、やむなく事業継続

を断念せざるを得なくなったのは、実に残念ではある。

 しかしながら、軽井沢友愛山荘は、かつて鳩山一郎が青年た

ちへの友愛理念の啓発のために、裏磐梯、尾道、朝里川温泉な

どとともに建てたユースホステルを時代に合わせて改築したも

のであり、軽井沢は友愛理念の源流としてもまさに「友愛」ゆ

かりの地であるだけに、簡単に事業を終わらせる訳にはいかな

かった。そこで、苦肉の策として、新会社「友愛山荘㈱」を設

立し、友愛山荘の運営が継続できるよう手筈を整えた。公益財

団法人友愛の事業からは切り離されても、山荘運営は継続させ

ていくことが可能になった。したがって、今後も今まで同様、

一般の方々に広く宿泊していただくことができる。宿泊の目的

も自由になるので、研修に最良の「友愛ホール」を活用して、

多くの方にご利用いただきたいと考えている。

 このような犠牲を払ってまでも、「友愛」を公益法人化したの

は、ひとえに友愛活動を広め、「友愛」を末永く続けていきたい

が故である。

 友愛の理念を世界に広め、永続させていくためには、やはり

資金が必要で、現在のようにごく少人数の寄付に依存している

のでは心許ない。ところが公益財団法人になると、私の政権時

代にNPO法人や公益法人などを支援するために導入した税額

控除という寄付の優遇税制を活用できることになる。大まかに

言うと、寄付をした分、所得控除が受けられ納める税金が減る

というシステムである。更に友愛が多くの方に支援されれば、

寄付金額減税の処遇も受けることができる。国や自治体に納め

る税金は、自分の思う通りの使い道を決めることはできない。

そこで納めるべき税金の一部を世界平和目的に活動する「友愛」

に寄付し、自分も世界平和実現に貢献したと多くの方々に感じ

ていただきたいのである。否、そのように皆様に思っていただ

ける「友愛」に育て上げて行きたいと思っているし、育てなけ

ればいけないのである。

 さてその世界平和であるが、友愛とは程遠く、世界で争いが

絶えることが無い。この度はスリランカでテロが起き、多くの

命が奪われるという悲惨な事件が起きた。昨年私がスリランカ

を訪問した際に宿泊したホテルでも、日本人女性が亡くなって

いる。亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りする次第だ。

 かつて、やんごとなき方から、自爆テロが横行しているが、

死んで天国に行かれると信じている人に、どうしたら行為を思

いとどまらせることができるかとご下問されたことがあったこ

とを思い出した。そのとき私は返答に窮して、貧困などの紛争

の原因を取り除くことが大事なのではないでしょうかと答えた

ように記憶している。確かに紛争の原因を取り除くことができ

れば、戦争は減るには違いない。

 ガルトゥング博士は積極的平和主義を唱えておられるが、そ

の意味するところは、ただ戦争がない状態が平和なのではな

く、貧困、差別、虐待などの紛争の原因を取り除くことの必要

性を述べている。ある国の指導者は、平和を創り出すために武

力の行使をすることが積極的平和主義と述べているが、全く筋

違いである。ただ、イスラム過激派は必ずしも貧しい家庭とは

限らず、裕福な家庭からも多いと聞いている。とすれば、彼ら

の心の中の意識を変えるしかない。いかにしてという問題は残

るが、世界に友愛思想を広めて行くことが急務と感じている。

 四月下旬の四日間、北京で一帯一路フォーラムが開催され、

一帯一路の研究ネットを作る目的の会議に出席してきたが、ス

リランカの事件直後のこともあり、極めて厳しいチェック態勢

であった。その開会式で私は、一帯一路構想を友愛の心で推進

してほしいことを主張した。

 昨年の十二月に習近平主席に対して五分間スピーチをする機

会を与えられた。そこで私は論語にある「仁」と「恕」の理念

が友愛の理念に近いと申し上げ、友愛の精神で一帯一路構想を

推進して行ってほしいと述べた。習主席は応えて、論語を引用

して「恕」とは「己の欲せざるところ、人に施すなかれ」だ、

その精神で一帯一路構想を推進すると述べられた。

 私はこのエピソードを開会式で披露したのである。一帯一路

の議論となると、途上国のインフラを整備して繁栄をもたらす

ことに終始しがちであるが、私はその先に友愛の理念に基づく

連結性と包摂性によって、地域の平和を導くことが一帯一路構

想の目的でなければならないことを強調させていただいたので

ある。

 その夜、習近平主席ご夫妻が主催される一帯一路フォーラム

の夕食懇親会が開催された。八〇〇名を超すと思われるごった

返しの会場に入ってこられた習主席が、私を見つけて歩み寄っ

てこられて最初に握手をしてくださったとき、一帯一路構想が

友愛の理念で進められていくことを確信した。

友愛理念を世界に発信する 理事長 鳩山由紀夫

公益財団法人

     友愛 始動

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 令和元年(2019年)5月10日 友   愛 第558・559合併号 (2) 

新しい「友愛」によせ

新しい「友愛」によせてて

歴史と未来・五名の理事が寄

歴史と未来・五名の理事が寄稿稿

すべては時代とともに変化する

~友愛の新たなスタートを祝す~

常務理事 川手 正一郎

に行う公益を目的とする事

業の実施が公益の増進のた

めに重要となっていること

にかんがみ、当該事業を適

正に実施し得る公益法人を

認定する制度を設けるとと

もに、公益法人による当該

事業の適正な実施を確保す

るための措置等を定め、も

って公益の増進及び活力あ

る社会の実現に資すること

を目的とする。」とありま

す。同法第4条に「公益目

的事業を行う一般社団法人

又は一般財団法人は、行政

庁の認定を受けることがで

きる。」とあり、公益認定の

基準として、第5条で十八

の項目を挙げています。例

えば、第一項で「公益目的

事業を行うことを主たる目

的とするものであるこ

と。」、第二項で「公益目的

事業を行うのに必要な経理

的基礎及び技術的能力を有

する者であること。」、第三

項で「その事業を行うに当

たり、社員、評議員、理事、

監事、使用人その他の政令

で定める当該法人の関係者

に対し特別の利益を与えな

いものであること。」とあり

ます。

 公益とは、「広く益するこ

と。社会一般に利益を与え

ること」(広辞苑)と定義さ

れています。今後、公益財

団法人「友愛」は、社会に

有益である活動を常に意識

しながら活動していくこと

が求められます。また、そ

の運営を担う、理事、監事、

事務局の者は、活動を支え

る専門性を必要とされ、特

に経理の基礎を踏まえて活

動をすること、活動をする

にあたる関係諸機関との連

絡、調整の技術的な能力が

いての警鐘を鳴らしている

気がします。

 地球人のだれもが世界平

和を望んでいます。原子爆

弾の被爆国である私たち

は、相互尊重・相互理解・

相互扶助の友愛三原則を世

界に広め、軍拡の愚を宣伝

し、自然とともに生きる大

切さを強調し、格差や差別

を是正して新しい価値観を

創造することができる民族

であると思います。

 昨年、ミャンマー農業研

修生とともに広島平和記念

資料館に訪問し、資料館の

見学、献花と原爆体験者の

貴重な体験談を聞く機会を

いただきました。平和記念

資料館には年間約百七〇万

人の方が訪れ、そのうち約

四〇万人が外国人だそうで

す。二〇一六年にオバマ大

統領が訪問されてから一段

と入場者数が増えたそうで

すが、私たちも世界の人々

に戦争の悲惨さ、平和の尊

さを訴えていくべきと思い

ました。私たちは、友愛の

理想や思想が現実のものと

なるように、一人でも多く

の仲間を増やし、多くの方

に友愛を理解・協力し、信

じていただける活動をして

いきたいと思います。

「友愛」思想の普及、発

展のために

理事 攪上哲夫

 一般財団法人「友愛」が、

本年四月より公益財団法人

に認定されました。

 「公益財団法人の認定等

に関する法律」の第1条(目

的)には、「この法律は、内

外の社会経済情勢の変化に

伴い、民間の団体が自発的

い人間を嫌った。二千五百

年前に孔子が見抜いたこと

は、そのまま今日でも真理

として通用する。世界中の

リーダーには傾聴してもら

いたいものである。

これからの友愛

理事 井田安信

 「平成」の時代が終わり、

私たちは新しい「令和」の

時を迎えることが出来まし

た。私は昭和三四年に生ま

れましたので、戦争が終わ

ってから生まれ、戦争を知

らずに育ちました。そして

平成の時代に戦争がなかっ

たことに感謝し、日本に生

まれたことに感謝していま

す。 昭和に生まれた私たち

は、科学や経済の発達に伴

って生活がどんどん便利に

なったこと、情報網が発達

し世界の出来事が瞬時にわ

かるようになったことを知

っています。平成の時代だ

けでも信じられないような

出来事がたくさんありまし

た。天安門事件、ベルリン

の壁崩壊、湾岸戦争、ソ連

崩壊、香港返還、アメリカ

同時多発テロ事件、イラク

戦争など、映像でリアルタ

イムにその場面を見ること

ができ、世界に様々な考え

方と文化・歴史があること

を否応なく知ることになり

ました。

 日本においても、阪神・

淡路大震災、東日本大震災

など大きな自然災害があ

り、特に温暖化による異常

気象や東日本大震災の原発

事故を考えると、あたかも

生きている地球が私たちに

自然破壊や生態系破壊につ

たのだろうか。

 新元号令和の発表と共

に、友愛が公益財団として

新たなスタートを切った。

新生「友愛」はどこに向か

うのだろうか。一九五三

年、鳩山一郎元首相はクー

デンホーフ・カレルギー伯

の「自由と人生」に大いに

触発され「友愛」が日本再

興のテーゼであると友愛青

年同志会運動を興した。

 爾来六十六年経った今、

世界はグローバル化、国・

人種の交流が進み、また発

展途上国の成長が著しい。

比べて我が国は成長がほぼ

止まり、少子高齢化が進

み、もはや日本単体では何

も出来ない。米国が助けて

くれる訳でもない。見せか

けだけではないその多様性

を柔軟にするしか打つ術は

ない。アイヌ民族の先住民

族認定など、余りに当たり

前過ぎる話である。このグ

ローバル化のキーワードこ

そが、「相互理解・相互尊重・

相互扶助」の友愛理念であ

る。まさに 世紀以降の日

21

本再興のテーゼと言っても

良い。

 ロシアはソ連崩壊後の今

も八十八ヶ国、二〇〇以上

の民族による多民族連邦国

家だと言う。そこまではな

り得ないが、多様性に富ん

だ日本に再構築するしか我

が国に未来はない。その意

味で友愛の役割は遥かに大

きい。令和を皮肉る訳では

ないが、「論語」の「学而篇」

に「巧言令色鮮し仁」(ばか

に調子が良くて顔つきを和

らげている手合には、徳が

無く、真情のある人間は少

ないようである。)がある。

孔子はうわべだけで実のな

した。幸せでした。光栄で

した。

 しかし、人間としての友

愛の目標である「心の欲す

るところに従えども矩を踰

えず」や「兼愛」の琴線に

は程遠く、「常に尚足らざる

を憂う」の心境です。

 向後も一瞬一生を旨に私

自身友愛のベースを墨守

し、残る人生を全うする所

存です。

 以上、公益法人友愛のス

タートに当たり、お祝いの

言葉といたします。

六十六年・隔世の感

理事 芳賀大輔

 一年ぶりに国際会議出席

のため、モスクワ市内のホ

テルにチェックイン。成田

からモスクワ・シェレメチ

ェボ空港まで約一〇時間、

Yo

アエロフロート機内で -

YoMa

の華麗なるチェロ演

奏を聴きながら、機内食を

喰み、惰眠を貪る、あっと

いう間の旅である。

 一九五六年一〇月、友愛

運動の祖である鳩山一郎元

首相は、七十三歳、半身不

随の身で、当時は羽田・モ

スクワ間の直行便はなく、

フィリピン・タイ・パキス

タン・ギリシャ・イタリア

・スイスからスウェーデン

を経由、今では想像すらで

きない航路で丸五日間かけ

訪ソした。経由地で随員が

降りても、迷惑をかけるか

らとエアコンが止まってい

る蒸風呂のような機内から

降りず、会談相手のブルガ

ーニン首相との想定問答を

草稿されていたと伺う。そ

こまでの鳩山一郎首相の国

を思う心、友愛とは何だっ

から次へと思い出され、当

時の仲間の姿が思い浮かび

ます。でもその時は変化や

節目に気付かず、塞翁が馬

ではありませんが、山あり

谷ありでした。とくに六〇

年代から平成初期の時代。

資金が逼迫し、やむなく山

荘敷地の一部を断腸の思い

で売却しました。

 友愛生誕から四月で満六

六年、五度の変化と節目を

克服し、今日に至りました

ことを心から嬉しく思いま

すと同時にご同慶の至りに

存じます。そして厳しい時

代を支えて下さいました多

くの方々、特に鳩山家に深

甚なる敬意と感謝を申し上

げる次第です。

 また、この度の公益法人

認可は過去六六年の友愛の

実績が国や社会に高く評価

された証左であり、従来の

感覚と全く異なる新生友愛

の新たなスタートでもあり

ます。

 会員の皆さんも執行部各

位も公益法人の意義を体

し、友愛の原点である愛を

再確認し、初心を堅持、社

会の発展と世界の平和に貢

献されますよう期待し祈念

いたします。

 小生も来年米寿です。二

〇歳の時友愛運動に参加、

以来六六年間皆様に扶けら

れ、感動の連続で今日に至

りました。私の人生、まさ

に友愛一筋。友愛は天命で

しい感じがします。激しい

青年運動の時期でした。

 一九五九年青年運動や新

生活運動に加え、新たにユ

ースホステル運動が加わ

り、財団法人日本友愛青年

協会の設立となり、全国に

七ヵ所の友愛山荘を建設。

国のユースホステル運動展

開に先鞭をつけました。ま

た一九六七年には、友愛ク

ラブが発足し、青年ばかり

でなく社会人も包括する新

しい運動を開始しました。

 そして一九七三年の友愛

全国大会では時代の変化に

対応するため友愛青年同志

会を友愛青年連盟と改称。

時代に適合した青年団体と

して躍進を図りました。

 その後、時代は昭和から

平成に移行し青年運動も変

遷。友愛青年連盟を財団法

人日本友愛青年協会に統

合。以来会員の高齢化に伴

い、財団法人日本友愛協会

と改称。再三の体質強化と

近代化をすすめ、一昨年公

益法人申請に伴い一般財団

法人友愛と五度目の称号変

更を行いました。

 一〇年ひと昔の言葉があ

りますが、友愛六六年の運

動や事業を鑑みますとそれ

ぞれの時代による活動が次

 人生とは何か。時々考え

る。 運命とは誰に出会うかに

よって決まる。「その時の出

会いが人生を根底から変え

ることがある。相田みつ

を」人は出会いにより己を

知り、己を磨く。そして人

は出会いで変化する。その

変化がそれからの人生の節

目となる事もある。但し変

化か節目かの判断はその人

次第。

 私の節目は一、旧制中学

に入学したこと、二、東京

へ出てきたこと、三、友愛

の代表として二七歳の時ア

メリカへ行ったこと。

 この三点が私の人生を根

底から変えた。思考が言葉

となり、言葉が行動とな

り、行動が習慣となり、習

慣が人格となり、人格が運

命となる。マーガレット・

サッチャーやマザーテレサ

の有名な言葉だが、思考の

対象は人間ばかりでなく坐

辺師友である。

 そんな視点から今日まで

の友愛の歩みを、公益財団

法人認可を機に振り返って

みたい。

 創立当初(一九五三年)

の称号は友愛青年同志会。

今考えますとずいぶん厳め

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第四期日中青年陝西省麟游県生態緑化モデル林事

第四期日中青年陝西省麟游県生態緑化モデル林事業業

第四期植林終了・緑の山を夢み

第四期植林終了・緑の山を夢みてて

鳩山理事長始め五名の第三〇次友愛訪中団が交

鳩山理事長始め五名の第三〇次友愛訪中団が交流流

昨年植林の木々は、順調に生育していた

昨年植林の木々は、順調に生育していた    

十分条件にはなっていな

い。公益財団法人友愛が、

世間一般の方に知名度を持

って認知され、かつ、分か

り易い差異要因としては、

「歴史」と「伝統」がある

のではないか。

 設立以来の脈々たる友愛

の活動そのものが、大きな

財産であり、そこから生ま

れ現在も続くオーストリア

のエヤップや中国の国際交

流中心との関係などはその

顕著な例である。これら

「歴史」と「伝統」の果実

を守り育て生かしながら、

活動を継続・発展させてい

くことは当然のことであ

る。「相互尊重、相互理解、

相互扶助」の友愛理念、自

由と平等の対立をアウフヘ

ーベンする友愛思想の本質

は変わらないのだから。

 そうは言っても、これで

は予定調和に過ぎ、新しい

一ページとしては面白味に

欠ける。元号も変わる中

で、新時代としてのわくわ

く感はやはり必要であろ

う。変わり続けるものが強

いものであり、また変化し

続けるものだけが存続し続

けられるというのは、自然

界の掟でもあり、人間社会

の歴史が教えるところでも

ある。その観点から、アマ

ノジャクの私としては、あ

えて変わるものを挙げてこ

の駄文を終わらせることに

したい。

 変わるもの、変えるもの

が見えてくることによって

逆説的に変わらない本質

が、守るべきものが浮かび

上がるのではないか。

 変わるもの:名称、名

前、呼び方…なんて…。

 お後がよろしいようで。

必要とされること、事業そ

のものを「私」しないこと

など、関係法規との整合性

を研究しながら活動をして

いかなければならないと思

います。

かわるもの

理事 西川伸起

 昭和二八年に設立され

た、「友愛」の前身である友

愛青年同志会から六六年目

に当たる本年、「友愛」は新

たな時代とともに変革をし

ていきます。理事の一人と

して、その責任の重さを認

識しながら、公益を踏まえ

た活動に務めてまいりま

す。 公益財団法人として認可

を受け、友愛の歴史がまた

新たな一ページを刻むこと

となった。

 国として活動の公益性を

認め、財団自体の税優遇の

みならず、財団に寄付を行

う個人にも税金の優遇措置

があり、寄付が従来にもま

してやり易くなると言う。

今後の友愛活動を持続可能

なものにしていくにも、あ

またの公益財団法人の中か

ら、寄付先として友愛を選

んでいただく事が重要とな

る。そうなると、ついつい

マーケティング的に他の公

益財団との差別化、比較優

位な観点を探してしまうの

は、ビジネスマンの一つの

職業病である。

 もちろん、「友愛」の「理

念」や「目的」はわかる人

には十二分すぎるほどに差

別化されており、理念共感

型の寄付は基本中の基本と

なるのであるが、残念なが

ら必要条件ではあっても、

と皆笑顔でお互いに顔を見

合わせていた。

 昨年までの植樹は、充分

に根付いており、地元の

方々の努力とご苦労が伺わ

れた。陝西省麟游県の植林

事業は今回で終了するが、

数年後緑に覆われた山々見

に訪れたいと思った。

(羽中田記)

 第三〇次植林訪中団参加

者/鳩山由紀夫理事長/鳩

山幸理事長夫人/川手正一

郎常務理事/川手祥右さん

/高橋佳大さん/羽中田元

美友愛事務局長

と、一同ほっとした。

 足場の悪い中、理事長ご

夫妻も、夫唱婦随、息の合

った協力で、いくつもいく

つも穴を掘り、苗を植えた。

 ボランティアの学生達も

歓声を上げながら、チーム

を作り、苗を運ぶ人、鍬を

使うもの、水を運ぶ人とそ

れぞれが協力して次々に苗

を植えていく。

 準備した二〇〇本の苗を

植え終え、全員で列を作っ

て山道を戻った。ここでも

鳩山理事長は大人気。次か

ら次へと学生たちが一緒に

写真に収まりたいとスマー

トフォンを向ける。鳩山理

事長は歩みを何度も止め、

笑顔で学生達の思いに応え

ていた。

 基地に戻ると毎年靴の泥

を洗い流すのに使った小川

があり、今年は要らないね

てまるでポックリの様な状

態で山道を歩いたものだ。

 しかし今年は土が乾いて

いる。泥がからみつく道よ

りははるかに歩きやすい

が、植えた木々の苗にとっ

ては水が足りなくなるので

はと、心配が先にくる。

 昨年も、一昨年も出発地

点のステーションに使った

場所から、急斜面の山の中

腹を横切るように作られた

にわか作りの道を進み、鍬

とスコップを使って苗の根

に見合う穴を掘り、一本一

本丁寧に植えていく。根を

縛って作られた球状の根

は、直径三〇センチはあ

る。穴も相当大きく且つ深

く掘らなくてはならない。

 乾いた土埃が立つ中を、

更に掘り進めると、湿った

黒い土が出てきた。これで

安心して苗を植えられる

 三月十四日(木)から十

八日(日)までの五日間、

第三〇次友愛植林訪中団が

中国陝西省麟游県を訪問。

地元のボランティア学生等

一五〇名と一緒に、急勾配

の斜面に植樹を実施した。

 第四期(最終期)となっ

た今年は、初めて土が乾い

ていた。元々雨の少ない地

域で、そのため緑も育たず

植林地として選ばれた場所

ではあるが、何故か過去三

回は全て雨の中での植林と

なった。それも数週間、時

には数ヶ月ぶりの雨が降っ

たとのことで、友愛訪中団

は恵の雨を連れて来てくれ

ると、地元の方々に喜ばれ

ていたほどだ。ところが、

細かい粒子の土は、雨が降

るとひとたまりもなく、一

歩歩く毎に泥が靴にこびり

つく。どんどん泥がたまっ

今回の苗木はポットに入っていな

い。環境にも苗にも優しく、活着

率も多いに期待できる

地元の学生達もそれぞれチームを

作って、競い合うように沢山の苗

を植えていく。急勾配で大変!

麟游県の植林現場。乾いた土色を

見せる山肌。十年後緑に覆われた

様子を頭に描いて下山した

中腹の道をつたわって広い範囲に

苗木を植えていく。沢山の人の列

が長く続いている

植林が終わって地元の方々、国際

交流中心の王さんも一緒にみんな

で記念撮影

「今日も皆さんと一緒に木を植え

ることを楽しみにやってきまし

た」と挨拶。鳩山由紀夫理事長

「元気・やる気・本気」この三つ

の気が大切ですと大きな声で挨

拶。川手正一郎常務理事

地元の中学生・高校生・社会人ボ

ランティアも加わり、大勢で力を

合わせて沢山の木を植えた

苗木のための穴を掘るところから

始めた今回の現場。鍬とスコップ

を使って頑張る理事長ご夫妻

どこへ行っても理事長は大人気。

細い山道をたどりながら一緒に写

真を写そうと、学生達に囲まれる

最後となった麟游県の現場に建て

られた生態緑化の看板。いつの日

かこの看板も緑でみえなくなる

 (3)    令和元年(2019年)5月10日 友   愛 第558・559合併号

Page 4: (1) 令和元年(2019年)5月10日 友 愛 第558・559合併号 · 2019. 5. 28. · (1) 令和元年(2019年)5月10日 友 愛 第558・559合併号 元 号 が 令

― 前文 ―

 混沌とした世界の中で、

心を置き去りにした市場原

理主義や金融資本主義は、

人々の間の格差を拡げ多く

の貧困層を生んでいる。一

方で、その反動としての国

家主義(ナショナリズム)

の台頭は周辺諸国との摩擦

を激化させ、平和を脅かす

状況をも生じている。

 クーデンホフ・カレルギ

ーは、自由も平等もそれが

原理主義に陥るとき、結果

として人間の尊厳を侵し、

本来、自由や平等の目的で

あるはずの人間を手段と化

してしまうと喝破した。そ

して、人間の尊厳を護るべ

く、自由と平等の均衡を図

る理念を友愛に求めた。ま

た、鳩山一郎はその友愛の

理念を「相互尊重」、「相互理

解」、「相互扶助」と説き、国

民全体への普及に努めた。

 この法人は、鳩山一郎の

遺志を昇華発展させ、日本

はもとより、世界、とくに

中国や東アジアの国々の平

和を希求する人々が、自立

と共生の友愛の理念に基づ

く共同体を構想することの

必要性を認識して、種々の

国際交流事業を行い、国内

外の青年や社会人との交流

を深め、更には、友愛の理

念を理解し、継承、発展さ

せることができる人材の育

成を図り、もって世界平和

に資することを目的として

創設するものである。

 定  款

 第1章 総 則

 (名 称)

 第1条 この法人は、公

益財団法人友愛と称し、英

YUAIFoundatio

文では n

と表示する。

 (目 的)

 第3条 この法人は、前

文の理念に基づき、自立と

共生の友愛の理念のもと

に、国内外の青年や社会人

の交流を深め友愛の理念を

次世代に継承、発展させる

人材を育成し、国際相互理

解を深めもって世界平和に

資することを目的とする。

 (事 業)

 第4条 この法人は、前

条の目的を達成するため、

次の事業を行う。

 (1)友愛理念の普及・

啓発に寄与し、世界平和を

目指す活動を実践できる人

材を育成し、国際相互理解

を深めるための国際交流事

業 (2)友愛理念のもと、

世界平和を目指す意識を啓

発するための表彰事業

 (3)その他、目的を達

成するために必要な事業

 2 前項の事業について

は、日本国内及び海外にお

いて行うものとする。

………………

 公益財団法人友愛定款・

会員規程など全ての情報は

ホームページ上に公開され

ています。ご参照ください。

http://yuai-love.co

m

 令和元年(2019年)5月10日 友   愛 第558・559合併号 (4) 

◆人生とは「出会いと感

謝」。人はつき合う人によ

って生かされている。運命

とは誰に出会うかによって

決まる。身近な人を大事に

しよう。

出会いは一期一会の心と有

難うという言葉で始まる。

寿命は友人の数で決まり、

幸せは有難うの数で決ま

る。

人生、何を知っているかで

はない。誰を知っているか

だ。

笑顔は心を豊かにし、幸運

を呼ぶ。出会いで人は変化

し、感謝で人は成長する。

人は年令に関係なくいつで

も変われる。

出会いとは「我以外皆我師」

吉川英治。     (K)

◆「感無量」という言葉が

ありますが、そうそう体験

できる思いではありませ

ん。「友愛」の未来を模索し

て理事長はじめ理事の方々

が何度も協議を重ね、公益

財団認可申請の方向を打ち

出しました。以来、初瀬先

生、小林先生、星田先生に

助けて頂きながら書類作

り、資料作りに追われる

日々でした。同時に事業実

施も責務であり、歳を忘れ

仕事三昧。充実の日々でし

た。ついに公益認可の知ら

せ! 正に感無量。これで

仕事も楽になると思ったの

も束の間、公益財団法人と

しての基礎づくりに追われ

る日々が続いています。で

も「感無量」も味わえたし、

元気で仕事ができることこ

そ、我が人生の幸せと思っ

ています。感謝、感謝(も)

公益財団法人 友愛への会員登録をお願いします!公益財団法人友愛の理念にご賛同ご協力くださる方を広く募っております。公益財団法人友愛の理念については、下記定款(抜粋)をご一読ください。(定款・会員規程とも全文はHPにてご覧いただけます)公益財団法人としての出発にあたり、会員を新たに募ります。一般財団法人への会員登録をされていた方も、再登録をお願します。納めて頂いた会費は、寄付として50%以上を公益活動に充てます。多くの方のご登録をお待ちしております。

会員に関する規程(一部)

(目的)

 第1条 この規程は定款

第3章第 条2項の規定に

13

基づきこの法人(以下本財

団という)の会員の入会及

び退会並びに会費の納入に

関し必要な事項を定めるも

のとする。

(会員)

 第2条 本財団の目的、

事業に賛同する個人、法

人、団体は理事会の承認を

得て会員となることができ

る。ただし2項に該当する

ものを除く。

 2反社会的勢力の一員ま

たはこれに関係する者

(入会手続き)

 第3条 会員になろうと

する者は所定の入会申込書

を提出しなければならな

い。

(会費)

 第4条 会員は会費を納

入しなければならない。

納入された会費は、本財団

への寄付金として取り扱

い、毎事業年度におけるそ

の合計額の %以上を当該

50

事業年度の公益目的事業に

使用する。

 個人会員/三千円 以上

 法人会員/一万円 以上

 2会費の会計年度は本財

団の会計年度と同一とする

(会員の特典)

 第5条 会員は次の特典

を享受することができる。

 (1) 本財団が発行する

機関紙の配布を受けること

ができる。(2) 本財団が主

催、共催する研修会、セミ

ナー等の案内を受け取るこ

とができる。(3)本財団が

主催、共催する研修会、セミ

ナーの参加に対し、会員割

引を受ける ことができる。

んな所へ出かけ一緒の時間

を過ごしたのでみんなが帰

ってからは、とてもさみし

かったです。

 今、みんなはミャンマー

でどうしているのかなと

時々考えたりします。研修

で学んだことをどのように

生かしているのかなと気に

なることもあります。

 今度はぼくがミャンマー

に行ってみんながしている

ことを見に行ってみたいな

と思いました。

 研修生が日本で勉強し、

楽しい時間を過ごしたと思

いますが、ぼくもたくさん

の楽しかった思い出ができ

ました。

シと化学調味料を使ったダ

シを飲み比べて違いを当て

るという所で二人とも正解

し、喜んでいました。

 次の休日には、東京ディ

ズニーシーへ行きました。

みんなに東京で見たい所、

行きたい所聞くと、特にな

いと言っていたのですが、

唯一行きたいと言っていた

のがディズニーシーでし

た。そこでは、いろいろな

ショーを見たり、たくさん

のアトラクションに乗りま

した。中でも研修生のお気

に入りだったアトラクショ

ン「トイストーリーマニ

ア!」では、みんなで点数

を競い合ってとても盛り上

がり、みんなとの距離が縮

まった気がしました。ミン

ゾーさんは、年は若いけ

ど、結婚して子どもがいる

からかいつも大人しくて静

かな印象でしたが、この日

はぼくよりもはしゃぎ、よ

くしゃべっていて、一緒に

いてとても楽しくなりまし

た。 夜に行われた「ファンタ

ズミック!」という水上シ

ョーでは、いろんな演出に

みんな感動していました。

そのあとに行った「ビッグ・

バンド・ビード」というミ

ュージカルショーでは、歌

や音楽、ダンスなどにリズ

ムをとったりして楽しみま

した。最後に見た花火には

みんな釘付けになり東京デ

ィズニーシーを満喫した一

日でした。

 こうして毎日のように色

 平成三十年九月下旬に、

ミャンマーから三名の研修

生が来日しました。

 平成二十九年にも来日し

たティンさんと今回初めて

来たインザリさんとミンゾ

ーさんは、サツマイモの収

穫、保存、加工などを勉強

しに来ました。研修がお休

みの日には、色々な所を観

光しました。

 ミャンマー人であるぼく

の父が、研修生の通訳や案

内をしていたので、ぼくも

学校が休みの日や学校が終

わってから父と母も一緒に

案内をしました。

 研修生が鹿児島での研修

を終えて、広島と京都へ訪

れ、東京に戻ってきてから

の十一月の日曜日、日比谷

公園で行われたファーマー

ズフェスタに行きました。

そこでは、野菜や果物の栽

培方法やその加工品、唐箕

(とうみ)という風の力で

穀物をもみがらと玄米、ご

みなどに分ける昔の農具な

どを見学しました。唐箕は

学校の教科書で見て知って

いたけれど、実物を初めて

見たので見入っていたら、

出店しているおじさんに、

唐箕と現在使われている機

械の違いを教えてもらい、

とても勉強になりました。

飲食店もたくさんあり、い

ろいろな物を食べました。

 ティンさんは、母が買っ

てきたとりとネギのからあ

げを気に入り、自分でも買

って食べていました。父と

インザリさんは、天然のダ

―お知らせ・お断り―

 五月号は、公益法人認可

を記念して第558号・5

59号の合併号とさせてい

ただきました。

 「友愛時評」休載いたし

ました。

 『友愛』バックナンバー

は、ホームページでご覧い

ただけます。

研修生と記念撮影

写真右からミャットーさん(事業

実施時の通訳等で協力いただいて

いる)、筆者の中田英志さん(中学

一年生)、ティンさん、インザリさ

ん、ミンゾーさん

特別寄

特別寄稿稿

研修生との思い

研修生との思い出出中

中田 英志志

公益財団法人友愛定款(一部

公益財団法人 友愛 定款(一部))

友愛の理念を盛り込んだ活動の

友愛の理念を盛り込んだ活動の礎礎