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Copyright©2014 Hidekazu Nishimura. システムズモデリング言語SysML の活用 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授 西村 秀和 http: lab.sdm.keio.ac.jp/nismlab/ IAF 第6回情報・モデリング・運用WGセミナー 201529日(月) 1

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Copyright©2014 Hidekazu Nishimura.

システムズモデリング言語SysMLの活用

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科

教授 西村 秀和 http: lab.sdm.keio.ac.jp/nismlab/

IAF 第6回情報・モデリング・運用WGセミナー2015年2月9日(月)

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システムとは何か?

システム:

相互に関連し全体として機能するコンポーネントの集まり

ハードウェア,ソフトウェア,人,設備など複数のドメインで構成

System of interest

境界:boundary

アクターactor:行為者(人とは限らない)

Use Case1Use Case 2

環境

System of interest対象システム

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システムズエンジニアリングとは?

システムを成功裏に実現するための複数の分野にまたがるアプローチおよび手段

コミュニケーションの重要性

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システムズエンジニアリングとは?

システムズエンジニアリングの定義

システムを成功裏に実現するための複数の分野にまたがるアプローチおよび手段

システムズエンジニアリングでは、開発の初期段階で顧客のニーズを明確化し、機能要求を定義し、関連する問題をすべて考慮しながら設計のための総合とシステムの妥当性確認を進める。

システムズエンジニアリングは、ユーザーニーズに合致した品質の製品を供給することを目的とし、ビジネスとすべての顧客の技術的要求を考慮する。

INCOSE: International Council on Systems Engineering

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システムズエンジニアリング「要求」と「アーキテクチャ」

要求の2つの鉄則

機能要求:“どのように要求を実現するか?”の前に

“何をするのか?”,“なぜそれが必要か?”を明確にする。

システム要求:“測定可能”, “テスト可能”

アーキテクチャの3つのビュー

Operational view:システムの使い方、動かし方

Functional view:システムへ要求される機能

Physical view:機能を実現するハードウェア、ソフトウエア

抽象度

Architecting: the art and science of designing and building systems.

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エンティティV:ビューの位置づけ

利害関係者の要求

製作,コード化に向けた仕様

Entity要求の定義

概念設計,アーキテクチャの選定,設計に向けた仕様

購入,製作,コード化

検証検査,テスト,実証,分析

妥当性確認

妥当性確認の計画

要求の

抽出概念設計

アーキテクチャ

詳細設計 試験,検証製造,

運用

Customer Confirmation

Verification andValidation Planning

VerificationPlanning

検証検査,テスト,実証,分析

Cus

tom

er

Con

firm

atio

n

Cus

tom

er

Con

firm

atio

n

見込

み調

査,

リスク調

不具

合調

解決策の達成

② Functional view

③ Physical viewMATLAB/Simulink

Mechanical CADElectronic CADProgram code

SysML

① Operational view

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二元V字開発モデル (Dual Vee Model)Architecture Vee

Entity Vee

利害関係者の要求

要求を満足するシステムの完成

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二元V字モデルによるプロセスの理解

Architecture Vee

Entity Vee

利害関係者の要求

要求を満足するシステムの完成

アーキテクチャの検討,決定では,サブシステムやコンポーネントの実現可能性を検討しながら進めることがある.

早い段階での手戻り

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二元V字モデルによるプロセスの理解

Architecture Vee

Entity Vee利害関係者の要求

要求を満足するシステムの完成

コンポーネント,サブシステムの検証,妥当性確認を順序行い,システムとしての検証,妥当性確認を行って行く.

致命的な手戻り

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利害関係者の要求

製作,コード化に向けた仕様

Entity要求の定義

アーキテクチャの選定とシステム仕様

購入,製作,コード化

検証検査,テスト,実証,分析

妥当性確認

妥当性確認の計画

要求の

抽出概念設計

アーキテクチャ

詳細設計 試験,検証製造,

運用

Customer Confirmation

Verification andValidation Planning

VerificationPlanning

検証検査,テスト,実証,分析

Cus

tom

er

Con

firm

atio

n

Cus

tom

er

Con

firm

atio

n

エンティティV : 検証と妥当性確認

ノミナル

オフノミナル

HILS/SILS

Human in the LoopSimulation

シナリオ

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IEEE 1220 systems engineering process

要求と制約の矛盾

要求のトレードオフと影響

分解割り当てのトレードオフと影響

分解と要求の割り当に関する候補

設計解のトレードオフと影響

設計解の要求と候補

要求の基準

確認された要求の基準

機能アーキテクチャ

検証済み機能アーキテクチャ

物理アーキテクチャ

検証済み物理アーキテクチャ

SEプロセスへの入力

SEプロセスの出力

統制

設計の検証

機能の検証

要求の分析

要求の妥当性確認

要求のトレードオフ分析と評価

設計の

トレードオフ分析と評価

総合

システム解析

機能の分析機能の

トレードオフ分析と評価

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“モデルベースでシステムを考える”とは?

モデル*に基づくシステム開発

仕様書など文書だけではすぐに理解できないことが、図的に表現することで理解が容易になる。

協働してシステム開発をするには、共通言語が必要であり、それをサポートするには図的な言語が有効である。

モデルを再利用することにより開発の効率化が期待できる。

モデルを用いて抽象度を上げることにより革新に導く。

*注:実行可能ではないモデルを含む

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システムモデルの記述

システムモデル表記法:SysML(Systems Modeling Language) システムを構造,振る舞い,要求,パラメトリック制約の観点で図的に表現することができる。

図的表現により、開発者の思考を支援できる。

複数のドメインにまたがる開発、分業化された開発環境で、共通言語として利用できる。

システム開発プロセスの中で要求のトレーサビリティが確保される。

構成管理、変更管理が容易になる。ーあるサブシステムやコンポーネントの要求の変更や設計の変更が生じた際に、他のサブシステムやコンポーネントにどのような影響が及ぶかを判断できる。

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モデルベースシステムズエンジニアリングの海外動向

MBSE wiki http://www.omgwiki.org/MBSE/doku.php?id=start 最新のMBSEアクティビティと応用

MBSE関係者とのネットワークづくり

MBSE Workshop at INCOSE IW 2014 http://www.omgwiki.org/MBSE/doku.php?id=mbse:incose_mbs

e_iw_2014 MBSE Workshop at INCOSE IW 2013 http://www.omgwiki.org/MBSE/doku.php?id=mbse:incose_mbs

e_iw_2013

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システム

アーキテクチャ

形式の変換

分析的な

統合

PDM:Product Data Management

要求分析

実行可能なシミュレーションモデル文書化と文書管理

コスト分析リスク分析

最適化視覚化

部品表(BOM)サプライチェーンマネジメント

物理設計(3D CAD)

要求管理

Christopher Oster, Lockheed Martin Corporationの資料より改変

High FidelitySimulations忠実度の高いシミュレーション

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正しいシステムを得ること

「正しい要求」+「正しいインタフェース」

→ 「正しいコンポーネント」

正しい要求 ←整合→ 要求のモデル

正しいインタフェース ←整合→ インタフェースのモデル

正しいコンポーネント ←整合→ コンポーネントのモデル

シミュレーションモデル:「要求のモデル」をサポートする。

正しいシステム←整合→ シミュレーションモデル

→ 仕様を正しく得る。

Ron Carson, MBSE Implementation Across Diverse Domains at The Boeing Companyより改変

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SysMLで何ができるのか?

システムを構成するサブシステムに対する機能要求とその振る舞いを把握できる。

設計変更があった場合にも、要求のトレースが可能なため、その影響を容易に把握できる。

SysMLを用いることで、開発者の思考を支援し、ドメインをまたがる協働作業が可能となる。

コンカレントデザインを促進するフレームワークが実現可能となる。ただし、組織の硬直化などが弊害となり得る。

参考資料:システムズモデリング言語 SysML (A Practical Guide to SysML翻訳本)

西村 秀和(監訳)

訳者:白坂成功,成川輝真,長谷川堯一,中島裕生,翁志強

著者:Sanford Friedenthal, Alan Moore, Rick Steiner

出版社:東京電機大学出版局(2012年5月10日)

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構造

要求

振る舞い

パラメトリック制約・数式表現・運動方程式・パラメータによる性能評価

など

SysMLのダイアグラムは,互いに関連している。→ 設計変更があった場合にもその影響を容易に把握できる。

ibd act

reqpar

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ソフトウェアモデル ハードウェアモデル

要求・仕様

設計・統合

要求・仕様

設計・統合

SysMLを用いた協働作業

構造

要求

振る舞い

パラメトリック

システムモデル

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ダイナミクス解析

制御システム解析

1D-CAEなど

ハードウェア設計モデル

電気回路設計モデル

ソフトウェア設計モデル

テスト方法テストモデル

解析モデル外部からの

要求

解析

性能評価

システム仕様書

システムモデル

コンカレントデザインを促進するフレームワーク

構造

要求

振る舞い

パラメトリック制約

トレーサビリティ根拠

ビューポイント

製品データ管理(PDM)

・部品表(BOM)・物理設計(CAD)

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SysMLダイアグラムの分類

SysMLダイアグラム

振る舞い図

構造図

要求図

ユースケース図

シーケンス図

アクティビティ図

状態機械図

ブロック定義図

パラメトリック図

内部ブロック図

パッケージ図

SysML: Systems Modeling Language

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SysMLによるMBSEのサポート

システム仕様の決定 ← 以下の活動の反復 ブラックボックスのシステム要求の取得と分析(コンテキストレベル)

要求管理ツールでの文書ベースでの要求の獲得

SysMLモデリングツールへの要求のインポート

システムのユースケースからシステムレベルでの機能の特定

ユースケースと要求間のトレーサビリティの獲得

ユースケースシナリオの実現:アクティビティ図,シーケンス図,状態機械図

システムコンテキスト図の創出

システム検証をサポートするシステムのテストケースの特定

要求を満たすシステムアーキテクチャ候補の開発

ブロック定義図を用いたシステムの分解

アクティビティ図またはシーケンス図を用いたパート間の相互作用の定義

内部ブロック図を用いたパート間の相互接続の定義

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SysMLによるMBSEのサポート(続き) 所望のアーキテクチャの評価と選択のためのエンジニアリング解析と

トレードオフ分析の実行

性能,信頼性,コスト,その他の重要なプロパティの分析をサポートするためのパラメトリック図を用いたシステムプロパティの制約の獲得

システムプロパティの予算を決定するためのエンジニアリング解析の実行

(通常,別のエンジニアリング解析ツールで行われる)

コンポーネント要求の規定とシステム要求に対するコンポーネント要求のトレーサビリティの規定

アーキテクチャにおける,各コンポーネント(ブロック)のための機能要求,インタフェース要求,性能要求の獲得

システム要求へのコンポーネント要求のトレース

システムレベルでのテストケースの実行→システム設計に関する要求の充足の検証

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SysML-Liteとは?

SysMLの9つのダイアグラムの内、6つのダイアグラム、パ

ッケージ図、要求図、アクティビティ図、ブロック定義図、内部ブロック図、パラメトリック図を用いてシステムモデルを記述する考え。

SysMLダイアグラム

振る舞い図

構造図

要求図

ユースケース図

シーケンス図

アクティビティ図

状態機械図

ブロック定義図

パラメトリック図

内部ブロック図

パッケージ図24

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機能の明確化とインタフェース(1)

コンテキストレベルでの外部システムとのインタフェース

システムのユースケース(使われ方、動作)を考える。

シーケンス図による記述 パート間の相互作用

外部システム

システム

メッセージ(相互作用) 自己

メッセージ

機能を記述するユースケースをシーケンス図で記述し、システムの機能の抽出を行う。

↓・システムは、外部システムからメッセージを受けるという機能1をもつ。

・システムは、自己メッセージを処理するという機能2をもつ。

次に、抽出された各機能を実現するシーケンスを考える。

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機能の明確化とインタフェース(2)

システムの分解を検討する。

ブロック定義図

機能1, 2を実現するシーケンスを検討

サブシステム間の相互作用を明確

にする。

各サブシステムの生存線上にそれ

ぞれの機能が抽出される。

サブシステム1 サブシステム2

同期メッセージ

システム

サブシステム1 サブシステム2

・サブシステム2はサブシステム1から同期メッセージを受け、自己メッセージを処理する。

・サブシステム2はサブシステム1にメッセージを返信する。

返信メッセージ

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機能のコンポーネントへの割り当て

アクティビティ図でさらに信号のフローを検討する。

コンポーネントとインタフェースを明確化する。 サブシステム

サブシステム サブシステム2-1

サブシステム2-2

アクション1-1

アクション2-1

アクション1-2

アクション2-2

制御フローオブジェクトフロー

スイムレーイン or アクティビティ区画

開始ノード

アクティビティ終了ノード

ピン

パラメータ 1

パラメータ 2

1

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ブロック定義図

シーケンス図とアクティビティ図での検討により、サブシステム2は、サブシステム2-1, 2-2に分解された。

システム

サブシステム1 サブシステム2

サブシステム2-1

サブシステム2-2

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内部ブロック図

内部ブロック図によるコンポーネント間のインタフェースの記述

[サブシステムの内部構造]

サブシステム1

サブシステム2

サブシステム2-1

サブシステム2-2

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要求の詳細化とトレーサビリティの確保

<<Requirement>>対象システムの要求

対象システムはxxの状況で、△△へ○○すること。

<<Requirement>>R1

外部システムがxxの状況で○○すること。

<<Requirement>>R2

△△に対応すること。

<<Functional Requirement>>機能要求1

<<Functional Requirement>>機能要求2-1

<<Functional Requirement>>機能要求2-2

<<block>>サブシステム1

<<derived>> <<derived>>

<<satisfy>>

<<block>>サブシステム

2-1

<<satisfy>> <<satisfy>>

<<derived>>

<<block>>サブシステム

2-2

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SysMLの活用で見えてくること

システムをモデルで表現する。

構造/振る舞い/要求/パラメトリック制約

- What – そもそも、何をしなければならないのか?

革新に導く。 オペレータや外部システムとの相互作用の明確化

サブシステム間のインタフェース

最適化“問題”やトレードオフ“問題”の設定・定義

アーキテクチャと仕様決定までの要求のトレース

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エレベータに対する要求(例)

エレベーターは、ビルの各階から“コール(呼び)”を受けること。(入力に関する要求)

エレベーターは、想定される乗員に対して、エレベーターを呼んでいることを表示すること。(出力に関する要求)

エレベーターは、緊急コールに対してビルにある標準電話を利用すること。(外部インタフェースに関する要求)

The Engineering Design of Systems, - Models and Methods -, 2nd Edition, Dennis M. Buede, John Wiley & Sons, Inc.

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ユースケース図

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シーケンス図(コンテキストレベル)

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シーケンス図(コンテキストレベル)

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コンテクストレベルでの機能分析

エレベータシステムの機能

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ユースケース「ドアを開く」→シーケンス図

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アナリシスレベル01での機能分析

エレベータコントローラの機能

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ブロック間のインタフェース

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要求を詳細化したユースケース → テストケース

詳細化

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サブ機能「エレベータを呼ぶ」

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サブ機能「目的階に移動する」

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サブ機能「ドアを開く」

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ブロック定義図(アナリシスレベル)

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エレベータシステムの状態機械図

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ブロック定義図:フロアでのエレベータ待ち時間

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パラメトリック図:フロアでのエレベータ待ち時間

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まとめ

複数のドメインで構成されるシステムを設計するために、MBSE(モデルベースシステムズエンジニアリング)の活用が重要であることを述べた。

モデルを用いたシステム開発では、システムモデルの記述に際して、

構造/振る舞い/要求/パラメトリック制約

の4つの柱で考えることが重要である。

SysMLはこれをサポートしている。

SysMLの適用手順を概説するとともに、エレベータ開発の事例を紹介し、MBSEで思考する過程を示した。

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参考文献 Systems Engineering Handbook Ver.3.2, INCOSE, 2010

Visualizing Project Management, Third Edition

Kevin Forsberg, Hal Mooz, Howard Cotterman, John Wiley & Sons, Inc.

IEEE 1220: For Practical Systems Engineering, Teresa Doran

http://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=1631953&userType=inst

システムズモデリング言語 SysML(A Practical Guide to SysMLの翻訳本)

西村 秀和(監訳),白坂成功,成川輝真,長谷川堯一,中島裕生,翁志強,

東京電機大学出版局,2012

The Engineering Design of Systems, - Models and Methods -, 2nd Edition

Dennis M. Buede, John Wiley & Sons, Inc.

The Art of Systems Architecting, Second Edition, Mark W. Maier, Eberhardt Rechtin, CRC Press, 2002

MBSE wiki: http://www.omgwiki.org/MBSE/doku.php?id=start

複雑化する統合システム(SoS)の開発方法論 モデルベースシステムズエンジニアリング導入の手引き,IPA/SEC:http://www.ipa.go.jp/sec/reports/20130823.html

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