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新・豊田地域医療センター基本構想 平成21年3月 豊 田 市

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Page 1: 新・豊田地域医療センター基本構想 · 本構想は、豊田市医療対策懇話会による提言書「豊田地域医療センターの今後の あり方について(平成18年12月)」を踏まえ、医療関係者、学識経験者や団体

新・豊田地域医療センター基本構想

平成21年3月

豊 田 市

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目 次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

第1章 地域医療センターを取り巻く環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

1 国の医療政策の動向(概要) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

2 豊田市及び西三河北部医療圏における医療提供体制の現状と課題 4

第2章 地域医療センターの現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

1 沿革 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

2 施設概況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

3 設置・運営 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

4 業務の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

5 決算の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

第3章 新・地域医療センターの基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

1 新・地域医療センターの役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

2 基本的な機能の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

3 今後の検討課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

第4章 施設整備の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

1 新・地域医療センターの規模 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

2 施設整備の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

3 整備スケジュール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

4 事業費の見通し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

[資料1]関連データ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38

[資料2]パブリックコメント実施概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

[資料3]地域医療センター基本構想策定委員会開催経過・委員名簿 ・49

[資料4]用語の説明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51

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はじめに

豊田地域医療センター(以下、「地域医療センター」という。)は、昭和55年に

業務を開始して以来、24時間365日対応する救急医療機関として、また、多く

の市民が利用する健診実施機関等として、市民の健康と安心を支える役割を果たし

てきました。

地域医療センターは、間もなく設立30年を迎えます。

近年の少子高齢化の進行、疾病構造の変化、医療技術の高度化等により、医療を

取り巻く環境が大きく変化する中で、市民の医療に対するニーズは多様化するとと

もに、期待も高まっています。その一方で、地方を中心とする深刻な医師不足や、

国民皆保険制度堅持のための医療費適正化施策の推進などにより、医療提供体制を

確保・維持していくことは、大変厳しい情勢となってきています。

また、地域医療センターも、設立当初からの北・中棟は、平成30年に法定耐用

年数を迎えることになり、施設の老朽化や狭隘化の課題を抱えています。

このような大きな転換期ともいえる時期を捉えて、地域医療センターが、市民の

健康、安心を支える本市の基幹病院の一つとして、引き続き役割を果たせるように

将来展望を検討することは、必要かつ重要なことです。

本構想は、豊田市医療対策懇話会による提言書「豊田地域医療センターの今後の

あり方について(平成18年12月)」を踏まえ、医療関係者、学識経験者や団体

の代表からなる「地域医療センター基本構想策定委員会」での協議内容を基にして、

市として地域医療センターの再整備の基本的な方向を明らかにするものです。

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第1章 地域医療センターを取り巻く環境

1 国の医療政策の動向(概要)

(1)医療構造改革

日本の医療は、だれもが、いずれかの公的医療保険制度に加入し、一定の

自己負担で必要な医療を受けることができる「国民皆保険制度」と、だれも

が、どの医療機関も直接受診することができる「フリーアクセス制度」を、

2大特徴とし、世界最高水準の平均寿命や高い保健医療水準を実現してきま

した。

この医療提供体制や医療保険制度を将来にわたり持続可能なものとして

いくため、制度全般において抜本的な改革が進められています。

中でも、平成18年に成立した「医療構造改革関連法」は、生活習慣病予

防、医療提供体制、医療保険制度に関する改革を総合的かつ一体的に進める

ものです。

医療構造改革は、「良質な医療を提供する体制の確立」と、「国民皆保険制

度の堅持」を大きな柱とし、治療を重視した医療から、生活習慣病の予防を

重視した保健医療への転換を図り、医療費の伸びを適正化するとともに、質

の高い医療サービスが適切に受けられる医療提供体制を確立する取り組み

を必要としています。

(2)公立病院改革ガイドライン

公立病院改革ガイドライン(平成19年12月24日総務省自治財政局長

通知)により、病院事業を行う市町村は、平成20年度内に、経営の効率化、

再編・ネットワーク化(2次医療圏等の単位での経営主体の統合推進、医師

派遣拠点機能整備推進等)、経営形態の見直し等の視点を盛り込んだ「公立

病院改革プラン」を策定することとされています。

地域医療センターは、公立病院には該当しませんが、公設の(設立に市が

関与する)病院であり、果たす役割は同様であるので、このような動向につ

いても参考にしていく必要があります。

(3)安心と希望の医療確保ビジョン

平成20年6月、厚生労働省は、「安心と希望の医療確保ビジョン」を公

表しました。

これは、医療従事者、患者・家族等国民がみんなで医療を支える体制を築

くことをめざすもので、①医療従事者の数と役割(医師数の増加、医師の勤

2

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務環境の改善、診療科のバランスの改善等、職種間の協働・チーム医療の充

実)、②地域で支える医療の推進(救急医療の改善策の推進、地域完結型医

療の推進、在宅医療の推進、地域医療の充実・遠隔医療の推進)、③医療従

事者と患者・家族の協働の推進(相互理解の必要性、医療の公共性に関する

認識、患者や家族の医療に対する理解の支援)の3つを柱としています。

今後は、このビジョンの実現に向け、具体的な取組みが進められるとされ

ています。

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2 豊田市及び西三河北部医療圏における医療提供体制の現状と課題

豊田市は、三好町とともに、2次医療圏である「西三河北部医療圏」を構成し

ています。「2次医療圏」とは、「1次医療(通院医療)」から「2次医療(入院

医療)」までを包括的、継続的に提供し、一般病床・療養病床の整備を図るため

の地域単位として、都道府県が区域を設定(愛知県下で11区域)するものです。

なお、一般的な入院治療では対応できない特殊な医療は「3次医療」に区分さ

れます。「3次医療圏」は、3次医療を提供する病院の整備を図るための単位で

あり、その区域は愛知県全域となっています。

(1)人口構造及び将来人口推計

日本の総人口は、平成16年をピークとして、減少に転じています。

一方、豊田市の総人口は、今後もしばらく微増傾向が続き、平成32年の

43.3万人をピークに減少に転じると見込まれています。

年齢区分別に見ると、0~14歳(年少)人口は、減少傾向が続き、少子化

が一層進むと予想されます。総人口に占める割合は、平成17年は15.5%

でしたが、平成42年には12%まで低下すると見込まれています。 また、平成17年の15~64歳(生産年齢)人口は29万人ですが、今後

減少するものと見込まれます。総人口に占める割合も、平成17年の71%が、

平成42年には63%に低下すると予想されています。

そうした中で、65歳以上(老年)人口は急増が見込まれ、平成17年の5.

5万人が、平成42年には1.9倍の10.7万人に達し、総人口に占める割合

も13.4%から25%となり、4人に1人が高齢者という状況になるものと

予想されています。

●豊田市の総人口の推移と将来人口推計

344 ,105

370 ,858

383 ,800395 ,224

412 ,141422 ,000

429 ,000 433 ,000 431 ,000 426 ,000

300,000

350,000

400,000

450,000

500,000

昭和60年 平成2年 7年 12年 17年 22年 27年 32年 37年 42年

推計値 実績値

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■豊田市の人口の推移 単位:人、%

項 目 昭和 60 年 平成2年 平成7年 平成 12 年 平成 17 年

総 人 口 344,105 370,858 383,800 395,224 412,141

0~14 歳人口

(構成比)

86,904

(25.3)

77,071

(20.8)

69,544

(18.1)

65,940

(16.7)

63,395

(15.5)

15~64歳人口

(構成比)

234,234

(68.1)

265,486

(71.6)

278,654

(72.6)

285,078

(72.1)

290,059

(71.0)

65歳以上人口

(構成比)

22,958

(6.7)

27,749

(7.5)

35,389

(9.2)

43,949

(11.1)

55,246

(13.4)

口 年齢不詳 9 552 203 257 3,441

資料)国勢調査

注)構成比は、年齢不詳人口を除き算出。また、構成比の合計は、四捨五入の関係で

100%にならない場合がある

■豊田市の将来人口推計 単位:人、%

項 目 平成 22 年 平成 27 年 平成 32 年 平成 37 年 平成 42 年

総 人 口 422,000 429,000 433,000 431,000 426,000

0~14 歳人口

(構成比)

64,000

(15.2)

61,000

(14.2)

59,000

(13.6)

54,000

(12.5)

50,000

(11.7)

15~64歳人口

(構成比)

288,000

(68.2)

280,000

(65.3)

276,000

(63.7)

274,000

(63.6)

269,000

(63.1)

口 65歳以上人口

(構成比)

70,000

(16.6)

88,000

(20.5)

98,000

(22.6)

103,000

(23.9)

107,000

(25.1)

資料)第7次豊田市総合計画(豊田市)

(2)患者数の推移

平成17年10月の調査日(1日)の病院入院患者のうち、西三河北部医療

圏内に住所を有する患者は約3.1千人で、そのうち、西三河北部医療圏内の

病院に入院している患者が約2.3千人、医療圏外の病院に入院している患者

が約0.9千人と推計されています。また、西三河北部医療圏内の病院に入院

する患者数は、約3千人で、このうち医療圏外に住所を有する患者は約0.6

千人と推計されています。

西三河北部医療圏の病院入院患者の流入と流出の状況を比較すると、流出割

合がやや高くなっていますが、流出割合は減少傾向で推移しています。また、

愛知県の調査による一般病床の自地域依存率は上昇傾向にあり、平成16年に

は75.7%となっています。

なお、病院入院患者の年齢構成を見ると、55歳以上の患者数が多く、今後

の高齢者人口の増により、入院患者数は増加していくものと予想されます。

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■西三河北部医療圏の病院の推計入院患者数(患者住所地)

項 目 平成 11 年 平成 14 年 平成 17 年

推計入院患者数 3.0 千人 3.0 千人 3.1 千人

医療圏内 2.1 千人 2.1 千人 2.3 千人

県内の他医療圏 0.8 千人 0.8 千人 0.8 千人

県外 0.1 千人 0.1 千人 0.1 千人

資料)患者調査

注)数値は、単位未満を四捨五入のため、内容の内訳が総数に合わない場合がある

■西三河北部医療圏の病院の推計入院患者数(施設所在地)

項 目 平成 11 年 平成 14 年 平成 17 年

推計入院患者数 2.9 千人 2.8 千人 3.0 千人

医療圏内患者 2.1 千人 2.1 千人 2.3 千人

県内の他医療圏患者 0.7 千人 0.5 千人 0.6 千人

県外患者 0.1 千人 0.0 千人 0.0 千人

資料)患者調査

注)数値は、単位未満を四捨五入のため、内容の内訳が総数に合わない場合がある

■年齢階級別、西三河北部医療圏の病院の推計入院患者数(患者住所地)

項 目 平成 11 年 平成 14 年 平成 17 年

推計入院患者数 3.0 千人 3.0 千人 3.1 千人

0~4歳 0.2 千人 0.1 千人 0.1 千人

5~14 歳 0.1 千人 0.1 千人 0.1 千人

15~24 歳 0.1 千人 0.1 千人 0.1 千人

25~34 歳 0.3 千人 0.3 千人 0.2 千人

35~44 歳 0.2 千人 0.2 千人 0.2 千人

45~54 歳 0.4 千人 0.3 千人 0.3 千人

55~64 歳 0.5 千人 0.5 千人 0.6 千人

65~74 歳 0.5 千人 0.6 千人 0.6 千人

75~84 歳 0.5 千人 0.5 千人 0.6 千人

85 歳以上 0.2 千人 0.4 千人 0.4 千人

不詳 0.0 千人 0.0 千人 0.0 千人

資料)患者調査

注)数値は、単位未満を四捨五入のため、内容の内訳が総数に合わない場合がある

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■病院の推計入院患者数の西三河北部医療圏内への流入患者割合

・圏外への流出患者割合

項 目 平成 11 年 平成 14 年 平成 17 年

西三河北部 26.1% 20.7% 22.9%

愛知県 17.9% 24.3% 24.0%推計流入患者割合

全 国 24.3% 24.2% 23.9%

西三河北部 29.3% 28.6% 26.8%

愛知県 16.9% 23.2% 22.7%推計流出患者割合

全 国 24.3% 24.2% 23.9%

資料)患者調査

■西三河北部医療圏の自地域依存率(一般病床)

項 目 昭和61年7月 平成3年5月 平成8年5月 平成11年7月 平成16年7月

自地域依存率 69.4% 70.5% 70.6% 71.4% 75.7%

資料)愛知県地域保健医療計画

注)自地域依存率 (自地域入院患者数/医療圏内全患者数×100)

(3)医療提供体制の現状

①1次医療(通院医療)・2次医療(入院医療)提供体制の現状

【診療所数等】

1次医療機能を担う市内の「診療所」数は、一般診療所が208施設、歯科

診療所が153施設です。

平成10年時点と比較すると、一般診療所総数は44施設(26.8%)増加

し、歯科診療所は19施設(14.2%)増加しています。そのうち、一般診

療所総数及び無床診療所数、歯科診療所数は年々増加していますが、有床診療

所数及び病床数は減少しています。これは、国及び県の状況と同様の傾向です。

■市内診療所数等の推移 各年 10 月1日現在

一般診療所

有床診療所 項目 総数

施設数 病床数 無床診療所

歯科診療所

平成 10 年 164 24 316 140 134

平成 15 年 183 16 214 167 147

平成 20 年 208 15 192 193 153

資料)病院名簿(愛知県)

注)平成 10 年、15 年の数値には、合併前の旧町村分を含む。

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【病院数と病床数】

2次医療機能を担う市内の「病院」数は、18施設です。

平成10年時点と比較すると、施設数は4施設減少しています。市内の病院

数は24施設をピークに減少しています。国は平成2年、県は平成元年をピー

クに施設数が減少しています。

市内の病院病床数は、平成20年に3,010床で、平成5年(3,249床)

をピークに、微増減はあるものの減少傾向で推移しています。同様に、国は平

成4年、県は平成3年をピークに減少しています。

なお、西三河北部医療圏では、平成20年10月現在で、病院数は20施設、

病床数は3,305床となっています。

■市内病院数等の推移 各年 10 月1日現在

病床数

項目 病院数 総数 一般病床 療養病床 精神病床

感染症

病床

平成 10 年 22 3,206 2,154 90 942 20

平成 15 年 20 3,102 1,961 311 824 6

平成 20 年 18 3,010 1,921 354 729 6

資料)病院名簿(愛知県)

注)平成 10 年、15 年の数値には、合併前の旧町村分を含む

注)平成 10 年の「感染症病床数」は、「伝染病床数」(平成 11 年の法施行により、

伝染病床は感染症病床に改められた)

注)平成 10 年の「一般病床」は「一般病床」から「療養型病床群」を除いたもの

注)平成 10 年の「療養病床」は、「療養型病床群」

■西三河北部医療圏内の病院数等 平成 20 年 10 月1日現在

病 床 数

再 掲 項目 病院数 総数

一般病床 療養病床 精神病床 感染症病床

西三河北

部医療圏

20

(0.4)

3,305

(68.3)

2,042

(42.2)

528

(10.9)

729

(15.1)

6

(0.1)

豊田市 18

(0.4)

3,010

(71.0)

1,921

(45.3)

354

(8.3)

729

(17.2)

6

(0.1)

三好町 2

(0.3)

295

(49.4)

121

(20.3)

174

(29.2)- -

★参考

愛知県

334

(0.5)

68,356

(92.4)

40,868

(55.2)

13,788

(18.6)

13,272

(17.9)

64

(0.1)

資料)病院名簿(愛知県)

注) ( )内の数字は、人口万対比

注)愛知県には、他に結核病床が364床ある

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【市内の1次医療・2次医療提供体制の現状】

市内には、急性期症状・高度医療に対応する「豊田厚生病院」と「トヨタ記

念病院」、主に旧東加茂地区の中山間地の医療を担う「足助病院」、主に第 1 次

救急医療を担う「地域医療センター」の4つの基幹病院と、専門医療やかかり

つけ医の役割を担うその他の病院・診療所の機能分担と連携により、1次(通

院)から2次(入院)医療機能までの提供体制が確保されています。

なお、平成20年1月の豊田厚生病院の移転新築により、救命救急センター

が新設され、災害拠点病院機能や高度専門医療機能の充実が図られたため、市

内の医療機能はさらに充実しました。

②救急医療提供体制の現状

救急医療とは、交通事故等によるけがや、診療時間外(夜間・休日)の急病

で、緊急の医療を必要とする患者を対象にするものです。迅速・効率的に対応

するため、治療の内容等に応じて、第 1 次から第3次救急医療体制に区別し、

それぞれ医療機関が設定されています。

【市内の救急医療提供体制の現状】

第1次救急医療には、24時間365日、地域医療センターが対応するほか

に、休日の昼間については、豊田加茂医師会が休日救急内科診療所、外科在宅

当番医制により対応しています。なお、重症と判断されれば、第2次、第3次

救急医療を担当する病院に患者を搬送します。

第2次救急医療は、入院や緊急手術が必要な重症患者に対応します。市内の

豊田厚生病院、トヨタ記念病院、足助病院、地域医療センターと三好町の三好

町民病院の5病院が、夜間・休日に輪番で対応しています。

また、小児の救急重症患者に対応する小児第2次救急医療は、豊田厚生病院

とトヨタ記念病院の2病院が、夜間・休日に当番で対応しています。小児に対

応する体制が確保されているのは、県内では、豊田市・三好町で構成する西三

河北部医療圏と名古屋医療圏の2医療圏のみです。

第3次救急医療は、豊田厚生病院の救命救急センターが、脳卒中、心筋梗塞、

頭部損傷などの重篤救急患者の救命医療を24時間体制で対応します。

このように、豊田市内では、第1次から第3次までの救急医療提供体制が確

保されています。「豊田市医療対策懇話会」でも、県内の他の医療圏と比較して、

この医療圏は救急医療体制が整備されていると評価しています。

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■豊田市の医療提供体制現状図

注)地域周産期母子医療センター

地域(2次医療圏)において、周産期〔妊娠後期から新生児早期、一般には妊娠満

22 週から出産後 7日まで〕医療の中心的役割を果たす施設で、県知事が指定 注)災害拠点病院

災害時に、医療救護活動の拠点となる病院として、県知事が指定

注)地域がん診療連携拠点病院

全国どこに住んでいても均しく高度ながん医療を受けることができるよう、厚生

労働大臣が指定する病院。2次医療圏に 1 か所程度指定される。他に、都道府県

に概ね 1 か所指定される都道府県がん診療連携拠点病院がある。

注)へき地医療拠点病院

無医地区の住民に対する巡回診療や、へき地診療所への医師の派遣などを行う病

院。県知事が指定

連携

他の病院

診療所

トヨタ記念

病院

513 床

豊田厚生

病院

606 床

地域医療

センター

150 床

足助病院

203 床

4 基幹病院

・救命救急センター

・地域中核災害拠点病院

・地域がん診療連携拠点病院

・小児第2次救急医療(輪番)

・地域周産期母子医療センター

・地域災害拠点病院

・小児第2次救急医療(輪番)

・第1次救急医療 ・へき地医療拠点病院

・第2次救急医療(輪番)

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(4)医療提供体制の課題

市内には、1次医療(通院医療)から2次医療(入院医療)まで、また、第

1次救急医療から第3次救急医療までの医療提供体制が整備されており、概ね

必要な医療機能が確保されています。

ただし、次に掲げる4項目については、特に、検討が必要な課題として、豊

田市医療対策懇話会で、対応策等について協議を進めています。

①夜間・休日の第1次救急医療提供体制の維持・充実

救急医療は、4つの基幹病院により体系的に必要な体制が確保されています

が、夜間・休日の診療時間外の患者の増加が続いています。

その多くは比較的軽症な患者が占めていますが、休日救急内科診療所や、主

に第1次救急を担っている地域医療センター以外の、第2次救急医療を提供す

る豊田厚生病院やトヨタ記念病院にも多くの患者が受診しています。

多数の軽症者が第2次・第3次救急を担当する病院の救急外来を受診するこ

とにより、重症患者の対応に影響がでることが懸念されています。

そのため、第2次・第3次救急を担当する病院への過度な患者の集中をなく

し、本来の第2次・第3次救急に専念できるように、第1次救急医療提供体制

の充実を図ることが課題となっています。

②高齢化の進展に伴う慢性期医療提供体制の充実

豊田市の高齢化は、今後急激に進むことが予想されています。高齢者は、病

気が長期化する傾向があるので、亜急性期も含め、日常生活への復帰のための

医療施設であるリハビリ施設や、慢性期対応の病床の確保が必要です。

一方、国(厚生労働省)は、35万床の療養病床(病床数は平成18年10

月時点のもので、医療療養病床23万床、介護療養病床12万床。回復期リハ

ビリテーション病棟は除く)を、平成24年度に、医療療養病床を約22万床

とし、約13万床分については、介護療養型老人保健施設等の介護施設等に転

換する『療養病床の再編成』を進めています。医療資源の再配分を行い、社会

的入院を解消する取組ですが、慢性期の医療提供体制のあり方については、国

の制度改革による影響等を考慮し、対応を検討する必要があります。

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③中山間地の医療提供体制の維持

平成17年4月の合併で、新たに市域となった旧町村地区は、へき地医療対

策の対象地域(愛知県保健医療計画)であり、無医地区が12地区、無歯科医

地区が15地区あります。特に、旧東加茂地区においては、足助病院が、地域

の中核的病院として2次医療、第2次救急医療、へき地医療拠点病院としての

機能を担っていますが、将来にわたりこの体制を維持していく必要があります。 中山間地においては、高齢化が既に進行しており、医療需要の高い地域であ

るため、医療提供体制を維持することが大きな課題です。

④市民が適切な受診行動をするための啓発と情報提供

全国的な課題として、「医師不足」、「救急患者の受入拒否」、「地域医療の崩壊」

など、医療現場の厳しさを伝える報道がよく伝えられています。

豊田市においても、医師、看護師等の確保が大変難しくなっています。今後

も必要な医療提供体制を維持していくために、人材の確保が大変重要な課題で

す。

*参考:豊田市の医療施設に従業する人口10万人あたりの医師数は132.5

人で、愛知県の180.7人、全国平均206.3人と比較して、下回

っている状況です(平成18年「医師・歯科医師・薬剤師調査」)

全国的に、夜間・休日の診療時間外に安易に受診するいわゆる『コンビニ受

診』が、勤務医の疲弊を招いていると問題視されています。救急医療は、緊急

に治療が必要な人のために、地域になくてはならないものです。

医療提供体制の維持には、限りある医療資源(医師等の人材、施設や機能等)

を適切に利用するという、受診する側の協力も不可欠です。そのため、市民が

医療機関それぞれの機能を正しく認識し、適切な受診行動をしていただくため

の啓発と情報提供を進めていくことを課題としています。

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第2章 地域医療センターの現状と課題

1 沿革

①現状

・昭和54年12月に本体施設が竣工、翌年から業務を開始しました。

・設立以来、『救急医療』、『健診・検査』、『看護師養成』を業務の3つの柱とし

て、その内容の充実に取組みながら、現在に至っています。さらに、『救急医

療』、『健診』業務との関連や、かかりつけ医との連携に対応するため、『外

来・入院診療』を充実してきました。

・また、高齢化社会への対応のため、平成4年に市の委託を受けて、地域ケア

支援センターを開設、平成10年1月には『療養型病床群(現療養病床)』を

設け、また『訪問看護ステーション』を設置するなど、『在宅支援』への取組

みを進めてきました。

②課題

・時代の要請に合わせて、機能の付加・充実や病床数の増床を図ってきました

が、今後も、医療行政の動向や他の医療機関との機能分担など、情勢を見な

がら機能・病床数などを調整していく必要があります。 ■主な沿革と病床数の推移

年 内 容 病床数 昭和 52 ・財団法人豊田地域医療センターの法人設立登記

昭和 53

・診療所の開設許可、巡回診療業務(胸部・胃部X線検診車)開

始 ・豊田加茂医師会准看護婦学校を移管し、附属准看護婦学校開校

昭和 54 ・地域医療センター本体竣工

昭和 55

・豊田地域看護専門学校(医療専門課程看護科)を開校 ・診療所を廃止し、一般病床 13 室 30 床の病院を開設 ・総合健診(人間ドック)、救急外来診療、入院診療、休日救急

歯科診療、病院群輪番制による2次救急医療業務開始 昭和 59 ・豊田地域看護専門学校に附属准看護婦学校を統合

一般 30

昭和 61 ・一般病床を 20 室 50 床に増床、宿泊ドック開始 一般 50

昭和 62 ・市伝染病隔離病舎 10 室 20 床竣工 一般 50

感染 20

平成3 ・健診処理人員増、病床 30 床増床、外来診療充実のため南棟増

平成4 ・市の委託を受け、地域ケア支援センター開設

一般 80

伝染 20

平成 10 ・療養型病床 13 室 40 床増床

・豊田地域訪問看護ステーション開設

一般 80

療養 40

伝染 20

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年 内 容 病床数

平成 11

・MRI棟増築、法改正で伝染病隔離病舎を廃止し、第二種感染

症指定医療機関に指定(5室6床)、豊田地域ヘルパーステーシ

ョン開設 平成 12 ・豊田地域居宅介護支援センターを開設 平成 14 ・豊田看護専門学校医療高等課程准看護科を廃止 平成 15 ・豊田地域看護専門学校3年課程全日制を開設 平成 17 ・豊田地域看護専門学校2年課程定時制を廃止

一般 80

療養 40

感染 6

平成 19 ・救急外来、健診部門で不足する診察室等の場所の確保や病床の

療養環境整備を目的とした西棟増築、病床 30 床増床

一般 110

療養 40

感染 6

平成 20 ・第二種感染症指定医療機関の指定辞退(6床) ・日本医療機能評価機構による認定取得

一般 110

療養 40

2 施設概況

①現状

・総敷地面積は、33,505.90㎡(職員駐車場としての借地分は除く)で、

このうち、病院本体(MRI棟含む)の延床面積は17,929.94㎡です。

②課題

・北・中棟については、平成30年度に法定耐用年数を迎えます。設備・建物

の経年劣化による老朽化が進み、その対応が必要となっています。

・ユニバーサルデザインへの対応が十分でありません。しかし、機能の充実や

利用者に快適な環境の確保を図るには、スペースの不足や構造的な問題から、

対応が難しい状況にあります。

・施設がIT化に対応した構造になっていないため、IT化への対応が遅れて

います。

■各施設の構造、規模等 平成 21 年2月現在

項 目 構 造 建築面積

(㎡)

延床面積

(㎡) 建築年月

病院 北・中棟 2,674.30 8,736.20 S54.12

病院 南棟

鉄筋コンクリート造 地下1階 地上4階建 1,760.45 6,949.88 H8.3

病院 西棟 鉄骨造 2階建 1,102.70 2,124.50 H19.7

病院 MRI棟 鉄筋コンクリート造 平屋 119.36 119.36 H11.3

旧 感染症病棟 鉄筋コンクリート造 地下1階 地上2階建 311.08 651.01 S62.3

地域看護専門学校 鉄筋コンクリート造 3階建 1,173.57 3,029.73 H15.3

体育館 鉄筋コンクリート造 平屋 一部2階建 621.69 686.99 S54.11

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3 設置・運営

①現状

・豊田市、社団法人豊田加茂医師会、豊田市歯科医師会(現社団法人豊田加茂

歯科医師会)の3者が、『地域医療の24時間体制確立のための時間外救急医

療の提供』、『各種健診・検査の実施』、『看護師の養成』を目的に、昭和52

年10月に設立した「財団法人豊田地域医療センター(以下、「財団法人」と

いう。)」が運営主体です。

・豊田市が財団法人の基本財産や建設総事業費を負担し、財団法人が運営する

「公設民営」の施設です。

・医師の確保は、設立以来、藤田保健衛生大学に全面的に協力していただいて

います。

②課題

・救急医療提供体制の確保をはじめとして、今後も、医師の確保については、

藤田保健衛生大学の全面的な協力が必要です。

・将来にわたり必要な医師を確保していくために、藤田保健衛生大学からの医

師派遣を中心としながら、一部の分野においては、他の手段による医師確保

をしていく必要もあります。

4 業務の状況 (1)診療科目

・平成20年4月にリハビリテーション科を、6月に、泌尿器科を新たに設け

て、14の診療科目に対応しています。

【診療科目】

内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、小児科、神経内科、

外科、整形外科、脳神経外科、婦人科、泌尿器科、リハビリテーション科、

放射線科、歯科

(2)救急医療

①現状

・地域医療センターは、第1次救急医療から第2次救急医療までをカバーする

医療機関です。特に第1次救急医療には、24時間365日対応しています。

・また、医師会立の休日救急内科診療所と、同一敷地内に立地していることか

ら、バックアップ(後方支援)病院としての役割を担っています。

・第2次救急医療の輪番日は、「毎週日曜日の昼間と夜間」です。

・小児科医は、土曜日・年末年始の夜間に配置しています。

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②課題

・夜間・休日の時間外患者数は、年々減少しています。平成19年度は26,

221人で、平成15年度の患者数の78.4%となっています。地域医療セ

ンターでの時間外患者の受け入れが減少した分、第2次、第3次救急医療に

対応する他の病院の負担が増加しているものと推測されます。

・なお、平成20年4月~9月の平日の深夜(午前0時)から早朝(午前8時)

までの時間帯の患者数は平均6.4人と、大変少ない状況となっています。対

応時間帯について、全市的な救急医療体制の状況を踏まえて、検討する必要

があります。

・小児科、整形外科の常勤医師の不在、専門診療科が限られるなどの理由から、

第2次救急医療に相当する患者を他の病院に転送する場合があるなど、第2

次救急の一部については、他の医療機関のバックアップを必要としています。 第2次救急医療の輪番日の体制としても、地域医療センターは、単独ではな

く、豊田厚生病院、トヨタ記念病院のいずれかの病院と当番日を担当してい

る状況です。 ・第1次救急を堅持し、市民の安全、安心を確保していくために、第1次救急

に加えて第2次救急機能をさらに強化していく必要があります。 ・常勤医師が少ないため、当直医師の多くを藤田保健衛生大学に頼っています。

今後、藤田保健衛生大学からの医師の供給が難しくなることがあるとすれば、

直ちに、救急医療提供体制の維持に大きく影響することになります。

■時間外・休日患者数の推移

項 目 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度

内 科 16,002 14,827 15,799 15,457 15,729

小児科 6,604 6,035 5,125 3,461 2,865

外 科 10,227 8,642 7,967 7,377 7,048

歯 科 626 619 586 585 579

計 33,459 30,123 29,477 26,880 26,221

注)小児科は、満 15 歳以下

(3)外来・入院診療

①現状

・診療時間内の外来患者数は、内科系外科系ともに減少しています。平成19

年度の患者数は28,988人で、平成15年度の患者数の81.9%です。

・一般病床の入院患者数は、平成16年度に減少していますが、以降増加傾向

にあります。平成19年度の患者数は23,113人で、平成15年度の患

者数の110.9%です。また、平成19年度の平均在院日数は19.3日、

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病床利用率は78.4%です。

・療養病床の入院延患者数は、微増傾向にあります。平成19年度の患者数は

12,906人で、平成15年度の患者数の121.6%となっています。ま

た、平成19年度の平均在院日数は31.9日、病床利用率は88.2%です。

②課題

・地域医療センターが、今後、第2次救急医療を充実していくには、必然的に

入院患者への対応が必要となります。そのためには、常勤医の確保や、整形

外科、脳神経外科、循環器内科、小児科等の診療科の充実が課題となり、外

来診療のあり方と併せて検討していく必要があります。 ・現状で市内に不足している「回復期」、「慢性期」の患者の受け入れを、地域

医療センターが担っていく必要があります。そのため、急性期病院を退院し

た患者の受け入れのための病病連携を強化する必要があります。 ・さらに、地域医療センター退院後の患者の受け入れ先となる病院や福祉施設

等、関連機関との連携を強化し、地域の中で、慢性期患者を支える体制づく

りを検討する必要があります。

■診療時間内 外来患者数の推移

項 目 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度

内科系 19,758 21,278 22,172 16,013 15,462

外科系 15,627 13,795 13,751 12,754 13,526

計 35,385 35,073 35,923 28,767 28,988

■入院延患者数の推移

項 目 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度

内科系 12,880 9,801 12,791 14,179 15,242

外科系 7,970 4,502 4,937 9,663 7,871 一般

病床 計 20,850 14,303 17,728 23,842 23,113

医療保険 5,061 5,653 5,799 6,694 6,515

介護保険 5,549 5,354 6,241 6,585 6,391 療養

病床 計 10,610 11,007 12,040 13,279 12,906

感染症病床 4 51 6 0 0

合 計 31,464 25,361 29,774 37,121 36,019

注)19 年 12 月末日をもって、感染症病床を廃止

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(4)健診

①現状

・各種健診事業の実施について、地域医療センターは、市内において中心的な

位置を占めており、市民にもその存在は定着しています。特に、市が政策的

に必要とし、行ってきた学童健診や、小規模事業所従業員健診等の他の医療

機関が参入しにくい業務に関しては、そのほとんどを地域医療センターが実

施しています。 ・総合健診(人間ドック)受診者数は、増減があるものの、微増傾向で推移し

ています。平成19年度の受診者数(脳ドック・肺ドック受診者を除く)は、

23,080人で、平成15年度の受診者数の102.7%です。

・従来、老人保健法による健康診査を実施してきましたが、医療制度改革の一

環として成立した高齢者の医療の確保に関する法律により、平成20年4月

から、新たに、特定健診・特定保健指導を実施しています。

・集団検診受診者数は、増減があるものの、微増傾向で推移しています。平成

19年度の受診者数は391,845人で、平成15年度の受診者数の102.

7%です。

・平成20年度に、常勤 1 人、嘱託 1 人の健診業務専任医師を採用し、健診

業務専任医師は常勤2人、嘱託3人の体制で対応しています。 ②課題 ・読影や結果判定等を行う医師の不足、健診システムが古く、十分な機能を持

っていないことなどの理由で、健診結果の通知に2週間程度の期間を要して

いるため、健診結果の通知期間の短縮を検討して行く必要があります。

・1日の総合健診(人間ドック)等の対応人数は、100人程度ですが、最大

130人程度の受け入れを行うこともあります。また、希望時期での受診が

難しい場合もあります。

■総合健診(人間ドック)受診者数の推移

項 目 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度

宿泊ドック 116 109 100 96 96

日帰ドック 14,953 14,618 12,707 13,152 13,608

政府管掌 6,312 6,882 7,010 7,375 7,479

豊田市健診 1,096 1,529 1,368 1,580 1,897

脳ドック 818 933 914 1,097 1,566

肺ドック 118 188 244 244 270

合 計 23,413 24,259 22,343 23,544 24,916

注)合計は、延べ人数

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■老人保健法による健康診査受診者数の推移

項 目 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度

基 本 健 診 4,573 4,687 5,871 6,433 7,181

胃がん検診 3,549 3,587 4,715 5,061 5,612

大腸がん検診 3,644 3,823 4,927 5,522 6,088

子宮がん検診 1,922 1,831 1,256 1,281 1,403

肺がん検診 3,319 3,539 4,473 5,023 5,515

乳がん検診 2,174 2,233 1,363 1,467 1,614

肝 炎 検 診 677 682 794 622 81

前立腺がん検診 - 1,360 1,692 1,732 1,876

合 計 19,858 21,742 25,091 27,141 29,370

注)合計は、延べ人数

■集団検診受診者数の推移

項 目 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度

児童・生徒 95,018 93,085 90,747 90,688 91,090

教 職 員 18,103 19,134 21,378 20,303 22,096

市町村職員 20,524 19,971 22,200 22,321 21,447

事 業 所 223,599 219,372 222,994 249,972 253,031

住 民 24,463 20,301 4,240 4,379 4,181

合 計 381,707 371,863 361,559 387,663 391,845

注)各項目の人数は、検査項目ごとの延べ人数

(5)看護師養成

①現状

・1学年40人定員、3年課程全日制の専門学校として、平成19年度につい

ては104人を養成しました。

②課題

・少子化の中、質の高い学生の確保に努めていく必要があります。

・看護師養成が、地域医療センターを中心として、市内で就業する看護人材の

確保につながるような取り組みが必要です。

■看護師養成の状況

養 成 者 数 1年次 2年次 3年次 計 国家試験合格率

平成 15 年度 40 - - 40 -

平成 16 年度 39 40 - 79 -

平成 17 年度 40 37 39 116 97.4%

平成 18 年度 40 38 37 115 94.3%

平成 19 年度 33 36 35 104 100.0%

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5 決算の状況

①現状

・平成19年度の一般会計の決算額は、収入総額32億9千万円、支出総額

32億8千9百万円でした。収入のうちの負担金4億5千2百万円は、市が

負担するものです。

②課題

・救急医療、看護師養成など、不採算でも実施することが必要な事業について

は、市の負担金による対応が必要となります。そのため、適切な負担金のあ

り方について、検討する必要があります。 ・経営改善に引き続き努力する必要があります。 ■一般会計 単位:千円

項 目 平成15年度 平成 16年度 平成 17年度 平成 18年度 平成 19年度

事業活動収入 2,936,813 2,940,143 3,020,065 3,230,210 3,221,013

医業収入 2,499,216 2,444,023 2,502,289 2,621,403 2,654,395

・入院診療収入 705,145 625,942 700,841 849,855 826,819

・外来診療収入 613,556 616,087 597,247 538,075 545,312

・保健予防活動収入 1,151,523 1,171,837 1,171,938 1,212,329 1,257,267

看護学校事業収入 32,577 33,780 33,148 32,569 33,490

補助金等収入 86,577 85,309 73,290 68,089 65,979

負担金収入 299,000 363,000 400,000 496,805 452,000

内訳(主なもの)

特定資産運用収入 2,801 3,018 3,318 3,917 8,053

投資活動収入 30,274 51,228 63,630 12,319 69,278

収入合計 2,967,087 2,991,371 3,083,695 3,242,529 3,290,291

項 目 平成15年度 平成 16年度 平成 17年度 平成 18年度 平成 19年度

事業活動支出 2,898,441 2,893,879 3,035,587 3,005,410 3,189,265

医業費支出 2,552,708 2,504,566 2,707,822 2,668,063 2,844,902

看護学校事業支出 201,875 230,200 156,927 152,411 171,463

管理費支出 143,858 155,293 167,774 173,299 171,558

内訳(主なもの) 特別会計への繰入金 0 3,820 3,065 11,638 1,342

投資活動支出 68,031 97,235 85,143 236,991 100,269

支出合計 2,966,472 2,991,114 3,120,730 3,242,401 3,289,534

一般会計収支差額 616 257 △ 37,035 127 756

注)単位未満を四捨五入のため、収入合計と支出合計の差が、収支差額と合わない場合がある

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■特別会計 単位:千円 項 目 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度

事業活動収入 48,133 50,730 51,120 81,966 84,799

訪問看護事業収入 26,725 28,280 30,637 29,017 32,421

訪問介護事業収入 12,773 11,299 10,040 11,940 12,405

居宅介護支援事業 8,635 7,331 7,338 8,036 9,960

包括支援事業収入 - - - 2,812 3,634

補助金等収入 0 0 0 18,500 25,000

内訳(主なもの)

一般会計から繰入金 0 3,820 3,065 11,638 1,342

項 目 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度

事業活動支出 51,443 50,265 51,308 81,966 84,799

訪問看護事業費 24,098 23,805 27,113 34,885 31,265

訪問介護事業費 16,396 15,074 12,691 11,771 13,408

居宅介護支援事業 10,949 11,386 11,504 14,124 14,366

包括支援事業費 - - - 21,187 25,760

特別会計収支差額 △ 3,311 465 △ 188 0 0

注)単位未満を四捨五入のため、収入合計と支出合計の差が、収支差額と合わない場合等がある

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第3章 新・地域医療センターの基本的な考え方

1 新・地域医療センターの役割

現在の地域医療センターは、昭和55年に「24時間体制の救急医療の提供」、「健

診・検査」、「看護師養成」を3つの柱として開設されましたが、その後の医療を取

り巻く状況の変化から、現状は、「救急医療体制のうち、主に第1次救急医療」、「回

復期・慢性期患者の入院治療」、「健診」、「看護師養成」などに役割が変わってきて

います。

今後は、豊田市における公設の基幹病院として、「市民の健康診断・保健指導へ

の対応」、「夜間、休日の第 1次救急医療への対応」、「在宅医療支援も含めた高齢者

への対応」などについて、大きな期待が寄せられています。

「市民の健康診断・保健指導への対応」は、市民の健康への関心が高まっている

ことから今後もニーズが高いと予想されること、また、これまでもこの地域におけ

る健診受診者の多くを受け入れ市民の信頼を得ている実態や、学童検診など将来に

わたって確実な実施が求められる業務の維持など、地域医療センターが果たす役割

は大きいと考えられます。

「夜間、休日の第1次救急医療への対応」は、地域医療センターが主に担ってお

り、この地域の救急医療体制を維持していくために必要であり、市民の安心と安全

を守るためのセーフティネットとして重要な役割です。

「高齢者への対応」は、豊田市では高齢化が急速に進み、今後も高齢者の増加が

顕著になってきます。療養病床の再編成が国主導で進められていく中で、適切な医

療を受ける必要があっても、医療機関を利用できない方が多く発生する懸念があり

ます。そのため、公設の医療機関である地域医療センターで受け入れていく必要性

が増してきます。また、在宅医療支援への対応も今後の役割として期待されていま

す。

これらの市民のニーズが高い分野に対応していくためには、医師不足の状況の中

で、将来にわたって医師を確保していく必要があり、医師にとっても魅力が感じら

れる特色を持った病院として再生していく必要があります。

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2 基本的な機能の考え方

(1)健診

最新の検査機器と専門技術者による精度の高い健診の実施により、早期に癌や

生活習慣病等を発見できる体制と、早期軽症患者に対する治療体制の整備をめざ

します。

・総合健診(人間ドック)、特定健診の市民の受診希望日に応えるため、健診受

入れ人数の拡大を図ります。

・総合健診(人間ドック)の受診者に対しての医師による迅速な結果説明、相談・

指導、保健師による生活習慣病予防のための相談・指導体制の充実を行います。

・患者への負担が少ない低侵襲性診断・治療を積極的に取り入れ、特に内視鏡的

治療の整備を早急に行うなど、軽症患者への対応の強化をめざします。

・急激に増加する高齢者に対するメンタルヘルスケアも含めた健診、健康指導体

制を整備します。

・学童健診や小企業の従業員健診等の採算性の低い健診業務は、引き続き実施し

ます。

<課題>

・早期軽症患者に対する低侵襲性診断・治療の積極的導入は、医師にとっても魅

力向上につながります。一方で、魅力を維持するため、将来に向け段階的に高

度先進的な取組みを進めることが求められ、高額医療機器の導入が継続的に必

要となります。

・また、高度先進医療の提供については、この地域において高度専門医療を実施

する他の医療機関との競合が生じ、需要に比較して供給過剰につながる恐れが

あります。

(2)救急医療

豊田市の救急医療体制を維持していくために、従来から地域医療センターが担

っている第1次救急医療の継続と、第2次救急医療の一部について対応できる体

制の整備をめざします。

・第2次や第3次救急を担当する医療機関に多くの軽症患者が受診することによ

り、当該医療機関本来の機能が十分に発揮できなくなることが懸念されていま

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す。地域医療センターが多くの軽症患者を受け入れていることは、この地域の

救急医療体制の維持に大きな役割を果たしており、引き続き対応していきます。

・今後の豊田市の救急医療の需給のバランスをみながら、対応時間帯を含め見

直しを行い、継続して安定した救急医療の提供ができる体制を整備します。

・救急医療のバックアップ体制の強化と、患者の安全、安心を確保し、患者の希

望により継続して地域医療センターでの治療を受けることができるように、必

要な診療科目の設置をめざします。

・歯科救急医療については、最近は日曜日に診療している歯科医院や年中無休の

歯科医院もありますが、休日救急歯科として定着しており、今後も実施します。

<課題>

・第1次救急が中心では、医師にとっては魅力に欠けるため、医師不足の状況下

では医師確保は大変困難です。

・また、市民から十分な救急医療を実施する医療機関としての信頼を得ていくた

めには、病院としてのバックアップ体制の充実、診療科目およびこれに伴う医

療スタッフの充実が必要です。

(3)回復期・慢性期医療

高齢化の進展への対応、急性期病院を退院した患者の早期の社会復帰のため、

回復期・慢性期に対応する病床などの確保に努めます。

・病床の確保に加えて、療養環境の整備や、様々な病状の患者が安心して入院治

療が受けられる医療体制の整備を行います。また、在宅患者、老人保健施設や

特別養護老人ホーム等の入所者の容態が急変した場合にも対応できる体制整

備を進めます。

・急性期病院を退院した患者がリハビリテーションを継続して受けられるよう、

回復期リハビリテーション病棟の充実を進めます。

・患者の順調な社会復帰に向けて、退院後も充実した訓練が受けられる体制と、

在宅患者のために、訪問リハビリテーションの実施に向けた体制の整備を目指

します。

(4)在宅支援

国の在宅医療の推進に対応するため、回復期・慢性期医療機能と一体となって、

在宅支援の強化を進めます。

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・地域ケア支援センターは、高齢者対応の中心的役割を担う地域包括支援センタ

ー業務を行なっており、引き続き実施します。

・居宅介護支援センターは、療養病床、訪問看護、訪問介護、地域医療機関など

との連携を図るため、引き続き実施します。

・訪問看護ステーションは、退院後の在宅医療に対応するため、引き続き実施し

ます。

・訪問介護ステーションは、市内のサービス提供状況を見つつ、実施の必要性に

ついて、引き続き検討します。

<課題>

・地域医療センターにおいて、これまで以上に回復期・慢性期医療機能および在

宅支援を強化し実施していくためには、急性期の病院、開業医などとの連携を

一層緊密なものとしていく必要があります。

(5)看護師養成

1学年40人3年課程の看護専門学校の安定した運営と、継続した看護師の供

給を引き続き行います。

(6)その他

①外来診療

現行の14の診療科目をベースに、救急医療など、機能の充実に伴い必要と

なる診療科や、将来の需要を考慮した診療科の新設等について、今後、具体的

に検討していきます。

②地域に開かれた病院としての機能

市民が健康や医療、介護等について体験・学習ができ、NPO・ボランティ

ア活動を行うことができるなど、市民と共働できる地域に開かれた病院をめざ

します。

③後方拠点医療機関としての機能

災害時に、「豊田市医療救護計画」で定める「後方拠点医療機関」としての

機能が発揮できるよう施設面も含め体制の整備を進めます。

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3 今後の検討課題

新・地域医療センターについて、「救急」と「健診(予防)」機能を強化し、特

に、「夜間・休日の救急医療の充実」、「病気予防のための健診(早期発見・早期治

療)の充実と、健康・医療について学ぶ場の整備」を重点に、現状の地域医療セン

ターの病院機能に新たな機能を加えて、新しい地域医療センターを構築していくこ

とを基本として基本構想の策定を進めてきました。

①運営形態等について

これまでに掲げた機能をすべて実施していくことは、市民にとってメリットでは

ある一方、すべてを実施するための医師確保の困難性はもとより、大規模な病院と

なり、維持に当たって大変な赤字となる可能性もあります。

救急医療など、不採算であるが政策的に確保しなければならない機能に対する公

費支出は必要ではありますが、この点からの詳細な検討が必要です。

また、新・地域医療センターの運営形態としては、指定管理者に管理を委託する

方法や、建物を譲渡または貸与し、民間の医療法人等が運営する民営化による方法

等があります。政策的な医療を継続的に実施し、かつ、効率的な運営を行うのに最

も適する運営形態について、担う機能に係る収支予測等を含めて、具体的に検討し

ていく必要があります。

②医師確保について

近年の医師不足の状況で、この地域において新・地域医療センターに必要とされ

る機能と、医師確保の見込みの関係からの機能の実現の可能性など、基本構想を検

討するうえで大きな問題となりました。

引き続き、具体的かつ詳細な検討を進める中で、地域医療センターに対して医師

派遣の面からバックアップしている藤田保健衛生大学とも協議を進め、医師からも

魅力が感じられる機能の整備も十分考慮する必要があります。

③新・地域医療センターへの市民の理解について

地域医療センターが新たに生まれ変わるこの機会に、市民にも新・地域医療セン

ターの「意義」をしっかりと認識してもらうことが大変重要であり、このためにも、

市民のニーズに合致する「特色」を持たせた医療機関としていくことが必要です。

今後、新・地域医療センターが果たす機能の具体的かつ詳細な内容については、

他の医療機関との役割分担と連携を図ることを念頭に、豊田加茂医師会をはじめ医

療関係者とも協議しつつ、具体的な検討を進める必要があります。

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第4章 施設整備の考え方

新・地域医療センター施設の整備方法として、本基本構想では、「現地建替」、「一

部移転」、「全面移転」の3つの選択肢を想定し、特徴等についての整理を行うこと

とします。

1 新・地域医療センターの規模

新・地域医療センターの規模を検討するには、患者数を想定し、それに基づく診

療規模を設定する必要があります。「一部移転」、「全面移転」については、患者

数は、その立地場所により影響を受けるものと考えられますが、今回は現状をベ

ースとした想定により検討することとします。 豊田市の将来人口は、平成32年の43.3万人をピークに減少していくものの、

65歳以上人口については、平成42年時点でも増加が継続していくと予測され

ています(4ページ参照)。このため、豊田市全体の患者数と健診受診者数は、

現状と比較して増加するものと予想されます。

(1)診療規模

①外来(救急を含む)規模

平成19年度の専門外来患者数は、1 日平均98人、救急外来患者数は、1

日平均72人です。

開院時及び将来の1日平均外来患者数の想定は、新・地域医療センターの機

能、診療科目等によるところが大きいため、今後、それらの詳細な検討を進め

る中で、外来規模について整理するものとします。

②健診規模

新・地域医療センターは、「健診(予防)」機能の強化をめざしています。

平成19年度の総合健診(人間ドック)受診者は、1日平均85人です。し

かし、時期によっては、受診希望が集中することから、現状では、1日あたり

100人( 大130人)程度の受け入れ規模を確保しています。

総合健診の主な対象年齢となる40~64歳人口は、平成32年には6%程

度、平成42年には9%程度増加する見込です。

一方、平成20年4月~21年1月の特定健診受診者は、1日平均28人で

した。特定健診の受診率向上には、市も今後取組む方向です。また、65歳以

上人口は、平成32年には42%程度、平成42年には60%程度増加が見込

まれます。

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以上のことから、他施設の健診受け入れ可能数に変化がないとすれば、地域

医療センターの健診受診者は、今後も増加が見込まれます。

③病床数の想定

三好町を含めた「西三河北部医療圏」の将来入院患者概数を、平成17年「患

者調査」結果と「将来人口推計」から推計すると、平成22年に3.6千人、

平成32年に4.5千人、平成42年に4.8千人と予測されます。患者数の増

加は、65歳以上の患者数の増加によるものです。

このことから、新・地域医療センターの入院患者数は、増加していくものと想

定します。

平成19年度の一般病床110床の病床利用率は78%、療養病床40床の

病床利用率は88%です。

本基本構想では、患者増加分を病床利用率の引き上げにより対応するものと

し、新・地域医療センターの病床数を、現状の一般病床110床、療養病床4

0床を維持した計150床規模と想定します。 なお、病床数を具体的に設定していくには、今後の患者数や疾病内容の変化

等を考慮し、ニーズに応じ、かつ効果的な病床利用が可能となる病床数・病床

区分(一般病床、療養病床)等を詳細に検討することが必要となります。ただ

し、療養病床については、国の療養病床の再編による影響を見越して、40床

を維持していく方向とします。

■西三河北部医療圏の病院の将来推計入院患者数(患者住所地)

平成22年 平成32年 平成42年 項 目

人 口 患者数 人 口 患者数 人 口 患者数

総 計 483 千人 3.6 千人 501 千人 4.5 千人 499 千人 4.8 千人

0~14 歳 76 千人 0.2 千人 70 千人 0.2 千人 60 千人 0.2 千人

15~64歳 329 千人 1.4 千人 321 千人 1.4 千人 317 千人 1.4 千人年齢別

人口 65歳以上 78 千人 2.0 千人 110 千人 2.9 千人 122 千人 3.2 千人

注)各年患者数=各年各年齢別人口×「17 年患者調査」の各年齢別患者率

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(2)施設規模

①施設規模の考え方

病院施設の規模は、その病院の性格・役割、今後の医療制度の変革と医療を

取り巻く技術の進歩などによって大きく異なってきます。

現時点では、診療規模等の詳細が具体的になっていないため、ここでは、現

状の地域医療センターの延床面積・機能別面積等をベースとして、新・地域医

療センターの整備に必要な規模の概算について想定します。

②施設規模の想定

地域医療センターの病院本体の延床面積は約17,930㎡で、そのうち、

健診部門の床面積は約2,700㎡です。新・地域医療センターでは、健診機

能の充実による健診受診者の増加や相談スペースの確保等を見込み、健診部門

の床面積を4,000㎡と想定します。

外来、病床数の想定は、現状ベースとしているため、延床面積についても現

状と同規模と想定します。

しかし、現状で不足している食堂、浴室、会議室等のスペースの充実が必要

です。また、基本的な機能として掲げた「市民が健康や医療、介護等について

学習等を行う場、NPO・ボランティア活動を行う場」や「災害時に対応でき

る施設機能の整備」に関連するスペースの確保が新たに必要となります。さら

に、職員の安定確保のために、保育所の設置など、職場環境の改善につながる

スペースも必要です。ただし、必要となる施設内容についての詳細が検討され

ていないため、ここでは、仮に2,600㎡程度と見込みます。

以上から、「現地建替」または「全面移転」により施設整備を行う場合の、

病院本体の施設規模の試算は、22,000㎡程度となります。

なお、看護学校等の他施設の建物規模については、今後の情勢変化等もある

ため、今回は敷地の確保のみを検討することとします。

(3) 敷地規模

ここでは、全面移転を選択した場合の必要敷地面積について整理します。

①敷地内建物の想定

開院時には、敷地内に、病院本体と、敷地内施設として、患者・職員の駐車

場、看護師宿舎・医師住宅等の居住施設や、リハビリ庭(屋外訓練場)が必要

です。

なお、将来的には、看護学校、看護学校体育館を整備することとします。

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②敷地面積の想定

病院本体の階層については、機能の詳細が整理された段階で、具体的に検討

する必要がありますが、便宜上、想定延床面積22,000㎡を、例えば平均

3階建てで整備するとした場合、建築面積は7,300㎡となります。

病院本体部分の敷地面積は、アプローチや建物間隔を考慮して、建ぺい率を

50%程度と見込むと、建築面積7,300㎡の場合は、14,600㎡程度

と想定されます。

駐車場は、開院当初で計600台(外来他150台、健診150台,職員3

00台)と、検診車等の業務用車両用に30台分程度が必要と考えられ、面積

としては、16,000㎡程度必要と見込みます。

看護師宿舎・医師住宅は必ずしも病院と同一敷地内である必要はありません

が、看護師宿舎のうち1~2棟は同敷地内とする例が多くみられます。医師住

宅も単身医師のみの共同住宅の例は多くあります。看護師宿舎 1棟、単身医師

共同住宅1棟を、敷地内に確保するとした場合、必要な敷地面積は、駐車場を

含めて、3,000㎡~5,000㎡程度と想定します。

さらに、リハビリ庭の用地は、2,000㎡と想定します。

緑地については、敷地面積全体の25%程度を目標として、12,500㎡

~13,000㎡と見込みます。

また、将来的に、看護学校、看護学校体育館、看護学校教員・学生用駐車場

100台を整備する際の用地として、4,000㎡を見込みます。

以上を合計すると、敷地面積は、50,000㎡~55,000㎡程度となり

ます。

緑地等も含めて、この程度の敷地が確保できれば、次の法定耐用年数経過後

の敷地内での全面建替えも可能と考えられます。

なお、この面積は、敷地が概ね平坦地で全敷地が有効に利用できる場合の面

積であり、段差が大きく有効に利用できない法面等の面積が多い場合、開発時

に調整池等が必要とされ敷地内に含まざるをえない場合には、さらに広い敷地

(10,000㎡以上)が必要となってきます。 ■敷地面積想定(概算)

項 目 想定面積(㎡)

本体 14,600

駐車場 16,000

看護師・医師住宅(駐車場含む) 3,000~5,000

リハビリ庭 2,000

緑地(敷地全体の25%程度) 12,500~13,000

看護学校・体育館等(駐車場含む) 4,000

合 計 52,100~54,600

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2 施設整備の方法

(1)施設整備の基本方針

新・地域医療センターが、その役割を果たしていくために、次の基本方針に沿

って整備します。

①利用しやすく快適な環境整備

病院を訪れるすべての市民にとって利用しやすい施設を整備するとともに、

心が落ち着き、癒される環境の整備に配慮します。

また、救急患者、外来・入院患者、健診受診者、学習やボランティアをする

ために訪れる市民など、来院者の来院目的は様々であることから、適切な空間

構成と動線が確保されるようにします。

病室は、4人床を中心に、個室も設け、プライバシーの尊重とアメニティを

重視します。

②安全・安心な施設構造

災害時に対応できる耐震・免震工法の導入など、安全な施設機能の整備をし

ます。また、全ての人にやさしいユニバーサルデザインとします。

③地球環境と経営を考えた施設構造

省エネルギー・地球温暖化防止に配慮した地球環境にやさしい施設を整備し

ます。

併せて、経済性を十分に考慮し、ライフサイクルコストを低減し、維持管理

に配慮します。

④状況の変化に柔軟に対応できる施設の整備

医療需要の変化や医療技術の高度化に対応できる構造やスペースの確保な

ど、柔軟性のある施設構造とします。

また、今後、情報技術の進歩によって、医療を巡る情報環境に予想を越えた

変化が生じても、柔軟に対応できる施設整備をめざします。

⑤職員にとって働きやすい職場環境の整備

職員を安定的に確保するため、保育所や宿舎の整備など、職員が働きやすい

職場環境に配慮します。

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(2)施設整備の方法

施設整備の方法として、①現地建替、②一部移転、③全面移転の3つの選択

肢の特徴について整理します。

現状の病院機能を維持しながら、施設整備を行うこと、施設整備の範囲には、

看護学校・看護学校体育館は含めないことを前提条件とします。

①「現地建替」の特徴

現敷地内で機能を維持しつつ、順次建物を建替える案です。

・用地取得の必要がありません。また、土地取得費は不要です。

・周辺住民・医療機関に与える環境の変化が、少なく済みます。

・敷地面積が狭いため、建物の分散化・高層化や駐車場の確保等に工夫が必

要です。

・敷地面積には再開発のゆとりもありますが、既存施設の制約などがあり、

建築工事を2期に分けて行う必要があります。

・建替期間中、騒音等により、入院患者の療養環境が悪化する恐れがありま

す。また、駐車場用地の制限により、外来患者・健診受診者の利便性が低

下する恐れもあります。

・近隣に豊田厚生病院が立地しているため、救急医療のうち、第2次救急医

療については機能が競合します。

②「一部移転」の特徴

新敷地を選定し、救急等の機能を分散して新設し、現敷地も活用する案です。

・一部移転先で整備する機能については、設計の自由度が高いため、合理的

な建設が可能であり、また、比較的早期に整備することができます。

・新敷地と現敷地の連携を可能にする配慮が必要です。

・施設を分散して整備することで、他の案と比較して、人材が多く必要であ

り、医療機器も重複して必要となり、運営面では非効率となります。

・用地取得に時間がかかると考えられます。

③「全面移転」の特徴

他の医療機関との機能分担と連携を考慮し、新・地域医療センターの機能を

発揮するのにふさわしい用地を選定して、全面移転する案です。

・現在地よりも設計の自由度が高いため、 も合理的な建設が可能であり、

他の案と比較して、完成度は高くなります。

・機能が十分発揮できる用地が選定できれば、市全体の救急医療提供体制の

充実が期待できます。

・用地取得に時間がかかると考えられます。

・他の案と比較して、建設費がかかります。

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(3)整備手法について

公共施設の設計、建設、維持管理、運営等を、民間の資金、経営能力等を活用

して行うPFI方式により、自治体病院の施設整備・運営を行う手法があります。

施設整備をPFI方式により行うと、民間の持つノウハウが発揮しやすいこと

から、財政負担の軽減が期待されるといわれています。一方で、契約までの手続

きが非常に煩雑で、着工までに時間と費用を要するなどのデメリットもあります。

現状では、PFI導入事例が限られているため、実績の評価が難しい状況にあ

りますが、先進事例の検証や整備に関わる財政負担など、PFI方式による施設

整備の是非も含めて、今後検討をしていきます。

なお、運営面も含めてPFIを導入する手法については、医療法等の規定によ

り、本来業務である医療行為自体はPFIの対象にはできないことから、運営の

全体像を見ながら、より効果的な方法を検討していく必要があります。

■PFIによる病院整備例

高知医療センター

(高知県・高知市事務組合) 平成17年3月1日開院 整備・運営

近江八幡市立総合医療センター 平成18年10月1日開院 整備・運営

八尾市立病院(八尾市) 平成16年5月1日事業開始 維持管理・

運営

島根県立こころの医療センター 平成20年2月1日開院 整備・運営

東京都多磨広域基幹病院(仮称)・小児

総合医療センター(仮称) 〔整備中〕

東京都がん・感染症医療センター(仮称) 〔整備中〕

東京都精神医療センター(仮称) 〔整備中〕

愛媛県立中央病院 〔整備中〕

神戸市中央市民病院 〔整備中〕

国立大学法人筑波大学附属病院 〔整備中〕

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(4)立地場所について

施設整備の方法として、「一部移転」または「全面移転」を選択する場合、

立地場所の選定が必要となります。広大な市域を有する豊田市においては、選

定基準を明確にした総合的な評価に基づいて選定し、結果について市民の理解

を得ていくという作業が不可欠です。

選定にあたっては、①市民の利便性を確保すること、②担う機能を十分発揮

するために、他の基幹病院や医療機関と効率的な役割分担・連携ができること、

③適正な建設経費やより効率的な病院経営の実現といった経営的な観点、④開

発・市街地調整区域等の規制の有無など実現可能性について十分に検討する必

要があります。

3 整備スケジュール

新・地域医療センターの開院までには、基本計画、基本設計、実施設計、建設

工事、現施設からの移転などの過程を経ることになります。また、「一部移転」、

「全面移転」を選択する場合は、この間に用地選定、用地確保、造成工事を行う

必要があります。

なお、PFI方式による施設整備を行う場合は、さらに1~2年程度時間が必

要となります。

平成21年度以降、継続して事業に取り組み、北棟・中棟の法定耐用年数が到

来する平成30年度を、新・地域医療センターの開院時期のめどとします。

4 事業費の見通し

本基本構想における施設規模等の想定と、地域医療センターが現有している医療

機器をベースに試算し、新・地域医療センターの建物工事費及び医療機器購入費を

150億円~200億円と見込みます。

ただし、「一部移転」、「全面移転」の場合の用地取得費・造成工事費は、含めて

いません。

なお、この試算は、規模等の想定を単純な概数値により求めたものであるため、

今後十分に精査していくことが必要です。

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おわりに -今後に向けて-

本基本構想では、主に、新・地域医療センターの「役割と基本的な機能の考え方」

について検討しました。一定の方向性は得られたものの、「今後の検討課題」に記

載したように、さらに詳細にわたる検討が必要です。

また、施設整備の考え方として、今回は現時点での想定範囲においての概算を整

理しました。しかし、各項目で整理したとおり、さらに機能等が具体的にならない

と想定できない事項も多くありました。そのため、再度、各項目を具体的に想定し

たうえで、改めて概算を整理することが必要です。

基本構想の内容を受けて、今後、基本計画を策定していくにあたっては、豊田加

茂医師会、地域医療センターをはじめ医療関係者とも十分に協議しながら、さらに

具体的に、新・地域医療センターの整備内容を明らかにしていきます。

35

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参 考 資 料

37

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[資料1]関連データ

◆第1章 関連データ

■西三河北部医療圏(豊田市・三好町)の人口の推移 単位:人、%

項 目 昭和 60 年 平成2年 平成7年 平成 12 年 平成 17 年

総 人 口 374,144 403,099 423,720 442,908 468,393

うち、三好町 30,039 32,241 39,920 47,684 56,252

資料)国勢調査

■三好町の将来人口推計 単位:人、%

項 目 平成 22 年 平成 27 年 平成 32 年 平成 37 年 平成 42 年

三好町 61,261 64,924 68,036 70,707 73,083

資料)「日本の市区町村別将来人口推計(平成 20 年 12 月)」

(国立社会保障・人口問題研究所)

■豊田市の第 1次救急医療の現状

平 日 内科系・外科系 午後7時~翌朝午前9時 地域医療センター

内科系 午後2時~翌朝午前9時 土曜日

外科系 午後7時~翌朝午前9時 地域医療センター

内科・小児科 午前9時~午後5時 豊田加茂医師会立休日救

急内科診療所

内科系 午後5時~翌朝午前9時 地域医療センター

午前9時~午後5時 在宅当番医制 外科系

午後5時~翌朝午前9時

日曜日・祝

日・

年末年始

歯科 午前 10 時~午後3時 地域医療センター

38

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◆第2章 関連データ

■常勤医師の状況(嘱託を含む)

年 度 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

呼吸器 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2

消化器 3 4 4 4 4 4 4 5 4 4 7

循環器 4 3 3 3 3 3 3 3 2 2 3

内科系

神経内科 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

外 科 5 5 5 4 5 5 4 5 6 6 6

整形外科 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 1 外科系

脳外科 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1

放射線科 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

合 計 15 17 17 16 17 17 15 17 17 17 22

注)各年度4月1日現在

■非常勤医師の状況(時間外救急医師を除く)

年 度 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

内 科 5 4 5 11 10 6 8 9 5 5 3

呼吸器 4 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2

消化器 6 6 6 6 6 6 6 4 3 3 2

循環器 3 3 3 3 3 3 4 3 4 4 4

内科系

神経内科 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 2

外 科 6 4 7 8 7 5 6 6 5 4 3

整形外科 0 0 0 0 0 0 3 3 3 3 2 外科系

脳外科 2 2 3 4 5 5 5 4 3 5 7

婦人科 6 5 4 5 5 5 5 6 6 6 6

泌尿器科 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1

病理 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1

放射線科 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2

合 計 34 26 30 39 38 32 41 40 34 35 35

注)各年度4月1日現在

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[資料2]パブリックコメント実施概要

1 実施目的

「新・地域医療センター基本構想」の中核となる新・地域医療センターが担う

「機能」の考え方についてパブリックコメントを実施し、市民の皆さんのご意見

を聴き、基本構想策定の参考にする。

2 周知方法

・広報とよた(平成20年7月1日号)及び市ホームページに掲載 ※広報とよた原稿は、41~42 ページ参照

・市政情報コーナー、各支所・出張所、交流館において資料閲覧

3 意見募集期間

平成20年7月1日(火)~7月31日(木)

4 提出いただいた意見の集計

・郵 送 : 6件

・FAX : 1件

・Eメール: 3件 *あいち簡易電子受付サービス1件含む

提出数

1,302件

・直接持参:1,292件 *支所経由分含む

※その他、未記名又は未記述の意見書(パブリックコメント)が17件あり。

5 意見の内訳

・意見を項目別で分類すると、1,473件の意見

・項目は、①機能に関する意見(7項目)、②その他(3項目)に分類

■意見の内訳(件数)

区 分 意 見 項 目 件 数

1)救急医療(小児救急)について 29

2)健診機能について 8

3)外来について 6

4)入院について 1

5)在宅支援について 2

6)看護師養成について 0

7)その他(市民に開かれた、障がい者医療等) 23

機 能

小 計 69

1)病院の設置位置について 1,326

2)交通アクセスについて 24

3)その他 54 その他

小 計 1,404

合 計 1,473

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6 パブリックコメントで寄せられた意見に対する市の考え

区分 提出いただいた意見の要約 意見に対する市の考え

現在の医療センターのような機能ではなく、休日、

夜間に受診できる機能のセンターがほしい。

救急医療機能の確保・充実は、絶対に必要と考えま

す。

救急病院は必要です。

救急医療センターをお願いします。(2件)

救急病院の設置をお願いします。(3件)

救急外来なども期待しています。

救急医療施設の充実をお願いします。

婦人科、内科、小児科などの医師が不足しているが、

救急機能が維持できるのか。

緊急患者のためのベッド数も必要と考える。

地域医療の重要機能のひとつである救急機能は、時

間が極めて重要な要素である。4つの基幹病院の連

携、分担は、互いに近距離にあればより効果を発揮

することは理解するが、逆にセンターから遠隔地に

住む患者側からみれば、救急機能の充実どころか低

下すら招きかねない。センターの機能充実にあわ

せ、基幹病院の位置関係を含め、救急機能が十分発

揮されるよう検討してほしい。

休日に急に熱が出た時など、近くに救急がないので

困る。

夜間救急が近くにあれば幸いです。

子供は、夜中によく熱を出すことがあり、その時に

近くに救急病院があるとすごく助かります。(3件)

子供がいますので、小児科医の常駐する救急センタ

ーが近くにあると嬉しいです。

子供も小さいので、近くに救急病院があってほし

い。それも小児科医のいる救急病院が希望です。

子供の急病(夜中、休日)の時、もっと近くに大き

な病院がほしいと痛感しました。

療(22件)

乳幼児も増え、急病で救急外来を受診する人が増え

ているので、救急外来もしくは小児科の数を増やし

てほしい。

豊田市と三好町で構成する西

三河北部医療圏においては、第

1次から第3次救急医療体制

まで確保されています。

夜間・休日の外来の救急患者に

対応する第1次救急医療には、

24時間365日、地域医療セ

ンターが対応するほか、休日の

昼間については、豊田加茂医師

会の休日救急内科診療所、外科

在宅当番医制においても対応

しています。

また、入院や緊急手術を必要と

する第2次救急医療について

は、豊田厚生病院、トヨタ記念

病院、足助病院、地域医療セン

ターと、三好町の三好町民病院

の5病院が、夜間・休日に輪番

で対応しています。

さらに、重篤の救急患者の救命

医療を24時間体制で対応す

る第3次救急医療については、

豊田厚生病院の救命救急セン

ターで対応しています。

今後も救急医療提供体制を維

持していくため、従来から地域

医療センターが担ってきた第

1次救急医療の継続と第2次

救急医療の一部について対応

できる体制の整備をめざしま

す。

43

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区分 提出いただいた意見の要約 意見に対する市の考え

夜間でも緊急で診てもらえる小児科などがある医

療センターができることを望みます。

救急病院(特に小児救急)ができることを望みます。

(2件)

乳幼児も増え、急病で救急外来を受診する人が増え

ているので、救急外来もしくは小児科の数を増やし

てほしい。【再掲】

休日、夜間にも常に小児科医がいることを希望しま

す。

夜間、医療センターは小児科医が土曜の夜のみしか

いない。要望として医療センターの小児科医の充実

を図ってもらいたい。

救急医療/小児救急(7件)

子供も小さいので、近くに救急病院があってほし

い。それも小児科医のいる救急病院が希望です。【再

掲】

全国的に小児科医が不足する

なかで、地域医療センターにお

いて小児科医の充実を図るこ

とは難しい状況です。

なお、西三河北部医療圏では、

豊田厚生病院とトヨタ記念病

院が輪番で夜間・休日の診療体

制を確保しており、専門的な医

療が必要な場合には、小児科専

門医が診療する体制となって

います。この体制が整備されて

いるのは、県内では、西三河北

部医療圏と名古屋市医療圏だ

けです。引き続き、小児救急に

おける体制の維持に努めます。

健診内容は適宜見直されていますが、画一的ではな

く、例えば若年層と中高年層とに健診コースが選択

できる、などは考えられないだろうか。また、健診

のために医療センターへ行くことが難しい高齢者

も多い昨今、健診内容は簡素なものでもよいが、出

前健診のような施策は考えられないだろうか。

人間ドック・健診の充実として、歯周病と全身疾患

(糖尿病、循環器疾患、骨祖しょう症、早産、低体

重児出産、肥満)との関連が明らかになってきてお

り、生活習慣病などの早期発見のための健診・予防

機能を強化する上において、人間ドック・健診に歯

周病健診を導入する意義・効果は計り知れない。

早期診断治療(低侵襲性診断治療法等)機能の強化

は早急に進めてほしい。

早期発見、早期治療のために、医療センターの設置

は必要です。

健診機能の充実と、予防医療についての学習を行う

場として整備する。

地域市民の健康相談の窓口にもなるような医療施

設が必要です。

人間ドッグをいつでも受診できる医療センターを

是非お願いします。

能(8件)

健康の維持・増進のため、年1回は人間ドッグが必

要と考えます。

市民の健康意識が高まる中で、

健診体制の充実や健診項目の

見直しを考えていく必要があ

り、今後の検討の参考とさせて

いただきます。

44

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区分 提出いただいた意見の要約 意見に対する市の考え

小児科などの診療科を充実してほしい。

小児科があると助かります。(2件)

病院(婦人科も)をお願いします。

産婦人科があると助かります。

外来[

診療科目]

(6件)

小児科、脳外科、外科、皮膚科、内科、眼科等のあ

る医療センターができることを強く望みます。

診療科目については、現行の診

療科目をベースに、救急医療な

ど機能の充実に伴い必要とな

る診療科や、将来の需要を考慮

し、今後具体的に検討していき

ます。

なお、産科医、小児科医の不足

が、地域医療に大きな影響を及

ぼしていることが全国的に問

題となっていますが、産科につ

いては、市内で受入れ体制が整

備されており、分娩に対応して

います。また、小児科について

も必要な診療が市内で受けら

れる状況です。

入院(1件)

長期入院できる病院がほしい。 医療の必要な人が適切な入院

治療を受けられるように、慢性

期に対応する病床の確保に努

めます。

老人がいる家庭にとっては、いろいろな科を受診す

るにも大掛かりなことですので、とにかくデイサー

ビスを入れた医療センターが早急にできることを

お願いします。

新・地域医療センターの機能と

して、デイサービス事業を実施

していくことは、現時点で考え

ておりません。

なお、デイサービス事業につい

ては、豊田市高齢者保健福祉計

画・介護保険事業計画の中で、

必要なサービス量の確保を進

めていきます。

援(2件)

地域医療センターに老人療養型医療をお願いした

が、申請審査の結果、断られたため、会社を休職し

て自宅介護をしています。療養型医療施設が皆無と

は、30万人市政では非常識であると前から思って

いました。市民の老人対策や健康管理をしっかりや

ってほしい。

地域医療センターの療養病床

は40床(医療療養病床20

床、介護療養病床20床)あり、

今後も病床数を維持する方向

です。

なお、豊田市内には療養病床が

366床(平成20年10月現

在、病院・診療所分)あります。

45

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外国人に対する医療の備えは大丈夫なのか。日系南

米人を中心に、市内には相当数の外国人が生活して

いるので、安心して医療サービスにかかれる環境作

りをしてほしい。NPOとの連携、そしてもし可能

なら自前で医療通訳を養成するということも考慮

に入れていただきたいです。経済を底辺で支える彼

らにも医療の十分な保障がなされるべきだと考え

ます。

パブリックコメントの資料中に「市民が健康、医療

について学習等を行う場の整備」という文言があり

ますが、ここで、各種難病患者やHIV感染者、依

存症者の自助グループや支援NPOを招いての講

演や学習会をされてはいかがでしょう。これらの

人々の声を医療の場で反映されるシステムができ

たなら、医療側にとっても、大きな利益になると思

うのですが。各種NPO、自助グループとの連携が

図られないかと思います。

健診機能の充実と、予防医療についての学習を行う

場として整備する。【再掲】

高齢化傾向になっています。今後の健康や医療につ

いての学習の場は重要であると考えています。

市民に開かれた病院としての

具体的な機能は、今後検討して

いく予定であり、参考とさせて

いただきます。

急速な高齢化社会において健康増進・生活習病慣予

防が注目されている近年、地域医療の充実、障害

者・要介護高齢者の口腔ケア、健康増進・生活習慣

病予防事業の実施などにおいて歯科衛生士の果た

す役割は重要かつ多大である。しかし、これら市民

の健康の一翼を担う歯科衛生士の数は慢性的に不

足しており、歯科衛生士学校を設立して歯科衛生士

の養成・供給が急務である。

県内の歯科衛生士養成所への

進学状況は定員割れの状況で

あり、地域医療センターでの設

立は考えておりません。

医師、スッタフ確保のための職場環境、待遇等、環

境整備が充実できることが前提での医療センター

設立を希望いたします。

新・地域医療センターでは、職

員にとって働きやすい職場環

境の整備に取組んでいきます。

他(23件)

軽症患者には、なるべく地元の医師の診療を受ける

ように医療センターの先生からアドバイスしてほ

しい。少しでも救急医療の混雑をふせげると思う。

地域医療センターにおいても、

かかりつけ医を持つことを勧

めていきます。

なお、市でも、救急医療の仕組

みや受診の仕方等について解

説した「読む救急箱」を発行す

るなど、市民への啓発を行い、

医療機関へのかかり方に対す

る理解を求めています。

区分 提出いただいた意見の要約 意見に対する市の考え

46

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区分 提出いただいた意見の要約 意見に対する市の考え

重度障がい者の親の年齢も高くなり、健康に不安を

かかえながらの介助がいつまで続くか心配です。特

に、医療行為の必要な人のショートステイ先を考え

ると、医療センター内に医療行為に対応できるショ

ートステイを行う場所(部屋)を整備していただけ

ないでしょうか。障がいの重度の人ほど、医療に近

い所での生活があるとありがたいと思います。

重度障がい者(医療行為が必要)のショートステイ

の受入れ先が市内ではありません。

医療センターは、豊田市の市民病院の役割を担う病

院といってよいと思います。

現在、市内の重度障がい者(とりわけ医療行為の必

要な人)は、安心してショートステイできる場所が

ないのが現状です。新・医療センターには厚生病院

や記念病院が行わない障がい者のショートステイ

機能を充実してほしいと思います。

市内には重度の心身障がい児の為のショートステ

イの場が少ない。医療センター内に、ショートステ

イの設備を整えていただけると、安心してお願いで

きる。

障がい者への歯科保健・医療提供として、豊田市こ

ども発達センター及びかかりつけ歯科医と連携し、

成人の重度障がい者に至るまで適切な歯科保健・医

療サービスを受けられるよう専門的スタッフを配

置した医療設備の整った障がい者センターまたは

障がい者診療科を設置して、医療提供体制を整備す

る必要がある。

重度障がい者(医療行為が必要)の往診、訪問看護

の拡充を是非お願いします。

重度障がい者に対する在宅医療の充実からも、訪問

看護の充実をお願いします。

豊田市福祉事業団を中心とし

て、成人障がい者のための地域

保健医療システムのあり方に

ついて調査・研究が進められて

おり、重度障がい者への対応

は、その結果を踏まえて整理し

ていきます。

深刻な問題となっている医療事故の件について、医

療事故は「あってはならない」ことではありますが、

反面「必ずある」ことでもあると私は考えます。こ

れらの情報を隠すことなく、速やかに公表できるシ

ステムが築けないでしょうか。

現状では、医療事故を積極的に

公表する体制が整っていませ

ん。今後の参考とさせていただ

きます。

投薬は施設の中に設置し、二重の手間を避ければ合

理的である。

重複投薬の防止や適切な飲み

合わせなどを目的に、医薬分業

を推進しています。ただし、地

域医療センターでは、薬剤機関

が営業していない時間帯につ

いては、院内処方により対応し

ています。

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区分 提出いただいた意見の要約 意見に対する市の考え

広報にある仕組みはよい。ただし、最近頻発する患

者のタライ回しが発生しない運営の充実が望まれ

る。例えば、消防署とセンターの情報共有化等を含

めて充実・徹底を図ってほしい。

豊田市には、市が経営する市立病院がない、中核都

市としては誠に珍しい現状です。市民の医療と健康

の見直しを切に願いたい。

藤田保健衛生大学があるので連携して地域医療サ

ークルを作り永く続けてほしい。

医師を確保できるか、看護師を確保できるか。現在、

インターネットが発達している中で、診療相談でき

る(または学ぶ)整備が必要。インターネットだけ

では成り立たない。

豊田市民として不便を感じています。老人や子供に

優しい制度をお願いします。

高齢な母がいます。家族の体力的、金銭的負担が大

きくなっています。

「豊田の医療センター」であれば、豊田市住民全員

が受診できるようになればと思います。

病気の早期発見、設備、専門的医師の整った病院が

絶対欠かせない。初期段階で相談できる専門医が必

要と思う。

地域で必要な医療を受けるこ

とができるよう医療提供体制

を確保していきます。

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[資料3]地域医療センター基本構想策定委員会開催経過・委員名簿

豊田地域医療センター策定委員会 開催経過

回 日 時 内 容(議 題)

第1回 平成 19 年 7 月 24 日(火)

・協議内容とスケジュールについて

・豊田市の医療体制の現状について

・地域医療センターの現状及び提言書「地域医

療センターの今後のあり方について」

第2回 平成 19 年 10 月 11 日(木)・医療を取り巻く状況について

・地域医療センターの機能について

第3回 平成 19 年 11 月 27 日(火)・地域医療センター基本構想の中間報告につい

第4回 平成 20 年 6 月 23 日(月)

・地域医療センター基本構想のパブリックコメ

ントについて

・地域医療センター基本構想目次構成(案)に

ついて

・平成19年度地域医療センターの現状につい

第5回 平成 21 年 2 月 3 日(火)

・パブリックコメント集計結果(報告)につい

・地域医療センターの受診患者動向について

・新・地域医療センターの機能について

・新・地域医療センター基本構想(たたき台)

について

第6回 平成 21 年 3 月 18 日(水)・新・地域医療センター基本構想(素案)につ

いて

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豊田地域医療センター基本構想策定委員会名簿

*敬称略。掲載順は、氏名の 50 音順 氏 名 団体 及び 役職名 備 考

石 橋 博 文 豊田西加茂薬剤師会 会長

板 倉 正 志 豊田市区長会 会長 H20.6~

伊 藤 昇 豊田市老人クラブ連合会 会長

大 友 昌 子 中京大学 教授

大 野 政 彦 豊田地域医療センター 常務理事

小 川 美 依 市民公募

小 澤 晃 豊田加茂歯科医師会 会長

小 森 義 之 藤田保健衛生大学 准教授

近 田 研 豊田加茂医師会 副会長

中 野 浩 豊田地域医療センター 院長 H19.7~H20.3

藤田保健衛生大学 学長

菱 田 仁 士 藤田保健衛生大学 病院長 H20.6~

星 山 道 夫 豊田加茂医師会 会長

藪 中 孝 美 豊田市PTA連絡協議会 副会長

山 本 輝 夫 連合愛知豊田地域協議会 事務局長 H21.2~

渡 英 夫 日本赤十字豊田看護大学 学長 H20.6~

渡 邊 真 藤田保健衛生大学 准教授 ≪前任者≫

小 西 美智子 日本赤十字豊田看護大学 教授 ~H20.3

落 合 正 宏 豊田地域医療センター 院長 ~H20.3

立 松 学 連合愛知豊田地域協議会 事務局長 ~H20.8

松 村 邦 夫 豊田市区長会 会長 ~H20.4

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Page 52: 新・豊田地域医療センター基本構想 · 本構想は、豊田市医療対策懇話会による提言書「豊田地域医療センターの今後の あり方について(平成18年12月)」を踏まえ、医療関係者、学識経験者や団体

[資料4]用語の説明

亜急性期

病気が発症し、急激に健康が損なわれる「急性期」の状態か

ら、不健康ながらも状態が安定的に持続する「慢性期」状態に移

行するまでの間の回復過程の期間

アメニティ 心地よさ、快適さ、快適性

一般病床 精神病床、感染症病床、結核病床、療養病床以外の病床

医療費適正化

国は、中長期的な観点から医療費の伸びを抑えていくため

に、生活習慣病対策や長期入院の是正など中長期的な医療費適

正化対策を総合的に進めることとしている。

医療費適正化を計画的に推進するために、国・都道府県は、

平成19年度を初年度とする5か年計画である「医療費適正化

計画」を策定。同計画において、医療費の伸びを適正化するた

め、①国民(住民)の健康の保持の推進に関する目標、②医療

の効率的な提供の推進に関する目標を設定している。

あ行

MRI X線を使わず、磁気共鳴の物理現象を応用して、人体の断層

撮影や含有物質の特定を行う方法、装置

回復期 急性期を脱して、健康な状態や健康な状態に準ずる状態にな

るまでの期間

回復期リハビリテ

ーション病棟

脳血管疾患、大腿骨頚部骨折等の患者に対して、ADL(日

常生活動作)能力の向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目

的としたリハビリテーションプログラムを、医師、看護師、理

学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等が共同して

作成し、これに基づくリハビリテーションを集中して行うため

の病棟

救急医療

交通事故等によるけがや、診療時間外(夜間・休日)の急病で、

緊急の医療を必要とする患者を対象。迅速・効率的に対応する

ため、第1次~第3次救急医療体制に区別し、それぞれ医療機

関が設定されている。

急性期 病気になって直後の時期

か行

救命救急センター 脳卒中、心筋梗塞、頭部損傷などの重篤救急患者の救命医療

を提供する医療施設

災害拠点病院

災害時に、医療救護活動の拠点となる病院として、県知事が

指定。基幹災害医療センター(県内2か所)、地域中核災害医

療センター(県内11か所、豊田厚生病院)、地域災害医療セ

ンター(県内18か所、トヨタ記念病院)がある。

診療所 19床以下の入院施設を有するか、入院機能を持たない無床

の医療施設

さ行

生活習慣病 食生活、運動不足、喫煙、飲酒等の生活習慣に起因すると考

えられる病気。がん、糖尿病、心疾患、脳血管疾患など。

第1次救急医療 夜間・休日の外来の救急患者に対応。重症と判断されれば、

第2次、第3次救急を担当する病院に搬送

第2次救急医療

入院や緊急手術が必要な重症患者に対応。豊田厚生病院、ト

ヨタ記念病院、足助病院、地域医療センターと三好町民病院が

当番(輪番)で、小児第2次救急医療については、豊田厚生病院

とトヨタ記念病院が当番で対応。

た行

第3次救急医療

第2次救急医療では対応できない脳卒中、心筋梗塞、頭部損

傷などの重篤救急患者の救命医療を、24時間体制で提供。救

命救急センターが対応。

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地域がん診療連携

拠点病院

全国どこに住んでいても均しく高度ながん医療を受けるこ

とができるよう、厚生労働大臣が指定する病院。2次医療圏に

1か所程度指定され、豊田厚生病院が指定されている。

他に、都道府県に概ね 1 か所指定される都道府県がん診療連

携拠点病院がある。

地域周産期母子医

療センター

地域(2次医療圏)において、周産期〔妊娠後期から新生児早

期、一般には妊娠満22週から出産後 7日まで〕医療の中心的

役割を果たす施設で、県知事が指定。トヨタ記念病院が指定さ

れている。

低浸襲性診断・治

痛みや傷あとを残さない「人にやさしい」診断・治療法のこ

と。早期胃がん・大腸がんの内視鏡的切除、細いチューブ(カ

テーテル)を血管内に通して行う心筋梗塞などの心臓冠動脈疾

患、脳梗塞・出血、脳動脈瘤などの脳血管疾患の治療などが主

な例。

特定健診・特定保

健指導

高齢者の医療の確保に関する法律に定められた40歳以上

75歳未満を対象に、医療保険者により実施される健康診査。

この健康診査の結果により階層化された保健指導を特定保

健指導という。

(続き)

た行

豊田市医療対策懇

話会

市域の医療の現状・課題について協議するため、市が設置す

る医療関係者による懇話会。委員12人。

PFI

Private Finance Initiative の略。公共施設等の設計、建

設、維持管理、運営に、民間の資金とノウハウを活用し、市民

に対し効率的で質の高い公共サービスの提供を図るという考

え方を取り入れた事業手法。

病院 20人以上の患者が入院できる機能を有する(20床以上

の)医療施設

病床利用率 病床がどの程度利用されているかを示すもので、病床数に対

する入院患者数の割合で算出

平均在院日数 入院してから退院するまでの日数の平均を示すもの

へき地医療拠点病

巡回診療等によるへき地住民の医療確保、へき地診療所への

医師及び看護師等の医療従事者の派遣並びに技術指導、援助に

関すること等を業務とし、知事が指定。現在県内に7病院。足

助病院が指定されている。

は行

法定耐用年数

減価償却期間算定の基礎となる物理的・経済的に使用可能な

年数を法令で定めるもの。「資産の種類」、「構造」、「用途」別に

耐用年数が詳細に定められている。

慢性期 急性期、亜急性期を脱し、治療も継続的に必要であるものの

病状が安定した期間 ま行

無医地区・無歯科

医地区

50人以上が居住する地区で、半径4km 以内に医療機関が

なく、また、容易に医療機関を利用できない地区

や行 ユニバーサルデザ

イン

年齢、性別、障がいの有無に関わらず、誰でも使いやすい設

計(デザイン)であること

ライフサイクルコ

スト

企画設計費、建設費、維持管理費、修繕・更新費、廃棄処分

費等にわたる建築物の生涯に必要なすべてのコストのこと ら行

療養病床 主に長期にわたり、療養を必要とする患者のための病床。医

療保険適用病床と介護保険適用病床がある

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豊田市 福祉保健部 総務課

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FAX:0565-34-6186

E-mail:[email protected]