宅建&賃貸どちらも攻略! 【賃貸借・借地借家法】...

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賃貸不動産経営管理士 宅建&賃貸どちらも攻略! 【賃貸借・借地借家法】 レジュメ VU19404 0 002221 194049

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賃貸不動産経営管理士

宅建&賃貸どちらも攻略!

【賃貸借・借地借家法】

レジュメ

VU19404

0 0 0 2 2 2 1 1 9 4 0 4 9

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-2-

(H30 年度(2018) 問 12)宅建士 過去問①

⇒ 正 解 3

比較

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-3-

賃貸管理士 過去問① (H30 年度(2018) 問 12)

3300

重要度

賃賃貸貸借借契契約約 AA

2018 年度(平成 30年度) 問 12

定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア 定期建物賃貸借契約の事前説明は、「更新がなく、期間の満了により契約が終了する」

旨を口頭で説明すれば足り、別途、書面を交付する必要はない。

イ 定期建物賃貸借契約書に「契約の締結に先立って説明を受けた」旨の記載がない場合に

は、事前説明書を交付して説明を行っていたとしても、定期建物賃貸借契約としての効力

を有しない。

ウ 契約期間を 1年未満とする定期建物賃貸借契約も有効である。

エ 賃貸借の媒介業者が宅地建物取引業法による重要事項説明書に基づき、「更新がなく、

期間の満了により契約が終了する」旨の説明を行ったので、貸主による事前説明を省略し

た場合、定期建物賃貸借契約としての効力を有しない。

1 ア、イ

2 ア、エ

3 イ、ウ

4 ウ、エ

比較

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-4-

正 解 4

<問題の評価>→必ず正解できなければならない問題

本問は、定期建物賃貸借契約に関する問題である。普通建物賃貸借契約との相違を理解し、その特徴を把握

しておくことは実務上でも重要であるため、再度出題される可能性は非常に高い。

ア 誤 本肢は、定期建物賃貸借の事前説明に関する問題である。この点、「定期建物賃貸

借契約を締結しようとするときは、貸主は、あらかじめ、賃貸不動産の借主に対し、更

新がなく、期間の満了により建物賃貸借契約が終了することについて、その旨を記載し

た書面を交付して説明をしなければならない(借地借家法第 38条第 2項)。」公式テ⇒p486

の 15~18 行目 よって、「別途、書面を交付する必要はない」としている本肢は、誤りであ

る。

イ 誤 本肢は、定期建物賃貸借契約書の事前説明書の記載事項に関する問題である。こ

の点、肢アの解説で述べた通り、定期建物賃貸借契約を締結しようとするときは、貸主

は、あらかじめ、事前説明書を交付して説明を行う必要がある。また、「定期建物賃貸借

契約は、公正証書等の書面により契約をしなければならない。」公式テ⇒p486 の 2~3 行目 そ

して、定期建物賃貸借契約書には、契約の更新がないこととする旨の「更新拒否条項は、

契約書において一義的に明示されていなければならない。」公式テ⇒p485 の 32~33 行目 しか

し、当該契約書に、事前説明を受けた旨の記載は必要とされていない。よって、「説明を

受けた旨の記載がない場合には、・・・定期建物賃貸借契約としての効力を有しない」と

している本肢は、誤りである。

ウ 正 本肢は、契約期間を 1年未満とする定期建物賃貸借に関する問題である。この点、

「1年未満の契約」も、「有効」である。公式テ⇒p487 の 12~13 行目 よって、本肢は正しい。

エ 正 本肢は、定期建物賃貸借契約における重要事項説明と事前説明に関する問題であ

る。この点、「賃貸借の媒介業者が仲介者の立場で宅地建物取引業法第 35 条に定める重

要事項説明を行っても」定期建物賃貸借契約の「事前説明を行ったことにはならない。」

公式テ⇒p486 の 24~26 行目 よって、本肢は正しい。

以上より、正しいものはウエであり、本問の正解肢は4となる。

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

□ 借主と貸主の権利義務を理解する。

□ 賃貸借契約の更新を理解する。

□ 定期建物賃貸借を理解する。

□ 賃貸借契約の終了に関する事項を理解する。

一一 賃賃貸貸借借契契約約ととはは

賃貸借契約とは、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方に

させることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約

する契約である。

・ 賃貸借契約は書面によらなくても効力が生じる。

・ 契約の締結に向けて交渉がされていても、両当事者が合意に至ら

なければ契約は成立しない。

第 章 賃貸不動産経営管理士

ワンポイント

22 民民法法他他・・賃賃貸貸借借

公 式 テ ⇒p355

`15-13-1

`15-13-2

`15-13-3

`16-18-2

目的物の使用収益請求権

目的物の返還請求権

契約終了

賃料請求権

貸主 借主

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

二二 賃賃貸貸借借契契約約のの種種類類

① 更新できる契約と更新できない契約

普通建物賃貸借契約は、更新できる契約である。他方、定期建物

賃貸借契約は更新できない契約である。

② 借地借家法が適用されない契約と適用が制限される契約

一時使用建物賃貸借契約は、借地借家法が適用されない。また、

終身建物賃貸借契約は、借地借家法の適用が制限される。

③ 一時使用建物賃貸借(一時使用借家)契約

自己使用住宅の建替えなどの仮移転先などとして、短期間の住宅

使用を目的とする場合等に利用される。

④ 終身建物賃貸借契約(終身借家)契約

「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に定められている終身

建物賃貸借契約は、公正証書等の書面で行うことが必要であり、賃

貸借期間は借主の死亡に至るまで存続し、かつ、借主が死亡したと

きに終了するものである。

更新 できる 普通建物賃貸借契約

できない 定期建物賃貸借契約

借地借家法 適用がない 一時使用建物賃貸借契約

適用が制限される 終身建物賃貸借契約

公 式 テ ⇒p431~434

`15-14-2

`15-14-4

`16-18-4

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

十十 定定期期建建物物賃賃貸貸借借

1 定期建物賃貸借とは

定期建物賃貸借契約は、契約期間の満了とともに契約が終了する賃

貸借契約である。

2 定期建物賃貸借契約の締結

(1) 契約更新を否定する条項があること

契約更新を否定する条項は、契約書において一義的に明示されて

いなければならない。

(2) 書面による契約

定期建物賃貸借契約は、公正証書等の書面により契約をしなけれ

ばならない。

・ 公正証書は例示的な記載であり、必ずしも公正証書で締結する

ことまでは要しない。

・ 書面によらずに定期建物賃貸借契約を締結しでも契約は成立せ

ず、この場合は、更新が予定されている通常の建物賃貸借契約が

成立する。

(3) 事前説明の必要性

定期建物賃貸借契約を締結しようとするときは、貸主は、あらか

じめ、賃貸不動産の借主に対し、更新がなく、期間の満了により建

物賃貸借契約が終了することについて、その旨を記載した書面を交

付して説明をしなければならない〈借地借家法 38条 2項〉。

この事前説明がなされなかったときは、契約の更新がないことと

する旨の規定は、無効となる〈同条 3項〉。

公 式 テ ⇒p485

`15-14-1

公 式 テ ⇒p485~486

`15-20-2

`15-20-4

`16-14-1

`16-18-1

`17-12-ア

`17-12-イ

`18-12-ア

`18-12-イ

`18-12-ウ

`18-12-エ

`18-20-1

ワンポイント

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

・ 事前説明書面は、契約書とは別個独立の書面である点に注意を

要する〈最判平 24.9.13〉。

・ 賃貸借の媒介業者が仲介者の立場で宅地建物取引業法第 35条

に定める重要事項説明を行っても定期建物賃貸借契約の事前説

明を行ったことにはならない。

(4) 期間の定めがあること

定期建物賃貸借契約においては、契約期間の始期と終期を定める

必要がある。

・ 契約期間を1年未満とする定期建物賃貸借契約も有効であり、

「期間の定めのない契約」とみなされるのではない。

3 借主の中途解約

定期建物賃貸借契約において、居住用の建物の賃貸借で床面積が

200 ㎡未満であり、借主に転勤・療養・親族の介護その他自己の生活

の本拠地として使用が困難になった場合等のやむを得ない事情があ

るときは、契約期間中の中途解約を認めている。

4 契約の終了手続

定期建物賃貸借契約において、契約期間が 1 年以上の契約の場合、

期間満了の 1 年前から 6か月前までの間に、借主に対し、期間満了に

より賃貸借が終了する旨の通知をする必要があり、この通知がない場

合、定期建物賃貸借契約の終了を借主に対抗することができない。

もっとも、この通知期間を経過した後であっても、改めて契約が終

了する旨通知をすれば、通知後 6か月経過後に契約の終了を借主に対

抗できる〈借地借家法 38条 4項ただし書〉。

公 式 テ ⇒p488

公 式 テ ⇒p488

`16-14-2

`17-12-ウ

ワンポイント

ワンポイント

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

5 再契約

定期建物賃貸借契約の場合は、期間の満了により契約は終了するた

め、さらに同一の借主が物件を賃借する場合、「再契約」を締結する

ことになる。

・ 貸主が再契約をするか否かは自由である。

・ 宅地建物取引業者が、定期建物賃貸借契約の再契約について貸主

を代理して締結する場合には、宅地建物取引業法の定めるところに

より、あらためて重要事項説明をしなければならない。

(1) 保証契約

定期建物賃貸借における賃借人の債務に関して保証契約がなさ

れた場合、定期建物賃貸借が終了した後の債務については、保証人

は保証債務を負わなくなる。

・ 再契約後の賃貸借において賃借人の債務を保証人の保証の対象

とするためには、再契約後の賃貸借の賃借人の債務を保証する保

証契約を締結する必要がある。

・ 再契約後の賃貸借の賃借人の債務を保証する保証契約も、文書

をもって行わなければならない。

(2) 再契約の手続

貸主に再契約をする意向がある場合には、その旨を契約期間の満

了を通知する書面に明記し、あらためて協議の機会を設けるという

手順を取ることが望ましい。

・ 宅地建物取引業者が定期建物賃貸借契約の再契約について貸主

を代理して締結する場合には、宅地建物取引業法の定めるところ

により、あらためて重要事項説明をしなければならない。

公 式 テ ⇒p489~490

`15-20-1

`16-14-3

`16-14-4

`17-12-エ

ワンポイント

ワンポイント

ワンポイント

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-10-

(H15 年度(2003) 問 11)宅建士 過去問②

⇒ 正 解 2

比較

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-11-

賃貸管理士 過去問② (H30 年度(2018) 問 17)

3355

重要度

賃賃貸貸借借契契約約 AA

2018 年度(平成 30年度) 問 17

敷金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 賃貸借契約書に借主からの敷金の相殺について禁止する条項がない場合、借主は契約期

間中、敷金返還請求権と賃料債務を相殺することができる。

2 賃貸借契約書に敷金の返還時期について何らの定めもない場合、借主は敷金の返還を受

けるまでの間、建物の明渡しを拒むことができる。

3 借主の地位の承継があったとしても、特段の事情のない限り、敷金は新借主に承継され

ない。

4 賃貸借契約書に敷金によって担保される債務の範囲について何らの定めもない場合、敷

金によって担保される借主の債務は賃料債務に限定され、貸主は原状回復費用に敷金を充

当することはできない。

比較

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-12-

正 解 3

<問題の評価>→必ず正解できなければならない問題

本問は、敷金に関する問題である。敷金の返還請求ができる時期や敷金の承継などは、賃貸住宅の管理を行

う上で重要な事項である。そのため、再度出題される可能性は非常に高い。

1 誤 本肢は、借主からの敷金の相殺に関する問題である。この点、敷金返還請求権は、

賃貸借契約が終了し、物件の明渡し時に発生するので、契約期間中は、「借主は、敷金返

還請求権と賃料債務とを相殺(民法第 505 条)することもできない」公式テ⇒p468 の 9~10

行目 よって、「敷金返還請求権と賃料債務を相殺することができる」としている本肢は、

誤りである。

2 誤 本肢は、敷金返還と建物の明渡しに関する問題である。この点、「敷金の返還と賃

貸不動産の明渡しが同時履行の関係に立つか否かが問題になるも、最高裁は、借主の明

渡債務が先履行の関係にあり、敷金返還請求権をもって明渡しにつき同時履行の抗弁と

することはできないと判示している(最判昭 49.9.2 判タ 315 号 220 頁)。」公式テ⇒p467

の 11~15 行目 よって、「借主は敷金の返還を受けるまでの間、建物の明渡しを拒むことが

できる」としている本肢は、誤りである。

3 正 本肢は、借主の地位が承継された場合における敷金の承継に関する問題である。

この点、「敷金関係は、賃貸借に従たる契約関係であるが、賃貸借とは別個の契約である

ため、旧借主が貸主との間で新借主に債務についてもその敷金で担保することを契約し

たり、新借主に敷金返還請求権を譲渡する等の特段の事情がない限り、敷金関係は承継

されないとするのが判例である(最判昭 53.12.22 判タ 377 号 78 頁)。」公式テ⇒p382 の

24~28 行目 よって、本肢は正しく、本問の正解肢となる。

4 誤 本肢は、敷金によって担保される債務に関する問題である。この点、「賃料の不払

いや、原状回復とされている借主の毀損・汚損に対する損害賠償、借主が無権限で行っ

た工事の復旧費、賃貸借終了後明渡しまでの賃料相当額の損害賠償債務などが、敷金に

よって担保されることになる。」公式テ⇒p467 の 28~31 行目 よって、「借主の債務は賃料債務

に限定され」としている本肢は、誤りである。

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

七七 敷敷金金

1 敷金とは

敷金とは、借主の賃料の支払いその他賃貸借契約上の債務を担保す

る目的で貸主に交付する金銭である。

その法的性質は、賃貸借終了後明渡しの際、借主に債務不履行があ

るときは当然にその弁済に充当され(その分を差し引いて)、その残

額を返還するという、「停止条件付返還債務を伴う金銭所有権の移転」

である。

・ 賃貸借契約とは別個の契約であるため、敷金契約のみを合意解約

することも可能である〈東京地判平 20.5.21〉。

・ 敷金は、賃貸借契約締結と同時又は締結前に預け入れられること

が一般的であるが、賃貸借契約締結後に支払う旨の合意も有効であ

る。

2 敷金返還と明渡しの関係

敷金返還請求権は、賃貸借契約終了時ではなく、契約が終了し、借

主が賃貸不動産の明渡しを完了したときに発生する(明渡時説)。

そのため、借主の明渡債務が先履行の関係にあり、敷金返還請求権

をもって明渡しにつき同時履行の抗弁とすることはできない〈最判昭

49.9.2〉。

3 敷金によって担保される債務

敷金によって担保される借主の債務は、賃貸借契約から生じる一切

の債務である。

具体的には、賃料の不払いや、原状回復とされている借主の毀損・

汚損に対する損害賠償、借主が無権限で行った工事の復旧費、賃貸借

終了後明渡しまでの賃料相当額の損害賠償債務などが、敷金によって

担保される。

公 式 テ ⇒p466

`16-21-1

`16-21-2

ワンポイント

公 式 テ ⇒p466~467

`18-17-2

公 式 テ ⇒p467

`18-17-4

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

4 契約期間中の借主からの相殺の禁止

敷金返還請求権は、賃貸借契約が終了し、物件の明渡し時に発生す

るので、契約期間中は、借主は、敷金返還請求権と賃料債務とを相殺

〈民法 505 条〉することができない。

5 敷金の返還と充当

貸主は、敷金の預託を受けた後、賃貸不動産の明渡しを受けるまで

の間、賃料不払い等の事由が発生すれば、いつでも任意に敷金を充当

することができる〈大判昭 5.3.10〉。

他方、借主が、自らの不払賃料に敷金を充当する旨を主張すること

はできない〈大判昭 5.3.10〉。

・ 借主の賃貸不動産の明渡完了時に、敷金により担保される債務を

借主が貸主に対して負担していれば、この債務は敷金から当然に充

当される。その結果、貸主は、債務控除後の残額を差押債権者に支

払えば足りる。

公 式 テ ⇒p468

`16-21-3

`16-21-4

ワンポイント

公 式 テ ⇒p468

`18-17-1

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-15-

‐ M E M O ‐

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-16-

(H28 年度(2016) 問 12)宅建士 過去問③

⇒ 正 解 2

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-17-

賃貸管理士 過去問③ (H30 年度(2018) 問 19)

3377

重要度

賃賃貸貸借借契契約約 AA

2018 年度(平成 30年度) 問 19

普通建物賃貸借契約(定期建物賃貸借契約でない建物賃貸借契約をいう。以下、各問におい

て同じ。)の解約及び更新拒絶に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 貸主からの期間内解約条項がある場合には、貸主からの解約申入れに正当事由は不要で

ある。

2 賃貸建物の老朽化が著しいことを理由として更新を拒絶する場合、貸主は立退料を支払

うことなく、当然に正当事由が認められる。

3 貸主による更新拒絶通知に正当事由がある場合であっても、期間満了後に借主が建物を

継続して使用し、貸主がそれに対して遅滞なく異議を述べなかった場合には、契約は更新

されたものとみなされる。

4 契約期間満了までに、更新について合意が成立しない場合、特約のない限り、従前と同

一条件かつ同一期間で賃貸借契約が当然に更新されたものとみなされる。

比較

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-18-

正 解 3

<問題の評価>→必ず正解できなければならない問題

本問は、普通建物賃貸借契約の解除及び更新拒絶に関する問題である。賃貸住宅の管理の上で、契約の解除

や更新に関することは重要である。再度出題される可能性が高い。

1 誤 本肢は、期間内解約条項がある場合の貸主からの解約申入れに関する問題である。

この点、「貸主からの期間内解約の申入れには正当事由が必要である。」公式テ⇒p499 の 29

~30 行目 よって、「正当事由は不要である」としている本肢は、誤りである。

2 誤 本肢は、更新拒絶の通知における正当事由に関する問題である。この点、「「更新

しない旨の通知」をする場合には、貸主に更新を拒絶するのが正当と認められるだけの

理由(「正当事由」という)が必要である(借地借家法第 28条)。この正当事由があるか

どうかは、①貸主と借主のお互いの物件を必要としている事情、②賃貸借に関する従前

の経過、③建物の利用状況や現況、④建物の現況、⑤①~④の補充としての立退料の提

供などを総合的に判断して決められる・・・。」公式テ⇒p481 の 34 行目~P482 の 9 行目 よって、

「当然に正当事由が認められる」としている本肢は、誤りである。

3 正 本肢は、法定更新に関する問題である。この点、貸主が借主に対し、正当事由の

ある「更新しない旨の通知をした場合でも、期間満了後に借主が物件をそのまま継続し

て使用し、それに対して貸主が遅滞なく異議を唱えなかった場合には、契約は更新され

たものとみなされる」(借地借家法第 26 条第 2 項)。公式テ⇒p482 の 10~13 行目 よって、本

肢は正しく、本問の正解肢となる。

4 誤 本肢は、賃貸借契約の更新に関する問題である。この点、「更新は、当事者の合意

によりできるのはもちろんであるが(合意更新)、法律上当然に更新がなされる場合(法

定更新)もある。」公式テ⇒p481 の 9~10 行目 この法定更新においては、「借地借家法は、借

主の保護を図るため、期間を定めた建物賃貸借契約について、・・・それまでの契約と同

じ条件で(ただし、契約期間については定めがないものとなる)、契約を更新したものと

みなされる(同法第 26 条第 1項)。」公式テ⇒p481 の 28~33 行目 よって、「同一期間で賃貸借

契約が当然に更新されたものとみなす」としている本肢は誤りである。

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

十十一一 賃賃貸貸借借契契約約のの終終了了

期間の定めのある建物賃貸借契約の終了原因としては、以下のもの

がある。

・ 期間満了

・ 解約申入れ

・ 債務不履行による契約解除

・ 合意解除

・ その他の終了原因

1 期間満了

期間の定めのある建物賃貸借契約につき、期間満了を原因として終

了させる場合の更新拒絶等の通知には、正当事由が必要となる。

また、正当事由は、期間の定めのない場合の解約申入れ〈借地借家法

27、28 条〉及び期間内解約条項に基づく解約申入れによる契約終了〈東

京地判平 23.1.28〉にも適用される。

(1) 正当事由

正当事由の有無は、当事者双方の利害関係その他諸般の事情を考

慮要因として、考慮要因の総合考慮によって判断される〈最判昭

46.6.17〉。

具体的には、以下のとおりとなる。

・ 貸主及び借主が建物の使用を必要とする事情

・ 建物の賃貸借に関する従前の経過

・ 建物の利用状況

・ 建物の現況

・ 財産上の給付(立退料)の提供の申出等

公 式 テ ⇒p495

公 式 テ ⇒p496~498

`15-14-3

`15-21-1

`15-21-2

`15-21-3

`16-13-2

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

・ 正当事由は、更新拒絶等の通知及び解約申入れのときに存在し、

かつ、その後 6か月間持続させなければならない〈最判昭 28.1.30〉。

・ 更新拒絶の通知時点では正当事由が存在しなくとも、通知後に

事情が変わり正当事由が具備され、正当事由が具備された状態が

事情変更時点から 6 か月間持続した場合も、解約の効果は生じる

〈最判昭 41.11.10〉。

・ 立退料の有無は、正当事由の有無を判断する対象にはなるもの

の、立退料の提供だけで正当事由を満たしていると判断されるわ

けではなく、他の事情が備わり、立退料の提供もあるときに、正

当事由のひとつとして補完され判断される。

・ 自己使用の必要性はないが、朽廃の著しい賃貸建物について立

退料の提供による解約の正当事由の補完を認めた事例がある。

(2) 取壊予定建物の建物賃貸借契約の終了

法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊す

べきことが明らかな場合に、この建物を目的物として建物賃貸借契

約を締結するときは、建物取壊時に建物賃貸借契約が終了する旨を

定めることができる〈借地借家法 39条 1項〉。

この特約は、建物を取壊すべき事由を記載した書面によってしな

ければならない〈同条 2項〉。

2 解約申入れ

(1) 期間の定めのある賃貸借契約

(a) 期間内解約条項等がある場合

借主に期間内解約権を留保する特約は有効である。そして、借

主が期間内解約の申入れをした場合に、予告期間に関する特約が

なければ、申入時から 3 か月を経過することで建物賃貸借契約は

終了する〈民法 618 条、617 条 1 項 2号〉。

他方、貸主に中途解約権を留保することの有効性については争

いがある。もっとも、仮に有効であるとしても、貸主からの期間

内解約の申入れには正当事由が必要である。

公 式 テ ⇒p499~500

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ワンポイント

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

(b) 期間内解約条項がない場合

期間内解約の条項がない場合、建物賃貸借契約の当事者は、契

約期間中に契約を解約することができない。

期間内解約条項等が

ある場合

借主に期間内解約権を留保する特約は

有効。予告期間に関する特約がなけれ

ば、申入時から3か月経過後に終了する。

期間内解約条項が

ない場合 契約期間中に解約できない。

(2) 期間の定めのない賃貸借契約

期間の定めのない建物賃貸借契約の場合、当事者の一方から解約

申入れがなされた場合には、一定期間の経過後に契約は終了する。

借主からの

解約申入れ

解約申入日から 3 か月を経過することで終了

する〈民法 617 条 1項 2号〉。

貸主からの

解約申入れ

正当事由が必要であり〈借地借家法 28 条〉、正当事

由を具備することで解約申入日から 6 か月を

経過することで終了する〈借地借家法 27条 1項〉。

3 債務不履行による契約解除

契約の一方当事者が自らの義務を履行せず、履行しないことにつき

責めがある場合には、他方当事者は契約を解除することができる。

解除原因となる債務不履行としては、賃料不払い、賃借権の無断譲

渡及び無断転貸、用法遵守義務違反等がある。

(1) 債務不履行による契約解除権の行使

契約を解除するためには、「履行期の徒過→債務者の帰責性(故

意・過失)がある→相当期間を定めた催告→解除権の意思表示」の

要件を満たす必要がある。なお、解除権の意思表示は、口頭で行う

ことも可能である。

(a) 催告

債務不履行に基づく解除を行うためには、債務者に債務不履行

状態を是正する機会を与えるべく、原則として解除権行使に先立

ち、催告をしなければならない〈民法 541 条〉。

公 式 テ ⇒p501~507

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

・ 義務違反が重大であり、是正の機会を与える必要がないほ

ど賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめる不信行為がある

場合には、例外的に催告をせずとも解除することも可能であ

る。

・ 家屋の賃貸借契約において、一般に、賃借人が賃料を 1か

月分でも遅滞したときは催告を要せず契約を解除することが

できる旨を定めた特約条項は、賃料が約定の期日に支払われ

ず、これがため契約を解除するに当たり催告をしなくてもあ

ながち不合理ではないという事情が存する場合には、無催告

で解除権を行使することが許される旨を定めた約定であると

解するのが相当であるとし〈最判昭 43.11.21〉、特約の効力を限

定的に解している。

(b) 家賃保証会社による未払賃料の代位弁済

家賃保証会社による家賃保証は、家賃保証会社が借主の貸主に

対する賃料支払債務を保証し、借主が賃料の支払を怠った場合に、

保証会社が保証限度額内で貸主にこれを支払うこととするもの

である。

・ 賃貸借保証委託契約に基づく保証会社の支払いがあっても、

借主による賃料の不払いの事実がある〈大阪高判平 25.11.22〉。

(c) 賃借権の無断譲渡・無断転貸と解除

借主が貸主に承諾を得ずに賃借権を第三者に譲渡又は転貸し

た場合、貸主は賃借権を解除することができるが、この場合でも、

賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足ら

ない特段の事情があるときには、解除権は発生しない。

・ 個人の借主が同居している子に賃貸不動産を転貸した場合

のように、貸主に損害が生じないときは、貸主が無断転貸を

理由に建物賃貸借契約を解除することはできない。

ワンポイント

ワンポイント

ワンポイント

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

(d) 解除権行使の方法

契約解除は、相手方に対する意思表示を要し〈民法 540 条 1 項〉、

意思表示が相手方に到達した時点で効力が生ずる。

・ 解除の意思表示は、口頭で行うことも可能である。

・ 解除権の意思表示は、撤回することができない〈民法 540 条 2

項〉。

・ 催告後に解除の意思表示をする方法に代えて、催告と同時

に「期間内に支払いが無い場合には、本書をもって建物賃貸

借契約を解除することとします。」と記載して解除の意思表示

を行うことも可能である(停止条件付の契約解除)。

(2) 契約当事者が複数の場合の解除権の行使方法

(a) 貸主が複数の場合

賃貸不動産が共有物で、貸主が共有者である場合、過半数の共

有持分を有する共有者が解除権を行使することができる〈最判昭

39.2.25〉。

(b) 借主が複数の場合

借主が複数の場合、貸主は原則として、借主全員に対して解除

権を行使する必要があるが、多くの裁判例では、催告・解除につ

いて、全員に対するのではなく、1人に対する意思表示で足りる

と判示している。

(3) 解除の効果

契約が解除されると、解除の効果は将来に向かってのみ効力を生

じる〈民法 620 条本文〉。

なお、賃貸借契約が解除された場合に、当事者の一方に過失があ

ったときは、その者に対する損害賠償請求権を行使することができ

る〈民法 620 条ただし書〉。

ワンポイント

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(H30 年度(2018) 問 8)宅建士 過去問④

⇒ 正 解 1

比較

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-25-

賃貸管理士 過去問④ (H30 年度(2018) 問 25)

2233

重要度

管管理理実実務務 AA

2018 年度(平成 30年度) 問 25

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(国土交通省平成 23 年 8 月。以

下、本問において「ガイドライン」という。)に関する次の記述のうち、最も適切なものは

どれか。

1 ガイドラインでは、借主によるペット飼育に伴い生じる「臭い」は、「賃借人が通常の住

まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置づけられており、借主は

原状回復義務を負わない。

2 ガイドラインでは、エアコンの内部洗浄は、「明らかに通常の使用等による結果とは言え

ないもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負う。

3 ガイドラインでは、賃貸建物の鍵の紛失は、賃借人負担と判断される場合が多いため、

「明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの」に位置づけられており、借主は原

状回復義務を負う。

4 ガイドラインでは、風呂・トイレ・洗面台の水垢・カビ等は、「賃借人が通常の住まい方、

使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置づけられており、借主は原状回復

義務を負わない。

比較

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正 解 3

<問題の評価>→必ず正解できなければならない問題

本問は、ガイドラインに関する問題である。賃借人の退去に伴う賃貸住宅の修繕の負担は、賃貸人にも賃借

人にも重要な事項である。そのトラブルを避けるためにも、どのような場合に、誰がどの程度の負担を負う

のかの知識を身に着けておく必要がある。再度出題される可能性は非常に高い。

1 不適切 本肢は、損耗・毀損の事例区分に関する問題である。この点、借主のペット

飼育に伴い生じる「臭い」は、「[賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするも

の(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)]」公式テ⇒p654 の図表 に位置づけ

られており、借主が原状回復義務を負う。よって、「「賃借人が通常の住まい方、使い方

をしても発生するものと考えられるもの」に位置づけられており」としている本肢は、

不適切である。

2 不適切 本肢は、損耗・毀損の事例区分に関する問題である。この点、エアコンの内

部洗浄は、「[次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素があるもの]」

公式テ⇒p655 の図表 に位置づけられており、貸主が原状回復義務を負う。よって、「「明ら

かに通常の使用等による結果とは言えないもの」に位置づけられており」としている本

肢は、不適切である。

3 適切 本肢は、損耗・毀損の事例区分に関する問題である。この点、賃貸建物の鍵の

紛失は、「[賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの(明らかに通常の使

用による結果とはいえないもの)]」公式テ⇒p655 の図表 に位置づけられており、借主が原

状回復義務を負う。よって、本肢は適切であり、本問の正解肢となる。

4 不適切 本肢は、損耗・毀損の事例区分に関する問題である。この点、風呂、トイレ、

洗面台の水垢・カビ等は、「[賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考

えられるもの]」公式テ⇒p655 の図表 に位置づけられており、借主が原状回復義務を負う。

よって、「「賃借人が通常の住まい方、使い方をしても発生するものと考えられるもの」

に位置づけられており」としている本肢は、不適切である。

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

九九 原原状状回回復復ををめめぐぐるるトトララブブルルととガガイイドドラライインン

賃貸住宅の退去時における原状回復をめぐるトラブルが急増した

ため、原状回復に係る契約関係、費用負担等のルールのあり方を明確

にし、賃貸住宅契約の適正化を図ることを目的として、「原状回復を

めぐるトラブルとガイドライン」(ガイドライン)が作成された。

1 ガイドラインの性質

ガイドラインは、あくまでも「指針」であって、当事者に対し何ら

法的拘束力を及ぼすものではない。

そのため、民間賃貸住宅の賃貸借契約については、契約自由の原則

により、民法、借地借家法等の法令の強行法規に抵触しない限り、ガ

イドラインの内容と異なる特約は有効である。

2 原状回復義務の定義

原状回復とは、借主の居住、使用により発生した建物価値の減少の

うち、借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超

えるような使用による損耗・毀損を復旧することである。

・ 次の入居者を確保する目的で行う設備の交換、化粧直しなどのリ

フォームについては、経年変及び通常使用による損耗等の修繕であ

り、貸主が負担すべきである。

・ 震災等の不可抗力による損耗、上階の居住者など該当借主と無関

係な第三者がもたらした損耗等については、借主が負担すべきもの

でない。

公 式 テ ⇒p645

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`15-28-1

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公 式 テ ⇒p647

`16-24-1

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ワンポイント

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

3 原状回復の負担義務者の区分

ガイドラインでは、事例により、原状回復の負担義務者を次のよう

に区分している。 区 分

賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生する

と考えられるもの A

「経年変化」か、「通常損耗」であり、これらは賃貸借契約の性質上、

賃貸借契約期間中の賃料でカバーされてきたはずのものである。したが

って、賃借人はこれらを修繕等する義務を負わず、この場合の費用は賃

貸人が負担することとなる。

区 分 建物価値の減少の区分としてはAに該当するものの、建

物価値を増大させる要素が含まれているもの A(+G)

賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生するものについて

は、上記のように、賃貸借契約期間中の賃料でカバーされてきたはずの

ものであり、賃借人は修繕等をする義務を負わないのであるから、まし

て建物価値を増大させるような修繕等(例えば、古くなった設備等を

新のものに取り替えるとか、居室をあたかも新築のような状態にするた

めにクリーニングを実施する等、Aに区分されるような建物価値の減少

を補ってなお余りあるような修繕等)をする義務を負うことはない。し

たがって、この場合の費用についても賃貸人が負担することとなる。

区 分 賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかった

りすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による

結果とはいえないもの) B

「故意・過失、善管注意義務違反等による損耗等」を含むこともあり、

もはや通常の使用により生ずる損耗とはいえない。したがって、賃借人

には原状回復義務が発生し、賃借人が負担すべき費用の検討が必要にな

る。

区 分 基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理

が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるものA(+B)

賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生するものであるが、

その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗が発生・拡大したと考えら

れるものは、損耗の拡大について、賃借人に善管注意義務違反等がある

と考えられる。したがって、賃借人には原状回復義務が発生し、賃借人

が負担すべき費用の検討が必要になる。

公 式 テ ⇒ p649~657

661~662、674~676

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`16-24-2

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

(国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)』より引用)

なお、これらの区分は、あくまで一般的な事例を想定したものであ

り、個々の事象においては、Aに区分されるようなものであっても、

損耗の程度等により実体上Bまたはそれに近いものとして判断され、

賃借人に原状回復義務が発生すると思われるものもある。したがって、

こうした損耗の程度を考慮し、賃借人の負担割合等についてより詳細

に決定することも可能と考えられる。

・ ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる

範疇のものであり、そのために使用した画鋲、ピン等の穴は、通常

の損耗と考えられる。

・ 借主の故意過失等による損耗であっても、経年変化・通常損耗は

必ず前提になっており、経年変化・通常損耗の分は、借主は賃料と

して支払ってきているところで、借主が明渡し時に負担すべき費用

にならないはずであること等から、「借主の負担については、建物

や設備等の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させ

ることとするのが適当である。

・ 壁(クロス)の負担範囲は、㎡単位が望ましいが、借主が毀損さ

せた箇所を含む一面分までは張替え費用を借主負担としてもやむ

をえない。

・ ペットによる柱、クロス等にキズが付いたり臭いが付着している

ワンポイント

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賃貸不動産経営管理士 『合格スタンダード講座 講義録』より

場合は、賃借人の負担となる。

・ エアコンの内部洗浄は、貸主が原状回復義務を負う。

・ 風呂、トイレ、洗面台の水垢・カビ等は、借主が原状回復義務を

負う。

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