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‹#Tohtech H.Watanabe

都市環境理解のための地理情報システム

－ＧＩＳの基礎理論－

東北工業大学工学部建築学科

教授渡辺浩文

20121112東北大学「都市環境工学」


１．地理情報システムとは？

２．実世界のモデル化（地図投影法と座標系）

３．GISのデータ構造

４．まちづくり検討におけるGIS利用の例


１．地理情報システムとは？

ＧｅｏｇｒａｐｈｉｃＩｎｆｏｒｍａｔｉｏｎＳｙｓｔｅｍ

別名

都市情報システム

都市計画支援システム

土地情報システム

土地管理システム

などなど...


空間データを、一連の特定の目的のため

実社会から収集し、

保存し、

自由に検索し、

変換し、

表示する

ための強力な手段

（Ｐ．Ａ．バーロー著「地理情報システムの原理」より）

ＧＩＳの概念


ＧＩＳ地理情報システムとは？

建物個別に図形データと属性データとが

一体整備！

廉価版地図ソフトの例

・住所から場所を

・郵便番号から場所を

・電話番号から場所を

・施設名称から場所を

検索＆表示

ネット利用で普及しましたね。

→ Ex. Google Earth,Yahoo! とか



「ぐるなび」もよく出来てます


GPSとの相違と関連

GPS : Global Positioning System（全地球測位システム）

米軍管轄の24個のGPS衛星による全地球をカバーする測位システム

↓

位置情報（位置だけ）

( only spatial data )

地理的情報（属性情報）が付加されることにより、様々に活用可能となる。

( by adding the attribute data, we can use GIS )


建築学科の学生にとってのGISを学ぶ意義

・Google Earthをはじめとして様々な空間情報が既に利用されている

・建築設計も完全にCADに移行

（現在はBuilding Information Modelingが着目されている）

・この流れは建築単体に留まらず、街路・街区・都市・地域へと拡張

・日本においても様々な基盤地図情報が無償公開されはじめた

今後は、敷地形状や周辺状況などがディジタル情報として入手可能に。

特に空間情報（とその処理）の特徴と留意点を知ることは、思いがけない誤りを防ぐことにつながる。


２．実世界のモデル化（地図投影法と座標系）

回転楕円体である地球を平面に表現するには？

→ 地図投影法

地球表面上のある一点の位置を表現するには？

→ 座標系

( Georeferencing; Map Projections and Coordinate System )


地球形状の仮定

実際には微妙に凹

凸あるが、楕円の

短軸を回転軸とし

て回転してできた

「回転楕円体」とし

て取り扱う。

( Geoid )

Ellipsoid


1) 地図投影法

（回転楕円体である地球を平面に表現するには？）

正距図法：地球上の距離と地図上の距離との関係を

正しく保った図法

正積図法：地球上の面積とこれに対応する地図上の

面積が一致する図法

正角図法：地球上の任意の地点から極めて近い距離

にある２点間の夾角がこれに対応する

地図上の角と等しい図法

Map Projection


正距図法の例（ドリール図法）


正積図法の例（モルワイデ図法）


正角図法の例（メルカトル図法）


投影面の形による分類

平面

円錐 →

円筒

この他...

更に円筒の軸の取り方で...


UTM図法(Universal Transverse Mercator図法)

横軸円筒図法による


球面を平面上に“ひずみ”なく投影することは不可能！↓

作成する地図の目的に応じて投影法を選択


2) 座標系

（地球表面上のある一点の位置を表現するには？）

経緯度法：最も一般的な表記法

UTM座標系：米軍発祥の全世界対象の表記体系

平面直角座標系：日本国内を高精度に表記する体系

Coordinate System


経緯度法

経度の定義

緯度の定義


UTM座標系

各ゾーンの中心子午線と赤道との交点を原点とし、平面上の距離で位置を表記

→ 1/20万から 1/1万の地形図で使用


平面直角座標系

全国各地に１９点の原点を設置し、UTM図法による平面上での距離で表記↓

1/2,500都市計画図で使用（高精度）

Japanese Plane Coordinate System


新測量法（2002年施行）

改正測量法の施行前は、明治時代に採用したベッセル楕円体を使用

東京天文台の経度・緯度が、天文観測により決定（日本経緯度原点）

→「日本測地系」

ＧＰＳ（全地球測位システム）及びＧＩＳ（地理情報システム）

を念頭においた、「精密」で「世界対応」の

測地システムの必要有り（世界測地系）

明治期の測定誤差地殻変動による不整合


新技術（GPS)による基準点網のひずみ

VLBI


日本測地系と世界測地系の違い


日本測地系と世界測地系の比較


３．GISのデータ構造

ベクトル・データ Vector data

→ 点・線・面として表現される

ラスター・データ Raster data

→ 点の集合でデータが構成されている


ベクトル・データとは? What’s Vector Data ?

・

原点０

点(Point) 例：公共施設の位置と名称など

線(Line) 例：道路・鉄道など

面(Polygon)例：建物・行政界など


①①①①①・・・・・・①①②②③ ・① ・・・・・・

・・・・・・①① ・①①①・・・・・・①①①

列（Column）１２３４５・・・・・・ｎ

ｍ・・

・・３２１

行（Line）

ラスター・データとは? What’s Raster Data ?


人工衛星データの例

Landsat-7 ETM+ Natural Color Image, 000921

Example of Satellite Image


Red

Green

Blue

Band-1, 0.450-0.515μm

Band-2, 0.525-0.605μm

Band-3, 0.630-0.690μm

カラー画像合成の原理 Color Composition


カラー合成とは？

ヨドバシカメラ屋上R:123G:122B:147

中央通りR:173G:176B:194

榴岡公園（芝生）R:57G:66B:79

榴岡公園（樹林）R:42G:51B:73

0～255=28：８ビット情報の組み合わせで地表面の放射強度（色）を表現！


人工衛星データによる仙台の市街化状況分析

使用衛星 Landsat （1972年1号打ち上げ・現在7号運用）

使用データ

1979年05月21日 1985年6月16日

1995年10月21日 1990年4月11日

2000年7月11日

仙台周辺約３０ｋｍ四方対象

マルチチャンネル・データを

土地被覆６分類し、比較検討


作成データ

図9 1985年06月16日トゥルーカラー図8 1979年05月21日ナチュラルカラー図10 1990年04月11日トゥルーカラー

図11 1995年10月18日トゥルーカラー図12 2000年07月11日トゥルーカラー


土地被覆分類結果

図14 1985年06月16日 6項目分類図13 1979年05月21日 6項目分類図15 1990年04月11日 6項目分類

図16 1995年10月18日 6項目分類図17 2000年07月11日 6項目分類 ‹#Tohtech H.Watanabe

1979年～2000年人工建造物箇所の拡大

図24 1979年の人工建造物箇所

図26 1979年～2000年人工建造物拡大箇所

2000年人工建造物－1979年人工建造物図25 2000年の人工建造物箇所


細密数値情報の例（1974～1994年，5年毎）


10m画素（Pixel），５年おきに調査


土地利用の変化箇所抽出 Analysis of Land Use Changes


国土数値情報の例 Mesh Data; Population


地域メッシュ統計（標準地域メッシュ）の地域区分

Japanese Standard Mesh


メッシュ化（メッシュ･コード化）の手順

１次メッシュ

２次メッシュ

３次メッシュ


地域メッシュ統計のいろいろ

土地利用情報

国勢調査人口，世帯数，年齢別人口・・・

事業所統計産業別事業所数，従業員数・・・

などなど多様



ラスター・データの特徴

ラスター・データ（メッシュ・データ）は「点」の集合

点（データ）の配列により位置を示す

人工衛星データなど各種あり

行政による各種統計資料もメッシュデータ化

環境分野は無論、社会学的にも有用


ベクトル・データ

・

原点０

点(Point) 例：公共施設の位置と名称など

線(Line) 例：道路・鉄道など

面(Polygon)例：建物・行政界など

Vector Data

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業務建物の分布

住居の分布

目視調査結果（用途別建物分布）

Distribution of Houses

Distribution of Office Buildings


項目

建物番号（識別番号）月別総エネルギー消費量

建物名称冷房用エネルギー消費量

建物階数** 暖房用エネルギー消費量

建築面積給湯用エネルギー消費量

延床面積電力エネルギー消費量

建物用途（階別）** 時刻別冷房用エネルギー消費量

エネルギー消費量*夏季・冬季暖房用エネルギー消費量のピーク月給湯用エネルギー消費量

電力エネルギー消費量

**は既存データで不足・誤記の見受けられる項目

*エネルギー消費量に関する細項目

表-1 本研究で必要な属性データの項目

Items of Attribute data for Energy Consumption Analysis


建物データベース



ベクトル・データの特徴

ベクトル・データは「点」「線」「面」で表現される

各図形はそれぞれ属性データを持つ

データ各種あり

行政による各種統計資料もデータ化

Freeの専用ツールあり


既存の広幅員道路の再構成

①仙台におけるクリマアトラス・ワークショップ「狭領域での気候解析・計画指針検討の試み」

地下鉄東西線計画都市再生プロジェクト東北工業大学・渡辺浩文，山梨県環境科学研究所・十二村佳樹



２００３年１１月２３日13:00～２４日12:00

東北工業大学10号館ホール

参加者：31名（研究者・プランナー・自治体・その他）

プログラム（所属は当時）

11月23日（日）13:00 開会挨拶渡辺浩文（東北工大）13:05 クリマアトラス実用化WGの活動経過足永靖信（建築研究所）13:30 趣旨説明（ワークショップのねらい）渡辺浩文（既出）13:50 仙台広域の都市環境気候図作成状況十二村佳樹（東北工大）14:20 仙台市の都市計画概要小島博仁（仙台市都市計画課長）

< 休憩 >15:00 分科会（３グループ・18:00頃まで）

11月24日（月）09:00 分科会（３グループ）10:30 報告会進行：渡辺浩文（既出）11:30 コメント近江隆（東北大）、吉野博、持田灯

総括森山正和（神戸大学）‹#Tohtech H.Watanabe

ワークショップでは...

・微気候（建物が認識できる）スケールでの検討

・広域の実測結果と数値解析結果を援用

・GISによる表面凹凸情報の利用

・具体的な将来構想のある場でリアリティのある検討

目標：基本的には典型的な夏日を対象に、

① (微)気候解析図の作成

② (突っ込んだ)計画指針図の作成


中心市街地

郊外（沿岸・市街地エッジ）

郊外斜面住宅地


①地図・航空写真（マップシステムカンパニー（地元企業））・土地利用図（仙台市都市計画課）＋CFDによる風向風速分布・標高＋建物階数分布図（仙台市都市整備局都市計画課）・まちづくり構想図（仙台市都市整備局都市計画課）・1/25,000地形図

②気象データ・仙台管区気象台観測気象データ

（気温、湿度、風速、真夏日日数、熱帯夜日数など）・仙台市環境局観測の風向風速データ・東北工業大学渡辺浩文研究室による多点測定データ・東北大学持田灯研究室のmesoスケールCFD解析結果（風向風速）

③その他・ケーススタディ地区のまちづくり構想資料（仙台市都市計画課）・基調講演ppt・関連論文

配布資料

‹#Tohtech H.Watanabe 59/1459/14‹#Tohtech H.Watanabe

航空写真

建物階数等高線図


中心市街地での検討結果

「気候解析図」「計画指針図」


②福島県原町市の都市気候（温熱環境）調査

2001年夏季（8月4日17:00～5日18:00）

研究者：佐土原聡，持田灯，後藤光亀，渡辺浩文

学生：横浜国立大学（５名），東北大学（４名），東北工大（３名），新潟工大（４名），宮城教育大（２名）

原町市民・中学生・高校生（約２０名）

約５０名による協働調査



実測対象エリア1

N

EW

S

N

EW

S

太

平

洋

阿

武

隈

高

地

20点の温湿度定点同時測定


12

3

4

5

6

7

8

9 1011

1213

1415

161819 20

27

29

2628

2322

30

2125

御本陣山折ヶ沢溜池

新田川水無川

測定点N

測定点A測定点B

原町駅

500ｍ

N

EW

S

N

EW

S12

3

4

5

6

7

8

9 1011

1213

1415

161819 20

27

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2322

30

2125

御本陣山折ヶ沢溜池

新田川水無川

測定点N

測定点A測定点B

原町駅

500ｍ

N

EW

S

N

EW

S実測対象エリア2（市街地エリア）

30点の温湿度定点同時測定

エリア1と合わせると50点の温湿度定点同時測定


温湿度測定

測定風景


調査結果の概要

1)東北地方太平洋沿岸都市特有の“やませ”影響下の貴重な測定データを得ることができた

2)緑地や河川周辺では、市街地に比べ気温が低くなっていた

3)河川空間周辺では、水温が気温よりも高いにも関わらず市街地に比べ気温が低くなっていた。


測定期間：平成14年7月17日～8月24日

実測対象地域：福島県原町市

測定項目：電力消費量（１時間毎）

屋内気温（１時間毎）

屋外気温（１０分毎）

測定箇所：屋外気温27箇所，

屋内気温＆電力消費量18箇所

屋内外気温と電力消費の多点同時測定

環境モニタリング調査


測定点の分布

モニター

センサー

省エネナビ（電力消費・屋内気温測定）

外気温測定器


床面積１㎡当り日積算冷房用電力消費量（８／６）

日積算屋内外気温差（８／６）

日平均屋外気温（８／６）


環境モニタリング調査の総括

・ヒートアイランド現象（都心部の高温化）が確認された

・住宅の冷房用電力消費量と屋内外気温との関連が見受けられた

原町は都市気候の影響下にある

But ...

海風・緑地（御本陣山）・河川空間の

暑熱環境緩和効果も確認された


電力消費

計　　測

（前年実績値と共に）表　　示

自己認識・環境認識

屋外環境観測気温･湿度風向・風速等

※高次な自己最適化型環境行動

　Ex. 「思った程、外は暑くないな」　　　　　→　冷房を止めよう！　　　「良い風が吹いているようだ」　　　　　→　窓を開け、通風でしのごう！

電力消費

計　　測

（前年実績値と共に）表　　示

自己認識・環境認識

屋外環境観測気温･湿度風向・風速等

※高次な自己最適化型環境行動

　Ex. 「思った程、外は暑くないな」　　　　　→　冷房を止めよう！　　　「良い風が吹いているようだ」　　　　　→　窓を開け、通風でしのごう！

環境認識と市民参加屋内外気温と電力消費量の同時測定の意義


計測・表示計測・表示計測・表示計測・表示・・・

データベース化

WebGISで公開

自身の生活と周辺環境の総合的理解

様々な疑問・何故、同じような世帯でも消費電力が違うのか？・どのような工夫で省エネしているのか？・何故、地域によって外気温が違うのか？（都市気候等）・地域によって気温が異なる原因は？　　などなど...

自己単独型の環境行動から地域での取り組みへ

（勉強会・ワークショップ・・・）

環境調和型都市づくりへのFirst Step！

計測・表示計測・表示計測・表示計測・表示・・・

データベース化

WebGISで公開

自身の生活と周辺環境の総合的理解

様々な疑問・何故、同じような世帯でも消費電力が違うのか？・どのような工夫で省エネしているのか？・何故、地域によって外気温が違うのか？（都市気候等）・地域によって気温が異なる原因は？　　などなど...

自己単独型の環境行動から地域での取り組みへ

（勉強会・ワークショップ・・・）

環境調和型都市づくりへのFirst Step！

環境モニタリング（環境認識）から市民参加そして環境調和型まちづくりへ


「仕掛け」と「仕組み」

・環境モニタリング

・講演会，勉強会，研究会

・調査研究成果の（市民向け）公開

・原町の具体的な将来像（視覚的なイメージで）

・・・仕掛け

仕掛けだけでなく「仕組み」も必要


研究成果のGIS上での統合化とまちづくりへの還元


環境観測システム

既存環境測定局リモートセンシング実測調査 etc.

都市環境データベース

地理情報システム環境情報システム

建築・都市

環境計画

事前／事後環境評価

影響定量化

環境理念環境政策

土地利用建物情報エネルギー水・ごみ法規制etc.

都市環境管理システム

やっぱりGISは重要！

何を目的としているのか？

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