(案) 新・いわき市水道事業経営プラン -...

76
(案) 新・いわき市水道事業経営プラン 2017 2026

Upload: others

Post on 13-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

(案)

新・いわき市水道事業経営プラン

2017 - 2026

Page 2: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに
Page 3: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって

本市の水道は、大正 10 年に旧平町で通水を開始したことに

始まり、昭和 41年の市町村合併により、経過期間を経て昭和

44 年には「いわき市上水道」の事業を創設しました。その後

は、市勢の伸展や水道普及率の向上等に対応するため、昭和

47 年から三期にわたる拡張事業を実施するなど、95 年の歴

史を重ねて現在に至っています。

合併当時は、給水人口約 24 万2千人、水道普及率 71.4%

だったものが、現在(平成 27 年度末)では、給水人口約 33

万8千人、水道普及率 97.4%となっているほか、給水区域面

積が約 466k㎡、管路総延長も2千kmを超えるなど、水道

事業は、生活環境の改善や経済活動を支える社会基盤として、市民生活には欠かせないもの

となっています。

一方、近年の水道事業を取り巻く環境は大きく変化しており、事業内容も「拡張の時代」

から「維持管理・更新の時代」へ移ってきたと言われています。とりわけ、給水人口の減少

や節水機器の普及等により本市の水需要も平成6年度をピークに減少傾向に転換し、水道料

金収入が減少する中で、高度経済成長期に整備した施設の老朽化が進み、順次更新時期を迎

えているほか、東日本大震災の経験を踏まえた災害に強い水道の構築を進めていく必要があ

るなど、今後の水道事業の経営環境はきわめて厳しい状況にあるものと考えています。

これらの諸課題に対応するため、今般、「新・いわき市水道事業経営プラン」(平成 29 年

度~平成 38年度)を策定しましたが、このプランでは、水道事業の将来像や進むべき方向

性(安全、強靭、持続)を示すとともに、方向性ごとに目標を掲げ、様々な取組を計画的に

実施していくこととしています。

今後は、最重要事業としてプランに位置づけた「老朽管更新事業」をはじめ、各般の事業

に設定した目標指標を達成すべく、関係者の皆様と協力しながら取組を効果的に実施するな

ど、お客様から信頼される水道システムを健全な姿で後世に引き継ぐことを目指してまいり

ます。

最後になりますが、プランの策定に当たり、広範で多岐にわたるご意見をいただいた市水

道事業経営審議会委員の皆様、パブリックコメントとして貴重な意見をお寄せいただいた市

民の皆様に心からお礼を申し上げます。

平成 29 年1月

いわき市水道事業管理者

仲野 治郎

Page 4: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

目 次

基本計画 Ⅰ 策定の趣旨 .......................................................... 1

Ⅱ 計画の位置付けと期間 ................................................ 2

Ⅲ 水道事業の概況 ...................................................... 3

(1 沿革、2 給水人口と水需要、3 水道料金、4 水道施設の概要)

Ⅳ 現状と課題 .......................................................... 6

1 安全な水の確保 ............................................................. 6

2 水道施設の再構築及び適正更新 ............................................... 7

3 災害に強い水道システムの確立 ............................................... 9

4 地球環境への配慮 .......................................................... 12

5 お客さまとのコミュニケーションの推進 ...................................... 13

6 経営基盤の強化 ............................................................ 14

Ⅴ 基本理念と方向性 ................................................... 16

1 基本理念 .................................................................. 16

2 方向性 .................................................................... 17

Ⅵ 目標 ............................................................... 18

中期経営計画(平成 29年度~平成 33年度)

Ⅰ 取組(施策)の概要 ................................................. 21

1 目標を実現するための取組(施策) .......................................... 21

2 水道事業の各段階での取組(施策)の展開 .................................... 25

3 取組(施策)の内容 ........................................................ 27

Ⅱ 事業運営の目標(業務指標) ......................................... 47

Ⅲ 財政計画 ........................................................... 55

(1 水需要と水道料金収入、2 企業債発行額と企業債残高、3 投資内容、

4 投資以外の経費、5 経営状況、6 財政収支計画、

7 平成 34年度以降の財政収支見通し(参考))

Ⅳ 推進体制 ........................................................... 59

< 参 考 資 料 > 1 水道システム再構築計画の概要 .............................................. 61

2 水道施設更新計画の概要 .................................................... 62

3 水道施設耐震化計画の概要 .................................................. 64

4 水安全計画の概要 .......................................................... 66

5 総務省の「経営比較分析表」を活用した本市の現状分析 ........................ 69

Page 5: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

基本計画

Ⅰ 策定の趣旨

Ⅱ 計画の位置付けと期間

Ⅲ 水道事業の概況

(1 沿革、2 給水人口と水需要、3 水道料金、4 水道施設の概要)

Ⅳ 現状と課題

1 安全な水の確保

2 水道施設の再構築及び適正更新

3 災害に強い水道システムの確立

4 地球環境への配慮

5 お客さまとのコミュニケーションの推進

6 経営基盤の強化

Ⅴ 基本理念と方向性

1 基本理念

2 方向性

Ⅵ 目標

Page 6: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅰ 策定の趣旨

‐1‐

Ⅰ 策定の趣旨

本市では、市民生活を支える水道システムを健全な姿で次世代に引き継いでいくために、

平成 18年度に平成 19年度から平成 28年度までの 10年間にわたる水道事業の施策の方向を

示した「いわき市水道事業経営プラン」(以下「経営プラン」という。)を策定し、「未来に引

き継ぐいわきの水道 ~安全でおいしい水を必要なだけ~」を基本理念に、各種施策の推進

や経営の効率化など、健全な事業運営に努めてきました。

この間、本格的な人口減少社会が到来し、拡張期に整備した施設の老朽化が進むなど、拡

張を前提とした施策から維持管理・更新を前提とした施策への転換が急務になるとともに、

東日本大震災や放射能汚染問題など、社会経済から日常生活に至るまでさまざまな事態を経

験し、これまでの震災対策を抜本的に見直した危機管理対策を講じることが必要となり、水

道事業を取り巻く状況は大きく変化しました。

こうした中、厚生労働省は、平成 25年3月に「新水道ビジョン」を策定し、50年先、100

年先の将来を見据えた水道の理想像を掲げるとともに、その具現化のため、「安全」、「強靭」

及び「持続」の観点から、当面、取り組むべき事項や方策を示しています。あわせて、同省

は、全国の水道事業者に対し、「新水道ビジョン」の考えを、自らが策定する水道事業ビジョ

ンに反映させるよう求めています。

本市では、平成 18年度に策定した経営プランの計画期間が平成 28年度で終了するのにあ

わせて、これら経営環境の変化に的確に対応した計画とするために、これまでの基本理念を

継承しつつ、国が示す「新水道ビジョン」を参考としながら、アセットマネジメント※1手法

を活用して長期の視点から導き出した将来像を実現するための方向性や具体的な取組等を盛

り込んだ「新・いわき市水道事業経営プラン 基本計画及び同中期経営計画」(以下、総称し

て「新・経営プラン」という。)を策定しました。

今後は、新・経営プランに基づき最適で災害に強い施設整備と持続可能な経営基盤の確立

に重点的に取り組み、安全でおいしい水道水を安定して供給し、市民生活を支えるライフラ

インとしての水道システムをより健全な姿で次世代に引き継いでいくことを目指します。

【図1】アセットマネジメントと新・経営プランの関係

  * 理想的な将来像を想定し、そこから現在に立ち返って課題解決を考える手法

10年 20年 30年 40年

アセットマネジメント

施設更新への投資可能額

今後必要な施設更新費用

中期経営計画具体的な施策を展開

5年間隔

新・経営プラン

    施策への反映

最適な施設整備を目指すための個別計画(水道システム再構築計画等)

基本計画基本理念、経営の方向性、経営目標など、施策の方向性を示す

バックキャスト(*) 将来像目標

将来見通し反映

Page 7: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅱ 計画の位置付けと期間

‐2‐

Ⅱ 計画の位置付けと期間

新・経営プランは、平成 28年度までの経営プラン(基本計画及び中期経営計画)を引き継

ぐものであり、本市水道事業の理念、施策の方向性及び目標を「基本計画」、目標を達成する

ための具体的な取組を「中期経営計画」とし、基本計画の計画期間を平成 29年度から平成

38年度までの 10年間、中期経営計画の計画期間を平成 29年度から平成 33年度までの5年

間とするものです。平成 34 年度以降の中期経営計画については、目標の達成状況や、事業の

進捗状況を踏まえたものとする必要があることから、平成 33年度に策定することを予定して

います。

この新・経営プランは、「新・いわき市総合計画 ふるさと・いわき 21プラン 改定後期基

本計画」と連携・補完を図りながら、厚生労働省が示した「新水道ビジョン」や、総務省が

策定を求めている「経営戦略※2」を踏まえて策定したものです。

また、新・経営プランは、アセットマネジメント手法を活用して策定した「いわき市水道

システム再構築計画※3」、「同水道施設更新計画※4」、「同水道施設耐震化計画※5」及びWHO

の飲料水水質ガイドラインをもとに常に信頼性(安全性)の高い水道水の供給を目的に策定

した「いわき市水道局水安全計画※6」等の水道事業の各分野における個別計画を取り込んで

整合を図っています。

【図2】新・経営プランと個別計画の関係

※1【アセットマネジメント】今後必要な施設更新の費用と、施設更新への投資の可能額について将来見通しを算

定し投資の可能額が不足すれば、その財源を確保する様な検討を行い、持続が可能な事業運営を目指すという資

産管理の手法をいう。 ※2【経営戦略】総務省では、公営企業が将来にわたって安定的に事業を継続していくための中長期的な経営の基

本計画である「経営戦略」の策定を求めている。「経営戦略」は、施設や設備に対する投資の見通しと、財源の

見通しを構成要素とし、収入と支出が均衡するよう調整した「投資・財政計画」を中心としている。 ※3【水道システム再構築計画】<参考資料>1 水道システム再構築計画の概要参照 ※4【水道施設更新計画】 <参考資料>2 水道施設更新計画の概要参照 ※5【水道施設耐震化計画】 <参考資料>3 水道施設耐震化計画の概要参照 ※6【水安全計画】 <参考資料>4 水安全計画の概要参照

<総合的な計画>

<ハード面の計画>

<ソフト面の計画>

水安全計画

水道システム再構築計画

水道施設更新計画

水道施設耐震化計画

新・いわき市水道事業経営プラン

・基本計画

・中期経営計画

Page 8: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅲ 水道事業の概況

‐3‐

Ⅲ 水道事業の概況

1 沿革

本市水道事業は、昭和 41 年 10月のいわき市発足に伴い旧市町村から引き継いだもので、

合併直前には、大正6年3月創設の「平上水道」をはじめとする上水道9事業、簡易水道 19

事業があり、総配水能力が一日 93,546㎥、給水人口が 242,590人として、それぞれ独立して

運営されていました。

引き継いだ水道施設は、夏季需要期には施設能力が限界に達し、給水事情の改善が急務で

あったことなどから、「いわき市上水道事業」として一元化を図るため、9上水道・8簡易水

道を配水管接続により統廃合する創設事業を行い、同事業は昭和 46 年度末に完了しました。

その後、市勢の伸展と普及率の向上及び給水量の増加に対応するために、三期にわたる拡

張を経て、現在の上水道1事業、簡易水道3事業での経営に至っています。

平成 27年度末現在、給水区域の面積は、市域の約 37.8%に相当する 466.03㎢、給水人口

は 338,569人で、行政区域内における普及率は 97.4%となっています。

2 給水人口と水需要

給水人口は、平成 10年度の 346,778人をピークに年々減少しており、人口の減少に伴い水

需要も減少が続いています。平成 25年度に給水人口が増加したのは、震災や、福島第一原子

力発電所事故に伴う避難者の流入等によるものです。

水需要は、平成6年度の 46,232,633㎥をピークに減少傾向に転じています。

【図3】水需要と給水人口の推移

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

0

5

10

15

20

25

30

35

40

S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22 H27

水量(千㎥) 人口(万人)

年度

水需要 給水人口

Page 9: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅲ 水道事業の概況

‐4‐

3 水道料金

《料金改定と料金水準》

本市は、平成 19年4月に平均 9.82%の値上げとなる水道料金改定を実施しました。これ

は、老朽施設の更新等の直接的には収益に結びつかない経費が増大し、一方では、水需要が

給水人口の減少、節水意識の向上、節水型機器の普及等により減少傾向に歯止めがかからず、

水道料金の収入が減少し、厳しい財政状況となったことから実施したものです。

その後、さまざまな経営効率化策を講じながら、改定時の料金水準を維持したまま、今日

に至っています。

《料金体系》

本市の水道料金は、昭和 41年のいわき市発足当時から昭和 44年のいわき市水道事業創設

期を経て昭和 46年までの間、用途別の料金体系を採用していましたが、昭和 47年1月の料

金改定では、用途別の料金格差や簡易水道料金の地域格差等の不合理な点を解消するために、

用途別から口径別の料金体系に切り替え(船舶用及び私設消火栓消防演習用を除く)、以後、

この体系を維持しています。

なお、水道料金は、使用量にかかわらず負担していただく「基本料金(口径別の定額制)」

と、使用量に応じて負担していただく「水量料金(段階別の逓増制)」で構成する二部料金制

としています。

4 水道施設の概要

主な水道施設の状況は、次のとおりとなっています。

《浄水・配水施設》

(平成 27年度末現在)

区分 浄水場

(箇所)

配水池

(箇所)

ポンプ場

(箇所)

合計

(箇所)

上水道 5 79 83 167

簡易水道 7 9 3 19

合計 12 88 86 186

《管路》

(平成 27年度末現在)

区分 導水管

(m)

送水管

(m)

配水管

(m)

合計

(m)

上水道 10,765 20,096 2,127,470 2,158,331

簡易水道 844 3,306 63,983 68,133

合計 11,609 23,402 2,191,453 2,226,464

Page 10: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅲ 水道事業の概況

‐5‐

Page 11: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐6‐

Ⅳ 現状と課題

1 安全な水の確保

本市では、これまで、水源河川の監視や水源保全の啓発等の水源保全対策にさまざまな施

策を講じていますが、近年の異常気象を起因とする急激な高濁水の発生、地球温暖化等に伴

う河川水の異臭発生、交通事故等による油脂類の河川流入、さらには水道施設の老朽化に伴

う水質事故など、水道水の安全性の確保に対するリスクが高まっています。

本市では、浄水場から遠距離にある配水管の末端での残留塩素濃度の確保対策や、粉末活

性炭注入装置を用いた異臭味対策、さらにはクリプトスポリジウム等の耐塩素性病原生物の

汚染対策に取り組むことで、水道水の水質向上について一定の効果を上げていますが、原発

事故により拡散した放射性物質の影響を受けたことから、お客さまに安心して水道水を飲用

していただくための取組を継続して実施していくことが必要です。

さらに、給水装置の適正管理を推進するため、5㎥以下の貯水槽等を含む水道給水装置設

置者に対する助言や情報の提供を継続するほか、管路の更新にあわせ、配水管からメーター

までの間の鉛給水管の布設替えを進めることが必要です。

【図4】磐城小川江筋取水堰

Page 12: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐7‐

2 水道施設の再構築及び適正更新

《水道施設の再構築》

日本の将来推計人口は、今後、長期にわたって減少が続くとされています。

本市の将来人口は、震災や原発事故に伴う本市への人口流入等があるものの、現在の年齢

別の人口構成や出生率の状況を踏まえると、減少傾向の継続が確定的であることに加え、国

より先行して減少している現況にあるため、国の水準を上回って進行すると見込まれます。

こうした人口の減少は、直接的には給水人口の減少となり、給水量及び水道料金収入の減

少につながることから、今後、水道事業の経営環境は厳しくなることが予想されます。

【図5】給水人口の推移

水需要は、人口減少や節水意識の向上等により、平成6年度の一日平均給水量 145,134㎥

をピークに減少傾向にあります。水需要の減少は、経営を持続するうえで必要な水道料金収

入を減少させて、財政状況が悪化するほか、施設利用率の低下を招いて事業効率も悪化する

など、水道事業全体のあり方に大きな影響を及ぼすことから、水需要の減少を踏まえた水道

システムへの転換が必要です。

【図6】上水道における給水量と施設能力の推移

0

10

20

30

40

50

S44 S49 S54 S59 H1 H6 H11 H16 H21 H26 H31 H36 H41 H46 H51 H56 H61 H66

人口(万人)

年度

給水人口

0

50

100

150

200

250

H1 H6 H11 H16 H21 H26 H31 H36 H41 H46 H51 H56 H61 H66

一日給水量(千㎥)、

施設能力 (千㎥/日)

年度

一日平均給水量 一日最大給水量 施設能力

予測 実績

予測 実績

平成 27 年度

給水人口 約 33.8 万人 平成 66 年度

給水人口 約 18.6 万人

平成 62 年度

一日平均給水量 62 千㎥

一日最大給水量 73 千㎥

施 設 能 力 93 千㎥/日

平成 27 年度

一日平均給水量 120 千㎥

一日最大給水量 136 千㎥

施 設 能 力 203千㎥/日

Page 13: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐8‐

《施設の老朽化に伴う適正更新》

本市は、広域かつ起伏の多い地勢等であることから、他の水道事業体と比較して水道施設

を多く保有しなければならない環境下にあります。さらに、本市の水道施設は、合併以降、

水需要の増加にあわせて集中的に整備したものであるため、今後は、順次更新時期を迎える

こととなり、これに伴い増大する施設の更新需要への対応が必要です。

特に、水道管路については、近年の更新率が全国平均よりも低く、経理上の法定耐用年数

(40年)※7を超過した水道管の割合が全国平均よりも高いことや、本市の平成 27年度末現

在の管路延長 2,226kmのうち、平成 28年度に法定耐用年数を超過するものが 467km になる見

込みであるなど、更新のスピードアップを図ることが必要です。

更新を進めるに当たっては、法定耐用年数である 40年を超えて実際に使用している現状を

踏まえ、水道管の材質や埋設状況等から推測して実際に使用できる年数として本市が独自に

定める「実使用年数」に基づき進めることが基本となります。

【図7】管路の更新率の推移 【図8】法定耐用年数超過管路率の推移

【図9】布設年度別管路延長(平成 27年度末現在)

浄水場や配水池等の施設については、水需要の動向を把握し、施設能力について十分な検

討を行い、施設規模の適正化を図るとともに、老朽度等に応じて更新することが必要です。

電気・機械等の設備については、点検や修繕による予防保全に努め、延命化を図りながら、

劣化の状況に応じて、故障が発生する前に適切に更新することが必要です。

0.55 0.38 0.47

0.54

0.33 0.12

0.41 0.32

0.49

0.73

0.97 0.94 0.88 0.87 0.79 0.77 0.77 0.79 0.76

0.00

0.50

1.00

1.50

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

率(%)

年度

本市の更新率 全国平均の更新率

4.7 4.9 5.3 6.5

8.3 10.0

11.6 13.9

15.9 18.1

6.0 6.3 7.0 7.1

7.8 8.5 9.5 10.5 12.1

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

率(%)

年度

本市の法定耐用年数超過管路率 全国平均の法定耐用年数超過管路率

0

10

20

30

40

50

60

70

80

~S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22 H27

管路延長(km)

年度

法定耐用年数を超過し

た管路延長(赤色)

※7【法定耐用年数】地方公営企業法に定められた減価償却費を算出するための年数である。この年数を過ぎた水

道管を老朽管と呼んでいる。

Page 14: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐9‐

3 災害に強い水道システムの確立

《復旧・復興の現状》

平成 23年3月 11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、国内観測史上最大となるマグニ

チュード 9.0を記録し、本市では、震度6弱の激しい揺れとその後襲った巨大津波、さらに

は度重なる余震により、水道施設は極めて深刻かつ広範囲に及ぶ被害を受け、市内のほぼ全

域で断水となりました。

送水管、配水管及び給水管の漏水は、約 3,400箇所にも上り、原発事故やそれに伴う風評

被害が加わり、復旧作業は困難を極めましたが、関係機関や全国各地の水道事業体、自衛隊

やボランティアの方々から多くの応援をいただいたことで、断水は着実に解消していき、4

月 11日の震度6弱の大きな余震から 10日後の4月 21日までには、津波や地すべりの被害で

早期復旧が困難な地域を除き、ほぼ市内全域の水道を復旧することができました。

震災から5年が経過した平成 27年度末現在、復旧工事は、橋梁工事にあわせて作業を進め

ている1件を除き、すべてが完了しています。

また、津波により広域的な被害のあった6地区(久之浜、薄磯、豊間、小浜、岩間及び小

名浜港背後地)については、震災復興土地区画整理事業が進められており、当該事業の進捗

にあわせて水道施設の整備を進めています。

施設区分 被害件数 被害総額

取水施設 3 件 56,907千円

導水施設 8 件 9,738 千円

浄水施設 25 件 61,165千円

送水施設 14 件 26,904千円

配水施設 3,444 件 1,498,724 千円

その他 5 件 35,742千円

合 計 3,499 件 1,689,180 千円

【表1】津波被災6地区を除く水道施設等の被害状況(平成 27年度末現在)

【図 10】災害時の状況(永崎地区)

Page 15: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐10‐

《水道施設の耐震化》

水道事業は、災害時においても、お客さまに良質な水道水を安定供給することが求められ

る事業であり、災害時における被害発生の予防と被害拡大の防止に向けた対策を進めること

が重要となります。

震災時には、浄水施設は、設備の一部に被害があったものの、すべて稼働を継続できまし

た。一方、市内各所で水道管からの漏水が多発したため、市内のほぼ全域にわたる約 13万戸

が断水する事態となり、特に基幹管路に被害が集中したことで断水が長期化したことなどか

ら、震災時の経験を踏まえた管路の耐震化を進めることが必要です。

なお、平成 27年度末現在における管路の耐震化率 8.4%を踏まえると、管路の耐震化率を

早期に 100%にすることは不可能であることから、基幹管路の耐震化を優先的に進めていく

ことが基本になります。また、基幹管路以外の水道施設についても、施設の耐震補強等を着

実に進めながら、災害に強い水道施設を構築することが必要です。

【図 11】管路の耐震化の推移

【図 12】浄水・配水施設の耐震化の推移

3.6 4.0 4.7 5.0 5.1 5.4 5.6 5.9 6.0 6.2 6.4 7.0 8.4

24.2 26.5 28.1 29.1 29.5 30.6 31.0 32.1 32.4 32.7 33.8

37.2 41.4

0

10

20

30

40

50

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

耐震化率(%)

年度

管路の耐震化率 基幹管路の耐震化率

22.8 22.8 22.8 22.8 22.8 23.4 23.4

12.9 13.4 15.3 15.3 15.3 15.3 15.4 15.4 15.4 15.5 15.5 15.5 15.7

0

10

20

30

40

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

耐震化率(%)

年度

浄水施設の耐震化率 配水池の耐震化率

Page 16: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐11‐

《施設の相互融通》

水道水源の水質事故や渇水時には、浄水場の運転停止等による断水や減水が予想され、市

民生活に大きな影響を及ぼすおそれがあります。市民生活に欠かすことのできないライフラ

イン事業者として、非常時においても断水することなく安定給水を確保することができる施

設形態とするため、本市の特徴でもある複数の水源を有効活用し、基幹浄水場間で水の相互

融通を可能とする連絡管の整備を進めることが必要です。

【図 13】連絡管の整備イメージ

《災害時の対応体制の充実》

非常時の応急対策を確実に実施するためには、それぞれの事象に応じた水道危機管理マニ

ュアルの充実を図るとともに、大規模災害に備え、円滑な初動体制の確立や応急給水、応急

復旧及び応援受入れ等に関する訓練を行うなど、さらなる災害対応体制の強化を図ることが

必要です。

また、災害発生時は、被害の大きさにより広域的な連携が必要となるため、(公社)日本水

道協会をはじめ、近隣の水道事業体や外部団体との災害時応援体制を継続するとともに、大

規模災害に備えて住民と連携した応急給水体制を構築していくことが必要です。

Page 17: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐12‐

4 地球環境への配慮

水道事業は、健全で良好な自然の水循環の恩恵を受けている一方で、事業活動に伴い、資

源である水そのものを利用することで水環境に影響を与えているほか、エネルギーの消費や

廃棄物の排出等により、地球環境に負荷を与えています。

そのため、水の循環の健全性を常に意識し、水道事業の各段階で想定されるさまざまな環

境対策を実施しています。

今後も、水道水源の水質保全にとどまらず、取水・浄水過程からオフィス活動における二

酸化炭素(CO2)等の温室効果ガス排出量の削減や、工事の実施過程における建設副産物の

リサイクル等を推進するほか、省エネルギー対策の推進や再生可能エネルギーの導入に努め

るなど、一事業者として環境分野での社会的責任を果たすため、環境に配慮した事業運営に

率先して努めていくことが必要です。

【図 14】水道事業の各段階で想定される環境対策のイメージ

Page 18: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐13‐

5 お客さまとのコミュニケーションの推進

《積極的な情報の共有》

水道サービスを将来にわたって持続的に提供していくためには、水道事業を取り巻く状況

とさまざまな課題やこれらに対する取組について情報を共有し、お客さまのご理解をいただ

くことが重要です。

本市では、各種施策や経営状況等について、ホームページや広報紙「すいどういわき」等

により情報の発信に努めていますが、今後は、お客さまに水道事業をより身近に感じていた

だき、関心をお寄せいただくため、多様な手法を用いたタイムリーな情報発信に努めること

が必要です。

《使用者ニーズの把握》

本市では、お客さまのご意見やご要望等を事業運営に反映させるため、「市政 e-モニター

事業」を活用して、水道事業に関するモニター調査を実施しています。原発事故に由来する

放射性物質の影響など、お客さまの水道水の安全性に対する関心の高まりを踏まえ、これま

で以上にお客さまのニーズを幅広くかつ的確にとらえ、お客さま満足度のさらなる向上に努

めることが必要です。

【図 15】水道水に期待するもの

《水道サービスの向上》

水道サービスを向上させるためには、実際に水道工事を実施している水道工事事業者との

連携の強化が重要です。

緊急修繕工事について、水道工事事業者との間で連携体制を構築し対応していますが、今

後もお客さまサービスの向上を図るため、断水時間の短縮など、さらなる連携の強化に努め

ることが必要です。

0% 20% 40% 60% 80% 100%

H22

H24

H25

H26

H27

割合

年度

安全性(水質に不安がない)

おいしさ

安定性(地震や渇水等に影響されない)

料金の安さ

水の出のよさ(水量・水圧)

その他

Page 19: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐14‐

6 経営基盤の強化

《経営効率化の推進》

本市では、水道料金収入が減少傾向にある中、小規模施設の統廃合等を進める一方、効率

的な組織体制の構築や浄水場運転管理業務の民間委託、さらには水道料金に関わる営業部門

業務の包括委託や企業債借入の抑制など、経営効率化に向けた取組を推進しています。

今後は、本格的な人口減少社会の到来と更新需要の増大により、これまで以上に経営環境

が厳しくなることが見込まれるため、計画の進行管理とさらなる経営の効率化や経費の削減

に努め、必要となる資金を確保できるよう、経営基盤の強化に向けたさまざまな取組が必要

です。

また、需要実態を反映した料金制度と企業債の適正管理のあり方を調査研究し、基本的に

水道料金収入で賄える経営体制を維持することが必要です。

【図 16】人件費と職員数*の推移(人件費:年度末、職員数:4月1日現在)

年度 経営効率化の取組

平成 11 年度 浄水場運転管理業務の委託開始(平日夜間と休日)

平成 12 年度 組織機構改革実施(本庁業務の集約化)

平成 17 年度 浄水場運転管理業務委託を拡大(平日昼間についても委託)

平成 19 年度 組織機構改革実施(5営業所を廃止し営業部門と工務部門を本庁に集約。ただし、当分の間は小

名浜と勿来に工事事務所を配置)

平成 23 年度 基幹浄水場の職員配置体制の見直し

平成 25 年度 技術部門の組織再編(2工事事務所を統合して南部工事事務所を新設)

営業部門の委託拡大(包括して委託し、職員数と経費の削減を図る)

【表2】経営効率化の取組状況

22 20

19 18 18

17 16

15 14 14

13 13 14

13 12

11 12

11

265

240 231 229 230 227 217

206 200 192 191 189 189 189 181

157 159.5 159

0

5

10

15

20

25

30

0

50

100

150

200

250

300

H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

人件費(億円) 職員数(人)

年度

人件費 職員数

*【職員数】再任用職員及び再任用短時間勤務職員を含む。また、再任用短時間勤務職員は 0.5人として集計し

ている。

Page 20: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅳ 現状と課題

‐15‐

【図 17】企業債残高の推移

《専門性の確保と組織の強化》

将来にわたり安定した水道サービスを提供するには、水道事業を支える技術力等の専門性

の継承と職員の業務遂行能力の向上が不可欠です。

本市では、組織の効率化による職員数の減少や他部署との人事交流、さらにはベテラン職

員の退職等により、これまで培ってきた技術やノウハウの継承が困難になるおそれがあると

ともに、時代の変化に対応できる人材の育成が喫緊の課題となっています。

このことから、職員の業務遂行能力の一層の向上はもとより、事業環境の変化や新しい課

題にも的確に対応できる人材を研修を通して計画的・体系的に育成していくことや、職場で

の実践教育や業務のマニュアル化等を推進することにより、職員一人ひとりが能力を最大限

に発揮できるようにすることが必要です。

さらには、適正な職員数を維持し、知識と経験を有する人材を適切に配置できる組織体制

を検討することや、官民連携の取組手法について調査研究するなど、本市水道事業を安定的

に経営していく方策を検討することが必要です。

【図 18】職員*の勤続年数別構成比の推移(年度末現在)

363 389

413 424 433 434 428 421 414 398 389 380 369 351 336 323 308 293

0

100

200

300

400

500

H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

企業債残高(億円)

年度

41.3 43.9 43.3 42.6 41.1 37.5 44.4 42.9

33.7 34.0 29.3 28.8 23.4 20.6 18.9 18.0 16.8 15.1

25.4 22.2 22.9 21.9 19.0

15.5 9.3 9.8

8.8 9.4 13.3 14.1

12.5 15.8 15.7 18.6 20.5 21.8

10.2 11.7 10.0 10.1 13.9 19.6 20.8 23.9

28.0 32.5 36.7 41.4

40.1 39.7 41.1 41.0 38.5 37.0

23.1 22.2 23.8 25.4 26.0 27.4 25.5 23.4 29.5

24.1 20.7 15.7 24.0 23.9 24.3 22.4 24.2 26.1

0%

20%

40%

60%

80%

100%

H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

構成比率(%)

年度

30年以上 20年以上 30年未満 10年以上20年未満 10年未満

ベテラン職員の減少

*【職員】再任用職員及び再任用短時間勤務職員を含む。

Page 21: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅴ 基本理念と方向性

‐16‐

Ⅴ 基本理念と方向性

1 基本理念

水道事業は、給水人口の減少や節水機器の普及等により、今後も水需要が減少していくと

見込まれます。

一方、事業創設から 40年以上が経過し、施設の老朽化による更新需要の増大が見込まれる

ほか、震災経験を踏まえた災害に強い施設の整備や、地球環境に配慮した事業の運営が必要

であるなど、これまで以上に厳しい事業環境となることが見込まれます。

このように、取り巻く環境が厳しさを増していく中にあっても、水道事業は、市民生活を

支える不断の事業として、お客さまからの信頼を確保しながら、後世に引き継いでいかなけ

ればなりません。

以上を踏まえて、本市水道事業は、この新・経営プランにおいてさまざまな課題を明らか

にしたうえで、今後 10年間における目指すべき方向性と取り組むべき施策をとりまとめ、お

客さまの視点に立ちながら事業を展開していくため、従前からの基本理念「未来に引き継ぐ

いわきの水道」を継承し、水道事業を次世代に健全な姿で引き継いでいくこととします。

【これまでの経営プラン】(平成 19年度~平成 28年度)

【今後の新・経営プラン】(平成 29年度~平成 38年度)

【いわきの水道を次世代に健全な姿で引き継いでいきます】

・施設更新費用の増大

・東日本大震災を踏まえた

危機管理対策の実施

・給水人口の減少

・水道技術の継承 継 承

Page 22: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅴ 基本理念と方向性

‐17‐

2 方向性

水道事業は、市民生活を支えるライフラインの一つであることから、地方公共団体等が経

営し、企業としての経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進す

るために、持続的にサービスを提供していく必要があります。そのため、事業の運営に当た

っては、お客さまのご理解をいただくことが不可欠であり、お客さまのニーズを十分に把握

し、お客さま視点に立った事業を展開していくことが重要です。

これらを踏まえ、水道事業を取り巻く諸課題に適切に対応し、「いわきの水道」を次世代に

健全な姿で引き継いでいくために、「安全」、「強靭」及び「持続」の観点から本市水道事業が

目指す3つの方向性を導き出しました。

それぞれの方向性に目標を掲げ、具体的な取組を計画的に実施していきます。

【安全】

水道水の安全の確保

【強靭】

確実な給水の確保

【持続】

供給体制の持続性の確保

基本理念の実現に向けて目指す方向性

方向性1 安全でおいしい水道水

の供給

水源から蛇口までの一元的

な対策の推進により、安心し

て飲める水道を目指す

方向性2 最適で災害に強い施設・体制

の整備

水需要や震災経験を踏ま

えた水道システムの見直しに

より、効率的で災害に強い水

道を目指す

方向性3 持続可能な経営基盤の確立

本格的な人口減少社会に

あっても、不断の経営努力に

より、持続性のある水道を目

指す

目指す方向性ごとに目標や目標を達成するための取組

Page 23: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅵ 目標

‐18‐

Ⅵ 目標

基本理念「未来に引き継ぐいわきの水道 ~安全でおいしい水を必要なだけ~」を実現す

るために、目指す方向性として掲げた「安全でおいしい水道水の提供」、「最適で災害に強い

施設・体制の整備」及び「持続可能な経営基盤の確立」ごとに目標を掲げ、具体的な施策や

事業を計画的に実施していきます。

方向性1 安全でおいしい水道水の供給

水源から蛇口までの一元的な対策の推進により、安心して飲める水道を目指す

お客さまが、いつでもどこでも、いわきの水をおいしく、安心して飲める水道を実現する

ため、水道水源の保全と監視対策を継続して実施します。

水源から蛇口に至るリスクを把握し、統合的アプローチによる水質管理を行うため、「水安

全計画」に基づき水道水質管理水準の向上を図ります。

水道水の放射性物質モニタリングを含む充実した水質検査体制による水質検査や、給水装

置等の適正管理を促進するための取組を実施します。

目標 1.1 水安全対策の着実な実施による良好な水質の保持

目標 1.2 水質検査の充実による適正な水質管理の維持

目標 1.3 安心して飲める水道の普及促進

方向性2 最適で災害に強い施設・体制の整備

水需要や震災経験を踏まえた水道システムの見直しにより、効率的で災害に強

い水道を目指す

本市の特徴でもある複数の水源を有効活用して、基幹浄水場間で水の相互融通ができる連

絡管の整備を進め、平常時はもとより災害時においても効率的かつ確実で安定した配水運

用※8が可能となる水道システムへ再構築を図ります。

老朽管更新の目標とする事業量を設定して老朽管の解消を進めることで、施設の健全化と

耐震性の向上を図ります。

また、災害時においても重要な給水拠点施設となる救急病院等へ確実な給水を行うため、

配水池等から救急病院等への重要配水管の耐震化を図ります。

震災を踏まえて策定した水道危機管理マニュアル等を活用した各種訓練を実施するなど、

職員の危機管理意識の向上を図りながら、非常時対策の強化に努めます。

目標 2.1 水需要を踏まえた施設再編による施設の最適化、安定化

目標 2.2 老朽管更新等による施設の健全化

目標 2.3 危機管理意識の向上による非常時対策の強化

※8【配水運用】お客さまへ常に安定的に給水するため、配水量予測に基づき浄水の適正な配分計画を立て、配水

施設全体の中で弾力的・効率的に水を運用することをいう。

Page 24: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「基本計画」 Ⅵ 目標

‐19‐

方向性3 持続可能な経営基盤の確立

本格的な人口減少社会にあっても、不断の経営努力により、持続性のある水道

を目指す

本格的な人口減少社会にあっても、持続性のある水道を実現するために、長期的な観点か

ら人材育成と技術の継承に取り組み、事業環境の変化や新しい課題にも的確に対応できる人

材を計画的・体系的に育成します。

健全な水道事業を持続するため、企業債残高の増高を抑制することにより資本構成の安定

度を高め、財務体質の改善を図るとともに、水道料金収入による健全かつ安定的な事業運営

を目指すための取組を推進します。

環境に配慮した事業運営を行い、率先して環境負荷低減に努めるとともに、広報紙やホー

ムページ等の多様な手法を活用して経営状況等を迅速かつ効果的に発信し、事業経営の透明

性を確保します。

水道週間イベントや他部署イベント等の機会を捉えて水道水のPRに努めるとともに、ア

ンケートの実施により、水道に関するお客さまの意識やニーズを的確に捉えたサービスの提

供に努めます。

目標 3.1 計画的な人材育成による専門性の維持とスキルアップ

目標 3.2 効率的で効果的な運営による財務体質と組織の強化

目標 3.3 環境負荷低減による社会貢献

目標 3.4 効果的な広報活動の実施によるお客さまとのコミュニケーションの推進

目標 3.5 関係者等との連携・協働の推進による水道サービスの向上

安 全

強 靭

持 続

目標 3.1 計画的な人材育成による専門性の維持とスキルアップ

目標 3.2 効率的で効果的な運営による財務体質と組織の強化

目標 3.3 環境負荷低減による社会貢献

目標 3.4 効果的な広報活動の実施によるお客さまとのコミュニケーションの推進

目標 3.5 関係者等との連携・協働の推進による水道サービスの向上

目標 1.1 水安全対策の着実な実施による良好な水質の保持

目標 1.2 水質検査の充実による適正な水質管理の維持

目標 1.3 安心して飲める水道の普及促進

目標 2.1 水需要を踏まえた施設再編による施設の最適化、安定化

目標 2.2 老朽管更新等による施設の健全化

目標 2.3 危機管理意識の向上による非常時対策の強化

Page 25: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

中期経営計画 (平成 29年度~平成 33年度)

Ⅰ 取組(施策)の概要......................................................21

1 目標を実現するための取組(施策)..........................................21

2 水道事業の各段階での取組(施策)の展開...................................25

3 取組(施策)の内容.......................................................27

Ⅱ 事業運営の目標(業務指標).............................................47

Ⅲ 財政計画.................................................................55

(1 水需要と水道料金収入、2 企業債発行額と企業債残高、3 投資内容、

4 投資以外の経費、5 経営状況、6 財政収支計画、

7 平成 34年度以降の財政収支見通し(参考))

Ⅳ 推進体制.................................................................59

<参考資料>.................................................................60

<計画策定のポイント>

この計画は、今後5年間の水道事業経営の目標を達成するための具体的な取組(施策)

をとりまとめたものであり、最大の特徴は、今後の水道事業における最重要事業として

「老朽管更新事業」を位置付けるところにあります。

老朽管の更新については、高度経済成長期に布設した大量の水道管の老朽化を受けて

実施するものですが、人口減少等に伴い給水収益が減少するという厳しい財政状況があ

るなど、水道事業においては、全国的に共通する大きな課題となっています。

(主要な事業)

1 健全性を維持するための「老朽管更新事業」の推進

2 震災の経験を踏まえた「重要給水施設配水管整備事業」の推進

3 非常時の安定給水等を確保するための「基幹浄水場連絡管整備事業」の推進

Page 26: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐21‐

Ⅰ 取組(施策)の概要

1 目標を実現するための取組(施策)

基本計画の方向性ごとに掲げた 11の目標を達成するために、38の具体的な「取組(施策)」

のもとで「事業」を展開します。

また、目標ごとに指標を設定し、事業運営の進行管理を行います。目標の内容や目標値に

ついては、「Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)」で示します。

なお、それぞれの指標は、(公社)日本水道協会規格の水道事業ガイドラインの業務指標

(PI=Performance Indicator)や、本市独自の指標(局指標)を使用しています。

1.2水質検査の充実による適正な水質管理の維持 局指標 水質検査の自己検査率(%)、局指標 水道水の放射性物質検査回数(回)

4.水質検査計画の推進 ◇水質検査計画の策定と推進

5.水質管理体制の充実と設備の強化 ◇水質検査機器の計画的更新

6.放射性物質のモニタリング ◇放射性物質モニタリングの実施

《安 全》

方向性1 安全でおいしい水道水の供給

1.1水安全対策の着実な実施による良好な水質の保持 局指標 水質基準不適合率(%)、局指標 河川の BOD 2mg/L以下の維持

目標(上段)/指標(下段)

1.水安全計画の推進 ◇水安全計画の推進

取組 事業

2.水道水源の保全と監視 ◇水道水源の監視強化

◇水道水源の水質保全補助事業

◇水道水源保全啓発事業

3.安心できる水道水の提供 ◇高度浄水処理方式の調査検討

◇追加塩素注入設備整備の検討

◇連続自動水質監視装置整備の検討

1.3安心して飲める水道の普及促進 PI:A205 貯水槽水道指導率(%)

8.多様な手法による水供給の研究 ◇多様な手法による水供給の研究

7.給水装置等の適正管理の促進 ◇貯水槽水道の適正管理啓発活動、無料点検の実施

◇直結給水・直結増圧給水の推進

◇鉛製給水管の布設替と注意広報の実施

Page 27: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐22‐

《強 靭》

方向性2 最適で災害に強い施設・体制の整備

2.3危機管理意識の向上による非常時対策の強化 PI:B210 災害対策訓練実施回数(回/年)

19.水道事業継続計画の推進 ◇水道事業継続計画(BCP)の推進

22.応急資器材・体制等の整備 ◇災害時通信手段の確保

◇応急資器材の備蓄と適正管理

21.水道施設の安全対策の強化 ◇水道施設安全対策事業

◇浄水場非常用発電設備整備事業

◇緊急遮断弁整備事業

20.水道危機管理マニュアルの充実と訓練 ◇水道危機管理マニュアルの推進

◇水道危機管理マニュアル等に基づく各種訓練の実施

◇応急給水計画の推進

2.2老朽管更新等による施設の健全化 PI:B602 浄水施設の耐震化率(%)、PI:B605 管路の耐震管率(%)

PI:B606 基幹管路の耐震管率(%)、PI:B606-2 基幹管路の耐震適合率(%)

PI:B607 重要給水施設配水管路の耐震管率(%)、

PI:B504 管路の更新率(%)、 PI:B503 法定耐用年数超過管路率(%)、局指標 実使用年数超過管路率(%)

PI:B112 有収率(%)、 PI:B110 漏水率(%)

14.水道施設耐震化計画の推進 ◇水道施設更新計画及び耐震化計画の推進

15.水道施設状況の適正把握 ◇水道施設台帳整備事業

◇漏水防止対策事業

16.管路の更新及び重要管路の耐震化 ◇老朽管更新事業

◇重要給水施設配水管整備事業

17.浄水・配水施設の耐震化 ◇浄水施設耐震化事業

◇配水施設耐震化事業

18.浄水・配水施設の更新 ◇浄水施設更新事業

◇配水施設更新事業

2.1水需要を踏まえた施設再編による施設の最適化、安定化 局指標 基幹浄水場連絡管整備事業の進捗率(%)

平・鹿島水系幹線(若葉台~中央台ポンプ場)、鹿島・常磐水系幹線

10.水道施設の効率運用の検討と管理 ◇水道施設の効率的な運用

◇基幹浄水場連絡管整備事業 11.基幹浄水場連絡管の整備

◇水道施設撤去等事業 13.水道施設の統廃合の実施

目標(上段)/指標(下段)

9.水道施設再構築構想の推進 ◇水道施設再構築構想の推進

取組 事業

◇浄水施設整備事業 12.浄水・配水施設の整備

◇配水施設整備事業

Page 28: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐23‐

《持 続》

方向性3 持続可能な経営基盤の確立

3.3環境負荷低減による社会貢献 PI:C403 水道施設見学者割合(人/1,000人)、PI:B301 配水量1㎥当たり電力消費量(kWh/㎥)

局指標 エコカーの導入台数(台)

30.市循環型オフィスづくり行動計画の推進 ◇「市循環型オフィスづくり行動計画」の推進

31.環境対策の推進 ◇再生可能エネルギー等環境対策の推進

32.浄水発生土の適正管理と有効利用 ◇浄水発生土の適正管理と有効利用の検討

33.環境教育の推進による貢献 ◇環境教育の推進

目標(上段)/指標(下段)

3.1計画的な人材育成による専門性の維持とスキルアップ PI:C202 外部研修時間(時間/人)、PI:C203 内部研修時間(時間/人)

取組 事業

23.専門性に富む人材の育成と配置 ◇人材育成の充実

24.水道電算処理システムの改善 ◇上下水道料金処理システムの改善

◇財務会計システムの改善

◇「市地域情報化推進計画」の推進

3.2効率的で効果的な運営による財務体質と組織の強化 PI:C102 経常収支比率(%)、 PI:C119 自己資本構成比率(%)

PI:C112 給水収益に対する企業債残高の割合(%)、局指標 職員提案制度による提案件数(件)

25.企業債適正管理計画の推進 ◇企業債発行の適正化

26.アセットマネジメント活用による投資と

財源の適正管理 ◇アセットマネジメントの活用推進

27.適正な水道料金制度の維持・検証 ◇需要実態を反映した水道料金制度の検討

28.財務体質の強化 ◇遊休資産の有効活用の推進

◇他水道事業者からの水質検査受託の継続

◇財政支援等の要望と新たな財源確保の推進

29.組織・業務の改善・改革 ◇入札制度の適正化

◇定数、組織、制度の検討、実施

◇業務改善の推進

◇職員提案の事業運営への反映

◇中期経営計画の進行管理と評価

Page 29: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐24‐

3.4効果的な広報活動の実施によるお客さまとのコミュニケーションの推進 PI:C502 アンケート情報収集割合(人/1,000人)

35.お客さま意見の把握と活用 ◇お客さま意識調査等の実施

目標(上段)/指標(下段)

34.分かりやすい情報の積極的な提供 ◇戦略的な広報の推進

◇経営内容のわかりやすい広報

◇電子媒体を活用した情報提供の推進

取組 事業

3.5関係者等との連携・協働の推進による水道サービスの向上 局指標 行事開催(参加)回数(回)

36.水が潤うまちづくりの推進 ◇水に親しむまちづくりの推進

38.手続サービスの充実 ◇お客さま手続サービスの利便性向上

37.給水サービスの充実 ◇修繕体制の充実

◇給水装置工事事業者等との連携

Page 30: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐25‐

2 水道事業の各段階での取組(施策)の展開

Page 31: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐26‐

Page 32: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐27‐

3 取組(施策)の内容

取組1 水安全計画の推進

◇ 水安全計画の推進

・ 水道水の安全性を高め、お客さまが安心しておいしく飲める水道水を安定的に供給してい

くため、水源から蛇口に至る統合的な水質管理を実現する計画である「水安全計画※1」に基

づき、徹底したリスク対策を講じます。

・ 「水安全計画」が目的どおりに運用され、常に安全な水を供給できているのかなどの実施

状況を検証するとともに、各要素の技術的妥当性についての確認を行います。

取組2 水道水源の保全と監視

◇ 水道水源の監視強化

・ 水道水源の水質の汚濁を防止し、清浄な水を確保するため、水道水源保護地域を指定し、

ゴルフ場や廃棄物最終処分場等の立入検査や対象地区の河川の監視等を継続します。

◇ 水道水源の水質保全補助事業

・ 水道水源保護地域内において、住宅からの生活排水による河川の水質汚濁を防止するため、

地域内で浄化槽を設置する方又は農業集落排水事業に加入する方に対し、補助金の交付を継

続します。

◇ 水道水源保全啓発事業

・ 水道水源の重要性や良質な水を安定供給する水道について理解を深めていただくため、水

道水源や施設の見学会を毎年開催します。

水道水源水質保全促進事業補助金

・浄化槽設置に対する補助金の限度額(1件当たり)

人槽区分 補助限度額

5人槽 110,000 円

6 人槽及び7人槽 138,000 円

8 人槽から 10 人槽まで 182,000 円

・農業集落排水事業加入者に対する補助金の限度額 区 分 補助限度額

1加入者当たり 138,000 円

・過去の実績(補助金合計) 年度 件数 金額

H27 111 件 15,058 千円

H26 163 件 22,430 千円

H25 202 件 27,306 千円

H24 76 件 10,146 千円

H23 86 件 10,544 千円

水質汚濁対策連絡協議会の開催

水源となる夏井川や鮫川水系の河川流域は、市域の上流8市町村にまたがっていることから、夏井川・鮫川水

系水質汚濁対策連絡協議会を設け、水質汚濁防止に関する連絡調整や情報交換を行います(年1回実施)。

水道水源地・施設見学会過去実績

年度 参加者数 実施箇所

H27 67 人 鮫川江筋取水口等

H26 49 人 小川江筋等

H25 48 人 四時ダム

H24 30 人 小玉ダム等

H23 -人 震災により中止

※1【水安全計画】<参考資料>4 水安全計画の概要参照

Page 33: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐28‐

取組3 安心できる水道水の提供

◇ 高度浄水処理方式の調査検討

・ 河川流量の低下による水源水質の悪化や集中豪雨による高濁度化等の水源水質の変化に対

応するため、効率的な浄水処理方式について調査検討します。

◇ 追加塩素注入設備整備の検討

・ 残留塩素濃度の均等化及び低減化による良質な水道水を提供するため、追加塩素注入設備

の整備に向けて検討します。

区 分 H29 H30 H31 H32 H33

残留塩素濃度の

均等化・低減化の

検討

・追加塩素注入設

備の運用に伴う

試行調整

・追加塩素注入設

備の運用と実績

データの収集

・追加塩素注入設

備の運用と実績

データの収集

・効果の確認

・各浄水場水系に

おける残留塩素

濃度の調査

・各浄水場水系に

おける残留塩素

濃度の調査

◇ 連続自動水質監視装置整備の検討

・ よりきめ細かな給水栓での水質管理と水道水の安全性を向上させるため、連続自動水質監

視装置の設置を検討します。

【図1】連続水質検査機器設置イメージ

取組4 水質検査計画の推進

◇ 水質検査計画の策定と推進

・ 「水質検査計画」は、水道法施行規則第 15条第6項の規定により、策定が義務付けられて

おり、検査を行う項目、採水の場所、検査の回数等を定めたものです。この水質検査計画に

基づき、水道水質の定期及び臨時の検査を行い、安全かつ清浄な水の供給を確保するととも

に、検査結果をホームページで公表し、水道水の信頼性確保に努めます。

・ 水道水の水質検査は、水道法で定める基準項目を含めて約 200 項目あり、その多くは微量

成分を測定するもので、高い検査技術が必要となることから、検査方法の妥当性評価を行う

とともに、各種研修に積極的に参加し、職員の能力向上に努めます。

平成 28 年度までに整備した平浄水場水系(平窪第2ポンプ場、平配水池及び好間配水池)追加塩素注入設

備を運用し、試行調整や実績データの収集、さらには効果の確認を行います。また、他の浄水場水系における

残留塩素濃度の調査と新たな追加塩素注入設備の整備に向けた検討を行います。

Page 34: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐29‐

取組5 水質管理体制の充実と設備の強化

◇ 水質検査機器の計画的更新

・ 水質検査計画に基づく高度な検査を実施するため、法定耐用年数を勘案しながら検査用分

析機器の整備更新を行い、水質検査業務の効率化を図ります。 区 分 H29 H30 H31 H32 H33

検査用分析機器

の整備更新

・ロータリーエバ

ポレーター用冷

媒循環装置

・ガスクロマトグ

ラフ質量分析装

・乾燥機

・色度濁度計

・純水製造装置

・超音波ピペット

洗浄器

・検体保管庫

・溶存酸素計

・冷却遠心分離機

・製氷機

・落射蛍光顕微鏡

・恒温水槽2台

・電子天秤

・振とう器(溶出

用、横振り)

・ウォーターバス

・自動固相抽出装

・分光光度計

・遠心分離機

・誘導結合プラズ

マ質量分析装置

・イオンクロマト

グラフ

・高速液体クロマ

トグラフ

・ガスクロマトグ

ラフ質量分析計

・ゲルマニウム半

導体検出器

取組6 放射性物質のモニタリング

◇ 放射性物質モニタリングの実施

・ 水道事業に関するモニターアンケートに寄せられた意見では、「水道水に最も期待するもの」

は「安全性」となっています。原発事故に伴う放射性物質による水道水源地域の汚染の影響

を受け、水道水の安全性が脅かされているため、今後も定期的に放射性物質モニタリング検

査を実施します。

・ お客さまの不安を少しでも解消するため、検査結果をホームページ等で迅速に公表します。

【図2】ゲルマニウム半導体検出器

《参考》平成 27年度末現在の放射性物質モニタリング検査実施状況 採水場所 採水回数 採水日

① 平浄水場

週3回 日・火・木曜日

② 上野原浄水場

③ 泉浄水場

④ 山玉浄水場

⑤ 法田第二ポンプ場

⑥ 川前浄水場

⑦ 入遠野浄水場

⑧ 鷹ノ巣浄水場

⑨ 根岸浄水場

⑩ 法田第一ポンプ場

週1回 火曜日 ⑪ 旅人浄水場

⑫ 上遠野浄水場

ゲルマニウム半導体検出器を導入しています

・ お客さまに安心して水道水を利用していただけるよ

う、水質管理センターにゲルマニウム半導体検出器を

配備し、水道水中の放射性物質を測定する検査体制

を市独自に整備しています。

これにより、飲料水モニタリング検査の精度が高ま

るとともに、測定結果が迅速に判明し、その検査結果

を速やかにみなさまにお知らせすることができるように

なっています。

・ 飲料水モニタリングの結果や水道水の検査の結果

については、水道局のホームページで確認することが

できます。

ホームページアドレス http://www.city.iwaki.lg.jp/www/genre/

1445402882371/index.html

Page 35: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐30‐

取組7 給水装置等の適正管理の促進

◇ 貯水槽水道の適正管理啓発活動、無料点検の実施

◇ 直結給水・直結増圧給水の推進

・ 給水装置は、所有者又は使用者が適正に維持管理することとなっていますが、給水装置の

事故や不備による水道水の水質事故が起きないようにするため、さまざまな対策を講じます。

◇ 鉛製給水管の布設替と注意広報の実施

・ お客さまの財産である給水管の一部に鉛給水管が残存しているものもあることから、配水

管の更新工事等にあわせて、公道部にある配水管から水道メーターまでの布設替えを実施す

るとともに、お客さまに対して使用上の注意を促すための広報を実施します。

【図3】鉛給水管の布設替えの負担区分の範囲

取組8 多様な手法による水供給の研究

◇ 多様な手法による水供給の検討

・ 水道未普及の解消が困難な地域や、小規模な集落での水供給について、水道の布設にこだ

わらない多様な手法による衛生的な水の供給について、国等の動向を注視しながら、実現可

能性について調査検討します。

小規模貯水槽の無料点検

貯水槽の管理方法、定期的な検査の必要性等を

ご理解いただき、水道水を安全に使用していただくた

めに、水道週間(毎年6月1日から7日)にあわせて、

市内の5㎥以下の小規模貯水槽の無料点検を実施

します。

・過去の実績 年度 点検数

H27 222 件

H26 174 件

H25 187 件

H24 187 件

H23 168 件

直結給水方式の拡大

貯水槽の衛生問題の解消、省エネルギーの推進

や設置スペースの有効利用等を図るため、貯水槽を

使用しない直結給水方式の拡大を進めていきます。

Page 36: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐31‐

取組9 水道施設再構築構想の推進

◇ 水道施設再構築構想の推進

・ 長期的な水需要見通しや配水運用を踏まえ、水道施設全体を見通して策定した「水道シス

テム再構築計画※2」が、時代の変化や水需要に対応した計画となっているのかを検証し、随

時、計画の見直しを行います。

取組 10 水道施設の効率運用の検討と管理

◇ 水道施設の効率的な運用

・ 水資源の有効活用を図るため、配水区域を住宅団地単位等の適当な広さに分割し、流入地

点に管理メーターを設置した「管理メーターブロックシステム」の構築を検討します。

取組 11 基幹浄水場連絡管の整備

◇ 基幹浄水場連絡管整備事業

・ 平常時の効率的な配水運用と、非常時の安定給水の確保を目的に、基幹浄水場連絡管整備

事業を実施します。

幹線名等 事業スケジュール 事業効果

平・鹿島水系幹線(小名浜平工区) 平成 27年度~平成 31年度 中央台、小名浜地区へのバックアップ

鹿島・常磐水系幹線 平成 28年度から着手 常磐地区へのバックアップ

中部配水池 平成 34年度以降に着手予定

【表1】基幹浄水場連絡管整備事業の事業スケジュールと事業効果

※2【水道システム再構築計画】<参考資料>1 水道システム再構築計画の概要参照 ※3【水系幹線】本市では、浄水場から配水池までの送水管や基幹配水池間を連絡する重要配水管をいい、給水管

の分岐がないもので口径の区分は設けていない。

基幹浄水場連絡管整備事業は、平常時の効率的な配水運用と震災・水質事故など非常時の安定給水を可能に

することを目的として、既設水道施設の更新を兼ねながら基幹浄水場間で水を相互融通できる水系幹線※3等の配

水施設を整備するもので、「平・鹿島水系幹線」や「鹿島・常磐水系幹線」、「中部配水池」の整備を行うことにより、北

部地区から南部地区へのバックアップを強化します。

管理メーターブロックシステム構築により期待できる効果

(1) 現状の配水量・水圧の的確な把握が可能 (2) 水圧の適正化

(3) 日常の施設の維持管理の向上 (4) 漏水調査の精度の向上

(5) 非常時対応の向上

Page 37: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐32‐

取組 12 浄水・配水施設の整備

◇ 浄水施設整備事業

◇ 配水施設整備事業

・ 施設の再構築や水道水源の水質の変化に柔軟に対応し、効率的で安定した浄水処理を実施

するため、必要な施設や設備の整備を行います。

・ 配水運用の円滑化や、配水幹線に漏水事故等が発生した場合の安定送水等を図るため、必

要な流量計や仕切弁等の整備を行います。 区 分 H29 H30 H31 H32 H33

浄水施設整備箇所 3箇所 1箇所 1箇所 2箇所 2箇所

配水施設整備箇所 5箇所 8箇所 - - 1箇所

取組 13 水道施設の統廃合の実施

◇ 水道施設撤去等事業

・ 廃止施設の安全性の確保や資産の有効活用を図るため、施設の再編や統廃合を実施するこ

とにより、使用しなくなった施設等を計画的に撤去します。 区 分 H29 H30 H31 H32 H33

配水施設

・入山ポンプ場

・川平配水池、ポ

ンプ場

・三函ポンプ場、

調整池

・鎌田山配水場 ・鎌田山調整池

浄水施設 - - ・久之浜浄水場

取組 14 水道施設耐震化計画の推進

◇ 水道施設更新計画及び耐震化計画の推進

・ 効率的で効果的な施設の更新を目指して策定した「水道施設更新計画※4」と、災害時にお

いても確実な給水の確保を図るために策定した「水道施設耐震化計画※5」の進行管理を行い

ます。

取組 15 水道施設状況の適正把握

◇ 水道施設台帳整備事業

・ 維持管理の効率化と資産管理の徹底を図るため、水道施設(設備)の構成や諸元、更新履

歴等の詳細なデータを管理する施設台帳について、内容の充実を継続します。 ◇ 漏水防止対策事業

・ 震災時に上昇した漏水率は震災以前の水準まで回復していないことから、より効果的な対

策が必要となっているため、漏水に関するデータを分析した結果に基づいた漏水調査を実施

し、漏水箇所の早期発見と即時の漏水修理に努めます。

・ 適正な水圧管理や漏水のしにくい資材の採用のほか、漏水修繕履歴のデータベースを構築

することにより、漏水多発エリアの分析を行って老朽管更新に係る優先順位の見直しをする

など、適切に事業を管理します。

震災により上昇した漏水率

を引き下げて有収率を回復さ

せるため、漏水調査の強化を

図ります。

※4【水道施設更新計画】 <参考資料>2 水道施設更新計画の概要参照

※5【水道施設耐震化計画】 <参考資料>3 水道施設耐震化計画の概要参照

8.4 9.0 8.0 9.0 8.2 19.4 12.2 11.9 11.9 11.9 10.9 10.4 9.9 9.5 9.0 8.5

88.9 88.1 89.3 88.1 88.9 75.9 84.6 85.0 85.1 85.2 85.4 86.6 87.3 88.0 88.7 89.3

020406080

100

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33

割合(%)

年度

漏水率(%) 有収率(%)

Page 38: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐33‐

取組 16 管路の更新及び重要管路の耐震化

◇ 老朽管更新事業

・ 水道施設の多くを占める管路の老朽化が進み、今後大量に更新時期を迎えることとなるこ

とから、最重要事業として位置付けし、目標事業量(目標とする年間更新延長)を定めて老

朽管更新事業に取り組みます。

・ 老朽管の更新は、水道管が経理上の法定耐用年数(40年)を超えて使用できることを踏ま

え、実際に使用できる年数(実使用年数=下記1参照)で更新することとし、既に実使用年

数を超過した管路は計画的に更新するほか、今後、超過する管路については、順次、更新す

るなど、更新のスピードアップを図ります。

1 本市独自の更新基準(実使用年数)の適用

法定耐用年数(40年)に対し、使用資材、施工方法の変遷、耐腐食性及び耐震性の面

から判断して、実際に使用できる年数(実使用年数)を本市独自に定めます。

(例)ダクタイル鋳鉄管(法定耐用年数 40年→実使用年数 布設年度により 50~80年)

2 更新対象管路の分類

管路の役割を踏まえたうえで、実使用年数を超過しているかどうか等の「健全度」や、

事故発生時の「影響度」等から判定し、管路を分類します。

(例)健全度低い =管路総延長 2,226.5kmのうち、既に実使用年数を超過(313.1km)

健全度高い =管路総延長 2,226.5kmのうち、実使用年数未超過 (1,913.4km)

影響度大きい=φ100㎜以上の配水支管

影響度小さい=φ100㎜未満の配水支管 ~管路の役割~

導水管 取水場から浄水場までの原水を導水する管

送水管 浄水場から第1配水池までの水道水を送水する管

配水本管 配水池等から配水支管へ水道水を輸送・分配する管(給水分岐無し)

配水支管 配水本管等から水道使用者へ水道水を輸送・分配する管(給水分岐あり)

管種詳細 口径区分 対象延長 既に実使用

年数を超過

実使用年数

未超過

導水管 - 11.6km 1.1km 10.5km

送水管 - 23.4km 2.0km 21.4km

配水本管 φ350 ㎜以上 185.3km 4.2km 181.1km

配水支管(本線) φ200 ㎜以上φ350 ㎜未満 315.3km 4.1km 311.2km

配水支管(支線) φ100 ㎜以上φ200 ㎜未満 1,091.4km 118.9km 972.5km

φ100 ㎜未満 599.5km 182.8km 416.7km

延長合計 2,226.5km 313.1km 1,913.4km

※ 赤色…313km、青色…1,497km、緑色…416km

3 年間事業量の設定

年間事業量は、次により算出した 26km/年を目標とします。なお、毎年の更新事業を

進めるに当たっては、ア~ウの区分ごとの延長はあくまで目安とし、全体の事業量

(26km/年)の確保を基本として柔軟に事業を進めていきます。

ア(赤色)既に実使用年数を超過している管路 (313kmを 40年間で解消) 8km/年

イ(青色)実使用年数未超過かつ影響度が大きい管路(1,497kmを 100年間で更新) 15km/年

ウ(緑色)実使用年数未超過かつ影響度が小さい管路(416kmを過去の実績と同程度) 3km/年

ア+イ+ウの合計 26km/年

※1 上記アで解消期間を 40年間と設定しているのは、本中期経営計画の財政計画が

アセットマネジメントの長期財政収支見通し(40 年間)を踏まえているためです。

Page 39: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐34‐

※2 上記イで更新期間を 100年間と設定しているのは、より長期的な使用に耐えうる

管材の開発が進んでいる現状を踏まえ、実使用可能年数は 100年程度まで延長とな

る(年間の管路更新率を 1.0%程度とすれば管路の健全度は確保できる)ことを見

込んだものです。

※3 上記ウの管路については、給水に支障を生じることがないように毎年の予算にお

いて、適切に対応することを前提にして設定したものです。

4 実使用年数を超過する水道管の割合の推移

目標更新延長 26km/年を平成 29年度から平成 38年度まで継続した場合、実使用年数

を超過する水道管の割合は、次のとおりとなる見込みです。

◇ 重要給水施設配水管整備事業

・ 耐震化された配水池から重要給水施設である救急病院等までの配水管を優先的に耐震化す

ることで、災害時においても確実な給水の確保を図ります。

・ 対象施設は、「水道局地震災害対応マニュアル」の優先給水施設一覧表に記載されている

もののうち、より重要度や緊急性の高い第一優先給水施設の「救急病院」や「人工透析病

院」、さらには第二優先給水施設の「公共施設」や「福祉避難所」を選定しています。

重要給水施設の優先順位は、施設の重要度や緊急性を考慮し、次のとおり設定してい

ます。 優先順位 施設の種類 対象施設数 対象施設数小計

1-1

福島県第3次救急医療機関

13

25

福島県第2次救急医療機関(救急告示病院)

人工透析病院

1-2 福島県第2次救急医療機関(救急協力病院) 6

1-3 福島県第2次救急医療機関(病院群輪番制) 6

2 公共施設 34

42 福祉避難所 8

対象施設数合計 67 -

平成 29年度から平成 33年度までの5年間の事業計画は、重要給水施設の優先順位に

加え、整備対象となる管路の経過年数による給水安定性や、他水系からのバックアップ

等を考慮して決定しています。

平成 29年度から平成 33年度までに整備を予定している施設は、次の8施設です。 施設名 優先順位 口径管種 延長

市立総合磐城共立病院、松村総合病院、福島

労災病院、かしま病院、常磐病院、松尾病院、

いわき泌尿器科、クリニックかしま

1-1

φ100mm~φ500mm

ダクタイル鋳鉄管

(耐震管)

約 7.0km

14.0% 14.7% 13.8% 13.7% 13.6% 13.3% 12.9% 12.2% 12.0% 11.5% 11.3%

20.9% 22.7% 23.7% 25.4% 27.1% 28.2% 28.9% 30.5% 32.1% 33.9% 35.1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38

(%)

年度

実使用年数超過管路率 法定耐用年数超過管路率(参考)

Page 40: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐35‐

取組 17 浄水・配水施設の耐震化

◇ 浄水施設耐震化事業

◇ 配水施設耐震化事業

・ 基幹施設である浄水場や配水池、ポンプ場等の耐震補強や改築、更新を実施し、災害時の

確実な給水の確保を図ります。

浄水施設や配水施設についても、管路の耐震化と同様に、地震に強くかつ被害が発生し

ても柔軟に対応できる強靭な水道施設を構築するため、「水道施設耐震化計画」に基づき耐

震化に取り組んでいきます。

水道施設のすべてを耐震化するには長時間を要することから、平成 29年度から平成 33

年度までの中期経営計画の期間内は、平及び上野原浄水場の耐震化に重点的に取り組みま

す。

また、施設の耐震化事業には多額の資金を必要とすることから、国庫補助制度を活用す

るなど、財源の確保策を講じます。

【図4】浄水場及び配水池の耐震補強イメージ

区 分 浄水施設能力 平成 27年度末現在

耐震化済施設能力

平成 33年度目標

耐震化済施設能力

平浄水場1系 31,170㎥/日 31,170㎥/日

平浄水場2系 31,170㎥/日 31,170㎥/日 31,170㎥/日

上野原浄水場1系 18,850㎥/日 18,850㎥/日

上野原浄水場2系 17,050㎥/日 17,050㎥/日 17,050㎥/日

泉浄水場 30,000㎥/日

山玉浄水場 45,000㎥/日

法田第1ポンプ場 10,240㎥/日

法田第2ポンプ場 20,000㎥/日

簡易水道事業(7浄水場) 3,005㎥/日

合計 206,485㎥/日 48,220㎥/日 98,240㎥/日

浄水施設の耐震化率 - 23.4% 47.6%

【表2】浄水施設能力の耐震化の目標

浄水施設の耐震化率は、平成 26 年度末現在の全国平均が 23.4%となっています。

本市の平成27年度末現在の浄水施設の耐震化率は、23.4%となっており、平成26年度末の全国平均と同じ状況

にありますが、東日本大震災の経験を踏まえて策定した「水道施設耐震化計画」に基づき耐震化を推進していくこと

とします。

(目標)

・平成 33 年度末現在の耐震化率 47.6%

Page 41: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐36‐

取組 18 浄水・配水施設の更新

◇ 浄水施設更新事業

◇ 配水施設更新事業

・ 断水等の事故を未然に防止するため、「水道施設更新計画」で定める更新基準(実使用年数)

に基づき、浄水施設や配水施設を更新します。更新に当たっては、予防保全の観点から定期

的に点検を実施し、必要な補修や部品交換を行い機能回復に努めたうえで実施するとともに、

環境への影響も配慮し、より効率の良い機器を採用するなど、機能向上を図ります。

区 分 H29 H30 H31 H32 H33

浄水施設更新工事

等件数 16件 15件 12件 11件 10件

配水施設更新工事

等件数 16件 14件 10件 9件 17件

取組 19 水道事業継続計画の推進

◇ 水道事業継続計画(BCP)の推進

・ 自然災害等のさまざまな事態が発生した場合においても、事業を継続させ、一定の期間内

に業務レベルを復旧させることを目的とする、「水道事業継続計画(BCP)」の管理を行い

ます。

取組 20 水道危機管理マニュアルの充実と訓練

◇ 水道危機管理マニュアルの推進

・ お客さまの健康や生命及び財産を保護することを目的とし、さまざまな危機的事態を想定

して策定した水道事業の危機管理に関する各対応マニュアルを随時見直します。

・ 危機を未然に防止するとともに、危機発生時には迅速かつ効率的な対応ができる体制づく

りや、関係機関及び他の水道事業体との連携体制の構築を行います。

◇ 水道危機管理マニュアル等に基づく各種訓練の実施

・ 災害時に迅速かつ適切な災害対策が行えるようにするため、職員の判断力の養成、防災上

必要な災害対応能力、防災意識の向上を図り、水道危機管理マニュアルに基づいた各種訓練

を実施します。

◇ 応急給水計画の推進

・ 災害時における飲料水及び生活用水の確保は、生命維持、人心の安定を図るうえで極めて

重要なことから、被災地に必要な飲料水等を迅速に供給するため、拠点給水、運搬給水、仮

設給水等の応急給水対策を講じます。

危機管理マニュアル

・地震災害対応マニュアル ・テロ対応マニュアル ・原子力災害対応マニュアル

・渇水対応マニュアル ・水質事故対応マニュアル ・停電対応マニュアル

配水施設の更新対象

・ポンプ場 ・ポンプ

・配水池 ・電気計装

・調整池 ・無停電電源装置

・減圧弁 ・水位計

・配水管理メーター ・電動弁等

浄水施設の更新対象

・取水施設(設備・機器) ・導水施設(設備・機器)

・浄水施設(設備・機器) ・送水施設(設備・機器)

・受変電盤等の電気設備等

Page 42: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐37‐

取組 21 水道施設の安全対策の強化

◇ 水道施設安全対策事業

・ 水道施設への人為的な薬物等の混入や設備の破壊、薬品や備品の盗難等を未然に防止する

ため、施設入退場者の管理の徹底や浄水施設の巡回警備の強化、防犯対策の実施、薬品や備

品の管理の徹底等を実施し、保安体制の確立を図ります。 区 分 H29 H30 H31 H32 H33

配水施設の安全対

1箇所

(フェンス更新)

1箇所

(フェンス更新)

3箇所

(フェンス更新)

1箇所

(フェンス更新)

1箇所

(フェンス更新)

浄水施設の安全対

・上野原浄水場監

視カメラ更新 - -

・簡易水道事業浄

水場遠方監視警

備業務委託開始

・下平窪取水場監

視カメラ更新

◇ 浄水場非常用発電設備整備事業

・ 市民生活に影響を及ぼすことが想定される浄水場の長時間停電に対応するため、非常用自

家用発電設備が設置されていない基幹浄水場への同設備の導入を検討します。

区 分 H29 H30 H31 H32 H33

自家用発電設備の

検討整備

検討 検討 基本計画策定 基本計画精査

及び検証

設計委託

(平浄水場)

◇ 緊急遮断弁整備事業

・ 災害時に応急給水及び応急復旧で必要となる水道水を確保することや、漏水による土砂流

出等の二次災害を防止することを目的に、緊急遮断弁※6を整備します。

・ 緊急遮断弁の整備に当たっては、単独の整備ではなく、配水池や配水管等の耐震化にあわ

せた一体的な整備を行います。

区 分 H29 H30 H31 H32 H33

緊急遮断弁改良 設計委託 計画検討

(H34以降計画分)

好間 2号配水池 大沢配水池 四倉配水池

平成 23 年4月 11 日の東日本大震災の余震で大部分の浄水場が停電による長時間運転停止となったことを踏ま

え、各基幹浄水場に自家用発電設備を設置し、最低限の機能を確保します。特に、基幹浄水場の中でも重要な浄

水場である平浄水場には、平成 36 年度に整備することを目標に作業を進めます。

・現在設置箇所と自家用発電設備容量率 上野原浄水場 400kVA(送水ポンプ 1 台分)、11.4%

(想定する設備)

・非常用発電設備(ディーゼル発電)

・施設出力と整備条件(発電機出力 1,250kVA、2日間連続運転)

・燃料タンク容量(20,000L(地下埋設))

震災時は、早期に配水池の貯留水を喪失し幹線等の配水調整を実施することができなかったため、緊急遮断弁

や遠隔操作電動弁を活用した貯留水の確保を優先的に行います。

平成 27 年度までに設置した緊急遮断弁は、地震を感知した際に即時に配水を停止するシステムとなっているこ

とから、地震の規模や配水量、さらには配水池水位等の条件に応じて制御し、必要な貯水量を確保できるシステム

へ改良します。

・現在設置箇所 7箇所

(好間1・2号配水池、平第2配水池、小川配水池、大沢配水池、四倉配水池、久之浜配水池)

(整備概要)

緊急遮断弁の改良

・電動弁の改良(設置場所の移設、付属設備の更新等)

・場内配管の改良(電動弁移設に伴う改良、緊急時給水口の新設等)

・計装設備の改良(計装機器の改良、更新等)

※6【緊急遮断弁】地震や管路の破裂等の異常を検知するとロックやクラッチが解除され、自動的に自重や重錘又

は油圧や圧縮空気を利用して緊急閉止できる機能を持ったバルブをいう。

Page 43: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐38‐

取組 22 応急資器材・体制等の整備

◇ 災害時通信手段の確保

・ 災害時には被災現場も含め関係各所との相互の情報伝達が重要となることから、災害時の

通信手段を確保するため、無線通信設備等の更新と整備を進めます。 区 分 H29 H30 H31 H32 H33

無線通信設備の更

・携帯型無線設備

4台

・可搬型無線設備

3台

・車載型無線設備

4台

・携帯型無線設備

3台

・車載型無線設備

6台

・携帯型無線設備

1台

・車載型無線設備

2台

・携帯型無線設備

5台

・携帯型無線設備

7台

・基地局

6基

◇ 応急資器材の備蓄と適正管理

・ 災害や事故発生時に効果的な災害対策活動が行えるようにするため、応急給水用資器材、

応急復旧用資器材の計画的な備蓄と適正な維持管理を行います。 区 分 H29 H30 H31 H32 H33

応急資器材の備蓄

管理と更新

・非常用飲料水袋

(6L)の備蓄

17,800枚

・自動給水分配装

置点検

・非常用飲料水袋

(6L)の備蓄

17,800枚

・自動給水分配装

置点検

・非常用飲料水袋

(6L)の備蓄

17,800枚

・自動給水分配装

置点検

・非常用ろ過機点

・非常用飲料水袋

(6L)の備蓄

17,800枚

・自動給水分配装

置点検

・非常用飲料水袋

(6L)の備蓄

12,000枚

・自動給水分配装

置点検

【図5】災害時復旧作業の状況

Page 44: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐39‐

取組 23 専門性に富む人材の育成と配置

◇ 人材育成の充実

・ 事業の健全な運営や市民のニーズに対する質の高いサービスを提供するため、公務員倫理

を遵守し、コストや経営感覚を備える公営企業職員の育成を目的に、「人材育成方針」の管理

と改訂を行います。

・ 各種研修への派遣や水道局主催の研修会を通じて職員の能力向上に努め、技術力の継承や

日々進化する新たな技術の習得を目指します。

取組 24 水道電算処理システムの改善

◇ 上下水道料金処理システムの改善

◇ 財務会計システムの改善

◇ 「市地域情報化推進計画」の推進

・ 情報通信技術(ICT)による業務の効率化や高度化を進め、事業の健全な運営やお客さ

まのニーズに対する質の高いサービスの提供を行うとともに、専門性の維持向上を図ります。 区 分 H29 H30 H31 H32 H33

上下水道料金処理

システムの管理

・運用管理

・システム開発会

社、料金等業務受

託会社との定期

的な会合

・運用管理

・システム開発会

社、料金等業務受

託会社との定期

的な会合

・運用管理

・システム開発会

社、料金等業務受

託会社との定期

的な会合

・運用管理

・システム開発会

社、料金等業務受

託会社との定期

的な会合

・機器更新

・運用管理

・システム開発会

社、料金等業務受

託会社との定期

的な会合

財務会計システム

の管理

・運用管理、修正

対応

・会計スキルアッ

プ研修等

・運用管理、修正

対応

・会計スキルアッ

プ研修等

・運用管理、修正

対応

・会計スキルアッ

プ研修等

・機器更新

・運用管理、修正

対応

・会計スキルアッ

プ研修等

・運用管理、修正

対応

・会計スキルアッ

プ研修等

地域イントラネッ

ト接続パソコン等

の管理

・運用管理

・機器更新

・情報セキュリテ

ィ研修

・運用管理

・機器更新

・情報セキュリテ

ィ研修

・運用管理

・機器更新

・情報セキュリテ

ィ研修

・運用管理

・機器更新

・情報セキュリテ

ィ研修

・運用管理

・機器更新

・情報セキュリテ

ィ研修

取組 25 企業債適正管理計画の推進

◇ 企業債発行の適正化

・ 「企業債管理方針」の下、長期的な視点で残高管理を行い、後年度における施設の大規模

な更新事業に備えて企業債残高の増高を抑制することにより資本構成の安定度を高め、財務

体質の改善を図ります。

【図6】企業債残高の推移

0

100

200

300

400

500

H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33

企業債残高(億円)

年度

「企業債管理方針」に基づく企業債の発行方法、発行額等の適正な管理を行います。

企業債発行の考え方については、「Ⅲ 財政計画 2 企業債発行額と企業債残高」参照

Page 45: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐40‐

取組 26 アセットマネジメント活用による投資と財源の適正管理

◇ アセットマネジメントの活用推進

・ 合併以降、水需要の増加にあわせて集中的に整備した多くの水道施設が、今後、順次更新

時期を迎え、その更新には多額の資金が必要となることから、ライフサイクル全体にわたっ

て効率的かつ効果的に管理運営していかなければなりません。このため、アセットマネジメ

ントの手法を投資と財源の適正管理ツールとして導入し、施設の更新や資金確保が計画に沿

ったものとなっているのかを検証します。

取組 27 適正な水道料金制度の維持・検証

◇ 需要実態を反映した水道料金制度の検討

・ 今後の水道料金制度のあり方については、水需要が減少傾向にあり、その構造も大きく変

わってきていることなどを踏まえながら、引き続き検討を進めます。

(原 価) 反 映(水道料金)

費用構造を勘案した料金体系の見直し

水の使用量にかかわらず、施設を維持していくため

固定的にかかる費用の基本料金と従量料金への配賦

割合を見直すなど、水需要減少の影響を受けにくい料

金体系のあり方を検討します。

受益と負担を考慮した料金体系の検討

水需要構造や社会情勢が変化するなかで、受益と

負担の公平性にも配慮した料金体系のあり方について

検討します。

水道事業におけるアセットマネジメントとは

「今後必要な水道施設の更新費用」と「水道施設更新への投資可能な額」の将来の見通しを立てたうえで、水道

施設更新への投資可能額が不足することが分かった場合には、その不足額を確保するための方策を検討するな

ど、持続可能な事業運営を目指すための管理手法です。

アセットマネジメントの活用で得られる効果

1 水道施設の健全性の把握と長期的視点に立った更新投資の平準化が可能となる。

2 財源の裏付けを有する計画的な更新投資を行うことができる。

3 計画的な更新により老朽化に伴う突発的な断水事故や地震発生時の被害が軽減され、水道施設全体のライフ

サイクルコスト※7の減少につながる。

4 水道施設の健全性や更新事業の必要性・重要性について、水道利用者や議会等に対する説明責任を果たすこ

とができ、信頼性の高い水道事業運営が達成できる。

※7【ライフサイクルコスト】施設や設備等の費用を、調達・製造・使用・廃棄までのトータルコストとして評価

する手法をいう。建設費用だけで判断するのではなく、維持管理コストや使用可能な期間、処分費用等を含めて

事業を評価することが、持続可能な水道事業の実現に重要である。 ※8【需要家費】水道メーターの購入費用、検針及び水道料金徴収関連費用など、水道使用者のサービスの使用と

は無関係に、水道使用者の存在により必要となる費用をいう。 ※9【固定費】維持管理費、減価償却費、支払利息及び資産維持費など、水の使用量にかかわらず、水道施設を維

持するために固定的にかかる費用をいう。 ※10【変動費】薬品費、動力費など、水道水を作った分に比例して変動する費用をいう。

Page 46: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐41‐

遊休資産の売却等を行うに当たり、費用と収入をよく調査検討し、維持管理上の問題も考慮のうえ実施します。

取組 28 財務体質の強化

◇ 遊休資産の有効活用の推進

・ 用途を廃止した施設跡地等で、今後も使用する予定のない土地については、維持管理経費

の無駄をなくし、収益につなげるため、売却や有料貸出等による財源化を検討します。

区 分 H29 H30 H31 H32 H33

遊休資産の有効活

用に向けた売却

・赤井ポンプ場敷

外1件の売却 -

・関船ポンプ場敷

の売却 - -

◇ 他水道事業者からの水質検査受託の継続

・ 「福島県水道水質管理計画」に基づき、「双葉地方水道企業団」が供給する水道水の水質基

準項目の検査業務の受託を継続していくとともに、自己検査が困難な状況にある他の水道事

業者から水質検査業務を受託し、収益の向上を図ります。

◇ 財政支援等の要望と新たな財源確保の推進

・ 財政の健全化と水道料金の高騰抑制のため、老朽施設更新事業や災害対策事業の補助採択

基準や対象条件の緩和、水道事業債の低金利化等を国等へ要望するとともに、有料広告収入

等の、新たな財源確保策を検討します。 区 分 H29 H30 H31 H32 H33

広報紙「すいどう

いわき」への有料

広告掲載

・取扱要綱、基準

の策定

・有料広告掲載の

実施

・有料広告掲載の

実施

・有料広告掲載の

実施

・有料広告掲載の

実施

取組 29 組織・業務の改善・改革

◇ 入札制度の適正化

・ 国の方針等に基づき入札及び契約の適正化を図るとともに、多様な入札契約方式について

導入を検討します。

◇ 定数、組織、制度の検討、実施

◇ 業務改善の推進

・ 経営環境及び社会経済情勢等の変化に対応するため、上下水道事業の連携や民間委託拡大

について検討を行うなど、人員管理や組織体制の見直しを進め、効率的かつ効果的に業務を

遂行できる組織とします。その中で、職員が行っている業務のうち、民間に委託した方が効

率化が図れる業務については、水道事業者としての責任が確保できることを前提に委託を進

めます。

◇ 職員提案の事業運営への反映

・ 「いわき市水道局職員提案要綱」に規定する職員提案制度を活用し、職員の業務改善に係

るアイディアをいかすことにより、事務能率の向上と職場における業務改善意識の向上を図

ります。

◇ 中期経営計画の進行管理と評価

・ 安全・安心な水の安定供給を確保しつつ健全な経営基盤を確立するため、適切な事業計画

や財政計画を策定し、収支均衡のとれた健全な経営を維持します。また、計画の実施に当た

っては、PDCAサイクルにより事業の進行管理と事業効果の点検・改善を行い、その実施

状況や経営状況を公表するなど、経営の透明性の向上を図ります。

双葉地方水道企業団からの受託検査を継続します

平成 12 年度から双葉郡の広野町、楢葉町、富岡町、大熊町及び双葉町の5町に供給する水道水について、本市

水道局が水道法に基づく水質基準項目及び管理目標設定項目等の検査を行っています。

Page 47: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐42‐

取組 30 市循環型オフィスづくり行動計画の推進

◇ 「市循環型オフィスづくり行動計画」の推進

・ 「人と自然が共生するまち 循環都市いわき」の実現に向け、水道局自らが一事業者とし

て「いわき市循環型オフィスづくり行動計画」に基づく取組を実施し、温室効果ガス排出量

の削減など、環境負荷低減に努めます。

【図7】いわき市水道局本庁舎

取組 31 環境対策の推進

◇ 再生可能エネルギー等環境対策の推進

・ 水道施設工事の際に発生する建設副産物の抑制とリサイクルや、排出ガス対策型建設機械

の標準化、回転数制御ポンプ等の採用のほか、エコカーを公用車に導入するなど、率先して

環境対策に取り組みます。

・ 環境負荷低減を目的に、水道事業に必要な電力の一部を再生可能エネルギーによってまか

なうことができるようにするため、太陽光発電や小水力発電等の導入に努めます。

【図8】水道局低公害・低燃費車導入方針に基づき導入した電気自動車

温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量削減に向けた取組

・紙類の廃棄は、水道局の基準に沿って焼却処分ではなく溶

解処分とする。

・昼休み時間など、執務時間以外は灯りを消灯する。

・昼休み時間など、執務時間以外はOA機器の電源を切る。

・執務時間中も、使用していない廊下や執務室等は消灯す

る。

・空調設備の運用指針に基づき、冷暖房時の温度管理を徹底

する。

環境物品等の調達の推進

・エコマーク認定製品の優先調達

太陽光・小水力発電導入に向けての取組

環境負荷の低減と電気料金の削減を目的に、水道事業に必要な電力の一部を再生可能エネルギーによってま

かなうことができるよう導入の検討を行っています。

平成 24 年度 太陽光発電装置、小水力発電装置の導入調査

対象:基幹浄水場及び付帯設備8施設

平成 28 年度 環境負荷低減対策として太陽光発電装置を平浄水場敷地内水質管理センター管理棟屋上へ設置

太陽光発電パネル 80 枚設置(総発電容量 20kWh)し、施設照明等の電力をまかなう。

平成 29 年度 太陽光発電装置、小水力発電装置の導入可能性を調査検討する。

Page 48: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐43‐

取組 32 浄水発生土の適正管理と有効利用

◇ 浄水発生土の適正管理と有効利用の検討

・ 原発事故による放射性物質拡散の影響により、浄水発生土※11の中間処理施設での受入れが

中断されている状況にあることから、受入れ再開までの間は、適正な管理と処分を行います。

・ 産業廃棄物の排出抑制及び減量化を図るため、中間処理施設の浄水発生土受入れ再開に備

えた準備を進め、再開された場合には、速やかに、浄水発生土の再生利用を進めます。

【図9】浄水発生土の管理状況

取組 33 環境教育の推進による貢献

◇ 環境教育の推進

・ 水道水源の良好な水環境を将来の世代に引き継ぐため、水道局が取り組む環境対策につい

て、浄水場見学に来場された方に発信したり、出前講座のメニューにするなど、水の大切さ

の啓発に努めます。

【図 10】浄水場施設見学の様子 【図 11】水循環の流れ

原発事故時に発生した高濃度の放射性物質を含む浄水発生土は、平成 27 年度末現在も各浄水場内に保管して

いる状況です。浄水発生土は、耐候性フレコンバッグ(大型土のう)に詰め、さらに遮光シートを掛けて保管していま

すが、保管に使用している遮光シートは紫外線により劣化しますので、今後も定期的に掛け替えを実施する必要が

あります。

また、浄水発生土の入ったフレコンバッグについても、環境放射線量(μSv/h)の測定調査を定期的に継続して実

施していきます。

※11【浄水発生土】浄水場で川を流れる水やダムの水を引き込んで水道水をつくる過程で取り除かれた、河川中の

濁り(土砂)や浄水処理に用いられた薬品類などの沈でん物を集めたもの。

Page 49: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐44‐

取組 34 分かりやすい情報の積極的な提供

◇ 戦略的な広報の推進

・ 水道料金収入が減少していく厳しい経営環境下においても、持続可能な水道システムを構

築するためには、お客さまとの信頼関係の構築は極めて重要であることから、お客さまに迅

速かつ効果的な情報提供を行うため、「情報提供方針」に基づき効果的な広報活動を展開しま

す。

◇ 経営内容のわかりやすい広報

・ お客さまに水道事業を理解していただくため、広報紙「すいどういわき」の発行を継続し、

水道局の各種施策や経営状況等についてわかりやすく広報します。

◇ 電子媒体を活用した情報提供の推進

・ ホームページやソーシャルメディア等の即時性のある電子媒体を活用し、お客さまが必要

とする安全・安心な水の供給に関する情報や、災害発生時の緊急情報を速やかに発信します。

取組 35 お客さま意見の把握と活用

◇ お客さま意識調査等の実施

・ 各種アンケート調査を活用しながら水道に関するお客さまの意識や満足度、ニーズ、さら

には水道使用の実態を把握し、事業運営に反映させるための取組を行います。

区 分 H29 H30 H31 H32 H33

お客さま意識調

・各種アンケート

による意識調査

・各種アンケート

による意識調査

・市民意識調査(5

年ごと1,000人対

象)

・各種アンケート

による意識調査

・各種アンケート

による意識調査

・各種アンケート

による意識調査

これまでの本市が行ってきたアンケート手法である「市民意識調査」や「水道週間イベント」及び「水道水源地・施

設見学会」時のアンケートに加え、他部署主催のイベントに参加し、アウトリーチ手法によるアンケートを行うなど、

お客さま意見の把握に努めます。

(実績と見込み)

・平成 27 年度実績 アンケート情報収集割合 0.83 人/1000 人

・平成 28 年度見込み アンケート情報収集割合 1.98 人/1000 人

(試験的に他部署主催のイベント時にアンケート実施)

(目標)

・平成 29 年度以降 アンケート情報収集割合 2.50 人/1,000 人以上

水道局広報紙「すいどういわき」

水道局広報紙「すいどういわき」はこちらです。

ホームページアドレス

http://www.city.iwaki.lg.jp/www/genre/1445402770893/index.html

Page 50: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐45‐

取組 36 水が潤うまちづくりの推進

◇ 水に親しむまちづくりの推進

・ 水道週間イベントや各種イベント等において、他部署や民間団体との連携により花の種や

植物の苗木、ボトルドウォーターの配布など、水の使用を促進するための取組を行います。

《平成 27年度に実施した水道週間イベントの様子》

【図 12】いわきサンシャインウォーター

取組 37 給水サービスの充実

◇ 修繕体制の充実

・ 漏水事故等の緊急時に二次災害等を未然に防止するため、水道工事事業者との連絡体制や

初動体制を強化します。

◇ 給水装置工事事業者等との連携

・ 給水装置工事の適正な施工の確保とトラブル防止の観点から、「指定給水装置工事事業者研

修会」を実施し、連携を図ることにより、お客さまの信頼性確保に努めます。

・ 水道メーターから蛇口までの漏水について、お客さまが速やかに漏水の修理ができるよう

に、指定給水装置工事事業者に関する情報提供を行い、サービスの向上を図ります。

水道週間イベントでの「きき水コーナー」

いわきの水道水2種類と市販のミネラルウォーター1種

類を飲み比べて、「おいしい!!」と思うものに投票していただ

きました。

水道週間イベントでの「親子実験教室」

ポンポン船作りやさかのぼり水車作りなどを体験しまし

た。それぞれに発見や感動があり、親子のふれあいの場に

もなりました。

Page 51: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅰ 取組(施策)の概要

‐46‐

取組 38 手続サービスの充実

◇ お客さま手続サービスの利便性向上

・ 水道の開始・休止の手続き、料金等の問合せや窓口業務について、速やかな対応と接遇の

向上に努めます。

・ お客さまの利便性を向上させるため、新たな収納方法の導入等について調査検討します。

《過去 10年間の主な実績》 年 月 導入実績

平成 27年9月 「いわき市かんたん申請・申込みシステム」(県内市町村協働電子申請システムを活用)

を利用した水道使用の開始・休止の電子申請の導入による申請方法の拡大

平成 26年8月 口座振替の取扱金融機関を拡大(相双五城信用組合)

平成 16年8月 コンビニエンスストア料金収納拡大

ご利用いただける金融機関(平成 27 年度末現在)

1 東邦銀行

2 みずほ銀行

3 秋田銀行

4 七十七銀行

5 常陽銀行

6 福島銀行

7 大東銀行

8 ひまわり信用金庫

9 いわき信用組合

10 相双五城信用組合

11 東北労働金庫

12 福島さくら農業協同組合

13 福島県信用漁業協同組合連合会

14 ゆうちょ銀行

15 あぶくま信用金庫

※ あぶくま信用金庫は、市内の支店だけの取扱い。

ご利用いただけるコンビニエンスストアの取扱店(平成 27 年度末現在)

1 セブンイレブン

2 ローソン

3 ファミリーマート

4 デイリーヤマザキ

5 ミニストップ

6 MMK設置店

7 ヤマザキデイリーストアー

8 ヤマザキスペシャルパートナーショップ

9 サークル K

10 サンクス

11 スリーエフ

12 コミュニティ・ストア

13 ポプラ

14 生活彩家

15 くらしハウス

16 スリーエイト

17 セイコーマート

18 ハマナスクラブ

19 セーブオン

20 ハート・イン

21 KioX設置店

※ 1から6までのコンビニエンスストアは、いわき市内に取扱店があります。

Page 52: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)

‐47‐

Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)

基本計画で掲げる目標ごとに指標を設定し、事業運営の進行管理を行います。今回設定し

た指標は、政策の目標を明確化して事業を効率的に進行管理するためのもので、主要な事業

については可能な限り設定しました。これにより、事業の実効性を確保するとともに、お客

さまに目標の達成度を分かりやすくお知らせしていきます。

方向性1 安全でおいしい水道水の供給

水源から蛇口までの一元的な対策の推進により、安心して飲める水道を目指す

目標 1.1 水安全対策の着実な実施による良好な水質の保持

《良好な水質の保持》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

局指標 水質基準不適合率(%)

(水質基準不適合回数/全検査回数)×100

0.0 0.0 0.0%の維持

毎日水質検査(通常 365 回/年、閏年 366 回/年)、毎月水質検査(12 回/年)を実施したうえで、年間の1項目でも基準値等を

満足しない回数がないように努めます。

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

局指標 河川の BOD※122mg/L 以下の維持

2mg/L

以下

2mg/L

以下 2mg/L 以下の維持

「生活環境の保全に関する環境基準」の「河川(水道2級)」の生物化学的酸素要求量(BOD)の基準値である「2mg/L 以下」

を達成するため、水源水源の水質保全補助事業等に取り組みます。

※12【BOD(Biochemical Oxygen Demand 生物化学的酸素要求量)】水中の微生物が有機物を分解するために必

要とする酸素の量のこと。この値が大きいほど水質が汚濁していることを示している。

Page 53: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)

‐48‐

目標 1.2 水質検査の充実による適正な水質管理の維持

《水質検査体制の維持向上》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

局指標 水質検査の自己検査率(%)

(実施できる検査項目/検査項目(基準項目+管理

目標設定項目))

100.0 100.0 100.0%の維持

水質検査項目のうち基準項目 51 項目、水質管理目標設定項目 24 項目、合計 75 項目(H28 年度現在)の検査項目を実施

するための設備や検査体制を維持・向上させ、自己検査率 100%を維持します。

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

局指標 水道水の放射性物質検査回数(回)

週 3 回 週 3 回 週 3 回

中期経営計画の計画期間である平成 29 年度から平成 33 年度の 5 年間については、「水道水の放射性物質モニタリング」を

これまでと同じ頻度(週 3 回)で実施します。

目標 1.3 安心して飲める水道の普及促進

《給水装置所有者への働きかけ》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:A205 貯水槽水道指導率(%)

(貯水槽水道指導件数/貯水槽水道数)×100

100.0 100.0 100.0%の維持

水道局から供給される水を水源として建物内に供給する、ビルやマンション等の貯水槽水道の安全な水の確保に向け、給水

装置所有者等への働きかけを継続します。

Page 54: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)

‐49‐

方向性2 最適で災害に強い施設・体制の整備

水需要や震災経験を踏まえた水道システムの見直しにより、効率的で災害に強

い水道を目指す

目標 2.1 水需要を踏まえた施設再編による施設の最適化、安定化

《施設の再編》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

局指標 基幹浄水場連絡管整備事業の進捗率(%)

平・鹿島水系幹線(若葉台~中央台ポンプ場) 【完成後中央台、小名浜地区へのバックアップ完了】

40.0 40.0 60.0 60.0 100.0 - -

局指標 基幹浄水場連絡管整備事業の進捗率(%)

鹿島・常磐水系幹線

【完成後常磐地区へのバックアップ完了】

0.0 0.0 7.7 15.4 30.8 46.2 53.8

平・鹿島水系幹線(若葉台~中央台ポンプ場間の水系幹線(φ800mm、φ600mm、φ400mm)及び水系接続)の整備を平成

31 年度までに完了し、中央台地区や小名浜地区へのバックアップを可能とします。

平成 28 年度から着手した鹿島・常磐水系幹線(水系幹線(φ800mm、φ700mm)及び水系接続)の整備を継続し、常磐地区

へのバックアップ強化に努めます。

目標 2.2 老朽管更新等による施設の健全化

《施設の耐震化》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:B602 浄水施設の耐震化率(%)

(耐震対策の施された浄水施設能力/全浄水施設能

力)×100

23.4 23.4 23.4 38.5 47.6 47.6 47.6

平浄水場と上野原浄水場の耐震化を平成 33 年度までに完了し、地震災害に対する浄水処理機能の信頼性と安全性の向上

に努めます。

※ 平成 30 年度に平浄水場1系(浄水処理能力 31,170 ㎥/日)の耐震補強が完了し、平成 31 年度に上野原浄水場1系(浄

水処理能力 18,850 ㎥/日)の耐震補強が完了する予定です。

《管路の耐震化》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:B605 管路の耐震管率(%)

(耐震管延長/管路延長)×100

8.4 8.6 8.8 9.1 9.9 10.9 12.1

水道管の更新時には、配水用ポリエチレン管等の耐震管を段階的に採用することで耐震管率の割合を高め、地震災害に対

する水道管路の信頼性と安全性の向上に努めます。

※ 配水ポリエチレン管の採用については、平成 29 年度に試験採用を行い、平成 30 年度から移行期間を設けながら段階的

に採用することで、平成 33 年度からの本採用を目指します。

Page 55: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)

‐50‐

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:B606 基幹管路の耐震管率(%)

(基幹管路のうち耐震管延長/基幹管路延長)×100

41.4 41.7 41.9 42.4 43.2 43.7 44.3

PI:B606-2 基幹管路の耐震適合率(%)

(基幹管路のうち耐震適合性のある管路延長/基幹

管路延長)×100

48.5 48.8 49.0 49.4 50.2 50.7 51.2

浄水場や主要な配水池等の水道施設を結ぶ水道管や、大口径の主要な水道管が破損した場合には、大規模な断水や重大

な二次被害を生じるおそれが高いため、より耐震性能が高い水道管に更新することで、地震災害に対する水道管路の安全性の

向上に努めます。

※ 基幹管路の耐震適合率は、基幹管路の耐震化率に加え、良い地盤であれば耐震適合性があると評価された管種及び

継手形状を採用している管路延長の割合を含めた指標で、国土強靭化計画(平成 26 年 6 月 3 日閣議決定)によるアクショ

ンプラン 2016 では、平成 34 年度に 50%を達成することが目標に掲げられています。

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:B607 重要給水施設配水管路の耐震管率(%)

(重要給水施設配水管路のうち耐震管延長/重要給

水施設配水管路延長)×100

34.0 34.0 34.0 34.5 36.3 37.7 39.0

災害時において重要な給水拠点施設となる救急病院等へ確実な給水を行うことを目的に、配水池等から重要給水施設まで

の配水管を、耐震性能の高い水道管で整備します。

※ 平成 33 年度までの計画期間については、「水道局地震災害対応マニュアル」の優先給水施設一覧表に記載されている

もののうち、より重要度や緊急性の高い救急病院等の重要給水施設(8施設)までの配水管の耐震化を進めます。

《施設の健全化》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:B504 管路の更新率(%)

(更新された管路延長/管路延長)×100

0.73 1.15 1.16 1.16 1.16 1.16 1.16

拡張事業により昭和 50 年代に大量に布設した水道管が法定耐用年数を迎え、管路の老朽化が加速度的に進むことから、年

間更新率 1.0%以上を目標に掲げ、100 年サイクルの構築を目指した更新に努めます。

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(見込)

H30

(見込)

H31

(見込)

H32

(見込)

H33

(見込)

PI:B503 法定耐用年数超過管路率(%)

(法定耐用年数を超えている管路延長/管路延長)×

100

18.1 20.9 22.7 23.7 25.4 27.1 28.2

局指標 実使用年数超過管路率(%)

(実使用年数を超えている管路延長/管路総延長)×

100

12.1 14.0 14.7 13.8 13.7 13.6 13.3

法定耐用年数超過管路率は、地方公営企業法で定められている法定耐用年数の 40 年を超えて使用している管路延長の割

合を示した指標で、管路の老朽度合について他事業体との比較を行う場合に目安となる指標です。

しかし、水道管の寿命は、各事業体における水道管の埋設条件や管理状態に左右されることから、本市では法定耐用年数

にこだわらず、実際に使用可能な年数(実使用年数)を本市独自に設定し、適切な更新時期を捉えて老朽管の更新に努めるこ

ととしています。

実使用年数超過管路率は、本来0%とすべきものですが、長期的に取り組む課題として捉え、年間更新率 1.0%(100 年ごと

の更新)を目安に更新を進めます。

Page 56: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)

‐51‐

《施設の安定化》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:B112 有収率(%)

(年間有収水量/年間配水量)×100

85.2 85.4 86.6 87.3 88.0 88.7 89.3

震災により大きく落ち込んだ有収率を回復し、安定的そして効率的な事業運営につなげるため、過去 10 年間の最高値である

89.3%を最終目標とします。

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:B110 漏水率(%)

(年間漏水量/年間配水量)×100

11.9 10.9 10.4 9.9 9.5 9.0 8.5

震災により上昇した漏水率を引き下げ、安定経営につなげるため、震災前 5 年間の平均値である 8.5%を最終目標とします。

目標 2.3 危機管理意識の向上による非常時対策の強化

《非常時対策の強化》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:B210 災害対策訓練実施回数(回/年)

年間の災害対策訓練実施回数

2 回 2 回 2 回/年

災害等発生時の職員の判断力の養成と防災上必要な災害対応能力、さらには防災意識の向上を図ることを目的に、水道危

機管理マニュアル等を活用した各種訓練を年 2 回以上実施(又は、他部署が実施する訓練へ参加)します。

Page 57: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)

‐52‐

方向性3 持続可能な経営基盤の確立

本格的な人口減少社会にあっても、不断の経営努力により、持続性のある水道

を目指す

目標 3.1 計画的な人材育成による専門性の維持とスキルアップ

《専門性の強化》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:C202 外部研修時間(時間/人)

(職員が外部研修を受けた時間×受講人数)/全職

員数

5.1 5.5 5.5 時間/人

PI:C203 内部研修時間(時間/人)

(職員が内部研修を受けた時間×受講人数)/全職

員数

5.3 5.9 6.5 時間/人

各種研修への派遣や水道局主催の集合研修を通じ、職員の能力向上に努め、技術力の継承や日々進歩する新たな技術の

習得、会計制度等の知識の習得を目指します。(研修時間をこれまでの実績平均(過去 10 年間の平均)から 0.5 時間アップ)

また、研修目的の明確化と成果の活用方法に留意しながら、現行の研修体系や研修手法について見直しを進め、内容の充

実に努めます。

目標 3.2 効率的で効果的な運営による財務体質と組織の強化

《財務の健全性》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:C102 経常収支比率(%)

[(営業収益+営業外収益)/(営業費用+営業外費

用)]×100 129.6 130.3 124.1 120.3 117.2 114.3 111.9

経常収支比率は、経常費用が経常収益によってどの程度賄われているかを示すもので、値が高いほど経常利益率が高いこ

とを示し、100%未満であることは、経常損失が生じていることを意味しています。

給水収益の減少などにより年々値が低下しますが、各年度とも 100%未満になることがないよう経費削減や効率的な運営に

努めます。

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:C119 自己資本構成比率(%)

[(資本金+剰余金+評価差額など+繰延収益)/

負債・資本合計]×100 64.6 64.7 64.9 64.7 64.6 64.6 64.7

総資本(負債及び資本)に対する自己資本の割合を示すもので、自己資本構成比率が低いほど企業債残高が相対的に多く

なり、企業債から発生する支払利息の負担が大きくなります。

世代間の負担の公平性を考慮しながら企業債残高の増高を抑制し、財務の健全性を高めます。

Page 58: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)

‐53‐

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:C112 給水収益に対する企業債残高の割合(%)

(企業債残高/給水収益)×100

349.4 334.0 328.0 330.0 332.2 331.2 330.8

この指標は、財務状況の安全性を示す指標であり、小さいほど安全性が高いことから、水道料金収入の減少を踏まえながら

適切に管理していきます。

本市と類似団体平均との比較では、本市は類似団体平均(平成26 年度 283.1%)を上回っていることから、当面、その平均値

を目安に、老朽管の更新需要の増大等に対応しながらも、企業債残高を適切に管理していきます。

《経営の効率化》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

局指標 職員提案制度による提案件数(件)

6 件 9 件 10 件以上

職員提案制度は、職員の業務改善に係るアイディアをいかすことにより、事務能率の向上と職場における業務改善意識の向

上を図るものです。募集方法の工夫や定期的な通知を行うなど、年間 10 件以上のアイディアの提案を図ります。

目標 3.3 環境負荷低減による社会貢献

《環境教育の推進》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:C403 水道施設見学者割合(人/1,000 人)

見学者数/(現在給水人口/1,000)

9.2 9.0 9.2 人/1,000 人の維持

給水人口の減少等により水道施設の見学者の増加は見込めない状況にありますが、1 人でも多くの方に水道局が実施する

環境対策や水道水ができるまでのしくみを伝えるため、募集方法や広報に工夫を凝らすことにより過去 10 年の平均値を維持し

ます。

《環境負荷の低減》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:B301 配水量1㎥当たり電力消費量(kWh/㎥)

電力使用量の合計/年間配水量

0.45 0.45 0.45kWh/㎥の維持

配水量の減少により「配水量1㎥当たり電力消費量」の上昇が想定されますが、平成 28 年度設置の太陽光発電、平成 29 年

度以降設置に向けて調査を実施する小水力発電などの再生可能エネルギーの利用割合を増やし、環境負荷低減に努めま

す。また、水道事業の各段階で想定されるさまざまな環境対策を実施し、電力消費量の維持に努めます。

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

局指標 エコカーの導入台数(台)

1 台 3 台 1 台

水道局自らが一事業者として率先して環境に配慮した自動車の導入を推進するため、「いわき市水道局低公害車・低燃費車

導入方針」を策定しています。この方針に基づき、エコカー※13 を計画的に導入します。

平成 33 年度までにエコカーを累計 5 台導入することを目標とします。

Page 59: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅱ 事業運営の目標(業務指標)

‐54‐

目標 3.4 効果的な広報活動の実施によるお客さまとのコミュニケーションの推進

《情報の発信と受信》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

PI:C502 アンケート情報収集割合(人/1,000 人)

アンケート回答人数/(現在給水人口/1,000)

0.83 1.98 2.50 人/1,000 人以上

新たな試みとして「アウトリーチ手法」によるアンケートを実施し、お客さまニーズの把握に努めます。

(平成 28 年度は、試験的にアウトリーチ手法によるアンケートを実施したことから、上昇しています。)

目標 3.5 関係者等との連携・協働の推進による水道サービスの向上

《水道局の活動状況》

指 標 H27

(実績)

H28

(見込)

H29

(目標)

H30

(目標)

H31

(目標)

H32

(目標)

H33

(目標)

局指標 行事開催(参加)回数(回)

4 回 4 回 年 6 回以上

行事※14 開催又は参加時に、きき水コンテストなどの飲み水としての水道水のPR活動を行い、花の種や植物の苗木を配布す

るなど、水道水の使用を促進させるための試みを行います。

2か月に1回程度となる年6回以上の活動を目標とします。

※13【エコカー】本市では、「いわき市水道局低公害・低燃費車導入方針」に示す次世代自動車(ハイブリッド自

動車、プラングインハイブリッド自動車、クリーンディーゼル自動車、電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス

自動車、水素自動車)をいう。 ※14【行事】水道局が主催する水道週間イベント、水道水源地・施設見学会及び他部署が開催するイベント等をい

う。

Page 60: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅲ 財政計画

‐55‐

Ⅲ 財政計画

本市では、アセットマネジメント手法を活用し、40年先を見据えた施設整備の方向性を示

す「いわき市水道システム再構築計画」、「同水道施設更新計画」及び「同水道施設耐震化計

画」の各個別計画を策定し、将来像の実現に向けて取組や施策を進めています。

中期経営計画の計画期間(平成 29~33年度)に係る財政計画は、アセットマネジメントの

取組として策定済の長期財政収支見通し(40年間)を踏まえながら、新・経営プランの目標

達成に向けた取組を実施していくものとして算出したものです。

1 水需要と水道料金収入

これまでの実績と今後の人口減少を踏ま

えて水需要を予測し、現行水道料金制度での

水道料金収入を算出しました。

平成6年度を境に減少傾向をたどるこれ

までの実績や今後の人口予測を踏まえると、

水道料金収入は今後も減少傾向が続くこと

が予測されます。

2 企業債発行額と企業債残高

企業債については、世代間負担の公平を勘案して適切に管理していく必要があります。

企業債は、その償還を水道料金収入でまかなうことになることから、給水人口の減少に伴

い料金収入が減少する中で、将来世代に過度の負担を強いることがないように適切な水準と

する必要があります。

このため、長期的な視点で企業債残高の増

高を抑制することを踏まえながら、企業債を

発行していくこととしています。

財務状況の安全性を示す「給水収益に対す

る企業債残高の割合」を指標とし、本市(平

成 27年度 349.4%)は、類似団体平均(平

成 26年度 283.1%)よりも高いことから、

当面、その平均値を目安に、老朽管の更新需

要の増大等に対応しながらも、企業債残高を

適切に管理していきます。

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

0

20

40

60

80

100

H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38

(万㎥) (億円) 水道料金収入 水需要

0

100

200

300

400

0

100

200

300

400

H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38

(%) (億円) 企業債残高 企業債発行額 企業債残高対給水収益比率

Page 61: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅲ 財政計画

‐56‐

3 投資内容

計画期間の主な投資内容としては、老朽管

更新事業のほか、災害時の優先給水施設であ

る病院等までの耐震化を行う重要給水施設

配水管整備事業、水の相互融通を図るための

基幹浄水場連絡管整備事業となります。

投資額には、施設・設備の投資の平準化や、

防災・安全対策に対する取組を反映していま

す。

4 投資以外の経費

投資以外の経費は、事業活動に必要な経費として、検針や料金徴収に係る委託料、配水管

等の修繕費、動力費、薬品費及び職員給与費等を見込んでいますが、投資経費と同様に徹底

した効率化と適正化を図ることとして算出しています。

5 経営状況

中期経営計画の5年間については、水道料金収入が減少する一方で、施設の耐震化や管路

の耐震化(更新)、連絡管の整備や水道施設の設備更新等に多くの経費が必要となりますが、

施設の効率運用や、本市独自の更新基準による投資の平準化等のさまざまな経営効率化策を

実施することにより、現行の水道料金水準を維持したまま財源を確保し、予定する取組に対

し継続的に投資することが可能となっています。

今後も安定した事業運営を行うため、アセットマネジメントの精度を高めながら、更新事

業を調整するとともに、さまざまな財源確保策等について検討していくことが必要です。

《今後の検討課題》

区 分 今後の検討課題

施設・設備の合理化

(スペックダウン)

更新需要のさらなる圧縮と適正規模による更新を行うため、水需要の減少に応じて

水道管の口径や配水池の容量を決定していくための取組を推進します。

水道料金

近年及び今後の水需要の構造の大幅な変化に柔軟に対応するため、水道料金体

系のあり方や、水道料金制度全体のあり方について、段階を踏んで長期的に見直し

の検討をしていく必要があります。

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38

(億円) 建設改良費

Page 62: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅲ 財政計画

‐57‐

6 財政収支計画

平成 29年度から平成 33年度までの財政収支計画は、次のとおりです。

⑴ 収益的収支(税抜) 【上水道+簡易水道、単位:億円】

年度

区分 29 年度 30 年度 31 年度 32 年度 33 年度 合 計

収益的収入

1 営業収益 87.7 86.9 86.1 85.6 84.8 431.1

⑴ 料金収入 82.9 82.6 82.2 82.0 81.3 411.0

⑵ 給水加入金等 4.8 4.3 3.9 3.6 3.5 20.1

2 営業外収益 8.0 8.0 8.1 8.0 8.0 40.1

⑴ 他会計繰入金 1.3 1.3 1.4 1.4 1.4 6.8

⑵ 長期前受金戻入等 6.7 6.7 6.7 6.6 6.6 33.3

計(A) 95.7 94.9 94.2 93.6 92.8 471.2

収益的支出

1 営業費用 71.2 73.1 74.6 76.0 77.1 372.0

⑴ 職員給与費 9.7 9.7 9.7 9.7 9.7 48.5

⑵ 経費 27.4 27.6 27.6 27.6 27.6 137.8

⑶ 減価償却費 34.1 35.8 37.3 38.7 39.8 185.7

2 営業外費用 5.9 5.8 5.8 5.9 5.8 29.2

⑴ 支払利息等 5.9 5.8 5.8 5.9 5.8 29.2

計(B) 77.1 78.9 80.4 81.9 82.9 401.2

当年度純利益 (A)-(B) 18.6 16.0 13.8 11.7 9.9 70.0

⑵ 資本的収支(税込) 【上水道+簡易水道、単位:億円】

年度

区分 29 年度 30 年度 31 年度 32 年度 33 年度 合 計

資本的収入

1 企業債 13.9 21.3 22.1 20.8 20.5 98.6

2 他会計繰入金 5.4 5.7 8.0 5.2 4.3 28.6

3 国(県)補助金 1.0 0.5 1.1 0.8 0.6 4.0

4 工事負担金等 2.4 1.2 1.2 1.2 1.2 7.2

計(A) 22.7 28.7 32.4 28.0 26.6 138.4

資本的支出

1 建設改良費 61.1 61.9 66.8 61.3 59.6 310.7

2 企業債償還金 20.5 20.7 21.5 22.4 23.3 108.4

計(B) 81.6 82.6 88.3 83.7 82.9 419.1

収支不足額 (C)=(B)-(A) 58.9 53.9 55.9 55.7 56.3 280.7

補填財源

1 損益勘定留保資金 61.1 60.9 63.6 64.5 64.2 314.3

2 利益剰余金処分額 22.4 18.6 16.0 13.8 11.7 82.5

3 その他 22.6 20.2 19.3 16.9 15.1 94.1

計(D) 106.1 99.7 98.9 95.2 91.0 490.9

資金残高 (D)-(C) 47.2 45.8 43.0 39.5 34.7 -

企業債残高 272.0 272.6 273.2 271.6 268.8 -

※ 「6 財政収支計画」及び「7 平成 34年度以降の財政収支見通し(参考)」は、決算見込

ベースで算出しています。

Page 63: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅲ 財政計画

‐58‐

7 平成 34年度以降の財政収支見通し(参考)

計画策定時点での平成 34 年度以降の財政収支見通しは、次のとおりです。

⑴ 収益的収支(税抜) 【上水道+簡易水道、単位:億円】

年度

区分 34 年度 35 年度 36 年度 37 年度 38 年度 合 計

収益的収入

1 営業収益 84.1 83.3 82.8 81.9 81.1 413.2

⑴ 料金収入 80.7 80.0 79.6 78.8 78.1 397.2

⑵ 給水加入金等 3.4 3.3 3.2 3.1 3.0 16.0

2 営業外収益 7.9 8.0 7.9 7.9 7.9 39.6

⑴ 他会計繰入金 1.4 1.5 1.5 1.5 1.6 7.5

⑵ 長期前受金戻入等 6.5 6.5 6.4 6.4 6.3 32.1

計(A) 92.0 91.3 90.7 89.8 89.0 452.8

収益的支出

1 営業費用 79.2 79.7 80.2 80.7 81.3 401.1

⑴ 職員給与費 9.7 9.7 9.7 9.7 9.7 48.5

⑵ 経費 27.6 27.6 27.6 27.6 27.6 138.0

⑶ 減価償却費 41.9 42.4 42.9 43.4 44.0 214.6

2 営業外費用 5.8 5.8 5.7 5.7 5.8 28.8

⑴ 支払利息等 5.8 5.8 5.7 5.7 5.8 28.8

計(B) 85.0 85.5 85.9 86.4 87.1 429.9

当年度純利益 (A)-(B) 7.0 5.8 4.8 3.4 1.9 22.9

⑵ 資本的収支(税込) 【上水道+簡易水道、単位:億円】

年度

区分 34 年度 35 年度 36 年度 37 年度 38 年度 合 計

資本的収入

1 企業債 21.5 22.1 22.2 21.4 20.7 107.9

2 他会計繰入金 5.2 6.7 7.0 5.1 3.1 27.1

3 国(県)補助金 0.5 0.9 0.9 0.7 0.2 3.2

4 工事負担金等 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 6.0

計(A) 28.4 30.9 31.3 28.4 25.2 144.2

資本的支出

1 建設改良費 61.1 64.2 65.2 61.7 57.8 310.0

2 企業債償還金 23.6 24.0 23.3 22.2 21.0 114.1

計(B) 84.7 88.2 88.5 83.9 78.8 424.1

収支不足額 (C)=(B)-(A) 56.3 57.3 57.2 55.5 53.6 279.9

補填財源

1 損益勘定留保資金 63.4 61.4 56.2 50.4 45.9 277.3

2 利益剰余金処分額 9.9 7.0 5.8 4.8 3.4 30.9

3 その他 12.3 11.2 10.2 8.7 7.1 49.5

計(D) 85.6 79.6 72.2 63.9 56.4 357.7

資金残高 (D)-(C) 29.3 22.3 15.0 8.4 2.8 -

企業債残高 266.7 264.8 263.7 262.9 262.6 -

※ 平成 34年度以降の財政収支計画は、中期経営計画の進捗状況等を踏まえて平成 33 年度に策

定することを予定しています。

Page 64: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

「中期経営計画」 Ⅳ 推進体制

‐59‐

Ⅳ 推進体制

本市では、中期経営計画に掲げる取組をより効果的に推進するために、事業の進行管理と

事業効果の点検・評価を行い、改善策等を翌年度以降の計画や予算に反映させることで、P

DCAサイクルを確立させていきます。

事業の実施状況や経営状況については、経営の透明性の向上を図ることを目的として、さ

まざまな手法でお客さまに公表するとともに、市水道事業経営審議会に報告し、ご意見をい

ただきながら今後の事業運営に反映していきます。

《本市事業評価システムの概要》

Plan

事業計画(目標設定)

Do

事業実施

Check

事業評価

お客さま

Action ・ 毎年度、事業評価等を通じ

て、平成 33年度の目標が達

成できるように管理する。

・ 既計画の見直しを検討し、

平成 34年度以降の中期経営

計画に反映する。

いわき市水道事業経営審議会

報告 ご意見

事業評価の公表

ご意見・ご要望

Page 65: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

‐60‐

< 参 考 資 料 >

1 水道システム再構築計画の概要............................................61

2 水道施設更新計画の概要..................................................62

3 水道施設耐震化計画の概要................................................64

4 水安全計画の概要........................................................66

5 総務省の「経営比較分析表」を活用した本市の現状分析......................69

Page 66: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐61‐

1 水道システム再構築計画の概要

本市水道事業は、昭和 41 年のいわき市発足に伴い旧市町村から引き継がれたもので、その

後、市勢の発展と普及率の向上、給水量の増加に対応するため、三期にわたる拡張を経て現

在に至っていること、さらには、給水区域が広大で起伏に富む地形とも相まって、他の事業

体と比較すると水道施設を多く保有しています。

しかし、給水人口や水需要が今後とも減少傾向で推移していく見込みの中で、今後の水道

システムを構築するに当たっては、将来の水需要の減少に的確に対応するとともに、平常時

はもとより災害時においても、効率的かつ確実で安定した配水運用が可能となる施設形態や

規模を明確に定め、過剰な施設の統廃合やダウンサイジングを進める必要があります。

このことから、本市水道事業では、時代の変化に対応した水道システムの再構築を推進し

ていくため、40年先の将来を見据えて、平成 27年3月に「水道システム再構築計画」を策

定しました。

ただし、施設の再編は、水需要見込みに基づき行うことから、その過程において乖離が生

じた場合は、統廃合の時期を早めるなどの段階的な対策を講じる必要があります。

時代の変化に対応した水道システムが構築できるよう、日々計画の進行管理を行うととも

に、適宜計画の見直しを行い、長期的視点を踏まえた水道施設整備のあり方を検討していき

ます。

1 基幹浄水場連絡管整備事業の推進

基幹浄水場連絡管整備事業は、各基幹浄水場を連絡管で接続し、浄水場間で水の相互融

通を可能とすることにより、平常時はもとより災害発生時においても安定給水を確保する

ことを目的として、平成 15年度から実施してきた事業です。

当該事業は、安定給水の確保とあわせて、より効率的な水道システムの構築を事業内容

としていることから、水道システム再構築計画においては、計画実現の中心的な手法に位

置付けています。

2 水道施設のダウンサイジング

水需要の減少に対応するため、過剰となる施設は廃止することとしています。また、存

続させる施設については、更新を行う際に施設の規模を縮小することとしています。

3 将来に向けた浄水施設能力のダウンサイジングの一案(平成 48年度以降)

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

0

50

100

150

200

250

H27 H32 H37 H42 H47 H52 H57 H62

施設の稼働率(%) 一日給水量、施設能力

(千㎥)

年度

最大稼働率 施設利用率 浄水施設能力

一日最大給水量 一日平均給水量

浄水場更新時に

ダウンサイジング

再構築計画の目標年次にあわせたダウンサイジング

Page 67: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐62‐

2 水道施設更新計画の概要

本市水道事業では、水道施設が今後大量に更新時期を迎えることや、人口減少に伴う水需

要の減少に備えるため、効率的で効果的な水道施設の更新を目的として、平成 27年3月に「水

道施設更新計画」を策定しました。

この計画では、更新する施設の健全度や重要度に基づく更新の優先順位、水需要の減少に

応じた適正規模による更新、法定耐用年数にこだわらない実使用年数を踏まえた本市独自の

更新基準等を設定しています。

1 対象施設

水道施設(取水・導水・浄水・送水・配水施設)の構造物及び機械・電気設備、管路

2 施設更新の基本事項

⑴ 構造物

・ 耐震性が乏しいと判断した構造物(昭和 54 年以前に建設されたもの)については、

耐震補強で一定の延命化(15年と想定)を図り、法定耐用年数に 15年を加えた年数

を実使用年数と設定し、その年数を迎えた時点で更新する。

・ 耐震補強を行わない施設は、基本的には法定耐用年数と同様の年数で更新する。

⑵ 機械・電気設備

・ 定期点検やオーバーホール等の適正な維持管理により延命化を図る。

⑶ 管路

・ 技術の向上に伴う使用資材や施工方法の見直し等を踏まえ、管路の実使用年数を 50

年グループ、60年グループ、80年グループに分類する。

実使用年数 対象管路 耐震性や耐腐食性

50年グループ 昭和 59 年度までに布設された管路 低い

60年グループ 昭和 60 年度から平成9年度までに布設された管路

80年グループ 平成 10 年度以降に布設された管路 高い

・ 重要度の高い順から、次のとおり分類する。

分 類

導水管、送水管、配水管(φ350㎜以上)

配水管(φ200㎜以上φ350㎜未満)

配水管(φ200㎜未満)

強度不足

耐震補強

(想定 15年延命化)

法定耐用年数+15年で更新

Page 68: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐63‐

・ 上記を踏まえ、管路更新に際しての優先順位は、次のとおりとする。

・ 耐震管と耐震適合管については、当面の更新計画から除外する。

布 設 布 設 布 設更 新 更 新 更 新

優先6 優先5 優先4

優先5 優先4 優先3

優先4 優先3 優先2

優先3 優先2 優先1

予定更新イメージ

S60 H10 H27 H57 H76 H90

実使用年数

80 年グループ

次期計画対応

実使用年数

50 年グループ

実使用年数

60 年グループ

健全度

○管路を重要度と物理的特性(老朽度など)で評価する。

○重要度が高く、老朽度が高い管路を優先的に更新する。

○特に、配水幹線や重要給水施設配水管については、耐震性の確保のうえから最優先とする。

重要度 高

Page 69: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐64‐

3 水道施設耐震化計画の概要

本市水道事業では、地震に強く、かつ被害が発生しても柔軟に対応できる強靭な水道施設

を構築し、災害時においても確実な給水の確保を図るため、平成 27年3月に「水道施設耐震

化計画」を策定しました。

この計画では、施設の重要度に応じた施設耐震化の方針や施策、さらには震災が発生した

場合の応急対策の方針や施策を示し、水道施設の耐震化率の底上げや応急給水体制・応急復

旧体制の強化を図っていくこととしています。

1 耐震化の方法

⑴ 管 路 … 管路更新時に耐震化工事を施工

⑵ 構造物 … 耐震補強の単独工事又は施設の更新時に耐震構造で改築

2 施設耐震化の基本方針

⑴ 想定地震

東北地方太平洋沖等を震源とする震度6強の地震を想定して耐震化対策を行う。

同地震の震度5弱~5強を「レベル1地震動」、震度6弱~7を「レベル2地震動」と

する。

⑵ 管路

・重要度が高いもの

レベル2地震動に耐える管種(離脱防止機構付継手のダクタイル耐震管等)で更新

〈平常時〉 〈地震時〉

・重要度が低いもの(配水支管)

レベル1地震動に耐える管種で更新

⑶ 構造物

・重要度が高いもの(取水施設、導水施設、浄水施設、送水施設、管理棟等)

レベル1地震動時 レベル2地震動時

被害なし

ひび割れが生じても

漏水しない程度の耐

震補強又は建直し

地震により大き

な力が加わる

・地震による揺れに対し伸

縮・屈曲するとともに、突部

がロックリングに当たり、水

道管の抜け出しを防ぎます

Page 70: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐65‐

・重要度が低いもの(汚泥の乾燥施設、流量計室など)

レベル1地震動時 レベル2地震動時

被害が少なく重大な

影響がない

ひび割れや軽微な漏

水(速やかに復旧が

可能なもの)で済む

程度の耐震補強又は

建直し

3 応急対策の基本方針

⑴ 応急給水体制

応急給水は、地震発生から3日間は、常時飲料水が確保されている耐震性貯水槽等の

拠点給水施設の整備により確保することとし、応急復旧期間の目標である4週間の応急

給水の目標を次のとおり定めています。

地震発生からの日数 目標水量 市民の水運搬距離 主な給水方法

地震発生~3日 3 ℓ/人・日 概ね 1㎞以内 拠点給水、運搬給水

7日 10 ℓ/人・日 概ね 250m以内 拠点給水、運搬給水

14 日 50~100 ℓ/人・日 概ね 100m以内 管路上の仮設給水栓

28 日 150~200 ℓ/人・日 概ね 100m以内 管路上の仮設給水栓

⑵ 応急復旧体制

応急復旧期間は、被災者の不安の軽減、生活の安定を考慮し、東日本大震災の 40日間

よりも早い4週間以内を目標とし、地震発生から2週間以内に浄水施設や重要給水施設

配水管等の重要度の高い施設を復旧させ、復旧状況に応じた仮設給水栓による応急給水

が行えるよう配慮するとともに、後の2週間で配水支管も含めた全管路を復旧すること

とします。

⑶ 緊急遮断弁の整備

東日本大震災において管路等に漏水が多発したことから、主要な配水池は地震発生か

ら約2時間以内で貯留量がゼロとなり、市内全域で断水することとなりました。このた

め、配水池の貯留水を利用した応急給水及び応急復旧作業ができませんでした。

震災時の応急給水状況等を踏まえ、緊急遮断弁※1を計画的に整備することとします。

緊急時

漏水

漏水による異常流量や地震動等を感知

緊急遮断弁が自動で閉まる

貯留水を確保

※1【緊急遮断弁(再掲)】地震や管路の破裂等の異常を検知するとロックやクラッチが解除され、自動的に自重

や重錘又は油圧や圧縮空気を利用して緊急閉止できる機能を持ったバルブをいう。

Page 71: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐66‐

4 水安全計画の概要

本市水道事業では、安全で良質な水道水を供給するために、原水から蛇口までの各段階に

おいて水質管理に万全を期してきましたが、近年の異常気象に起因する急激な高濁水の発生、

温暖化等に伴う河川水の異臭発生、交通事故等による油脂類の河川流入、さらには水道施設

の老朽化に伴う水質事故など、水道水に対する安全性の更なる対応の必要性が高まっている

現状となっています。

これらの事象に円滑に対応するため、厚生労働省が作成した「水安全計画ガイドライン」

に基づき、平成 27年3月に「いわき市水道局水安全計画」を策定しました。

水安全計画とは、食品を製造する際の工程において安全を確保する手法((HACCP :「ハサ

ップ」と呼ばれています。)を用いたもので、材料の搬入から製品の出荷までにおける各工程

において、発生すると想定される危害要因(Hazard)を分析(Analysis)するとともに、そ

の危害に対し安全を確保するための重要管理点を抽出し、その管理点における管理基準と対

応措置を設定して連続的な監視を行うことで、リスクの低減を図り食品の安全を確保する方

法であり、これを水源(材料の搬入)から給水(製品の出荷)までに応用したものとなりま

す。

この水安全計画に基づくリスク低減対策を講じることで、水道水の安全性を高め、お客さ

まが安心しておいしく飲める水道水を安定的に供給していきます。

1 危害の抽出

水安全計画では、水源から蛇口に至るまでのあらゆる過程における水道水質に影響する

危害を抽出することが重要となりますので、危害の抽出に当たっては、その発生場所とそ

の原因に着目して抽出しました。

⑴ 危害の発生箇所 … 危害の発生箇所を水源から給水に至る水の流れの順に分類

分 類 説 明

流 域 行政区域内外を問わず、水源河川の流域で発生

水 源 水源河川内で発生

取水・導水 水道施設の内、取水及び導水施設で発生

浄水・送水 水道施設の内、浄水及び送水施設で発生

配 水 水道施設の内、配水施設で発生

給 水 水道使用者の給水装置で発生

⑵ 危害の原因 … 4つに分類

原 因 説 明

自然由来 自然現象、気象現象又は鳥獣によるものとし、畜産業等の農業に起因する

ものを含む

人為由来 過失の有無を問わず、人為的な事件又は事故によるもの

老朽化由来 水道施設の老朽化によるもの

管理由来 水道施設の管理者による不手際又は管理不備によるもの

Page 72: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐67‐

⑶ 危害の抽出 … 危害の発生場所と原因に着目して 311事項を抽出

発生箇所

(抽出した危害数)

流域(25)

水源(7)

取水・導水(61)

浄水・送水(108)

配水(80)

給水(30)

⑷ 危害の集約 … 抽出した 311項目の危害を対応内容により 25項目に集約し、それぞ

れに管理対応マニュアルを想定

施設と№ 集約の表題(管理対応マニュアルの表題)

取水・導水施設(5)

1 原水の濁度の異常

2 渇水、事故停電又は施設の故障

3 水源での魚類等の異常

4 水源での油類等有害物質(犯罪行為を含む。)の混入

5 原水のpH値の異常

浄水・送水施設(9)

1 沈殿水濁度の異常

2 ろ過水濁度の異常

3 ろ過水の臭気の異常

4 浄水池残留塩素の異常

5 浄水又は配水での消毒副生成物の異常

6 原水、浄水又は配水でのクリプトスポリジウム等検出

7 原水、浄水又は配水での放射性物質の検出

8 原水、浄水又は配水での農薬類その他の有害物質の検出

9 停電又は施設の故障

配水施設(6)

1 配水池・ポンプ場又は配水管での有害物質の検出

2 配水池・ポンプ場又は配水管での異物等の検出

3 配水池・ポンプ場又は配水管での異臭味の検出

4 配水池・ポンプ場又は配水管での濁度等の異常

5 配水池・ポンプ場又は配水管での残留塩素の異常

6 停電又は施設の故障

給水装置(9)

1 給水箇所での異物等の検出

2 給水箇所での異臭味の検出

3 給水箇所での濁度の異常

4 給水箇所での残留塩素の異常

5 給水箇所での停電又は施設の故障

計 25 項目

⑸ 管理対応マニュアルの作成

危害を直接的に除去又は軽減する「処理」を対象に、集約した危害ごとに「管理対応

マニュアル」を作成しています。

(例) 発生箇所 ・・・・・・流域

種別 ・・・・・・・・人為由来(鉱工業)

抽出した危害・・・・・濁水流出(白濁)

主な水質項目ほか・・・濁度、色度

Page 73: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐68‐

2 リスクレベルの設定

⑴ リスクの取扱い

危害の想定を、災害的自然現象、人為的な犯罪(事件)、不慮の事故又は管理不備とし

たうえで、管理措置である管理対応マニュアルは、水道事業における被害を給水の制限

(断水)と想定しました。

⑵ リスクレベルの想定

本市の水道施設の特質から、被害の大きさを給水制限(断水)に対応する応急給水の

区域(範囲)によるものとしました。

また、応急給水は、市街地と郊外とでは、その対応方法が異なるため、断水戸数では

なく、対応に必要な人員の程度とし、その段階(レベル)は、「管理対応レベル」と称し

て設定することとしました。

⑶ 管理対応レベルの設定

管理対応レベルは、断水に対応する応急給水に必要な人員により設定しています。

原 因 説 明

レベル1

(危害を確認して

も浄水場での対応

で配水調整が可能

な段階)

○危害の発生を覚知(通常の状態の逸脱)した状態

○危害原因箇所の調査を開始し、調査の結果、取水制限を要しても水源の

調整により送水が可能な状態

○送水量の不足が生じても、浄水場での操作により配水調整が可能(断水

箇所が発生しない)な状態

○概ね浄水場管理室又は係の対応となり、局内の対応となっても口頭の連

絡調整で危害が除去又は軽減できる状態

レベル2

(配水調整の為に

職員が出動する段

階)

○危害の継続に対して、工務課若しくは南部工事事務所によるバルブ操作

により、配水調整が可能な状態

○概ね局内の連絡調整で危害が除去又は軽減できる状態

レベル3

(断水発生により

給水車が出動する

段階)

○断水箇所の発生が予測され、給水車を出動する状態

○水道局職員での対応が可能な断水戸数の状態

○断水戸数が 100 戸を超える場合は、市・県・国への報告となり、本市の

内部で事務処理が可能な状態

レベル4

(応援給水活動段

階)

○断水の継続又は拡大が予測され、市長部局へ給水活動の応援を求める状

○復旧に対して災害応援協定等による資材の協力のみを受ける状態

レベル5

(応援復旧活動段

階)

○断水の継続又は拡大が予測され、(公社)日本水道協会へ給水活動又は復

旧作業の応援を求める状態

・25 項目の管理対応マニュ

アル作成

・抽出した危害 311 項目を 25 項目に集約

施設名 No. 集約の表題

取水・導水 1 原水の濁度の異常

浄水・送水

配水

給水装置 5 給水箇所での停電又は施設の故障

・各リスクの対応方法の決定 レベル 対応の段階 リスクの状態

レベル 1 浄水場で対応可能 ○○な状態

レベル 5 応援復旧活動段階 □□な状態

給水装置 5

原水の濁度の異常

取水 2

原水の濁度の異常

車両事故による

ガソリン流出

浄水場停電

送水ポンプ故障(停止)

配水池流出弁作動不良

危害 311 項目

取水 1

原水の濁度の異常

レベル 1 ○○する

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5 ××する

リスクの分析と評価 対策の準備 各過程での

リスクの抽出

残留塩素不足

Page 74: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐69‐

5 総務省の「経営比較分析表」を活用した本市の現状分析

業務名 業種名 事業名 類似団体区分

地方公営企業法の全部を適用 水道事業 末端給水事業(直接使用者へ給水) 都道府県・指定都市を除く 30 万人以上

資金不足比率 自己資本構成比率 普及率 1か月 20m3当たり家庭料金

- 61.74% 97.18% 3,661円

本市の水道事業経営の現状と課題を的確に把握するため、総務省通知「経営比較分析表」に基づく経営指標を

⑴ 経営の健全性・効率性

⑵ 老朽化の状況

【算出式】 経常収益÷経常費用×100[%]

本市では経常収支比率は黒字を示す 100%以上を維持しており、良

好です。平成 23 年度は東日本大震災の影響により減少しましたが、分

析対象期間(平成 22~26 年度)を通じて類似団体平均値よりも高い状況

です。(H27 年度いわき市 129.6%)

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 126.03% 109.41% 128.20% 130.79% 132.21%

平均値 109.92% 107.75% 107.94% 108.98% 114.44%

0.00

20.00

40.00

60.00

80.00

100.00

120.00

140.00①経常収支比率 H26全国平均値

【 113.03% 】

H26全国平均値【 0.81% 】

【算出式】 累積欠損金÷(営業収益―受託工事収益)×100[%]

本市では累積欠損金は発生していません(分析対象期間を通じ

0%)。

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00%

平均値 0.68% 0.58% 0.45% 0.34% 0.00%

0.00

0.10

0.20

0.30

0.40

0.50

0.60

0.70

0.80②累積欠損金比率 H26全国平均値

【 0.81% 】

【算出式】 供給単価÷給水原価×100[%]

料金回収率は給水原価に対する供給単価の割合を示しており、

100%を下回る場合は給水に係る費用が料金収入以外の収入でまかな

われていることを意味します。本市では 100%以上を維持しており、水道

料金水準は適切といえます。平成 23 年度は震災の影響により一時的に

減少しましたが、期間を通じて類似団体平均値よりも高い状況です。

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 119.28% 102.57% 119.44% 120.33% 125.32%

平均値 102.80% 100.35% 100.42% 100.77% 107.74%

0.00

20.00

40.00

60.00

80.00

100.00

120.00

140.00 ⑤料金回収率 H26全国平均値

【 104.60% 】

【算出式】 {(経常費用―受託工事費等)―長期前受金戻入)}÷年間

総有収水量×100[%]

有収水量1㎥当たりの費用を表しています。本市は、中小河川への依

存や広域で起伏に富む地勢から、多くの水道施設を抱えているため、類

似団体平均値よりも高い状況です。

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 182.53円 206.35円 183.11円 181.97円 175.57円

平均値 164.81円 166.95円 166.61円 165.74円 154.33円

0.00

50.00

100.00

150.00

200.00

250.00 ⑥給水原価 H26全国平均値

【 164.21円 】

【算出式】 有形固定資産減価償却累計額÷帳簿原価×100[%]

有形固定資産減価償却率は償却対象資産の老朽化度合を示してい

ます。本市では、有形固定資産全体の老朽化度合は類似団体平均値よ

りも低い状況ですが、資産の多くを占める管路の減価償却が進み、その

差は年々縮小しています。

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 36.36% 37.83% 38.96% 40.15% 45.42%

平均値 42.32% 43.40% 44.41% 45.38% 47.70%

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00 ①有形固定資産減価償却率 H26全国平均値

【 46.31% 】

【算出式】 法定耐用年数を経過した管路延長÷管路延長×100[%]

管路経年化率は管路延長から見た管路の老朽化度合を示していま

す。本市では、管路の老朽化度合は、類似団体平均値より低い状況でし

たが、平成 25 年度からは同平均値よりも高い状況になり、その差は広が

りつつあります。(H27 年度いわき市 18.1%)

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 8.32% 9.98% 11.58% 13.86% 15.93%

平均値 10.07% 10.94% 12.28% 13.33% 14.54%

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00 ②管路経年化率 H26全国平均値

【 12.42% 】

Page 75: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに

<参考資料>

‐70‐

(平成 26年度末現在)

人口 面積 人口密度

333,802人 1,232.02km2 270.94人/km2

現在給水人口 給水区域面積 給水人口密度

315,224人 466.03km2 676.40人/km2

活用し、過去 5年間(平成 22~26年度)について、他の事業体との比較など、客観的な分析を行ったものです。

⑶ 分析の全体総括

グラフ凡例

■ いわき市

- 類似団体(47 事業体)平均値

【】 平成 26 年度全国平均値

○ 経営の健全性・効率性について 「経常収支比率」は類似団体平均値を上回っていますが、同平均値を上

回る「企業債残高対給水収益比率」を改善するため、企業債残高を縮減し

ていきます。また、「施設利用率」や「有収率」は同平均値を下回っているた

め、施設のダウンサイジング等の対策を進め、給水原価の上昇を抑えていき

ます。

○ 老朽化の状況について 「有形固定資産減価償却率」は類似団体平均値を下回っているものの、

「管路経年化率」は逆に高い状況にあります。このため、東日本大震災の復

旧関連事業に優先的に取り組んでいることから、同平均値よりも低い状況に

ある「管路更新率」について、可能な限り引き上げていきます。

○ まとめ

広域で起伏に富む地勢、水道水源の中小河川への依存など、効率

的な事業運営が難しい中、昭和 41 年のいわき市誕生後、昭和 44 年に

事業創設の認可を受け、水道施設の統合や拡張事業を実施してきまし

たが、今後、これらの更新需要が増大してきます。このため、アセットマ

ネジメントの取組として、施設の「再構築」「更新」「耐震化」の長期(40

年)計画を策定したところであり、平成 28 年度には、具体の事務事業を

盛り込んだ 10 年間の経営プラン(平成 29~38 年度)を策定し、対策を

講じていきます。

【算出式】 流動資産÷流動負債×100[%]

流動比率は短期の債務に対する支払い能力を表しており、本市は

100%以上を維持しており良好です。類似団体平均値と同様に 400%を

超える程度で推移してきましたが、平成 26 年度は会計制度改正(1年以

内の企業債償還金が流動負債とされたこと)により、ほぼ半減していま

す。

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 440.82% 630.95% 433.10% 392.91% 206.23%

平均値 485.84% 487.15% 475.07% 473.46% 240.81%

0.00

100.00

200.00

300.00

400.00

500.00

600.00

700.00③流動比率

H26全国平均値【 264.16% 】

【算出式】 企業債残高÷給水収益×100[%]

給水収益に対する企業債残高の規模を表し、健全性を判断する指標

です。本市は企業債残高の縮減に努めており、震災により給水収益が減

少した平成 23 年度を除き、数値は減少を続けていますが、類似団体平

均値より、なお高い状況です。(H27 年度いわき市 349.4%)

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 436.97% 471.92% 401.61% 387.15% 369.29%

平均値 306.12% 304.97% 296.50% 285.77% 283.10%

0.00

100.00

200.00

300.00

400.00

500.00 ④企業債残高対給水収益比率 H26全国平均値

【 283.72% 】

【算出式】 一日平均配水量÷一日平均配水能力×100[%]

施設利用率は配水能力に対する配水実績の割合であり、施設の利用

状況や適正規模を判断する指標です。本市は類似団体平均値よりも低

い状況にありますが、平成 23 年度は震災による漏水、その後は原子力

災害による避難者の流入に伴う使用量の増や小規模浄水施設の廃止な

どがあり、震災前よりも高い水準にあります。

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 56.57% 59.90% 58.58% 58.11% 59.07%

平均値 65.51% 64.66% 64.09% 63.91% 63.25%

52.00

54.00

56.00

58.00

60.00

62.00

64.00

66.00

68.00 ⑦施設利用率 H26全国平均値

【 59.80% 】

【算出式】 年間総有収水量÷年間総配水量×100[%]

有収率は 100%に近いほど施設の稼働が収益につながっていることを

示しています。本市では 毎年、有収率を上げるための漏水対策に取り

組んできましたが、平成 23 年度は震災の影響により 75%程度まで下がり

ました。その後、対策を強化していますが、震災前の水準には戻ってい

ない状況です。(H27 年度いわき市 85.2%)

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 88.89% 75.87% 84.65% 85.03% 85.15%

平均値 91.27% 90.63% 91.19% 91.45% 91.07%

0.00

20.00

40.00

60.00

80.00

100.00 ⑧有収率 H26全国平均値

【 89.78% 】

【算出式】 当該年度に更新した管路延長÷管路延長×100[%]

管路更新率は管路の更新のペースを示しています。本市では、類似

団体平均値よりも低い状況が続いています。更新率を上げる必要があり

ますが、震災に伴う復旧・復興関連事業を優先させていることから、震災

後も低い数値で推移している現状にあります。(H27 年度いわき市

0.73%)

H22 H23 H24 H25 H26

いわき市 0.33% 0.12% 0.41% 0.32% 0.49%

平均値 0.72% 0.80% 0.74% 0.76% 0.69%

0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00 ③管路更新率 H26全国平均値

【 0.78% 】

Page 76: (案) 新・いわき市水道事業経営プラン - Iwaki...新・いわき市水道事業経営プランの策定に当たって 本市の水道は、大正10 年に旧平町で通水を開始したことに