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株式会社アドバンテスト 100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目62新丸の内センタービルディング https://www.advantest.com/ja/ Integrated Annual Report 2019

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Page 1: Integrated Annual Report 2019 - Advantest...2019 米国 Astronics 社のシステムレベルテスト事業を譲受 アドバンテストは創業以来、「計測」を事業の軸とし、

株式会社アドバンテスト〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目6番2号新丸の内センタービルディングhttps://www.advantest.com/ja/

Integrated Annual Report2019

Page 2: Integrated Annual Report 2019 - Advantest...2019 米国 Astronics 社のシステムレベルテスト事業を譲受 アドバンテストは創業以来、「計測」を事業の軸とし、

ADVANTEST CORPORATION

見通しに関する注意事項本冊子には、当社の現在の計画、見積もり、戦略、確信に基づく見通しについての記述がありますが、歴史的な事実でないものは、全て将来の業績に関わる見通しです。これらは、本冊子の発行時点で入手可能な情報から得られた当社の経営陣の判断および仮説に基づいています。当社の主要事業である半導体テストシステム事業には変動が発生します。また、実際の業績に影響を与えうる重要な要素としては、経済の動向、急激な為替相場の変動、競合の激化ならびに災害のリスクなどがあります。これらのリスクと不確実性のために、将来の当社の業績は、本冊子に記述された内容と大きく異なる可能性があります。従って、本冊子で当社が設定した目標は、全て実現することを保証しているものではありません。

報告期間・範囲報告対象期間は、2018年度(2018年4月1日~2019年3月31日)です。ただし、必要に応じて当期間の前後についても言及しています。データの集計範囲(バウンダリー)は、特に記載しているものを除いて、全て連結決算対象範囲です。

CONTENTS

Introduction03 The Advantest Way

05 アドバンテスト 65年のあゆみ

07 連結財務・非財務ハイライト

Overview09 社長メッセージ

15 ビジネスモデル顧客と社会に貢献を続けるアドバンテストのビジネスプロセス

17 ビジネスレビュー

21 製品ポートフォリオ

Strategy23 私たちの市場とビジネス機会

27 中長期経営方針の全体像

29 中期経営計画

31 財務戦略 CFOメッセージ

35 戦略特集 1

“Waves”にフォーカスした研究開発

37 戦略特集 2

業界最先端の優秀な人財の育成に向けて

39 リスクマネジメント

Sustainability41 持続可能性を高めるマテリアリティ

43 サステナビリティ目標

45 マテリアリティ・フォーカス 1 環境

47 マテリアリティ・フォーカス 2 社会

49 マテリアリティ・フォーカス 3 ガバナンス

Governance51 コーポレートガバナンス

53 取締役一覧

55 社外取締役メッセージ

57 統治機構

59 役員報酬/実効性評価

Information61 11年間の主要財務・非財務データ

63 グローバル・ネットワーク

65 会社概要/株式情報

私たちが共有し、全てのステークホルダーに対して示していく考え方や行動

The Advantest Way

先端技術を先端で支える最先端の技術開発を通して

社会の発展に貢献していきます

〈Mission, Vision, Core Valuesを支える3つの柱〉

ESG推進によるサステナビリティ 行動指針 本質を究める 行動基準

進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求

Vision~私たちが目指す姿~

Core Values~私たちが大切にする価値~

Mission~私たちの存在意義~

Annual Report 2019 0201

Introduction Overview Strategy Sustainability Governance Information

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ADVANTEST CORPORATION

半導体やエレクトロニクス機器に使われる技術は日々進化しています。それらの品質を確実に保証するため、半導体や

エレクトロニクス機器を試験・計測する技術は、絶えず世の中の技術に先行していなければなりません。

アドバンテストは、創業から今日までの65年間、その時代時代に産業から求められる最先端の計測技術を開発・提供する

ことで、エレクトロニクス製品の品質保証とそれを通じた社会発展に貢献し続けてきました。

一方で、当社の経営を取り巻く環境は常に変化しています。半導体業界の変化や技術の進化スピードは目まぐるしく、

またグローバルな社会課題の解決を目指す動きが加速する中で、企業に求められる期待もまた大きく変化しています。

当社は、こうした社会潮流を踏まえ、あるべき企業理念等について根底から見直しを行い、新たな「The Advantest Way」

として2019年7月より運用開始しました。

この新たな「The Advantest Way」をグローバル5,000名の社員を束ねる礎とし、当社の計測技術に磨きをかけ、それを

活用した製品を提供することで顧客課題を解決し、顧客からさらに必要とされる存在となることを目指します。また当社

製品の広がりを通じて顧客の潜在課題でもある、より安心・安全な社会づくりに貢献し、その結果として、当社の中長期的な

企業価値向上を実現してまいります。

全ての役職員が、社会人として、あるいは企業人として守るべき法律・規範・道徳について、17項目の宣言を行っています。(※詳細は当社ウェブサイトをご参照ください)

INNOVATION:私たちが起こすもの

私たちは、現状に満足せず常に挑戦し続けます。 私たちは、技術の利活用と起業家精神をもって、新たな顧客価値創出に努めます。

NUMBER ONE:私たちが目指すポジション

私たちは、我々の事業領域において、常にリーダーを目指します。 私たちは、業界のトップランナーとして、卓越したスタンダードを確立し続けます。

TRUST:私たちを一つにする礎

私たちは、全てのステークホルダーと共に信頼し合えるパートナーです。 私たちは、互いの能力、想いを認め合います。

EMPOWERMENT:私たちの成長の機会

私たちは、主体性を持って仕事に取り組みます。 アドバンテストの成功は私たち一人ひとりにかかっています。

GLOBAL:私たちが活躍するフィールド

私たちは、絶え間なく変化する世の中に適応し続けます。 私たちは、常に素早く動きます。いつでも、どこでも。

RESPECT:私たちの信条

私たちは、さまざまな文化や慣習を尊重します。 私たちは、企業倫理に反する行為は絶対に行いません。

INCLUSION AND DIVERSITY:私たちの誓い

私たちは、アドバンテストの多様な人材と能力を誇りに思います。 私たちは、多様性を取り入れることで強くなると信じます。

TEAMWORK:私たちの仕事の進め方

私たちは、国や組織を越えたチームワークで、能力を最大限発揮します。 私たちは、お互いに心を開いて切磋琢磨し、お互いの成果をたたえ合います。

YES:私たちの姿勢

私たちは、成果を残したいと思います。成果は、まずは始めてみることからです。 私たちは、「できない」は1つの考え方に過ぎず、想像力を通じて世の中を変えることが「できる」と信じます。

「INTEGRITY」とは、真摯、誠実、高潔を表す言葉です。異なる文化、習慣あるいは意見を受け入れる心であり、グローバルに事業を展開する私たちが持つべきコア・バリューです。INTEGRITYの9つのレターは、以下のバリュー(私たちが大切と考える価値感)の頭字語になっています。

コア・バリュー:「INTEGRITY」3

私たちは、世界中の顧客にご満足いただける製品・サービスを提供するために、たえず自己研鑚に励み、最先端の技術開発を通して社会の発展に貢献していきます。

私たちは、あらゆる事象に対し、表層に現われている現象の「根源にあるものは何か」、そこに「内包される本質は何か」を厳しく追求し、正しいソリューション(解決)を見出すように努めます。

(※中長期経営方針の全体像(p.27)に詳細を載せています)

環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の3視点から、当社ならびに社会の持続的な成長のための取り組みを7つのステートメントに集約したものです。(※詳細は当社ウェブサイトをご参照ください)

経営理念(ミッション):「先端技術を先端で支える」

1 ビジョン:「進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求」

2

4 ESG推進によるサステナビリティ 行動指針:「本質を究める」

5 行動基準6

2

3

4

5

6

The Advantest Way の構造

円錐の上の3つの部分は当社が目指す姿、ありたい姿を示しています。

一方、土台にある3つの部分は上の3つを支える基礎を示しています。

Introduction

The Advantest Way

Annual Report 2019 0403

Introduction Overview Strategy Sustainability Governance Information

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2018(年度)

2010200019901980197019540

1,500

3,000

売上高(億円)

売上高100億円突破

当社売上高の推移

創業2年目 売上高700万円

ITバブル崩壊リーマンショック

いずれも当社最高額当期利益570億円

売上高2,825億円

売上高1,000億円突破

ADVANTEST CORPORATION

1954-1970

1954 「タケダ理研工業株式会社」を従業員4名で創業最初の自社製品は微小電流計

1957 周波数を測定するエレクトロニック・カウンタがヒット商品に

1963 日本初のデジタル電圧計「デジタル・マルチメータ」を発売「デジタルカウンタのタケダ理研」の評判を得る

半導体テスタ市場に挑戦さらなる成長を目指し

1971-1980

1972 国産初の10MHz高速ICテストシステムを発売

1979 世界最高性能の試験周波数100MHz超LSIテスト・システムを発表

1982 米国に現地法人を設立、以降世界各地に拠点を展開

1985 社名を「株式会社アドバンテスト」に変更半導体試験装置市場世界シェア第1位を獲得(VLSIresearch社調べ)

1997,1998

「日経優良企業ランキング」で1位にランキング

2003 日本エンジニアリング社を経営統合

2008 欧州Credence Systems社を買収

2011 半導体試験装置大手Verigy社を買収

2018 中長期経営方針を発表

2019 米国 Astronics 社のシステムレベルテスト事業を譲受

アドバンテストは創業以来、「計測」を事業の軸とし、暮らしの「安心・安全・心地よい」を支えてきました。世界中のお客さまにご満足いただける技術・商品・サービスを提供するために、絶えず自己研鑚に励み、最先端の技術開発を通して社会の発展に貢献してまいります。

東京都板橋区の一角にあった3坪の事務所と4坪の作業場から、アドバンテストの歴史はスタートしました。ニッチ市場に独創的な技術の製品を投入し先行者利益を獲得するという当社のマーケティング戦略と、日本のエレクトロニクス産業の成長が相まって、当社は創業当初から順調に業績を伸ばしました。

半導体産業がまだ黎明期にあった当時、当社は莫大な開発費を投じて半導体試験装置の開発に挑みました。技術的な問題や、経営危機などの困難を何度となく乗り越え、世界最高クラスの性能を持つテスト・システムの開発に成功。国際学会「ITC」で大反響を呼び、以後の事業の成功へとつながりました。

高い技術力に裏打ちされた当社の半導体試験装置は、世界各地のユーザに支持されました。1985年には世界市場シェア第1位を獲得、同年に東京証券取引所第一部に上場しました。1990年代に入ると、パソコンやインターネットの爆発的な普及により、半導体産業も急速に成長。当社も大きく収益を伸ばしました。

設計と製造の分業化をはじめ、半導体産業に大きな構造変化が起こる中、当社はM&Aなどの積極策を次々と実行。2011年には半導体試験装置大手Verigy社を買収し、広範かつ強固な顧客ベースを確立しました。2018年には中長期経営方針を発表し、半導体バリューチェーンでの新たな価値創出を目指します。

1981-2000

そして

業界トップへ

世界へ飛躍

顧客とともに

2001-現在

変革し続ける

を築く事業の礎電子計測技術で

創業当時の写真前列左から2人目が創業者 武田郁夫氏

最初の自社製品「マイクロ・マイクロ・アンメータ」

当社技術フォーラムにLSIテスト・システムを出展(1975年)

試験周波数100MHzのテスト・システム「T3380」 群馬R&Dセンタ開発フロア(1998年) メモリ・テスト・システム「T5581」 SoCテスト・システム

「V93000」Verigy社との共同記者会見

Our history

アドバンテスト 65年のあゆみ

0605 Annual Report 2019

Introduction Overview Strategy Sustainability Governance Information

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ADVANTEST CORPORATION

エネルギー消費原単位改善率(日本)(%)

エネルギーの効率的な利用を推進し、年平均1%のエネルギー原単位改善率を達成することを目指しています。

※ 2012年度実績に対するエネルギー消費原単位改善率

※ 臨時従業員を含む

-13.6

-6

-22.7

-9.5

-19.8

-16.7

-2

20182017201620152014

0

不正行為の摘発件数(件)

特許件数(件)

Highlights in FY2018

連結財務・非財務ハイライト4月1日から始まる各会計年度

KPI 基本的1株当たり当期純利益(EPS)(円)

20182017201620152014

96.15

38.35

81.07101.94

302.35

フリー・キャッシュ・フロー(億円)

20182017201620152014

289259

123

53

232

1株当たり配当金(円)

20182017201620152014

92

3225

2015

研究開発費/設備投資(億円/億円)

20182017201620152014

54 66484042

335379

312313299

売上高(億円)

1,638 1,621 1,559

2,072

2,825

20182017201620152014

営業利益/営業利益率(億円/%)

前期比

+36.3%

2018年度に当社過去最高

企業価値の向上を目指して、多様な人財を継続的に採用しています。

当社は、特許権の効果とその経費を考慮し、事業と連携する適切な特許ポートフォリオの構築を目指した知財活動を進めています。

ステークホルダーの信用・信頼を得るために、不正行為を見過ごさず、社会的責任の遂行に取り組んでいます。

前期比

3.1倍

2018年度に当社過去最高

前期比

+196.6%

堅実に増加

前期比

+13.1%

将来成長の布石拡大

前期比

2.6倍

増収に伴い大幅増益を達成

前期比

+19.8%ポイント

3年連続で2桁ROE達成

前期比

+11.3%

安定したキャッシュの創出

前期比

+187.5%

利益の伸びは株主にも還元

169126 139

245

647

10.311.8

8.97.8

22.9

20182017201620152014

従業員数※(人)

20182017201620152014

2,3682,1682,0632,0632,107

4,9364,7214,5654,6384,744

エネルギーの効率的な利用を推進し、温室効果ガス排出量の削減に努めています。

GHG(スコープ1+スコープ2)CO2排出量(t-CO₂)

20182017201620152014

38,42935,26834,33832,495

34,600

一人当たり平均残業時間(時間/月)

従業員の健康を守り、ワークライフバランスを実現するため、労働時間の適正化に取り組んでいます。

20182017201620152014

15.013.0

9.58.0

12.0

20182017201620152014

2,5312,6672,7432,971

3,201

201820172016201520140

100

1

女性社員比率(%)

誰もが平等に機会を与えられ、いきいきと活躍できる「ジェンダー平等」な企業を目指して取り組んでいます。

20182017201620152014

18.017.616.916.917.3

事業活動を遂行するに当たり、従業員の安全確保と健康保持および意識の向上に向けて取り組んでいます。

20182017201620152014

0.40.4

0.0

0.4

0.2

労働災害発生率(日本)(度数率)

総資産/株主資本/ROE(億円/億円/%)

20182017201620152014

35.31,987

3,046

15.514.06.9

18.5

1,2461,0959361,018

2,5462,316

2,1052,332

当期利益/当期利益率(億円/%)

570

181142

67

168

8.79.1

4.1

10.2

20.2

20182017201620152014

財務ハイライト 非財務ハイライト

■ ■ 研究開発費 ■ ■ 設備投資

■ ■ 総資産 ■ ■ 株主資本  ROE■ ■ 当期利益  当期利益率

■ ■ 営業利益  営業利益率■ ■ 売上高

■ ■ 基本的1株当たり当期純利益(EPS) ■ ■ フリー・キャッシュ・フロー

■ ■ 1株当たり配当金

■ ■従業員数 ■ ■内、海外連結子会社従業員数

■ ■一人当たり平均残業時間

■ ■ GHG(スコープ1+スコープ2)

■ ■ 特許件数

エネルギー消費原単位改善率  目標値

Annual Report 2019 0807

Introduction Overview Strategy Sustainability Governance Information

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ADVANTEST CORPORATION

CEO Message

社長メッセージ

“”

中長期経営方針達成に向け

手応えのある初年度となりました

代表取締役兼執行役員社長

“2019年3月期は、当社グループが今後の成長への確信を得る上で重要な

1年となりました。売上高・当期利益ともに過去最高を更新することが

できたのも、市場環境の追い風だけが理由ではありません。2011年の

Verigy社のM&A以降、主力事業である半導体・部品テスト事業において

SoCテスタ事業を強化してきた成果です。期初には創業以来初となる

グランドデザイン(中長期経営方針)を発表しました。私たちは、10年後

のあるべき姿を目指し、順調な一歩を踏み出しています。”

グランドデザイン策定の背景

なぜこのタイミングなのか

アドバンテストグループは、これまで経験したことがないステージに

立っています。グループを取り巻く半導体市場そのものが大きな変化点

を迎えているためです。AIやIoT、5G(第5世代移動通信システム)など、

新たなテクノロジーから生み出されるデータ生成量は、私たちの想像の

域を超え、このデータ爆発が半導体市場、ひいては半導体テスタ市場を

新たな成長ステージへ押し上げていくと予測しています。

これまでのM&Aにより海外企業がグループのメンバーに加わり、海外

売上高比率も95%を超え、創業以来、最も多様なバックグラウンドを有

するメンバーからなる組織へと変容しています。変化に伴う当社の成長

機会をどう掴んでいくのか、中長期的な経営の方向性とゴールを社内外

に示す必要があると考えました。さまざまなメンバーを一つのチームと

してまとめ、ともにゴールに向かっていきたい、10年後のグランドデザ

インを発表した背景にはこうした想いがありました。

2027年までの間には、半導体市場の特性から市況と業績のアップダウ

ンはもちろんあるでしょう。今回の中長期経営方針発表前に、すでに足も

とでは米中貿易摩擦の兆候も見えていました。しかし、私たちの生活の

向上と社会の発展のためには、さまざまな生活の場で使用される半導

体の進化や需要増は誰にも止められないと私は考えています。その限り

において、誰かがどこかで半導体をつくり、それをどこかで誰かがテス

トする必要がある状況に変わりはありません。グランドデザインの前提と

して、10年間の半導体市場の成長率を、世界のGDP成長率と同レベルの4

%と見込んだ上で、半導体テスタ市場について同じく4%成長を見込む

シナリオと、ゼロ成長の場合の保守的シナリオを設定しています。

売上高

2,825億円

前期比 36.3% UP

営業利益

647億円

前期比 2.6倍 UP

営業利益率

22.9%

前期比 11.1% ポイント UP

ROE

35.3%

前期比 19.8% ポイント UP

2018年度 業績

当期利益

570億円

前期比 3.1倍 UP

Annual Report 2019 1009

Introduction Strategy Sustainability Governance InformationOverview

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ADVANTEST CORPORATION

システムの販売後にも続くサービスの比重を高める

テスト事業が半導体テスタというハードウェアを開発し、ソフト

ウェアとともに販売するビジネスである限り、顧客企業の設備投資予算

に左右され業績のアップダウンは免れません。現在のビジネスモデルは

順調ではありますが、今後は、アップダウンが業績に与える影響をなる

べく少なく、平準化するビジネスモデルに近づけたいと考えています。

サービスのサブスクリプション化ができれば、確かに変動のインパクト

は軽減します。ただ、私たちの顧客企業は、どこも固定資産としてのテス

タ装置・ソフトウェアの導入に慣れているわけです。「Test as a service」と

しての取り組みを開始し、一部実現しているものはあるものの、浸透や移行

には時間がかかると覚悟しています。一方で、安定収益の確保を支える消

耗品の販売にも注力していく考えです。当社と顧客企業との接点は多く、

どんな消耗品が必要とされているのかを把握しやすいという、強みが活か

せる部分です。

ビジョン実現に向け、6つの「ありたい姿」(左記参照)を掲げました。

この6つは相互に関連しあっています。特に、1~3は当社グループの現

在のコア・コンピタンス(p.15 ビジネスモデル参照)とも重なっており、こ

の10年でさらに強化していきたい点です。そこで、「学習する組織」という

ありたい姿を打ち出しています。

これまでの当社は、必要な知見を自社で確立する「自前主義」のマインド

を保持してきました。しかしグランドデザインの実現には、新たな市場

の獲得に向けてより俊敏に動き、技術革新の流れに対応しなくてはなり

ません。当社にないAIなどの知見を有する外部企業と手を組み、提携等

を通じた価値づくりを進めていきます。また、最先端の技術を持つ顧客

企業から事業を通じて、今後のビジネスのヒントを学ばせていただくと

いう姿勢を社員に持ってもらいたいと思います。

その一方で当社が過去に売上高が1/5に減少した危機を乗り越え、

多くの競合他社が淘汰される中で生き残ることができたのは、堅牢な財

務基盤があってこそであり、財務基盤の維持は今後の事業成長において

も必要な条件であると認識しています。

グランドデザイン実現に向けた4つの成長戦略

事業成長を支える人と組織の強化

グランドデザインにもとづく収益シナリオの達成に向けて、当社は

「コアビジネスの強化、重点投資」「オペレーショナル・エクセレンスの追求」

「さらなる飛躍への価値探求」「新事業領域の開拓」の4つをテーマとする

成長戦略を実行します。

グランドデザインで描く アドバンテストが目指す今後のビジネスモデル

実現に向けた課題

当社の主力事業は、1980年代までは電子計測器事業、1990年以降は

半導体テスタ事業と、事業内容を時代とともにシフトさせてきました。

ただ事業内容は変わっても、最先端のテクノロジーを通じて社会の発展

に貢献するという経営理念のもと、「計測」に関わるコア・テクノロジー

を活かした事業を一貫して展開してきました。今回のグランドデザイン

で掲げたビジョンは、この経営理念を今後10年注力していく半導体テ

スタ事業へ具体的に落とし込み、再確認したものです。

テストソリューションを軸に、周辺事業をも取り込む

半導体テスタ事業の周辺には、当社がそれほど比重をおいてこなかっ

たビジネスや、まだ手掛けていない多くの関連ビジネスがあります。現

在の核となるテスタ事業を深掘りしていくだけでなく、近縁領域のテスト

ソリューションやそこに関わる全ての事業を、顧客企業に提供できるよ

うになれば、一段と当社に対する顧客ロイヤルティを高め、さらなる成

長を果たせると考えています。

半導体が使用される領域は、身近な電子デバイスから、交通システムや

通信、医療、金融、エネルギーシステムなど社会インフラへと広がっていま

す。多種多様な半導体はより高性能となり、その信頼性を確保するための

テストへの要求水準は高く、顧客からの要望の多くに一つの企業で応えら

れるケースは限られてきます。進化し続ける半導体バリューチェーンで業

容を拡大していくことは顧客からの期待に応えることでもあります。

“グランドデザインで描いたビジョン

「進化する半導体バリューチェーンで

顧客価値を追求する」には、

1989年以来、常に掲げてきた

『先端技術を先端で支える』という

当社の揺るぎない経営理念が

反映されています。”

進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求

クラウド、ソフトウェア、データアナリティクス

IC システムレベル製品・

システムレベルテスト工程生産工程

設計・評価工程ウェハ・テスト/ファイナル・テスト

半導体バリューチェーン

IC システムレベル

当社の既存事業領域

1 テスト・測定ソリューションの

No.1プロバイダー

2 最先端顧客のベストパートナー

3 先端技術開発

4 業界最先端の優秀な人財の育成

5 学習する組織

6 財務KPI向上に 絶えず取り組む会社

ありたい姿

CEO Message

社長メッセージ

ビジョン

Annual Report 2019 1211

Introduction Strategy Sustainability Governance InformationOverview

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ADVANTEST CORPORATION

事業を通じて持続可能な社会へ貢献

地に足のついたESG活動を積み重ね、長期的な企業価値向上への基盤を強化

私たちの考える社会貢献は、何よりもまず、社会インフラの基盤をな

す半導体の安全性や信頼性を、テスタ事業を通じて間接的に担保してい

くことです。私は折にふれ、「Tested by Advantest」という言葉を持ち出

し、当社の事業が拡大することは、世の中がより安全で快適になること

だと社員に伝えています。

当社の環境への取り組みも、同様の側面があります。アドバンテスト

の事業活動自体の環境負荷は決して大きくなく、テスタ装置の開発・生

産などで直接的に水や大気を汚染する場面はありません。そのため、当

社グループは、顧客企業の省エネルギー化につながる製品の開発を通じ

て、間接的に環境負荷低減を進めていくことを重視しています。

加えて、人に関わる領域で継続して私たちが取り組んできたこともあ

ります。先にも触れたように、過去20年の間に、ピーク時2,500億円を超

えた売上高が1/3、1/5近くに縮小するなど、収益的には苦しい時期が

ありました。そうした中でも、東大VDEC(大規模集積回路設計教育セン

ター)への寄付、一般社団法人パワーデバイス・イネーブリング協会を通

じた半導体技術者検定への支援や、セミコンジャパン*における高等専

門学校の研究発表への支援など、日本の半導体業界全体の人材育成やレ

ベルアップにつながる活動を長年応援し続けています。また群馬R&D

センタや研究所のある仙台市では毎年小学生を対象に理科教室を開催し

ています。半導体市場やそこに関わる仕事に、もっと可能性や意義を見

出す人を増やしていきたいという願いがあります。

コーポレートガバナンスは引き続き強化していきます。取締役会の多様

性については外国籍の方や、女性を早くから役員に選任し、自由闊達な議

論をかわす環境にあります。執行役員の約半数は外国籍です。体制は整備

されつつある中で、今後は、どのように実効性を高めていくかという点が

課題です。リスクマネジメント(p.39参照)についても、グローバルな事業

展開上、対策を備えておくべきリスクが増えていると認識しており、全社

的な取り組み体制を整えていく考えです。

この度、創立記念日である2019年7月1日にあわせ、当社グループの企業

文化の基盤である「The Advantest Way」を刷新しました。国内・海外の全グ

ループ5,000人のメンバーが共有しやすいよう、英語を使用し「INTEGRITY

(真摯、誠実、高潔)」というコア・バリュー(p.3-4参照)を新たに定めまし

た。社員がグランドデザインに向かって、ともに頑張りたいと思えるよう

なアドバンテストの企業風土づくりにも力を注いでいきます。

ステークホルダーの皆さまには、アドバンテストが実現していく未来

の価値創造に大いにご期待いただきたく存じます。

「コアビジネスである半導体テスタ事業および周辺事業の強化」は、グラ

ンドデザインの主眼です。その一環としてこれまで製品・地域別に分散し

ていた開発機能を、2018年より組織・プロセスともに完全に統合しまし

た。開発プロセスを効率化し、開発期間を短くすることが狙いです。

実は当社は生産増のために大型の設備投資を行う必要性が少なく、開発

資材投資もそれほど大規模なものではありません。むしろ、人財投資が

大きな割合を占めます。

アドバンテストはITバブルとリーマンショックによる売上急減時にお

いて、3度の人員削減を実施した経緯があります。人員増強には非常に慎

重な姿勢をとり、これまで非常にスリムな組織運営を行ってきました。

しかし、当社が強化してきたSoCテスタ事業は、その事業の特性上、

テスタ装置やシステムの開発、販売促進そして販売後にも継続的にお客

様へのサポートが発生します。SoCの品種の多さに加え、世界各地に点

在する顧客企業の拠点への対応が必要なためです。そのためシステムエ

ンジニアやアプリケーションエンジニア、フィールドサービス要員とい

った人員の増強が不可欠です。ビジネスモデルとして、人なくして成り

立たない事業といえ、当年度にもすでに人財を拡充しました。今後は、

5Gなどの新たなソリューションを提供する上で、従来と異なるスキル

を持ったエンジニア人財の確保にも注力していきます。

「オペレーショナル・エクセレンスの追求」は、需要変動の大きさが特

徴であるテスタ事業に合ったビジネスモデルの先例がほとんどないた

め、社内で試行錯誤しながらも、マネジメントや社内プロセスの効率化と

品質向上を目指していこうという決意です。ROIC(投下資本利益率)に

もとづく事業管理、ITの活用による業務効率の向上や労働環境の改善な

ど、当社固有の価値創造に適した取り組みを進めていきます。

「さらなる飛躍への価値探求」は、ビジネスモデルの変革に関わるテーマ

です。サービスモデルの推進において、より成長性・収益性の高いものを

増やしつつ、AIやデータ解析など新しいテクノロジーの導入によって

ソリューションを広げるべく、社外の知見も活かしていきます。2018年

には「アプライド・リサーチ&ベンチャー」という組織を立ち上げ、将来

の成長につながる知見の獲得を目指し、世界各地の大学・研究機関との

協業を推進していく体制を整えました。

「新事業領域の開拓」は、当社が持つ電子計測技術を活かし、医療系機

器やバイオ系機器など、半導体テスタ以外の事業に領域を広げていく

テーマです。そのために新企画商品開発室という部署を設置し、これら

の取り組みを進めています。* セミコンジャパンは、半導体の前工程~後工程までの全工程から、自動車やIoT機器などのSMARTアプリケーションまでをカバーする、エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会です。

“成長戦略上の重点投資とは

設備投資、開発投資、

そして最大の投資が人財です。”

“テスタ事業も30年をかけて

現在の規模となりました。

電子計測技術を活かし、

新たな事業をじっくり育てて

いきます。”

1.コアビジネスの強化、重点投資2. オペレーショナル・エクセレンスの 追求

3.さらなる飛躍への価値探求4.新事業領域の開拓

4つの成長戦略

CEO Message

社長メッセージ

Annual Report 2019 1413

Introduction Strategy Sustainability Governance InformationOverview

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ADVANTEST CORPORATION

Business Model

顧客と社会に貢献を続けるアドバンテストのビジネスプロセス

半導体の性能は常に進化を続けています。その性能をつかさどる「電気」という目に見えない物理現象を高精度に計測することで、

半導体の性能や信頼性を効率よく可視化するのが半導体のテスト技術です。

テスト技術の価値は時代により変化していますが、テスト工程は半導体市場の黎明期から重要なプロセスであり続けており、当社

のビジネスプロセスの基本形もまた大きく変わることなく維持されています。

外部環境 半導体テストに関わる事業プロセス 創造される価値

Mid-term Management Plan 中期経営計画(2018年度~20年度)

Long-term Management Policy グランドデザイン(2018年度~27年度)(➡p.27 中長期経営方針の全体像)

デザイン・イン&ソリューション開発

顧客デバイスの評価&量産化支援

顧客の設計変更・多品種 展開&効率生産サポート製造&販売

「先端技術を先端で支える」アドバンテストの神髄

顧客とのディスカッションを通じた中長期の半導体技術動向やテストニーズ収集

技術難易度が年々上昇する中でも先駆的ソリューションをタイムリーに提供可能な開発体制の編成

(➡p.35 戦略特集1)

顧客ニーズにきめ細かく寄り添うテストノウハウの提供

顧客の新規デバイスの性能評価・機能検証を通じた設計・製造プロセスへのフィードバック

最適テストフローの提案、テストプログラム開発、テスタ本体と周辺機器の接続仕様等、総合的ノウハウ提供による顧客の量産準備サポート

顧客や社会への貢献ミッション、ビジョン、

コア・バリューの体現を通じた「安心・安全・心地よい」

社会の実現 (➡p.3 The Advantest Way)

2018年度に創出した経済的価値 顧客への半導体テスタ販売:

約1,800台 うちグリーン製品カバー率:

90%以上

株主への配当:

1株当たり年間92円

フリー・キャッシュ・フロー:

289億円

顧客の成長を継続的に支えるサポート体制

17の国・地域を横断したグローバル・サポート網で、顧客の生産性維持・向上に貢献

半導体需要の波に対応する製品供給体制

自社工場とアウトソースの機動的な併用で、高品質なものづくりと顧客の生産計画変動への追従性を両立

Output

製品・サービス 半導体テスタ メカトロニクス製品 周辺機器、消耗品 フィールドサービス・ソリューション

先行費用投下: 平均的な新ソリューション開発期間 2~4年 リカーリング売上ハード/ソフトウェア売上

        

当社の成長を支える基盤と競争優位性

業界No.1の広範な顧客基盤、顧客内に蓄積された有形無形の当社発テスト資産が生む

パートナーシップとスイッチングハードル

50年以上にわたり培った高精度な電子計測技術とテストに関わる総合提案力、それを応用した

あらゆる半導体テストを網羅する製品ポートフォリオ

顧客の成功と社会発展に高い貢献意欲を持つ従業員:

約4,900名(2018年度末時点)

健全な財務体質と、それが可能とする長期視点での

研究開発活動:研究開発費379億円(2018年度実績)

コーポレートガバナンス (➡p.51 コーポレートガバナンス)

ROICベースの事業管理・投資効率管理による競争力のさらなる強化

(➡p.31 財務戦略)

<半導体市場の変化> たゆまぬ高性能化・複雑化・製造難易度上昇

生産量の拡大 信頼性保証の重要性向上 競争やM&Aによるプレイヤーのパワーバランス変化<世界経済・最終製品市場の不確実性への対処>

半導体メーカーのTime to Market志向の強まり

地政学的リスクの高まり<社会的課題への対応> 環境負荷低減への対応、SDGsへの対応 各国法令・規制の遵守

(➡p.39 リスクマネジメント、p.41 持続可能性を高めるマテリアリティ)

(➡p.21 製品ポートフォリオ)

Input

OutcomeExternal Factors

Output

Our Main Activities

Annual Report 2019 1615

Introduction Strategy Sustainability Governance InformationOverview

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ADVANTEST CORPORATION

2018年度の世界経済は全体として成長軌道が維持さ

れ、データサーバーやスマートフォン、ディスプレイ、

カーエレクトロニクスなど、電子機器の性能向上への要

求は停滞することなく、それらの機器に組み込まれる半

導体の高性能化や信頼性強化要求の増加、搭載数量増加

が推進されました。他方、保護主義的な通商政策の拡大

などにより、先行きへの懸念が2019年秋口以降強まり

ました。それを背景に、半導体およびその関連産業の成

長をここ数年間主導してきたデータセンター投資やス

■ 2018年度経営成績サマリー

Our Business at a glance

ビジネスレビュー

EPS

302.35円

前期比 3.0倍 UP

売上高

2,825億円

前期比 36.3% UP

営業利益

647億円

前期比 2.6倍 UP

営業利益率

22.9%

前期比 11.1% ポイント UP

当期利益

570億円

前期比 3.1倍 UP

ROE

35.3%

前期比 19.8% ポイント UP

マートフォン市場においても減速感が強まり、設備投資

計画の見直しや在庫調整の動きが大手半導体メーカー

で本格的に進みました。

このような事業環境のもと、当社は、半導体試験装置

業界で最も充実した製品ポートフォリオを有する強み

を発揮し、幅広い顧客から新規需要を取り込み、市場シ

ェアを伸ばしました。また売上高が伸長する中でも業務

効率の維持・改善に努めたことで、収益性も大幅に改善

しました。

半導体市場における設計・製造の水平分業化により、現

在では半導体製造拠点の多くがアジア諸国に集積してい

ます。そうした業界トレンドを背景として、2018年度の

当社の地域別売上高はアジア向けが多くを占めました。

中でも、SoC半導体の量産メーカーの多い台湾、中国、韓

国における売上が増加しました。

2018年もエレクトロニクス機器の高性能化や信頼性

向上を目指す動きが続き、半導体の高性能化や供給拡大

への取り組みが進展しました。それを背景とし、各半導体

メーカーにおいてテスト複雑化への対応や信頼性向上の

ためのテスト能力強化が積極的に展開されました。2018

■ 半導体テスタ市場の動向

年の秋口以降は、在庫過多への懸念から各半導体メー

カーの設備投資姿勢の消極化がみられましたが、全体と

しては半導体テスタ市場の規模は2017年から拡大しま

した。

当社は製品ポートフォリオの拡充やサービス品質の差

別化が競争への対処の基本と考えており、また実際にそ

れらの取り組みを営々と進めてきたことで、業界で最も

広い顧客ベースを有しています。2018年に多くの半導体

メーカーにおいてテスタ需要が拡大したことで、当社の

市場シェアは大きく伸長しました。

2017年 2018年 変化率

SoCテスタ市場 約$2,200M 約$2,550M 前年比約15%増

メモリ・テスタ市場 約$750M 約$1,150M 前年比約50%増

市場シェアの推移

地域別(仕向地別)の販売状況

CY18全体シェア

54%

CY17全体シェア

36%前年比

+18ポイント

142

544

639

286 11377

643

1,166

45113671271

2017 2018209

149 日本韓国台湾中国米州欧州その他

地域別売上高 (億円)

需要拡大要素

半導体の微細化の進展による、デバイスの高機能化・複雑化 スマートフォン/TV用ディスプレイの狭縁化 半導体を使用するアプリケーションの広がり(車、インダストリー) DRAMやNANDフラッシュメモリの大容量化・高速化 半導体の信頼性強化トレンドの持続

需要縮小要素

スマートフォン販売数量の伸び悩みやデータセンター投資減速に伴う、半導体在庫調整の開始

(出典:アドバンテスト)

Annual Report 2019 1817

Introduction Strategy Sustainability Governance InformationOverview

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ADVANTEST CORPORATION

当部門では、半導体市場の在庫調整

の動きが拡大した中にあっても各半導

体メーカーの生産稼働は高水準が維持

されたことで、当社製品の保守サービ

スに対する安定的な需要が続きまし

た。これにより、当部門の事業利益も安

定的に推移しました。

なお、2019年2月、当社は、米国

Astronics社のシステムレベルテスト

事業を1億米ドルで譲り受け、当該事

業の業績を当部門に計上しています。

2018年度における本買収の業績影響

は、軽微です。

半導体・部品テストシステム事業

当部門では、スマートフォンの基幹

部品であるアプリケーション・プロセ

ッサの性能向上が進展したこと、タッ

チセンサ組み込みなどディスプレイ・

ドライバICの高機能化に即したテス

ト能力増強の動きが進んだことなど

から、SoCテストシステムの需要が大

きく伸長しました。またメモリ半導体

の在庫調整に伴い第3四半期以降は受

注が落ち込んだものの、DRAMや

NANDフラッシュメモリの大容量化

が進んだことで、メモリ・テスト事業

も前年度を超える売上を収めました。

これらにより事業利益も大きく増加

しました。

メカトロニクス関連事業

当部門では、メモリ半導体メーカー

の半導体テスタへの投資が高水準で

あったことを背景に、メモリ・テスタと

事業連動性の高いデバイス・インタ

フェース製品の販売が堅調でした。し

かし大手半導体メーカーの微細化投

資スケジュールの兼ね合いから、先端

製造プロセス向けの計測装置を展開

するナノテクノロジー事業の売上は

軟調でした。また原価の上昇なども生

じたことで、当部門では事業損失が継

続しました。

売上高 (億円)

267

295315

299 305

20172015 201820162014

事業利益 (億円)

3548 4249 42

20172015 201820162014

事業利益 (億円)

160 167

651

105

289

20172015 201820162014

サービス他

2018年度売上高構成比

2,825億円

392億円

13.9%(前年度比 +9.3%増)

メカトロニクス関連事業

2,117億円

75.0%(前年度比 +50.2%増)

半導体・部品テストシステム事業

315億円

11.1%(前年度比 +3.4%増)

サービス他

売上高 (億円) 2,117

631

1,486

1,008

1,409

1,0131,087

20172015 201820162014

530

272256221

879741752

866

■SoCテスタ ■メモリ・テスタ

■セグメント別の状況

Our Business at a glance

ビジネスレビュー

売上高 (億円)

20172015

285

252

392

201820162014

315

359

0

事業利益 (億円)

43

-15 -7

26

-2720172015 201820162014

0

Annual Report 2019 2019

Introduction Strategy Sustainability Governance InformationOverview

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ADVANTEST CORPORATION

T5833

Our Products & Services

製品ポートフォリオ

サービス他部門

顧客のシステムの設置・保守・修理から、稼働率やスループットの向上

にいたるまで、世界各地の拠点からエンジニアがサポートします。

フィールド・サービス

新製品と同等レベルの中古品再生、高品質の移設立ち上げ、機能追

加など、テスタメーカーならではの付加価値を提供します。

リース・中古品販売

製品・システムレベルで機器をテストする装置です。複雑化する電

子機器の新たなテスト需要に応え、当社のテスト・計測ソリューシ

ョンを半導体バリューチェーン全体に拡大します。

システムレベル・テスト・プラットフォームATS5030

SSDテスト・システムMPT3000

システムレベル・テスト

これまで培ってきた

電子計測技術を応

用し、ヘルスケアを

はじめ他分野で新た

なイノベーションを

起こします。

新企画商品

光超音波顕微鏡HadatomoTMΖ

テラヘルツ分光システムTAS7500SP

T6391

T2000

V93000

メモリテスト・システム

メモリ半導体のテストに特化し、

多数個同時高速測定でテスト効率

を最大化します。半導体の初期不良

をあぶり出すバーンイン試験を同

時に行う装置もラインアップにそ

ろえています。

T5830

B6700L

MASK MVM-SEM® E3650

メカトロニクス関連事業部門 半導体テストシステムの周辺機器と、ナノテクノロジーによる半導体前工程向け装置で構成されます。

テスト・ハンドラ

半導体パッケージをテスト・

システムに高速搬送し、テス

ト結果に従って良品/不良品を

自動分別します。半導体の微

細化に対応した搬送位置精度

や、試験温度の高速制御機能

も備えています。

ナノテクノロジー製品

電子ビームを用いて、半導体回路の描画や

測長を行います。先端半導体のウェハプロ

セスで回路の微細化に貢献しています。

デバイス・インタフェース

半導体を、テスト・システムに

高精度で電気的・機械的に接続

する治具の総称です。テストデ

バイスの品種の切り替えや、デ

バイス・インタフェース自体の

消耗のたびに需要が出る製品

です。M4872

EB露光装置 F7000

HIFIX

不揮発性メモリDRAM

主なターゲットデバイス

半導体・部品テストシステム事業部門 半導体を自動で電気試験し、品質・性能・信頼性を評価するテスト・システムを提供します。当社の主力事業であり、世界トップクラスの市場シェアを獲得しています。

SoC テスト・システム

ボード交換によってシステム構成を変更できるモジュール・アーキテクチ

ャーを採用し、多種多様なSoCデバイスのテストを広くカバーしています。

ディスプレイドライバーIC(DDI)

アプリケーションプロセッサ(AP)

MCU、標準ロジックIC

パワーマネジメントIC(PMIC)

アナログ/ミクスドシグナルIC

通信用IC

ハイパフォーマンス・コンピューティング用ロジックIC

CMOSイメージセンサ

主なターゲットデバイス

個別の電子計測機能をもつ複数枚のモジュール

ボードを、テスト・システムのヘッド部に収容

モジュールの組み合

わせを変えることで、

1台のテスト・システム

であらゆる品種のデバ

イス・テストが可能

V93000TH

T5503HS2

Annual Report 2019 2221

Introduction Strategy Sustainability Governance InformationOverview

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ADVANTEST CORPORATION

ゲーム機

スマート住宅

テレビ スマートフォン 家電製品

基地局

自動車

セキュリティカメラ

データセンター

産業用ロボット

スマート工場

パソコン

UAV/ドローン

航空機人工衛星

AIアシスタント

半導体は、スマートフォン、コンピューター、家電製品、

ゲーム機、自動車、産業用機器などさまざまな機器に搭載

され、また通信、スマートシティ、SNSなど社会のあらゆる

シーンで使われています。2018年の半導体世界市場は25

年前の約6倍に成長し、過去最大の規模となりました。今

後も5G、ADASをはじめとする技術の進化に伴い、半導体

市場は大きく成長していくと想定しています。

半導体市場の成長は、ムーアの法則に代表される、回路

幅の微細化、それによるチップの小型化、動作の高速化・

省電力化に支えられてきました。そして、それが電子機器

の機能や性能の発展にも大きく貢献してきました。今後

もEUV露光(波長の短い極端紫外線を用いて回路を描画

する技術)、回路の3次元積層化などの革新的な技術の普

及により、ますます半導体の性能は向上し、それが使われ

るシーンもさらに広がっていくことでしょう。

半導体世界市場の推移(1993~2018年)

Our Strategy

私たちの市場とビジネス機会

(出典:WSTS)

468.8

77.3

0

100

200

300

400

500(10億米$)

20182017201620152014201320122011201020092008200720062005200420032002200120001999199819971996199519941993

では一口に半導体といってもどのようなものがあるので

しょうか。大きくはデータを保存する「メモリ」と、演算処理、

通信、データのセンシング、オーディオ等メモリ以外のデバ

社会のさまざまな機器に搭載され、あらゆるシーンで使われている半導体。

その半導体がきちんと動作するか、また求められている性能、耐久性を満たしているかを、

“高精度の電気信号”を流して試験する。それが“半導体テスタ”の役割です。

半導体の種類社会の進化を担う半導体

データの保持・記憶に機能を特化した半導体です。【主な品種】

DRAM 高速動作が可能で主にコンピューターの記憶保持(作業領域)で使用されます。高速動作の一方、電源を切るとデータは消えてしまいます。

データの演算処理、通信、データのセンシング、オーディオ等さまざまな処理をする半導体です。多種多様な機能ごとに、多くの半導体メーカーが市場を割拠しています。【主な品種】

アプリケーション・プロセッサ(AP) スマートフォンの主動作をコントロールします。 通信用IC

データを無線通信するベースバンドプロセッサやRFトランシーバの総称です。 マイクロ・プロセッサ/マイクロ・コントローラ (MPU/MCU)

サーバ、パソコン、自動車等のコントローラ

メモリ半導体

SoC半導体

イスを意味する「SoC」に分かれます。SoCでは一つの半導

体にいろいろな機能が組み込まれているものも多くなって

います。以下はその半導体の種類と対応するテスタです。

不揮発性メモリ 電源を切ってもデータを保持することができることから、コンピューター、スマートフォンの記憶装置(ストレージ)として用いられます。NANDはその代表的なもので、NORというプログラム格納等に使われるデバイスもあります。

【対応テスタ】T5503HS2, T5830, T5833, B6700など

GPU ゲーム等の高速のグラフィック処理に優れ、その演算性能の高さからAIにも使用されています。 CMOSイメージセンサ

光の強弱を電気信号に変換し映像化します。カメラ機能を担う半導体です。 ディスプレイ・ドライバIC(DDI)

スマートフォンやテレビなどのディスプレイ表示をコントロールします。

【対応テスタ】V93000、T2000、T6391など

T5833

V93000

Annual Report 2019 2423

Introduction Overview Sustainability Governance InformationStrategy

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ADVANTEST CORPORATION

半導体テスタは設計、シミュレーション、評価、製造の長い工程を経て作られた半導体に、高精度の電気信号を流すこと

で命を吹き込み、それが動作するか、そしてその所定の性能、耐久性を満たすかを試験できます。そのため、半導体、回路

の設計専業企業から量産テスト工程まで、半導体テスタのユーザは多岐にわたります。さらに良品/不良品を選別する

ばかりでなく、スマートフォンに代表されるように、最終製品のサイクルが短くなりかつ発売時のボリュームが大きくな

ってきている中で、収益機会の最大化にも貢献しています。

半導体テスタのビジネスチャンスは、主に以下の要因によってもたらされます。

これまで、半導体テスタビジネスは技術の変化に基づく、新機能の追加やデバイスの複雑化によりテスト時間が増加

することに伴う「テクノロジー・バイ」と、生産量の拡大「キャパシティ・バイ」によりけん引されてきました。

最近では、半導体の使用領域が拡大することによる新たな需要による増加、半導体の主役が機器から社会インフラに

移行していく中での信頼性要求の高まりによるテスト項目の増加が、新たなビジネスドライバーになっています。

半導体需要の波によりテスタビジネスもシクリカルでしたが、需要の幅が広がったことで、シクリカルでありながら

も中長期的には成長する、シクリカル・グロース(Cyclical Growth)の市場へと構造変化していくと見込んでいます。

Time to Marketへの貢献

Time to Qualityへの貢献

Our Strategy

私たちの市場とビジネス機会

半導体テスタの役割

半導体テスタのビジネスドライバー

実際に電気信号を流すことで、目に見えない半導体の設計内容や動作性能を具体的に検証し、

そのテスト結果のフィードバックにより、半導体の設計評価・生産プロセス立ち上げをサポート

顧客のビジネス拡大に伴う半導体の品種展開と設計内容多様化に即したテスト・プログラム作成の効率化サポートで

量産品質を一段と向上し、製品のコストダウンに貢献

Time to Volumeへの貢献

半導体試験装置ならではのシーケンスを最適化した高速大量試験と、安定した品質で顧客の生産を最大化

需要へのタイムリーな製品供給と安定した品質による生産立ち上げへの貢献

半導体の開発および生産立ち上げフェーズ

量産フェーズ

改善フェーズ

1 半導体の生産量拡大 「キャパシティ・バイ」

2 半導体の技術進化・次世代規格への移行 「テクノロジー・バイ」

3 デジタル・トランスフォーメーション 「カーエレクトロニクス、IoTへの展開」

4 社会インフラの一部となった 半導体への信頼性要求の高まり

20182017201620152014201320122011201020090

4,000

3,000

2,000

1,000

0

2,500

(億円)(百万米ドル)

2,000

1,500

1,000

500

■ テストシステムの市場規模 当社テスト・システム売上高

(Source: VLSI research, Advantest)

Annual Report 2019 2625

Introduction Overview Sustainability Governance InformationStrategy

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ADVANTEST CORPORATION

Our strategy

中長期経営方針の全体像(2018年度~2027年度)

2018年4月に中長期経営方針を発表しました。これは、グランドデザイン(今後10年)と中期経営計画(当初3年間)の2部から

構成されます。半導体が大きな役割を果たすデジタル革命の進展により当社の事業環境は大きく変化し、半導体テスタの需要

も今後増加していくものと見込んでいます。この事業機会を確実に捉えていくための経営指針として策定しました。

今社会では、人口増加、都市化、グローバル化などの急速

な進展や、気候変動、セキュリティ対策などさまざまな社会

課題が深刻化しています。これらの社会課題の解決に半導体

を活用するのが「デジタル革命」であり、いわゆるビッグデー

タの処理・活用技術の普及・浸透が基盤となります。 図1

図2 に示す通り、今後データ生成量は急激かつ加速度的に

増加していくことが見込まれ、このデータ爆発(データエクス

プロージョン)と呼ばれる新しい環境が半導体市場を新たな

ステージへと導きます。

従来、半導体需要をけん引してきたのは、メインフレーム

コンピュータや、PC、デジカメ、スマートフォンなどの最終機

器需要でした。しかし、今後の半導体需要の主役は、機器では

なく、データそのものになっていきます。価値の源泉となる

データを扱う半導体は、私たちの周りのあらゆる現場に普及・

浸透し社会インフラとしての働きを持つようになり、とりわ

けデータセンター、自動車、人体に関わる半導体については

高い信頼性が求められるため、半導体はより一層高機能化、

複雑化、大容量化し、結果としてテストの強化(テスト項目・時

間の増加)が不可欠となります。

つまりデータ爆発により急激に増加していく莫大なデー

タが半導体の量をけん引し、さらに半導体の複雑化・高度化

による高信頼性への要求が加わって、今後の半導体テスタ市

場の成長につながるのです。

グランドデザインは、上述のメガトレンドを確実に事

業機会獲得につなげていくための、10年計画の経営指針

です。そのビジョンステートメントとして「進化する半導

体バリューチェーンで顧客価値を追求」を掲げました。現

在の当社の事業領域は、 図3 に示す半導体量産用のテス

トやテスト環境に関わる部分です。これを上流の設計・評価

工程、および下流の製品・システムレベル工程といった近

縁市場に事業領域を拡大すること、さらにはデータアナリ

ティクスやAIの活用による新規市場の創出で、ビジネスを

伸ばしていきます。

グランドデザイン

経営環境(メガトレンドと半導体テスト市場の変化)

テスト・測定ソリューションのNo.1プロバイダー1

業界最先端の優秀な人財の育成4

最先端顧客のベストパートナー2

学習する組織5

先端技術開発3

財務KPI向上に絶えず取り組む会社6

このビジョンを実現するための、6つの「ありたい姿」を策定し、戦略立案の指針としました。

また、ビジョン達成に向け、4つの戦略を立てました。

コアビジネスの強化、重点投資1 半導体テスト需要の新たな波(メガトレンド)に乗り、コアビジネスとその

近縁市場に重点投資していきます。

オペレーショナル・エクセレンスの追求2 研究開発、生産などを中心にあらゆる社内プロセスの効率化、品質向上を

図ります。

さらなる飛躍への価値探求3 テスト・ソリューションの拡充を強化します。 AI、新データ解析手法の活用により、ソリューションの幅を広げます。 サービス化のビジネスモデルを追求します。

新事業領域の開拓4 当社の「測る」技術を活用した新ビジネス開拓に努めます。

売上シナリオ図4

FY2017(実績) 億円

テスタ市場 3,630

当社市場シェア 36%

売上高 2,072

保守的シナリオテスタ市場成長率 年0%成長前提

FY2027(予) 億円

テスタ市場 3,800

当社市場シェア 46%

既存事業 2,400

新規事業 600

売上高 3,000

ベース・シナリオテスタ市場成長率 年4%成長

半導体と同ペースでテスタ市場も成長

FY2027(予) 億円

テスタ市場 5,800

当社市場シェア 46%

既存事業 3,400

新規事業 600

売上高 4,000

さまざまな調査を踏まえ、半導体市場の2018年以降

10年の成長率を年4%と考えています。半導体テスト市

場の伸びも同様に年4%と仮定し、当社におけるコアビジ

ネスの強化・拡大、M&Aを含めた近縁市場の獲得を念頭

におくと、2018年から10年後の2027年度には売上高

4,000億円が視野に入ります。これをベース・シナリオと

しました。また保守的シナリオとして、仮に半導体市場が

伸びる中テスタ市場の伸びが年0%だと仮定しても、売上

高3,000億円を目指せると考えています。いずれのシナ

売上の成長シナリオリオにおいても、今後の成長分野へのフォーカスとお客

様とのパートナーシップ強化により、テスタ市場におけ

る当社のマーケットシェアを毎年1ポイントのペースで

伸ばしていくことを目指します。( 図4 )

以上が今後10年間を見通した中長期経営方針「グラン

ドデザイン」であり、これを2018年から始まる3年間の具

体的な計画に落とし込んだものが、中期経営計画になり

ます。(p.29~30参照)

進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求

クラウド、ソフトウェア、データアナリティクス

IC システムレベル製品・

システムレベルテスト工程生産工程

設計・評価工程ウェハ・テスト/ファイナル・テスト

半導体バリューチェーン

IC システムレベル

当社の既存事業領域

図3

図1

データ量の爆発、ゼタ・データの時代

通信量

データセンシング/フィードバック

データセンター AI・機械学習

エッジ・デバイス

人・生活・産業・インフラ

計算・統計処理 データ蓄積量

図2

Annual Size of the Global Datasphere

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025

Source: Data Age 2025, sponsored by Seagate with data from IDC Global DataSphere, Nov 2018

180

160

140

120

100

80

60

40

20

0

Zetabytes

175ZB

Annual Report 2019 2827

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ADVANTEST CORPORATION

グランドデザイン(長期経営方針)の実現に向けて、2018年度を初年度とするむこう3ヵ年の中期経営計画を策定し、

遂行しています。

中期経営計画の考え方グランドデザインで述べた通り、今後10年にわたりテ

スタ需要が大きく伸びていくと見込んでいますが、半導体

製造装置業界の場合、毎年右肩に上がる成長ではなく、

アップダウンを周期的に繰り返しながら成長するシクリ

カル・グロース(Cyclical Growth)の傾向があります。よっ

て、2018年度から始まる当初3年間の中期経営計画の

立案においても、各年度に数値目標を設けるのではなく、

3ヵ年平均での達成目標を定めました。その際、前頁の

「保守的シナリオ」と「ベースシナリオ」の2通りを想定し

ています。前述(p.28)の通り、いずれのシナリオにおいて

も当社が毎年1ポイントのペースで市場シェアを伸ばし

ていくことを前提としています。

保守的シナリオ(2018年度~2020年度 平均)

ベース・シナリオ(2018年度~2020年度 平均) 2018年度実績

(テスタ市場成長率) 年0% 年4% ー売上高 2,300億円 2,500億円 2,825億円

営業利益率 15% 17% 22.9%ROE 15% 18% 35.3%EPS 135円 170円 302円

経営指標(KPI)

期間損益の改善と資本の効率的活用の双方を意識しつ

つ企業価値の向上に取り組むことを念頭におき、中期経

営計画期間における当社の重要な経営指標を「売上高」、

「営業利益率」、「自己資本利益率(ROE)」、「1株当たり当期利

益(EPS)」としました。

各KPIの目標(3ヵ年平均)は以下となります。2018年度

の実績は、ベース・シナリオの全てのKPIを大きく上回り、

手応えのある初年度となりました。

保守的シナリオ

2018~2020 平均2012~2014 平均 2015~2017 平均

ベース・シナリオ

■半導体・部品テストシステム事業部門 ■メカトロニクス関連事業部門 ■サービス他部門

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

(億円)

(年度)

2,300

1,751

1,360

2,500

1,500

350

1,142

309

300

933

190237

1,650

400

450450

市場成長率

年4%成長市場成長率

年0%成長

ベース・シナリオ保守的シナリオ

40%増

27%増

市場シェア伸長を目指す上で、半導体テスタ市場における当社の強みは以下の通りです。

主な施策

半導体・部品テストシステム事業部門 HPC(High-Performance Computing)や5G通信向けなど、複雑化・高度化する次世代のテスト需要の波を先駆的に捕捉 DRAM、NVM(Non-Volatile Memory)での強固なビジネス基盤を堅持

メカトロニクス関連事業部門 テスタとの統合ソリューションの提供や高度な環境試験需要への対応による販売機会の拡大

サービス他部門 工場自動化要求対応などによるポストセールス増収、SSDテスタの拡販、M&Aによる近縁市場への展開

事業マネジメントの強化 社内での事業業績評価にROIC(投下資本利益率)ベースの事業管理・評価ツールを導入し、事業マネジメントを強化

業界No.1の製品ポートフォリオ 拡張性あふれるモジュール・アーキテクチャー・プラットフォーム 成長分野での支配的なポジション

業界No.1の優良顧客基盤 長年開拓し築き上げてきた顧客基盤 今後拡大の期待が大きいアジア市場でのプレゼンス

周辺機器を含めた総合提案力、グローバルサポート能力

デバイスI/F等の周辺機器を含めた総合テスト環境の提供

ガバナンス、人財戦略、中長期テーマへの挑戦

コーポレートガバナンス強化 取締役会のダイバーシティ向上(国籍、性別) 業績連動型株式報酬制度導入(役員ならびに経営幹部)

事業マネジメント体制強化 ROIC導入による採算性重視の事業管理

人財投資 グローバル、フロンティア人財の育成 ワークスタイル改革

さらなる飛躍への価値探求 Next waveビジネスリサーチチーム組成 顧客の工程により深く入り込み各工程へのテストソリューションの探求 AI、データ解析導入と活用 リカーリングビジネス比率拡大

財務方針と株主還元

健全な財務基盤の維持安定的なフリー・キャッシュフロー創出 3年間で850~1,000億円

最低現金保有レベル 短期的なリスク対応力として、ネットキャッシュ500~600億円を保有

超過資金は成長投資、M&Aなどの事業投資に優先的に活用

中長期的な投資による企業価値向上研究開発投資 年間300億円以上を研究開発に継続的に投資

M&A投資枠 1,000億円 半導体バリューチェーンにおけるソリューション拡充

株主還元還元方針 半期連結配当性向30% 長期にわたり留保された余剰資金は、配当性向の見直し、自己株式取得などの総株主還元を検討

中期経営計画(2018年度~2020年度)

Our Strategy

Annual Report 2019 3029

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ADVANTEST CORPORATION

事業継続のための財務健全性

The Advantest Way

企業価値の向上

キャッシュ・フローの

最大化●従業員一人当たり収益

●研究開発投資●設備投資●M&A●ESG

収益性●Cash  Conversion  Cycle 効率性

成長 ●配当金●自己株式取得

株主還元

50百万円Target100日Target

ROICプラスのスプレッドTarget

Financial Strategy

財務戦略 CFOメッセージ

財務の基本方針とCFOとしての私の役割

私は1983年にアドバンテストに入社して以来、8年間

の海外勤務に加え、経理部門を中心に、人事・総務と管理

畑を歩んできました。管理部門というと、今まで通りの仕

事をするという保守的な考えに陥りがちですが、私は当

社の行動指針である「本質を究める」を念頭に、投下資本

利益率(Return on Invested Capital “ROIC”)をベースに

した業績評価制度、グローバルワンプラットフォームの

会計システム、グローバルキャッシュマネジメントシス

テムといった、今まで当社に無かった考え・仕組みを、

世の中の潮流などを勘案しながら新しく取り入れること

を意識して推進してきました。財務の基本方針としては、

今や社会のインフラともいえる「半導体」の信頼性保証を

支える当社の事業継続を基盤とし、当社のミッション、

ビジョン、コア・バリューを定めた「The Advantest Way」

を会社経営の方向性を決める基本姿勢として、ROIC

をベースにした収益性・効率性を追求することで、まず

キャッシュ・フローの最大化を図ります。そうして得られ

たキャッシュを株主還元として株主の皆さまと分かち合

うとともに、事業の成長や社会の一員としての責務を果

たす活動に振り向けることによって、株主価値をより一

層高めることが最優先課題であると考えています。アドバ

ンテストにおけるCFOとしての私の具体的な役割として

は、事業評価やグローバル展開における資産配分・管理、

M&Aや開発などの新規投資案件の評価、機関投資家など

との対話を通じて企業価値を高めていくことです。さまざ

まな考え方を考慮し、アドバンテストの企業価値向上のた

めに最適なアプローチを常に模索し、時代の要請に合った

戦略を行ってまいります。

グランドデザインに対する財務アプローチ

当社は、2018年4月に今後10年のグランドデザイン

を発表しました。グランドデザインで描いた通り、データ

爆発を背景に社会における半導体の用途・需要が急拡大

しており、当社事業のさらなる成長環境が整いつつあり

攻守のバランス感を重視しつつスピード感に呼応する財務戦略を進めています

取締役兼常務執行役員(CFO)

藤田 敦司

Annual Report 2019 3231

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ADVANTEST CORPORATION

Financial Strategy

財務戦略 CFOメッセージ

ます。その中で10年後の2027年度の売上をベース・シナ

リオで4,000億円としています。2018年度に当社の過去

最高となる売上2,825億円を記録しましたが、4,000億

円の達成にはここから毎年4%の売上成長が必要となり

ます。一方で、当社の属する半導体業界は、毎年右肩上が

りに伸びるのではなく、アップダウンを繰り返しながら

成長していく傾向があり、当社もその影響は避けられま

せん。そういった業界特性を踏まえ、当社は、単年の4%

成長達成を積み上げる考えではなく、M&Aも含めて数

年先の状況を勘案した成長投資を実行していきます。グ

ランドデザインで描いたシナリオを達成する上では、継

続的な研究開発投資や売上原価率の改善、需要変動に即

応する柔軟な生産体制、販管費率の改善を利益構造にお

ける重要な課題と捉え、シングルAレベルの格付がとれ

るような財務健全性に留意していきます。今後の事業成

長が大いに期待できる環境にある中、中長期戦略を踏ま

えた資金投下による企業価値向上を果たしつつ、配当性

向30%という方針を維持し、株主の皆さまに報いていく

考えです。ただし、そのような事業成長施策展開において

も、資金もしくは資本が余剰と考えられる場合は、成長投

資も勘案した上で、配当性向の見直しや自己株式取得

などの総株主還元を機動的に検討していきます。

健全な財務基盤を維持しつつ、中長期的な投資を実行

10年後を見据えたグランドデザインの一里塚として

発表した2021年3月期までの中期経営計画では、売上

高、営業利益率、自己資本利益率(ROE)、1株当たり当期

利益(EPS)の4つをKPIとして管理し、期間損益の改善

と資本の効率的活用を推進していきます。特にROEが

株主資本コストを上回ること、つまりエクイティ・スプ

レッドがプラスになることを強く意識しているため、利

益を生み出す各製品の評価についてはROICの考え方を

採用しています。具体的には、各製品に損益だけではな

く使用資産に対しても一定のハードルレートを超える

収益性を求めています。各製品に対するハードルレート

の数値は、株主資本コストをベースにした加重平均資本

コスト(WACC)に、直接的な利益を生まない間接部門

のコストをカバーするスプレッドを上乗せ、全社で要求

されるWACCよりも高いものとしています。ハードル

レートを超えない製品があった場合は、売上の拡大、原

価低減、経費節減といった収益性向上策の実施に加え、

設備や棚卸といった資産が過剰になっていないか確認

と改善を行っていきます。このことは、ROEの要素であ

る利益率・資産回転率・レバレッジにおいて、特に利益率

と資産回転率を上げることと同義であり、結果として全

社のROE向上につながります。

健全な財務基盤の維持に向けては、フリー・キャッ

シュ・フローを中計期間の3年間で850~1,000億円創

出し、短期的なリスク対応向けのネットキャッシュを500

~600億円を保有しつつ、超過資金を成長投資やM&Aなど

の事業投資に優先的に活用していきます。当社のグロー

バルな資産配分・管理については、キャッシュ・プーリング

などを活用し、資金が必要な地域に円滑に用意できるよう

にする一方、為替ヘッジなどを活用することで、為替変動

による資金損失が発生しないように配慮しています。

研究開発投資においては、年間300億円以上を継続的に

投資する予定であり、M&A投資は半導体バリューチェーン

におけるソリューション拡充に向けて1,000億円を枠と

して設定しており、M&Aや開発案件の評価については、

ROICと同様に一定のハードルレートを課した上での

回収可能性を判定することで、投資によるロスが発生し

ないようにしていきます。

また、売上拡大、原価低減、コスト削減による収益性向

上とともに、ROICやキャッシュ・コンバージョン・サイク

ル(CCC)を意識して効率性を高めることで、早期に資金

が手許に集まるように取り組んでいます。CCCの日数を

短くすることで、資金を素早く動かせるようにして、いち

早く開発投資などに着手し、競合との争いにも勝って収益

性を高めるキャッシュの好循環を形成していきます。

将来への投資

企業価値を高める上で、無形資産投資、特に当社の事

業特性から人的資本と研究開発投資を積極的に行って

いきます。当社の競争力の源泉である研究開発には今後

も年間300億円以上を継続的に投資していきます。当社

が競合に対する優位性を保ち、半導体テスター業界のナ

ンバー1であり続けるために、幅広い製品ラインアップ

の充実を図る開発投資は必須となります。また、世界的

な高齢化社会の到来が懸念される中、今後は人財の獲得

がより困難になっていくことが想定されます。顧客と

の関係を支えるエンジニアをはじめとして、社内外人

財の獲得・開発にも積極的に投資していく方針です。さら

に、デジタル社会の進展により、既存ITシステムの維持に

多大なコストがかかることやシステムそのものの陳腐化

懸念があり、デジタル・トランスフォーメーションを意識

して、生産システムや社内インフラをはじめとしたITシス

テムの刷新計画を推進しています。

株主価値向上

エクイティ・スプレッドをプラスにするという点で、

当社はROEの向上に取り組んでいますが、一方で資本コ

ストを下げることでエクイティ・スプレッドを大きくプ

ラスにすることができるという面があります。当社が属

する半導体セクターは、株式市場全体の変動と比較して

株価の増減幅が大きい傾向にあり、その分資本コストが

高くなりやすい業界です。当社の売上も景気の動向によ

る顧客の設備投資意欲に左右される面がありますが、年

間保守契約のようなサブスクリプション・モデルの強化

などを通じて、業績の安定化に努めています。また、過去

に資産の減損によって業績が悪化したこともあり、

ROICの考えを社内浸透させることで過剰資産に対する

意識付けを高めています。

株主の価値向上については、自己株式取得による施策

も常に頭に入れてはいますが、半導体業界は成熟ではな

く成長産業だという考えのもと、当社事業の拡大による

企業価値によって実現していくものだと考えます。配当

は、ステークホルダーの一部である従業員向けの賞与と

同様に、業績に連動した方針に基づいていますが、今後

会社が成長することにより結果として増配されて株主

の皆さまに還元されていくものと考えています。

中長期目標を進める上で売上3,000億円レベルの損益モデル

売上高

3,000億円

(100%)

売上原価

1,380億円

(売上比率 46%)

販管費

960億円

(売上比率 32%)

営業利益

660億円

(売上比率 22%)

売上総利益

1,620億円

(売上比率 54%)

Annual Report 2019 3433

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ADVANTEST CORPORATION

Waves(波)を的確に読み、強みをより強く

当社がミッションとして掲げる「先端技術を先端で支える」

は、研究開発部門にとって誇りであると同時に責任でも

あります。常に最先端の技術を磨き保有していることは

重要ですが、それらが製品化あるいはソリューション化

され、かつそれらを必要とする十分な規模のユーザー

(市場)に受け入れられなければ事業として成功したとは

言えません。この将来の事業機会をいち早く的確に捉え、開

発計画に落とし込み事業として成功させることが当社事

業部門(Business Unit)の使命であり、その組織の中

で夢を形にするミッションを担っているのが研究開発部

門です。

取締役兼常務執行役員テストテクノロジー担当 ATEビジネスグループリーダー

ハンス ユルゲン ヴァーグナーHans-Juergen Wagner

❻ SSDテスト・システム(MPT3000 ARC)

❼ メモリ・テスト・システムによる、磁気ランダム・アク

セス・メモリ(STT-MRAM)のスイッチング電流測定技

術を確立

近縁市場の取り込み

2018年4月に発表したグランドデザインにおいて示し

た通り、当社のコアビジネスの近縁には、当社の計測技術

を活かし開拓できる未着手の市場があるとみています。

2019年2月にAstronics社からSLT(System Level Test)事

業を譲り受けたのも、こうした近縁市場へのビジネス拡

大施策の1つです。さらに2018年7月には、コアビジネス

はもとより、近縁市場でやがて来るWavesを感度よく捉

え研究開発計画に落とし込んでいくため、研究開発部門

を越えた組織体制で、ARTeam (Applied Research &

Venture Team)を立ち上げました。技術力のみならず、起

業家精神旺盛なメンバーを集めています。これにより、大

学や研究機関とのコラボレーションも含め、当社のまだ

知らない未来を切り拓いていきたいと思います。

リーディング・カスタマーとの協業を通して、“Waves(波)”を読む

景気の変動を別にすれば、半導体製造技術の進化と生

産量の増加が、半導体テスト事業の成長ドライバーとな

っています。それらは幾重にも打ち寄せる「波」のような

連鎖を伴って訪れます。半導体プロセスの微細化進展に

伴い、半導体がより低コストかつ複雑化・高機能・高性能

化していきます。それを実現するための新しい積層・パッ

ケージ技術が開発され、今までになかった最終製品を生

み出し、新しい市場やビジネスモデルを創出していきま

す。同時にサプライチェーンにおいても技術革新やプ

レーヤーの交代などのダイナミックな変化が起きます。

これらの大きな変化が、また次の技術革新、新製品・新市

場の創出をドライブしていくのです。これが“Waves(波)”

です。このWavesをいち早く的確に捉えるためには、リー

ディング・カスタマー(ある製品、技術分野で世界No.1で

ある顧客またはパートナー)とのコラボレーション(協業)

が不可欠です。リーディング・カスタマーの「挑戦」は、その

先進性と投資規模、さらに現市場やサプライチェーンへ

の影響力という点で、やがて来る大きなWavesを捉え当

社の研究開発の進むべき方向を決めるための羅針盤とな

ります。事業部門の最大のミッションはこのリーディン

グ・カスタマーとのコラボレーションを実現し、そこから

得られたニーズを事業化に向け具体的な開発計画に落と

し込むことであると言えます。

開発部門をグローバルに統合

当社のコアビジネスはATE事業(ATE: Automated

Test Equipment)であり、2018年(暦年)はATE市場シェ

アNo.1、これを支える製品ポートフォリオならびに顧客

基盤は、ともに業界No.1のポジションを確立していると

自負しています。今後とも当社の収益源としてまた企業

価値向上のけん引役として、ATE事業部門の強化は最重

要課題です。2 0 1 1年のVerigy社買収以降、これまで

V93000の開発部門とT2000やメモリテスタの開発部門

が分かれていましたが、2018年度にこれを1つの組織に

統合しました。これによる技術の共有、開発スピードの向

上の期待効果は大きく、すでにグローバルな人事ロー

テーションを展開しています。

2018年度~2019年度における、主な研究開発部門の

成果は、以下の通りです。

❶ NANDフラッシュ、DRAM向けにメモリ・バーンイン・

テスタ新製品群を市場投入(B6700シリーズ)

❷ パワー系および車載系半導体向けソリューションに

よるV93000の市場拡大(AVI64&FVI16)

❸ 高速NAND向けシステムレベル・テスト・システムを

市場投入(T5851 STM16G)

❹ 5G-NRデバイス向けソリューション(V93000 Wave

Scale Millimeter)を発表

❺ V93000の事業領域をプロセス・モニタ/開発工程へ

拡張(V93000 SMU8)

Our Strategy in Action  

戦略特集 1 “Waves”にフォーカスした研究開発

1

2018201520122009200620032000199719941991198819851982197919761973197019671964196119581955

計測器を組み合わせた「ラック&スタック」による、DCテストなど基本的な技術

半導体試験装置の普及ファンクションテスト技術

テスト容易化設計(Design for Testability)スキャンテスト技術など

半導体・電子機器の高度化、複雑化   システムレベル・テスト技術

半導体試験技術の歴史

世界半導体市場(10億ドル)

0

100

200

300

400

500

600

大型コンピューターの時代 パーソナルコンピューターの時代 インターネットの時代 スマートデバイスの時代スマートフォンの時代

Wavesがもたらしたテスティング技術の変遷

(Source:SIA, WSTS)

Annual Report 2019 3635

Introduction Overview Sustainability Governance InformationStrategy

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ADVANTEST CORPORATION

従業員はかけがえのない財産

アドバンテストの従業員は、半導体バリューチェーンの成長と拡大を牽引する最高の資産です。したがって、競争力のある報酬と、グローバルな組織で成長し繁栄するエキサイティングな機会を提供することにより、市場で最高の人財を獲得し、つなぎ留め続けることが不可欠です。特に私たちは、長期にわたる雇用に価値があると信じています。そのため、私たちは職場の働きがいと働きやすさを

高めることが重要と考え、取り組んでいます。その結果、アドバンテストのドイツ拠点は、国際的な人事コンサルティング機関「Great Place to Work®」による「2019年版ドイツにおける働きがいのある会社」100社に選ばれました。米国では従業員にスマートウォッチを配布し、日々のワーク・ライフ・バランス向上に活用してもらっています。そして2018年度に過去最高の売上高(前年度比36%増)を達成する一方で、生産部門の人員を多く抱える日本における平均残業時間を14.8時間

常務執行役員Global HR

キース ハードウィックKeith Hardwick

(2017年度実績12.8時間)と、労働時間の伸びを抑えることができたことも、特筆すべき成果として挙げられます。このように、働き方改革について世界各国の拠点それ

ぞれでプログラムを実施しているほか、業績連動型株式報酬、ジョブローテーションプログラム、海外駐在の機会を広く提供するなど、革新的な取り組みを進めています。

社員の能力を引き出す文化

アドバンテストは、学び続け、成長し続ける意欲のある全ての従業員にトレーニングの機会を提供することに重きをおいています。同時に、社員が自分の強みを発揮したり、弱点の改善に取り組んだりする機会も積極的に作っています。これらのトレーニングや成長により、アドバンテストの従業員は主体性を持って意思決定を行うことを奨励されています。アドバンテストは成功を実現させることだけでなく、失敗から学び改善する姿勢を持っていることに誇りを持っています。このようなトレーニング、成長、そして主体性を持った行動の奨励により、従業員一人ひとりがアドバンテストの成功を担えるようにしています。

従業員エンゲージメント

アドバンテストは、全ての従業員が価値を認められ、尊重され、共通の目標を達成するために共に働くという文化を継続的に追求しています。2018年は、従業員の91%がグローバルな従業員エンゲージメント調査に参加しました。その結果、従業員が仕事や職場に対してどのように感じているかを知るとともに、会社としてどのようなサポートができているかのヒントを得ることができました。

2019年度に入り、アドバンテストは、グローバル全体、国ごとに、そして部門ごとに、エンゲージメントを改善するための行動を始めています。また、従業員エンゲージメント調査に基づき、アドバンテストは数年をか

けて企業文化のグローバルな刷新に取り組んでいくべきであるとの認識にも至りました。私たちの新しい企業文化は、9つの単語の頭文字をとった「INTEGRITY」によって表されます。INTEGRITYは、私たちが会社の中で、そして会社を代表して行う全ての行動において重視すべき価値を定義しています。企業文化の刷新に伴い、世界中の同僚、お客様、パー

トナーと共に、よりよくコミュニケーションし、仕事を進め、切磋琢磨しあえるよう、全従業員の理解を深めるためのワークショップを実施していきます。

グローバル共通の中長期のインセンティブ報酬制度として、業績連動型株式報酬制度を導入しました。これらの業績連動報酬は事業部門や国・地域で区切らず、会社全体の業績をベースに算出する仕組みとしています。これにより、グローバルの社員全員が会社全体の利益を考え協力しながら行動する体制が整っています。また、2014年度以降、グローバルな人事データベースを

整備し、グローバル規模でのプロジェクトチームの組成やスムーズな人事異動などに有効活用しています。さらに、2015年度からはグローバルな人事考課システムを導入し、利用を開始しました。今後も、グローバルな人財開発システムの整備や、多様な人財の積極的な雇用・登用によるダイバーシティの推進、各国の事業戦略などに即した人財採用戦略の策定にも積極的に取り組んでいきます。このようにアドバンテストでは人財投資に継続的に

多額の投資を行っています。2019年度には減収減益が見込まれますが、今後も、研究開発、システムエンジニア、営業など、幅広い海外人財投資を継続し、中期経営計画の最終年度である2020年度やそれ以降に向け市場シェアの維持・拡大を目指します。

新たな企業文化のもと、グローバル人財をグローバルな制度の中で育成し、活用していきます

グローバル人財マネジメント

アドバンテストは、グローバルな顧客基盤をサポートするために、戦略的に人財を配置しています。当社のグローバルな人財のプレゼンス(影響力・存在)は、当社の成功の秘訣の一因であると考えています。長年にわたり、収益の大部分は日本以外によってもたらされており、現在は売上の95%以上が日本以外によるものとなっています。このビジネス状況に基づいて、4,936人の総従業員の48%が、顧客をサポートするため世界各地に配置されています。当社のグローバル人財の活用は、海外の各拠点ではローカル出身者が社長となり、当社の執行役員伴っていることや、その結果として当社の執行役員の42%が日本国外の出身者となっているところからも見て取れます。なお、当社ではグローバルの従業員を公平に扱い、把

握するために、資格制度や人事考課制度を統一するとともに、利益配分のインセンティブとしてのグローバルボーナス制度を共通で持っています。また、昨年度には

Innovation 私たちが起こすものNumber One 私たちが目指すポジションTrust 私たちを一つにする礎Empowerment 私たちの成長の機会Global 私たちが活躍するフィールドRespect 私たちの信条Inclusion and Diversity 私たちの誓いTeamwork 私たちの仕事の進め方Yes 私たちの姿勢

Organization& Job Design

グローバルでの組織形成や配置を容易化します

AdvantestGlobal Job Level

Framework

アドバンテストと海外関係会社は

10段階の資格制度を採用しました

Recruiting

優秀な人員を世界から集められます

CareerDevelopment

職務要件の共通化によりキャリア形成を容易にします

GlobalBonus Policy

グローバルに同じポリシーと目標(参照指標)を設定します

PerformanceReview

グローバルに統一された資格制度と考課制度が公正さと信頼関係を確かなものにします

Compensation& Rewards

資格と報酬の関連付けもグローバルで統一しました

「ARMS人事考課制度」

Our Strategy in Action  

戦略特集 2 業界最先端の優秀な人財の育成に向けて

2

Annual Report 2019 3837

Introduction Overview Sustainability Governance InformationStrategy

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ADVANTEST CORPORATION

Approach to Risk Management

リスクマネジメントアドバンテストはグローバルかつ多様化するリスクに対し、戦略的・継続的なリスクマネジメントを推進しています。

リスクマネジメントの体制

主要なリスク 主な対応策

1 半導体産業に対する需要の顕著な変動生産のアウトソース化を推進することで、需要の変動にも対応できる体制を構築すると

ともに、サービスの強化や半導体産業以外の事業領域への事業拡大を図ります。

2グローバル事業展開に伴う

世界経済・政治の影響

世界経済、国際政治の動向に注意を払うとともに、顧客価値を第一に考えた対応をして

います。

3新製品がタイムリーにデリバリーできない

ことによるシェアの低下

顧客との緊密なコミュニケーションを通して、顧客ニーズを早期に捉えるように努めて

います。

4 少数サプライヤーへの依存による機会損失 部品・設計の標準化を図り、特定のサプライヤーに過度に依存しない体制を構築しています。

5 激しい競争によるシェアの低下独自の機能、付加価値の高いソリューションを提供することで、製品競争力が維持できる

よう努めています。

6 上位顧客への売上高の大きな依存 新規顧客の開拓により、幅広い顧客層を獲得することを目指しています。

7 製品の価格低下圧力独自の機能、付加価値の高いソリューションを提供することで、適正な製品価格が維持で

きるよう努めています。

8 為替変動による収益性への影響保有通貨のバランスを調整することで、為替変動による影響を少なくするよう努めてい

ます。

9 新製品の開発コストの回収性 マーケティング強化と汎用的な製品開発により回収率の向上を図っています。

主要なリスク 主な対応策

10 製品市場の集中化による限定的な販売機会 新規事業の開発、M&Aなどにより、事業領域の拡大を目指していきます。

11 のれんおよび無形資産の多額の減損損失M&Aなどの資産の取得に際しては、資本コストを十分に考慮した上で投資判断を行って

います。

12自然災害や当社情報システムへの攻撃被害

などによる事業運営の停止

BCP計画を策定するとともに、生産拠点や外部サプライヤーの分散化、クラウドの活用に

よるデータの分散保存などにより、事業運営に支障が出ないように努めています。

13 設備投資の回収性 資本コストをベースとした回収可能性を十分に吟味した上で投資判断を行っています。

14 製品欠陥などによる信用・ブランド力の低下設計段階でのレビューや品質管理部門のクロスチェックなどを通して、信頼性の高い製

品の提供ができるように努めています。

15 化学物質規制強化による対策費用の発生環境規制に係る化学物質の動向についてモニターするとともに、代替技術の検討を行っ

ています。

16当社による第三者の知的財産権の侵害、

および第三者による当社知的財産権の侵害

当社従業員を対象に定期的に教育を行っているほか、製品開発の時点で特許侵害の有無を

確認しています。また、第三者による当社知的財産権の侵害に対しては、当社の権利を主張

し厳正に対処します。

17 専門性の高い人財の不足中長期的な採用計画の策定、グローバルローテーションなどにより人財の安定を図って

います。

18当社ITシステムの陳腐化による業務効率の

停滞

優秀なITシステム人財を確保するとともに、現在保有しているITシステムを洗い出し、用

途・継続性と市場の新しい技術を比較しています。

アドバンテストは、グローバルな事業展開に伴い、内的

要因・外的要因を問わず多様なリスクに直面します。当社

の事業活動、企業経営、業績、株主価値、対外的評価に大き

な影響を与えるおそれがあるそれらのリスクを主要なリ

スクとして予見し、その影響を分析し、継続的に適切な対

策を講じることで、リスク発生の抑制および発生した場

合の被害最小化を図っています。

当社は、内部統制委員会を置き、アドバンテストグ

ループの内部統制活動を統括しています。内部統制委員

会は、事業部門、コーポレート部門、主な国外関係会社の

それぞれのトップにより構成され、社長が委員長を務め

ています。

委員会の各委員は、自らのユニットにおけるリスクア

セスメントを定期的に実施し、経営環境、事業活動、およ

び会社財産に対する潜在的なリスクの認識、評価および

改善活動を通じて適切なリスクマネジメントを行ってい

ます。内部統制委員会では、半期ごとにグループ全体のリ

スクのモニタリングを実行し、主要なリスクについての

評価と対策を行っています。

当社はリスクマネジメント体制の体系化とマネジメント、事業部門、コーポレート部門の役割の明確化を図っています。

内部統制

主要なリスク

基本的な考え方

常務会

内部統制委員会

事業部門

報告

海外関係会社コーポレート部門

取締役会

Annual Report 2019 4039

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ADVANTEST CORPORATION

Sustainability

持続可能性を高めるマテリアリティアドバンテストは、長期的な視点に立ち、現代社会が抱えるさまざまな課題に対して「はかる」技術で貢献することを事業と

サステナビリティ活動の原点としています。その原点を忘れずに、サプライチェーンも含めた企業活動全体で、利益創出による

企業価値向上と事業を通じた社会的課題の解決に努め、持続可能な社会実現への貢献という社会的責任を果たしていきます。

近年の情報化社会はますますその役割と分野を広げ、

そのデータ量も莫大な規模となっています。

また、社会の活動を支えるデータセンターや自動車、

医療分野などを代表として、従来にも増して高い信頼性

を求められる時代となってきました。

グローバルな社会的課題の解決のために、今後、半導体

の役割はますます重要になります。アドバンテストは

半導体の高信頼性、高機能化、大容量化に対応し、半導体

のテストを通じて社会の「安心・安全・心地よい」と持続可

能な未来へ貢献してまいります。

アドバンテストでは、自社事業が社会に及ぼす影響

および社会から求められる解決すべき課題を把握した上

で、自社として取り組むべき重要課題(マテリアリティ)

を明確にし、具体的な取り組み指標(KPI)に基づいて

マネジメントしていくことが重要だと考えます。

マテリアリティに対する考え方

マテリアリティの特定

GRIスタンダード、RBA行動規範

の要求事項、SASBなどの業界スタン

ダード、国際的開示基準および顧客

や投資家からのアンケート調査の内

容を踏まえ、自社としてのバウンダ

リーやビジネスリスクとの整合性を

考慮して評価基準を設定しました。

持続可能な開発目標

気候変動への対応や貧困の撲滅など、よりよき未来を

実現するための世界共通の目標として2015年に国連で

持続可能な開発目標(SDGs)が採択されました。

アドバンテストは経営理念である「先端技術を先端で

支える」のもと、社会基盤となる半導体のテストを通じて、

社会の技術発展および社会的課題の解決に貢献します。

CSRワーキンググループメンバー、

関係部署、担当役員で「ステークホル

ダーから見た重要度」、「アドバン

テストグループとしての重要度」の

視点からマテリアリティを検討しま

した。

自社から見た重要性と社会から見た重要性は以下の通り

自社から見た重要性

社会から見た重要性

• 水 •排水および廃棄物 •サプライヤーの環境評価 •研修および教育 •多様性と機会均等•サプライヤーの労働慣行評価 •サプライヤーの人権評価 •反競争的行為 •サプライヤーの社会への影響評価

•経済的パフォーマンス •エネルギー •大気への排出 •製品およびサービス •労働安全性 •紛争鉱物 •有害物質 •知財保護

•生物多様性•環境全般•地域コミュニティ

•原材料 •環境に関する苦情処理制度 •労使関係 •男女同一処遇 •労働慣行に関する苦情処理制度 •投資 •非差別 •結社の自由と団体交渉 •児童労働 •強制労働 •保安慣行 •先住民の権利 •人権評価 •人権に関する苦情処理制度•社会への影響に関する苦情処理制度 •マーケティング・コミュニケーション •BCP

•コンプライアンス(環境) •雇用 •腐敗防止法務•コンプライアンス(社会) •顧客の安全衛生 •顧客プライバシー •コンプライアンス(製造責任)

•地域での存在感 •間接的な経済影響•調達慣行 •公共政策

•輸送・移動 •製品およびサービスのラベリング

高低

特定されたマテリアリティ

最重要領域と特定された項目重要領域と特定された項目

その他の領域と特定された項目

特定したマテリアリティについて

は、常務会での議論を経た上で決定

しました。このマテリアリティ・アス

ペクトごとに1~2つの具体的な活

動の指標およびKPI目標値を策定し

ました。

Step1 Step2 Step3項目整理と評価基準の作成

社内外の視点で見た重要度の検討

マテリアリティ確定とKPI策定

推進体制

※ 1: 地域に根ざした社会貢献活動は、各国の地域の関係会社が活動を推進する。

※2: 事業活動やグローバル展開に関わるCSR活動は、CSRワーキンググループを通じて、活動を推進する。(コンプライアンス、顧客対応、品質保証、人権、環境など)

アドバンテストのCSR活動は、下図の体制で推進して

います。CSR・環境推進室は、サステナビリティ動向の調

査および取り組むべきサステナビリティ課題を明確に定

めて、全社で解決する推進機能を有しています。

これに加えて、全社横断的なサステナビリティの取り

組みを推進するため、総務・人事・広報・営業・品質保証・生

産などの社内の責任部門からメンバーを選任した「CSR

ワーキンググループ」を設置し、ワールドワイドな活動を

展開しています。

CSR推進体制(※1,2)

常務会

CSR・環境推進センタ

取締役会

CSRワーキンググループ(事務局:CSR・環境推進室)

社長室コーポレートコミュニケーション統括部

CSR・環境推進室

Advantest America, Inc. (AAI)

Advantest Europe GmbH (AEG)

Advantest (Singapore) Pte.Ltd. (ASP)

Advantest (China)Co., Ltd. (ATC)

Advantest Taiwan Inc. (ATI)

Advantest Korea Co., Ltd. (ATK)

国内関係会社

Annual Report 2019 4241

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ADVANTEST CORPORATION

世界中のさまざまな場面で使われる半導体のテストを通じて、アドバンテストは社会の「安心・安全・心地よい」と持続可能な未来へ貢献してまいります。

サステナビリティ目標(マテリアリティ)

Sustainability

カテゴリ 特定したマテリアリティ KPI 重要な理由 SDGs関連項目

経済 経済パフォーマンス 売上高、営業利益率、ROE、EPS 企業が持続的に活動し続ける上で、売上高や営業利益、ROE、EPSといった経済パフォーマンスは基盤であり最重要な指標であると考えています。

環境

エネルギー エネルギー消費原単位改善率 アドバンテストは、地球環境のためにも効率的なエネルギー利用は重要なCSR活動であると考えています。

大気への排出 GHG排出量スコープ1・2事業活動をする上で、地球規模で取り組むべき温室効果ガス削減への取り組みは不可欠であり、エネルギー効率化に伴う排出量削減に取り組むことは重要であると考えます。

排水および廃棄物 廃棄物リサイクル率 資源に関して3Rを推進し、循環型社会に貢献することが企業の社会的責任の一環であり、廃棄物への取り組みが重要であると位置づけています。

有害物質 取引先有害物質含有調査の対象先割合 RoHS指令をはじめとした、電気・電子関連の法令の追加・改定が行われる中で、当社がコンプライアンスを保持するために、必要であると考えています。

製品およびサービス グリーン製品自主基準クリア製品割合アドバンテストの製品は、その利用を通じて大小さまざまな環境負荷が発生しています。環境負荷を低減させるグリーン製品は、地球環境課題への対応だけでなく、当社製品の品質の高さを伝えるという側面からも重要だと考えています。

コンプライアンス(環境) 環境コンプライアンス摘発件数事業活動は、さまざまな環境影響を外部に与えます。アドバンテストでは、自社の事業活動が社会に与え得る環境影響を考慮し、コンプライアンスの徹底を図り、環境経営に反映させることが重要と考えています。

サプライヤーの環境評価 環境影響評価を行った上で、取引を開始した新規サプライヤーの割合アドバンテストは、部品・材料や製造プロセスにおいても、環境保全の視点を取り入れることで、高品質なグリーン製品の開発につなげることが重要だと考えています。

社会

紛争鉱物お取引先様に材料・部材などの調達先の透明性確保をお願いするとともに、業界団体と連携し、紛争鉱物情報(製錬業者情報)の調査を行い、よりリスクの少ない部材の使用を継続する。

紛争鉱物は、米国金融規制改革法で規制されているだけでなく、社会全体で大きな問題になっています。アドバンテストは、2016年4月に米国上場を廃止し、米国金融規制改革法の対象外となっています。しかし、業界全体が連携して取り組んでいるこの問題について、アドバンテストも対応が重要であるという認識を持って取り組んでいます。

雇用 出産・育児休暇後の復職率企業活動の根幹は人財です。アドバンテストでは、多様な人財を継続的に採用し、活躍できる職場を提供することが、企業価値を向上させる上でも重要な取り組みであると考えています。

労働安全衛生 労働災害発生率 アドバンテストは、事業活動を遂行するに当たり、従業員の安全確保と健康保持は大前提であり、常に意識の向上を図る必要があると認識しています。

研修および教育 従業員一人当たりの年間平均研修時間企業価値を向上させるには、社員一人ひとりが自分の役割を明確に把握し、個人の能力を高める必要があります。その点から、研修および教育に関しては、重要なCSRテーマであると認識しています。

多様性と機会均等 女性社員比率アドバンテストは、社員個々人の多様性を受容し、差別を排除し、一人ひとりが最大限に力を発揮し、いきいきと活躍できる職場を提供することが、社会からの信頼を得るためにも、かつ企業価値向上のためにも重要であると認識しています。

サプライヤーの労働慣行評価 労働慣行に関する評価を行った上で、取引を開始した新規サプライヤーの割合アドバンテストは取引先まで含めた関連する幅広いステークホルダーが人権や労働慣行を遵守する中で、自社の事業を遂行していくことが重要であると考えています。

非差別 ヘルプラインへの問い合わせに対する解決件数アドバンテストは、グローバルに事業を遂行していくに当たり、年齢・性別・国籍・宗教などによる差別を排除し、全ての人々がいきいきと働ける企業であることが重要であると考えます。

サプライヤーの人権評価 人権に関する評価を行った上で、取引を開始した新規サプライヤーの割合アドバンテストは、部品・材料や製造プロセスにおける人権侵害は、自社の影響範囲であることを認識し、サプライヤーも含めた広い範囲での人権保護が重要であると考えています。

腐敗防止 不正行為の摘発件数法令遵守、ガバナンスは企業活動の基礎であり、贈賄・収賄といったステークホルダーの信用を著しく毀損する行為をなくすことは、最低限の企業の社会的責任であり、第一に考えるべきことと認識しています。

独占禁止法の遵守 関連する法的措置事例件数 アドバンテストでは、反競争的行為をやめ、公正な取引を行うことが社会からの信頼を得るために重要なことだと認識しています。

コンプライアンス(社会) 社会的側面におけるコンプライアンス違反件数アドバンテストは、ステークホルダーからの信用・信頼を得るためには、社員一人ひとりが高い倫理観を持って社会的責任を遂行することが重要であると考えています。

サプライヤーの社会への影響評価 社会への影響評価を行った上で、取引を開始した新規サプライヤーの割合アドバンテストは、部品・材料や製造プロセスにおけるコンプライアンス事案や社会規範遵守も、自社に影響を与える点を認識し、お取引先様の皆さまを含めたサプライチェーン全体が社会的責任を果たしていくことが重要だと考えています。

顧客の安全衛生 安全性に関する自主規範違反件数現代社会において製品の安全性はますます重要視されています。この社会的な期待に対して、より高度に対応していく継続的な取り組みが重要だと認識しています。

顧客のプライバシー 情報セキュリティに関するクレーム件数お客様やお取引先様からいただいた情報は、社会的に保護されるべき情報であり、かつ当社にとっての情報資産でもあります。これらの情報を適切に保護・管理する活動は重要であると認識しています。

知的財産保護 知的財産に関するe-learning受講者割合アドバンテストは最先端の技術力を強みとしています。そのため、自社の知的財産は競争力の源泉であり、これを保護することは、企業存続のために重要であると考えています。

コンプライアンス(製品/サービス) 製品/サービスに関するコンプライアンス違反件数 製品やサービスに関連する法律の遵守は、企業にとっての社会的責任であり、幅広い意味での品質管理になると考え、重要だと考えています。

「持続可能な開発目標(SDGs)」とはより良き将来を実現し、私たちの地球を守るために、貧困や不平等、生物多様性の維持、気候変動への

対応など、私たちを取り巻く社会的課題の解決に向けた「持続可能な開発目標(Sustainable Development

Goals)」が2015年9月に国連の全加盟国(193カ国)で採択されました。このSDGsで掲げられた17の目標と169のターゲットに全世界が取り組むことによって、『誰も取り残

さない』世界を実現しようという壮大なチャレンジです。

Annual Report 2019 4443

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ADVANTEST CORPORATION

アドバンテストグループは事業活動を通じ、社会の持続可能な発展に貢献します。

さらに、気候変動対策や生物多様性保全などの環境保護およびエネルギーや水資源などの持続可能な利用に努め、社会

に信頼される企業として、全員参加で、以下の項目の環境保全活動に積極的に取り組みます。

The Advantest Way

環境方針

生物多様性行動指針

環境行動計画

環境マネジメントシステム

ステークホルダー

情報公開

法令遵守、汚染防止

アドバンテストの環境経営

環境保全活動

グリーン製品の開発

事業プロセスの革新

●計測技術の提供 ●利益の還元

●社会的価値 の向上 ●企業競争力の 強化

●利益

自主基準

省エネ設計

省部材設計

小型化設計

自主基準

再生可能な樹脂材料の使用

解体の容易性を考慮した設計

廃棄情報の開示

自主基準

グリーン調達率の向上

使用禁止物質の排除

アドバンテストグループは、グローバルに環境経営を推進するための体制を構築しています。

推進体制

アドバンテストグループでは高精度・高品質を第一に、

環境保全という視点で製品開発に取り組み、「省エネル

ギー・省資源対策」「リサイクル性の向上」「有害物質の排

除」の3つのポイントで環境に配慮した製品をグリーン製

品と認定しています。グリーン製品においては環境負荷の

アドバンテストグループでは、新製品に対して製品

環境アセスメントを実施しています。

製品環境アセスメントでは、省エネ・省部材・小型化、

リサイクル設計、有害物質の排除などの項目について

低減と同時に経済的な価値の向上も見られるため、当社グ

ループではグリーン製品の提供が社会的要求に応え、お客

様のメリットにもなるとの考えに基づき、取り組みを推進

しています。

審査を行い、アドバンテストで定めた「グリーン製品自主

基準」をクリアした製品に、グリーン製品認定品として

「エコラベル(タイプⅡ)」を付与しています。

基本的な考え方

グリーン製品提供までの流れ環境マネジメントの推進環境マネジメントシステムを維持し、事業活動と環境効率を両立させた環境目標を設定し、グローバルな環境保全活動を推進します。

お客様の環境負荷低減省エネルギー、リサイクル性向上、有害物質の排除を行い、製品の材料調達から廃棄までのライフサイクルを考慮の上、お客様の環境負荷低減に貢献するグリーン製品やサービスを提供します。

事業プロセスの革新事業活動におけるプロセスを革新し、環境に配慮したものづくりによる環境パフォーマンスの継続的改善を推進します。

環境保護と資源の持続可能な利用事業活動が環境に与える影響を把握し、気候変動対策や生物多様性保全などの環境保護およびエネルギーや水資源などの持続可能な利用に努めます。

環境関連法令の遵守、汚染防止環境関連法令および自ら定めた事項を遵守し、化学物質や廃棄物などによる環境汚染と健康被害を予防します。

1

2

3

4

5

省エネ、省資源 リサイクル設計 有害物質排除(グリーン調達)

製品環境アセスメント実施

グリーン製品判定

合格

エコラベル付与

グリーン製品の提供

新製品開発

有害物質排除

リサイクル設計

省エネ 省部材小型化

グリーン設計基準 グリーン製品自主基準取締役会

常務会

CSR・環境推進センタ(全社委員会)

環境経営責任者(環境担当役員)

環境管理責任者

環境事務局

・環境マネジメントシステムの運用

・環境に関する経営戦略および行動計画の立案、全社展開

・環境経営の指揮、成果の確認

・環境マネジメントシステムの確立、実施、維持管理

事業部門 国内・海外関係会社

社長室CSR・環境推進室

Materiality Focus Environment

マテリアリティ・フォーカス 1 環境

1

■ アドバンテストグループ環境方針

■ グリーン製品

Annual Report 2019 4645

Introduction Overview Sustainability Governance InformationStrategy

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ADVANTEST CORPORATION

2,568

2019年

2018年

2017年

2,5532,502687

705741 529

536

620

1,007

927

847

ヨーロッパ2019年 741名 (15%) うち女性 128名2018年 705名 (15%) うち女性 125名2017年 687名 (15%) うち女性 113名

アジア2019年 1,007名 (20%) うち女性 236名2018年 927名 (20%) うち女性 217名2017年 847名 (19%) うち女性 197名

北米2019年 620名 (13%) うち女性 108名2018年 536名 (11%) うち女性 88名2017年 529名 (12%) うち女性 84名

日本2019年 2,568名 (52%) うち女性 416名2018年 2,553名 (54%) うち女性 400名2017年 2,502名 (55%) うち女性 378名

アドバンテストは顧客や従業員、地域コミュニティーなどさまざまなステークホルダーに支えられており、その全てに

対して社会的責任を負っています。当社では「社会」に関して特定したマテリアリティ(p.43~44参照)に基づいたマネ

ジメントを実施しています。

当社では、グローバル人財、フロンティア人財の育成に

向け、グローバル共通や各国独自のさまざまな取り組みを

行っています。

具体的な活動として、定期的に「Global HR Meeting」を

開催し、各国での状況や取り組みを共有し、また、グループ

共通の人事課題解決に向け議論する場を設けています。

この「Global HR Meeting」では、グループ各社の人事責

任者が集結し、各国の取り組みや課題を発表。また、共通の

人事制度や新たなシステム導入など、さらなるグローバル

化に向けた議論を行い、交流を深めています。

当社は、従業員個々人の多様性を受容し、一人ひとりが

最大限に力を発揮し、いきいきと活躍できる職場づくりを

目指しています。個々の違いを尊重し、それぞれが個性や

能力を存分に発揮し活躍できる企業風土の形成に取り組

んでいます。

具体的には、人種・性別・年齢・国籍・宗教・社会的出自・身

体的障害・疾病・性的指向などによる差別を排除すること

を、基本方針で約束しています。また、採用や人事処遇にお

いても、差別を排除し、グローバルに活躍できる人財の採

用、育成、登用に力を入れています。

ダイバーシティマネジメント

当社では、企業倫理相談室、コンプライアンス委員会を

中心に、人権問題の啓発、施策、差別的取り扱いに関する

相談および苦情対応に努めています。

また、取引先に対しては、「アドバンテストサプライ

チェーンCSR推進ガイドブック」を共有し、強制労働や

児童労働、差別の禁止など、人権への配慮も徹底するよう

周知を図っています。

人権の保護・尊重を推進する体制

当社は、グローバルに事業展開するに当たって、人権へ

の配慮が重要な要素であると考えています。各国・地域の

法令などを踏まえ、「世界人権宣言」などの人権に関する

国際規範を支持し、基本的人権を尊重します。

また、国際連合が提唱する世界的なイニシアチブであ

る「国連グローバル・コンパクト」に署名するとともに、日

本におけるローカルネットワークである「グローバル・コ

ンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入し、国連が提唱

する、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野で企業が遵守す

べき普遍的原則「国連グローバル・コンパクト10原則」を

支持し、各分野における取り組みを推進しています。さら

に、当社の企業文化の基盤である「The Advantest Way」

においても、人種・性別・年齢・国籍・宗教・社会的出自・身

体的障害・疾病・性的指向などによる差別を禁止する、人

権擁護に関する方針を定めて

います。また、人権と差別防止

マニュアル、ハラスメント防止

ガイドを策定し、人権の保護・尊

重を推進しています。

人権を尊重した職場づくり

グローバル人事活動

近年の事業のグローバル化を背景に、異文化に対する理

解が深く、高いコミュニケーションスキルを持って、グロー

バルな舞台で業務を遂行できる人財の獲得を目指してい

ます。具体的には、グループ全体でワールドワイドな視点で

の人事制度構築および人財の採用、育成、配置などを行い、

グループ各社間の人事ローテーション・交流を通して、組織

のグローバル化を推進しています。また、各組織における日

常業務やトレーニングを通して、それぞれの持つ技術やノ

ウハウを共有することで、個々の従業員がより高度な技術

と多様なビジネス環境に適応したスキルを習得する取り

組みを実施しています。

グローバル人財の採用・活用

本人・所属長・第三者からの相談・苦情

相談・苦情窓口(人権擁護委員会)

事実関係の確認

「相手」ヒアリング 「周辺」ヒアリング「本人」ヒアリング

事実が確認された 事実が確認できない

•職場環境の見直しと防止策の徹底•相談者への説明•当事者間の関係改善の支援

会社の対応を検討

•雇用管理上の措置(人事異動、不利益回復、メンタルケア、当事者間の関係改善支援など)•相談者への説明•就業規則に基づく加害者への処分•職場環境の改善と再発防止策の徹底

地域別従業員数 (人数は各年の3月31日時点)

Materiality Focus Social

マテリアリティ・フォーカス 2 社会

2

■ 多様性と機会均等

■ 人権の保護・尊重

Annual Report 2019 4847

Introduction Overview Sustainability Governance InformationStrategy

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ADVANTEST CORPORATION

アドバンテストは、企業の持続性には、従業員一人ひとりが高い倫理観を持って社会的責任を遂行し、ステークホルダー

からの信用・信頼を得ることが最も重要であると考えています。この考えに基づき、経営、業務執行の基本方針として

「The Advantest Way」を定め、経営理念、ビジョン、コア・バリューおよび行動指針、ESG推進によるサステナビリティ、さ

らに具体的な行動基準を示すことで、倫理意識の向上に努めています。

コンプライアンスは経営上の最重要課題であり、事業活動を進める大前提です。アドバンテストは従業員一人ひとり

が高い倫理観を持って社会的責任を遂行するために、「The Advantest Way」の中に行動基準を示し、グループ従業員全

員の意識向上に努めています。

アドバンテストは、取引先の皆さまを含めたサプライチェーンとして社会的責任を果たしていくために、当社のウ

ェブサイト上で「調達方針」および「アドバンテストサプライチェーンCSR推進ガイドブック」を公開し、取引先に関連法

令と社会規範の遵守をお願いしています。

当社の部材調達において影響が大きい取引先にCSRに関するアンケートを年1回実施しています。アンケートの設問

内容については、「サプライチェーンCSR推進ガイドブック」の内容を中心に、その年の当社の重点課題や、前年までの調

査結果の分析をもとに毎年内容を再検討し、取引先の皆さまとの認識を合わせられるように工夫して実施しています。

また、取引先ごとに回答結果をまとめた資料を作成し、評価の高い点、改善をお願いする点等について個別にフィード

バックさせていただくことで、当社とともに発展していく関係を築いています。

当社では監査室および法務部門の連携により、各国法令に関する啓発活動の強化を図っています。また、グループ従業

員全員に対し「The Advantest Way」と「汚職防止および贈収賄防止」の定期的なe-learning教育と、遵守合意取り付けを

実施しています。

2018年度は、グループ従業員全員がe-learning教育を受け、遵守に合意しています。

コンプライアンス教育

マテリアリティ KPI 重要な理由 責任部署・部門

環境的側面環境法令違反摘発件数:

0件環境関連の重大な法令違反

の未然防止に努める

CSR・環境推進センタ、

環境経営責任者

非差別ヘルプライン問い合わせの解決件数:

全件

年齢・性別・国籍・宗教など

による差別を排除し、いきい

きと働ける企業を目指す

企業倫理相談室、

コンプライアンス委員会

腐敗防止不正行為の摘発件数:

0件贈賄・収賄などステークホ

ルダーの信用を著しく毀損

する行為をなくす

法務部

独占禁止法の遵守法的措置事例件数:

0件反競争的行為の撲滅、公正

な取引の励行法務部

社会的側面法令違反摘発件数:

0件高い倫理観のもと、社会的

責任を遂行する

企業倫理相談室、

コンプライアンス委員会

コンプライアンスに関するマテリアリティ

サプライチェーンにおける社会的責任

アドバンテストは、全グループ従業員が「The Advantest Way」を十分理解し、遵守するよう指導・アドバイスを行って

おり、運用体制もグローバルで整備しています。

また国際社会の一員として、国ごとに異なる法令などを守り、正しく事業を遂行していることを確認するため、グロー

バル監査チームにより、コンプライアンス監査を定期的に実施しています。

コンプライアンス推進体制

業務や諸事情を理解している所属長に相談 業務上関係する部署に相談

所属長

上記関係者に相談しにくい場合直接相談

企業倫理相談室

関係部署

Materiality Focus Governance

マテリアリティ・フォーカス 3 ガバナンス

3

■ 企業倫理と法令遵守

Annual Report 2019 5049

Introduction Overview Sustainability Governance InformationStrategy

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ADVANTEST CORPORATION

日本国籍

80%

外国籍

20%

Corporate Governance

コーポレートガバナンス

当社グループは、「先端技術を先端で支える」を経営

理念とし、世界中のお客さまにご満足いただける技術・

商品・サービスを提供するために、絶えず自己研鑚に励

み、最先端の技術開発を通して社会の発展に貢献するこ

とを使命としています。

この経営理念に従い、当社グループは、ステークホル

ダーからの負託に応え、当社グループの持続的な発展と

中長期的な企業価値の向上を目指します。その実現のた

め、公平、効率的、かつ透明性の高いガバナンス体制を構

築することをコーポレートガバナンスに関する基本的

な考え方としています。

なお、当社の「コーポレートガバナンス基本方針」は、

以下の当社ウェブサイトにおいて公開しています。

コーポレートガバナンスの基本的な考え方

コーポレートガバナンス体制

https://www.advantest.com/investors/management-policy/corporate-governance

選任・解任

選定・解職・監督

指揮・命令

内部監査

選任・解任 選任・解任

補助

監査等委員でない取締役会計監査人

執行役員

業務執行の各部門およびグループ

会社

取締役会 監査等委員会監査・監督

連携

常務会

監査

連携 連携

諮問 答申

指名報酬委員会

監査等委員会室

監査室

内部統制委員会

開示委員会

危機管理本部

コンプライアンス委員会

監査等委員である取締役

<業務執行の意思決定機関>

執行役員社長

株主総会

コーポレートガバナンス体制強化の取り組み

ガバナンス・ハイライト

取締役会の構成比率

取締役男女比率 外国籍取締役比率

取締役会議長

吉田 芳明(代表取締役兼執行役員社長)

監査等委員会委員長

栗田 優一(社内取締役)

指名報酬委員会委員長

占部 利充(社外取締役)

取締役会議長/各種委員会委員長

社内取締役

50%

社外取締役

50%

男性

90%

女性

10%

新任

1~5年

6~10年

4人

3人

3人

2003年6月  執行役員制度の導入 2006年2月  第1回指名報酬委員会の開催2017年1月  指名報酬委員会の委員の過半数を

社外取締役とする2018年6月  女性取締役の選任

株式報酬制度の導入・ストックオプション報酬制度の見直し

2011年6月  外国籍取締役の選任 2015年6月  監査等委員会設置会社に移行

2006年6月  退職慰労金制度の廃止 社外取締役の選任

2017年6月  指名報酬委員会の委員長に社外取締役を選任

取締役の在任期間(通算)2019年6月26日現在

Annual Report 2019 5251

Introduction Overview Strategy Sustainability InformationGovernance

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ADVANTEST CORPORATION

各取締役の選任事由、所属委員会、出欠状況

氏名地位および担当

選任事由所属する委員会と出席率※

1 吉田 芳明 代表取締役兼執行役員社長

当社子会社代表取締役、当社の経営企画部門長、社長室長およびナノテクノロジー事業部門長を経て、2017年1月から代表取締役兼執行役員社長を務めており、当社グループの事業および会社経営に幅広い知識と経験を有することから、持続的な企業価値向上の実現のために適任と判断しました。

14/14

14/14

2 唐津 治夢 社外取締役

国内外の研究開発機関の経営経験に加え、半導体に精通する専門家としての幅広い知識と経験を有しています。当社が属する業界に係る同氏の識見を当社グループの経営に反映させることが当社の持続的な企業価値向上および取締役会の活性化に資するものであることから、当社社外取締役として適任と判断しました。

14/14

3 新任

占部 利充社外取締役

日本を代表する総合商社での豊富な経営経験、特に米国およびアジアにおける海外経験、事業投資判断などに関する経験、人事など管理部門に関する幅広い経験を有しています。同氏の識見を当社グループのグローバル経営に反映させることが当社の持続的な企業価値向上および取締役会の活性化に資するものであることから、当社社外取締役として適任と判断しました。

4新任

ニコラス ベネシュ

社外取締役

コーポレートガバナンスに係る幅広い知識と経験およびM&Aを含む投資銀行実務の経験を有しています。コーポレートガバナンスおよび株主目線に係る同氏の識見を当社グループのグローバル経営に反映させることが当社の持続的な企業価値向上および取締役会の活性化に資するものであることから、当社社外取締役として適任と判断しました。

5 ハンスユルゲン ヴァーグナー

取締役兼常務執行役員

ATEビジネスグループの事業責任者およびAdvantest Europe GmbHのManaging Directorを務めています。当社のコアビジネスである半導体・部品テストシステム事業に関わる市場動向や技術開発に対して、豊富な知識を有しています。また世界各地での顧客とのつながりも深いため、取締役会のさらなるグローバル化のためにも適任と判断しました。

13/14

6 塚越 聡一 取締役兼常務執行役員

営業部門に従事し、営業部門の副本部長を務めた後、現在は生産部門長を務め、営業および生産の両部門に関して幅広い知識と経験を有することから、製造現場の効率化およびサプライチェーンの最適化による持続的な企業価値向上の実現のために適任と判断しました。

14/14

7 新任

藤田 敦司取締役兼常務執行役員

米国およびドイツにおける海外勤務を含め、長年にわたり経理・財務を中心とした管理部門に従事し、当社グループの事業および経営管理に関して幅広い知識と経験を有することから、当社の持続的な企業価値向上の実現のために適任と判断しました。

8 栗田 優一 取締役 常勤監査等委員

財務および経営企画部門における長年の経験があり、財務および会計に関する幅広い知識と経験を有しています。また、当社の取締役および監査役を歴任し、現在は常勤の監査等委員である取締役として監査・監督およびガバナンスの向上に努めています。このような実績を踏まえ、監査・監督機能の向上のために適任と判断しました。

14/14

12/12

9 村田 恒子 社外取締役 監査等委員

民間企業および日本年金機構における役員としての実務経験に加え、法務部門責任者として企業のコンプライアンス対策および企業ガバナンスに精通しており、さらに、日本年金機構および株式会社日本政策金融公庫における監事・監査役としての監査実務を通じた豊富な経験を有しています。企業法務および監査実務に係る同氏の識見を当社グループの監査・監督に反映させることが監査・監督機能の向上に資するものであることから、当社監査等委員である社外取締役として適任と判断しました。

14/14

12/12

10 新任

難波 孝一社外取締役 監査等委員

長年にわたり主に民事事件を担当する裁判官を務めた後、弁護士として企業法務の実務に携わるなど、法律やコンプライアンスに関する豊富な経験と高度な専門的知識を有しています。同氏の識見を当社グループの監査・監督に反映させることが監査・監督機能の向上に資するものであることから、当社監査等委員である社外取締役として適任と判断しました。

取締役会  監査等委員会  指名報酬委員会

※2018年の定時株主総会終結時から2019年6月の定時株主総会終結時まで

財務・会計

半導体業界知見

グローバルオペレーション

法務

研究開発

社外取締役 監査等委員

難波 孝一職位任命 2019年生年月日 1949年9月1日国籍 日本当社株保有数 0株

社外取締役 監査等委員

村田 恒子職位任命 2018年生年月日 1958年9月27日国籍 日本当社株保有数 344株

9 10

社外取締役

唐津 治夢職位任命 2012年生年月日 1947年4月25日国籍 日本当社株保有数 2,864株

社外取締役

占部 利充職位任命 2019年生年月日 1954年10月2日国籍 日本当社株保有数 0株

社外取締役

ニコラス ベネシュ職位任命 2019年生年月日 1956年4月16日国籍 米国当社株保有数 0株

2 3 4

取締役兼常務執行役員

藤田 敦司職位任命 2019年生年月日 1959年11月15日国籍 日本当社株保有数 2,199株

取締役兼常務執行役員

塚越 聡一職位任命 2017年生年月日 1960年2月1日国籍 日本当社株保有数 4,712株

取締役兼常務執行役員

ハンス ユルゲン ヴァーグナー

職位任命 2017年生年月日 1960年1月19日国籍 ドイツ当社株保有数 0株

取締役 常勤監査等委員

栗田 優一職位任命 2015年生年月日 1949年7月28日国籍 日本当社株保有数 11,349株

5 6 7 8

※当社株保有数は2019年3月末現在

経営 2名

2名 9名

4名 3名

該当人数 該当人数

2名

代表取締役兼執行役員社長

吉田 芳明職位任命 2013年生年月日 1958年2月8日国籍 日本当社株保有数 47,363株

1

経験とスキル

経験とスキル

経験とスキル

経験とスキル

経験とスキル

経験とスキル

経験とスキル

経験とスキル

経験とスキル

経験とスキル

9

10

76

8

3

5

1

4

2

取締役一覧

Corporate Governance

Annual Report 2019 5453

Introduction Overview Strategy Sustainability InformationGovernance

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ADVANTEST CORPORATION

グランドデザインの深化・実体化を

『計測技術がものに価値を与える』というのは、アド

バンテストの前身であるタケダ理研工業株式会社創業

者の武田郁夫氏から、かつて直接伺った言葉です。計測と

いう一見地味で受け身に見える活動が、実は産業社会の

価値の原点である、という自負と識見の詰まった至言だ

と思います。現在でもこの言葉は当社ビジネスの根幹を

言い表す原理として、脈々と生きています。

時代が変わり、技術の進展に合わせ、『計測技術』の内容

は変遷し、価値を与える対象の『もの』は、より広範かつ

複雑化してきています。そのような中で、当社の行く手

を示す『グランドデザイン』が策定されてきました。このス

ケッチを深化し続け、実体化していくことで、次にどう

いうマーケットを追求し、その中での当社の役割・戦

略、提供する製品・サービスをどう展開するか、が見えて

くることでしょう。このことはまた、会社のガバナンス

ではどこに力点を置くべきか、他社との必要な協業M&A

をどう進めるか、への指針ともなるものです。

経営の判断における、短期、中長期の個々の案件の審議

を通じた参画に加え、こうしたグランドデザインの深化・

実体化の議論を通じて、独立役員の立場から、会社執行

部とは異なる視点、会社のアンテナからは見えにくい

情報、人的ネットワークなどを提供し、事業の発展に資す

ることができれば幸いであると考えています。

当社の取締役会では、毎回、活発な議論が交わされて

いますが、それらの議論が言いっ放しで終わらないように、

次の取締役会の冒頭で、前回の宿題事項への取組状況の

報告がなされるなど、PDCAが回る仕組みに改善されてき

ています。

社外取締役の役割は、経営陣にとって耳の痛い話であっ

ても、必要な意見をしっかり伝えることだと思います。「見ざ

る、言わざる、聞かざる」という不作為は、絶対にあってはな

らない姿勢と肝に銘じ、特に攻めと守り両面のリスクマネジ

メントの観点からの意見具申が大切と考えています。

コーポレートガバナンスを有効に機能させるためには、

社外取締役の立場でも、現場の実態を知ることが大変重要

です。当社では、毎年、全取締役一緒に海外事業場を視察

し、オフサイトミーティングを行う機会が設けられています。

また、監査等委員である社外取締役は、常勤監査等委員の

往査にも可能な範囲で同行することで、事業現場の実態や

気づきを確認しつつ、建設的な提言や助言につなげていく

ことができると思います。

昨年策定したグランドデザインと中期経営計画の着実な

達成に向けて、当社の強みである業界No.1の製品ポート

フォリオと優良顧客基盤、そしてグローバルサポート力や

総合提案力をさらに強化し、社員にとっても働きやすい企業

として持続的に成長できるよう、また、株主、お客様、取引先

など全てのステークホルダーの皆さまに信頼していただけ

るように、当社の企業価値の向上に貢献するとともに、経営

の健全性・透明性を高めていくよう尽力してまいります。

株主・従業員・顧客・社会の4つの

ステークホルダーとの関係をバラ

ンス良く保ちながら、持続的な企業

価値向上を図ることが企業のミッ

ションであり、この実現を担保す

る企業統治の仕組みがコーポレー

トガバナンスだと理解していま

す。全てのステークホルダーを理解

することは社内役員・社外役員を含

む取締役全員の義務ですが、敢えて

言えば、従業員や顧客との距離が近

い社内役員に対して、社外役員は株

主と社会をより強く意識する立場

だろうと思います。私は、国内外の

産業界との接点が広い総合商社や

リース会社で、企業経営、並びに人

事・事業投資・経営計画・IT・金融な

どの業務、米国・香港駐在や諸外国

企業との仕事を長年経験してきま

した。ステークホルダーとの関係

や経済・産業動向に関する私なりの

肌感覚を活かして、執行部とは異な

る視点を持って意思決定に参画し、

当社の企業価値向上に貢献したい

と思います。

これまで長きに亘りESG経営の推

進を唱えてきた者としては、当社がつ

いに統合レポートを発行するに至っ

たことは嬉しく思います。投資家から

のフィードバックを踏まえ、当社の長

期的な成長、収益性、持続可能性、そ

してグローバル・シーンでの「立ち

位置」に大きな影響を与える課題の

理解とそれらの優先度を判断する力

を磨いていかなければなりません。

優秀なエンジニアやマネジメント

を確保するための施策が重要である

ことは明らかですが、曖昧なものもあ

ります。「Sustainability(持続可能性)」

や「Materiality(重要課題)」という用語

自体まだ未熟な概念であり、毎年の

評価、定点観測を通して、新しい評価

指標を確立していく必要があります。

投資家が簡単に企業情報を収集でき

ること、それが自身の判断と企業間

比較を補完するということはもはや

一般的なことであり、それを肝に銘じ

て、我々は今後さらに開示の範囲を

広げていく必要があります。当社が

その第一線のリーダーとなることを

願っています。

私は、約35年半の裁判官生活の中

で、東京地裁では商事部の部総括裁

判官として社会の耳目を集める会

社のコーポレートガバナンス違反の

有無が問われた事件などを担当し

ました。また、弁護士になってから

は、製品の不正調査などを担当しま

した。そこで経験したのは、ガバナ

ンスの制度設計自体は整備されて

いるのですが、それを運用する人

が、問題となる事案について十分な

議論をしていない実情でした。まさ

に、「仏を造って魂入れず」の状態で

あり、そこには忖度が幅をきかせる

企業風土が醸成されていたように

感じます。

裁判所では、合議においては、最も

経験の浅い裁判官から自分の意見を

述べるという慣行があります。昔か

ら、「物言わぬは腹ふくるるわざな

り」という諺があります。社外取締役

は初めての経験ですが、疑問に思っ

たことなどについては積極的に発

言し、当社のコーポレートガバナン

ス向上のためにその職を果たしたい

と思っています。

取締役/監査等委員

難波 孝一

取締役

占部 利充取締役

ニコラス ベネシュ

新任 新任 新任

取締役

唐津 治夢取締役/

監査等委員

村田 恒子

現場の実態を知ることで、建設的な提言・助言へ

執行部とは異なる視点を持って、経営の意思決定に参画

物言わぬは腹ふくるるわざなり

企業情報開示の第一線リーダーを目指して

社外取締役メッセージ

Corporate Governance

Annual Report 2019 5655

Introduction Overview Strategy Sustainability InformationGovernance

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ADVANTEST CORPORATION

取締役会は、経営の意思決定機関として、グループ全体

の経営方針、経営戦略などの重要事項について決定する

とともに、業務執行機関の業務執行を監視、監督します。

当社は、取締役会メンバーに複数の社外取締役を含める

ことで、取締役会の監視、監督機能を強化しています。取

締役会では、経営陣から提案された議題に対して幅広い

知識と経験を有する取締役がそれぞれの視点から意見を

表明し、活発な議論が交わされています。現在の取締役会

は、社内取締役5名、社外取締役5名、計10名(いずれも

監査等委員である取締役を含む)で構成されます。取締役

会の構成員の詳細につきましては、p.53~54に記載のと

おりです。取締役会の議長は代表取締役兼執行役員社長

の吉田芳明氏が務めています。

取締役会

当社は、2015年6月24日に監査等委員会設置会社に移

行しました。監査等委員会は、監査等委員会で策定された

監査方針および監査計画に基づき、当社の業務および財

産の状況の調査に加え、監査室その他の内部統制部門、会

計監査人等との連携により、取締役の職務執行および執

行役員その他業務執行機関の業務執行を監査します。監

査等委員会は、社内取締役1名、社外取締役2名、計3名

で構成されます。監査等委員会は、重要な会議への出席お

よび執行部門からの業務報告の聴取を通じた情報収集な

らびに会計監査人および内部監査部門との連携強化によ

り、監査等委員会による監査・監督機能の実効性を高める

ため、常勤の監査等委員を1名選定しています。監査等委

員である取締役の栗田優一氏は、当社の財務および管理

担当役員における長年の経験があり、財務および会計に

関する十分な知見を有する者です。また、監査等委員であ

る取締役の村田恒子氏および難波孝一氏は法務に関する

十分な知見を有する者です。監査等委員会の委員長は栗

田優一氏が務めています。当社では、監査等委員会の職務

を補助すべき従業員を2名配置しています。監査等委員

会、監査室その他の内部統制部門、会計監査人、アドバン

テストグループ各社の監査役などは定期的な協議およ

び必要に応じて随時打ち合わせを行うことにより相互

の連携を図っています。

内部監査については監査室を設置し、複数の専任の

従業員により、会社の内部統制の整備・運用状況を日常

的に監視するとともに、問題点の把握・指摘・改善勧告を

行っています。

会計監査については、当社はEY新日本有限責任監査

法人と監査契約を結び、所定の監査を受けています。

2018年度において当社の会計監査業務を執行した公認

会計士は、薄井誠氏、北本佳永子氏および脇本恵一氏で

す。継続監査年数は全員7年以内です。また、当社の会計

監査業務に係る補助者は、公認会計士を主たる構成員と

し、システム専門家などの専門的知識を有する者を含ん

でいます。

監査体制

2018年度の取締役会での主な検討事項

経営・基本方針

役員人事

株主総会付議事項の決定

予算・決算

企業結合など

当社は、取締役および執行役員の選任・選定、解任・解職

ならびに取締役および執行役員の報酬の決定に当たり取

締役会の役割を補完する任意の機関として指名報酬委員

会を設置しています。指名報酬委員会が、指名委員会およ

び報酬委員会双方の機能を担っています。指名報酬委員

会は職務の遂行に当たり、取締役および執行役員の選任・

選定、解任・解職および報酬の公正性、妥当性および透明

性を向上させる責務を負います。

指名報酬委員会は、取締役会決議により、取締役の中か

ら選定された委員によって構成されます。独立した視点

を取り入れるため、委員の過半数は独立社外取締役によ

り構成されています。人事部が指名報酬委員会の事務局

として対応しています。

2018年度の指名報酬委員会での主な検討事項

指名報酬委員会

弁護士などの法律の専門家

会社の経営に関与した経験を有する者

財務および会計に関する相当程度の知識を

有する者

半導体関連業界など、当社ビジネスに関連する

業界の知識や経験を有する者

研究、開発の豊富な経験を有する者

その他上記各項目に準じた経歴または能力を

有する者

指名報酬委員会は、取締役および執行役員につき、取締

役会の定める「取締役および執行役員を選任・選定、解任・

解職するに当たっての方針と手続」に従い、当社グループ

の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上に貢献でき

る人物を候補者として取締役会に答申し、独立社外取締

役については、前述の「取締役および執行役員を選任・選

定、解任・解職するに当たっての方針と手続」に加え、取締

役会の定める「独立社外取締役の独立性判断基準」に従

い、豊かな知見を持ち、取締役会への積極的な貢献が期待

できる人物を、候補者として取締役会に答申するものと

します。

社外取締役の選任・選定基準

当社の定める独立性判断基準に該当し、かつ次のい

ずれかの経歴または能力を有する者の中から、人格、他

社役員の兼任状況、当社社外取締役としての在任年数な

どを総合的に勘案し、候補者とします。 「取締役および執行役員を選任・選定、解任・解職

するに当たっての方針と手続」および「取締役

および執行役員の報酬を決定するに当たっての

方針と手続」の改定

固定報酬、業績連動賞与、ストックオプション、

業績連動型株式報酬など取締役および執行役

員に係る報酬全般

2019年の定時株主総会終結時からの取締役および

執行役員候補者に関する審議

現在の委員は、占部利充氏、難波孝一氏および吉田芳明

氏であり、占部利充氏が委員長を務めています。

統治機構

Corporate Governance

Annual Report 2019 5857

Introduction Overview Strategy Sustainability InformationGovernance

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ADVANTEST CORPORATION

報酬決定方針とプロセス

取締役および執行役員の報酬については、以下の通

り、「取締役および執行役員の報酬を決定するに当たっ

ての方針と手続」に記載しています。また、業務執行取

締役および執行役員の報酬内容については、固定報酬

に加え、業績に連動させた賞与および株式報酬からな

り、それらの適切な割合を指名報酬委員会にて審議し、

取締役会で決定しています。なお、監査等委員である取

締役および社外取締役については固定報酬のみとなっ

ています。

「取締役および執行役員の報酬を決定するに

当たっての方針と手続」

1. 趣旨

取締役および執行役員の報酬については、当社グ

ループの持続的な発展と中長期的な企業価値の向

上、株主利益への貢献、経営を担う優秀な人材の確保

およびモチベーション向上に資するよう、本方針と

手続きを定めます。

2. 報酬の体系および決定方針

取締役(監査等委員である取締役を除きます)および

執行役員の報酬は、上記1.に定める趣旨に従い、①固

定報酬、②業績連動賞与、③株式報酬で構成するとと

もに、これらの金額および割合を適切に設定します。

社外取締役については、その役割や独立性を考慮し、

固定報酬のみとします。

① 固定報酬については、外部の客観的データを参照し

つつ、担っている職務・職責に応じた適切な水準で設

定します。

② 業績連動賞与については、短期インセンティブとし

て位置付け、当社グループの売上高、営業利益率、当

期利益、ROEなどの業績指標に基づき算出します。

③ 株式報酬については、長期インセンティブおよび株

主価値の共有として位置付け、業績の動向、経営環

境、株価水準などを総合的に勘案し、ストック・オプ

ションと業績連動型株式報酬を付与します。なお、

業績連動型株式報酬は連続する3事業年度における

当社グループの売上高、営業利益率、当期利益、ROE

などの業績指標に基づき受取株式数が変動します。

3. 報酬決定の手続

取締役(監査等委員である取締役を除きます)および執

行役員の報酬については、取締役会の諮問に基づき、指

名報酬委員会が審議し、取締役会に提案します。取締役

会は、指名報酬委員会からの提案について審議し、報酬

を決定します。監査等委員である取締役の報酬について

は、監査等委員である取締役の協議により決定します。

企業価値向上に向けた報酬の設計

取締役報酬の上限

取締役会はその役割と責務の実効性を評価するため、毎

年、取締役全員にアンケートを行い取締役会の構成、運営、

議論の状況などについて意見の収集と分析を行っています。

■ 2017年度の評価結果と2018年度の対応

代表取締役などの後継者の計画や経営陣の選任・選

定、解任・解職のプロセスの向上と取締役へのトレーニ

ングにつきましては、さらなる改善の余地があるとの指

摘がありました。それに基づき取締役会にて議論を行い、

後継者計画および経営陣の選任・選定、解任・解職のプロ

セスにつきましては、「コーポレートガバナンス基本方

針」と「コーポレートガバナンス報告書」に記載するこ

とにいたしました。

2018年度の取締役および執行役員のトレーニングに

つきましては、取締役および執行役員(それぞれ外国籍の

者を含む。)に対してコーポレートガバナンスに関する

トレーニングを実施しました。また、取締役会構成員の

多様性向上についての指摘がありましたが、2018年6月

27日の定時株主総会において女性の新任取締役1名が選

任されました。

2018年度の評価結果

取締役会の実効性評価

金銭報酬 業績連動型株式報酬 ストック・オプション報酬

監査等委員でない取締役(社外取締役を除く)

年額6億円以内(*1)

年額2億円以内(*2) 年額2億円以内(*2)

監査等委員でない社外取締役

対象外

監査等委員である取締役 年額1億円以内(*1)

(*1)2015年6月24日開催の第73回定時株主総会の決議による(*2)2018年6月27日開催の第76回定時株主総会の決議による

2018年度の主な指摘事項は次の通りでした。今後、対応を検討します。

代表取締役などの後継者計画の策定 事業に影響するリスクの再分析 取締役のトレーニングメニューの検討

1億円以上の報酬を受けた取締役とその報酬額 (2018年度)

氏名報酬などの総額(百万円)

役員区分(2019年3月末時点)

会社区分報酬などの種類別の総額(百万円)

固定報酬 業績連動賞与ストック・オプション

業績連動型株式報酬

吉田 芳明 132代表取締役兼執行役員社長

(株)アドバンテスト 60 51 17 4

明 世範 108取締役兼

執行役員副社長(株)アドバンテスト 50 42 12 4

ハンス ユルゲンヴァーグナー

112

取締役兼常務執行役員

(株)アドバンテスト 10 — 10 3

Managing DirectorAdvantest Europe

GmbH50 39 — —

※ハンス ユルゲン ヴァーグナー氏の報酬額には、Advantest Europe GmbHでの支給分を含みます。為替レートは1ユーロ=128.82円にて計算しています。

役員報酬の構成 (2018年度)

(注)2019年3月31日時点における社外役員の在籍人数は4名でありますが、上記報酬額および員数には2018年6月27日付で退任した1名分を含んでいます。

総額

42百万円

社内 対象員数

■固定報酬 ■業績連動賞与 ■ストック・オプション ■業績連動型株式報酬

社外

監査等委員でない取締役

161百万円 128百万円 48百万円

15百万円

4名

1名

5名

監査等委員である取締役

取締役

総額

42百万円

総額

352百万円

役員報酬/実効性評価

Corporate Governance

Annual Report 2019 6059

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ADVANTEST CORPORATION

US GAAP / 米国会計基準 IFRS / 国際会計基準単位:百万円

FY2008(2009/3)

FY2009(2010/3)

FY2010(2011/3)

FY2011(2012/3)

FY2012(2013/3)

FY2013(2014/3)

FY2014(2015/3)

FY2015(2016/3)

FY2016(2017/3)

FY2017(2018/3)

FY2018(2019/3)

連結財務関連データ会計年度売上高 76,652 53,225 99,634 141,048 132,903 111,878 163,803 162,111 155,916 207,223 282,456

売上原価 56,837 27,297 51,164 72,300 63,983 62,545 72,048 70,636 66,176 100,635 128,417

売上総利益 19,815 25,928 48,470 68,748 68,920 49,333 91,755 91,475 89,740 106,588 154,039

販管費など(*1) 69,272 37,567 42,359 67,911 68,840 85,702 74,897 78,878 75,835 82,101 89,377

営業利益 (49,457) (11,639) 6,111 837 80 (36,369) 16,858 12,597 13,905 24,487 64,662

EBITDA(*2) (40,738) (7,325) 10,320 7,675 8,143 (28,101) 21,588 17,562 19,063 29,511 69,629

税引前利益(損失) (52,761) (9,926) 5,551 (3,442) (1,293) (35,501) 20,767 11,767 15,022 24,282 66,211

親会社株主に帰属する当期純利益(損失) (74,902) (11,454) 3,163 (2,195) (3,821) (35,540) 16,753 6,694 14,201 18,103 56,993

営業キャッシュ・フロー 2,357 (17,746) (693) 12,302 (2,215) (3,776) 24,481 7,728 15,833 28,254 44,792

投資キャッシュ・フロー (32,507) 10,824 (5,828) (37,670) (11,498) (4,711) (1,310) (2,395) (3,521) (2,329) (15,915)

財務キャッシュ・フロー (8,930) (1,803) (12,028) 9,887 (2,914) 27,202 (1,298) (13,531) (1,002) (15,237) (13,724)

フリー・キャッシュフロー(*3) (30,150) (6,922) (6,521) (25,368) (13,713) (8,487) 23,171 5,333 12,312 25,925 28,877

現金および現金同等物の期末残高 105,455 96,439 75,323 58,218 45,668 68,997 97,574 85,430 95,324 103,973 119,943

会計年度末株主資本 163,616 150,242 138,132 131,552 141,241 116,252 101,810 93,619 109,517 124,610 198,731

総資産 202,059 188,663 180,312 219,226 225,515 229,856 233,237 210,451 231,603 254,559 304,580

1株当たり情報 単位:円

基本的1株当たり当期利益(損失) (419.09) (64.09) 18.03 (12.67) (22.03) (204.10) 96.15 38.35 81.07 101.94 302.35

希薄化後1株当たり当期利益(損失) (419.09) (64.09) 18.03 (12.67) (22.03) (204.10) 87.67 35.38 73.95 92.69 287.37

1株当たり株主資本 915.47 840.65 797.20 759.22 812.70 667.36 583.28 536.28 619.33 696.04 1,004.53

1株当たり配当金 30.00 10.00 10.00 15.00 20.00 15.00 15.00 20.00 25.00 32.00 92.00

発行済株式数(期末)(株) 199,566,770 199,566,770 199,566,770 199,566,770 199,566,770 199,566,770 199,566,770 199,566,770 199,566,770 199,566,770 199,566,770

経営指標 単位:%

売上総利益率 25.9 48.7 48.6 48.7 51.9 44.1 56.0 56.4 57.6 51.4 54.5

売上高営業利益率 (64.5) (21.9) 6.1 0.6 0.1 (32.5) 10.3 7.8 8.9 11.8 22.9

当期純利益率 (97.7) (21.5) 3.2 (1.6) (2.9) (31.8) 10.2 4.1 9.1 8.7 20.2

売上高販管費率 90.4 70.6 42.5 48.1 51.8 76.6 45.7 48.6 48.7 39.6 31.6

海外売上比率 67.7 77.5 77.5 88.6 89.4 89.1 92.0 92.0 88.2 93.2 94.7

研究開発費(百万円) 23,713 17,896 21,197 30,303 33,062 32,670 29,507 31,298 31,170 33,540 37,852

研究開発費売上高比率 30.9 33.6 21.3 21.5 24.9 29.2 18.0 19.3 20.0 16.2 13.4

EBITDAマージン (53.1) (13.8) 10.4 5.4 6.1 (25.1) 13.2 10.8 12.2 14.2 24.7

設備投資(億円) 46 34 38 70 126 56 42 40 48 54 66

減価償却および償却費(億円) 87 43 42 68 81 83 47 50 52 50 50

株主資本比率 81.0 79.6 76.6 60.0 62.6 50.6 43.7 44.5 47.3 49.0 65.2

自己資本利益率(ROE) (35.9) (7.3) 2.2 (1.6) (2.8) (27.6) 18.5 6.9 14.0 15.5 35.3

総資産営業利益率(ROA) (21.1) (5.1) 3.0 (1.7) (0.6) (15.6) 9.8 5.3 6.8 10.0 23.7

Net D/E レシオ(倍) 0.2 0.2 0.5 0.5 0.5 0.4 0.2 配当性向 55.5 15.6 52.2 30.8 31.4 30.4

非財務関連データ従業員(人)(*4) 3,418 3,354 3,405 4,780 4,918 4,838 4,744 4,638 4,565 4,721 4,936

(上記のうち海外連結子会社従業員数) 803 755 787 1,954 2,172 2,146 2,107 2,063 2,063 2,168 2,368

女性比率(%) 17.3 16.9 16.9 17.6 18.0

GHG排出量(t-CO₂) 26,673 24,433 23,021 27,373 30,853 36,431 34,600 32,495 34,338 35,268 38,088

特許件数(件) 2,917 3,005 2,968 3,190 3,752 3,849 3,201 2,971 2,743 2,667 2,531

(*1)2013年度までの販売費などは、研究開発費、販売費および一般管理費、構造改革費用、減損費用の合計です。2014年度以降は、販売費および一般管理費、その他の収益・費用の合計です。(*2)EBITDA=営業利益+減価償却および償却費(*3)フリー・キャッシュ・フロー=営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フロー(*4)各会計年度末時点の人数(臨時従業員含む)

株式会社アドバンテストおよび連結子会社3月31日に終了した各事業年度

11 Year Financial & Non-Financial Highlights

11年間の主要財務・非財務データ

Annual Report 2019 6261

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販管

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ADVANTEST CORPORATION

従業員 620人関連会社 5社

米州 (アメリカ・カナダ・コスタリカ)

従業員 741人関連会社 4社

欧州 (ドイツ・フランス・イタリア・イスラエル)

従業員 2,568人関連会社 8社

日本

主な関係会社

社名 所在地 事業内容

日本 株式会社 アドバンファシリティズ 埼玉県 福利厚生サービスの受託

株式会社 アドバンテスト研究所 宮城県 計測試験技術の研究開発

株式会社 アドバンテスト ファイナンス 東京都 当社製品のリースおよび中古品の販売

株式会社 アドバンテスト九州システムズ 福岡県 当社製品の部品の開発・製造および保守

株式会社 アドバンテスト コンポーネント 宮城県 当社製品の部品の開発・製造

国外 Advantest America, Inc. 米国 カリフォルニア州 当社製品の開発・販売

Advantest Europe GmbH ドイツ ミュンヘン市 当社製品の開発・販売

Advantest Taiwan Inc. 台湾 新竹縣 当社製品の販売

Advantest (Singapore) Pte. Ltd. シンガポール 当社製品の販売

Advantest Korea Co., Ltd. 韓国 天安市 当社製品の保守・製造

Advantest (China) Co., Ltd. 中国 上海市 当社製品の保守

Advantest (M) Sdn. Bhd. マレーシア ペナン州 当社製品の製造

従業員 1,007人関連会社 14社

アジア(韓国・中国・台湾・シンガポール・マレーシア・フィリピン・タイ・ベトナム・インド)

営業・サービス拠点地域統括本社 開発拠点 製造拠点本社

従業員 計 4,936人関連会社 計 31社

Global Network

グローバル・ネットワーク2019年3月31日現在

San Jose(米国)

本社(東京)

Cheonan(韓国)

埼玉R&Dセンタ

群馬工場

群馬R&Dセンタ

Shanghai(中国)

Hsinchu(台湾)

Singapore(シンガポール)

Penang(マレーシア)

Boeblingen(ドイツ)

Munich(ドイツ)

Amerang(ドイツ)

Annual Report 2019 6463

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アドバンテスト株価(円) TOPIX(円)

株価/出来高推移

2013 20147 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

(年)

4,000

3,000

2,000

1,000

0

4,000

3,000

2,000

1,000

0

120

100

80

60

40

20

0

20151 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

20161 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

20171 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

20181 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

20191 2 3 4 5 6

■ 出来高(百万株)

ADVANTEST CORPORATION

会社概要会社名 株式会社アドバンテスト英文表記 ADVANTEST CORPORATION

所在地 東京都千代田区丸の内1丁目6番2号 新丸の内センタービルディングURL https://www.advantest.com/ja/

設立 1954年12月資本金 32,363百万円従業員数 4,936人(2019年3月31日時点。臨時従業員含む。)事業内容 半導体・部品テストシステム事業、メカトロニクス関連事業、サービス他

株価および売買高の推移

株式に関する情報決算日 3月31日定時株主総会 毎年6月開催株式の状況 発行可能株式総数 440,000,000株

発行済株式総数 199,566,770株株主数 33,004名

ウェブサイトのご案内

外部からの評価(2018年)

発行方針とお願い「Integrated Annual Report 2019」は、業績および営業活動、中期経営計画などの財務情報に加え、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の情報を総合的に盛り込んで掲載しています。統合報告書の発行は今回が初回となります。皆さまの評価、コメントをお寄せ頂けれ

ば幸いです。

お問い合わせ先

コーポレートコミュニケーション統括部TEL 03-3214-7500  FAX 03-3214-7711

https://www.advantest.com/ja/contact

サステナビリティレポート2019

https://www.advantest.com/ja/sustainability-report

大株主の状況株主名 持株数(株)持株比率(%)

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 48,995 24.73

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 21,689 10.94

資産管理サービス信託銀行株式会社(証券投資信託口) 5,992 3.02

THE BANK OF NEW YORK MELLON 140051 4,220 2.13

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口4) 3,795 1.91CDSIL AS DEPOSITARYFOR OLD MUTUAL GLOBAL INVESTORS SERIES 3,014 1.52

JP MORGAN CHASE BANK 385151 2,981 1.50

ゴールドマン・サックス証券株式会社 BNYM 2,871 1.45

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口5) 2,673 1.34

SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT 2,660 1.34

(注) 1. 持株数は、千株未満を切り捨てています。 2. 持株比率は、自己株式(1,460,069株)を控除して計算しています。 3. 持株比率は、小数点第3位以下を切り捨てています。

株式所有者別分布

株式所有者別分布

金融機関・証券会社121名112,584千株(56.4%)

その他の法人・自己株式

274名3,964千株(2.0%)

個人・その他32,145名

20,096千株(10.1%) 外国人

464名62,921千株(31.5%)

https://www.advantest.com/ja/

製品情報https://www.advantest.com/ja/products

IR情報https://www.advantest.com/ja/investors

Information

会社概要/株式情報2019年3月31日現在

社会的責任投資(SRI)の代表的指標である「FTSE4Good Index Series」に選定

ESGの対応に優れた日本企業のパフォーマンスを反映する「FTSE Blossom Japan Index」に選定

ESG価値と株式評価を組み合わせた「SNAMサステナビリティインデックス」の構成銘柄に選定

トムソン・ロイター社「Top100 Global Technology Leaders」に選定

VLSIresearch社の顧客満足度調査にて 「10 BEST」を30年連続受賞

第21回環境コミュニケーション大賞」環境報告書部門にて「優良賞」を受賞

Annual Report 2019 6665

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