iot/m2m ソリューション

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IoT/M2Mソリューション Case Study 東日本旅客鉄道 M2M トラフィックソリューション Frontier Report キューデンインフォコム 特集 IoT/M2M ソリューション 2015 FEBRUARY2 Case Study 米子自動車学校 指静脈認証システム 神奈川県自動車交通共済組合 マイグレーション はいたっく 2015 年 2 月号 本印刷物は、 Adobe Acrobat により作成した PDF です。 All Rights Reserved,Copyright © 2015,Hitachi,Ltd.

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Page 1: IoT/M2M ソリューション

IoT/M2Mソリューション Case Study

東日本旅客鉄道M2MトラフィックソリューションFrontier Report

キューデンインフォコム

写真家 富井 義夫  Photographer・Tomii Yoshio■ 公式フォトブログ「フロム」随時更新中 http://ameblo.jp/tomiiyoshio/

表紙写真「壁紙プレゼント」「はいたっく誌情報提供サイト」にて表紙の写真を壁紙としてプレゼントしています。詳しくは目次のページをご覧ください。

特集

IoT/M2Mソリューション

ネパールのパタンはカトマンズの南に位置する小さな町。カトマンズ盆地では一番古く、300年頃、アショーカ王によってつくられたという。17~18世紀にマッラ王国の首都として栄え、ネワール文化が華開いた。この写真は、当時の王宮前にあるダルバール広場。整備された幅広い石畳の道の両側に旧王宮や寺院が立ち並ぶ広場だ。建物の多くは芸術的な装飾が施されたネワール建築で、繊細な彫刻には目を奪われる。そもそもネワール族は彫刻・工芸・絵画などの芸術に優れた民族で、今も町のあちこちに工房があり、ごく普通の民家にも素晴らしいネワール彫刻が見られる。「ラリトプル」(美の都)という別名の通り、趣深い美しい町である。

道 ~Street~パタンのダルバール広場(ネパール)

2015FEBRUARY2

Case Study

米子自動車学校指静脈認証システム

神奈川県自動車交通共済組合マイグレーション

はいたっく2015年2月号本印刷物は、Adobe社Acrobatにより作成した PDFです。All Rights Reserved,Copyright ©2015,Hitachi,Ltd.

Page 2: IoT/M2M ソリューション

2015

2

http://www.hitachi.co.jp/hitac-magazine/

本誌は環境に配慮し、植物油インキを使用しています。

2015年2月1日 通巻573号株式会社日立製作所 情報・通信システム社経営戦略室 ブランド・コミュニケーション本部 TEL(03)5471-8900(ダイヤルイン)〒140-8572 東京都品川区南大井六丁目27番18号      日立大森第二別館株式会社日立ドキュメントソリューションズ

発 行 日発  行/お問い合わせ

印 刷

1 はいたっく 2015.2

February

はいたっく誌情報提供サイト

C O N T E N T S

日立の取り組み2 現場情報を活用した業務革新への挑戦Solution5 製造機械の販売・保守をグローバル展開するお客さまに最適な「Global e-Service on TWX-21」

9 屋外インフラ設備の管理・保全を支援するネットワーク機器を共同で開発東日本旅客鉄道株式会社

Case Study

BCP/DRに最適な新データセンターが今夏より運用を開始株式会社キューデンインフォコム

フロンティアレポート Vol.1411

Case Study利便性とセキュリティを両立する指静脈認証 自動車教習所システム学校法人米子自動車学校

高品質なマイグレーションで世代交代に備えた環境整備に成功神奈川県自動車交通共済協同組合

13

15 Case Study

特集:IoT/M2Mソリューション

Solution7 工場やプラントの安定稼働を支えるクラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud」

17プレゼンテーション施設「イノベーションスクエア」を開設

18 ニュースリリースダイジェスト/Information

Solution8 スマートメンテナンスで社会インフラの安全を支える「施設モニタリングサービス」

Topics

 日立では、多くの人が集まる大型施設のセキュ

リティゲート向けに、歩きながら指をかざすだけで

正確な本人確認ができるウォークスルー型指静

脈認証技術を開発しました。立ち止まらずに認証

が可能なため、イベント会場やスポーツ競技場な

ど、多くの人が集まる大型施設においてスムーズ

な本人確認、なりすまし防止などによりセキュリ

ティの向上が図れます。

 この技術は従来の指静脈認証と異なり、かざし

た指の数や位置・向きが変化しても、瞬時に検知

し指静脈パターンを照合できる高い利便性を実

現しているため、混雑の緩和にも貢献します。

 今後、ウォークスルー型指静脈認証技術は、従

来にない高い利便性を提供するセキュリティ技術

として、幅広い用途が期待されています。

ウォークスルー型指静脈認証技術

日立あれこれ発見!

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Page 3: IoT/M2M ソリューション

2はいたっく 2015.2

特 集

IoT/M2Mソリューション

IoT/M2Mが導くパラダイムシフト

私たちのビジネスや社会は、数多くのITデバイス、ネットワークによって支えられています。そして自動認識や制御といったセンサー技術の進化と低コスト化によるM2Mの進展、より高速化したデータ収集・分析技術により、コンピュータやスマートフォンだけでなく、あらゆるモノと人、環境の情報がインターネットでグローバルにつながり、リアルタイムに「見える化」されるIoTの世界が現実のものとなろうとしています。これまでもセンサーノードは、産業系の監視・制御の現場などで活用されてきました。しかし、従来は単機能のセンサーを有線ネットワークでつなぎ、工場内で用途を

絞って活用するのが一般的でした。それをモノが発信する、より詳細なデータをインターネットで効率よく集約し、各種アプリケーションと連携・統合させ、他の工場あるいは企業間、異業種との間で相互活用できるようにすれば、今までにない新しいサービスが創出できる、これこそがIoT/M2Mが提供するパラダイムシフトです。今までつながることのなかった企業、異業種、人をつなぎ、さまざまなシステムやプロセスを個別最適化から全体最適化へと導き変革していく、それがIoTが実現する新しい価値なのです。

さまざまな事業分野に変革をもたらす可能性

現在、ドイツ政府は「Industrie4.0」と

名付けた産官学一体の大規模プロジェクトを推進しています。これはIoT/M2MやFA※3の技術を駆使して、工場のスマート化と生産技術、生産プロセスの次世代化を図り、製造ラインだけでなく製造業のすべてのプロセスをITで連携・統合しながら、モノづくりを変革させていく「第4次産業革命」と位置づけられています。その中でIoTは、設計・開発・生産に関するあらゆるデータを、M2Mを通して蓄積し、スマートな生産とバリューチェーンを提供していく重要な役割を担っています。そしてこの新たな潮流は、日本においても製造業のみならず、幅広い事業分野に大きな影響を与えていくものと予想されています。

現場情報を活用した

いま国際社会はエネルギーや食糧、医療など、複雑で解決が困難な多くの課題に直面しています。ビジネス社会でも、少子高齢化による就労人口の低下や技術・ノウハウの継承が課題となる中、さらなる成長加速に向けたITの積極的な活用が重視されています。そこで注目されているのが、さまざまなモノや人がインターネットを介してつながるIoT※1と、その実現を支えるM2M※2の技術です。今回の特集では、社会や企業活動を通じて生成される多種多様なデータを、状況把握・将来予測・施策立案に役立てることで、社会とビジネスのイノベーションを加速させる日立の取り組みをご紹介します。

※1 Internet of Things※2 Machine to Machine

業務革新への挑戦付加価値の高いインテリジェンスを創出

IoT/M2Mのグローバル展開に不可欠なのは、さまざまな事業・業種の業務ノウハウの蓄積と、お客さまニーズに合った設備設計やサービス開発、各種IT基盤を構築するハードウェア、ソフトウェアの総合力にほかなりません。日立は国内外のお客さまが抱える課題を解決し、快適で利便性が高い社会をつくるため、エネルギーや都市、交通、ヘルスケア、水・資源、物流、金融などの幅広い事業分野で、ITを活用して社会インフラの高度化を推進する「社会イノベーション事業」に取り組んでいます。ITでビジネス、そして社会がグローバ

ルでつながり、情報のデジタル化が進んできた今、社会イノベーションをけん引する鍵は、IoTやM2Mによって生み出されるビッグデータを活用し、経営判断やサービスの高度化に役立つ付加価値の高いインテリジェンスの創出を図っていくことにあります。

現場のきめ細かな情報を新たなイノベーションにつなげるには、「情報技術(IT)」と、さまざまなデバイスからの情報収集・制御を担う「制御技術(OT※4)」を融合し、現場の熟練者の業務ノウハウや分析技術を活用することで、情報が持つ潜在的な価値を発見し、具体的な意思決定やデバイスの制御にフィードバックしていく仕組みが必要です。そこで日立は、高度なITと現場のノウ

ハウを組み合わせた情報活用ソリューションをIntelligent Operationsという体系の下で整備し、社会、企業、お客さまのイノベーションを実現するお手伝いをしています(図1)。

Intelligent Operationsが提供する機能

Intelligent Operationsのソリューション体系は、課題の発見、解決策の立案、運用の支援を行う「コンサルティングサービス」、各業種向けに最適化されたシス

テム構築・運用保守サービスである「バーティカルサービス」、共通的な基盤を提供する「ITプラットフォームサービス(Intelligent Operations Suite)」の3つのレイヤーで構成されます。なかでも、お客さまの業種ごとに特化し

たソリューションを展開するバーティカルサービスでは、製造、農業、ヘルスケア、エネルギーなど、10の業種領域で付加価値の高いサービスを用意(図2)。それぞれの現場から収集・蓄積された人や機器、環境などの情報(ビッグデータ)をもとにした正確な「状況把握」、その情報を詳細に分析・シミュレーションした「将来予測」から、経営や現場課題の解決に向けた「施策立案」を行うという一連のサイクルで、お客さまのビジネスを最適化し、継続的な成長をサポートしていきます。では、IoT/M2Mとビッグデータ解析、幅広い業務ナレッジの活用をキーとした日立のIntelligent Operationsが、実際どのように現場の課題を解決し、ビジネスを革新しているのか、いくつかのユースケースでご紹介します。

■【製造(Manufacturing)】情報の一元管理で製品ライフサイクルをサポート

製造業では完成した製品を納めた後にも、お客さまとの保守契約に基づき、製品を継続的に保守・メンテナンスしていくアフターサービス業務があります。

そこで「状況把握」では、製品に搭載したセンサーからリアルタイムに稼働情報を収集し、1台1台の機械台帳にひもづけ、保守履歴とともに情報を一元管理。詳細なデータ解析とシミュレーションによって、故障予兆の検知や保守部品の需要といった「将来予測」を立て、稼働率向上と保守コスト削減に向けて適切な「施策立案」につなげていきます。この仕掛けを具現化したのがSaaS※5型機器ライフサイクルサポートサービス「Global e-Service on TWX-21」です。

■【農業(Agriculture)】生産の安定化と作物の高付加価値化に寄与

日本の農業は、高コスト体質や後継者不足などに加えて、生産物の付加価値をいかに高め、適切な流通・販売に結び付けるかが、収益拡大や地域活性化に向けた重要な課題となっています。そこで「状況把握」では、農地や温室

などに設置した日射量・雨量・温湿度センサーやWebカメラなどから得られるデータによって農作物の生育状況を可視化し、経験や勘が頼りだった農作業を客観的に数値化。データの解析結果から今後の生育状況や収量を「将来予測」し、需要に合わせて収量を最大化するように生育環境をコントロールする「施策立案」へとつなげていきます。その一例とし

て、実稼働しているのが「植物工場生産支援クラウドサービス」です。同サービスは、株式会社グランパが開

発したグランパドームにも採用されており、複数拠点の栽培設備のリアルタイムな遠隔監視や遠隔制御をクラウド上で実現。植物工場の管理コストと生産者の負荷をともに低減しながら、生産品質の均一化にも貢献しています。

IoT/M2Mを活用した社会イノベーションに挑む

今後日本では、高度経済成長期に整備された道路や橋梁、トンネル、斜面などの社会インフラが老朽化を迎えつつあり、これらの長寿命化と補修費削減のため、適切な維持管理が求められています。また、電力や水道、ガス、交通などの分野でも、施設・設備の管理や予防保全へのニーズが高まり、そこでもIoT/M2Mやビッグデータ解析の技術が大きな役割を果たしています。日立は幅広い社会インフラの構築・保守を手掛けてきた

ノウハウの蓄積を生かし、早くからITやIoT/M2Mを駆使した設備管理のサービス分野に参入。「Doctor Cloud」「施設モニタリングサービス」「M2Mトラフィックソリューション」などに代表される革新的なサービスの提供によって、社会インフラのライフサイクル管理の高度化と、予防保全によるリスク低減に寄与してきました。このように日立グループは、社会イノベーションをIoT/M2Mで加速するIntelligent Operationsをグローバルに展開することで、業種や地域の特性を踏まえた、生活・社会インフラの高度化とビジネスの革新を図り、お客さまの安全・安心な社会の実現を永続的に支援していきたいと考えています。次のページからは、国内外から注目

を集めている製造業向けの「Global e-Service on TWX-21」と、施設・設備管理業向けの「Doctor Cloud」「施設モニタリングサービス」、および「鉄道電力設備における無線式センサーの導入について」の内容を詳しくご紹介していきます。

※3 Factory Automation

インダストリー

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Page 4: IoT/M2M ソリューション

提供サービス

IoT/M2Mが導くパラダイムシフト

私たちのビジネスや社会は、数多くのITデバイス、ネットワークによって支えられています。そして自動認識や制御といったセンサー技術の進化と低コスト化によるM2Mの進展、より高速化したデータ収集・分析技術により、コンピュータやスマートフォンだけでなく、あらゆるモノと人、環境の情報がインターネットでグローバルにつながり、リアルタイムに「見える化」されるIoTの世界が現実のものとなろうとしています。これまでもセンサーノードは、産業系の監視・制御の現場などで活用されてきました。しかし、従来は単機能のセンサーを有線ネットワークでつなぎ、工場内で用途を

絞って活用するのが一般的でした。それをモノが発信する、より詳細なデータをインターネットで効率よく集約し、各種アプリケーションと連携・統合させ、他の工場あるいは企業間、異業種との間で相互活用できるようにすれば、今までにない新しいサービスが創出できる、これこそがIoT/M2Mが提供するパラダイムシフトです。今までつながることのなかった企業、異業種、人をつなぎ、さまざまなシステムやプロセスを個別最適化から全体最適化へと導き変革していく、それがIoTが実現する新しい価値なのです。

さまざまな事業分野に変革をもたらす可能性

現在、ドイツ政府は「Industrie4.0」と

名付けた産官学一体の大規模プロジェクトを推進しています。これはIoT/M2MやFA※3の技術を駆使して、工場のスマート化と生産技術、生産プロセスの次世代化を図り、製造ラインだけでなく製造業のすべてのプロセスをITで連携・統合しながら、モノづくりを変革させていく「第4次産業革命」と位置づけられています。その中でIoTは、設計・開発・生産に関するあらゆるデータを、M2Mを通して蓄積し、スマートな生産とバリューチェーンを提供していく重要な役割を担っています。そしてこの新たな潮流は、日本においても製造業のみならず、幅広い事業分野に大きな影響を与えていくものと予想されています。

特 集IoT/M2Mソリューション

4はいたっく 2015.23 はいたっく 2015.2

付加価値の高いインテリジェンスを創出

IoT/M2Mのグローバル展開に不可欠なのは、さまざまな事業・業種の業務ノウハウの蓄積と、お客さまニーズに合った設備設計やサービス開発、各種IT基盤を構築するハードウェア、ソフトウェアの総合力にほかなりません。日立は国内外のお客さまが抱える課題を解決し、快適で利便性が高い社会をつくるため、エネルギーや都市、交通、ヘルスケア、水・資源、物流、金融などの幅広い事業分野で、ITを活用して社会インフラの高度化を推進する「社会イノベーション事業」に取り組んでいます。ITでビジネス、そして社会がグローバ

ルでつながり、情報のデジタル化が進んできた今、社会イノベーションをけん引する鍵は、IoTやM2Mによって生み出されるビッグデータを活用し、経営判断やサービスの高度化に役立つ付加価値の高いインテリジェンスの創出を図っていくことにあります。

現場のきめ細かな情報を新たなイノベーションにつなげるには、「情報技術(IT)」と、さまざまなデバイスからの情報収集・制御を担う「制御技術(OT※4)」を融合し、現場の熟練者の業務ノウハウや分析技術を活用することで、情報が持つ潜在的な価値を発見し、具体的な意思決定やデバイスの制御にフィードバックしていく仕組みが必要です。そこで日立は、高度なITと現場のノウ

ハウを組み合わせた情報活用ソリューションをIntelligent Operationsという体系の下で整備し、社会、企業、お客さまのイノベーションを実現するお手伝いをしています(図1)。

Intelligent Operationsが提供する機能

Intelligent Operationsのソリューション体系は、課題の発見、解決策の立案、運用の支援を行う「コンサルティングサービス」、各業種向けに最適化されたシス

テム構築・運用保守サービスである「バーティカルサービス」、共通的な基盤を提供する「ITプラットフォームサービス(Intelligent Operations Suite)」の3つのレイヤーで構成されます。なかでも、お客さまの業種ごとに特化し

たソリューションを展開するバーティカルサービスでは、製造、農業、ヘルスケア、エネルギーなど、10の業種領域で付加価値の高いサービスを用意(図2)。それぞれの現場から収集・蓄積された人や機器、環境などの情報(ビッグデータ)をもとにした正確な「状況把握」、その情報を詳細に分析・シミュレーションした「将来予測」から、経営や現場課題の解決に向けた「施策立案」を行うという一連のサイクルで、お客さまのビジネスを最適化し、継続的な成長をサポートしていきます。では、IoT/M2Mとビッグデータ解析、幅広い業務ナレッジの活用をキーとした日立のIntelligent Operationsが、実際どのように現場の課題を解決し、ビジネスを革新しているのか、いくつかのユースケースでご紹介します。

■【製造(Manufacturing)】情報の一元管理で製品ライフサイクルをサポート

製造業では完成した製品を納めた後にも、お客さまとの保守契約に基づき、製品を継続的に保守・メンテナンスしていくアフターサービス業務があります。

日立の取り組み

そこで「状況把握」では、製品に搭載したセンサーからリアルタイムに稼働情報を収集し、1台1台の機械台帳にひもづけ、保守履歴とともに情報を一元管理。詳細なデータ解析とシミュレーションによって、故障予兆の検知や保守部品の需要といった「将来予測」を立て、稼働率向上と保守コスト削減に向けて適切な「施策立案」につなげていきます。この仕掛けを具現化したのがSaaS※5型機器ライフサイクルサポートサービス「Global e-Service on TWX-21」です。

■【農業(Agriculture)】生産の安定化と作物の高付加価値化に寄与

日本の農業は、高コスト体質や後継者不足などに加えて、生産物の付加価値をいかに高め、適切な流通・販売に結び付けるかが、収益拡大や地域活性化に向けた重要な課題となっています。そこで「状況把握」では、農地や温室

などに設置した日射量・雨量・温湿度センサーやWebカメラなどから得られるデータによって農作物の生育状況を可視化し、経験や勘が頼りだった農作業を客観的に数値化。データの解析結果から今後の生育状況や収量を「将来予測」し、需要に合わせて収量を最大化するように生育環境をコントロールする「施策立案」へとつなげていきます。その一例とし

て、実稼働しているのが「植物工場生産支援クラウドサービス」です。同サービスは、株式会社グランパが開

発したグランパドームにも採用されており、複数拠点の栽培設備のリアルタイムな遠隔監視や遠隔制御をクラウド上で実現。植物工場の管理コストと生産者の負荷をともに低減しながら、生産品質の均一化にも貢献しています。

IoT/M2Mを活用した社会イノベーションに挑む

今後日本では、高度経済成長期に整備された道路や橋梁、トンネル、斜面などの社会インフラが老朽化を迎えつつあり、これらの長寿命化と補修費削減のため、適切な維持管理が求められています。また、電力や水道、ガス、交通などの分野でも、施設・設備の管理や予防保全へのニーズが高まり、そこでもIoT/M2Mやビッグデータ解析の技術が大きな役割を果たしています。日立は幅広い社会インフラの構築・保守を手掛けてきた

ノウハウの蓄積を生かし、早くからITやIoT/M2Mを駆使した設備管理のサービス分野に参入。「Doctor Cloud」「施設モニタリングサービス」「M2Mトラフィックソリューション」などに代表される革新的なサービスの提供によって、社会インフラのライフサイクル管理の高度化と、予防保全によるリスク低減に寄与してきました。このように日立グループは、社会イノベーションをIoT/M2Mで加速するIntelligent Operationsをグローバルに展開することで、業種や地域の特性を踏まえた、生活・社会インフラの高度化とビジネスの革新を図り、お客さまの安全・安心な社会の実現を永続的に支援していきたいと考えています。次のページからは、国内外から注目

を集めている製造業向けの「Global e-Service on TWX-21」と、施設・設備管理業向けの「Doctor Cloud」「施設モニタリングサービス」、および「鉄道電力設備における無線式センサーの導入について」の内容を詳しくご紹介していきます。

図1 Intelligent Operations

(株)日立製作所 スマート情報システム統括本部https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/it/smart/general/form.jsp

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/smart-it/ht573/

お問い合わせ先

※5 Software as a Service

図2 Intelligent Operationsサービス体系

情報活用ソリューション

ITプラットフォームサービス

Intelligent Operations Intelligent Operations

コンサルティングサービス

バーティカルサービス*

ITプラットフォームサービス

課題解決

施策立案

将来予測状況把握

状況を可視化し、将来を予測

現場のリソース(ヒト、モノ、カネ)をリアルタイムで把握

* 各業種向けのサービス

コンサルティングサービス

バーティカルサービスバーティカルサービス

ヘルスケアエネルギー

モビリティ

ロジスティクス

リテール製造

マイニング

ファシリティー

農業

コミュニティ

- Intelligent Operations Suite -

経営戦略・現場対策立案現場機器の制御

※4 Operation Technology:制御技術および業務ナレッジ

きょうりょう

All Rights Reserved,Copyright ©2015,Hitachi,Ltd.

Page 5: IoT/M2M ソリューション

提供サービス

IoT/M2Mが導くパラダイムシフト

私たちのビジネスや社会は、数多くのITデバイス、ネットワークによって支えられています。そして自動認識や制御といったセンサー技術の進化と低コスト化によるM2Mの進展、より高速化したデータ収集・分析技術により、コンピュータやスマートフォンだけでなく、あらゆるモノと人、環境の情報がインターネットでグローバルにつながり、リアルタイムに「見える化」されるIoTの世界が現実のものとなろうとしています。これまでもセンサーノードは、産業系の監視・制御の現場などで活用されてきました。しかし、従来は単機能のセンサーを有線ネットワークでつなぎ、工場内で用途を

絞って活用するのが一般的でした。それをモノが発信する、より詳細なデータをインターネットで効率よく集約し、各種アプリケーションと連携・統合させ、他の工場あるいは企業間、異業種との間で相互活用できるようにすれば、今までにない新しいサービスが創出できる、これこそがIoT/M2Mが提供するパラダイムシフトです。今までつながることのなかった企業、異業種、人をつなぎ、さまざまなシステムやプロセスを個別最適化から全体最適化へと導き変革していく、それがIoTが実現する新しい価値なのです。

さまざまな事業分野に変革をもたらす可能性

現在、ドイツ政府は「Industrie4.0」と

名付けた産官学一体の大規模プロジェクトを推進しています。これはIoT/M2MやFA※3の技術を駆使して、工場のスマート化と生産技術、生産プロセスの次世代化を図り、製造ラインだけでなく製造業のすべてのプロセスをITで連携・統合しながら、モノづくりを変革させていく「第4次産業革命」と位置づけられています。その中でIoTは、設計・開発・生産に関するあらゆるデータを、M2Mを通して蓄積し、スマートな生産とバリューチェーンを提供していく重要な役割を担っています。そしてこの新たな潮流は、日本においても製造業のみならず、幅広い事業分野に大きな影響を与えていくものと予想されています。

特 集IoT/M2Mソリューション

4はいたっく 2015.23 はいたっく 2015.2

付加価値の高いインテリジェンスを創出

IoT/M2Mのグローバル展開に不可欠なのは、さまざまな事業・業種の業務ノウハウの蓄積と、お客さまニーズに合った設備設計やサービス開発、各種IT基盤を構築するハードウェア、ソフトウェアの総合力にほかなりません。日立は国内外のお客さまが抱える課題を解決し、快適で利便性が高い社会をつくるため、エネルギーや都市、交通、ヘルスケア、水・資源、物流、金融などの幅広い事業分野で、ITを活用して社会インフラの高度化を推進する「社会イノベーション事業」に取り組んでいます。ITでビジネス、そして社会がグローバ

ルでつながり、情報のデジタル化が進んできた今、社会イノベーションをけん引する鍵は、IoTやM2Mによって生み出されるビッグデータを活用し、経営判断やサービスの高度化に役立つ付加価値の高いインテリジェンスの創出を図っていくことにあります。

現場のきめ細かな情報を新たなイノベーションにつなげるには、「情報技術(IT)」と、さまざまなデバイスからの情報収集・制御を担う「制御技術(OT※4)」を融合し、現場の熟練者の業務ノウハウや分析技術を活用することで、情報が持つ潜在的な価値を発見し、具体的な意思決定やデバイスの制御にフィードバックしていく仕組みが必要です。そこで日立は、高度なITと現場のノウ

ハウを組み合わせた情報活用ソリューションをIntelligent Operationsという体系の下で整備し、社会、企業、お客さまのイノベーションを実現するお手伝いをしています(図1)。

Intelligent Operationsが提供する機能

Intelligent Operationsのソリューション体系は、課題の発見、解決策の立案、運用の支援を行う「コンサルティングサービス」、各業種向けに最適化されたシス

テム構築・運用保守サービスである「バーティカルサービス」、共通的な基盤を提供する「ITプラットフォームサービス(Intelligent Operations Suite)」の3つのレイヤーで構成されます。なかでも、お客さまの業種ごとに特化し

たソリューションを展開するバーティカルサービスでは、製造、農業、ヘルスケア、エネルギーなど、10の業種領域で付加価値の高いサービスを用意(図2)。それぞれの現場から収集・蓄積された人や機器、環境などの情報(ビッグデータ)をもとにした正確な「状況把握」、その情報を詳細に分析・シミュレーションした「将来予測」から、経営や現場課題の解決に向けた「施策立案」を行うという一連のサイクルで、お客さまのビジネスを最適化し、継続的な成長をサポートしていきます。では、IoT/M2Mとビッグデータ解析、幅広い業務ナレッジの活用をキーとした日立のIntelligent Operationsが、実際どのように現場の課題を解決し、ビジネスを革新しているのか、いくつかのユースケースでご紹介します。

■【製造(Manufacturing)】情報の一元管理で製品ライフサイクルをサポート

製造業では完成した製品を納めた後にも、お客さまとの保守契約に基づき、製品を継続的に保守・メンテナンスしていくアフターサービス業務があります。

日立の取り組み

そこで「状況把握」では、製品に搭載したセンサーからリアルタイムに稼働情報を収集し、1台1台の機械台帳にひもづけ、保守履歴とともに情報を一元管理。詳細なデータ解析とシミュレーションによって、故障予兆の検知や保守部品の需要といった「将来予測」を立て、稼働率向上と保守コスト削減に向けて適切な「施策立案」につなげていきます。この仕掛けを具現化したのがSaaS※5型機器ライフサイクルサポートサービス「Global e-Service on TWX-21」です。

■【農業(Agriculture)】生産の安定化と作物の高付加価値化に寄与

日本の農業は、高コスト体質や後継者不足などに加えて、生産物の付加価値をいかに高め、適切な流通・販売に結び付けるかが、収益拡大や地域活性化に向けた重要な課題となっています。そこで「状況把握」では、農地や温室

などに設置した日射量・雨量・温湿度センサーやWebカメラなどから得られるデータによって農作物の生育状況を可視化し、経験や勘が頼りだった農作業を客観的に数値化。データの解析結果から今後の生育状況や収量を「将来予測」し、需要に合わせて収量を最大化するように生育環境をコントロールする「施策立案」へとつなげていきます。その一例とし

て、実稼働しているのが「植物工場生産支援クラウドサービス」です。同サービスは、株式会社グランパが開

発したグランパドームにも採用されており、複数拠点の栽培設備のリアルタイムな遠隔監視や遠隔制御をクラウド上で実現。植物工場の管理コストと生産者の負荷をともに低減しながら、生産品質の均一化にも貢献しています。

IoT/M2Mを活用した社会イノベーションに挑む

今後日本では、高度経済成長期に整備された道路や橋梁、トンネル、斜面などの社会インフラが老朽化を迎えつつあり、これらの長寿命化と補修費削減のため、適切な維持管理が求められています。また、電力や水道、ガス、交通などの分野でも、施設・設備の管理や予防保全へのニーズが高まり、そこでもIoT/M2Mやビッグデータ解析の技術が大きな役割を果たしています。日立は幅広い社会インフラの構築・保守を手掛けてきた

ノウハウの蓄積を生かし、早くからITやIoT/M2Mを駆使した設備管理のサービス分野に参入。「Doctor Cloud」「施設モニタリングサービス」「M2Mトラフィックソリューション」などに代表される革新的なサービスの提供によって、社会インフラのライフサイクル管理の高度化と、予防保全によるリスク低減に寄与してきました。このように日立グループは、社会イノベーションをIoT/M2Mで加速するIntelligent Operationsをグローバルに展開することで、業種や地域の特性を踏まえた、生活・社会インフラの高度化とビジネスの革新を図り、お客さまの安全・安心な社会の実現を永続的に支援していきたいと考えています。次のページからは、国内外から注目

を集めている製造業向けの「Global e-Service on TWX-21」と、施設・設備管理業向けの「Doctor Cloud」「施設モニタリングサービス」、および「鉄道電力設備における無線式センサーの導入について」の内容を詳しくご紹介していきます。

図1 Intelligent Operations

(株)日立製作所 スマート情報システム統括本部https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/it/smart/general/form.jsp

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/smart-it/ht573/

お問い合わせ先

※5 Software as a Service

図2 Intelligent Operationsサービス体系

情報活用ソリューション

ITプラットフォームサービス

Intelligent Operations Intelligent Operations

コンサルティングサービス

バーティカルサービス*

ITプラットフォームサービス

課題解決

施策立案

将来予測状況把握

状況を可視化し、将来を予測

現場のリソース(ヒト、モノ、カネ)をリアルタイムで把握

* 各業種向けのサービス

コンサルティングサービス

バーティカルサービスバーティカルサービス

ヘルスケアエネルギー

モビリティ

ロジスティクス

リテール製造

マイニング

ファシリティー

農業

コミュニティ

- Intelligent Operations Suite -

経営戦略・現場対策立案現場機器の制御

※4 Operation Technology:制御技術および業務ナレッジ

きょうりょう

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Page 6: IoT/M2M ソリューション

Intelligent Operationsにおいて製造業向けのバーティカルサービスとして提供される「Global e-Service on TWX-21」は、日立建機株式会社がグローバルなサービス事業として、世界135以上の国・地域で運用し、これまで培ってきた豊富な経験やノウハウが結集されたGlobal e-Serviceの汎用的な機能をクラウド化した、SaaS※1型ライフサイクルサポートサービスです。お客さま企業の、さまざまな機器の製造、販売、稼働、保守などの情報を収集・分析し、リアルタイムに共有・活用しながら機器のライフサイクルを管理する仕組みを、適切なコストでスピーディに立ち上げられるクラウドサービスとして提供します。

 「Global e-Service on TWX-21(以

下、GeST)」では、世界各地で稼働する

機器の基本情報(機種、納入先、構成

部品など)や、稼働時間・経年・回数、

保守履歴など、機器ライフサイクルに関

する情報を一元管理できる「機械管理

台帳機能」のほか、承認・依頼などの

ワークフローを電子化した「サービス情

報管理機能」、遠隔地から機器情報を

リアルタイムに収集・蓄積・活用できるグ

ローバルキャリア対応の「M2M※2サービ

ス」、企画・研究・開発・運用・販売・経

営部門など、プロジェクトに関わるすべ

ての人 と々リアルタイムに情報の共有が

できる「Business SNS※3」といった多様

なアプリケーションをご提供します。

 ユーザー数やデータ量、機器管理

点数に応じた料金体系でサービスが

利用でき、グローバル拠点の拡大に合

わせ表示言語の追加が可能。各国独

自の規制やシステムセキュリティ、運用

面も日立がグローバルに対応するた

め、お客さまは安心してサービスを利用

できます。

 さまざまな情報のグローバルな共有

と分析によって、保守作業の効率化や

在庫の最適化だけでなく、エンドユー

ザーのニーズを反映した新製品の開

発、機器の稼働状況・メンテナンス時

期などを考慮した適切なサービス提

案、そして位置情報を活用した効率的

な営業活動を実現することが可能です。

 GeSTの最新機能として提供するの

が、M2Mで収集したセンサーデータを活

用した「故障予兆診断サービス」です。

 いま多くの機械メーカーは、取引先

企業から手厚い保守対応による「機械

稼働率の向上」と「保守コストの低減」

を求められています。こうしたニーズを

バランスよく満たすには、従来の機械

稼働時間に基づいた「定期保守」か

ら、機械の状態を監視して予防保全を

適切に行う「状態基準保守」へのシフト

が必要になってきます。

 すでに一部の機械メーカーはM2M

などにより、各地で稼働する機械から

センサーデータを収集し、遠隔での状

態監視を行っています。しかし、目視に

よって多数のセンサー値から「正常・異

常」を適切に判定するのは容易ではな

い上、固定的なしきい値による診断で

は機器が設置されているさまざまな環

境に影響されて精度を上げることがで

きません。技術者の経験や感覚に頼る

部分も少なくないため、特にグローバル

にビジネスを展開する企業では海外で

の運用管理や人材育成におけるコスト

面での課題がありました。

 こうした課題を解決するため、故障

予兆診断サービスは、日立独自の分析

技術に基づく診断ロジック※4を活用し

て、機器の状態をM2Mによって遠隔で

診断。機械管理台帳やサービス情報

管理機能などで管理された情報に、

M2Mで取得した“生のセンサーデータ”を

付加することで、故障につながる状態

変化や異常を早期に検出し、高度な予

防保守を実現します(図1)。

 診断ロジックについては、日立のビッ

グデータ利活用の専門家「データ・アナ

リティクス・マイスター」が実際の各機器

のセンサーデータを用いて、診断アルゴ

リズムの適用性評価をはじめ、診断方

法の具体的な検討、性能評価などを行

いながら作成するため、お客さまの機

器ごとに最適化した高精度な故障予

兆診断を実現することが可能です。

 状態基準保守への移行を容易に行

える故障予兆診断サービスを導入する

ことで、お客さまはWebブラウザ上から

機器別センサーデータの推移、機器

別・日別の異常有無のサマリー情報、

診断アルゴリズムで算出した異常度の

グラフ表示など、さまざまな側面から機

器の状態を確認できるようになります。

これにより、適切な時期での部品交換

による点検・部品費の圧縮、突発故障

の回避による事後保守の作業コスト増

を抑制でき、企業としての信頼性とお客

さま満足度の向上に大きな効果が期

待できます。※4 ベクトル量子化クラスタリング、局所部分空間法を応用した日立独自のデータマイニング技術を採用。正常時の学習データを基に、診断対象機器から逐次収集されたセンサーデータを使い、故障予兆診断を行う

※1 Software as a Service

はいたっく 2015.2

■ 情報提供サイト   http://www.hitachi.co.jp/gest/ht573/  http://www.hitachi.co.jp/bigdata/

お問い合わせ先

製造機械の販売・保守をグローバル展開するお客さまに最適な「Global e-Service on TWX-21」

さまざまな機器のライフサイクルをトータルにサポート

クラウドサービスで故障予兆診断を実現

信頼性とお客さま満足度の向上に大きな効果

65 はいたっく 2015.2

(株)日立製作所 スマート情報システム統括本部https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/it/smart/general/form.jsp

※2 Machine to Machine※3 Social Networking Service

日立グループトータルで提供するIoT/M2Mソリューション

デモ会場 デモ会場TWX-21(クラウド)コンプレッサー

Webコントローラ

M2Mデータ収集エージェント

UbiCube

データ収集コマンド実行通信制御

図2 M2M機器遠隔監視・制御デモンストレーション

デモ種類 概 要①データ送信 圧力の経過を遠隔でモニタリング。コンプレッサーの圧力モニターデータを一定周期で収集し、GeSTに通知②コマンド実行 GeSTから空気タンクの電磁弁の開閉のコマンドを送信・実行。遠隔で空気を吐き出す指示を実施③アラート送信 温度異常を検知してアラートを通知。コンプレッサーからGeSTにアラートを通知

①データ送信②コマンド実行③アラート送信

M2Mサービスプラットフォーム

通信回線データ収集/蓄積/配信基盤

データ変換コマンド伝播リアルタイム

データ表示

Global e-Serviceon TWX-21(GeST)

データの可視化コマンド送信

データ表示

………… …………日時 稼動情報

………… …………………… …………………… …………

特 集IoT/M2MソリューションSolution

はんよう データの活用

データの分析(蓄積)データの収集

・故障予兆有無・センサーデータ

-198113818987670871-772263176-115121011-1219593765296562388-2068980706

M2M

故障予兆診断サービス-198113818987670871-772263176-115121011-1219593765296562388-2068980706

・センサーデータ・警報データ etc.

点検・修理指示

M2Mデータ

予兆確認・作業計画策定

故障予兆診断

現場保守員 保守サービス管理者

予兆

図1 「故障予兆診断サービス」の概要

* Internet of Things

 2014年10月に開催された「Hitachi Innovation Forum 2014 TOKYO」では、グローバル拠点に設置されたコンプレッ

サーの稼働情報をM2Mデータ収集エージェントとM2Mサービスプラットフォームを介してGeSTに集約し、お客さま拠点から

遠隔監視・制御するまでのリアルな「Global e-Service on TWX-21」システムを展示。日立グループトータルで提供するIoT*

/M2Mソリューションに、来場されたお客さまは高い関心を示されていました(図2)。

All Rights Reserved,Copyright ©2015,Hitachi,Ltd.

Page 7: IoT/M2M ソリューション

Intelligent Operationsにおいて製造業向けのバーティカルサービスとして提供される「Global e-Service on TWX-21」は、日立建機株式会社がグローバルなサービス事業として、世界135以上の国・地域で運用し、これまで培ってきた豊富な経験やノウハウが結集されたGlobal e-Serviceの汎用的な機能をクラウド化した、SaaS※1型ライフサイクルサポートサービスです。お客さま企業の、さまざまな機器の製造、販売、稼働、保守などの情報を収集・分析し、リアルタイムに共有・活用しながら機器のライフサイクルを管理する仕組みを、適切なコストでスピーディに立ち上げられるクラウドサービスとして提供します。

 「Global e-Service on TWX-21(以

下、GeST)」では、世界各地で稼働する

機器の基本情報(機種、納入先、構成

部品など)や、稼働時間・経年・回数、

保守履歴など、機器ライフサイクルに関

する情報を一元管理できる「機械管理

台帳機能」のほか、承認・依頼などの

ワークフローを電子化した「サービス情

報管理機能」、遠隔地から機器情報を

リアルタイムに収集・蓄積・活用できるグ

ローバルキャリア対応の「M2M※2サービ

ス」、企画・研究・開発・運用・販売・経

営部門など、プロジェクトに関わるすべ

ての人 と々リアルタイムに情報の共有が

できる「Business SNS※3」といった多様

なアプリケーションをご提供します。

 ユーザー数やデータ量、機器管理

点数に応じた料金体系でサービスが

利用でき、グローバル拠点の拡大に合

わせ表示言語の追加が可能。各国独

自の規制やシステムセキュリティ、運用

面も日立がグローバルに対応するた

め、お客さまは安心してサービスを利用

できます。

 さまざまな情報のグローバルな共有

と分析によって、保守作業の効率化や

在庫の最適化だけでなく、エンドユー

ザーのニーズを反映した新製品の開

発、機器の稼働状況・メンテナンス時

期などを考慮した適切なサービス提

案、そして位置情報を活用した効率的

な営業活動を実現することが可能です。

 GeSTの最新機能として提供するの

が、M2Mで収集したセンサーデータを活

用した「故障予兆診断サービス」です。

 いま多くの機械メーカーは、取引先

企業から手厚い保守対応による「機械

稼働率の向上」と「保守コストの低減」

を求められています。こうしたニーズを

バランスよく満たすには、従来の機械

稼働時間に基づいた「定期保守」か

ら、機械の状態を監視して予防保全を

適切に行う「状態基準保守」へのシフト

が必要になってきます。

 すでに一部の機械メーカーはM2M

などにより、各地で稼働する機械から

センサーデータを収集し、遠隔での状

態監視を行っています。しかし、目視に

よって多数のセンサー値から「正常・異

常」を適切に判定するのは容易ではな

い上、固定的なしきい値による診断で

は機器が設置されているさまざまな環

境に影響されて精度を上げることがで

きません。技術者の経験や感覚に頼る

部分も少なくないため、特にグローバル

にビジネスを展開する企業では海外で

の運用管理や人材育成におけるコスト

面での課題がありました。

 こうした課題を解決するため、故障

予兆診断サービスは、日立独自の分析

技術に基づく診断ロジック※4を活用し

て、機器の状態をM2Mによって遠隔で

診断。機械管理台帳やサービス情報

管理機能などで管理された情報に、

M2Mで取得した“生のセンサーデータ”を

付加することで、故障につながる状態

変化や異常を早期に検出し、高度な予

防保守を実現します(図1)。

 診断ロジックについては、日立のビッ

グデータ利活用の専門家「データ・アナ

リティクス・マイスター」が実際の各機器

のセンサーデータを用いて、診断アルゴ

リズムの適用性評価をはじめ、診断方

法の具体的な検討、性能評価などを行

いながら作成するため、お客さまの機

器ごとに最適化した高精度な故障予

兆診断を実現することが可能です。

 状態基準保守への移行を容易に行

える故障予兆診断サービスを導入する

ことで、お客さまはWebブラウザ上から

機器別センサーデータの推移、機器

別・日別の異常有無のサマリー情報、

診断アルゴリズムで算出した異常度の

グラフ表示など、さまざまな側面から機

器の状態を確認できるようになります。

これにより、適切な時期での部品交換

による点検・部品費の圧縮、突発故障

の回避による事後保守の作業コスト増

を抑制でき、企業としての信頼性とお客

さま満足度の向上に大きな効果が期

待できます。※4 ベクトル量子化クラスタリング、局所部分空間法を応用した日立独自のデータマイニング技術を採用。正常時の学習データを基に、診断対象機器から逐次収集されたセンサーデータを使い、故障予兆診断を行う

※1 Software as a Service

はいたっく 2015.2

■ 情報提供サイト   http://www.hitachi.co.jp/gest/ht573/  http://www.hitachi.co.jp/bigdata/

お問い合わせ先

製造機械の販売・保守をグローバル展開するお客さまに最適な「Global e-Service on TWX-21」

さまざまな機器のライフサイクルをトータルにサポート

クラウドサービスで故障予兆診断を実現

信頼性とお客さま満足度の向上に大きな効果

65 はいたっく 2015.2

(株)日立製作所 スマート情報システム統括本部https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/it/smart/general/form.jsp

※2 Machine to Machine※3 Social Networking Service

日立グループトータルで提供するIoT/M2Mソリューション

デモ会場 デモ会場TWX-21(クラウド)コンプレッサー

Webコントローラ

M2Mデータ収集エージェント

UbiCube

データ収集コマンド実行通信制御

図2 M2M機器遠隔監視・制御デモンストレーション

デモ種類 概 要①データ送信 圧力の経過を遠隔でモニタリング。コンプレッサーの圧力モニターデータを一定周期で収集し、GeSTに通知②コマンド実行 GeSTから空気タンクの電磁弁の開閉のコマンドを送信・実行。遠隔で空気を吐き出す指示を実施③アラート送信 温度異常を検知してアラートを通知。コンプレッサーからGeSTにアラートを通知

①データ送信②コマンド実行③アラート送信

M2Mサービスプラットフォーム

通信回線データ収集/蓄積/配信基盤

データ変換コマンド伝播リアルタイム

データ表示

Global e-Serviceon TWX-21(GeST)

データの可視化コマンド送信

データ表示

………… …………日時 稼動情報

………… …………………… …………………… …………

特 集IoT/M2MソリューションSolution

はんよう データの活用

データの分析(蓄積)データの収集

・故障予兆有無・センサーデータ

-198113818987670871-772263176-115121011-1219593765296562388-2068980706

M2M

故障予兆診断サービス-198113818987670871-772263176-115121011-1219593765296562388-2068980706

・センサーデータ・警報データ etc.

点検・修理指示

M2Mデータ

予兆確認・作業計画策定

故障予兆診断

現場保守員 保守サービス管理者

予兆

図1 「故障予兆診断サービス」の概要

* Internet of Things

 2014年10月に開催された「Hitachi Innovation Forum 2014 TOKYO」では、グローバル拠点に設置されたコンプレッ

サーの稼働情報をM2Mデータ収集エージェントとM2Mサービスプラットフォームを介してGeSTに集約し、お客さま拠点から

遠隔監視・制御するまでのリアルな「Global e-Service on TWX-21」システムを展示。日立グループトータルで提供するIoT*

/M2Mソリューションに、来場されたお客さまは高い関心を示されていました(図2)。

All Rights Reserved,Copyright ©2015,Hitachi,Ltd.

Page 8: IoT/M2M ソリューション

7 はいたっく 2015.2

(株)日立製作所 サービスプロデュース統括本部http://www.hitachi.co.jp/secureplaza-inq/

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/products/it/traceability/service/      monitoring_service.html

8はいたっく 2015.2

お問い合わせ先

(株)日立製作所 インフラシステム社産業プラント・ソリューション事業部 産業ソリューション本部TEL(03)5928-8255

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/doctor-cloud/

お問い合わせ先

本サービスは、M2M※2技術によってセンサーデータを効率的に収集し、施設状態の変化を見える化する「状態監視サービス」と、収集したデータを分析する「予兆診断サービス」で構成され、次のような特長を備えています。

 小型センサーを施設(土木構造物やプラント設備など)に取り付け、継続的に施設の状態変化を計測します。固有振動数計、傾斜計、雨量計など監視対象に合わせたセンサーが選択可能で、地滑りや土砂崩れなどの災害、標識や街路灯などの落下や転倒をリアルタイムに検知します。

 通信距離200m、時速80kmでデータ受信可能な無線通信技術を利用。各種センサーの計測データを受信する機器とスマートフォンやタブレット端末と連携させる技術を活用することで、道路や河川といった長距離施設の巡回点検でも、パトロール車で高速移動しながら効率的に情報を収集。その場でグラフ表示し、施設の状態を確認できるスマートメンテナンスを実現します。モバイ

ル端末に収集したデータは、公衆回線を通じて管理サーバへ送信され、予兆診断などに活用されます。

 各拠点のセンサーデータを管理サーバで一元管理。正常状態を学習し、異常時の相関を抽出する日立独自のデータマイニング技術※3を活用し、正常状態と計測データの比較で施設の変化度合いを結果として出力、予防保全のデータとして活用します。

 Web対応の施設情報管理基盤で維持管理のためのデータを一元管理。施

設管理台帳機能を中心に、ロケーション管理機能やモニタリング履歴管理機能、状態変化通報機能などをクラウド型予防保全サービスとして提供します。

 施設モニタリングサービスを活用した予防保全の実施により、お客さまは劣化が顕在化する前に施設や設備を修繕できます。これにより、突然の故障や生産停止といったリスクを回避しながら、施設の長寿命化と維持管理コストの低減を図ることができます。

施設の長寿命化、維持管理コスト削減を実現する情報提供サービスセンサー付RFIDから送信されるデータを高速移動しながら取得、施設の異常を検知します

「施設モニタリングサービス」の概要クラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud」の概要

※2 Engineering, Procurement and Construction:設計・調達・建設※3 Internet of Things

※4 Augmented Reality:拡張現実

「予兆診断」

「状態監視」

施設の状態変化をリアルタイムに検知

スマートメンテナンスを実現

データマイニング技術で予兆診断

クラウド型予防保全サービスで提供

管理サーバ

インターネット

タブレット端末

モバイルリーダー

Bluetooth

特 集IoT/M2MソリューションSolution

Point 2RFIDで計測データ受信 Point 3

データマイニング機能で予兆診断

Point 4クラウド型でのサービス提供

施設管理者

 Doctor Cloudは、日立が長年にわたって手がけてきた産業機械の設計・製造・保守や工場・プラントのEPC※2の実績に、IoT※3/M2Mやビッグデータ分析といったITベンダーとしてのノウハウ、技術力を融合して提供するサービスです。 すでに日立は2011年から、自社製のクレーンや空気圧縮機を対象に、監視、予防保全、故障予兆・省エネ診断、設備保全管理などのアフターサービスのために国内外で適用していました。その実績に裏打ちされたサービスをお客さまが自社製品にも活用することで、お客さまのユーザーに対して適切なタイミングでのアフターサービスの実施・提案が可能となり、ユーザーも製品ライフサイクルコストの低減が図れます。また、自社製品を通じて得られたユーザーの工場やプラント全体のデータを蓄積・分析することでお客さまは、よりトータルな保全管理や新たなサービス事業の創出につなげることが可能です。

 Doctor Cloudでは、機器1台ごとの出荷情報や機器構成、保守履歴など

のカルテ情報をクラウドで一元管理。M2Mによる稼働情報も合わせて予兆検知に生かし、稼働率の向上につなげます。スマートデバイスとAR※4技術により、慣れない作業者に対象設備の位置や操作手順をガイダンスする現場作業支援システムも用意し、設備保全業務の品質向上をサポート。また日立のクラウド基盤を活用するため、グローバルに対応、初期コストを抑えたサービス導入が可能です。

 ユーザー機械の稼働状況がリアルタイムに把握できるため、ユーザーは部品などの在庫適正化やメンテナンス時期

の予測など、効率的なサービス体制が構築でき、経営の効率向上を図れます。また機械単体だけでなく、蓄積した稼働データから機械やプラント設備固有の特性を見つけ、設備全体の適切な点検・運転・保全計画の実現も支援します。

 Doctor Cloudではクラウド型サービスならではの大容量メモリーと強力なコンピューティングパワーで、時々刻 と々収集されるビッグデータを詳細に分析・解析できます。これにより、今まで知り得なかった知見が生まれ、見えないものも可視化することが可能となり、お客さまからユーザーへの新しいサービスビジネスやコスト削減策の提案につなげることも可能です。

データマイニング技術で予兆診断特長1

機械単体だけでなく設備全体の保全管理も可能に特長2

さまざまな新サービスを創出特長3

スマートメンテナンスで社会インフラの安全を支える「施設モニタリングサービス」

工場やプラントの安定稼働を支えるクラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud」

さまざまな対象物の状態診断を行うクラウドサービス

●タイムリーで効果的な顧客訪問●人件費などロスコストの縮減●トラブル、不具合対策●新製品への反映 etc.

工場の一元管理を支援●ロスのないプラント運営●省エネ、ライフサイクルコスト低減●止められない設備への対策●ノウハウ、ナレッジの集約 etc.

機械メーカー 設備管理者

遠隔指示

サービス員

工場

本社

ビッグデータ

予兆診断

故障原因解析・・・

相互連携

巡回点検

設備台帳

M2Mによるデータ収集機能クラウドを活用した設備管理機能

連携

ARやRFID*、モバイル端末を利用した点検の効率化

機器の故障を防ぎながら、工場全体の保全管理も実現

※2 Machine to Machine

※3予兆診断システム「HiPAMPS」により、正常状態を学習し、データの逸脱を異常として検知

  (株式会社日立パワーソリューションズ提供)

ハイパンプス

Point 1センサーで施設の状態監視

モニタリング装置

*Radio Frequency Identif ication

ドクタークラウド

さまざまな社会インフラでは、施設の老朽化対策として膨大な維持・更新費用が大きな課題となっており、適切な点検・診断に基づいた効果的な維持管理によって、いかに適正なコストで安全性を向上させるかが求められています。そのためには定期点検の中で損傷箇所を発見後に詳細な調査や修繕を実施する「事後保全」ではなく、施設の状態を日常的に把握しながら修繕する「予防保全」の実現が必要です。そこで日立は、センサー付RFID※1を活用して施設の異常を検知し、施設の長寿命化と維持管理コストの削減を図る「施設モニタリングサービス」を提供しています。※1 Radio frequency Identification

これまで工場内における産業機械のアフターサービスは、定期的にユーザーを訪問して機械の状態を確認、異常が発生した際には連絡を受けてから復旧作業を始めるのが一般的でした。しかしお客さまの満足度を高めるには、異常の早期検出による迅速な復旧対応や、ダウンタイム(運転停止時間)の極小化が求められます。日立は、さまざまな産業機械の稼働状況をM2M※1によって常時、遠隔で把握し、製造・保守に携わる現場のノウハウに基づいて分析することで、メーカーのアフターサービス業務を支援し、設備全体の保全管理も実現する「Doctor Cloud」を提供しています。※1 Machine to Machine

All Rights Reserved,Copyright ©2015,Hitachi,Ltd.

Page 9: IoT/M2M ソリューション

7 はいたっく 2015.2

(株)日立製作所 サービスプロデュース統括本部http://www.hitachi.co.jp/secureplaza-inq/

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/products/it/traceability/service/      monitoring_service.html

8はいたっく 2015.2

お問い合わせ先

(株)日立製作所 インフラシステム社産業プラント・ソリューション事業部 産業ソリューション本部TEL(03)5928-8255

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/doctor-cloud/

お問い合わせ先

本サービスは、M2M※2技術によってセンサーデータを効率的に収集し、施設状態の変化を見える化する「状態監視サービス」と、収集したデータを分析する「予兆診断サービス」で構成され、次のような特長を備えています。

 小型センサーを施設(土木構造物やプラント設備など)に取り付け、継続的に施設の状態変化を計測します。固有振動数計、傾斜計、雨量計など監視対象に合わせたセンサーが選択可能で、地滑りや土砂崩れなどの災害、標識や街路灯などの落下や転倒をリアルタイムに検知します。

 通信距離200m、時速80kmでデータ受信可能な無線通信技術を利用。各種センサーの計測データを受信する機器とスマートフォンやタブレット端末と連携させる技術を活用することで、道路や河川といった長距離施設の巡回点検でも、パトロール車で高速移動しながら効率的に情報を収集。その場でグラフ表示し、施設の状態を確認できるスマートメンテナンスを実現します。モバイ

ル端末に収集したデータは、公衆回線を通じて管理サーバへ送信され、予兆診断などに活用されます。

 各拠点のセンサーデータを管理サーバで一元管理。正常状態を学習し、異常時の相関を抽出する日立独自のデータマイニング技術※3を活用し、正常状態と計測データの比較で施設の変化度合いを結果として出力、予防保全のデータとして活用します。

 Web対応の施設情報管理基盤で維持管理のためのデータを一元管理。施

設管理台帳機能を中心に、ロケーション管理機能やモニタリング履歴管理機能、状態変化通報機能などをクラウド型予防保全サービスとして提供します。

 施設モニタリングサービスを活用した予防保全の実施により、お客さまは劣化が顕在化する前に施設や設備を修繕できます。これにより、突然の故障や生産停止といったリスクを回避しながら、施設の長寿命化と維持管理コストの低減を図ることができます。

施設の長寿命化、維持管理コスト削減を実現する情報提供サービスセンサー付RFIDから送信されるデータを高速移動しながら取得、施設の異常を検知します

「施設モニタリングサービス」の概要クラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud」の概要

※2 Engineering, Procurement and Construction:設計・調達・建設※3 Internet of Things

※4 Augmented Reality:拡張現実

「予兆診断」

「状態監視」

施設の状態変化をリアルタイムに検知

スマートメンテナンスを実現

データマイニング技術で予兆診断

クラウド型予防保全サービスで提供

管理サーバ

インターネット

タブレット端末

モバイルリーダー

Bluetooth

特 集IoT/M2MソリューションSolution

Point 2RFIDで計測データ受信 Point 3

データマイニング機能で予兆診断

Point 4クラウド型でのサービス提供

施設管理者

 Doctor Cloudは、日立が長年にわたって手がけてきた産業機械の設計・製造・保守や工場・プラントのEPC※2の実績に、IoT※3/M2Mやビッグデータ分析といったITベンダーとしてのノウハウ、技術力を融合して提供するサービスです。 すでに日立は2011年から、自社製のクレーンや空気圧縮機を対象に、監視、予防保全、故障予兆・省エネ診断、設備保全管理などのアフターサービスのために国内外で適用していました。その実績に裏打ちされたサービスをお客さまが自社製品にも活用することで、お客さまのユーザーに対して適切なタイミングでのアフターサービスの実施・提案が可能となり、ユーザーも製品ライフサイクルコストの低減が図れます。また、自社製品を通じて得られたユーザーの工場やプラント全体のデータを蓄積・分析することでお客さまは、よりトータルな保全管理や新たなサービス事業の創出につなげることが可能です。

 Doctor Cloudでは、機器1台ごとの出荷情報や機器構成、保守履歴など

のカルテ情報をクラウドで一元管理。M2Mによる稼働情報も合わせて予兆検知に生かし、稼働率の向上につなげます。スマートデバイスとAR※4技術により、慣れない作業者に対象設備の位置や操作手順をガイダンスする現場作業支援システムも用意し、設備保全業務の品質向上をサポート。また日立のクラウド基盤を活用するため、グローバルに対応、初期コストを抑えたサービス導入が可能です。

 ユーザー機械の稼働状況がリアルタイムに把握できるため、ユーザーは部品などの在庫適正化やメンテナンス時期

の予測など、効率的なサービス体制が構築でき、経営の効率向上を図れます。また機械単体だけでなく、蓄積した稼働データから機械やプラント設備固有の特性を見つけ、設備全体の適切な点検・運転・保全計画の実現も支援します。

 Doctor Cloudではクラウド型サービスならではの大容量メモリーと強力なコンピューティングパワーで、時々刻 と々収集されるビッグデータを詳細に分析・解析できます。これにより、今まで知り得なかった知見が生まれ、見えないものも可視化することが可能となり、お客さまからユーザーへの新しいサービスビジネスやコスト削減策の提案につなげることも可能です。

データマイニング技術で予兆診断特長1

機械単体だけでなく設備全体の保全管理も可能に特長2

さまざまな新サービスを創出特長3

スマートメンテナンスで社会インフラの安全を支える「施設モニタリングサービス」

工場やプラントの安定稼働を支えるクラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud」

さまざまな対象物の状態診断を行うクラウドサービス

●タイムリーで効果的な顧客訪問●人件費などロスコストの縮減●トラブル、不具合対策●新製品への反映 etc.

工場の一元管理を支援●ロスのないプラント運営●省エネ、ライフサイクルコスト低減●止められない設備への対策●ノウハウ、ナレッジの集約 etc.

機械メーカー 設備管理者

遠隔指示

サービス員

工場

本社

ビッグデータ

予兆診断

故障原因解析・・・

相互連携

巡回点検

設備台帳

M2Mによるデータ収集機能クラウドを活用した設備管理機能

連携

ARやRFID*、モバイル端末を利用した点検の効率化

機器の故障を防ぎながら、工場全体の保全管理も実現

※2 Machine to Machine

※3予兆診断システム「HiPAMPS」により、正常状態を学習し、データの逸脱を異常として検知

  (株式会社日立パワーソリューションズ提供)

ハイパンプス

Point 1センサーで施設の状態監視

モニタリング装置

*Radio Frequency Identif ication

ドクタークラウド

さまざまな社会インフラでは、施設の老朽化対策として膨大な維持・更新費用が大きな課題となっており、適切な点検・診断に基づいた効果的な維持管理によって、いかに適正なコストで安全性を向上させるかが求められています。そのためには定期点検の中で損傷箇所を発見後に詳細な調査や修繕を実施する「事後保全」ではなく、施設の状態を日常的に把握しながら修繕する「予防保全」の実現が必要です。そこで日立は、センサー付RFID※1を活用して施設の異常を検知し、施設の長寿命化と維持管理コストの削減を図る「施設モニタリングサービス」を提供しています。※1 Radio frequency Identification

これまで工場内における産業機械のアフターサービスは、定期的にユーザーを訪問して機械の状態を確認、異常が発生した際には連絡を受けてから復旧作業を始めるのが一般的でした。しかしお客さまの満足度を高めるには、異常の早期検出による迅速な復旧対応や、ダウンタイム(運転停止時間)の極小化が求められます。日立は、さまざまな産業機械の稼働状況をM2M※1によって常時、遠隔で把握し、製造・保守に携わる現場のノウハウに基づいて分析することで、メーカーのアフターサービス業務を支援し、設備全体の保全管理も実現する「Doctor Cloud」を提供しています。※1 Machine to Machine

All Rights Reserved,Copyright ©2015,Hitachi,Ltd.

Page 10: IoT/M2M ソリューション

ソリューション」の新たなサービスメ

ニューとしても提供することができます。

 共同開発を行った日立に対して山本

氏は「研究開発を進める上では、M2M

の知見と屋外設備において適切なコス

トで長期的にデータを取得できるセン

サー開発といった、非常にハードルの高

い条件が求められましたが、それらの条

件を日立はしっかり応えてくれました」と

評価。安藤氏も「センサー情報を詳細

に分析することで、設備の保全レベル

が向上し、より品質の高い輸送サービス

をご提供できるでしょう。そのための分

析判断アルゴリズムの確立でも、日立の

協力を期待しています」と語ります。

 JR東日本は2015年4月から、先行区

間として常磐線の北千住~我孫子間

で同システムの運用を開始する予定で

す。このシステムが本格稼働すれば、

従来は作業員が歩いて

検査していたものが、最

高130km/hで走行する

列車からも各所の温度状

態が自動的に収集でき、

き電線の劣化状態を見え

る化することが可能となり

ます。

 他線区への導入は、先

行導入の検証結果を踏

まえて検討していきます

が、今後、JR東日本では、

収集されたデータをもとに

CBMによる効果的な設備メンテナンス

手法の確立をめざします。

 「故障予兆をとらえた設備管理の高

度化は、列車を止めない安全安定輸送

につながります。その実現に向け、今後も

継続的な研究開発を続けていきます」と

山本氏は今後の抱負を語ります。

 その期待に応えるため、これからも

日立は、安全安定輸送のさらなるレベル

アップと鉄道システムの変革に向けた

JR東日本の取り組みを、先進的なITソ

リューションで力強く支援するとともに、

同社と共同開発したM2M製品を、さま

ざまな社会インフラ設備の管理・保全に

向けて幅広く提供していきます。

 関東、甲信越、そして東北に至る本

州の東半分という広大なエリアで事業

を展開する東日本旅客鉄道株式会社

(以下、JR東日本)。その事業は、究極

の安全をめざした世界最高水準の鉄

道システムの運営に加え、駅を中心とし

た魅力あるまちづくりをめざす「生活

サービス事業」、電子マネービジネスの

優良モデルとなった「IT・Suica事業」、

海外展開にも挑戦する「鉄道車両製

造事業」など多様な領域に広がってい

ます。

 JR東日本は、鉄道システム全般でIT

を活用した業務革新を積極的に推進し

ています。その中でも、CBM※1やアセッ

トマネジメントをはじめとしたスマートメン

テナンスの研究開発を進めているのが

JR東日本研究開発センターのテクニカ

ルセンターです。同センター上席研究員

の山本 浩志氏は、「これまで鉄道設備

のメンテナンス業務は、人の勘や経験に

頼る部分が多かったのですが、各種

センサーを活用して情報を効率的に

収集・分析すれば、設備状態の把握、

将来予測、それを踏まえどのようにメン

テナンスをしていくかの意思決定を科

学的に行うことができると考えています」

と、その研究目的を説明します。

 その一環としてJR東日本と日立は、

機器を含むさまざまなモノがネットワ

ークにつながるM2M※2などの技術を

活用し、鉄道における電力設備の状態

把握・故障予測による効果的なメンテ

ナンスの実現に向け、新システムの開発

に取り組んできました。従来型メンテナ

ンスの課題として、電気ネットワーク部

課長の安藤 政人氏は、「例えば、電車

に電力を供給する“き電線”は数百m

単位で接続されおり、接続箇所から発

熱し、断線するトラブルが過去にありまし

た。そのため現在は、サーモカメラで接

続部分の温度上昇をチェックしていま

すが、その作業に手間がかかってしまう

ことが課題です」と語ります。

 こうしたメンテナンス業務の改革に向

けて開発されたのが無線式温度セン

サーです。JR東日本と日立が共同開発

したこのシステムは、き電線の接続金具

に無線式の温度センサーを搭載した太

陽光発電型センサーノードを取り付け、

測定値を無線で送信。そのデータをモ

バイル型ゲートウェイ(携帯型データ収

集装置)とタブレット端末で収集するも

のです。本センサーノードは、太陽電池

と省電力制御技術を搭載しており、外

部からの電源供給や電池交換が不要

であるほか、防水機能など風雨への耐

候性に優れているため、屋外での直接

設置が可能です。

 またモバイル型ゲートウェイも、重さ

210g、幅76mmの軽量・小型化を実現

しており、作業員がいつでも手軽に携

行できるほか、車両などに載せて巡回

すれば、走行しながら屋外のセンサー

情報をスピーディかつ効率的に収集で

きます。

 さらに今回のシステムは、センサー

ノードやゲートウェイなどのM2Mネット

ワーク機器から、センサーネットワークの

構築・導入をサポートするコンサルティン

グ、センサーデータの収集・管理・可視

化を行うクラウドサービスまでをワンストッ

プに提供する、日立の「M2Mトラフィック

東日本旅客鉄道株式会社 http://www.jreast.co.jp/

屋外インフラ設備の管理・保全を支援するネットワーク機器を共同で開発

お問い合わせ先

(株)日立製作所 通信ネットワーク事業部http://www.hitachi.co.jp/network/contact/

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/products/it/network/m2m/

課題

安全安定輸送のさらなるレベルアップを図るため、鉄道設備の状態把握や故障予測を可能とするプラットフォームを模索していた

解決

日立と共同でIoT/M2M技術を活用した無線式温度センサーを開発。営業時に運行する列車から各所の温度を自動的に収集したものを分析し、設備の状態把握が可能に

効果

設備の状態を効率よく見える化することで、定期保全から状態基準保全への移行を実現。今後はデータ分析で、より効果的な設備メンテナンス手法の確立をめざしていく

所 在 地創 立資 本 金従 業員数事 業 内 容

東京都渋谷区代々木2-2-21987年4月1日2,000億円59,240名(2014年4月1日現在)旅客鉄道事業、貨物鉄道事業、旅客自動車運送事業、索道業、旅行業、倉庫業など

東日本旅客鉄道株式会社

JR東日本と日立が共同開発したシステムの利用イメージ

※1 Condition Based Maintenance※2 Machine to Machine

特 集IoT/M2MソリューションCase Study

東日本旅客鉄道株式会社電気ネットワーク部電力管理グループ課長安藤 政人 氏

東日本旅客鉄道株式会社JR東日本研究開発センターテクニカルセンター上席研究員(電力技術)山本 浩志 氏

ITを活用した業務革新を積極的に推進

太陽光発電型センサーノード

モバイル型ゲートウェイ

M2Mトラフィックソリューション/クラウドサービス車両で走行しながらセンサー情報を効率的に収集

より効果的な設備メンテナンス手法の確立をめざす

10はいたっく 2015.29 はいたっく 2015.2

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Page 11: IoT/M2M ソリューション

ソリューション」の新たなサービスメ

ニューとしても提供することができます。

 共同開発を行った日立に対して山本

氏は「研究開発を進める上では、M2M

の知見と屋外設備において適切なコス

トで長期的にデータを取得できるセン

サー開発といった、非常にハードルの高

い条件が求められましたが、それらの条

件を日立はしっかり応えてくれました」と

評価。安藤氏も「センサー情報を詳細

に分析することで、設備の保全レベル

が向上し、より品質の高い輸送サービス

をご提供できるでしょう。そのための分

析判断アルゴリズムの確立でも、日立の

協力を期待しています」と語ります。

 JR東日本は2015年4月から、先行区

間として常磐線の北千住~我孫子間

で同システムの運用を開始する予定で

す。このシステムが本格稼働すれば、

従来は作業員が歩いて

検査していたものが、最

高130km/hで走行する

列車からも各所の温度状

態が自動的に収集でき、

き電線の劣化状態を見え

る化することが可能となり

ます。

 他線区への導入は、先

行導入の検証結果を踏

まえて検討していきます

が、今後、JR東日本では、

収集されたデータをもとに

CBMによる効果的な設備メンテナンス

手法の確立をめざします。

 「故障予兆をとらえた設備管理の高

度化は、列車を止めない安全安定輸送

につながります。その実現に向け、今後も

継続的な研究開発を続けていきます」と

山本氏は今後の抱負を語ります。

 その期待に応えるため、これからも

日立は、安全安定輸送のさらなるレベル

アップと鉄道システムの変革に向けた

JR東日本の取り組みを、先進的なITソ

リューションで力強く支援するとともに、

同社と共同開発したM2M製品を、さま

ざまな社会インフラ設備の管理・保全に

向けて幅広く提供していきます。

 関東、甲信越、そして東北に至る本

州の東半分という広大なエリアで事業

を展開する東日本旅客鉄道株式会社

(以下、JR東日本)。その事業は、究極

の安全をめざした世界最高水準の鉄

道システムの運営に加え、駅を中心とし

た魅力あるまちづくりをめざす「生活

サービス事業」、電子マネービジネスの

優良モデルとなった「IT・Suica事業」、

海外展開にも挑戦する「鉄道車両製

造事業」など多様な領域に広がってい

ます。

 JR東日本は、鉄道システム全般でIT

を活用した業務革新を積極的に推進し

ています。その中でも、CBM※1やアセッ

トマネジメントをはじめとしたスマートメン

テナンスの研究開発を進めているのが

JR東日本研究開発センターのテクニカ

ルセンターです。同センター上席研究員

の山本 浩志氏は、「これまで鉄道設備

のメンテナンス業務は、人の勘や経験に

頼る部分が多かったのですが、各種

センサーを活用して情報を効率的に

収集・分析すれば、設備状態の把握、

将来予測、それを踏まえどのようにメン

テナンスをしていくかの意思決定を科

学的に行うことができると考えています」

と、その研究目的を説明します。

 その一環としてJR東日本と日立は、

機器を含むさまざまなモノがネットワ

ークにつながるM2M※2などの技術を

活用し、鉄道における電力設備の状態

把握・故障予測による効果的なメンテ

ナンスの実現に向け、新システムの開発

に取り組んできました。従来型メンテナ

ンスの課題として、電気ネットワーク部

課長の安藤 政人氏は、「例えば、電車

に電力を供給する“き電線”は数百m

単位で接続されおり、接続箇所から発

熱し、断線するトラブルが過去にありまし

た。そのため現在は、サーモカメラで接

続部分の温度上昇をチェックしていま

すが、その作業に手間がかかってしまう

ことが課題です」と語ります。

 こうしたメンテナンス業務の改革に向

けて開発されたのが無線式温度セン

サーです。JR東日本と日立が共同開発

したこのシステムは、き電線の接続金具

に無線式の温度センサーを搭載した太

陽光発電型センサーノードを取り付け、

測定値を無線で送信。そのデータをモ

バイル型ゲートウェイ(携帯型データ収

集装置)とタブレット端末で収集するも

のです。本センサーノードは、太陽電池

と省電力制御技術を搭載しており、外

部からの電源供給や電池交換が不要

であるほか、防水機能など風雨への耐

候性に優れているため、屋外での直接

設置が可能です。

 またモバイル型ゲートウェイも、重さ

210g、幅76mmの軽量・小型化を実現

しており、作業員がいつでも手軽に携

行できるほか、車両などに載せて巡回

すれば、走行しながら屋外のセンサー

情報をスピーディかつ効率的に収集で

きます。

 さらに今回のシステムは、センサー

ノードやゲートウェイなどのM2Mネット

ワーク機器から、センサーネットワークの

構築・導入をサポートするコンサルティン

グ、センサーデータの収集・管理・可視

化を行うクラウドサービスまでをワンストッ

プに提供する、日立の「M2Mトラフィック

東日本旅客鉄道株式会社 http://www.jreast.co.jp/

屋外インフラ設備の管理・保全を支援するネットワーク機器を共同で開発

お問い合わせ先

(株)日立製作所 通信ネットワーク事業部http://www.hitachi.co.jp/network/contact/

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/products/it/network/m2m/

課題

安全安定輸送のさらなるレベルアップを図るため、鉄道設備の状態把握や故障予測を可能とするプラットフォームを模索していた

解決

日立と共同でIoT/M2M技術を活用した無線式温度センサーを開発。営業時に運行する列車から各所の温度を自動的に収集したものを分析し、設備の状態把握が可能に

効果

設備の状態を効率よく見える化することで、定期保全から状態基準保全への移行を実現。今後はデータ分析で、より効果的な設備メンテナンス手法の確立をめざしていく

所 在 地創 立資 本 金従 業員数事 業 内 容

東京都渋谷区代々木2-2-21987年4月1日2,000億円59,240名(2014年4月1日現在)旅客鉄道事業、貨物鉄道事業、旅客自動車運送事業、索道業、旅行業、倉庫業など

東日本旅客鉄道株式会社

JR東日本と日立が共同開発したシステムの利用イメージ

※1 Condition Based Maintenance※2 Machine to Machine

特 集IoT/M2MソリューションCase Study

東日本旅客鉄道株式会社電気ネットワーク部電力管理グループ課長安藤 政人 氏

東日本旅客鉄道株式会社JR東日本研究開発センターテクニカルセンター上席研究員(電力技術)山本 浩志 氏

ITを活用した業務革新を積極的に推進

太陽光発電型センサーノード

モバイル型ゲートウェイ

M2Mトラフィックソリューション/クラウドサービス車両で走行しながらセンサー情報を効率的に収集

より効果的な設備メンテナンス手法の確立をめざす

10はいたっく 2015.29 はいたっく 2015.2

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Page 12: IoT/M2M ソリューション

 株式会社キューデンインフォコム(以下、Qic)は、2000年、九州電力グループのリソースを最大限に活用するIT企業として設立されました。ITコンサルティング事業とデータセンター事業の2つを柱に、九州の活性化に寄与するITビジネスサービスやクラウドサービス「Qic Qumo」など、さまざまなソリューションを提供しています。 なかでも、BCP※1やDR※2ニーズの高まりを背景に、近年需要が増しているのがデータセンター事業です。全国の主要都市の中でも、地震や津波など

の災害リスクが格段に低く、ビジネスにも便利な福岡という好立地を生かして、2003年に福岡市内にデータセンターを開設。高信頼・高機能のファシリティであることが大きな特長となっています。 今後、さらなる需要の高まりが見込まれることから、2015年の夏、新たにオープンするのが「データセンター福岡空港」です。震度7クラスの地震に対しても運用可能なビル免震構造を備えているほか、電気設備の冗長化、72時間無給油で連続運転ができる非常用発電機によるバックアップなど、万一の停電

時にも安定して電力を供給する体制が整っています。ロケーションも、福岡空港から徒歩10数分と、首都圏をはじめ、他地域からの交通アクセスといった利便性も向上しました。JDCC※3のファシリティスタンダードは最高水準のティア4であり、FISC※4安全対策基準にも準拠しているため、メガバンクの利用も可能な設計となっています。 一方、ITコンサルティング事業では、自治体や学校向け情報システムの構築や運用に関するコンサルティングを実施しています。

 また、近年社会問題となっている企業や官庁などの機密情報漏えいに対処するため、情報セキュリティポリシー策定支援や、標的型攻撃メール訓練サービスなどの情報セキュリティに関するコンサルティングも行っています。 今後の事業拡大に向けた取り組みであるITビジネスサービス分野では、韓国からの個人旅行者向けの観光情報サイト「九州路」や、通販サイト「九州ムラコレ市場(http://qmura.jp/ichiba/)」など、九州の活性化を支援するサイトを運営中です。九州ムラコレ市場は、九州産

のこだわりのある野菜、米、魚、肉などの食材を中心に産直で消費者にお届けする通販サイトで、いわばインターネット版「道の駅」。そのこだわりが受けて、全国からのリピーターも増えています。 「九州地域ならでは」の事業を展開するQic。ITコンサルティング事業やデータセンター事業などで、お客さまの多種多様なニーズに対応した適切なソリューションをワンストップで提供するIT企業として、今後も大きく飛躍していきます。

11 はいたっく 2015.2 12はいたっく 2015.2

株式会社キューデンインフォコム所 在 地

設 立事業内容

福岡県福岡市中央区渡辺通2丁目1番82号 電気ビル北館11階2000年9月ITコンサルティング事業、データセンター事業

福岡県福岡市

拠点DATA

福岡県福岡市

今回の訪問先

株式会社キューデンインフォコム

「電力事業で長年培った経験とノウハウを最大限に活用し、お客さまの安心と満足をお約束します」

ITビジネス開発部 ITビジネス開発グループ 副長

泥谷 信太郎さん

14

14

http://www.qic.co.jp/

空港の夜景を見ながら乾杯!

BCP/DRに最適な新データセンターが今夏より運用を開始

社長

田嶋 正彦 さん代表取締役社長

私たちの職場周辺はこんなところです!

(株)キューデンインフォコムのロゴ

.

※1 Business Continuity Planning※2 Disaster Recovery※3 Japan Data Center Council: 日本データセンター協会※4 金融情報システムセンター

 弊社新データセンターへのアクセス拠点となる福岡空港は、旅客数・発着回数が羽田・成田に次ぐ全国第3位の基幹空港です。東京へは毎日50往復、国際線もアジアを中心に週480便が就航し、昨年からは滑走路の増設に向けた工事も始まっています。福岡空港ビルのおすすめは、第2ターミナルの送迎デッキ。夏季にはビアガーデンが催され、予約がなかなか取れないほどの人気スポットです。

Qicデータセンターは、情報システムを守るだけでなく、「人」に優しい快適な環境も提供しています

「標的型攻撃メール訓練」は、お客さまのパソコンでスピーディに訓練できるサービスです

「九州ムラコレ市場」は、「本物の生産者」と「こだわりの消費者」をつなぐプラットフォームです

会社の発展を願い、「壮大な計画」などの花言葉がある観葉植物モンステラが本社受付と応接室に置かれています

本社が入居する電気ビル北館

「データセンター福岡空港」の完成イメージ

東日本大震災以降、BCP/DRに対するニーズが高まってくる中、安全性と

利便性を兼ね備えた福岡に注目が集まっています。こうした背景のもと、当社は、今夏2拠点目となる「データセンター福岡空港」の開設を予定しています。安全な立地、強固な設備、厳重なセキュリティはいうまでもなく、快適な作業のためのサーバアクセスブースから、カフェラウンジやリラクゼーションルームまで、さまざまな付帯設備を完備して、作業効率の向上や作業ミスの低減をサポートします。今後も、「人」にやさしい快適なデータセンターをめざし、お客さまのビジネスをサポートするパートナーとして、ご満足いただける取り組みを推進していきます。

整然とサーバ用ラックが並ぶ福岡市内のデータセンターQicの専任スタッフが24時間365日の監視体制を敷いています

(提供:福岡市)

ひ じ や

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Page 13: IoT/M2M ソリューション

 株式会社キューデンインフォコム(以下、Qic)は、2000年、九州電力グループのリソースを最大限に活用するIT企業として設立されました。ITコンサルティング事業とデータセンター事業の2つを柱に、九州の活性化に寄与するITビジネスサービスやクラウドサービス「Qic Qumo」など、さまざまなソリューションを提供しています。 なかでも、BCP※1やDR※2ニーズの高まりを背景に、近年需要が増しているのがデータセンター事業です。全国の主要都市の中でも、地震や津波など

の災害リスクが格段に低く、ビジネスにも便利な福岡という好立地を生かして、2003年に福岡市内にデータセンターを開設。高信頼・高機能のファシリティであることが大きな特長となっています。 今後、さらなる需要の高まりが見込まれることから、2015年の夏、新たにオープンするのが「データセンター福岡空港」です。震度7クラスの地震に対しても運用可能なビル免震構造を備えているほか、電気設備の冗長化、72時間無給油で連続運転ができる非常用発電機によるバックアップなど、万一の停電

時にも安定して電力を供給する体制が整っています。ロケーションも、福岡空港から徒歩10数分と、首都圏をはじめ、他地域からの交通アクセスといった利便性も向上しました。JDCC※3のファシリティスタンダードは最高水準のティア4であり、FISC※4安全対策基準にも準拠しているため、メガバンクの利用も可能な設計となっています。 一方、ITコンサルティング事業では、自治体や学校向け情報システムの構築や運用に関するコンサルティングを実施しています。

 また、近年社会問題となっている企業や官庁などの機密情報漏えいに対処するため、情報セキュリティポリシー策定支援や、標的型攻撃メール訓練サービスなどの情報セキュリティに関するコンサルティングも行っています。 今後の事業拡大に向けた取り組みであるITビジネスサービス分野では、韓国からの個人旅行者向けの観光情報サイト「九州路」や、通販サイト「九州ムラコレ市場(http://qmura.jp/ichiba/)」など、九州の活性化を支援するサイトを運営中です。九州ムラコレ市場は、九州産

のこだわりのある野菜、米、魚、肉などの食材を中心に産直で消費者にお届けする通販サイトで、いわばインターネット版「道の駅」。そのこだわりが受けて、全国からのリピーターも増えています。 「九州地域ならでは」の事業を展開するQic。ITコンサルティング事業やデータセンター事業などで、お客さまの多種多様なニーズに対応した適切なソリューションをワンストップで提供するIT企業として、今後も大きく飛躍していきます。

11 はいたっく 2015.2 12はいたっく 2015.2

株式会社キューデンインフォコム所 在 地

設 立事業内容

福岡県福岡市中央区渡辺通2丁目1番82号 電気ビル北館11階2000年9月ITコンサルティング事業、データセンター事業

福岡県福岡市

拠点DATA

福岡県福岡市

今回の訪問先

株式会社キューデンインフォコム

「電力事業で長年培った経験とノウハウを最大限に活用し、お客さまの安心と満足をお約束します」

ITビジネス開発部 ITビジネス開発グループ 副長

泥谷 信太郎さん

14

14

http://www.qic.co.jp/

空港の夜景を見ながら乾杯!

BCP/DRに最適な新データセンターが今夏より運用を開始

社長

田嶋 正彦 さん代表取締役社長

私たちの職場周辺はこんなところです!

(株)キューデンインフォコムのロゴ

.

※1 Business Continuity Planning※2 Disaster Recovery※3 Japan Data Center Council: 日本データセンター協会※4 金融情報システムセンター

 弊社新データセンターへのアクセス拠点となる福岡空港は、旅客数・発着回数が羽田・成田に次ぐ全国第3位の基幹空港です。東京へは毎日50往復、国際線もアジアを中心に週480便が就航し、昨年からは滑走路の増設に向けた工事も始まっています。福岡空港ビルのおすすめは、第2ターミナルの送迎デッキ。夏季にはビアガーデンが催され、予約がなかなか取れないほどの人気スポットです。

Qicデータセンターは、情報システムを守るだけでなく、「人」に優しい快適な環境も提供しています

「標的型攻撃メール訓練」は、お客さまのパソコンでスピーディに訓練できるサービスです

「九州ムラコレ市場」は、「本物の生産者」と「こだわりの消費者」をつなぐプラットフォームです

会社の発展を願い、「壮大な計画」などの花言葉がある観葉植物モンステラが本社受付と応接室に置かれています

本社が入居する電気ビル北館

「データセンター福岡空港」の完成イメージ

東日本大震災以降、BCP/DRに対するニーズが高まってくる中、安全性と

利便性を兼ね備えた福岡に注目が集まっています。こうした背景のもと、当社は、今夏2拠点目となる「データセンター福岡空港」の開設を予定しています。安全な立地、強固な設備、厳重なセキュリティはいうまでもなく、快適な作業のためのサーバアクセスブースから、カフェラウンジやリラクゼーションルームまで、さまざまな付帯設備を完備して、作業効率の向上や作業ミスの低減をサポートします。今後も、「人」にやさしい快適なデータセンターをめざし、お客さまのビジネスをサポートするパートナーとして、ご満足いただける取り組みを推進していきます。

整然とサーバ用ラックが並ぶ福岡市内のデータセンターQicの専任スタッフが24時間365日の監視体制を敷いています

(提供:福岡市)

ひ じ や

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学校法人米子自動車学校 http://www.yojiga.net/

 鳥取県西部地区で、普通車から大型特殊、けん引車まで、さまざまな車種の教習が可能な唯一の総合自動車学校として知られる学校法人米子自動車学校(以下、米子自動車学校)。免許教習以外にも、子どもから高齢者に向けた幅広い講習を実施して、地域に密着した交通安全教育センターとしての役割を果たしているほか、職場での女性活用も積極的に推進し、鳥取県男女共同参画推進企業としての認定を受けています。

 同校では従来、教習生一人ひとりにIDカード(磁気リライトカード)を発行し、受付時の教習原簿の受け渡しや、予約した技能教習を受講するための配車券発行時の本人認証に使っていました。

 「IDカードシステムで課題となっていたのが、読み取り・書き込み速度の遅さと忘失・紛失のリスクでした。特に大学生など夏休みに入る8月から9月、高校生などが卒業前の免許取得をめざして集まる2月から3月の繁忙期などは、受付時に長蛇の列が発生してご迷惑をかけていたほか、カードを忘れたり紛失するケースも少なくなく、本人確認や再発行に手間と時間がかかっていたのです」と語るのは、校長の隂山 昭夫氏。また教習生だけでなく、指導員や職員が利用する教習システムの活用に関しても、いくつかの課題があったと指摘するのは教務部長の渡部 昇氏です。 「自動車学校の教習システムは、教習生のみなさまの膨大な個人情報を管理しています。これまでもシステムを使う指導員や職員は、IDとパスワードで本人認証をして業務を行っていましたが、いつ誰がどのような情報にアクセスしたかの履歴までは取っていませんでした。そのため、この部分のセキュリティも強化できないかと常々考えていたのです」と渡部氏は語ります。

 こうした課題の解決に向けて、指静

脈認証システムを適用した新たな仕組みを提案したのが、自動車教習所システムを専門に手がけている株式会社ノイマン(以下、ノイマン)です。同社は米子自動車学校からのヒアリングをもとに、物理的なカードを使わない新システムの開発に着手。数ある生体認証の仕組みの中から日立の指静脈認証システムを選定しました。 「以前から教習用機器でおつきあいのあった日立さんに相談したところ、多くの実績がある指静脈認証システムを紹介していただきました。実機を借りてシステム評価をしたところ、認証スピードが速くて正確なことがわかりました。さらに一番の決め手は、教習生はこれまでのようにIDカードや携帯電話など本人認証できるものを持参しなくても、教習所の受付を行うことができるようになることです。これはセキュリティとサービス向上を同時にねらえると判断し、当社の既存システムと組み合わせた新システムを提案したのです」と語るのは、ノイマンの教習所システム事業本部 本部長代理の砂田 直哉氏です。 日立の指静脈認証システムは、生体内部の情報を利用するため、偽造のリスクが少ないこと、肌表面の状態(水分

や乾燥など)の影響を受けにくく、高精度の認証をスピーディに実行できることなどから、銀行ATMや入退室管理、PCアクセスなど幅広い分野で、数多くの導入実績があります。ノイマンが開発した新システムは、教習生が自分の名前の頭文字をタッチパネルで選択した後、装置に指を置くだけで厳格な本人認証のもと、受付処理や配車券発行が迅速に行えます。

 「従来のIDカードは読み取り・書き込みに7~10秒かかっていましたが、指静脈なら認証速度はわずか数秒ほど。教習生が送迎バスで一度に到着しても、教習生用の5台の指静脈認証装置で、よどみなく受付処理が進んでいくことに驚きました。本校はピーク時で600人ほどの教習生が在籍しますが、行列ができる不安がなくなりました。指静脈情報の登録も、入校時の原簿作成や視力検

査の流れの中で行うため、作業にそれほど時間はかかりません。教習生は手ぶらで登校できるので安心感や利便性が向上しましたし、職員もIDカード発行や忘失・紛失時の業務負担がなくなり、本当に大助かりです」と渡部氏は笑顔を見せます。 また、機械的な稼働部分が多いため定期的なメンテナンスを必要とする磁気カードリーダーライターに比べ、指静脈認証装置は故障率が少なく安価なことから、IDカード発行も含めたランニングコストの大幅な低減につながると期待されています。 「指導員や職員用の教習システムを操作するPC 19台にも、1台ずつ指静脈認証装置を配備しました。指導員は技能教習の合間に限られた短い時間で予約確認や入力作業を行う必要がありますが、指静脈認証により、スピーディにログインできるようになりました。また、操作ログが取られていることもあり、指導員や職員も個人情報の取り扱いに対する意識向上につながっています」と砂田氏は評価します。

 「検討を始めたころは“教習生が指

紋を採られているように感じるのではないか”と、導入に慎重な意見もありましたが、理事長である柳谷 由里氏の『お客さまサービスやセキュリティの向上につながる仕組みは率先して入れるべき』という鶴の一声で、全国初※となる指静脈認証 自動車教習所システムの導入が実現しました。結果として、教習生のどなたからも否定的な意見はなく、逆にそのスピードと利便性を高く評価していただいています」と渡部氏は語ります。 ノイマンの砂田氏も「米子自動車学校さんの実績をふまえ、すでに岩手と京都、2校のお客さんにも同じシステムを導入していただきました。今後も日立さんと協力しながら、さらなる機能強化や勤怠管理システムなどへの横展開を進めていきたいですね」と期待を寄せます。 これからも日立は、セキュリティ性と汎用性の高い指静脈認証技術を広めるため、幅広い業界・業種に向けた積極的なシステム展開を進めていきます。

認証速度と正確性で日立の指静脈認証システムを選定

同校での実績をベースに全国に展開

カードの読み取り・書き込み速度の遅さと忘失・紛失リスクが課題に

13 はいたっく 2015.2

課題

教習生の受付や配車に利用していたIDカードは読み取り速度が遅いため行列ができ、本人確認に時間と手間がかかっていた

解決

指静脈認証システム導入で従来の課題が解決。教習生だけでなく指導員の教習システムログインにも適用し、利便性に加えてセキュリティも向上

効果

IDカードシステムのランニングコスト低減とともに、教習生の個人情報管理体制が一段と強化され、職員のセキュリティ意識も向上した

利便性とセキュリティを両立する指静脈認証 自動車教習所システム

※ 2014年12月1日現在。日立調べ

お問い合わせ先

(株)日立製作所 サービスプロデュース統括本部http://www.hitachi.co.jp/veinid-inq/

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/veinid/

所 在 地創 立職 員 数業 務 内 容

鳥取県米子市旗ヶ崎2-15-11955年8月11日男43名 女17名(計60名)(2014年11月1日現在)鳥取県公安委員会指定自動車学校(普通車・中型車・大型車・普通二輪・大型二輪・普通二種・中型二種・大型二種・大型特殊・けん引車)、交通安全講習(学校・企業・ペーパードライバー・初心運転者講習・取消処分者講習・高齢者講習、障がい者教習など)鳥取労働局長登録教習機関(フォークリフト運転技能講習・車両系建設機械運転技能講習(整地)・小型移動式クレーン運転技能講習・玉かけ技能講習)

学校法人米子自動車学校

14はいたっく 2015.2

指静脈認証 自動車教習所システムの利用風景

米子自動車学校に導入されたシステム(上:教習原簿の取り出し、下:技能教習の配車予約)

学校法人米子自動車学校 校長隂山 昭夫 氏

株式会社ノイマン 教習所システム事業本部 本部長代理 砂田 直哉 氏

学校法人米子自動車学校教務部長渡部 昇 氏

東京都港区芝5-33-7 徳栄本館ビル8階1984年9月27日1億4,500万円30名(2014年12月1日現在)交通安全教育機器及び機材の研究・開発・販売、自動車教習所向け各種省力機器およびソフトウェアの開発・販売、コンピュータソフトウェアの開発・販売など

株式会社ノイマン本 社創 立資 本 金従 業員数事 業 内 容

http://www.neumann.jp/

配車券待ちの行列を解消、個人情報を取り扱う指導員の意識も向上

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学校法人米子自動車学校 http://www.yojiga.net/

 鳥取県西部地区で、普通車から大型特殊、けん引車まで、さまざまな車種の教習が可能な唯一の総合自動車学校として知られる学校法人米子自動車学校(以下、米子自動車学校)。免許教習以外にも、子どもから高齢者に向けた幅広い講習を実施して、地域に密着した交通安全教育センターとしての役割を果たしているほか、職場での女性活用も積極的に推進し、鳥取県男女共同参画推進企業としての認定を受けています。

 同校では従来、教習生一人ひとりにIDカード(磁気リライトカード)を発行し、受付時の教習原簿の受け渡しや、予約した技能教習を受講するための配車券発行時の本人認証に使っていました。

 「IDカードシステムで課題となっていたのが、読み取り・書き込み速度の遅さと忘失・紛失のリスクでした。特に大学生など夏休みに入る8月から9月、高校生などが卒業前の免許取得をめざして集まる2月から3月の繁忙期などは、受付時に長蛇の列が発生してご迷惑をかけていたほか、カードを忘れたり紛失するケースも少なくなく、本人確認や再発行に手間と時間がかかっていたのです」と語るのは、校長の隂山 昭夫氏。また教習生だけでなく、指導員や職員が利用する教習システムの活用に関しても、いくつかの課題があったと指摘するのは教務部長の渡部 昇氏です。 「自動車学校の教習システムは、教習生のみなさまの膨大な個人情報を管理しています。これまでもシステムを使う指導員や職員は、IDとパスワードで本人認証をして業務を行っていましたが、いつ誰がどのような情報にアクセスしたかの履歴までは取っていませんでした。そのため、この部分のセキュリティも強化できないかと常々考えていたのです」と渡部氏は語ります。

 こうした課題の解決に向けて、指静

脈認証システムを適用した新たな仕組みを提案したのが、自動車教習所システムを専門に手がけている株式会社ノイマン(以下、ノイマン)です。同社は米子自動車学校からのヒアリングをもとに、物理的なカードを使わない新システムの開発に着手。数ある生体認証の仕組みの中から日立の指静脈認証システムを選定しました。 「以前から教習用機器でおつきあいのあった日立さんに相談したところ、多くの実績がある指静脈認証システムを紹介していただきました。実機を借りてシステム評価をしたところ、認証スピードが速くて正確なことがわかりました。さらに一番の決め手は、教習生はこれまでのようにIDカードや携帯電話など本人認証できるものを持参しなくても、教習所の受付を行うことができるようになることです。これはセキュリティとサービス向上を同時にねらえると判断し、当社の既存システムと組み合わせた新システムを提案したのです」と語るのは、ノイマンの教習所システム事業本部 本部長代理の砂田 直哉氏です。 日立の指静脈認証システムは、生体内部の情報を利用するため、偽造のリスクが少ないこと、肌表面の状態(水分

や乾燥など)の影響を受けにくく、高精度の認証をスピーディに実行できることなどから、銀行ATMや入退室管理、PCアクセスなど幅広い分野で、数多くの導入実績があります。ノイマンが開発した新システムは、教習生が自分の名前の頭文字をタッチパネルで選択した後、装置に指を置くだけで厳格な本人認証のもと、受付処理や配車券発行が迅速に行えます。

 「従来のIDカードは読み取り・書き込みに7~10秒かかっていましたが、指静脈なら認証速度はわずか数秒ほど。教習生が送迎バスで一度に到着しても、教習生用の5台の指静脈認証装置で、よどみなく受付処理が進んでいくことに驚きました。本校はピーク時で600人ほどの教習生が在籍しますが、行列ができる不安がなくなりました。指静脈情報の登録も、入校時の原簿作成や視力検

査の流れの中で行うため、作業にそれほど時間はかかりません。教習生は手ぶらで登校できるので安心感や利便性が向上しましたし、職員もIDカード発行や忘失・紛失時の業務負担がなくなり、本当に大助かりです」と渡部氏は笑顔を見せます。 また、機械的な稼働部分が多いため定期的なメンテナンスを必要とする磁気カードリーダーライターに比べ、指静脈認証装置は故障率が少なく安価なことから、IDカード発行も含めたランニングコストの大幅な低減につながると期待されています。 「指導員や職員用の教習システムを操作するPC 19台にも、1台ずつ指静脈認証装置を配備しました。指導員は技能教習の合間に限られた短い時間で予約確認や入力作業を行う必要がありますが、指静脈認証により、スピーディにログインできるようになりました。また、操作ログが取られていることもあり、指導員や職員も個人情報の取り扱いに対する意識向上につながっています」と砂田氏は評価します。

 「検討を始めたころは“教習生が指

紋を採られているように感じるのではないか”と、導入に慎重な意見もありましたが、理事長である柳谷 由里氏の『お客さまサービスやセキュリティの向上につながる仕組みは率先して入れるべき』という鶴の一声で、全国初※となる指静脈認証 自動車教習所システムの導入が実現しました。結果として、教習生のどなたからも否定的な意見はなく、逆にそのスピードと利便性を高く評価していただいています」と渡部氏は語ります。 ノイマンの砂田氏も「米子自動車学校さんの実績をふまえ、すでに岩手と京都、2校のお客さんにも同じシステムを導入していただきました。今後も日立さんと協力しながら、さらなる機能強化や勤怠管理システムなどへの横展開を進めていきたいですね」と期待を寄せます。 これからも日立は、セキュリティ性と汎用性の高い指静脈認証技術を広めるため、幅広い業界・業種に向けた積極的なシステム展開を進めていきます。

認証速度と正確性で日立の指静脈認証システムを選定

同校での実績をベースに全国に展開

カードの読み取り・書き込み速度の遅さと忘失・紛失リスクが課題に

13 はいたっく 2015.2

課題

教習生の受付や配車に利用していたIDカードは読み取り速度が遅いため行列ができ、本人確認に時間と手間がかかっていた

解決

指静脈認証システム導入で従来の課題が解決。教習生だけでなく指導員の教習システムログインにも適用し、利便性に加えてセキュリティも向上

効果

IDカードシステムのランニングコスト低減とともに、教習生の個人情報管理体制が一段と強化され、職員のセキュリティ意識も向上した

利便性とセキュリティを両立する指静脈認証 自動車教習所システム

※ 2014年12月1日現在。日立調べ

お問い合わせ先

(株)日立製作所 サービスプロデュース統括本部http://www.hitachi.co.jp/veinid-inq/

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/veinid/

所 在 地創 立職 員 数業 務 内 容

鳥取県米子市旗ヶ崎2-15-11955年8月11日男43名 女17名(計60名)(2014年11月1日現在)鳥取県公安委員会指定自動車学校(普通車・中型車・大型車・普通二輪・大型二輪・普通二種・中型二種・大型二種・大型特殊・けん引車)、交通安全講習(学校・企業・ペーパードライバー・初心運転者講習・取消処分者講習・高齢者講習、障がい者教習など)鳥取労働局長登録教習機関(フォークリフト運転技能講習・車両系建設機械運転技能講習(整地)・小型移動式クレーン運転技能講習・玉かけ技能講習)

学校法人米子自動車学校

14はいたっく 2015.2

指静脈認証 自動車教習所システムの利用風景

米子自動車学校に導入されたシステム(上:教習原簿の取り出し、下:技能教習の配車予約)

学校法人米子自動車学校 校長隂山 昭夫 氏

株式会社ノイマン 教習所システム事業本部 本部長代理 砂田 直哉 氏

学校法人米子自動車学校教務部長渡部 昇 氏

東京都港区芝5-33-7 徳栄本館ビル8階1984年9月27日1億4,500万円30名(2014年12月1日現在)交通安全教育機器及び機材の研究・開発・販売、自動車教習所向け各種省力機器およびソフトウェアの開発・販売、コンピュータソフトウェアの開発・販売など

株式会社ノイマン本 社創 立資 本 金従 業員数事 業 内 容

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配車券待ちの行列を解消、個人情報を取り扱う指導員の意識も向上

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神奈川県自動車交通共済協同組合 http://shinkokyo.or.jp/

 神奈川県自動車交通共済協同組合(以下、神交共)は、神奈川県下の自動車運送事業者を対象に、加入組合員の経営基盤安定と、万一の事故の際の被害者救済を目的に、自動車共済、自賠責共済などの保険商品を提供している組織です。 約870社の組合員を擁する神交共では、契約管理や料率管理、共済金管理などを行う共済システムを、これまで日立のメインフレーム(AP7000/VOS1)とオープンシステム(HA8000/WindowsⓇ)の組み合わせで運用して

いましたが、2013年にオープンシステム環境への統合を決断しました。

 企画部 部長の片桐 敦郎氏は「オープンシステム環境への統合を決断した理由は大きく3つあります。第1に保守費用などのランニングコスト低減。第2にオープンシステム環境による処理性能の向上と現場ニーズに即した機能拡張・拡充の実現。そして第3にCOBOL技術者のノウハウ継承です。この3つの課題に対応するため、AP7000の保守期限切れのタイミングでマイグレーションを行うことにしました」とその背景を語ります。 なかでも大きな課題となっていたのが、メインフレーム担当者の世代交代を図ることでした。「現在運用している基幹システムは、私が若い頃に一から作ったシステムです。しかし私が数年後に定年を迎えると、COBOLの知識と技術を持った担当者が、電算課の金子担当課長代理だけになってしまう。今後も頻繁に発生するプログラムの開発や将来的なリプレースの負担を考えると、私が現役でいる2人体制のうちに技術継承や保守作業がしやすいオープンシステ

ム環境に移行した方がいいと判断したのです」と片桐氏は続けます。 今後の基幹システムの開発・運用を担う企画部 電算課 担当課長代理の金子 愼治氏も、「既存資産を有効活用しながら、現場ニーズに対応した機能拡張・拡充を図っていくには、私に続く後継者の育成期間を考慮すれば、このタイミングしかありませんでした」と片桐氏の言葉を補います。

 既存プログラムを継承しつつ、最新鋭クラスのIT基盤を構築するパートナーとして選ばれたのが、長年メインフレームの運用を支援してきた株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)。金子氏はその選定理由を「長年のおつきあいから人脈もあり、われわれの業務を熟知し、何よりも安心感があったから」と語ります。 プロジェクトは、片桐氏と金子氏による「資産棚卸」と「移行計画の立案」からスタート。日立ソリューションズは、神交共独自のシステム・ライブラリ運用設計に従い、作業効率を向上できる日立のオープンミドルウェアを適用したマイグレーションの支援を行いました。

具体的には、「COBOL85」の業務ロジックを容易に移行できる「COBOL2002」を開発実行プラットフォームに、データベースはCOBOL2002との親和性が高いノンストップデータベース「HiRDB」へ移行。画面や帳票の定義/作 成は「XMAP3」によって使い慣れた操作性を継承し、対話操作支援のメニュー選択で従来どおり、クライアントPCから業務ジョブを実行できるようにしました。 さらに、統合システム運用管理「JP1」のスクリプトでバッチジョブを作成できる「JP1/Script」と、日々 の定型業務ジョブや運用ジョブを簡単にスケジューリング可能な「JP1/AJS3」※1により、これまでと同等の運用環境をオープンな日立アドバンストサーバ「HA8000」上に実現しました。品質確保に向けた現場社員の徹底的なテストを経て、2014年7月に予定どおりシステム切り替えを果たしました。

 金子氏は「運用に関するランニングコストが約1/3カットできたほか、AP7000で稼働していた基幹システムを、HA8000サーバ1台で稼働させることができ、周辺システムで使用しているHA8000サーバを含む7台がワンラックに収まったことで、サーバルームの省スペース化と省電力化にも貢献していま

す。処理速度も速くなり、以前は30分かかっていたバッチ処理が5分程度に短縮されました。業務のレスポンスが良くなったことで、現場社員からの評価も上々です」と喜びます。 片桐氏も、「基本的なプログラムはCOBOLのままですが、データベースをオープン化したことで、他言語で開発している周辺システムとの連携性が良くなったり、業務拡張や保険内容の改訂に合わせたシステム開発に伴うデバッグやファイル操作も従来に比べて格段に楽になりました。またメインフレームでは実現困難だったBCP対策も今後実現しやすくなります」と、世代交代に向けた環境整備の進展に笑顔を見せます。 今回のオープンシステム化に合わせ、外出先からモバイルPCでオフィス内の自席PCにリモート接続が可能なセキュアリモートデスクトップ「Array DesktopDirect」※2を導入。契約課の社員が得意先などで、契約内容確認や見積業務を柔軟に行える環境を構築し、現場からの業務改善ニーズにも応えました。 また帳票の電子化を実現する統合電子帳票システム「PaplesWeb」※3の

活用で、メインフレーム時代なら、紙に出力しなければならなかったチェックリストなどを画面上にて確認でき、ペーパーレス化も成功。「紙資源のムダをなくすとともに、情報共有のスピード化による業務効率向上にもつながっています」と金子氏は評価します。

 一連のマイグレーションを支援した日立グループに対して片桐氏は「最後の最後までしっかりとわれわれの要望をくみ取ってくださり、日立の皆さんには本当に感謝しています」と語ります。業務アプリケーションの継続的な進化と、その発展を支える新たな人材育成に取り組む神交共を、これからも日立グループは高信頼のオープンミドルウェアを核としたプラットフォームソリューションの提案によって、力強くサポートしていきます。

日立オープンミドルウェアを活用し、効率的な移行を実現

次世代へ向けたシステム進化を追求

メインフレーム担当者の世代交代に向けて

15 はいたっく 2015.2

課題

メインフレームで運用していた基幹業務の保守費用低減、現場ニーズに即した機能拡張、担当者の世代交代などが大きな課題に

解決

既存資産を継承しつつ、それらの課題を解決するため、日立グループとともにオープンシステム環境へのマイグレーションを実施

効果

最新のWindows®プラットフォームへの移行により、すべての課題をトータルに解決。次世代に業務をつなぐ環境が整備できた

高品質なマイグレーションで世代交代に備えた環境整備に成功

※2 日立ソリューションズが提供する製品※3 日鉄日立システムエンジニアリングが提供する製品

お問い合わせ先

HCAセンタ  0120-2580-12利用時間 9:00~12:00、13:00~17:00(土・日・祝日を除く)

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/soft/

所 在 地設 立役 職員数組 合員数業 務 内 容

横浜市港北区新横浜2-13-4 神交共ビル1972年60名(2014年12月1日現在)863社(2014年12月1日現在)貨物自動車運送事業者を対象とした自動車共済・自賠責共済

神奈川県自動車交通共済協同組合

16はいたっく 2015.2

神奈川県自動車交通共済協同組合の業務を支える「HA8000」

幅広いコスト低減と業務効率向上を評価

※1 JP1/Automatic Job Management System 3

神奈川県自動車交通共済協同組合 企画部 電算課 担当課長代理金子 愼治 氏

神奈川県自動車交通共済協同組合 企画部 部長片桐 敦郎 氏

ハイアールディービー

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神奈川県自動車交通共済協同組合 http://shinkokyo.or.jp/

 神奈川県自動車交通共済協同組合(以下、神交共)は、神奈川県下の自動車運送事業者を対象に、加入組合員の経営基盤安定と、万一の事故の際の被害者救済を目的に、自動車共済、自賠責共済などの保険商品を提供している組織です。 約870社の組合員を擁する神交共では、契約管理や料率管理、共済金管理などを行う共済システムを、これまで日立のメインフレーム(AP7000/VOS1)とオープンシステム(HA8000/WindowsⓇ)の組み合わせで運用して

いましたが、2013年にオープンシステム環境への統合を決断しました。

 企画部 部長の片桐 敦郎氏は「オープンシステム環境への統合を決断した理由は大きく3つあります。第1に保守費用などのランニングコスト低減。第2にオープンシステム環境による処理性能の向上と現場ニーズに即した機能拡張・拡充の実現。そして第3にCOBOL技術者のノウハウ継承です。この3つの課題に対応するため、AP7000の保守期限切れのタイミングでマイグレーションを行うことにしました」とその背景を語ります。 なかでも大きな課題となっていたのが、メインフレーム担当者の世代交代を図ることでした。「現在運用している基幹システムは、私が若い頃に一から作ったシステムです。しかし私が数年後に定年を迎えると、COBOLの知識と技術を持った担当者が、電算課の金子担当課長代理だけになってしまう。今後も頻繁に発生するプログラムの開発や将来的なリプレースの負担を考えると、私が現役でいる2人体制のうちに技術継承や保守作業がしやすいオープンシステ

ム環境に移行した方がいいと判断したのです」と片桐氏は続けます。 今後の基幹システムの開発・運用を担う企画部 電算課 担当課長代理の金子 愼治氏も、「既存資産を有効活用しながら、現場ニーズに対応した機能拡張・拡充を図っていくには、私に続く後継者の育成期間を考慮すれば、このタイミングしかありませんでした」と片桐氏の言葉を補います。

 既存プログラムを継承しつつ、最新鋭クラスのIT基盤を構築するパートナーとして選ばれたのが、長年メインフレームの運用を支援してきた株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)。金子氏はその選定理由を「長年のおつきあいから人脈もあり、われわれの業務を熟知し、何よりも安心感があったから」と語ります。 プロジェクトは、片桐氏と金子氏による「資産棚卸」と「移行計画の立案」からスタート。日立ソリューションズは、神交共独自のシステム・ライブラリ運用設計に従い、作業効率を向上できる日立のオープンミドルウェアを適用したマイグレーションの支援を行いました。

具体的には、「COBOL85」の業務ロジックを容易に移行できる「COBOL2002」を開発実行プラットフォームに、データベースはCOBOL2002との親和性が高いノンストップデータベース「HiRDB」へ移行。画面や帳票の定義/作 成は「XMAP3」によって使い慣れた操作性を継承し、対話操作支援のメニュー選択で従来どおり、クライアントPCから業務ジョブを実行できるようにしました。 さらに、統合システム運用管理「JP1」のスクリプトでバッチジョブを作成できる「JP1/Script」と、日々 の定型業務ジョブや運用ジョブを簡単にスケジューリング可能な「JP1/AJS3」※1により、これまでと同等の運用環境をオープンな日立アドバンストサーバ「HA8000」上に実現しました。品質確保に向けた現場社員の徹底的なテストを経て、2014年7月に予定どおりシステム切り替えを果たしました。

 金子氏は「運用に関するランニングコストが約1/3カットできたほか、AP7000で稼働していた基幹システムを、HA8000サーバ1台で稼働させることができ、周辺システムで使用しているHA8000サーバを含む7台がワンラックに収まったことで、サーバルームの省スペース化と省電力化にも貢献していま

す。処理速度も速くなり、以前は30分かかっていたバッチ処理が5分程度に短縮されました。業務のレスポンスが良くなったことで、現場社員からの評価も上々です」と喜びます。 片桐氏も、「基本的なプログラムはCOBOLのままですが、データベースをオープン化したことで、他言語で開発している周辺システムとの連携性が良くなったり、業務拡張や保険内容の改訂に合わせたシステム開発に伴うデバッグやファイル操作も従来に比べて格段に楽になりました。またメインフレームでは実現困難だったBCP対策も今後実現しやすくなります」と、世代交代に向けた環境整備の進展に笑顔を見せます。 今回のオープンシステム化に合わせ、外出先からモバイルPCでオフィス内の自席PCにリモート接続が可能なセキュアリモートデスクトップ「Array DesktopDirect」※2を導入。契約課の社員が得意先などで、契約内容確認や見積業務を柔軟に行える環境を構築し、現場からの業務改善ニーズにも応えました。 また帳票の電子化を実現する統合電子帳票システム「PaplesWeb」※3の

活用で、メインフレーム時代なら、紙に出力しなければならなかったチェックリストなどを画面上にて確認でき、ペーパーレス化も成功。「紙資源のムダをなくすとともに、情報共有のスピード化による業務効率向上にもつながっています」と金子氏は評価します。

 一連のマイグレーションを支援した日立グループに対して片桐氏は「最後の最後までしっかりとわれわれの要望をくみ取ってくださり、日立の皆さんには本当に感謝しています」と語ります。業務アプリケーションの継続的な進化と、その発展を支える新たな人材育成に取り組む神交共を、これからも日立グループは高信頼のオープンミドルウェアを核としたプラットフォームソリューションの提案によって、力強くサポートしていきます。

日立オープンミドルウェアを活用し、効率的な移行を実現

次世代へ向けたシステム進化を追求

メインフレーム担当者の世代交代に向けて

15 はいたっく 2015.2

課題

メインフレームで運用していた基幹業務の保守費用低減、現場ニーズに即した機能拡張、担当者の世代交代などが大きな課題に

解決

既存資産を継承しつつ、それらの課題を解決するため、日立グループとともにオープンシステム環境へのマイグレーションを実施

効果

最新のWindows®プラットフォームへの移行により、すべての課題をトータルに解決。次世代に業務をつなぐ環境が整備できた

高品質なマイグレーションで世代交代に備えた環境整備に成功

※2 日立ソリューションズが提供する製品※3 日鉄日立システムエンジニアリングが提供する製品

お問い合わせ先

HCAセンタ  0120-2580-12利用時間 9:00~12:00、13:00~17:00(土・日・祝日を除く)

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/soft/

所 在 地設 立役 職員数組 合員数業 務 内 容

横浜市港北区新横浜2-13-4 神交共ビル1972年60名(2014年12月1日現在)863社(2014年12月1日現在)貨物自動車運送事業者を対象とした自動車共済・自賠責共済

神奈川県自動車交通共済協同組合

16はいたっく 2015.2

神奈川県自動車交通共済協同組合の業務を支える「HA8000」

幅広いコスト低減と業務効率向上を評価

※1 JP1/Automatic Job Management System 3

神奈川県自動車交通共済協同組合 企画部 電算課 担当課長代理金子 愼治 氏

神奈川県自動車交通共済協同組合 企画部 部長片桐 敦郎 氏

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17 はいたっく 2015.2 18はいたっく 2015.2

 2014年11月25日に日立の社会イノ

ベーション事業を支えるITを利活用

した先進的なソリューションについて、体

験型のデモンストレーションや具体的な

取り組み事例をご紹介するプレゼン

テーション施設「イノベーションスクエア」

を開設しました。

 イノベーションスクエアでは、ヘルスケ

ア、製造、流通・小売、一般企業・オフィ

ス、まち・インフラサービスの5カテゴリー

に分かれたプレゼンテーションエリア

で、各種ソリューションについてご紹介

します。

 技術体験コーナーでは、指静脈認

証装置やテレビ会議システム、高速

データアクセス基盤などの製品につい

て、実機を展示してご紹介するとともに

体験することもできます。

 このイノベーションスクエアは、各種

ソフトウェアとハードウェアの総合的なシ

ステム検証や評価、コンサルテーショ

ン、デモンストレーションなどを行う日立

のプラットフォーム検証施設「ハーモニ

アス・コンピテンス・センター」内に設置

しております。こちらの施設とあわせて、

お客さまやパートナー企業とのさらなる

プレゼンテーション施設「イノベーションスクエア」を開設

所 在 地

開館時間

東京都港区港南二丁目16番1号 品川イーストワンタワー13階(ハーモニアス・コンピテンス・センター内)10:00~17:00(休館日:土、日、祝日および日立の休日)※対応言語:日本語、英語

「イノベーションスクエア」の施設概要

「イノベーションスクエア」の利用は事前予約が必要となります。日立の営業にお問い合わせください。http://www.hitachi.co.jp/products/harmonious/center/service/is/outline.html

■申し込み方法

Topics

コミュニケーションの活性化を図り、お客

さまが抱える課題の解決や新たな価値

の創造をめざすイノベーションスクエア

にぜひご来場ください。

18はいたっく 2015.2

神奈川県横浜市水道局の協力のもと、東京ガスと日立はスマートメーター用無線通信規格「Uバスエア」を採用した無線システムを共用して水道・ガスメーターの自動検針を行う実証実験

水道・ガスメーター無線自動検針システムの共用化に向けて横浜市における実証実験の実施に合意(2014/12/19発表)

同時に日立が提供する統合チャネルソリューション「FREIA21+ for NEXTBASE」を活用した新営業店システムも稼働開始

大正銀行が日立の地域金融機関向け共同アウトソーシングサービス「NEXTBASE」を活用し、新基幹系システムを稼働開始(2015/1/5発表)

静岡中央銀行は、日立が提供する地域金融機関向け共同アウトソーシングサービス「NEXTBASE」を活用した新基幹系システムの稼働を開始

静岡中央銀行が日立の地域金融機関向け共同アウトソーシングサービス「NEXTBASE」を活用し、新基幹系システムを稼働開始(2015/1/5発表)

2014/12/11 ~ 2015/1/10の中から

ニュースリリースの一覧はこちらからご覧いただけますhttp://www.hitachi.co.jp/products/it/portal/news/

第31回流通情報システム総合展 「リテールテックJAPAN 2015」 開催のご案内

来る3月3日(火)~6日(金)の4日間、東京ビッグサイトで第31回流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN 2015」が開催されます。いまリテールビジネスにおいては、「オムニチャネル」の実現が喫緊の課題となっています。日立グループでは、流通への深い知見と先進のITを結集し、オンラインとオフライン、さらにロジスティクスまで、「個客」を重視したソリューショ ンを用意。「個客」の暮らしに寄り添い、「個客」がお店の真のファンとなるオムニチャネルをご提案いたします。皆さまお誘い合わせのうえ、ぜひ日立グループブースにご来場ください。

●本誌記載の内容について社外からの寄稿や発言は、必ずしも当社の見解を示しているわけではありません。画面表示をはじめ、製品仕様は改良のため変更することがあります。

● 本誌記載の他社登録商標※ Global e-Serviceは、日立建機株式会社の登録商標です。※ Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。※ その他、本誌記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。

http://www.hitachi.co.jp/rtj2015/

情報提供サイトはこちら

Information

個客の“ハッピー”とともに。日立が創るオムニチャンネル

●開催概要会期:2015年3月3日(火)~ 6日(金)   10:00~ 17:00 [最終日のみ16:30]会場:東京ビッグサイト [東1・2ホール] 主催:日本経済新聞社http://www.retailtech.jp/

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Page 19: IoT/M2M ソリューション

17 はいたっく 2015.2 18はいたっく 2015.2

 2014年11月25日に日立の社会イノ

ベーション事業を支えるITを利活用

した先進的なソリューションについて、体

験型のデモンストレーションや具体的な

取り組み事例をご紹介するプレゼン

テーション施設「イノベーションスクエア」

を開設しました。

 イノベーションスクエアでは、ヘルスケ

ア、製造、流通・小売、一般企業・オフィ

ス、まち・インフラサービスの5カテゴリー

に分かれたプレゼンテーションエリア

で、各種ソリューションについてご紹介

します。

 技術体験コーナーでは、指静脈認

証装置やテレビ会議システム、高速

データアクセス基盤などの製品につい

て、実機を展示してご紹介するとともに

体験することもできます。

 このイノベーションスクエアは、各種

ソフトウェアとハードウェアの総合的なシ

ステム検証や評価、コンサルテーショ

ン、デモンストレーションなどを行う日立

のプラットフォーム検証施設「ハーモニ

アス・コンピテンス・センター」内に設置

しております。こちらの施設とあわせて、

お客さまやパートナー企業とのさらなる

プレゼンテーション施設「イノベーションスクエア」を開設

所 在 地

開館時間

東京都港区港南二丁目16番1号 品川イーストワンタワー13階(ハーモニアス・コンピテンス・センター内)10:00~17:00(休館日:土、日、祝日および日立の休日)※対応言語:日本語、英語

「イノベーションスクエア」の施設概要

「イノベーションスクエア」の利用は事前予約が必要となります。日立の営業にお問い合わせください。http://www.hitachi.co.jp/products/harmonious/center/service/is/outline.html

■申し込み方法

Topics

コミュニケーションの活性化を図り、お客

さまが抱える課題の解決や新たな価値

の創造をめざすイノベーションスクエア

にぜひご来場ください。

18はいたっく 2015.2

神奈川県横浜市水道局の協力のもと、東京ガスと日立はスマートメーター用無線通信規格「Uバスエア」を採用した無線システムを共用して水道・ガスメーターの自動検針を行う実証実験

水道・ガスメーター無線自動検針システムの共用化に向けて横浜市における実証実験の実施に合意(2014/12/19発表)

同時に日立が提供する統合チャネルソリューション「FREIA21+ for NEXTBASE」を活用した新営業店システムも稼働開始

大正銀行が日立の地域金融機関向け共同アウトソーシングサービス「NEXTBASE」を活用し、新基幹系システムを稼働開始(2015/1/5発表)

静岡中央銀行は、日立が提供する地域金融機関向け共同アウトソーシングサービス「NEXTBASE」を活用した新基幹系システムの稼働を開始

静岡中央銀行が日立の地域金融機関向け共同アウトソーシングサービス「NEXTBASE」を活用し、新基幹系システムを稼働開始(2015/1/5発表)

2014/12/11 ~ 2015/1/10の中から

ニュースリリースの一覧はこちらからご覧いただけますhttp://www.hitachi.co.jp/products/it/portal/news/

第31回流通情報システム総合展 「リテールテックJAPAN 2015」 開催のご案内

来る3月3日(火)~6日(金)の4日間、東京ビッグサイトで第31回流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN 2015」が開催されます。いまリテールビジネスにおいては、「オムニチャネル」の実現が喫緊の課題となっています。日立グループでは、流通への深い知見と先進のITを結集し、オンラインとオフライン、さらにロジスティクスまで、「個客」を重視したソリューショ ンを用意。「個客」の暮らしに寄り添い、「個客」がお店の真のファンとなるオムニチャネルをご提案いたします。皆さまお誘い合わせのうえ、ぜひ日立グループブースにご来場ください。

●本誌記載の内容について社外からの寄稿や発言は、必ずしも当社の見解を示しているわけではありません。画面表示をはじめ、製品仕様は改良のため変更することがあります。

● 本誌記載の他社登録商標※ Global e-Serviceは、日立建機株式会社の登録商標です。※ Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。※ その他、本誌記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。

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●開催概要会期:2015年3月3日(火)~ 6日(金)   10:00~ 17:00 [最終日のみ16:30]会場:東京ビッグサイト [東1・2ホール] 主催:日本経済新聞社http://www.retailtech.jp/

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Page 20: IoT/M2M ソリューション

IoT/M2Mソリューション Case Study

東日本旅客鉄道M2MトラフィックソリューションFrontier Report

キューデンインフォコム

写真家 富井 義夫  Photographer・Tomii Yoshio■ 公式フォトブログ「フロム」随時更新中 http://ameblo.jp/tomiiyoshio/

表紙写真「壁紙プレゼント」「はいたっく誌情報提供サイト」にて表紙の写真を壁紙としてプレゼントしています。詳しくは目次のページをご覧ください。

特集

IoT/M2Mソリューション

ネパールのパタンはカトマンズの南に位置する小さな町。カトマンズ盆地では一番古く、300年頃、アショーカ王によってつくられたという。17~18世紀にマッラ王国の首都として栄え、ネワール文化が華開いた。この写真は、当時の王宮前にあるダルバール広場。整備された幅広い石畳の道の両側に旧王宮や寺院が立ち並ぶ広場だ。建物の多くは芸術的な装飾が施されたネワール建築で、繊細な彫刻には目を奪われる。そもそもネワール族は彫刻・工芸・絵画などの芸術に優れた民族で、今も町のあちこちに工房があり、ごく普通の民家にも素晴らしいネワール彫刻が見られる。「ラリトプル」(美の都)という別名の通り、趣深い美しい町である。

道 ~Street~パタンのダルバール広場(ネパール)

2015FEBRUARY2

Case Study

米子自動車学校指静脈認証システム

神奈川県自動車交通共済組合マイグレーション

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