ipad atlas
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タブレット端末を用いた
「デジタル地図帳」 システムの試作
2013年3月30日 日本地理学会
伊藤 智章(静岡県立吉原高校)
本日の報告
1.はじめに
2.システムの概要
3.実証実験
4.考察と展望
1.はじめに
なぜ今「デジタル地図帳」 なのか?
①地理情報システム(GIS)を
「学習活動の全体にわたって活用するよう努力する」
と定めた新学習指導要領
(2013年度新入生~)
②ケータイ⇒スマホ化
「地図アプリ」市場の拡大と
「デジタル地図」の日常化
http://benesse.jp/blog/20121004/p2.html
高校生の新規購入者の
77.8%がスマートフォン
(2012年5月~8月) ベネッセ調べ
③教育現場での
タブレット端末の普及政策
2010年代に
すべての小中高校に
タブレット端末を
普及させる・・・?
自民党「教育再生本部」提言案
(2013.3.28)
自治体の実験(佐賀県など)
全県立高に無線LAN
一人一台の
タブレット端末
(2014年度~)
佐賀新聞 (2013.3.15) http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2419075.article.html
唐津南高校など
一部の学校で
「一人一台」 の実証実験を展開
地理教育とGIS
に強い強い追い風
が吹いている。
….
2013年度から自身の授業に
GISを取り入れたい
高校教員(地理学会員)の
39%…. 日本地理学会地理教育専門部会:2013
出版が相次ぐ高校用の
「デジタル教科書」(iPad用)
地理なし
タブレットで授業・・・?
地理教育者の関心は薄い・・・・。
改めて
なぜタブレット?
① タブレットは
GIS=パソコン実習
という固定観念を打破する
普通教室で毎日
使えるGIS(伊藤:2013)
の近未来型
②「デジタル地図帳」は
デジタル教科書に挑戦する
・メーカー主導の既製品ではなく授業者主導の自作教材
・教室からフィールドまで
・大人も使える裾野の広さ
至上主義
現場のニーズを汲む
“普段遣いのGIS”
ほぼ無料
古今書院刊(2010年)
教科書準拠
50分完結 2分間使う
2.構成システムの概要
基本コンセプト ①普通教室で日常的に
使えるGIS教具であること。
②メーカー主導ではなく
授業者主導で教材が
作れること。
③安く済むこと (端末購入・無線LAN・ソフト)
レンタル端末等による
「お試し」を想定 (上からの導入はあてにしない)
パソコンGISで教材づくり
パソコンでGIS実習
タブレットでGIS学習
毎日使う
“システム”
3.教材の試作と
実証実験
(1)画像転送・共有による
簡易「デジタル地図帳」
PCで主題図を作図
(MANDARAなど) ファイル共有 Webブラウザ
タブレットを見ながら
手作業
ただ、今の高校生は恐ろしいくらいに地名と場所を知りませんので・・・・。 イラクは
どこですか?
大学生の
正答率51%
白地図×色鉛筆
は不滅です。
Google Earthで
より多様な主題図を提示
データの頒布は特設Webサイトから
イメージ動画その1
(2)フィールド学習用
の「デジタル地図帳」
「フィールド用
デジタル地図帳」の意義
①資料の準備が容易
②視点の異なる様々な地図を
携行できる
③カラフルで見やすく、現在地
もわかる
④地図に写真や動画・音声を
埋め込める
⑤携行用の地図を作る
調査結果をまとめるプロセス
「地理的技能」が満載
地理ならではのタブレット活用
「フィールドワーク地図帳」に
有用なアプリ
要・インターネット接続
学校に支給(or廉価で販売) される端末に携帯電話回線
はつかない・・・・。
「学校の外」での利用は
想定外・・・?
無線LANルーターは
「1台につき5台まで接続」 と謳っているが・・・・ 大人数でのアクセスに不安
「フィールド用デジタル地図帳」は、
オフラインで安定して動作する
「専用アプリ」が望ましい
「ちずぶらり」シリーズ
http://atr-c.jp/burari/
自治体・公共機関とのタイアップによる「観光アプリ」
○位置情報を持たない
ラスタ(画像)データも使える
○オフラインでも安定動作
自治体・公共機関とのタイアップによる「観光アプリ」
×オーダーメイドで開発費用
が高い
×地図の搭載・管理等の
メンテナンスに手間がかかる
地域限定で地理教育に
転用可能な専用アプリ開発
実験を実施
(2012年6月~2013年5月)
×
iPhone/iPad用無料地図アプリ
「ふじぶらり」
http://www.fujiburari.com
富士市のあらゆる
観光マップがスマホで見られる
GPSで現在地もわかる!
Webサイト経由で地図のアップロードや情報の追加
市民を巻き込んだ
「住民目線」での情報発信ができる!
<課題>
・開発費の負担の問題
・情報のアップロード~
公開までのタイムラグの長さ
(社内作業、アプリの審査) ⇒技術的には可能
⇒オープン利用、更新が即
反映されるアプリの開発計画。
動画 その2
4.考察と展望
授業者主導の
「デジタル地図帳」 ⇒GISの日常化
⇒地理教育(特に高校) 復興の切り札
「GISを使う」・・・ 発想の転換が必要
たまに行うパソコンの実習
毎日使う教材・教具
地理ならではのタブレット端末の活用で「デジタル教科書」論に一石を投じる!
授業者が作る
教室&フィールドで使う
紙媒体と併用する
① 教師
GISは使わない(使えない) ⇒これ以上簡単なGIS
はない!
⇒地理復興のチャンスを
潰してはならない!
“業界”の意識改革を!
②学校の設置者
お金がないし様子を見る
⇒一部の「実験校」への
集中投資では結果でない
⇒「レンタル」「回線付き」 ・・・より安い方法で、
事例の蓄積を図るべき!
③教科書・地図帳会社
デジタル地図帳は出せない
⇒「デジタル」は「紙」を
凌駕しない。
⇒技術に長けた専門企業
とのタイアップ
⇒「市場」はまだまだ広がる
④学会・研究者
地理教育にGISを
普及させる
⇒「GIS」の定義を柔軟に。
GISで地理を教えるための
ツールは多様であってよい。
「デジタル地図帳」は
「第二の電子辞書」になる
おわり