ipv6にどう取り組むか

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IPv6にどう取り組むか」 2015/12/01 DMM.comラボ 佐々木 健 社内勉強会資料

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Page 1: IPv6にどう取り組むか

「IPv6にどう取り組むか」

2015/12/01

DMM.comラボ

佐々木 健

社内勉強会資料

Page 2: IPv6にどう取り組むか

過去の勉強会等の振り返り

● 2014/11/05 部内勉強会

– http://tsuchinoko.dmmlabs.com/?p=1662

– IPv6はイケてないんだよねえ

– とはいえ勉強はしないとね● 2015/01/15 JANOG35での発表

– https://www.janog.gr.jp/meeting/janog35/program/ipv6/– コンテンツ事業者はコンテンツを届けられれば手段はなんでも良い– ユーザーにサービスが届けられればOK

– DMMとしてはIPv6対応のモチベーションは現状はあまりない

– とはいえ必要になる状況も出てくるかも– サービスに影響がないレベルでテストはしている

Page 3: IPv6にどう取り組むか

そろそろやることが出てきた?

● 2014/11/05 部内勉強会– http://tsuchinoko.dmmlabs.com/?p=1662

– IPv6はイケてないんだよねえ

– とはいえ勉強はしないとね● 2015/01/15 JANOG35での発表

– https://www.janog.gr.jp/meeting/janog35/program/ipv6/– コンテンツ事業者はコンテンツを届けられれば手段はなんでも良い– ユーザーにサービスが届けられればOK

– DMMとしてはIPv6対応のモチベーションは現状はあまりない

–とはいえ必要になる状況も出てくるかも– サービスに影響がないレベルでテストはしている

Page 4: IPv6にどう取り組むか

最近のIPv6の動向

● AppleがIPv6対応を重視するようになってきた。

– NAT64/DNS64環境から利用できないアプリは審査に落とすと言い出した。(2016年初頭には)

– IPv6のほうを優先するようなHappy Eyeball実装をすると宣言

● 他のハイパージャイアント達も追随する動きを見せている– Google、Facebook、Akamai、Apple、Microsoft等– 彼らには他の事業者を振り切れるのでビジネス上有利になる可能性がある

● 海外の大規模ISPでのIPv6のトラフィックの割合が急増している。

– たとえばアメリカのVerizon Wirelessではすでにトラフィックの5割がIPv6。

– 来年には7割を超える予想

– アメリカはIPv4アドレスを大量に保有してるはずなのに。

– 他の国でも同様の傾向● 端末側のIPv6配布の技術的方向性が見えてきた。

– IPv4 as a Service

● 総務省が無茶を言っている。平成29年度にすべてのワイヤレス端末にIPv6を。

● IPv6での接続が実際に増えてきた。

↑ここは対応必須

Page 5: IPv6にどう取り組むか

最近のIPv6の動向〜 AppleがIPv6対応を進めている 〜

● NAT64/DNS64環境から利用できないアプリは審査に落とす、と言い出した。(2016年初頭には)

Page 6: IPv6にどう取り組むか

技術解説: NAT64/DNS64

● IPv6の端末がIPv4のサーバにアクセスすることを可能にする技術

● DNSのAレコード(IPv4)が返ってきたらAAAAレコード(IPv6)に変換(DNS64)

● そのIPv6アドレス宛の通信をIPv6←→IPv4変換(NAT64)

● IPv6アドレスの64:ff9b::/96の最後の32bit部分にIPv4アドレスを埋めこむ

Page 7: IPv6にどう取り組むか

技術解説: Happy Eyeballs

● Happy Eyeballsとは、 IPv6とIPv4の共存期において、 IPv6とIPv4の双方が利用可能なデュアルスタック環境において発生するフォールバック問題(*)を緩和するために、 IPv4とIPv6のうち通信状態の良い方を優先する仕組みです。

● Happy Eyeballsでは、 通信開始当初からIPv6とIPv4の両方のプロトコルを用いて通信先と接続を行い、 先に接続に成功した方のプロトコルから得られた結果をユーザーへ出力します。

● 通信が失敗した後に、 別のプロトコルを用いてあらためて通信を開始する場合と比較して、 切り替えに必要な時間を短縮することが可能になると想定されています。

● Happy EyeballsはRFC6555で標準化されており、 クライアントがサーバへ接続する際のDNS名前解決や接続方法が個別に規定されています。

Page 8: IPv6にどう取り組むか

そもそものHappy Eyeballsの意図

● サーバ側に、IPv4アドレスとIPv6アドレスでの接続性がある場合に、遅い方に接続されることを防ぎたい。

● IPv6が遅い時に、IPv6が優先されちゃうと、ユーザビリティが低下してしまう。

サーバ側がIPv4アドレスだけであれば、(AAAAレコードが登録されてなければ、)そもそもHappy Eyeballsは使われない。

Page 9: IPv6にどう取り組むか

最近のIPv6の動向〜 AppleがIPv6対応を進めている 〜

● IPv6のほうを優先するようなHappy Eyeballs実装をすると宣言

● iOS 9とOS X 10.11 (El Capitan)から、99%がIPv6通信になる新しいHappyEyeballsを実装(β版)

サーバ側がIPv4アドレスだけであれば、(AAAAレコードが登録されてなければ、)そもそもHappy Eyeballsは使われない

今のところ実影響はないはず

Page 10: IPv6にどう取り組むか

最近のIPv6の動向〜 海外キャリアの動向 〜

IPv4アドレスを大量に保有しているアメリカでも、キャリアのIPv6対応が進んでいる。

Page 11: IPv6にどう取り組むか

最近のIPv6の動向〜 IPv4 as a Service 〜

● IETFのv6ops WGで扱う新しいプロジェクトとしてチェアが提案

● IPv6のネットワーク上において、IPv4を必要なサービスとして提供する(ただし、徐々に減らしていく)というシナリオを前提として、IPv4 over IPv6 技術の展開における運用ガイダンスを書くプロジェクト

IPv6の標準化はまだまだカオス状態。たくさんのIPv4/IPv6共存規格が沢山あって、どれに対応すれば良いかがさっぱりわからない状態だったが、この提案により方向性が見えてきた?。将来は、端末側ではIPv6のみを配布、という流れになりそう。(デュアルスタックも当分共存するとは思うが)AppleのNAT64/DNS64も同じ方向性。

Page 12: IPv6にどう取り組むか

最近のIPv6の動向〜 総務省から勧告 〜

● 平成29年度にすべてのワイヤレス端末にIPv6を。

IPv6によるインターネット利用高度化に関する研究会第29会会合議事概要(案) 2015/9/28http://www.soumu.go.jp/main_content/000385661.pdf

「全スマホでIPv6接続を」 総務省が携帯3社にアドレス新企画への対応要請 2015/11/10http://www.sankei.com/economy/news/151111/ecn1511110004-n1.html

それぞれの立場がにじみ出ていて、ジワっときます。。。。。。

Page 13: IPv6にどう取り組むか

最近のIPv6の動向〜 DMMのパブリックミラーサーバ 〜

IPv4Out Average4.99Mbps

流量はそんなに多くはないんだけど、IPv6でのアクセスは5%は超えている。

IPv6Out Average319Kbps

Page 14: IPv6にどう取り組むか

最近のIPv6の動向〜 その他考慮事項 〜

● 現状のユーザー側のIPv6接続環境はほぼデュアルスタック。

– サーバ側はIPv4でのサービスのみをきちんとやっていれば問題はない。

– 中途半端にIPv6化を進めるのが一番マズイ

● IPv6対応により変わるのはプログラムの挙動。その視点を忘れては駄目。土管がIPv6対応すれば良い、というものではない。

● IPv6対応によるデメリットも当然ある。全部やる必要はない。

– コスト増(設備、開発、サポート、運用等)、セキュリティ、ロギング

● 端末のIPv6化は進みそうではある。そこへの対応は粛々と進める必要はある。– 確実に必要で、時間がかかるものは先に手を付けておくほうが良さそう。

● ハイパージャイアントのIPv6対応動向は追う必要はある。

– 今はIPv4は不利になっていないが、IPv4のみの場合の検索ランクを落とすような暴挙に出る可能性もないわけではない。

– サーバ側の対応もハイパージャイアントの実装が参考になる。AmazonのELBとか。

● IPv6のほうが有利な状況もある。必要に応じて採用も検討する。

– 今はIPv6のほうが速度が出る、とか。

Page 15: IPv6にどう取り組むか

こんなことになるのは嫌だ

● IPv6に関する問い合わせが増えて現場が混乱する?

● 船頭が増えて方針が乱立しコストが増加する?● 偉い人が良くわからずに騒ぐ?

こうならないようにうまくやろう!!必要なことはやる

必要じゃないことはやらない

Page 16: IPv6にどう取り組むか

我々はどうすべきか?

● DMMとしてどう対応するかまず考える。● 対応方針を元に必要なことを粛々とする。● ユーザーが困らないようにする。● 現場が困らないようにする。● 過剰なコストがかかないようにする。

Page 17: IPv6にどう取り組むか

そもそもDMMはどんな会社なのか?

● 事業をする会社– ちゃんと儲けないと駄目– 儲け続けないとお客さんを喜ばすことができない– 儲けないと社員の生活も守れない– 必要な投資はちゃんとする

● DMMはどんなことにお金を使うか?– 儲かって、お客さんが喜ぶこと。– 10年後にお金を生み出す新事業。

Page 18: IPv6にどう取り組むか

DMMのポジション

● IT企業ではない!!!– ITは手段

– たまたま今はITを活用しているだけ

– テレパシーが流行ったらそっちに乗り換える● ファーストペンギンもやる。ただしITはファーストペンギ

ン領域ではない– ファーストペンギン=最初に事業に飛びこむ人々

● ただし技術がなければ価値は届けられない– なので技術はちゃんと把握する。– 学び続ける

● 技術は本質的には楽しいものだしね

Page 19: IPv6にどう取り組むか

最近のDMMの動き

● 事業領域の拡大● 海外への進出

– どんどん増える海外事業拠点。– アフリカ事業!!

事業をサポートしつつスピードを落とさないように助けていく

Page 20: IPv6にどう取り組むか

具体的にIPv6にどう対応するか?(案)

● Appleの施策への対応。(短期)– アプリのNAT64/DNS64対応

● 対応スコープを決める。なんでもかんでもやるのは現実的じゃない。(中長期)– 艦これ等のブラウザアプリをNAT64/DNS64環境でも動くようにする。

– NAT64/DNS64環境でDMMのサービスが動くようにする。

– 国内の主要IPv6接続環境からDMMのサービスが動くようにする。

– 国外のいくつかのIPv6接続環境で問題がないようにする。

– IPv4 as a Service に対応していく

– IPv6対応の対応窓口を作る

– 必要ならIPv6でのサービス提供を開始する

● やるべきことについては必然性をちゃんと持たせる。– 技術はやりたいことを実現する道具。目的意識大事。

● 教育、情報発信– 部内教育。現場が困らないように先手を打っていく。– 社内での啓蒙活動。誤解の蔓延を防ぐ。– 経営陣へのレクチャー。誤解の蔓延を防ぐ。– 外部専門家との連携。積極的な情報発信。

←ここは必須

必要に応じて考えながら

行動していく

Page 21: IPv6にどう取り組むか

質疑

● 質問があれば!!!

Page 22: IPv6にどう取り組むか

参考情報1:DMM.comラボからの発信

● ツチノコブログ イケてないIPv6とどう付き合うか

– http://tsuchinoko.dmmlabs.com/?p=1662

– IPv6について喋って、と無茶振りされた社内勉強会の資料とブログ。

– エンジン形式、ジャニーズ、将棋棋士等の教養要素も加味。– レイヤを交換するだけでプログラムの挙動が変わるのは仕様がイケてないよと言ってみ

た。

● JANOG35 Meeting - なぜ、IPv6 対応したくないのか

– https://www.janog.gr.jp/meeting/janog35/program/ipv6/

– 上のブログを馬渡さんに補足されてJANOG35で喋った時の資料。

– IPv6に関わった人々の前で、やりたくない、って言うのはかなりドキドキした。

Page 23: IPv6にどう取り組むか

参考情報2:Appleの動向

● iOS Developer LibrarySupporting IPv6 DNS64/NAT64 Networks– https://developer.apple.com/library/prerelease/io

s/documentation/NetworkingInternetWeb/Conceptual/NetworkingOverview/UnderstandingandPreparingfortheIPv6Transition/UnderstandingandPreparingfortheIPv6Transition.html

– Appleによる iOS の IPv6 DNS64/NAT64 に関する説明資料

– 環境の簡単な作り方についての説明もある

Page 24: IPv6にどう取り組むか

参考情報3:海外の状況

● 諸外国におけるIPv6対応の状況

– http://www.soumu.go.jp/main_content/000368565.pdf– 総務省の資料。– これを見ると徐々にIPv6対応が進んでいるのがわかる。

– 原状はまだ比率としては多くないが、今後も増えていくのは見えてきた。– Google、Facebook、等のハイパージャイアントが積極的にIPv6対応を進めている。

● GoogleによるIPv6の統計情報

– https://www.google.com/intl/ja/ipv6/statistics.html– これを見ても原状はまだ比率としては多くないが、今後も増えていくのは見えてきた感じ。

● AkamaiによるIPv6の統計情報

– https://www.stateoftheinternet.com/trends-visualizations-ipv6-adoption-ipv4-exhaustion-global-heat-map-network-country-growth-data.html#countries

– すごく対応している国もあれば、まったく対応してない国もあるのがわかる。

Page 25: IPv6にどう取り組むか

参考情報4:総務省からの勧告関連

● IPv6によるインターネット利用高度化に関する研究会第29会会合議事概要(案) 2015/9/28– http://www.soumu.go.jp/main_content/000385661.pdf

– IPv6を推進したい立場の人と、コストやセキュリティのことを考慮して推進に消極的な事業者とのやりとりが厳しくせつなくて泣けてきます。

– みんなそれぞれ立場があって真摯にやってるのはとてもわかる。。。。

● 「全スマホでIPv6接続を」 総務省が携帯3社にアドレス新企画への対応要請 2015/11/10– http://www.sankei.com/economy/news/151111/ecn1511110004-n1.html– おそらく上記の会合が決裂のような状況になったので総務省が強行手段に出た?

Page 26: IPv6にどう取り組むか

参考情報5:IETFでの標準化の動き

● IETF93報告会 IPv6関連WG– https://www.isoc.jp/wiki.cgi?action=ATTACH&file=20150

827_IETF93_update_05_nishizuka.pdf&page=IETF93Update● IETF94 IPv6関連ホットトピック

– https://www.isoc.jp/wiki.cgi?page=PreIETF94&action=ATTACH&file=ietf94study_03_hottopic_nishizuka.pdf

– 西塚さんによるまとめ資料。– IETFでの標準化が混乱しつつ、まとまりつつある様子が良くわ

かる。– 「IPv4 as a Service」が提案された。

Page 27: IPv6にどう取り組むか

参考情報6:日本の宅内IPv6の状況

● IPv6移行の現状 - 宅内端末から見たIPv6とIPv4 -– http://www.slideshare.net/akiranakagawa3/2015-s

ummer-seminar– JPNEの中川さんによる資料。2015年夏時点の状況が

まとまっている。

Page 28: IPv6にどう取り組むか

参考情報7:CEDEC-Net 2015でのIPv6 環境の話

● CEDEC-Net 2015 で IPv6 の会場ネットワークを提供してきました– http://yuyarin.hatenablog.com/entry/2015/08/31/01

1205

● CEDEC-Net 2015 テクニカルレビュー

– http://www.slideshare.net/yuyarin/cedecnet-2015– 「動作しないアプリ → 艦これ」と名指しされてしまった

よ。

Page 29: IPv6にどう取り組むか

参考情報8:DMMについての情報、その他

● [イベント]「やまもといちろう、あの『ウワサ』のDMM会長・亀山敬司に直撃!」というイベントに参加してきた

– http://itevangelist.net/blog/yamamotoichirou-dmm-kameyamakeishi-event/

– DMMがどんな会社かが良くわかる面白イベント記事。

– 中の人が読んでも面白かった。

● 【堀江×亀山】ファーストペンギンは血まみれになる

– https://newspicks.com/news/1256434?ref=user_9250– 有料記事だけどわりと面白かった記事。– スライド中のファーストペンギンという単語はこの記事から引用。

● 【DMM亀山敬司講演@船井総研】第1回:「衰退業界での生き残りかたとは?」

– http://dailynewsonline.jp/article/1045440/

– DMMの事業に対する考え方が汲み取れる記事。

– 言いすぎて、会場をどん引きさせちゃったらしい。– そのうちアフリカ出張とかもありそうだよなあ。アフリカは何が美味いんだろ。

● たかがレシピサイトに何故こんなに技術力が必要なのか?– http://techlife.cookpad.com/entry/2015/11/27/194316– 「技術がなければ価値なんか届けられない」という、良い言葉が書いてある。