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34 IV 自転車利用推進上の課題
IV. 自転車利用推進上の課題
写真出典)最上段(スタントマンによる交通事故再現)は警視庁ホームページより。他は大田区内で撮影
自転車事故の比率の増加
自転車走行空間の不足
駐車空間の不足
ルール・マナーの不徹底
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IV 自転車利用推進上の課題 35
1. 自転車事故の比率の増加
(1) 自転車関連交通事故の状況
① 状態別死者数(都内)
平成 21 年と平成元年の状態別交通事故死者数を比較すると、自動車乗車中及び歩行
中の死者数は、70%以上減少しています。
これに対し、自転車乗車中の死者数は約 6%と低い減少率になっています。
図 IV-1 状態別交通事故死亡事故件数の推移
出典)警視庁ホームページ
② 自転車関連事故の比率(都内)
過去 10年で交通事故総件数は 38%減少し、自転車関連事故件数も 12%減少していま
す。
しかし、交通事故全体に占める自転車関連事故件数の比率は、過去 10 年で 29.0%か
ら 36.9%と約 8ポイント増加しています。
図 IV-2 近年の交通事故件数の推移 出典)警視庁ホームページ
106
39
48
58
45
425
128
153
147
77
133
64
195
121
58
196
46
89
69
25
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000
昭和44年
昭和54年
平成元年
平成11年
平成21年
自転車乗車中 歩行中 二輪車乗車中 自動車乗車中(件)
56,358
20,775
29.0%
36.9%
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
35.0%
40.0%
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
80,000
90,000
100,000
総事故件数 自転車事故件数(東京都) 自転車事故件数比率(東京都)(件) (比率)
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36 IV 自転車利用推進上の課題
③ 当事者別事故件数(都内)
平成 21年において、自転車が第 2当事者*2(被害者)となった事故件数は 18,417件
で、すべての当事者のうちで最も多くなっています。
自転車が第 1 当事者*1(加害者)となった事故件数は 3,849 件で、乗用車、貨物車に
次いで多くなっています。
表 IV-1 当事者別交通事故件数(平成 21年 東京都内)
出典)警視庁ホームページ
*1 第 1当事者:違反(過失)がより重いか、又は違反(過失)が同程度の場合にあっては、被害がより小
さい方の当事者をいう。
*2 第 2当事者:違反(過失)がより軽いか、又は違反(過失)が同程度の場合にあっては、被害がより大
きい方の当事者をいう。
(2) 自転車事故の特徴
① 年代別・発生時間帯別事故件数(都内)
当事者の年代別自転車事故件数をみると、16~45 歳までの年代層が多くなっていま
す。
時間帯別の自転車事故件数は、朝の通勤・通学時間帯である 8~10時が最も多く、次
いで 16~18時となっています。
乗用車 貨物車 自動二輪 原付 自転車 歩行者 対物 その他 小計乗用車 9,600 2,350 4,105 2,521 10,951 4,359 468 7 34,361貨物車 3,589 1,428 1,156 859 3,931 1,499 45 2 12,509自動二輪 329 94 194 105 715 314 571 0 2,322原付 240 68 188 145 918 345 229 2 2,135自転車 301 99 124 94 1,491 1,053 686 1 3,849歩行者 99 37 28 14 20 0 1 3 202その他 125 32 73 57 391 299 1 2 980小計 14,283 4,108 5,868 3,795 18,417 7,869 2,001 17 56,358
第2当事者
第1当事者
0 1000 2000 3000 4000
0~2時
2~4時
4~6時
6~8時
8~10時
10~12時
12~14時
14~16時
16~18時
18~20時
20~22時
22~24時
事故件数(第1) 事故件数(第2)
0 500 1 000 1 500 2 000
0~5歳
6~10歳
11~15歳
16~20歳
21~25歳
26~30歳
31~35歳
36~40歳
41~45歳
46~50歳
51~55歳
56~60歳
61~65歳
66~70歳
71~75歳
76~80歳
81~85歳
86歳~
運転 同乗
図 IV-3 当事者の年代別自転車事故件数 出典)交通事故の統計 警視庁 平成21年
図 IV-4 時間帯別の自転車事故件数 出典)交通事故の統計 警視庁 平成21年
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IV 自転車利用推進上の課題 37
② 大田区の自転車事故件数
平成 21 年において、大田区の自転車事故件数は、東京都特別区内で世田谷区に次い
で 2番目に多くなっています。
自転車が第 1当事者(加害者)である事故件数は、東京都特別区内でワースト 1位と
なっています。
大田区内の自転車事故発生箇所の多い地域は、蒲田駅周辺や糀谷・萩中地域などとな
っています。
図 IV-5 当事者別自転車事故件数 出典)交通事故の統計 警視庁 平成21年
図 IV-6 自転車事故発生マップ 出典)警視庁ホームページ 平成21年
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600
世田谷区
大田区
練馬区
足立区
江戸川区
葛飾区
板橋区
杉並区
新宿区
渋谷区
港区
自転車が第1当事者の
事故件数
自転車が第2当事者の
事故件数 (件)
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38 IV 自転車利用推進上の課題
2. 自転車走行空間の不足
(1) 自転車走行空間の整備状況
大田区内の道路において、自動車と分離された自転車走行空間のある道路は約
81.1km、すべて歩道上の普通自転車通行可の部分で、全体の 9.7%程度です。そのうち、
歩行者とも分離された空間のある道路は約 1.1km、全体の 0.1%に過ぎません。
これ以外の約 754km、全体の 90.3%は自動車と分離されていない自転車走行空間で、
そのうち歩道のない道路が約 639km、全体の 76.5%を占めています。
図 IV-7 区内における自転車走行空間の整備状況
*1 中原街道(丸子橋-田園調布本町、雪谷大塚町-石川台駅前)、第一京浜国道(品川区境-平和島入口交番前)
自動車から分離された自転車走行空間
歩行者と分離
交通規制による分離
歩行者と
非分離
その他の自転車走行空間
歩道あり
歩道なし
構造による分離
なし
約1.1km
なし
約80km
約115km
約639km
大田区における
道路延長
*1
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IV 自転車利用推進上の課題 39
(2) 既存走行空間の現状(多摩川)
多摩川河川敷の堤防道路は「たまリバー50キロ」の一部であり、休日になると、ジョ
ギングやサイクリングなどさまざまなレクリエーションの場として利用されています。
しかし、人と自転車の交錯が多くなっており、平成 21 年には死亡事故が発生していま
す。
図 IV-8 たまリバー50キロ(大田区)
図 IV-9 たまリバー50キロの位置
大師橋緑地付近 羽村取水堰付近
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40 IV 自転車利用推進上の課題
3. 駐車空間の不足
(1) 駅周辺乗り入れ台数(自転車等駐車場駐車台数+放置台数)
平成 19年、20年自転車等駐車実態調査結果から、各駅周辺の自転車等乗り入れ台数
をみると、蒲田駅が圧倒的に多く朝 9時で 10,405台、ピーク時は 15時で 15,290台と
なっています。次いで大森駅が朝 9時で 5,073台、ピーク時で 7,291台と、この 2駅が
極めて多くなっています。
次いで平坦なエリアである京急線の駅が多く、特急電車が止まる京急蒲田駅、平和島
駅が多くなっています。
東急線の駅は、全体に駅間が短く自転車利用の勢力圏が狭いこと、調布地域が海側に
比べ勾配があることなどから、他の路線の駅に比べ乗り入れ台数が少なくなっていま
す。
通勤・通学利用の終わる朝 9時以降でも乗り入れ台数の増加があり、他の駅に比べ商
業施設等が多い蒲田駅では、47%の増加、大森駅では 44%の増加となっています。
図 IV-10 時間帯別自転車乗り入れ台数(平日) 出典)平成19年、20年自転車等駐車実態調査
(JR線:東日本旅客鉄道、東急線:東京急行電鉄、京急線:京浜急行電鉄、都営線:都営地下鉄)
5,073
1,967
1,072
759
267
284
1,544
962
10,405
3,316
1,476
2,218
432
204
185
148
298
358
226
4,885
727
598
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000
大森駅
平和島駅
西馬込駅
雪が谷大塚駅
久が原駅
御嶽山駅
糀谷駅
大鳥居駅
蒲田駅
京急蒲田駅
雑色駅
大森
調布
糀谷・羽
田蒲田
自転車等駐車台数(台)
朝9時 朝9時からピーク時の増加台数
大森駅
平和島駅
糀谷駅
大鳥居駅
京急蒲田駅
雑色駅
雪が谷大塚駅
久が原駅
御嶽山駅
西馬込駅
JR線 東急線 京急線 都営線
大森
調布
糀谷・
羽田
蒲田
蒲田駅
通勤・通学が終了する朝9時以降、
ピーク時(12時又は15時。駅により異
なります)までに約50%増加していま
す。
朝9時以降は、買い物や私用目的で
の自転車利用が増加しています。
47%増
44%増
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IV 自転車利用推進上の課題 41
(2) 駅周辺乗り入れ台数(需要)と駐車場収容台数(供給)の比較
平成 19年、20年自転車等駐車実態調査対象駅のうち、乗り入れ台数の最も多い蒲田
駅は、朝 9時の時点では駅周辺の自転車等駐車場の収容台数と比較して約 100台程度の
余裕がありますが、実際には自転車等駐車場の利用率にばらつきがあるため、周辺には
放置された自転車が 2,323台あります。
蒲田以外の駅で供給量が上回っているのは、雑色駅のみで、その他の駅は朝 9時の時
点で自転車等駐車場が不足している状態といえます。不足台数が最も多い駅は、京急蒲
田駅で 1,836台、次いで大森駅の 1,354台、糀谷駅の 851台となっています。
東急線久が原駅、御嶽山駅では自転車等駐車場が整備されていません。
図 IV-11「平日 9時の自転車乗り入れ台数」と自転車等駐車場収容台数の比較 出典)平成19年、20年自転車等駐車実態調査
表 IV-2 平日の自転車等需給バランス(駐車場収容台数―乗り入れ台数)(台)
出典)平成19年、20年自転車等駐車実態調査
5,073
1,967
1,072
759
267
284
1,544
962
10,405
3,316
1,476
3,719
1,647
450
280
0
0
693
606
10,511
1,480
1,708
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000
大森駅
平和島駅
西馬込駅
雪が谷大塚駅
久が原駅
御嶽山駅
糀谷駅
大鳥居駅
蒲田駅
京急蒲田駅
雑色駅
大森
調布
糀谷・羽
田蒲田
平日9時の自転車等乗り入れ台数 自転車等駐車場収容台数
大森
調布
糀谷・
羽田
蒲田
1,354台の不足
1,836台の不足
駐車場がない
(台)
朝9時 ピーク時大森駅 -1,354 -3,572平和島駅 -320 -752西馬込駅 -612 -826雪が谷大塚駅 -479 -664久が原駅 -267 -415御嶽山駅 -284 -582糀谷駅 -851 -1,209大鳥居駅 -356 -582蒲田駅 106 -4,779京急蒲田駅 -1,836 -2,563雑色駅 232 -366
調布
糀谷・羽田
蒲田
大森
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42 IV 自転車利用推進上の課題
(3) 休日における放置比率と自転車等駐車場利用率
蒲田駅周辺の休日の自転車等乗り入れ台数(ピーク時)は、13,123台と平日に比べ需
要台数は少ないですが、放置比率は朝 9時で 44%、ピーク時(15時)で 59%となり、
半数以上が放置している状態となっています。
これに対し、自転車等駐車場の利用率は、約 50%にとどまっており、休日の自転車等
駐車場の有効利用が課題となっています。
図 IV-12 平日と休日別の自転車等放置台数、放置比率の比較(蒲田駅周辺)
出典)平成19年自転車等駐車実態調査
表 IV-3 平日と休日別の自転車等駐車場利用率の比較(蒲田駅周辺)
自転車等駐車場利用率 西口 東口
平日 12時 98.9% 81.4%
休日 15時 53.4% 47.4%
出典)平成19年自転車等駐車実態調査
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
5,000
放置台数 放置比率
9:00 12:00 15:00 18:00 2:00 9:00 12:00 15:00 18:00
平日 休日
東 西 東 西 東 西 東 西 東 西 東 西 東 西 東 西 東 西
放置台数 放置比率
東口
西口 放置比率放置台数
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
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IV 自転車利用推進上の課題 43
(4) 自転車等駐車場の利用率
自転車等駐車場の利用率は、必ずしも駅からの徒歩距離に反比例してはおらず、ばら
つきがあります。
自転車等利用者が自転車等駐車場を選択する要因として、駅からの徒歩距離以外に駐
車のしやすさ、料金などがあると考えられます。
下図は、蒲田駅周辺の自転車等駐車場について「駐車場から駅改札口への徒歩距離」と「平
日 9時の利用率」の関係を示したものです。
利用率は、必ずしも駅からの徒歩距離に反比例してはおらず、ばらつきがあります。
駅から近くても、駐車に手間のかかる 4階建て屋上階の 2か所の自転車等駐車場の利用率
は低くなっています。また、当日利用の料金がこの 2か所のみ周辺より高い設定となってお
り、このことが影響しているとも考えられます。
区役所本庁舎前自転車駐車場は、一時利用を 100円で利用できる蒲田駅から最も近い駐車
場であり、なおかつ 2層階のため利用率が高くなっています。
自転車等利用者が自転車等駐車場を選択する要因として、駅からの徒歩距離以外に駐車の
しやすさ、料金などがあると考えられます。
図 IV-13 「蒲田駅改札口から自転車等駐車場までの距離」と「自転車等駐車場の利用率」の関係 出典)平成19年、20年自転車等駐車実態調査
利用率が100%以上
・駅から近いがいずれも4層の駐車場
・一時利用が200円
・2層、一時利用が100円
・東口で唯一、利用率が高い
・登録制(年間3,000円-抽せん)
・登録者全員が毎日利用するわけではないた
め、空きが生じています
・定数に対して契約率は100%を超えています
蒲田駅東口
自転車駐車場
蒲田駅西口
自転車駐車場
区役所本庁舎前
自転車駐車場
蒲田あやめ橋
自転車駐車場蒲田駅呑川右岸
自転車駐車場
蒲田駅西口呑川横
自転車駐車場
改札口から自転車等駐車場までの徒歩距離(m)
自転車等駐車場の利用率
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44 IV 自転車利用推進上の課題
(5) 放置禁止区域外における放置
蒲田駅東口では、放置禁止区域の外側に 366台の放置自転車等がありました(平成 19
年調査時)。
この場所は駅改札口まで歩いて 350mから 450mであり、駅までの距離がここより遠
い自転車等駐車場があるにもかかわらず、ここは放置禁止区域外のため撤去ができない
場所となっています。
図 IV-14 放置禁止区域外の放置自転車等状況 出典)平成19年自転車等駐車実態調査
放置禁止区域の外郭(青枠
内)に 366台の放置
放置禁止区域
(赤枠内)
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IV 自転車利用推進上の課題 45
(6) 買い物目的利用者のための自転車等駐車場
① 放置者(主に買い物等目的)の意識
放置者全体の 74%が、目的地まで約 1分以内の場所に自転車をとめています。
「最大、何 m 以内の場所に駐車場があれば利用しますか」の質問に対しては、「50
m以内であれば利用する」と回答した人が約半数、「50m以上 100m以内でも良い」と
回答した人は約 3分の1の結果になっています。
買い物目的の利用者は、荷物の運搬手段として自転車を選択しているため、近距離で
も利用する傾向が強く、目的地から離れた場所に駐車することに抵抗があるようです。
図 IV-15 放置者の目的地までの所要時間(鉄道非利用者) 出典)平成21年駅周辺放置者ヒアリング調査
図 IV-16 放置対象者が駐車しても良い限界距離 出典)平成21年駅周辺放置者ヒアリング調査
0分1分
以内
2分
以内
3分
以内
4分
以内
5分
以内
6分
以内
7分
以内
8分
以内
9分
以内
10分
以内
駐車者の比率 29.8% 73.6% 82.0% 88.8% 89.1% 98.3% 98.5% 98.5% 98.7% 98.7% 100.0%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
駐車場所から目的地(店舗等)までの所要時間
目的地から1分以内の場所に放置している人は73.6%、
5分以内の場所に放置している人は98.3%です。
目的地(店舗等)からの距離
放置者の構成比
累積
0~50m 48.6% 48.6%50~100m 33.1% 81.7%100~150m 6.0% 87.8%150~200m 4.6% 92.4%200m~ 1.4% 93.8%利用したくない 6.2% 100.0%
50m以内でないと駐車場を
利用しないと回答している人
が48.6%、100m以上離れて
も利用すると回答している人
はわずか12.0%です。
![Page 13: IV. 自転車利用推進上の課題...その他 125 32 73 57 391 299 1 2 980 小計 14,283 4,108 5,868 3,795 18,417 7,869 2,001 17 56,358 第2当事者 第 1 当 事 者 0 1000 2000](https://reader036.vdocuments.pub/reader036/viewer/2022081613/5fb42a84e625c82c5a3a0903/html5/thumbnails/13.jpg)
46 IV 自転車利用推進上の課題
② 一時利用可能な自転車等駐車場の位置
買い物目的利用者のための駐車場は、目的地の 50m以内に整備していくことが望まし
いですが、現状の一時利用可能な自転車等駐車場では、ニーズを完全にはカバーできて
いない状況です。
下図は、一時利用可能な自転車等駐車場からの 50mの圏域を示しています。大型商業施設
や商店街の利用者のニーズを完全にはカバーできていない状況です。
図 IV-17 一時利用可能な自転車等駐車場から 50m圏内(蒲田駅周辺、図中の赤円)
出典)平成19年自転車等駐車実態調査
![Page 14: IV. 自転車利用推進上の課題...その他 125 32 73 57 391 299 1 2 980 小計 14,283 4,108 5,868 3,795 18,417 7,869 2,001 17 56,358 第2当事者 第 1 当 事 者 0 1000 2000](https://reader036.vdocuments.pub/reader036/viewer/2022081613/5fb42a84e625c82c5a3a0903/html5/thumbnails/14.jpg)
IV 自転車利用推進上の課題 47
4. ルール・マナーの不徹底
(1) 自転車安全利用五則の認知度
自転車安全利用五則の内容はおおよそ知られていますが、「車道通行の原則」「道路
の左側通行」「歩道走行時のルール」「並進の原則禁止」など走行場所についての認知
度が若干低い傾向にあります。
図 IV-18 自転車等関連図の交通法規の認知度 出典)大田区自転車利用に関する区民意識調査(平成21年8月)
「車道通行の原則」、「道路の左側通行」を両方知っていて、実際に「主に車道」を
通行している人は全体の 29%で、「主に歩道」の 46%を下回っています。
表 IV-4 通行部分の認知度と実際の走行部分
出典)大田区自転車利用に関する区民意識調査(平成21年8月)
99%
96%
92%
89%
86%
80%
72%
62%
99%
97%
91%
88%
88%
85%
68%
61%
99%
92%
86%
82%
70%
79%
64%
48%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
前照灯、尾灯の付帯義務
傘差し運転、携帯電話を
しながらの運転禁止
酒気帯び運転の禁止
二人乗りの禁止
道路の左側通行
車道通行の原則
歩道走行時のルール
並進の原則禁止
週3回以上の利用者 月1回以上の利用者 非利用者
人数 構成比 人数 構成比 人数 構成比
知っている 309 46% 196 29% 505 75%
知らない 34 5% 10 1% 44 7%
知っている 62 9% 19 3% 81 12%
知らない 34 5% 10 1% 44 7%
439 65% 235 35% 674 100%
合計
合計
主に歩道走行 主に車道走行「道路の左側通行」について
「車道通行の原則」について
知っている
知らない
![Page 15: IV. 自転車利用推進上の課題...その他 125 32 73 57 391 299 1 2 980 小計 14,283 4,108 5,868 3,795 18,417 7,869 2,001 17 56,358 第2当事者 第 1 当 事 者 0 1000 2000](https://reader036.vdocuments.pub/reader036/viewer/2022081613/5fb42a84e625c82c5a3a0903/html5/thumbnails/15.jpg)
48 IV 自転車利用推進上の課題
(2) 自転車利用者の走行マナーについての認識
歩行者が自転車に対して危険だと感じる項目は、「自転車利用者のマナー」が最も多
くなっています。自転車を利用しない人の 65%は、「自転車の歩道走行」が危険だと感
じています。
「放置自転車等による通行障害」が危険だとの指摘も多く、特に視覚障がい者誘導用
ブロック上の放置など、障がい者の方や高齢者の方にとって重大な問題であると考えら
れます。
図 IV-19 歩行者から見た自転車の危険要素
出典)大田区自転車利用に関する区民意識調査(平成21年8月)
自転車利用者にとっては、「駐輪場の不足」が最も放置自転車の原因となっていると
感じているのに対し、自転車を利用しない人(非利用者)にとっては、「モラルが低い」
ことが原因だと感じています。
図 IV-20 放置自転車が多い原因について 出典)大田区自転車利用に関する区民意識調査(平成21年8月)
64%
52%
36%
21%
7%
62%
56%
49%
22%
8%
64%
55%
65%
20%
5%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
自転車利用者
のマナー
放置自転車等
による通行障害
自転車の
歩道走行
自転車の
車道走行
その他
週3回以上の利用者 月1回以上の利用者 非利用者
72%
49%
16%
49%
7%
3%
63%
49%
20%
55%
7%
4%
48%
35%
40%
72%
6%
2%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
駐輪場の不足
駐輪場が
不便な場所にある
罰則が緩い
モラルが低い
自転車の価格が安い
駐輪場が有料だから
週3回以上の利用者 月1回以上の利用者 非利用者
![Page 16: IV. 自転車利用推進上の課題...その他 125 32 73 57 391 299 1 2 980 小計 14,283 4,108 5,868 3,795 18,417 7,869 2,001 17 56,358 第2当事者 第 1 当 事 者 0 1000 2000](https://reader036.vdocuments.pub/reader036/viewer/2022081613/5fb42a84e625c82c5a3a0903/html5/thumbnails/16.jpg)
IV 自転車利用推進上の課題 49
5. 課題の整理
(1) 自転車事故の比率の増加
交通事故全体に占める自転車関連事故の比率は、過去 10 年で約 8 ポイント増加していま
す。
自転車が被害者となった事故件数は、すべての当事者のうちで最も多くなっています。
自転車が加害者となった事故件数は、乗用車、貨物車に次いで多くなっています。
大田区の自転車事故件数は、東京都特別区内で世田谷区に次いで 2番目に多くなっていま
す。
自転車が第1当事者である事故件数は、東京都特別区内でワースト 1位となっています。
大田区内の自転車事故発生箇所の多い地域は、蒲田駅周辺や糀谷・萩中地域などとなって
います。
(2) 自転車走行空間の不足
大田区内で、自動車と分離された自転車走行空間はすべて自転車歩行者道で、全体の 9.7%
程度です。そのうち、歩行者とも分離された空間のある道路は全体の 0.1%に過ぎません。
多摩川河川敷の堤防道路は、人と自転車の交錯が多くなっており死亡事故が発生していま
す。
(3) 駐車空間の不足
蒲田駅では、主に鉄道利用の通勤・通学者向けの自転車等駐車場の収容台数は乗り入れ台
数を上回っていますが、利用率にばらつきがあり、放置自転車が多くあります。
ピーク時はほとんどの駅において、自転車等駐車場が不足している状態です。
蒲田駅周辺では休日の乗り入れ台数の半数以上が放置している状態となっています。
休日の自転車等駐車場の利用率は約 50%で、その有効利用が課題となっています。
買い物目的用の駐車場は目的地の 50m 以内での整備が望ましいですが、現状の自転車等
駐車場ではニーズを完全にはカバーできていません。
(4) ルール・マナーの不徹底
自転車安全利用五則はおおよそ知られていますが、走行場所についての認知度が若干低い
傾向にあります。
自転車安全利用五則を知っていても、実際は主に歩道走行している人が 65%存在します。
歩行者が自転車に対して危険だと感じる項目は、「自転車利用者のマナー」が最も多く、
自転車を普段利用しない人の 65%は、「自転車の歩道走行」が危険だと感じています。
自転車利用者は「駐輪場不足」が放置の原因と感じているのに対し、自転車を利用しない
人は、「モラルが低い」ことが原因と感じています。
「放置自転車等による通行障害」が危険だとの指摘が多くあり、特に視覚障がい者誘導用
ブロック上の放置など、障がい者の方や高齢者の方にとって重大な問題であると考えられ
ます。