年jid賞ビエンナーレ 入賞作品jid.or.jp/images/awards/jid-award2014.pdfjid award biennial...
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2014
公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会 事務局〒163-1008 東京都新宿区西新宿 3-7-1 新宿パークタワー 8F Tel 03-5322-6560 Fax 03-5322-6559 HP http://www.jid.or.jp E-mail [email protected]
特別審査委員
JID 賞とは
2014年 JID 賞ビエンナーレ 全体講評
特別審査員
松原 亨(株式会社マガジンハウス「Casa BRUTUS」 編集長)
特別審査員
山田 節子(株式会社TWIN 代表、クリエイティブディレクター)
特別審査員
喜多 俊之(公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会 理事長)
2014年 JID 賞ビエンナーレ審査員
■入選作品
Haco : 木下 昌大(KINO architects)
三井住友銀行 夙川支店 : 西田 徹太郎、今井 充彦 (日建スペースデザイン)
大阪木材仲買会館 : 白波瀬 智幸、興津 俊宏 (株式会社 竹中工務店)
Dage | reversi : 橋口 新一郎 (橋口建築研究所)
12 / 12 stool : 富所 駿 (多摩美術大学 )
Vege-co(ベジコ): 2012年度デザイン総合プロジェクト(千葉大学)
JID 賞は、デザイナーや企業等の優れた活動成果を表彰して日本のインテリアデザインの質的向上を図り、豊かな社会と文化の発展に寄与することを目的としています。現代の多様なライフスタイルへの提案をはじめ、デザインによる地域への貢献、福祉や環境的視点を持つ取組み、若いデザイナーの意欲的な試みなどに対しても積極的な評価を行い、インテリアの重要性・デザインの力を社会に発信します。
JID AWARD BIENNIAL 2014年 JID 賞ビエンナーレ 入賞作品
安藤 清 (インテリアデザイナー、企画室A.N.D) 岩倉 榮利 (岩倉榮利造形開発研究所 代表取締役) 川上 玲子 (テキスタイルデザイナー&インテリアデザイナー) 近藤 康夫 (インテリアデザイナー) 清水 忠男 (製品・環境デザイナー、選考委員会委員長) 瀬戸 昇 (株式会社エーディーコアディバイス、クリエイティブディレクター) 長岡貞夫 (長岡貞夫デザイン事務所 所長) 米谷ひろし (TONERICO: INC.代表、多摩美術大学准教授)
松原 亨(株式会社マガジンハウス「Casa BRUTUS」 編集長)山田 節子(株式会社TWIN 代表、クリエイティブディレクター)喜多 俊之 (公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会 理事長)
ロイヤルパークホテル ザ 京都 : 黒柳 亮 (株式会社 竹中工務店)
JID賞ビエンナーレ2014は今年も多くの優秀な作品応募がありました。作品には、常に時代の背景が反映されていて、それぞれのアイディアが繊細なディティールで表現されていました。ごく普通の街の一角が、一つのコンセプトで総合的にまとめられたデザインによって一変してしまうという事例を示した「扇屋根旅館 扇屋カフェ」が大賞を受賞したのも今日的な背景があったからだと考えられます。また、「大阪木材仲買会館」という作品も伝統的な木材という素材を使っての空間で、近未来の方向を示す質の高い作品でした。
大賞を受賞した「扇屋旅館」はパブリックなレベルで、インテリアスペース賞の「シキリの形」はパーソナルに、空間デザインの良いアイデアが、人間の生活に欠かすことのできない重大事であることを示していると思う。質の高い暮らしには、質の高い空間が必要だ。そしてその「質」は金銭的な価値とは別の尺度であることもこの2作品は示していると思う。おめでとうございます。
自然も、人の心も、崩れそうな、“今”。先鋭性や斬新さでは無く<地域の再生><空間の再生><生業の再生>と云う課題に、身の丈に適った作品が選ばれ、爽やかな印象が残る審査会でした。とりわけ、大賞の「扇屋旅館・扇屋カフェ」は、地方都市の駅前に位置し、暖簾をくぐると、市井の広場も兼ねる舞台の如き中庭・宿・宴席・カフェ・オーナーの住居の設い。それが、健全に24時間稼働し、半年先まで宴席は予約満杯とのこと。多くの地域や人々に希望を送る力を感じ、拍手を送りたい。
(五十音潤)
JID AWARD BIENNIAL 2014
■大賞 Grand Prix 扇屋旅館 扇屋カフェ(新潟県村上市) 大坪 輝史(6D)/安原 幹、日野雅司、栃澤麻利(SALHAUS)/泉井 保盛(+I DESIGN)
■インテリアスペース部門賞 Interior Space Award 藤田歯科医院 川西 康之、栗田 祥弘、柳 辰太郎(nextstations)
塩野義製薬 医薬研究センター SPRC4 小梶 吉隆(株式会社 竹中工務店)
撮影:矢野 紀行
撮影:石田 篤 「シキリの形」 青木 律典(青木律典建築設計スタジオ)
■インテリアプロダクト部門賞 Interior Product Award ミニマルな光のリング 小梶 吉隆、塚本 直子(株式会社 竹中工務店)
Kamidana「むく」 水野 憲司(mizmiz design)
■学生部門賞 Student Award 無源のひとかけ 富所 駿(多摩美術大学)
審査講評:駅前ビルの一角、落ち着いた表情の暖簾をくぐると木の香りに包まれる。数多くの診察・治療ブースの存在がわかる開放的
な空間なのに、歯科医院につきものの音も聞こえない。合板の仕切
りや天井を柔らかに構成する幕面の波がリラックスさせてくれる。
神経の行き届いたデザインに感心させられると同時に、広い待ち合
い空間を活かしたイベント開催など、地域とのつながりを意識した
インテリアデザインであることも高く評価したい。
審査講評:金融街のシンボル的存在であった銀行の古典的大空間の保存・再生にあたって、照明計画が重要な鍵の一つとなった。従来
の白熱灯によるスポット照明の代わりに、大空間に対してのミニマ
ルなリングの中に LEDを組込む方式をとって照度向上をはかるとと
もに、天井へのアッパーライト機能や机上照度向上のための自動調
光システムの導入や地震時の振幅低減対策にも配慮して、古典空間
に負けない見事なインテリアプロダクトが生まれた。
審査講評:有効スペースを狭くしながらも、空間を潔く巧く使
う手法で広く感じさせるなど、
仕切り方次第で、空間内のそれ
ぞれの関係や距離感が、より生
かされるということを実感させ
るデザインである。シンプルな
ダイニング、機能的なキッチン、
ユニークなユーティリティー、
二人用のワークスペースなど、
細部にわたり考えられており、
ローコストでありながら大変良
く仕上げられており、今後のリ
ノベーションデザインの方向性
を感じさせる。
審査講評:古びた村上駅前にあるビジネス旅館にカフェを加え宴会場を含めてフォー
ムした空間。
次の時代につなぐという想いから “改修 ”
が選択され、重なる増改築により複雑に入
り組み老朽化も激しかった建物を再構成
し、中庭によって各要素をつないでいる。
全体のカラーリングを統一し、庭園風中庭
を通りに対して開放したこともあって、居
心地の良い空間がかもしだされている。
一気に現代風デザインに突進するのではな
く、適度なリノベーションにより、地域と
のつながりを活かすというやり方は、地方
に残る古いビジネス旅館のこれからの可能
性を示唆しているようだ。
JID 賞ビエンナーレ 2014 は、JID 賞の歴史上初めて、公式ウエブサイト上で公募と初期段階審査を行った。応募総数 122 点のうち、
条件をクリアしていた 108 点を審査対象とし、ウエブ上に登録された資料に基づき第1次審査を、また、その通過作品について現
地審査、現物審査を伴う第2次審査を行い、その通過作品についてさらに特別審査委員の参加を得た最終審査会にて審査した結果、
大賞 1点、インテリアスペースデザイン部門賞3点、インテリアプロダクトデザイン部門賞 2点、学生部門賞 1点、入選7点が
選出された。新設されたアイディア部門賞においては、残念ながら入賞・入選の該当作品がなかった。各段階の審査結果は、その
都度、公式ウエブサイトにて発表されている。
審査講評:数カ所に分散していた研究所を統合した施設で
ある。ダブルスキンで構成さ
れたファサードのルーバーモ
デュールの開口部から、内部
空間の回廊へ外光がふんだん
に入り込む。その中央に配置
されたガレリアにも天井から
光がふりそそぐぎ、打ち合わ
せや休憩の場を包み込む。機
能上は閉鎖的な施設でありな
がら、研究者達にとっては、
常にリフレッシュできる明る
い「KURASHI」の空間となっ
ているようだ。
審査講評:従来の神棚は残念ながら少しづつ姿を消しつつある。それは思想的な問題もあるだろうが、それ以上に、現代的な空間に対して
最適なスペースがないとかデザイン的に不釣り合いになってしまうと
感じられているからではないだろうか。この神棚では現代的解釈が詳
細なところまでバランス良く配慮されている。伝統を現代に繋ぐこと
は今日的な課題とも言えるが、こういった作品の力に今後も期待した
いと思う。
審査講評:久しぶりに学生らしい将来性を感じる作品に出会った気がした。未完成の感は免れないが構造とフォルムの研究を進めることに
より新鮮で美しいデザインが生まれる予感がする。第一次審査の段階
でどうしても実物を見たい作品であったが、やはり椅子としては強度
的に不安感があり、美しいフォルムを保つことが現段階では難しいが
研究の余地を含んだ感性溢れる、そして今後が期待される作品である
と言ってよいだろう。