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一般社団法人 日本機械工業連合会 発行 第3219号 2019年7月5日(金) 4日(金) CONTENTS 日機連の動き 1. 人工知能:国家競争戦略と職場の変貌 3. 議会が気候変動に関する超党派的解決策を模索する中、連邦環境規制の緩和を推し進める トランプ政権 <禁無断転載> 日機連ではホームページを開設しておりますのでご利用下さい。 URL:http://www.jmf.or.jp バックナンバーはこちらから 一般社団法人 日本機械工業連合会 〒105-0011 東京都港区芝公園 3 丁目 5 番 8 号 機械振興会館 03-3434-5381 2. 米商務省が中国をハイテクサプライチェーンから排除しようとしたことで一段と緊張の 度を増す米中貿易摩擦 お知らせ ・沖縄県 「2019 沖縄県企業誘致セミナー in 東京」開催のお知らせ ● 委員会報告 IoT・AI 時代のものづくり人材調査専門部会報告 新時代の製造業に求められる人材像とは・・・π型人材・チームから TAKUMI4.0 へ - 事業基盤研究委員会、専門部会平成 30 年度報告を聞く - ・「新価値創造展 2019(第 15 回 中小企業総合展 東京)の出展者募集」のお知らせ ● 調査結果報告 設備投資の更新が進む企業と進まない企業の二極化進行の可能性 - 日機連、生産設備保有期間実態調査の概要 -

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Page 1: JM F · ・ai時代のものづくり人材調査専門部会報告 π型人材・チームからtakumi4.0へ 事業基盤研究委員会、専門部会平成30 年度報告を聞く

一般社団法人 日本機械工業連合会 発行

第3219号 2019年7月5日(金)

4日(金)

CONTENTS

● 日機連の動き

1. 人工知能:国家競争戦略と職場の変貌

3. 議会が気候変動に関する超党派的解決策を模索する中、連邦環境規制の緩和を推し進める

トランプ政権

<禁無断転載>

日機連ではホームページを開設しておりますのでご利用下さい。

URL:http://www.jmf.or.jp

バックナンバーはこちらから

一般社団法人 日本機械工業連合会 〒105-0011 東京都港区芝公園 3丁目 5番 8号 機械振興会館 03-3434-5381

2. 米商務省が中国をハイテクサプライチェーンから排除しようとしたことで一段と緊張の

度を増す米中貿易摩擦

J M

● お知らせ

・沖縄県 「2019沖縄県企業誘致セミナー in 東京」開催のお知らせ

● 委員会報告

IoT・AI時代のものづくり人材調査専門部会報告

新時代の製造業に求められる人材像とは・・・π型人材・チームからTAKUMI4.0へ

- 事業基盤研究委員会、専門部会平成30年度報告を聞く -

・「新価値創造展2019(第15回 中小企業総合展 東京)の出展者募集」のお知らせ

● 調査結果報告

設備投資の更新が進む企業と進まない企業の二極化進行の可能性

- 日機連、生産設備保有期間実態調査の概要 -

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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日機連・事業基盤研究委員会(委員長・石戸利典 ㈱IHI エグゼクティブ・フェロー)では 6月 11日第 66回委

員会を開催し、当委員会の活動計画でもその情報共有を図ることを上げている「IoT・AI 時代のものづくり人材調査専門

部会」(部会長・北出真太郞 ㈱IHI 産業システム・汎用機械事業領域 事業戦略推進部部長)で取りまとめた平

成 30年度研究成果である同報告書の調査概要について、調査委託先である日鉄総研㈱ 経済産業調査部 客員研

究主幹の山藤康夫氏から「ものづくり人材のデジタル化対応の検討」~π型の拡張(π型人材からチーム、組織へ)と

TAKUMI4.0~と題し報告書の概要を聞き、懇談した。なお、同専門部会は3年計画で調査研究を行う予定で、今回が

2年度目の報告となる。

なお、報告書の詳細は弊会ホームページ http://www.jmf.or.jp/houkokusho/2046/3.html をご参照下さい。(文

責・日機連)

[山藤氏講演要旨]

1.はじめに

本調査研究並びに本専門部会の目的は、1.デジタル技術の潮流など産業界を取り巻く環境や世界の動向の変化を

探りながら、2.ものづくり人材のデジタル化対応のあり方について検討を行っていくことである。この専門部会の名称にも

取り上げられている。

「AI・IoT」の導入とは、まさに現代技術革新の代表とも言えるもので、これらのテクノロジーを上げてみると、これらに共

通するものはデジタル技術に使われているということで、専門部会ではこれを個別に捉えるのではなく、総体としてのデ

ジタル技術として取り上げている。IoT や AI に代表される最新テクノロジーのキーワードの例を挙げれば BD(ビッグデー

タ)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(混合現実)、AM(積層造形技術、3D プリンティング)、ロボティクス、ドローン、

ウェアラブルデバイス等々ある。例えば AM(Additive Manufacturing=積層造形技術)は大変な進歩を遂げていて、5~

6年前に機械工学会の先生方にインタビューで話を聞いた時は AM についてはそれほど高く評価していなかった。今現

在は多くの製造ラインで使われており、それほどデジタル関連技術の変化・進歩は激しいと言える。

2.製造業の競争環境の劇的変化:製造業のパラダイムシフト

製造業の競争環境の劇的変化とは何かであるが、これを端的に示す事例が、GE 社と IBM 社の場合で、IBM 社は事

務機械・事務処理機械から大型コンピューター、そしてソフトウェア会社になっていった。一方、GE社は重工業会社であ

るが、もともと GE社と IBM社は業種も全く違うし、出会うこともなく競争先でもなかったはずである。それが 2008年、IBM

社は「Smarter Planet イニシアチブ」を発表した。これは GE 社のような大型機械メーカが機械を売った先を探してその

大型機械装置にセンサーや通信装置をつけて、送られて来るデータを得意のコンピューターで解析して、メンテナンス

サービスをしようというものである。GE 社はこれに驚愕、他社が販売した機械設備を利用して自社のコンピューターを繋

IoT・AI時代のものづくり人材調査専門部会報告

新時代の製造業に求められる人材像とは・・・π型人材・チームから TAKUMI4.0へ

- 事業基盤研究委員会、専門部会平成 30年度報告を聞く -

● 委員会報告

山藤康夫氏 会場風景

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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げ、繋げた当事者の IBM社は収益を得られるが、機械設備を売った自社は見ているだけである。GE社は自社でも繋げ

て自前のサービスを提供し、他社に稼がせる必要はないと決断。GE 社のトップはこれからはデジタライゼーションだとし、

自社の販売先にシステム技術者、デジタル技術者を派遣し、その専門の会社も作り対応に当たらせ、デジタル転換、い

わゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)を始めた。そのときの謳い文句が「インダストリアル・インターネット」で、IIC と

いうコンソーシアムを立ち上げて行った。そして、「製造ラインのデジタル化」→「ものづくりをデジタルサービスに転換」、こ

のデジタルサービスに転換された Predix という技術を「転換技術ノウハウをサービスとして外販」して成功して行った。

もう一つの事例として、1990 年代後半アマゾンが急成長を遂げたが、書籍販売の分野で米国最大書店のバーンズ

&ノーブル社がアマゾンの書籍販売に対抗して電子商取引に挑戦したが、全く太刀打ちできなかった。その理由は、従

来型産業は完成品やサービスを作ってから売るスタイルで、顧客環境変化対応力、自己変革力、組織根幹の変革な

どの組織風土・文化の変革が不足していたことである。これに対し、アマゾンなどのいわゆるデジタルネイティブ企業は

デジタルの利活用に長け、顧客や環境に応じての変化を前提に、1)重要な機能要素から開発、2)重要機能を持った

製品・サービスを市場投入、3)市場評価を基に製品・サービスの修正・機能追加のループを高速反復させる、製造業

のカイゼンを価値創造プロセス全体に展開した=ソフトウェア開発のアジャイルという手法を開発し、従来型からDXに進

み、破壊的イノベーションを実行して行った。

これらの事例のように、今や世界が取り組むデジタル化・DX で、製造業に求められる DX とは何かと問われれば、一

言で言えば「スピードが勝負」につきる。まさにこれが製造業のパラダイムシフトの重要な革新であると言える。

製造業のパラダイムシフトが進むと何が問題かは、このようにデジタル(企業)とアナログ(企業)ではその変革、進化

のスピード格差が桁違いで、海外のデジタル化が進めば進むほど、内外スピード格差は拡大の傾向にあり、企業にとっ

て現代のデジタル化の波に乗れるか否かが勝負の鍵となる、これらの製造業を取り巻く環境変化(トレンド)は主にデジ

タル化に起因していると言えよう。

3.製造業のパラダイムシフトへの対応~新時代の製造業に求められる人材像~

製造業のパラダイムシフトが進む中で、それではどういう人材像が求められるのか ということで、昨年度(平成 29 年

度)はπ型チームともう一つ人材ピラミッドの議論を行った。

今年度(平成 30年度)は更に議論を深めて行くということで、結論から先に言うと、いきなりπ型人材(二つの専門分

野=ものづくり技術とπ系デジタル)は難しいだろうから、まずデジタルとものづくりの人を集めたチームすなわちπ型チー

ムを作り、うまくいったら、社内のあちこちに作っていく。そうするとある組織の中にこういうチームが沢山出来てきて組織

全体としてπ型になってくる、これがπ型の拡張ということである。次に TAKUMI4.0であるが、組織の中にπ型チームが

どんどん出来て、それが成長していくと、デジタルもものづくりも両方とも専門家になるという姿が描ける訳で、その最終

形として TAKUMI4.0 といったものを考えている。しかし、π型人材は実際には難しいだろうという議論が部会の中でもあ

ったが、今難しいからと言ってあきらめていると将来も難しい。確かにπ型人材に向いている人いない人があるが、それ

をイメージしやすい言葉としてメカトロニクスがある。これは第 3次産業革命の頃、機械工学と LSIやマイクロコンピュータ

ーなどと結合した「機電一体化技術」として唱えられ、現在それに情報化技術が入ってきている。それをπ型と言おうと

いうことである。

次に問題となるのがπ型チームのリーダであるが、リーダーに相応しい資質は、

・異種の人材を束ねて意思疎通を図り、ミッションを達成できるチームを機能

・ものづくりとデジタル両技術の「咀嚼・解釈・翻訳」が出来る

・両分野に支えられて初めて可能になるビジネスやプロセスに関する新しいアイデアの実践に挑戦

・異分野間・異専門間のトランスレーター、ハブ型人材、イノベーション人材

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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・従来型の全体統制型のコントロール重視型の管理体制からの脱皮

・新しい組織風土・文化の醸成が必要に(DXが必要)

〇人材ピラミッドと拡張π型~階層別役割の検討

次に新時代に求められる人材像として、部会

では拡張π型という考え方を導入した。π型を

個々の人材からチームへ(図1の中央)、さらに

チームを集めた組織へ(図1の右側)と“拡張”

していく考え方である。

さらに拡張π型について、従来型のヒエラル

キー(人材ピラミッド)を前提とした組織形態から

検討すると(図2参照)、人材層を経営層・マネ

ージャー層・スタッフ層・作業者層の 4 つに区

分した。経営層の役割はDXの受容・活用方針

採択や DX 対応の組織作りという役割があり、

特に CDO はデジタル化の司令塔として変革を

主導する。

マネージャー層は、DX のための前提条件の

整備、デジタル化の企画立案、標準化、課題

の明確化の役割。スタッフ層(技術者層を含む)

は、DX の実際のリーダーとして DX の導入と運

用管理を担当。

作業者層(オペレーター層、ワーカー層、技

能者層、事務職を含む)は、DX の現場におけ

る管理を担当する。AI導入後の改善活動やAI

の教師データ等の入力作業などを行う。

○ものづくり人材から TAKUMI4.0 へ

図3.はものづくり人材からTAKUMI4.0へ

至る過程を表したもので、図中の1.2.の

ものづくり人材、デジタル専門人材を集め、

3のπ型チームを作る。これにさらに社内

の同様な他チームを加え増殖させπ型組

織として、ものづくり技術とデジタル技術に

通暁した人材が形成される。こうした精進

を重ね、修練を積んでいく最終形が狭義の

TAKUMI4.0である。(図3,図中の1 .から5.

に至る矢印)

一方、「匠」と呼ばれるようなものづくりに

図1“π型”概念の拡張~個人⇒チーム⇒組織

図3 ものづくり人材から TAKUMI4.0 へ

図2 人材ピラミッドと拡π型~層別役割

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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精通した人材が、π型チームに協力するケースが広議のTAKUMI4.0である。その役割は3つある。(図3 ,図中の

左下部分の小さな矢印) 1つは匠の技のデジタル化への協力、2つ目は匠の技の継承と技の深化、デジタル技

術使いこなしの技の継承支援、3つ目は新しい匠の技の追求。デジタル化後の高度な技術環境下で新しい匠の

技を磨き、その技を継承する役割である。

〇新時代の製造業に求められる人材像

π型を目指す中で人は成長~その最終形が TAKUMI4.0~

機械工業を取り巻く環境の激変により、現場では長年鍛えてきたカンやコツなどの個人に依存する運営では

対処が難しくなってきている。

π型の拡張と深化とともに人は成長する。π型でも精進や修練・鍛錬によって人は成長し、ものづくり技術も

デジタル技術も自在に使いこなせる新しい TAKUMI4.0 が生まれる。同 4.0 は、狭義にはπ型を目指す最終形

として位置づけられる。(図 4)

一方、匠のある部分は継承さ

れ、継承者を生むとともにデジタ

ル環境下でも新しい匠を生むこ

とが期待される。これは広義の

TAKUMI4.0 が担う。生産でも開

発設計でも技術技能の進歩や

発想は人の役割で、人が成長

してこそ企業も成長できる。

このような環境の変化は、機

械工業にデジタル技術の利活

用と高度化の必要性を浮き彫

りにした。そのため、デジタル技

術の専門家の発掘・選定、協

業、共創が避けて通れない。

DT技術、CPSの構築・運用・改

善など、いずれもこれから習得して自在に使いこなせるようになる必要がある。その目指すべき姿が

TAKUMI4.0 である。

(なお、TAKUMI4.0 については本稿末尾の〈参考〉をご覧下さい。)

4.ものづくりデジタル人材確保・育成上の課題

製造業における現場重視は不変であるものの、そのデジタル化は課題山積状態である。

TAKUMI4.0における人の役割・課題からみた「乗り越えるべき課題」を整理すると次のように考えられる。

①業務課題の明確化とデジタルツールの選定、自前主義からの脱却。②デジタル思考に対する理解と受容、実践。

③デジタルツールの活用力。④イノベーション、効率改善、生産性向上の実現、ツール改善への参画。⑤匠の技の

ような技術技能の継承・育成。

そのほか専門部会で議論された「壁」は教育関係、企業経営関係、政策関係の 3 つ。まず教育関係では、①実学

図4 DX によって進化する~匠の技から

TAKUMI4.0 へ

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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カリキュラムの見直しといった実学的教育。②課題抽出力などの工学部教育の問題。③文系のデジタルリテラシー

など文理の問題。④これからの時代に合わせた初等中等教育の問題。⑤AI 活用を見据えたシステム思考の問

題。

また、企業経営関係では、①教育研修優先の必要性。②試行錯誤風土醸成や脱成果主義への転換。③AI/IT

導入理解促進に資する経営指標の必要性。④オープンイノベーション時代にふさわしい組織の在り方。

政策関係では、「規制のより柔軟な運用を」、などが指摘された。

〈参考〉TAKUMI X と産業革命の照応

[業務部]

我が国製造業の国内生産設備(工作機械、機械プレスや産業用ロボット等)については、新規設備の導入も進むな

か、一方で古い設備の保有期間が長期化しているとの指摘もある。そこで、経済産業省により 2013 年に「生産設備保

有期間等に関するアンケート調査」が実施され、国内の設備年齢の高さが明らかとなり、その調査結果が「生産性向上

設備投資促進税制」や経済産業省のいわゆる「ものづくり補助金」などの設備投資を促進する施策に繋がった。その後、

国内設備投資は堅調な推移がみられるが、一方、この5年間で急速にデジタル化が進み、製造業の現場では更なる

変革が求められている。

そこで、これまでの各種政策の効果と設備の現状を把握し、関係各所への情報提供を行うとともに、今後の適切な

施策に繋がる要望を行うため、日機連では、経済産業省と密接に連携し、日本工作機械工業会の支援、日本商工会

議所の協力も得て、日機連および会員団体の会員企業、日本商工会議所の会員を対象に、生産設備保有期間実態

調査を実施した(調査期間は 2018年 12月 4日(火)~2019年 2月 8日(金))。

設備投資の更新が進む企業と進まない企業の二極化進行の可能性

- 日機連、生産設備保有期間実態調査の概要 -

● 調査結果報告

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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内容は、生産設備保有期間実態調査~結果概要~(調査要領、調査要旨、集計結果)を参照。

今回の調査結果では、導入後「5 年未満」の設備は 20.2%と 2 割を超え、前回調査より改善したものの、「10 年以

上」経過した設備も 62.4%と前回調査より増加した。一定の設備更新は進んだものの依然として老朽化した設備も多

い。設備投資の更新が進む企業と、進まない企業との二極化が進行している可能性も考えられる。

我が国製造業の生産性向上、競争力強化のためには最新設備の導入など設備投資が必要であり、新たな設備投

資促進税制の創設など政策支援が必要と思われる。

生産設備保有期間実態調査~結果概要~

〔総務部〕

○ 会合予定

開催日時 会 合 名 場 所

7月 8日(月) 13:30 第 99回 ISO/TC199部会 機械振興会館

8日(月) 14:00 第 63回技術開発研究委員会 茨城県つくば市

9日(火) 12:00 第 83回税制金融政策特別委員会 機械振興会館

10日(水) 10:00 第 452回総務連絡会 機械振興会館

10日(水) 15:00 2019 年度第 1 回関西地域製造業振興のための働き方改革の現状

に関する調査専門部会(大阪事務所)

UMEDAI9階

10日(水) 15:30 会員講演会「デジタル化と日本の機械産業」 機械振興会館

11日(木) 10:00 機械工業生産額見通し調査検討会(団体) 機械振興会館

11日(木) 11:45 機械工業生産額見通し調査説明会(企業) 日機連会議室

11日(木) 15:30 第 51回社員満足向上懇話会・懇親会(大阪事務所) UMEDAI9階

12日(金) 15:00 「ロボット大賞」第 1回審査・運営委員会 機械振興会館

18日(木) 12:00 第 534回参与会 機械振興会館

22日(月) 13:30 第 2 回情報通信技術(ICT) 等を利用した生産システムにおける人の

安全確保を実現するための調査研究部会

ステーション

コンファレンス東京

22日(月) 15:30 第 71回(2019年度第 2回)関西事業活力研究委員会・懇親会(大

阪事務所)

ホテル阪急

インターナショナル

25日(木) 12:50 第 676回総務懇話会・見学会(大阪事務所) 大阪市

26日(金) 12:00 第 84回税制金融政策特別委員会 機械振興会館

日機連の動き

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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ワシントン DC郊外のバージニア北部を中心に広く展開する病院ネットワークであるイノヴァ・ヘルス・システムズのスタ

ートアップ投資の動きが注目を集めています。病院とスタートアップと聞くと、一見全くつながりがないように思われます

が、イノヴァは 2017 年の夏に個別化医療のイノベーションを推進するためのアクセレレータを設置し、有望な技術やア

イディアを持つヘルスケア関連のスタートアップを特定し、資金援助、メンタリング、研究・実証環境の提供といった支援

を行っています。イノヴァは先日、同アクセレレータを通じ、AI を使った医療診断ツールを開発するアイルランドの企業

Deciphex Ltd.に 25万ドル(約2,500万円)の投資を決めたことを発表しました。イノヴァは、同社の持つ技術を取り入れ

ることで診断の効率アップや医療スタッフの負担減を狙っており、企業側もまた、イノヴァとパートナーシップを組むことで

大量の患者データにアクセスでき、AI ソフトウェアの精度を更に向上させることができるとしています。イノヴァは今年 3

月にも、妊娠から出産、産後期までの医師と母親のコミュニケーション支援とリアルタイムモニタリングを組み合わせた

マタニティ支援アプリを開発する企業に 50万ドル(約 5,000万円)の投資を発表しており、アクセレレータを通じたイノベ

ーション支援を加速させています。国立衛生研究所(NIH)を中心に多くの優れたヘルスケア企業やスタートアップが集

まるワシントンDC地域では、この例のように、医療機関や大学・研究機関などとも連携しながら、新技術の開発、展開に

取り組む企業が数多く存在します。

1.人工知能:国家競争戦略と職場の変貌

本日ホワイトハウスは、オバマ政権の 2016 年版国家人工知能研究開発戦略を改正した最新版を発表した。これは、

全米科学財団(NSF)や国立衛生研究所(NIH)、軍などの連邦組織を対象として数十億ドル規模の資金投入を目指す

計画である。AI については、中国を始めとする 30 カ国が十分な資金による国家的なプロジェクトを立ち上げてきた中に

あって、これまでトランプ政権は、包括的戦略の欠如から後れを取っているとの批判を受けてきた。

今回発表された新戦略は 2016 年版に類似しているが、国内の産学官連携に加え海外との連携も重要視している

点が異なる。新戦略では、国防高等研究事業局(DARPA)の AIネクスト・キャンペーンを取り上げているが、これは軍の

バックエンド業務を自動化し、AI システムの効率向上及びセキュリティ強化を図り、また結論に至る過程を可視化する

ことができる「説明可能」なAIアルゴリズムの開発を目指している。生物医学へのAIの応用を中心とする研究協力体制

の確立を目指す NIH の取組についても言及している。AI 関連の計画にトランプ政権がどの程度の予算を投入するかは

最新の AI技術を取り入れた診断は医療の効率アップにつながるでしょうか(画像はイメージです)

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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不透明ながら、連邦議会ではAI関連で22億ドル規模の予算措置を講じるための法案や、警察による顔認証技術の使

用を禁止する法案の準備を進めている。

また民間企業でも、ユニークな方法による AI の利用や AI に備える対策が進められている。ボストンの AI 企業コギト

は、労働者の働きぶりを監視し、管理職者の責任の一部を引き受けるアプリケーションを開発し提供している。その他に

も、小売業界を対象に社員の実績を監視するためのセンサーや AI アルゴリズムを提供しているパーコレートといった企

業もある。AI 技術は人間が持つバイアスを管理業務から排除する上で役立ち、また管理職者がより高度な仕事に集中

できるようにするものだとする支持の声がある一方で、批判派は、透明性を欠いたコンピュータプログラムによる社員の

監視や判定は本質的に非倫理的な行為だと主張している。そうした中アクセンチュアは、ビジネスプロセスの多くがAIに

よって自動化される世界に対応するため社員に準備をさせる取組を進めている。アクセンチュアは、自動化が進む調

達や取引処理、コールセンター業務などの事業サービスで急成長を経験したことがあり、社員を解雇するのではなく、よ

り高価値の新サービスを提供できるよう再教育することに力を入れている。

(ベンチャービート、2019年 6月 20日)

(ワシントン・ビジネス・ジャーナル、2019年 6月 24日)

(ウォールストリート・ジャーナル、2019年 6月 23日)

2.米商務省が中国をハイテクサプライチェーンから排除しようとしたことで一段と緊張の度を増す

米中貿易摩擦

米中間の緊張状態は、数多くの産業界で取引パターンやサプライチェーンの変化を引き起こしているが、そうした状

況の中でトランプ政権は新たにスーパーコンピュータや 5G対応通信機器といったハイテク産業に目を向けつつある。

中国との貿易摩擦が続く中、米国商務省は国家安全保障および外交政策上の利益に対する脅威であるとして、中

国のスーパーコンピュータ研究開発にとって極めて重要な複数の中国企業を「エンティティリスト」に追加した。ファーウ

ェイに課した制裁同様、今回の措置も中国のスーパーコンピュータ関連企業に対し、米国で生産された部品の調達を

規制するものである。現在、中国におけるスーパーコンピュータの研究開発は、高度な処理能力を持つ米国製チップに

大きく依存している。

今回の措置の対象には、中国人民解放軍が保有する高度スーパーコンピュータ研究センターである無錫江南計算

技術研究所(Wuxi Jiangnan Institute of Computing Technology)が含まれている。また、軍の核兵器シミュレーション

試験や超音速機のシミュレーションを支援している中科曙光(Sugon)もリストに加えられた。その他、エンティティリストに

追加されたのは成都海光集成電路(Chengdu Haiguang Integrated Circuit)、和成都海光微電子技術(Chengdu

Haiguang Microelectronics Technology)、海光(Higon)である。長期的には必要な部品を自力で開発する能力を持つ

中国ではあるが、商務省の措置によって、短期的な生産力低下は避けられないという見方が広がっている。こうした状

況が続けば、インテルやエヌビディアといった半導体メーカーの業績にも影響が及ぶことは必至であり、中でも曙光

(Sugon)と共同事業を展開している AMDは大きな影響を受けるだろう。アナリストの間では、今回の措置の動機が国家

安全保障であるのか、それとも貿易交渉の切り札として発動されたのかを巡って疑問が広がっている。

中国政府がセキュリティ上の脆弱性がある機器を利用して米国でのスパイ活動を行う恐れがあるとして、トランプ政

権は既に、5G 対応機器の中国国外での生産を義務付けることを検討し始めている。この動きは、フィンランドのノキア

やスウェーデンのエリクソンといった携帯電話機器の世界的メーカーにとっては、米国市場への製品供給を続けるため

には、それぞれ生産能力の 10%と 40%を依存している中国の外に生産拠点を移すことを強いられることを意味する。

中国国外では技能を有する優秀な労働力やインフラの不足に見舞われる可能性があるものの、これらの企業はサプラ

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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イチェーンを中国国外に移す準備を始めている。先頃、米国の政府部内でどの部品を対象とするかについて協議が行

われたが、アナログ方式の非インテリジェント部品であれば中国での生産を続けられる可能性がある。

(ウォールストリート・ジャーナル、2019年 6月 23日)

(ワシントン・ポスト、2019年 6月 21日)

3.議会が気候変動に関する超党派的解決策を模索する中、連邦環境規制の緩和を推し進める

トランプ政権

連邦レベルでの環境規制及び研究に対する重点政策の取り止めという最近の動きの中で、トランプ政権は、石炭採

掘やガスパイプライン、石油掘削といった事業に関して、政府機関による長期的気候評価の実施義務を緩和した。新

たな方針では、評価の実施時期などの要件が緩和され、また気候への影響の長期的推測実施の基準も引き下げられ

た。トランプ政権とその支持者達が、この方針は大規模プロジェクトの許認可の迅速化を促すと主張する一方で、プロジ

ェクトの環境レビュー実施に関する基本的な法定要件は何ら変化するものではないという批判的な声もある。これまで

にも、トランプ政権は政府機関が「気候問題を適切に考慮することを怠った」ために、複数の訴訟で敗訴している。

トランプ政権は、石炭火力発電所の排出量削減に関する要件を大幅に緩和したが、これは気候変動規制を緩和す

るために行われた中で最も重大な意味を持つ措置である。新しい規則では、州は排出量削減に関係する所定の目標

を達成しなければならないという要件が撤廃され、州政府は自州のエネルギー生成ミックスの決定で大きな自由を得

ることになった。既存の石炭火力発電所は長期にわたって、より頻繁に操業されるようになる可能性があることから、反

対派は、この規則によって実際には石炭火力発電所からの排出量が大幅に増加するとの懸念を示している。環境保

護団体とカリフォルニアおよびニューヨーク両州の検事総長は、この規則に関し、法廷で争うことを表明した。

環境保護庁(EPA)の元職員達やカリフォルニア大気資源委員会(CARB)も、新車を対象とする公害規制の緩和プ

ロセスから主要な専門家達を排除したとして、トランプ政権を批判している。彼らによれば、EPA の専門家達が規則改

正のプロセスから締め出された結果、米国道路交通安全局(NHTSA)は新車の燃費基準及び汚染基準を大幅に引き

下げることができたとのことである。CARB も、自動車燃費に対する独自の、より厳しい基準を維持するためトランプ政権

と対立している。連邦政府基準よりも厳しい規制を導入するため、カリフォルニア州は連邦政府に権利放棄を求めてい

るが、トランプ政権は応じないことを表明している。

また連邦議会では、民主党と共和党が超党派的なクライメ―ト・ソリューションズ・コーカスを通じて気候変動問題に

共同で取り組む新たな試みを進めている。先日までコーカスの会合への出席者は少なかったが、議会共和党が出席

するようになり、現実的で超党派的な解決策を探ることに取り組むことを明らかにした。フロリダ州選出の共和党フランシ

ス・ルーニー下院議員は、共和党内で問題視されていた排出二酸化炭素への課税を支持することを明らかにした。両

党が協力する可能性がある、対立点が少ない問題としては、海面上昇に対する軍事基地の回復力が挙げられるだろ

う。

(ワシントン・ポスト、2019年 6月 19日)

(ワシントン・ポスト、2019年 6月 21日)

(ワシントン・ポスト、2019年 6月 24日)

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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○ 沖縄県「2019 沖縄県企業誘致セミナー in 東京」開催のお知らせ

沖縄県より当会宛に「沖縄県企業誘致セミナー in 東京」の周知依頼がありましたので、お知らせいたし

ます。

東アジアの中心に位置する沖縄県では、地理的優位性を生かし、24 時間運用可能な那覇空港を「沖縄国

際物流ハブ」として、国内外 13 都市との間に高速物流ネットワークを展開しています。また、沖縄振興

特別措置法に基づく特区・地域制度、物流コスト助成など充実したバックアップ体制があります。

これにより、著しく成長するアジア諸国の巨大マーケットの取り込みを可能とする新たな「ビジネス拠

点」として注目されています。本セミナーでは、新たな事業展開の候補地として沖縄県の魅力ある立地環

境をご紹介します。

●日時:2019 年 7 月 19 日(金) 15:00~17:10 (14:30 開場)

●場所:ロイヤルパークホテル(東京メトロ水天宮駅直結)

https://www.rph.co.jp/access/index.html

●料金: 無料(事前申込) http://business-tokku.okinawa/

●内容: 全体セミナー、立地企業代表者等によるパネルディスカッション

なお、セミナー終了後、約 1 時間の交流会を実施致します。こちらも併せてご参加下さい。

本セミナーでは、経済特区による税制優遇措置、各種支援策の他、アジア市場展開のビジネスモデル

等もご紹介致します。

セミナーのご案内

申込用紙

○ 「新価値創造展 2019(第 15回 中小企業総合展 東京)の出展者募集」のお知らせ

この度、「新価値創造展 2019(第 15 回 中小企業総合展 東京)の出展者募集の広報依頼がありましたので、お

知らせいたします。

新価値創造展 2019(第 15回 中小企業総合展 東京)の出展者を募集します。

会 期 : 2019年 11月 27日(水)~29日(金)

会 場 : 東京ビッグサイト 南1・2ホール

主 催 : 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

お 知 ら せ

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日機連週報第 3219号(2019年 7月 5 日)

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【出展料】 ・標準小間:110,000円(9㎡タイプ・3日間) ・ミニ小間 77,000 円(5.4㎡タイプ・3日間)

>>>出展申込はこちら https://shinkachi-portal.smrj.go.jp/event/shinkachi2019/

◆どんな展示会?

新しいアイデアや技術を求める大企業・中堅企業等の研究開発、事業企画、マーケティング部門をはじめ、新製

品やサービスの取り扱いを目指す企業等との連携構築、共創、ビジネスマッチングを目指す展示会です。

◆出展対象分野は?

・産業・技術(生産技術、新素材、IoT、ロボット) ・健康・福祉(健康、予防、医療、介護)

・環境・社会(環境、防災、社会・地域課題)

◆新価値創造展の魅力は? (前年度の実績)

○ 来場者数 35,653人! ○ サンプルやカタログ、関係資料の提出があった出展者 90.3%!

○ 大手企業・中堅企業の研究開発、事業企画・マーケティング部門等の来場者数の割合は約 5割弱!

◆出展効果を高めるサービス&ツールは?

○ 出展製品PR動画 : 新価値創造展2019の出展ブースにて撮影を行い、出展製品PR動画を作成します。

○ 出展者プレゼンテーション : 専用ステージにてプレゼンテーションの機会をご提供します。

○ マッチングサポート : 会場内にマッチングコンシェルジュを配置し、来場者と出展者のマッチングをサポート

します。

○ 新価値創造 NAVI(ウェブ展示会) :「新価値創造展 2019」に応募すると、「新価値創造 NAVI(ウェブ展示会)」

への出展応募も同時に完了します。

■出展者募集中! (締切:7月 19日(金)) https://shinkachi-portal.smrj.go.jp/event/shinkachi2019/

ご不明な点がございましたら事務局まで何なりとお問合せ下さい。

<お問合せ先> 新価値創造展事務局 TEL:03-5657-0848 E-mail: [email protected]