kib プレスリリース191017 最新¢¨光舎.pdf · 2020. 6. 11. ·...

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住戸A カフェ EV EV EV EV 住戸B 住戸C 住戸E 住戸F 住戸G 住戸H 住戸i 住戸j 住戸K(LDK) 寝室 住戸L 住戸M 住戸D N 1F plan Scale1:300 2F plan 3F plan 4F plan 木場の集合住宅 東京都江東区木場、木場駅からほど近い運河に面した小規模な集合住宅。最上階にオー ナー住戸、その下に賃貸住宅、1階に小さなカフェが入る。周辺の自然のエネルギーを最 大限活かした環境共生型の集合住宅が求められた。 光がつくる形: 幹線道路からほど近い立地のため、近年、周辺建物の高層化が進み、日 照環境が悪い。敷地の形状から自動的に東西採光にならざるをえない立地の中で、最大 限冬の日射を獲得しながら、夏の日射を最小にするような形状を模索した。 風がつくる形: 敷地には明快な卓越風が吹いており、夏は南風を最大限取り入れ、冬は 北風から防御することを同時に考え、CFDによる解析の元、風の通り道を作り出すような 有機的な平面計画としている。 光と風の2つのパラメーターを最適化するよう、アルゴリズムを用いたプロセスで検討し 、2916ものパターンの中から、最適解を出していき、結果、高層ビルの間から太陽が現れ るわずかな方角に、開口部が向き、建物の立面がねじれるような形態を得た。 この太陽の方に向かった建物の開口部には、ベンチやデスク等の家具が一体化すること で、暖かいエネルギーが作り出す陽だまりとともに、読書したり、くつろいだり、するような 住まい手のアクティビティが一体となった風景を獲得している。 ■陽だまりとアクティビティ 所在地 敷地面積 建築面積 延床面積 構造/規模 建築設計 東京都江東区 205.74m 2 163.28m 2 577.35m 2 RC造・4階建 末光弘和+末光陽子/SUEP. 環境 構造設計 設備設計 事業企画 施工 設計期間 工事期間 DE.LAB 坪井宏嗣構造設計事務所 RISE設計室 株式会社プリズミック 株式会社青木工務店 2015年7月~2016年4月 2016年5月~2017年2月 陽だまり ソファ デスク 本棚 ベンチ 飾り棚 テラス

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Page 1: KIB プレスリリース191017 最新¢¨光舎.pdf · 2020. 6. 11. · 末光弘和+末光陽子/suep. 環境 構造設計 設備設計 事業企画 施工 設計期間 工事期間

住戸A

カフェ

EV

EV

EV

EV

住戸B

住戸C住戸E

住戸F

住戸G

住戸H

住戸i

住戸j

住戸K(LDK)

寝室

住戸L

住戸M

住戸D

N

1F plan Scale1:300

2F plan

3F plan

4F plan

木場の集合住宅東京都江東区木場、木場駅からほど近い運河に面した小規模な集合住宅。最上階にオーナー住戸、その下に賃貸住宅、1階に小さなカフェが入る。周辺の自然のエネルギーを最大限活かした環境共生型の集合住宅が求められた。

光がつくる形: 幹線道路からほど近い立地のため、近年、周辺建物の高層化が進み、日照環境が悪い。敷地の形状から自動的に東西採光にならざるをえない立地の中で、最大限冬の日射を獲得しながら、夏の日射を最小にするような形状を模索した。

風がつくる形: 敷地には明快な卓越風が吹いており、夏は南風を最大限取り入れ、冬は北風から防御することを同時に考え、CFDによる解析の元、風の通り道を作り出すような有機的な平面計画としている。

光と風の2つのパラメーターを最適化するよう、アルゴリズムを用いたプロセスで検討し、2916ものパターンの中から、最適解を出していき、結果、高層ビルの間から太陽が現れるわずかな方角に、開口部が向き、建物の立面がねじれるような形態を得た。

この太陽の方に向かった建物の開口部には、ベンチやデスク等の家具が一体化することで、暖かいエネルギーが作り出す陽だまりとともに、読書したり、くつろいだり、するような住まい手のアクティビティが一体となった風景を獲得している。

■陽だまりとアクティビティ

所在地敷地面積建築面積延床面積構造/規模建築設計

東京都江東区205.74m2163.28m2577.35m2RC造・4階建末光弘和+末光陽子/SUEP.

環境構造設計設備設計事業企画 施工設計期間工事期間

DE.LAB坪井宏嗣構造設計事務所RISE設計室株式会社プリズミック株式会社青木工務店2015年7月~2016年4月2016年5月~2017年2月

陽だまり

ソファ

デスク本棚

ベンチ

飾り棚

テラス

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住戸内観

東側外観

東側外観

階段

住戸内観

玄関

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広域 CG

ダイアグラム

10.0

10.5

11.0

11.5

12.0

62.0 62.5 63.0 63.5 64.0 64.5 65.0 65.5 66.0 66.5 67.0 67.5 68.0 68.5 69.0 69.5 70.0 70.5 71.0 71.5 72.0 72.5 73.0

量得

取射

日期

冬]h

Wk[

夏期日射取得量[kWh]

■夏季の通風による快適域を最大化■冬至の日射取得量を最大化

フラットなバルコニー形状合計日射量27.58kWh(0.3087kWh/㎡)

提案のバルコニー形状合計日射量44.82kWh(0.5017kWh/㎡)

都市の建て込んだ環境の中でいかに採光・通風をとるのか?

都市のビルの建て込んだ環境の中で、年々日照環境が悪化しており、東面に日照が当たるのは11 時から12 時のたった1 時間に限られる。冬季に、その日射を最大限受けられるような建物形状、夏季に南からの卓越風を最大限受けられる建物形状を模索した。

■アルゴリズムを用いた開口形状の最適化日射取得量の最適化のための設計プロセスとして、グラスホッパーによる解析が用いられた。幾つかのパラメーターを設定し、全部で2916パターンの中から、3つの評価軸(夏重視・夏冬バランス・冬重視)を用いて、最終形状が段階的に選択されている。最終形状は、冬季の日射量を62.5%増やしながら、夏季の日射取得量は少し減らすという冬季重視型が選択された。これは、絶対日射量が少ない敷地条件から判断された最良の形状だと考えている。

フラットな状態と進化後の最終形状の比較。バルコニーとガラス面が、日照のある時刻の太陽の方を向くことによって、冬季の日射取得量を最大化している。夏季の日射取得量はほぼ同等となっている。

62.5%増加

(17.24kWh)

冬重視夏重視夏冬バランス

2916パターン

20パターン

20パターン

3パターン→

採用モデル

夏季の南から来る卓越風が室内に循環し、平面上で快適域(0.4-1.0m/s)が最大化するように、風を迎えにいくような平面形状に進化させている。中央の中廊下も、南北に風の道ができるように開口を設け、循環を促している。

フラットなバルコニー形状快適域(0.4-1.0m/s)割合=19%

提案のバルコニー形状快適域(0.4-1.0m/s)割合=32%

68.4%

増加