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Kobe University Repository : Kernel タイトル Title 液体クロマトグラフィーによる重質燃料の噴霧燃焼における微粒子成 分の分析(商船・理工学)(Analysis of Particulate Matter from Spray Combust ion for Heavy Fuel Oil by HPLC(MARITIE STUDIES, AND SCIENCE AND ENGINEERING)) 著者 Author(s) 西田, 修身 / 村上, 武宏 / , 亨洙 / 藤田, 浩嗣 / 原野, 掲載誌・巻号・ページ Citation 神戸大学海事科学部紀要 = Review of the Faculty of Maritime Sciences, Kobe University,2:141-149 刊行日 Issue date 2005-07-31 資源タイプ Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 版区分 Resource Version publisher 権利 Rights DOI JaLCDOI 10.24546/00422410 URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/00422410 PDF issue: 2021-08-22

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Page 1: Kobe University Repository : Kernel · Airfan 図2. 1 実験装置全体図 Water Inlet Water k Outlet 5 x 810cks 図2.2 火炎炉断面図 表2.1 A重油組成 物性 値 密度[kg/m3J

Kobe University Repository : Kernel

タイトルTit le

液体クロマトグラフィーによる重質燃料の噴霧燃焼における微粒子成分の分析(商船・理工学)(Analysis of Part iculate Matter from SprayCombust ion for Heavy Fuel Oil by HPLC(MARITIE STUDIES, ANDSCIENCE AND ENGINEERING))

著者Author(s) 西田, 修身 / 村上, 武宏 / 金, 亨洙 / 藤田, 浩嗣 / 原野, 亘

掲載誌・巻号・ページCitat ion

神戸大学海事科学部紀要 = Review of the Faculty of Marit ime Sciences,Kobe University,2:141-149

刊行日Issue date 2005-07-31

資源タイプResource Type Departmental Bullet in Paper / 紀要論文

版区分Resource Version publisher

権利Rights

DOI

JaLCDOI 10.24546/00422410

URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/00422410

PDF issue: 2021-08-22

Page 2: Kobe University Repository : Kernel · Airfan 図2. 1 実験装置全体図 Water Inlet Water k Outlet 5 x 810cks 図2.2 火炎炉断面図 表2.1 A重油組成 物性 値 密度[kg/m3J

神戸大学海事科学部紀要第 2号

液体クロマトグラフィーによる重質燃料の噴霧燃焼における

微粒子成分の分析

Analysis of Particulate Matter from Spray Combustion for Heavy Fuel Oil by HPLC

西田修身,村上武宏ぺ金亨沫*ヘ藤田浩嗣,原野亘

Osami NISHIDA, Takehiro MURAKAMI, Houng-Soo KIM, Hirotsugu FUJITA, Wataru HARANO

(平成 17年 4月8日受付)

Abstract

Air pollution from ships using heavy fuel oil is becorning a world-wide problem recently. Exhaust of particulate matter

(PM) cause trouble in bays. The cqmponentsof PM exhausted from the combustion engines are c1assified as soluble organic

fraction (SOF) or dry soot (DS). As a c1ue to explain the PM formation, the constituents of PM are analyzed in spray

combustion flame.τ'he concentration, constituents and flame temperature in a' boiler furnace by marine diesel oil and heayy

fuel oil are measured. In this research those of SOF are especially analyzed by high performance liquid chromatography

(HPLC). Aromatic hydrocarbons formed by the combustion are contained in SOF.

(Received April8, 2005)

1 .はじめに

舶用燃料は陸上一般の自動車や省エネルギー

プラント用燃料に比べて著しく'性状が異なって

おり極めて重質油である.主成分は炭化水素で

あるが,硫黄分,窒素分,残留炭素分を多く含

有している.このような燃料の燃焼反応によっ

て生成される微粒子の構成成分は複雑であり,

十分に把握されていないのが実態である.同時

に,海上交通による船舶からの大気汚染物質と

しての微粒子の排出実態把握と低減策の構築が

必要となっており,国際海事機関(IM.d)等で

は対策の検討が続けられている.

微粒子(PM:Particulate Matter)を有機溶

媒に対する可溶性で大別すると.. S 0 F

(Soluble Organic Fraction:可溶性有機物質)

とDS (Dry Soot :不可溶性物質)とに分類され,

*神戸大学大学院自然科学研究科

動力システム工学専攻修了(樹カワサキtレシγョンマシナリ

**神戸大学大学院自然科学研究科

海洋機械エネルギー工学専攻

その割合は燃料性状や燃焼過程によって大きく

異なる. S 0 Fとしては,すす前駆物質

(Pre-Soot)で、ある多環芳香族炭化水素(PCAH),

未燃液滴,シリンダーオイルおよび燃料中に含

まれる硫黄と窒素成分による硫化物等が考えら

れる. DSとしてはアセチレン (C2H2)が重合

反応を経た芳香族炭化水素から生成されるすす,

燃料油中の残留炭素分によって生成されるセノ

スフェアおよび、金属成分を含む化合物が考えら

れる.舶用重質油においてP Mは未燃炭化水素,

部分酸化物,カーボン,潤滑油添加剤成分,水

蒸気および燃料中に含まれる種々金属分等がお

互いに結びついてすすやスモークとなり,スモ

ッグの原因となる.しかし重質燃料による噴霧

燃焼自体の解明が十分でないこともあって,火

炎内の微粒子の生成については定性・定量的な

詳細情報が少ない.

本研究では舶用燃料eであるA重油とC重油を

ボイラーで燃焼させ,火炎温度分布および燃焼

ガス中のP Mを捕集してDSとSOFを分離し,

Page 3: Kobe University Repository : Kernel · Airfan 図2. 1 実験装置全体図 Water Inlet Water k Outlet 5 x 810cks 図2.2 火炎炉断面図 表2.1 A重油組成 物性 値 密度[kg/m3J

SOF生成量の測定を行った.また, SOFの

定性・定量分析は高速液体クロマトグラフ

(HPLC)を用い, SOF成分の生成・分解過程

について検討を行った.

2.実験装置

2 -1.燃焼炉と使用燃料油

図2.1には実験用ボイラーの概略図を,図 2.2

には燃焼炉の断面を示す.定常流型低質重油噴

霧燃焼炉は堅型,内径φ430mm,高さ 250mm,銅

製水冷壁 5 段組である.本装置は数

1 00mm2/s (500C)の重質油の燃焼が可能であり,

燃料の燃焼量は5--13kg/hで,最大出力は約2.1

x 105kJ/hである.また ファンネルコーン(保

炎器)先端より火炎軸垂直距離(Lc)103, 324, 545,

766および 987mmの計 5箇所にサンプリング孔

があり,火炎の各位置における火炎温度および

PMの濃度測定を行うことができる.同時に火

炎軸方向に設置された 6箇所のサイトグラスよ

り火炎の観察を行うことができる.重油での安

定な火炎を形成するためにバーナ部を調整し,

噴霧角度 600

の中空噴霧ノズルおよびカーボ

ンフラワー付着が起こらないディフューサ。を使

用した.表 2.1,表 2.2には実験に用いたA重

油およびC重油の性状をそれぞれ示す.両燃料

ともに主成分は炭素と水素であり. C重油には

硫黄分や金属成分などの不純物が多く含まれて

いる.

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for州 austgas(UJ

Airfan

図 2.1 実験装置全体図

Water Inlet

Water k

Outlet

5 x 810cks

図2.2 火炎炉断面図

表 2.1 A重油組成

物 性 値

密度[kg/m3J 870

着火点[OCJ 68

動粘度[mm2/sJ 2.4 (500C)

流動点[tJ

残留炭素[mass %J 0.03

灰分[mass%J 0.01

硫黄[mass %J 0.07

炭素[mass %J 86. 7

水素[mass%J 12. 9

窒素[mass %J 0.01

水分[vol.%J <0.05

低位発熱量[MJ/kgJ 42.44

表 2.2 C重油組成

物性 {直

密度[kg/m3J 982

着火点[OCJ 74

動粘度[mm2/sJ 177.0 (50t)

流動点[OCJ -10

残留炭素[mass%J 12. 3

灰分[mass%] 0.02

硫黄[mass%J 2.56

水分[vol.%J 0.5

高位発熱量[MJ/kgJ 42. 78

N [mg/kgJ O. 25

V[mg/kgJ 58

AI [mg/kgJ 4

Mg[mg/kgJ

S i [mg/kgJ 13

Ca [mg/kgJ 18

Fe [mg/kgJ 36

Ni [mg/kgJ 20

Page 4: Kobe University Repository : Kernel · Airfan 図2. 1 実験装置全体図 Water Inlet Water k Outlet 5 x 810cks 図2.2 火炎炉断面図 表2.1 A重油組成 物性 値 密度[kg/m3J

2 -2.液体クロマトグラフと標準試料

SOFの定性・定量分析に用いた高速液体ク

ロマトグラフを図 2.3に示す.また,図 2.4に

同クロマトグラフの原理を示した.クロマトグ

ラフは2つの空間(相)で構成されており,一つ

は固定相(Stationaryphase),もう一つは移動

相(Mobilephase)と呼ばれ,常に空間を移動し

ている.この 2つの相は平衡状態にあり,そこ

に試料の注入を行うと,試料中に含まれる各成

分が両相と相互作用をし その作用の差に応じ

て各成分が分離する.

図 2.3 高速液体クロマトグラフ

穆劃掴〈遺蹟遺〉固定相

い諒剥品者.A (浩賢〉

図 2.4 液体クロマトグラフの原理

S.OF中に含まれる芳香族炭化水素を分析す

るために表2.3に示す 16種類の芳香族炭化水素

成分を標準試料(SrD)として使用した.発ガン'性

が強いとされる成分や比較的検出される成分を

主に選定し、燃焼による特徴を見いだすことと

した。無論,排ガス中にこれら化合物が高濃度

に含まれることは好ましくない.

表 2.3 標準試料に含む芳香族炭化水素成分

成分名 化学式 構造式

Acenaphthene C12HIO 00 Acenaphthylene C12H8 00 Anthracene C 14HIO 。ω

1,2-benzanthracene C18H12 ω~ benzo (a) pyrene C2oH12 吋る

benzo(b)fluoranthene C18HIO 」benzo(g,h, i)perylene C22H12 由benzo(k)fluoranthene C 2oH12 ω~

chrysene C18H12 do dibenz(a,h)anthracene C22H14 ~

fluoranthene C16HI0 d fluorene C13HI0 @ClQJ

indeno(I,2,3-cd)pyrene C22H12 ab naphthalene C12H8 。。phenanthrene C14HIO d

pyrene C16HIO 宅島

円〈

UAq

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3.実験方法

3 -1.燃焼炉の燃焼条件

本実験での測定系統を図 3.1に示す.噴霧燃

焼火炎形成のために, A重油は燃料流量を

11. 16L/h,燃焼用空気量を 163.4m3N/h,全体の

平均空気比(入)を1.51一定とした.またC重油

は燃料流量を 12.06 L/h,空気比を1.27とした.

実験用火炎は同軸流噴霧火炎であり,内径φ

430mm,高さ 1250mmの堅型燃焼炉内に形成した.

燃焼炉内の熱量は冷却水に置換させた.火炎内

のサンプリングは火炎中心軸に沿って,バーナ

部(ファンネルコーン)先端から垂直距離

(Lc) 103, 324, 545, 766および987mmの位置で,

それぞれの半径方向(R)0--120阻までの 20mm

ずつ 7点において, P t -P t . Rh (13 % )φ0.5mmの

熱電対により火炎温度の測定を行った.また図

3.2に示した水冷式ガスサンフ。リングプローブ

を用いて燃焼ガスを吸入し,フィルタ上に PM

の捕集を行った. PM濃度は, PMを採取した

フィ jレタをジクロロメタン (Methy 1 ene

Chloride: CH2C12)20cm3に 12時間浸し, SO

F成分を溶解抽出させ, DSとSOFとを分離

して,抽出前後のフィルタ重量を精密天秤(最小

表示 O.Olmg)で秤量することによって求めた.

F1am. Funnel C刷.

TE.h・ust0..

~(~:~ -7J--E-: -4--E-

_3~ .…+・与一-, n.~ ,m[ _ _1~...........1:,!~__

h↑

図 3.1

ロ↓↑32叫

出↓↑22M

測定系統図

TC.W Outlot

Filtor

目Thormomoter

Pump

① 出戸へ)'し一、 Sampl"lh阿剛何回

一一→ C.W

,..;;I己===lnl.t

r====z記寺!PM.ond a..¥φI.Omm¥砕2・omm¥os.Omm R.・ctinaFr・..・

図3.2 水冷サンプリングプローブ(SUS製)

-144-

3-2. HPLCの測定条件

A重油またはC重油使用で燃焼反応の進行が

どのように変化するかを化学的に調べるために

R=Omm(火炎中心)で, Lc = 103, 324, 545, 766,

987mmの計 5箇所における SOF成分の定性・

定量分析を表 3.1に示す条件で行った.溶離液

にはアセトニトリル 100%と,体積割合で

アセトニトリル=30恥:7叩0の2種類を用いた.溶

離液の流速は1.OmL/minとし,三次元蛍光検出

器(DAD)はUV250nmに設定した.

試料の作成方法は,図 3.3に示すように,ま

ず SOFの抽出に用いたジクロロメタン

(20cm3)から 5cm3を梨型フラスコに入れ,50t

に水を加熱した恒温槽に浸しながらアスピレー

タに接続し,ジクロロメタンを 1cm3まで蒸発さ

せる.そこにアセトニトリル4cm3を加え,計5cm3

にして未知試料(UNK)とした.このようにし

て最初あったジクロロメタンをアセトニトリル

に置換することでHPLC分析用の試料を作成

した.標準試料は,表 2.3の標準試料をアセト

ニトリルで 1000倍に希釈して用いた.なお, A

重油はアセトニトリルで 200倍に, C重油は

1300倍に希釈して分析を行った.

表 3.1 液体クロマトグラフ分析条件

カラム GH-CI8-P 4. 6x 150mmL 400C

溶離液(A)水/アセトニトリル=30/70(V/V)

(B)アセトニトリル

流速 1. OmL/min

検出波長二次元蛍光検出器 UV250nm

蛍光光度計 Ex : 280nm Em : 430nm

Page 6: Kobe University Repository : Kernel · Airfan 図2. 1 実験装置全体図 Water Inlet Water k Outlet 5 x 810cks 図2.2 火炎炉断面図 表2.1 A重油組成 物性 値 密度[kg/m3J

心部で約 11000Cの温度にまで達している.下流

になるにしたがって漸減している.燃料と空気

とがよく混合しており 山形の火炎温度分布か

ら全体的に予混合的な燃焼を呈している.また,

C重油は最も燃焼反応が活発である Lc=324mm

の中心部(R=Omm)において約 9500

Cの温度に達

している.火炎後流になるに従って減少する傾

向にあるが,火炎内の温度差はA重油よりも小

さい.

アスピレータ

1200

λ=1.51 A Oil=11.16Uh

一・-Lc=l03mm 一企,.- Lc=324mm

-・-Lc=545mm →←Lc=766mm

ε10∞00 …

言80∞0 e伺司~

~ 600 E 3400 E 記200

20 40 60 80 100 120 140 Radial Distance (mm)

火炎温度分布 (A重油)

図 4.1

定量計算には絶対検量線法を用いた.絶対検

量線法とは,まず標準試料(STD)のクロマトグラ

ムから各成分のピーク面積(または高さ)を求め、

図 3.4に示すような検量線を作成する.次に,

未知試料のクロマトグラムを測定し,各成分の

ピーク面積(または高さ)を標準試料のものと比

較して未知試料の各成分濃度を求める方法であ

る.本研究では,アセトニトリルで 1000倍に希

釈した STDと原点の 2点を通過する, 1点検量

線法を用いて未知試料の分析を行った.

分析試料作成方法図3.3

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月刊

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(υ-)ω旨百Hω品目ω'HOE何回 。

STD

/

濃度 〉

火炎温度分布 (C重油)

図4.3と図 4.4には A重油およびC重油を

燃焼させたときにそれぞれ発生する SOFの濃

度分布(g/m3N)を火炎軸方向について示した.両

燃料ともに,火炎後流に行くに従ってSOF濃

度は低下する傾向にあり,両分布形状はよく似

ているが,その発生量は数 10倍の差異が見られ

る.これについては,燃焼条件が異なるため一

概に比較することはできないが,本実験装置で

図 4.2絶対検量線法

4.実験結果および考察

4 -1.火炎温度分布とSOF濃度

A重油およびC重油の半径方向(R)における

火炎温度分布を図 4.1および図 4.2に示した.

A重油は火炎長が約 550mm,C重油は約 1000mm

であり,両燃料の燃焼は共に,全体が黄燈色を

呈した乱流火炎(炉内平均レイノルズ数, Re=

3. 83 X 104)である.A重油ではノズル近傍の中

図 3.4

Page 7: Kobe University Repository : Kernel · Airfan 図2. 1 実験装置全体図 Water Inlet Water k Outlet 5 x 810cks 図2.2 火炎炉断面図 表2.1 A重油組成 物性 値 密度[kg/m3J

はC重油を使用した場合には不完全燃焼による

未燃成分の排出が多くなり, SOFの濃度はA

重油より高くなっていると考えられる.

• ロωmM咋ロMm∞似

mwωdo

nunununununununu

(Z門何回、)凪

O∞

戸、JA

品T

3

司,,h

唱i

(Z門何回¥凶)民

O∞

入=151Aα1=11.16Uh

図4.3 S 0 F濃度分布 (A重油)

m¥;ょ, , , , , , ' 1 6

入=1.27co量=12.06Uh~::~包l肱山=Onun

Radial Distance=20nun Rad包IDista恥 e=40nun

今(-Rad血i助組問=60nun-0-Radial Distance=80nun £¥…Rad訟lDista即 e=100nun4二トRadialD丞U配偶120nun

か。

図4.4 S 0 F濃度分布 (C重油)

4-2. HPLCによる試料の分析

HPLCを用いてA重油, C重油に含まれる

芳香族炭化水素の濃度分析を行った.また,両

燃料が燃焼したときに発生する SOFの分析を

Lc = 103---987mmの5箇所において行った.まず,

標準試料(STD)をクロマトグラフにかけ,蛍光検

出器から得られる分析結果の 3次元表示を図

4. 5 (a)に示す. 3つの軸はそれぞれ保持時間

(RT) min,波長 nm,信号強度を示している.図

PO

Aq

4. 5 (b)は,前図 4.5 (a)のうち波長 250nmにおけ

るクロマトグラムをRTと信号強度の 2軸で示

したものである.図 4.6 (a) (b)には同様にC重

油の 3次元表示とクロマトグラムを示した.C

重油のクロマトグラムから,絶対検量線法で濃

度計算を行った結果を表4.1にまとめた.表4.1

の空白の欄はその成分が検出されなかったこと

を意味している.図 4.6 (b)のC重油のクロマト

グラムより, STDに含まれる芳香族炭化水素

以外のピークが多く検出されている. C重油に

は,表 4.1に示した成分より多くの炭化水素さ

らには多環芳香族系化合物が含まれていると考

えられる.これらの物質が燃焼することによっ

てSOFに含まれる多種の炭化水素系化合物が

生成される.

SOFについて同様にHPLCで分析を行っ

た. 3次元表示とクロマトグラムについては省

略する. SOFの軸方向5箇所においての分析

濃度を表 4.2および表 4.3に一覧にした.表の

空白の欄は値が検出されなかったことを意味し

ている.Lc = 103mm---987mmの全5箇所において

測定された benzo(a) pyreneについて,図 4.7

(a) (b)にその濃度分布を示した.同図(a)はA重

油が燃焼したときに発生する SOFに含まれる

benzo (a) pyreneの濃度分布で,図(b)はC重油

での同成分の濃度分布を示している.この

benzo (a) pyreneは非常に発癌性の高い物質で

あり,図 4.5 (b), 4. 6 (b)のRTが 16min付近で

検出されている.つまりこの成分はAおよびC

重油中や,これらが燃焼することによって発生

する SOFにも含まれている.benzo (a) pyrene

をはじめとする各種の芳香族炭化水素は Lc=

103mmから火炎後流に行くに従って分解される

ため著しく減少する傾向にあるが,特殊な例と

して図4.8にnaphthaleneの濃度分布を示した.

他の芳香族炭化水素は燃焼反応に伴って減少す

るのに対し, naphthaleneはLc=545mmまで増

加している.この増加の原因は,分子量の大き

い芳香族炭化水素が燃焼過程において分解され

て,新しく生成されているためと考えられる.

Page 8: Kobe University Repository : Kernel · Airfan 図2. 1 実験装置全体図 Water Inlet Water k Outlet 5 x 810cks 図2.2 火炎炉断面図 表2.1 A重油組成 物性 値 密度[kg/m3J

O.剛

O.問

。凹liO.脚

0.004

O.叩3

0.001もO.卿

C重油クロマトグラム (3次元表示)図 4.6 (a) 図4.5(a)標準試料クロマトグラム (3次元表示)20ω

40

2ω,

h10

・H

15ω

101陶

"。

--v園田鍋

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tωa 23側鎖

ee

図 4.6 (b)

ヮ,aAq

HPLC分析結果 (AおよびC重油)

成分名濃度[μg/L]

A重油 C重油

acenaphthene 4218.88 。acenaphthylene 1799.86 708262

anthracene 1001.72 。1,2-benzanthracehe 5365.2 。

benzo (a) pyrene 4199.52 155669

benzo(b)fluoranthene 345.828 。benzo(g,h, i)perylene 3767.31 915736

benzo(k)fluoranthene 22645.4 262414

chrysene 3814.34 182670

dibenz(a,h)anthracene 674.652 164764

fluoranthene 17.7076 197679

fluorene 79.8554 。indeno(I,2,3-cd)pyrene 18.6905 。

naphthalene 56.7651 。phenanthrene 。 。

pyrene 。 1148140

表 4.1

Page 9: Kobe University Repository : Kernel · Airfan 図2. 1 実験装置全体図 Water Inlet Water k Outlet 5 x 810cks 図2.2 火炎炉断面図 表2.1 A重油組成 物性 値 密度[kg/m3J

表 4.2 HP L C分析結果 (A重油燃焼時のSOF)

成分名 Lc=103mm Lc=324mm Lc=545mm Lc=766mm Lc=987mm

acenaphthene 0.43641 0.17498 O. 14752 0.28177

acenaphthylene 4.03477

anthracene

1,2-benzanthracene O. 19026 O. 12024 0.11847 O. 10602 0.08973

benzo(a)pyrene 1. 10635 0.14813 0.22596 O. 1447 0.12313

benzo(b)fluoranthene O. 101 0.0314 0.00746 0.00975 0.00412

benzo(g,h, i)perylene 2.23673 0.62069 0.03807

benzo(k)fluoranthene 8.89357 0.89094 0.90604 0.65334 0.48062

chrysene 1.81635 0.23674 0.05267 0.09378 0.0989

dibenz(a,h)anthracene 0.48528 0.02214 0.02404 0.02476 0.01948

fluoranthene 0.06811 0.0587 0.22761 0.1221 0.13479

fluorene 0.055 0.13001 0.053

indeno(I,2,3-cd)pyrene 0.06351 0.07926

naphthalene 0.25605 0.42237 0.58559 0.3688 0.36229

phenanthrene 0.04858 0.1551 0.04801 0.0662

pyrene 0.02556 0.01909 0.0186 0.01621 し一一

(単位 μg/L)

表 4.3 HP L C分析結果 (C重油燃焼時のSOF)

成分名 Lc=103mm Lc=324mm Lc=545mm Lc=766mm Lc=987mm

acenaphthene 30364. 7 6682.90 222.337 169.525

acenaphthylene 2251. 36 461. 121

anthracene

1,2-benzanthracene

benzo(a)pyrene 580. 791 178.898 31. 8241 33.3118 11. 6583

benzo(b)fluoranthene 9575.57 2718.64 414.510 484. 785 332.618

benzo (g, h, i) pery 1 ene 1053.91 372.537 95.0042 79.0784 10.9459

benzo(k)fluoranthene 662.294 146.051 13.9666 15.9713 13.7659

chrysene 505.658 143.563 21. 6556 25.6001 17.0365

dibenz(a,h)anthracene 1847.34 310.89 101.99 112.879

fluoranthene 1272.56 82.9695 21. 6556 10.7133 5.85252

fluorene 55.8479 40.9412 28.5551

indeno(I,2,3-cd)pyrene 372653 148753 27048.0 24519.6 12566.9

naphthalene 64.1152 58.5997 10.9314 2.65704

phenanthrene 46.0182 38.4288

pyrene 1053.91 372.537 10.9314 2.65704

(単位 μg/L)

。。

Page 10: Kobe University Repository : Kernel · Airfan 図2. 1 実験装置全体図 Water Inlet Water k Outlet 5 x 810cks 図2.2 火炎炉断面図 表2.1 A重油組成 物性 値 密度[kg/m3J

6001 血

昔500~\¥

¥の⑦ol弘\~LQ。

ハ1 ¥ト・i...._...... -.....i-._.--;_._....

-0 200 400 600 800 1000 Lc (mm)

図4.7(b) Benzo(a)pyrene濃度分布(C重油)

ミ1

~ 0.8 ω ロ出 0.6〉、

。‘d 0.4 0

~ 0.2 』

図4.7 (a)

と400ト

o ロ~ 300ト〉、0..

d200ト。N

E 100ト』

0.8

1.2

入=1.51A Oil=I1.16L/h

叫~が。 1000

λ=1.27 C Oil= 12.06L/h-j

入=1.51A Oil=I1.16L/h ミ0.61

ミi

g 0.4 伺』

さ0.2ロ

。L-0 200 400 600 800 1000

い (mm)

図 4.8 Naphthalene濃度分布(A重油)

5. まとめ

本研究では, A重油を 11.16L/h,供給空気量

163. 4m3N/h (空気比1.51)で,また C重油を

12.06L/h, (空気比 1.27)で燃焼させ,それぞれ

の火炎温度分布およびSOFの濃度測定を行っ

た.抽出したSOF(軸方向 Lc= 103---987mm,

R=Omm計 5箇所)については, HPLCで定

性・定量分析を行った.結果を以下にまとめる.

( 1 )火炎温度については, AおよびC重油共

に分布形状は似ているが, A重油は火炎

長が550mmで局部的に 1100tと高温を示

した.それに対し C重油は,火炎長が

1000mmと長く,最高温度は 9500Cと低い.

(2) SOFは, AおよびC重油共にノズル近

傍で多く発生し,火炎後流に行くに従い

分解されるため減少する.

(3) HPLCによる分析結果より,火炎中の

SOFは多種の芳香族炭化水素成分で構

成されており,それらは燃料の熱分解と

燃焼反応によって生成されている.

(4) SOFは燃焼とともに酸化され減少する

が、難燃なC重油ではさらに多環芳香族

成分に変化していることが分かつた.

参考文献

1)西田修身・向原誠也,日本舶用機関学会誌,

第 14巻,第 3号(1979),P. 46.

2) 西田修身,日本機械学会関西支部第 250回

講演会講演論文集, No.914-3(1991年 11月),

P.203-205.

3) 西田修身, Irvin Glassman,日本舶用機関

学会誌,第 28巻,第3号(1993-3), P. 216-227.

4) 水谷幸夫,燃焼工学,第2版(1989),P. 39-46.

5) 田中元治・中川元吉,定量分析の化学(1987),

P.143-149.

6) 津田孝雄,クロマトグラフィー,第 2版

(1995),P.I07-146.