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Kobe University Repository : Kernel タイトル Title 多様な正社員と組織内公正性 (<特集>日本人の働き方)(Various Regular Employees and Organizational Justice ( Work Styles of Japanese Employee)) 著者 Author(s) 平野, 光俊 掲載誌・巻号・ページ Citation 国民経済雑誌,208(1):21-36 刊行日 Issue date 2013-07 資源タイプ Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 版区分 Resource Version publisher 権利 Rights DOI JaLCDOI 10.24546/81008491 URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81008491 PDF issue: 2020-02-05

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Kobe University Repository : Kernel

タイトルTit le

多様な正社員と組織内公正性 (<特集>日本人の働き方)(Various RegularEmployees and Organizat ional Just ice ( Work Styles of JapaneseEmployee))

著者Author(s) 平野, 光俊

掲載誌・巻号・ページCitat ion 国民経済雑誌,208(1):21-36

刊行日Issue date 2013-07

資源タイプResource Type Departmental Bullet in Paper / 紀要論文

版区分Resource Version publisher

権利Rights

DOI

JaLCDOI 10.24546/81008491

URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81008491

PDF issue: 2020-02-05

平 野 光 俊

多様な正社員と組織内公正性

国民経済雑誌 第 208 巻 第 1号 抜刷

平 成 25 年 7 月

1 問 題

日本の中堅・大企業の人事管理は,1997年から現在に至る「平成雇用不況期」1)(仁田・久

本編,2008)において,「組織内公正性」(organizational justice)に影響を与えるという意味

で二つの大きな変化が起きた。ひとつは,正社員に対する成果主義処遇(短期の成果を基準

とした評価制度とインセンティブ強度の強い賃金制度)の適用であり,もう一つは非正規労

働者(以下,非正規と略記)の「質的基幹化」(以下,基幹化と略記)や正社員への転換な

ど,その活用方法の多様化である。非正規の基幹化とは,非正規の職務内容が正社員のそれ

へと接近することを指す。たとえば,これまで正社員が担ってきた判断・指示・調整・管理

等の高度な業務が非正規に代替されるとき,非正規の基幹化が進んでいるという。

そして,こうした人事管理の変化の内実は,組織内公正性の再構築という新たな人事管理

の課題への対応であったと言い換えることもできる。すなわち,日本企業はこの時期,成果

主義処遇をインセンティブとしてうまく機能させるために報酬格差をどのように正社員に納

得してもらうかという課題に取り組まなければならなかった。また基幹化した非正規の処遇

21

平 野 光 俊

多様な正社員と組織内公正性

非正規労働者から正社員へ転換する事例が増えている。このことはこれまで異な

る雇用区分で管理されてきた非正規/正社員が,同じ正社員の雇用区分に括られる

ようになることを意味する。しかし同じ雇用区分であっても,「非正規から転換し

た正社員」と「新卒で定期採用された正社員」といった入社経路の違いを比較対象

として,不公正を知覚し,不満につながる可能性がある。非正規から事後的に正社

員に転換した人々と,はじめから正社員として採用された人々は,互いに処遇の公

正性を知覚しているのか。あるいは非正規から正社員への転換は,新たな不満の種

になっているのか。本稿では,2011年に事務系派遣社員をまとめて正社員に転換し

たエンジニアリング会社を対象として,この問題を探索的に検討した。その結果,

実質的に働き方や勤労意識に差異がある人材群(カテゴリー)が,正社員の雇用区

分のなかに複数存在しているにもかかわらず,単一の処遇体系が適用されている場

合,人材カテゴリーの間で不公正を知覚する可能性があることが分かった。

キーワード 分配的公正,手続き的公正,三層労働市場,限定正社員,拘束性

を,正社員とどのように均衡・均等させていくかという課題への対応も重要であった。上記

二つの実務的な人事の課題に呼応して,日本でも組織内公正性に関する学術研究が盛んになっ

た。もとより欧米では,組織メンバーの公正性の知覚を高めるための条件や,公正性の知覚が

組織行動に与える影響などについて,普遍性の高い豊富な知見が示されてきた(三崎,2006)。

Greenberg (1987 ; 1990)によれば,組織内公正性には,「分配的公正」(distributive jus-

tice) と「手続き的公正」(procedural justice)がある。分配的公正は,組織メンバー間に希

少な資源を分配する際に,配分の結果が公正かどうかを意味している。つまり,賃金やボー

ナスの他,誰を昇進させるかといった報酬を,従業員にどのように配分し,それを従業員が

公正に思うかどうかといった報酬配分における公正性の問題である。一方,手続き的公正は

意思決定の手続きに関して感じられる手段の公正性を意味する。2)

Leventhal (1980) は,手

続き的公正が認知されれば,その結果としての分配もまた公正だと認知されると仮定してい

る。

分配的公正に関わる研究の端緒は Adams (1965)の「衡平理論」(equity theory)である。

衡平理論では,個人のおかれている状況と,比較の対象となる他者の状況とを比べたうえで,

組織に対して自分が果たしている「投入」(input)と,得られた「報酬」(outcome)とが釣

り合っていると判断した場合(つまり衡平な状態)に公正であると感じると仮定される。逆

に,他者と比べて自分の報酬が努力や成果に見合わない(過少報酬)と思えば不満を持つ。

一方,他者と比べて過多報酬だと感じれば罪の意識を持つ。

ここで投入とは成果や業績のような従業員の行動結果として生み出されるものだけではな

く,年齢や雇用形態などの客観的条件でもよく,自らが組織に持ち込む価値あるもの全てを

投入と表現することができる。一方,報酬には賃金や昇進,能力開発機会,雇用保障,地位,

名誉など自分が企業から受け取る価値あるものすべてが該当する(守島,2008)。

労働者の分配的公正性の知覚は組織内の誰と自分を比較しているのかという比較選択

(comparative referent)に関わっている(Folger and Cropanzano, 1998)。社会的比較(social

comparison)理論によれば,人は社会環境を適応的に生きていくために,自分の意見や能力

を正しく評価したいという動機があり,そのために自分と意見や能力が類似した他者との比

較を行う(Festinger, 1954)。たとえば,正社員は正社員同士,非正規は非正規同士の比較

に,より大きな関心を持っていると考えるのが自然である(奥西,2008)。したがって,雇

用が安定し相対的に良い労働条件で働いている正社員に比べても,非正規の職務満足や幸せ

感は決して低くないのである。

蔡(2010)は,この理由を非正規間の異質性に見出している。すなわち非正規と一口にいっ

ても,その集団内は,非正規の働き方の選択における自発的/非自発的,フルタイム/ショー

トタイム,基幹業務/周辺業務といったように働く動機や働き方において多様である。この

第208巻 第 1 号22

ような非正規の異質性(分散の大きさ)が人々の組織行動に及ぼす影響を曖昧にしてしまう

可能性がある。したがって非正規の組織内公正性の問題は,基幹化に応じて顕在化すると考

えられる。後述するが,非正規の基幹化の程度と賃金(不)満足度などの関係に関する実証

研究は幾つか行われている。

本稿の問題意識は,非正規の基幹化に関わる組織内公正性という既存研究で取り上げられ

てきた問題のさらに先にある。すなわち非正規の正社員転換に関わる組織内公正性の問題で

ある。非正規の正社員への転換とは,これまで異なる雇用区分で管理されてきた非正規/正

社員が,同じ雇用区分に括られるようになることを意味する。しかし同じ雇用区分であって

も,「非正規から転換した正社員」と「新卒で定期採用された正社員」といった入社経路の

違いを比較対象として,働らき方と処遇のバランスにおいて不公正を知覚し,不満につなが

る可能性がある。正社員カテゴリーの多様化の進展により比較対象が変化し,それが新たな

不公正感を生む可能性があるということである。

近時は,非正規の雇用の安定化とスキル形成を主眼として,正社員への転換の促進に向け

た議論が活発に行われている。たとえば,2013月 4 月に施行された改正労働契約法では,同

じ職場で 5年を超えて勤務しているパートや契約社員が申し出れば,期限の定めのない雇用

契約に切り替えることが義務づけられる。しかし,その受け皿は,組織都合の要求を無限定

に引き受けるいわゆる「総合職」ではなく,無期雇用ではあるが勤務地や職種などを限定し

た雇用区分であるケースも多い(厚生労働省,2010)。

すなわち正社員と非正規の間に両者を緩衝する雇用区分を設け,転換の壁を低くする内部

労働市場の再構築である(平野,2009;2010,朴・平野,2008)。正社員の多様化に応じて

組織内公正性の認知が変わる可能性があるなか,非正規から正社員に事後的に転換した人々

と, はじめから正社員として定期あるいは中途で採用された人々は,互いに公正性を知覚し

ているのか。あるいは企業内労働市場における非正規から正社員への転換は,新たな組織内

公正性の問題を引き起こすのか。本稿では,2011年に事務系の派遣社員をまとめて正社員に

転換したエンジニアリング会社を対象として,この問題を探索的に検討してみたい。

本稿は,第 2節において,内部労働市場の変化を組織内公正性の問題に引き付けて既存研

究のレビューを行う。第 3節では,基本仮説を設定するとともにデータと変数について述べ

る。第 4節では,同じ正社員カテゴリーであっても,人的資本投資や働き方が異なることを

確認する。次に正社員間の公正性の知覚について比較対象ごとにその状況を確認する。第 5

節は,正社員の多様化に関わる今後の課題について若干の整理を行う。

多様な正社員と組織内公正性 23

2 これまでの研究

2.1 非正規の基幹化と組織内公正性に関わる研究

組織内公正性の知覚は,この私と私でない誰かとの比較において生じる。通常,労働者は

個人属性に基づき比較対象を選択するが,組織内で担う役割内容などの状況特性が類似して

くると状況特性に基づいて比較対象を選択するようになる(島貫,2012 ; Kulik and

Ambrose, 1992)。正社員と非正規の組織内公正性として重要な論点は賃金格差の納得度であ

る。奥西(2008)は,非正規の多くが意識する賃金格差の比較対象は,正社員ではなく非正

規であることを指摘したうえで,両者の雇用形態区別や仕事区分の明確さが賃金格差納得度

に影響すること,また希望すれば正社員になれるといった要因も非正規の賃金格差の納得度

を高めることを見出している。

島貫(2007)は組織内公正性の理論的枠組みを用いて,パートの基幹化が賃金満足度に与

える影響を分析している。本論文との関連では次の 2点が重要である。第一に,パートの基

幹化は賃金の不満を高める。というのはパートと正社員の仕事内容が類似してくると,パー

トはパートよりも正社員を比較対象に選ぶようになるため,正社員との賃金格差を明確に意

識するようになるからである。第二に,パートの基幹化が進んだ状況では,勤続年数の短い

パートには正社員への転換制度が,逆に勤続年数の長いパートには正社員との均衡処遇が賃

金に対する不満を低下させる。この分析結果は,労働者は組織内の状況に応じて比較対象を

変化させるため,比較対象に合わせた公正性施策を実施することが賃金満足度を高めること

を示唆する。

島貫(2012)は,企業内の非正規と正社員の境界設計の観点から,正社員の人事管理がモ

ラールに与える影響を実証的に分析している。その結果,第一に,新卒長期雇用方針は正社

員のモラールを向上させる効果を持つが,正社員と同じ仕事に従事する非正規の割合が多い

場合に,そうでない場合よりその効果は強くなる。というのは正社員と同じ仕事に従事する

非正規が増えると正社員は彼らを比較対象に加えることで,自分の雇用保障が過大であると

認識し,それに見合うように貢献を増やそうとするからであると考えられる。第二に,成果

評価・早期選抜方針は正社員のモラールを向上させる効果を持つが,非正規から正社員への

転換制度がある場合に,そうでない場合よりもその効果は弱くなる。正社員に転換する非正

規が増えると,正社員は彼らを比較対象に加えることで,自分の賃金や昇進機会が過少であ

ると認識し,それに見合うように貢献を減らすからであると考察される。結果は,特定の人

事管理の仕方が正社員のモラール向上に与える効果は,企業内の正社員と非正規の境界設計

に依存することを示唆している。

第208巻 第 1 号24

2.2 正社員の多様化と三層労働市場

正社員と非正規の境界設計に関連して,近年盛んに議論されるようになったのが,「限定

正社員」ないし「多様な正社員」と呼ばれる雇用区分である。社員と非正規の均衡処遇への

対応,非正規の正社員転換機会の拡大,また正社員のワーク・ライフ・バランスへの対応と

して,限定正社員への期待は大きい(厚生労働省,2010;労働政策研究・研修機構,2012)。

それでは限定正社員はこれまでの「いわゆる正社員」とは何が違うのか。

佐藤(2012)は,いわゆる正社員を識別する基準としてその包括性・無限定性に着目して,

活用業務無限定,配属先の事業所・勤務地無限定,残業がある,フルタイム勤務の 4つをあ

げる。つまり,期間の定めのない雇用を前提として,この 4基準を満たす雇用区分が,いわ

ゆる正社員である。逆に言えば,限定正社員とは,この 4基準のいずれか一つないし複数を

満たさない雇用区分であって,職種限定,労働時間限定(短時間勤務,フルタイム勤務だが

残業なし),勤務地限定などからなる。場合によっては短時間労働と勤務地限定とか,複数

の組み合わせがあり得る。換言すれば,正社員の多様化とは,有期雇用であっても実態とし

て長期間にわたって就労している非正規を,いわゆる正社員と非正規の中間的な存在である

限定正社員と位置づけて,より安定的な無期雇用契約と結びつけるという発想である。した

がって非正規から正社員への転換制度の整備が求められる。

Doeringer and Piore (1971)が嚆矢となった労働市場論では,主に大企業で観察される手

厚い雇用保障,キャリア形成機会の提供,公正な評価と処遇が行われる内部労働市場と,企

業内労働市場の下層や外部で観察される低賃金で雇用保障がなく仕事を通じた学習機会の乏

しい外部労働市場が分断して存在するという二重労働市場仮説が展開されてきた(たとえば,

石川,1991)。

しかし,平野 (2009,2010);朴 (2010);朴・平野 (2008)は日本の企業内労働市場の近

時の変化を内部労働市場と外部労働市場の二層から,両者の特徴を併せ持つ中間労働市場を

加えた三層化と捉え,取引費用の経済学を援用し「三層労働市場モデル」を構想している

(図 1 および表 1 )。このモデルは縦軸には関係特殊投資(relation-specific investment : RSI

と略記)を,横軸にはタスク不確実性(task uncertainty : TUと略記)をおいている。経営

者は取引費用を節約すべく,関係特殊投資とタスク不確実性の高い雇用を内部化する。雇用

関係は企業特殊技能の発展を動機づけ,協働を促す組織的インセンティブを提供する内部労

働市場であり,雇用区分はいわゆる正社員となる。逆に 2軸の程度が低ければ取引は市場と

の連結を強める必要がある。すなわち労働者を必要に応じてスポットで調達し人的資本投資

を行わない外部労働市場であり,雇用区分は非正規となる。

有期と無期の雇用の境界上に位置するのが中間労働市場である。中間労働市場では市場原

理と組織原理が相互浸透するハイブリッドな多様な雇用区分が観察される。ここで線分

多様な正社員と組織内公正性 25

RSI1-TU1は「雇用の境界」,すなわち有期と無期の雇用契約を分ける境界線である。中間労

働市場の雇用区分は雇用の境界を境にして二つに分かれる。下方側は有期雇用契約を反復し

て企業特殊技能を中程度に高めた基幹化非正規である。上方側は雇用保障はいわゆる正社員

ほど強くないが無期契約で,転居転勤や職種変更などの拘束性を免れた限定正社員である。

三層労働市場モデルから労働市場の選択に対する主要予見が導かれる。「タスク不確実性,

そしてとりわけ労使間の関係特殊投資─企業特殊技能を高めるための労使間の人的資本投資

や拘束性の要求と受容─の程度が高くなるほど,その雇用関係にいっそう特化した労働市場

(雇用区分)─すなわち外部労働市場(非正規)よりも中間労働市場(基幹化非正規・限定

正社員),中間労働市場よりも内部労働市場(いわゆる正社員)─によって管理される」。

第208巻 第 1 号26

無期雇用

有期雇用

関係特殊投資

タスク不確実性 ���

����

外部労働市場

内部労働市場雇用原理:組織的雇用区分:いわゆる正社員

雇用原理:市場的雇用区分:非正規

雇用区分:基幹化非正規

雇用区分:限定正社員

中間労働市場

雇用の境界

雇用原理:ハイブリッド

図 1 三層労働市場モデル

出所:平野(2010)

表 1 労働市場の処遇ルールの対比

労働市場 外部労働市場 中間労働市場 内部労働市場雇用原理 市場 ハイブリッド 組織雇用区分 非正規 基幹化非正規 限定正社員 いわゆる正社員雇用期間 短期 有期契約の反復 無期 無期

雇用主の雇用保障に対するコミットメント

無 弱強

ただし条件付き強

関係特殊投資 弱 中 強内部昇進 無 上限付き 有拘束性 低 中 高

出所:平野(2010)

3 正社員の公正性知覚に関する仮説,データ,変数

3.1 基本仮説

三層労働市場モデルでは正社員の雇用区分はいわゆる正社員と限定正社員の 2つに区分さ

れる。いわゆる正社員は限定正社員に比べて転居を伴う異動など高い拘束性を受容し,また

関係特殊投資として企業特殊技能への投資も大きい。つまり衡平理論でいうところの投入

(input)は大きい。したがって両者の報酬(outcome)を差異化することが組織内公正性の

観点から合理的となるはずである。また両者の雇用区分を分けて処遇すれば,非正規-正社

員が互いに比較対象としないケースがあるのと同様,異なる雇用区分で働く者として比較対

象として意識することはないかもしれない。

逆に言えば,実質的に関係特殊投資やタスク不確実性において限定的な働き方をする限定

正社員が,いわゆる正社員と同じ体系のもとに処遇される場合は,互いが比較対象として意

識され,不公正と感じる可能性がある。本稿の基本仮説は,「実質的に限定正社員として働

く者といわゆる正社員が,雇用区分を分けずに同一の体系のもとに処遇される場合,後者は

前者に対して不公正を知覚する」である。

3.2 データ

調査対象は,素材系・機械系大手製造業の子会社でエンジニアリング事業を営むX社であ

る。筆者を含む調査プロジェクトは同社従業員を対象とした質問票を設計し,3)2012年 8 月21

日~31日,同社イントラネットを通じて配布・回収した。本稿で利用するデータは非管理職

の女性正社員115(回収率92%)と非管理職の男性正社員245(79.8%)の合計360サンプル

である。測定は 6点尺度(1.全く当てはまらない,2.当てはまらない,3.どちらかといえば

当てはまらない,4.どちらかといえば当てはまる,5.当てはまる,6.大いに当てはまる)で

ある。したがって基準値は3.5である。

X社の人事管理で特徴的なのは,2011年に事務系の派遣社員を正社員にまとめて転換した

ことである。その目的は彼女たちの技能向上と定着率を高めることであった。またX社の正

社員には,入社に至る経路と性別において 5つの異なるカテゴリーがあり,その出自につい

ては互いが知っている。 5 つのカテゴリーとは, ①定期採用の事務系・技術系男性社員 (130

人),②親会社からの出向・転籍含む中途採用の事務系・技術系男性社員(112人),③定期

採用の事務系・技術系女性社員(35人),④派遣社員から転換した事務系女性社員(49人),

⑤親会社からの出向・転籍含む中途採用の事務系・技術系女性社員(31人)である。なお無

回答が 3人いる。

多様な正社員と組織内公正性 27

3.3 変数

3.3.1 関係特殊投資

三層労働市場モデルの理論的基盤である「取引費用の経済学」(Williamson, 1985 ; 1996)

では,取引費用に影響を及ぼす属性は,資産特殊性,不確実性,取引頻度の 3つであると仮

定する。資産特殊性には,たとえば取引相手の工場に隣接した物流センターの建設,取引相

手の部品に特化した製作機械の購入,企業特殊的知識を学習・共有した人材などがある。取

引の不確実性は,取引相手の機会主義的行動を誘発し,取引費用を増大させる要因となる。

取引頻度は不確実性を低減するとともに資産特殊性を高める。

人的資産が特殊的となるのは,人材が組織内部の業務を通じて,市場で再配置することが

容易でない企業特殊技能を身につけるときである。労働者が所属企業においてのみ価値を持

つ企業特殊技能への投資を行うとき,雇用保障がなければ,労働者は事後的な経営者の機会

主義的な行動(解雇や賃下げ)のリスクに反応し,企業特殊技能への過少投資のインセンティ

ブが生じる(ホールド・アップ問題)。あるいは勤務地や職種変更を伴う異動は,それを受

け入れることが将来の昇進や雇用確保につながるという期待があるからである。その意味で

労使の間に組織都合の異動(拘束性)の受容が将来の利得につながるという心理的契約が成

立している。もし事後的に経営者が裏切り行為(解雇や賃下げ)をするかもしれないと社員

が疑えば,社員は拘束性の高い異動を受け入れることはしない。これもホールド・アップ問

題の一種である。

こういったホールド・アップ問題を克服するためには,労使双方によるリスク分担に関わ

る再契約履行の双務的コミットメントが必要となる。したがって関係特殊投資として企業特

殊技能への投資を従業員に要求するのであれば,雇用形態は雇用保障を約束した正社員にし

なければならない。日本の厳しい解雇権濫用法理は正社員の雇用保障に対する経営者のコミッ

トメントと補完的である。

さて具体的な変数であるが,企業特殊技能とは職場内訓練によって当該企業固有の文脈の

もとで発揮される技能であり,それを高めるための労働者のインプットを「関係特殊投資」

と呼び,変数として扱う。具体的には,「会社の戦略や中長期的課題を把握し,その実現に

向けて努力している」「製品知識向上のために,情報収集や自己研鑽に努めている」「職場の

人々と積極的にコミュニケーションをはかり,信頼関係を築けるよう努力している」「他部

署の人間や取引先とも積極的にコミュニケーションをはかり,信頼関係を築けるよう努力し

ている」「何かトラブルが生じた時に,原因を分析,把握し,同じ問題が起きないように努

力している」「職場のチームワーク向上に努めている」以上 6項目の単純加算平均である。

クロンバックαは.801であり,内的整合性は確保されている。

また拘束性の受容も関係特殊投資の一つである。組織都合による異動に関わり「会社の指

第208巻 第 1 号28

示であっても,職種が変わる異動は望まない」(逆尺度,分析時に補正),「転居を伴う転勤

があっても,仕事なら仕方がない」の 2つの質問項目の単純加算平均である。クロンバック

αは.439である。通常質問項目が 2つの場合はαは小さくなるので,この変数を「拘束性の

受容」として使用する。

3.3.2 タスク不確実性

三層労働市場モデルの横軸を構成する「タスク不確実性」は労働者が処理すべきタスクに

関して標準化されておらず,労働者が事後的に処理しなければならない情報量の多さを示す

(朴,2010)。具体的な質問項目は,「毎日同じような仕事の繰り返しである(逆尺度,分析

時に補正)」「過去に経験したことのない,新しい目標や課題が頻繁に発生する」「予定外の

事態がよく発生するので,計画を修正したり,臨機応変に対応することが多い」「性質の異

なる複数の仕事を任されており,時間やエネルギーの配分で困ることが多い」「課題を達成

するための具体的方法は明確に示されず,試行錯誤することが多い」「職場の同僚と互いに

協力し合わなければ,仕事がまわっていかない」以上 6項目の単純加算平均である,クロン

バックαは.797である。

3.3.3 公正性知覚

公正性知覚に関しては,田中(2007)や Collquitt (2001)を参照して,公正性を構成する

3要素から,それぞれ単一質問項目を設定した。比較対象のカテゴリーは性別,入社パター

ン別に,①定期新卒採用の男性正社員,②中途採用,親会社からの出向・転籍した男性正社

員,③定期新卒採用の女性正社員,④派遣社員から転換した女性正社員,⑤中途採用,親会

社からの出向・転籍した女性正社員の 5つの人材カテゴリーに分類する。なお,以降,①男

性定期,②男性中途,③女性定期,④女性転換,⑤女性中途とそれぞれ略記する。

「分配的公正性知覚」は「仕事内容の違いを考慮すると,(比較対象カテゴリー社員の)

処遇(評価,配置,給与等)に納得できる」である。

「手続き的公正知覚」は「(比較対象カテゴリー社員の)処遇の決定方法は納得のいくも

のである」である。

「対人的公正知覚」は「(比較対象カテゴリー社員は)上司から信頼されている」である。

対人的公正とは,手続き的公正にやや近いが,直属上司に代表される評価者,処遇決定者と

の信頼関係に基づく公正感である。

測定は 6点尺度(1.全くそう思わない,2.そう思わない,3.どちらかといえばそう思わな

い,4.どちらかといえばそう思う,5.そう思う,6.全くその通り)である。したがって基準

値は3.5である。

多様な正社員と組織内公正性 29

4 結 果 と 考 察

4.1 関係特殊投資とタスク不確実性の違い

図 2は人材カテゴリーごとに関係特殊投資とタスク不確実性の平均値を三層労働市場モデ

ルの平面上にプロットしたものである。X社では,非正規は全て正社員化され,処遇に関し

ても単一の処遇体系が適用されている。しかし実際は,人材カテゴリーごとにタスク不確実

性と関係特殊投資の程度が異なっていることが確認できる。タスク不確実性は,男性定期が

最も高く,女性転換が最も低い。つまり,不確実な業務は暗黙裡に男性社員に割り当てられ,

相対的に女性社員,特に女性転換には割り振られていない。また,女性転換と女性定期のカ

テゴリーの関係特殊投資の程度は,男性社員や女性中途に比べて相対的に低く,その会社で

しか使えないような企業特殊技能の習得に対するモチベーションに差があることも確認でき

る。

第208巻 第 1 号30

図 2 関係特殊投資とタスク不確実性の平均値(標準偏差)プロット図

関係特殊投資 タスク不確実性男性定期 3.99(.72) 3.85(.79)男性中途 4.15(.68) 3.62(.93)女性定期 3.85(.84) 3.32(1.11)女性転換 3.89(.63) 3.19(.74)女性中途 4.13(.71) 3.60(1.02)

3.00 3.20 3.40 3.60 3.80 4.00

タスク不確実性

4.30

4.10

3.90

3.70

3.50

関係特殊投資

男性定期男性中途女性定期女性転換女性中途

図 3は,縦軸に組織都合の職種転換や転居異動といった「拘束性の受容」の程度をおいた

ものである。こちらも関係特殊投資と同様の傾向が見られるが,女性中途を含めた女性社員

全般が男性社員より低い。これは,女性社員がおしなべて出産・育児・介護といったライフ・

イベントにまつわる役割の実質的ないし予期的な影響を受けているものと考えられる。つま

り,出産・育児・介護などのライフ・イベントに遭遇している女性ないしそれを予期する女

性は組織都合の拘束性の受容に関して男性社員より低いことが確認できる。

これらの分析結果から,それぞれの人材カテゴリーは形式的には同じ処遇体系が適用され

ているものの,実際には性別や入社パターンによって配置や仕事の割り当てが行われており,

また従業員の側から見れば企業特殊技能投資や拘束性受容といった関係特殊投資に対する態

度も異なることが確認される。本来,三層労働市場モデルが想定するのは,図 1に示した通

り,右上にコア人材としての「正社員」,中ほどにハイブリッド人材としての「限定正社員」

や「基幹化非正規」,そして左下にペリフェラル人材としての「非正規」といった,仕事の

内容や人的資本投資の違いによって分類することにある。しかし,X社では暗黙裡に性別の

多様な正社員と組織内公正性 31

図 3 拘束性の受容とタスク不確実性の平均値(標準偏差)プロット図

拘束性の受容 タスク不確実性男性定期 3.39(1.12) 3.85(.79)男性中途 3.25(1.15) 3.62(.93)女性定期 3.01(1.10) 3.32(1.11)女性転換 2.83(.98) 3.19(.74)女性中途 2.86(1.42) 3.60(1.02)

3.00 3.20 3.40 3.60 3.80 4.00

タスク不確実性

3.90

3.70

3.50

3.30

3.10

2.90

2.70

2.50

拘束性の受容

男性定期男性中途女性定期女性転換女性中途

違いが,そのシグナルになっている可能性がある。

ただし,女性中途のカテゴリーではタスク不確実性,関係特殊投資ともに男性社員とあま

り差がない。女性中途は他の女性社員と比べて,年齢層が高く,出産・育児などのライフ・

イベントをくぐり抜けてきた人が多い。その過程で仕事意欲の低い人はすでに退職している

可能性がある。結果として,この層では男女の分け隔てない仕事の割り振りが行われ,また

働く側の企業特殊技能獲得の意欲も高いということが見出される。

4.2 組織内公正性の知覚

次に,回答者が自身と比較して,各カテゴリーに対してその公正感をどのように感じてい

るか,すなわち比較対象となるカテゴリーを指定して「分配的公正」,「手続き的公正」,

「対人的公正」に関わる知覚を尋ねた結果が表 2である。

分析結果において,3.5という中間値を超えた平均値を持つものが多い。したがってX社

では,カテゴリー間で互いに極端に大きな不平,不満が存在しているわけではない。しかし

第208巻 第 1 号32

表 2 各回答者が各比較対象と比較した公正感

比較対象

男性定期 男性中途 女性定期 女性転換 女性中途

分配手続き

対人 分配手続き

対人 分配手続き

対人 分配手続き

対人 分配手続き

対人

男性定期

3.58 3.48 3.75 3.63 3.58 3.71 3.46 3.42 3.69 3.56 3.51 3.61

男性中途

3.81 3.79 3.92 3.74 3.71 3.91 3.68 3.69 3.84 3.74 3.73 3.82

女性定期

3.94 3.71 4.03 3.52 3.35 3.81 3.16 3.23 3.71 3.42 3.22 3.78

女性転換

3.93 3.88 4.09 3.86 3.75 4.02 3.61 3.43 3.87 3.84 3.74 4.00

女性中途

3.62 3.38 3.77 3.31 3.23 3.50 3.54 3.38 3.63 3.08 2.85 3.08

質問項目:「分配的公正性」は「仕事内容の違いを考慮すると,(比較対象カテゴリー社員の)処遇(評価,配置,給与等)に納得できる」。「手続き的公正」は「(比較対象カテゴリー社員の)処遇の決定方法は納得のいくものである」。「対人的公正」は「(比較対象カテゴリー社員は)上司から信頼されている」。

結果を細かく見ると,女性中途は,女性転換に対して,手続き的公正の値が 3を切る等,不

公正を感じていることが見てとれる。これについての解釈は二通り考えられる。一つは,女

性中途は女性転換に対して同情的な評価をしているという見方である。これまで特定の職場

で派遣社員として働いていた女性のうち,正社員への転換を機に全く不慣れな仕事に配置換

えされたケースがある。女性中途はその当事者ではないものの,第三者的に不満を頂いてい

る,という可能性である。

もう一つの見方は,単純に,女性転換の投入(input)と報酬(outcome)を自分たち女性

中途と比較すると,女性転換が優遇されていることに不満を持っているということである。

「仕事内容の違いを考慮すると」という前提をおいた質問をしているので,こちらの解釈の

ほうが自然であろう。

次に,女性定期と女性転換は,男性社員は(自分たちよりも)上司から信頼されていると

感じている。ただし女性中途にはこのような傾向は見られない。このことは,川口(2008)

や小泉(2013)が言うように,男性上司が女性定期と女性転換に対して「嗜好による差別」

(Becker, 1957)を行っている可能性を示唆する。男性上司は女性定期と女性転換に対して,

例えば「彼女たちに強い要求をするのは気の毒である」そして「骨の折れる仕事は男性の部

下に頼む」といったパターナリズム的思考によって対応しているという解釈である。そのこ

とが女性定期と女性転換が「(自分に比べて)男性社員は上司から信頼されている」と感じ

ることにつながっている可能性がある。

5 今後の正社員の多様化に関わる課題

本稿では,日本企業の人事管理の基本原則が,資源分配の格差を低く保つことで公正性を

確保しようとする(準)平等原則から,組織や企業への貢献度に応じて資源(報酬など)を

分配する衡平原則の考え方へ大きく転換するなか(守島,2008),正社員の多様化が新たな

組織内公正性の問題を生み出している可能性を示した。

多様化する正社員のなかで,非正規からの転換の受け皿となる雇用区分として期待されて

いるのが,勤務地や職種あるいは勤務時間が限定される限定正社員である。このとき限定正

社員といわゆる正社員の雇用区分間の均衡・均等整備の取り組みが重要となるが,それをど

のように設計するかは難しい問題である。賃金水準だけを取り出しても,勤務地,職種,労

働時間などの限定に応じて,一律に決まるものではなく,処遇水準の相違に関して社員の納

得が得られるような説明ができるかである(佐藤,2012)。

事例で見たように,実質的に働き方や勤労意識に差異がある人材群(カテゴリー)が,正

社員の雇用区分のなかに複数存在しているにもかかわらず,単一の処遇体系を適用する場合,

人材カテゴリーの間で不公正を知覚する可能性がある。衡平理論に即して考えれば,比較対

多様な正社員と組織内公正性 33

象と比べて不公正を知覚したカテゴリーは,自身のインプットを減らすことで均衡を回復さ

せようとするかもしれない。それは組織効率の悪化につながる。雇用区分の再設計が必要な

理由はここにある。

しかしその一方で,正社員の多元化は決して新しい現象ではない。振り返れば1970年代後

半あるいは80年代に総合職と一般職というコース別管理が行われていた。当時は,コース別

管理は総合職は男性,一般職は女性という形で,女性を一般職の雇用区分に閉じ込めて,男

女の階層性を固定化してしまうという問題が指摘されていた。その後,非正規の基幹化や派

遣社員による代替が進み,一般職は少なくなってきたわけだが,見方を変えると,現在進行

中の正社員の多様化は,一般職の復活につながるかもしれないという問題を孕んでいる。つ

まり以前の総合職と一般職のコース別管理が,いわゆる正社員と限定正社員という形に代わっ

て復活し,男性と女性の働き方の固定化につながりかねない。

この問題にし対して,佐藤(2012)が言うように正社員の雇用区分を多元化した場合,正

社員内の雇用区分間の転換ルールをどのように設計し,運用するかが課題となる。ワーク・

ライフ・バランスや女性活躍推進の観点からも,育児などのライフ・イベントに遭遇した,

いわゆる総合職がひととき限定正社員に転換し,育児に目途が立てばまた総合職に復帰する

ような柔軟な双方向の転換が望まれるだろう。もちろんその制度を活用する対象は男女とも

にである。三層労働市場モデルに即して,自社の雇用区分のあり方を労使のコミュニケーショ

ンのもと綿密に検討することが,組織内公正性の課題解決に向けて重要である。

1) 仁田・久本編(2008)は,雇用状況から見た戦後から現在に至る時代区分を,「戦後復興期」

(1945~1960年)「高度経済成長期」(1960~1974年),「安定成長期」(1975~1996年),「平成雇用

不況期」(1997~)に分けている。

2) Leventhal (1980) によれば,手続き的公正が認知されれば,その結果としての分配もまた公

正であると認知されると仮定し,手続き的公正の知覚対象となる構成要素として①一貫性,②偏

見の抑制,③情報の正確さ,④修正可能性,⑤代表性,⑥倫理性の 6つをあげる。 守島(1997)

は日本の実情に合わせて手続き的公正を高める施策を①情報公開,②苦情処理,③発言の 3種に

整理している。

3) 質問票の設計および分析は小泉大輔(神戸大学経営学研究科研究員)と余合淳(同博士課程後

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