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ミディ・ピレネー地方 プレス資料 ベスト オブ ミディ・ピレネー 史跡 人々 自然 グルメ 祭りとイベント

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ミディ・ピレネー地方

プレス資料

ベスト オブ ミディ・ピレネー史跡 人 々 自然 グルメ 祭りとイベント

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目次 ベスト オブ ミディ・ピレネー 史跡と文化 主な見どころ : ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 トゥールーズ、アルビ、ルルド、コルド・シュル・シエル、サン・ベルトラン・ド・コマンジュ、 コンク、ラルザック地方のテンプル騎士団、聖ヨハネ騎士団ゆかりの地、モワサック、ロカマ ドゥール 独特な風土を生み出すもの : ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 サンチャゴ・デ・コンポステーラ巡礼街道、カタリ派、城砦、パステル ベスト オブ ミディ・ピレネー ゆかりの人物や作品 ミディ・ピレネーが輩出した著名人 : ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 ダルタニャン、シャンポリオン、アングル、トゥールーズ=ロートレック、ゴヤ、ジョレス 新着情報 : ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 ロデズにスラージュ美術館オープン 天才の軌跡 : ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 ミディ運河、ピック・デュ・ミディ天文台、エアバス工場、ミヨー高架橋 工芸品 : ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 ライヨールナイフ、レヴェルの家具、ミヨーの手袋、コサードの帽子、など ベスト オブ ミディ・ピレネー 大自然とレジャー 大自然 : ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 ピレネー山脈、峡谷や渓谷、高原、自然公園 大自然でリフレッシュ: ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 ハイキング、アウトドアスポーツ、運河クルーズ、スパでリフレッシュ ベスト オブ ミディ・ピレネー グルメとイベント 高級食材 : ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 フォワグラ、豚肉加工品、カスレ、肉、フルーツ、チーズ、ワイン、アルマニャック、など 主なイベント : ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 マルシアック・ジャズフェスティバル、アロール・シャント!、リオ・ココ、シルヴァネス宗教音楽

祭、テンポ・ラティーノ、など

ベスト オブ ミディ・ピレネー 数字で知るミディ・ピレネー 面積、人口、観光客のプロフィール、マーケットシェア、など・・・・・・・・・・・・・・・ 21 ミディ・ピレネー地方マップ

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ベスト オブ ミディ・ピレネー

史跡と文化 主な見どころ 風景、人々、歴史が織りなすハーモニーが美しいミディ・ピレネー地

方。フランスでもっとも広大な地方で、大聖堂、修道院、古城、中世

の村々などから構成される、まさしく生きた大絵巻。ミディ・ピレネ

ー地方の名声を世にあまねく知らしめる魅力あふれる数々の見どころ

を訪ねる。 トゥールーズ Toulouse ミディ・ピレネー地方の首都。大都市だが、小さな村の精神が息づい

ている。トゥールーズの魅力を醸し出しているのは、町並みの美しさ、

大都市ならではの興奮、そして心から味わえるリラックスした気分。

歴史のある地区は簡単に歩いて回れる。ルネッサンス時代に建てられ

た富豪の邸宅の数々、荘厳なキャピトル広場 place du Capitole。サン・セルナン聖堂 basilique Saint-Sernin(ロマネスク建築の建物としてはヨーロッパ最大)、ジャコバン修道院 cloîtres des Jacobinsやオーギュスタン修道院 cloîtres des Augustins…。更に、市内にはいくつも美術館、博物館があり、また天気のいい日にはトゥールーズっ

子たちが散歩に繰り出すガロンヌ川の岸辺も捨てがたい。 アルビ Albi イタリアのトスカーナ地方を思わせる穏やかな風景の中にあるアルビ。

ルネッサンス期の邸宅、木組みの家々、ロマネスク建築の教会や回廊

があり、フランスにおいて歴史保護地域が最も広大な町のひとつ。ア

ルビはまたキリスト教の異端とされたカタリ派を受け入れた町として

も知られ、討伐する十字軍は「アルビジョワ十字軍」と呼ばれた。カ

タリ派を制圧したカトリックは教皇の威厳を見せつけるため、13世紀に二つの威圧的な建物を建てた。サント・セシル大聖堂 cathédrale Sainte-Cécileと、現在はトゥールーズ=ロートレック美術館 musée Toulouse-Lautrec.となり、17世紀の庭園が素晴らしいベルビー宮Palais de la Berbieである。 コルド・シュル・シエル Cordes-sur-Ciel アルビからほど近いところにあるコルド・シュル・シエルはミディ・

ピレネー地方でもっとも古く、またもっとも有名な要塞都市。カタリ

派を守るため、1222 年にトゥールーズの伯爵によって作られ、14 世紀から 15世紀にかけて繁栄した。かつて「錬金術師のふるさと」と異名をとった町の潤いぶりは、砂岩で作られた黄土色、薄紫色、灰色な

どの瀟洒なゴシック建築の邸宅を見ても明らか。 カオール Cahors 優美な曲線を描くロット川沿いにあり、黄金色に輝く石造りの家々の

間をくねくねとした小道が走る町、カオール。ローマ時代にはすでに

重要な町として栄え、ガリア=ローマ時代の浴場が今も残っている。

13 世紀にはヨーロッパにおける重要な経済的な拠点のひとつとなった。この黄金時代のものとしては、世界遺産に指定されたヴァントレ橋

pont Valentré、サン・テティエンヌ大聖堂 cathédrale Saint-Etienne、サン・ジャン塔 Tour Saint-Jeanのある城壁、バデルヌ地区 Badernes、スービルー地区 Soubirous…と、多くの素晴らしい遺跡が残されている

マジック・タッチ

「ここから、1年もの間、ひとつとして

同じではない絵を何枚も描けるだろう。そ

して描かれたすべての絵が素晴らしいに違

いない」コルド・シュル・シエルについて

述べたトーマス・エドワード・ロレンス

(アラビアのロレンス)の言葉。

ミディ・ピレネーの情緒を味わう

ルルドで兄弟愛を感じる

ルルドは西洋においてもっとも重要な巡

礼地。「兄弟愛」という言葉の持つ意味を

実感できる土地だ。1858年、少女ベルナデ

ット・スービールの前にマリアが現れた泉

のある洞窟では毎日人々が集まり熱心に祈

りを捧げている。泉の脇にはプールが作ら

れ、毎日病人が水浴びを行っている。現在

までに65名の病人が奇跡的に治癒したと認

定された。そして、何万人ものボランティ

アが彼らを支えている。ロゼ―ル聖堂、聖

ピオ10世地下聖堂などこの聖地を構成する

あらゆる場所で感動を覚えることができる

だろう。 位置情報

◇トゥールーズ:オート・ガロンヌ県。人口

76万人、フランス第4の都市。

◇アルビ:タルン県。トゥールーズより76

㎞北部に位置する。

◇コルド・シュル・シエル:タルン県。アル

ビより25㎞北西。

◇カオール:ロット県。トゥールーズより

113㎞北部。

◇ルルド:オート・ピレネー県。タルブ

Tarbesより21キロメートル南西。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー 史跡と文化 主な見どころ

サン・ベルトラン・ド・コマンジュ Saint-Bertrand-de-Comminges ピレネー山脈を背に建てられたサン・ベルトラン・ド・コマンジ

ュは古代にグナエウス・ポンペイウスによって作られた町で、中世

に作られた城壁からローマ時代の遺跡を見下ろすことができる。サ

ント・マリー大聖堂では内陣仕切りの素晴らしい木彫りの装飾やル

ネッサンス時代の装飾を施されたオルガン、ピレネーの山に向かっ

て開かれた回廊などを見て欲しい。 コンク Conques サン・ベルトラン・ド・コマンジュとは逆に、コンクは谷間に作

られた町だ。金箔に覆われ宝石をちりばめられた像の中に聖女フォ

アの聖遺物が納められた秘宝(11~12 世紀)があるので知られる。サンチャゴ・デ・コンポステーラ巡礼の重要な聖地としても知られ、

サント・フォア大修道院付属教会の正面にある「最後の審判」を表

したタンパンは中世彫刻の最高傑作。ロマネスク様式の教会の完璧

なまでの美しさに感動した現代画家ピエール・スラージュは教会の

ためにステンドガラスを製作している。 テンプル騎士団、聖ヨハネ騎士団ゆかりの地 cités templières et hospitalières テンプル騎士団、聖ヨハネ騎士団ゆかりの史跡がコース・ド・ラ

ルザック地方に点在している。1152年よりラルザック地方はテンプル騎士団の支配する王国となっていたが、1312年にテンプル騎士団が廃止されたのちは、1792年まで聖ヨハネ騎士団が受け継いだ。85キロほどの街道を成しているのは、ラ・カヴァルリー La Cavalerie、ラ・クーヴェルトワラド la Couvertoirade、サント・ウラリー・ド・セルノン Sainte-Eulalie-de-Cernon、ル・ヴィアラ・デュ・パ・ド・ジョ le Viala-du-Pas-de-Jaux、そしてサン・ジャン・ダルカス Saint-Jean-d’Alcas。いずれも非常に保存状態のよい城壁が残っている。 モワサック Moissac モワサックはサンチャゴ・デ・コンポステーラ巡礼街道の重要な

聖地である。モワサックの僧侶たちは非常に創意あふれる建築家だ

ったようだ。7世紀に建てられたサン・ピエール修道院 abbaye Saint-Pierre は何世紀もの間、影響を与え続けた。1100 年に作られた回廊は、四隅の柱には使徒の浮き彫りが、76 本の柱頭には植物や動物、聖書の場面などが彫られている。この時代に作られた回廊で、

モワサックの回廊のように完全な状態で残っている例は他にない。 ロカマドゥール Rocamadour アルズー峡谷の絶壁に張り付いた村ロカマドゥールは黒いマリア

像と聖アマドゥールの聖遺物を詣でるために 12 世紀より巡礼者であふれかえる聖地である。7つの教会が重なり合うように建てられ

ている非常にユニークな史跡。

ミディ・ピレネー特有の宿泊施設 特色ある宿泊施設

13世紀の古城、中世の村の中心にあ

る家、アルマニャックのブドウ畑に囲

まれた一軒家…。ミディ・ピレネー地

方では民宿やホテルに宿泊しながら文

化を感じることができる。しっかりと

したサービスと施設を保証しつつ、特

色ある宿泊施設を提供できるのはミ

ディ・ピレネー地方だけである。

ミディ・ピレネーの情緒を味わう

コンクはフランスでも有数の観光地で

ある。ロマネスク芸術がこれほど溢れ

ている場所はなかなか他にはない。赤

褐色の石や銀色やバラ色、藤色に輝く

瓦が調和する町は見事である。

位置情報 ◇サン・ベルトラン・ド・コマンジュ

オート・ガロンヌ県。トゥールーズよ

り113キロメートル北西に位置する。 ◇コンク アヴェロン県。ロデズより

39㎞北。

◇ラルザック地方テンプル騎士団、ホ

スピタル騎士団ゆかりの地 ミヨーよ

り20㎞南

◇モワサック タルン・エ・ガロンヌ

県 モントーバンより30㎞南

◇ロカマドゥール ロット県。カオー

ルより60㎞北。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー 史跡と文化

独特な風土を生み出すもの サンチャゴ・デ・コンポステーラ巡礼街道

Les chemins de Compostelle 歩く楽しみや精神の探求あるいは単なるバカンス。それぞれ理由

はさまざまだが、多くの人がミディ・ピレネー地方のサンチャゴ・

デ・コンポステーラ巡礼街道を行く。ミディ・ピレネー地方には

ル・ピュイ・アン・ヴレーPuy-en-Velay 街道、アルル Arles 街道、ピエモン・ピレネアン Piémont Pyrénéen 街道、と3本の街道が通ってる。いずれもサンチャゴ・デ・コンポステーラ巡礼街道の真髄が

味わえる街道だ。計 135 キロある街道上に、巡礼の重要な道しるべとして世界遺産に指定された史跡が 33 か所ある(フランス国内には 76か所)。コンクのサント・フォア大修道院付属教会 abbatiales de Conques、モワサックの教会、トゥールーズのサン・セルナン聖堂 basilique Saint-Sernin de Toulouse、ロミウーの聖堂 collégiale de la Romieu、カオールのヴァラントレ橋 pont Valentré などが挙げられる。

カタリ派 Le catharisme カトリックから異端とされるカタリ派は南フランスを中心に信仰

を集めたキリスト教の一宗派。ミディ・ピレネー地方は特に多くの

「善良な人々」(カタリ派の人々はそう自称した)がいた地方であ

る。この世は悪である、と考え、教会の富を拒絶したカタリ派の拡

大に危機感を抱いたカトリックは 1209 年よりアルビジョワ十字軍を派遣。最終的にはこの派遣により、オック語圏のオクシタニアが

フランスに組み入れられることになった。 アリエージュ県にあるモンセギュール城 château de Montségur は標高 1200 メートルの高さにそそり立つ峰の尖峰に建てられた城だが、ロクシタニアの領主や伯爵たちの援助を受け、カタリ派が籠城

して抵抗を続けた拠点である。 モンセギュールから始まる「善良な人々街道」をたどれば、さら

にカタリ派ゆかりの地を訪ねることができる。フォワ城 château de Foix やロックフィクサッド城 château de Roquefixade(アリエージュ県)、マザメ Mazamet のカタリ派記念博物館 musée de la Mémoire du Catharisme Occitan(タルン県)、コルド・シュル・シエル Cordes-sur-Cielの城塞(タルン県)をはじめ、数多くの遺跡がミディ・ピレネーには残されている。

ミディ・ピレネー特有の文化 オクシタニア十字

オクシタン十字は 12 世紀のトゥールーズ伯爵家の紋章。ミディ・ピレネー

の人々が、旗や紋章を見る度に自分た

ちの存在を確認できるシンボルである。

ロクシタン十字は完全な宇宙の象徴で、

ロクシタニアの言語、精神、文化を表

す。ロクシタニアは現在のフランスの

南部地方に相当する。ロクシタニア文

化は現在でもさまざまな形で残ってい

る。ラジオやテレビの番組、文学、詩

(詩作の伝統は中世の吟遊詩人にまで

さかのぼることができる)、音楽、ダ

ンス、祭り…。もちろんカスレやフォワグラのような郷土料理にも残ってい

ることを忘れてはならない。 ミディ・ピレネーの特産物 トゥールーズのスミレ トゥールーズのスミレはトゥールーズ

独特の品種で 19世紀半ば頃より見ることができるになった花である。やさし

く繊細な香りが特徴で、冬に咲く。ト

ゥールーズでは、町のシンボルとなっ

たスミレに捧げられた祭りも開催され

るほか、スミレを使った石鹸やオー・

ド・トワレなどの化粧品、飴やキャラ

メルなどの食品も人気。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー 史跡と文化 独特な風土を生み出すもの

要塞都市 コローニュ Cologne、ミランド Mirande、モンプザ・ド・ケルシー

Montpezat-de-Quercy、ロゼルト Lauzerte、ヴィルフランシュ・ド・ルエルグ Villefranche-de-Rouergue、ナジャック Najac、リル・シュル・タルン Lisle-sur-Tarn…。これらの村はいずれも要塞化した村である。13 世紀から 14 世紀にかけて作られた要塞は地方内におよそ 300 ほどが残されており、1144 年に作られたモントーバンMontauban の要塞が最も古く、最新の要塞は 1342 年に作られたルヴェル Revel の要塞だ。要塞は歴代のトゥールーズ伯やフランス国王、領主や聖職者たちの軍事、経済、社会的な戦略のために、非常

に革新的な都市計画に則って造られた。中央広場を中心に細分化さ

れた区画が規則的に広がり、あらゆる交流の場であった広場に面し

て、マルシェが開かれるホールや選ばれた執政官たちのための会館

が並ぶ。このようにきちんと画一的に整備されている一方、要塞そ

れぞれは非常に個性的だ。城塞が四角形のものもあれば、楕円形に

伸びているものもある。広場を囲む屋根が、アーケードで支えられ

ているものもあれば、支柱に支えられているものもある。ホールの

骨組みがシンプルなものも複雑なものもあれば、石材、レンガ、土

なでの材質のものもある。隣の要塞と似ている要塞、などというこ

とはありえないのである。 パステル Le pastel ルネッサンス文化はミディ・ピレネー地方全域において花開くが、

顕著なのがトゥールーズである。トゥールーズには 16 世紀にパステル交易で財を成した商人たちの豪邸が数多く残されている。パス

テルは染料として使われる植物で、布地やタピスリーの糸、画材な

どを美しい藍色に染め上げヨーロッパで大流行した。気候と土壌が

栽培に適したアルビ、トゥールーズ、カルカッソンヌを結ぶ三角地

帯で産業として発展した。染色には葉の部分のみを使う。粉砕して

発酵させた後、ピンポン玉大の堅い塊りにして出荷する。その塊り

を極楽を意味するコカーニュと呼び、一帯をコカーニュの王国、す

なわち桃源郷、と呼ぶほど繁栄をもたらしたのである。パステルの

思い出の片鱗は、トゥールーズ南部のロラゲ地方やタルン県にある

マグラン城博物館、ジェール県レクトゥール Lectoure で今でもパステルを使って作業を行っている世界でも珍しい工房「藍のアトリ

エ」などに見ることができる。トゥールーズでは、贅に糸目をつけ

ない豪商たちが競って豪華絢爛な邸宅を建てた。誰がもっとも瀟洒

な邸宅を建てるのか、どこの邸宅の塔が一番高いか、最も豪奢な本

館は誰の家か…。アセザ邸 Hôtel d'Assézat、ベルニュイ邸 Hôtel de Bernuy、ヴィユー・レザン邸 Hôtel du Vieux Raisin、ピエール邸Hôtel de Pierre、メイ邸 Hôtel du May…など、市内にはこのようにして建てられた邸宅が 70軒以上も残っている。

ミディ・ピレネーの情緒を味わう

バスティード(要塞都市)は、見ての

通り周囲を建物が取り囲んでいる。建

物は、一般住居だったが、それぞれが

固有の歴史をもつような特徴を石の中

に見ることができ、ひとつとして同じ

建築物はない。 ミディ・ピレネー特有の文化 ラグビー ミディ・ピレネーでは、ラグビーは単

なるスポーツという概念を超えた存在

だ。19 世紀末にイギリスから伝わったラグビーはあっという間に地方内のほ

とんどの地域に広まった。アルビやト

ゥールーズのような都会でもモントー

バンやカストルのような村でも、ラグ

ビーは常に大きな興奮を呼ぶ。もはや

宗教と言ってもよいくらいだ。作家の

アンリ・ロゼスも「パステル王国にお

いてはラグビーは神である」と書いて

いる。 日曜日に行われる試合では世代を超え

た観客が家族や友人と会場に集まる。

2007 年にはワールドカップの会場ともなったことでもわかるが、ヨーロッパ

選手権で 16 回優勝しているトゥールーズのチーム、スタッド・ド・トゥール

ーザンをはじめ、100 年もの間フランスの強豪チームがいるのもミディ・ピ

レネー地方である。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー ゆかりの人物、その作品や事業

ミディ・ピレネーが輩出した著名人 トゥールーズ=ロートレック、シャンポリオン、ダルタニアン…。芸術家や探検家、あるいは物語のヒーローの軌跡を辿ることにより、

彼らが生まれた町や村の美しさを再認識したい。

ダルタニャン D’Artagnan. ミディ・ピレネー地方は多くの著名人を輩出しているが、その中

にダルタニアンが含まれることはミディ・ピレネー地方にとって誇

らしいことである。ダルタニャン、本名シャルル・ド・バツ=カス

テルモールが生まれたのはジェール県のカステルモール城 château de Castelmore、1615 年頃のことである。人生の成功を求めて 20歳でパリに出たシャルルはダルタニャンと名乗るようになり、やが

て彼の冒険を全世界の人々が知るところとなるのである。ダルタニ

ャンの燃えたぎるような心、勇気、忠誠心は今でもアルマニャック

地方ガスコーニュの人々の心に残っている。オーシュ村 Auch にはダルタニャンの像があり、リュピアック村 Lupiac にはダルタニャンセンターがある。そしてテルム・ダルマニャック城 château de Termes d’Armagnac はガスコーニュの勇士たちをテーマにしたパナッシュ・ガスコン博物館 musée du Panache Gasconとなっている。

ジャン=フランソワ・シャンポリオン Jean-François Champollion

1790 年、フィジャック Figeac に生まれたジャン=フランソワ・シャンポリオン。生家は「シャンポリオン-世界の文字博物館

musée des Ecritures du Monde」となり一般公開されている。時代を問わず、さまざまな文明の文字を対象とした博物館はヨーロッパで

唯一のものである。博物館に隣接したエクリチュール広場 place des Ecritures には、黒い花崗岩による大きな石碑がある。これはアメリカ人アーティストのジョセフ・コスースが手掛けた作品で、シャン

ポリオンが解読に成功したヒエログラフの書かれたロゼッタ・スト

ーンを表している。フィジャックは洗練された建物が数多く残り、

「歴史と芸術の街」ラベルにも登録されている美しい町。世界の文

字博物館と合わせ、ゆっくり堪能したい。 ジャン=フランソワ・アングル Jean-Dominique Ingres ジャン=フランソワ・アングルは、1870 年にモントーバン

Montauban で生まれた。近郊に多くの果樹園が点在する南部の美しい町である。タルン川沿いにある 17 世紀の古い司教館が美術館となっており、油彩画、デッサンなどアングルの作品が展示されてい

る。アングルは細かい観察眼と精密な描写で知られる画家である。

アングルが描いた作品からもモントーバンの町の細部が見て取れる。

モントーバンはのんびりした町のイメージがあるが、なかなかどう

して、素晴らしい史跡が隠されているのである。1144 年に建てられた厳つい要塞、洗練された装飾が美しい豪奢な数々の邸宅。その

ほかに見ておきたいものとしては、ナシオナル広場 place Nationaleを囲む不揃いなアーケードやサン=ジャック教会 église Saint-Jacquesにある

砲弾痕があげられる。ルイ 13世

がプロテスタントだったモントー

バンを制圧しようとした際の名残

である。

ミディ・ピレネー特有の文化

シャンポリオン-世界の文字博物

2007 年7月末オープン。古代メソポタミアで誕生した文字からデジタル文

字に至るまで、世界の文字の歴史をテ

ーマごとに8つの展示室で紹介する。

展示コレクションを充実するにあたっ

て苦慮されたのは、展示対象物である

文字の歴史の古さとその範囲の広さで

ある。その結果、3000 年以上も前の古い絵文字が記載されている板、不思議

な文字の書かれた陶器の盃、または 17世紀に数ヶ国語で書かれた聖書、と言

ったように非常に希少価値の高いもの

が陳列されている。シャンポリオン博

物館には文字に関する展示物が 800 点を数え、すべてオリジナル品か、厳密

なレプリカである。ルーブル美術館、

ケ・ブランリー美術館から貸し出しを

受けている展示物もある。 位置情報 ◇リュピアック Lupiac:ジェルス県、オーシュ Auchより 25㎞南。 ◇フィジャック Figeac:ロット県、カオール Cahorsより 70㎞東。 ◇モントーバン Montauban :タルン・エ・ガロンヌ県、トゥールーズより 50㎞北。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー ゆかりの人物、その作品や事業 ミディ・ピレネーが輩出した著名人 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック

Henri de Toulouse-Lautrec ベルビー宮 Palais de la Berbieはサント・セシル大聖堂 cathédrale

Sainte-Cécile と並び、アルビで威容を誇るレンガ造りの素晴らしい建築物。1864 年、アルビ生まれのトゥールーズ=ロートレックにとって、遠く日本にまで届くその才能を紹介するのに、これ以上の

環境はないだろう。 13 世紀に造られたベルビー宮は、現在はトゥールーズ=ロートレックの最大の美術館として、デッサン、油彩画、リトグラフなど

1000 点以上もの作品が展示されている。パリのキャバレー、売春宿、芸術家やダンサーなど 19 世紀のさまざまな光景を対象とした作品群である。館内を歩けば、故郷アルビ同様華やかに彩られたト

ゥールーズ=ロートレックの世界に浸ることができる。

フランシスコ・ゴヤ Francisco Goya フランス式庭園が美しい 17 世紀に建てられたカストル Castres の司教館がフランシスコ・デ・ゴヤの美術館となっている。ゴヤはカ

ストルで生まれたわけではないが、19 世紀末、ゴヤはこのタルン県の町の魅力の虜となった。ゴヤは「眼鏡の自画像」が有名だが、ゴ

ヤ美術館はルーブルに次いで、14 世紀からピカソに至るまで、スペイン美術のコレクションが充実していることで知られている。 ジャン・ジョレス Jean Jaurès カストル Castresは、フランス社会主義の生みの親であるジャン・ジョレスゆかりの町としても有名だ。20世紀初頭、進歩主義的な活動を民衆のために行った政治家として知られるジャン・ジョレスは

1859 年にカストルで生まれ、生家はスール・リシャール通りに現在も残っている。国立ジャン・ジョレスセンターには写真や当時の

新聞、絵や自筆原稿を展示されており、この偉大な活動家の人生に

触れることができる。

位置情報 ◇ アルビ Albi : トゥールーズより76㎞北部に位置する。 ◇カストル Castres : タルン県。アルビより43㎞南。

ミディ・ピレネー特有のもの

宝石箱のような美術館・博物館

トゥールーズ=ロートレック美術館となっ

ているアルビのベルビー宮、アングル美術

館となっているモントーバンの司教館、ゴ

ヤ美術館となっているカストルの司教館だ

けではなく、ミディ・ピレネー地方はあらゆ

る地域で美術に触れることのできる地方だ。

トゥールーズでは、16 世紀建設の学校

が改修され、考古学・古代文化の博物館、

サン・レイモン博物館 musée Saint-Raymond となっている。由緒あるアセザ邸

Hôtel d'Assézat はバンベルグ財団美術館

となり、ルネッサンスから 20 世紀にかけ

ての美術作品や工芸品を展示している。

かつては屠殺所だったユルバン・ド・ヴィト

リーUrbain de Vitry は現代美術センター

Centre d'Art Contemporain として生まれ

変わった。オーギュスタン修道院 cloître des Augustins はオーギュスタン美術館

musée des Augustins となり、ゴシック時代

の彫刻、宗教絵画、円柱や柱頭に施され

たロマネスクの彫刻などのコレクションで

知られている。ガロンヌ河沿岸には、トゥー

ルーズ市内に飲料水を運ぶ役割を果たし

ていた塔が、現代写真の殿堂となっている。 ミディ・ピレネー各地で由緒ある建物が

美術館、博物館となり、展示コレクションに

付加価値を与えている。 ロ デ ズ に は 、 個 人 の 邸 宅 が 紀 元 前

2600 年のものをはじめ数多くのメンヒル

を所蔵するユニークなフナイユ博物館とな

っている。アヴェロン峡谷のモトリクー城

château de Montricoux はモントーバン生

まれでマティスの友人であるが、残念なが

らあまり知られていない画家マルセル・ル

ノワールの美術館となっている。リル・ジュ

ルダン L’Isle-Jourdain には、ヨーロッパ鐘

楼 博 物 館 musée européen d’Art Campanaire があり、バスティーユの鐘を

はじめ、数多くの希少な展示物がある。 更に、サル・ラ・スルス Salles-la-Source

にある充実したコレクションを誇るルエル

グ工芸美術館 Musée des Arts et Métiers du Rouergue、ラバスティッド・ルエルー

Labastide-Rouairoux のテキスタイル美術

館 Musée du Textile、コンドム Condom の

ア ル マ ニ ャ ッ ク 博 物 館 Musée de l'Armagnac、そしてコルド・シュル・シエル

Cordes-sur-Ciel の砂糖博物館 Musée du Sucre も挙げておきたい。

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新着情報

ロデズにスラージュ美術館オープン

スラージュ美術館 Musée Soulages 2014 年 5月 24日、アヴェロン県ロデズにスラージュ美術館がオープンした。世界が認める、現代アート界でももっとも刺激的でパワ

フルな才能を紹介する美術館のオープンはフランス内外から注目が

集まる出来事である。スラージュの生まれ故郷に素晴らしいコレク

ションを所蔵する珠玉のような美術館が誕生することは、地元の

人々にとってもこの上ない誇りである。 スラージュ美術館創設の話が浮上したのは、2005 年にスラージュ夫妻が 500 点にも及ぶ作品や関連資料をロデズに寄贈することを決意したことによる。コンクの教会のステンドガラスを制作した際の習

作や版画作品、数多くの紙に描いた作品(くるみの果皮から創った

染料を用いた作品を含む)、油彩画、そして多数の資料(著作、カ

タログ、書簡など)などから成るこの寄贈は評価額が 4000 万ユーロにものぼり、あらゆる面において過去に例をみないほど大規模な

ものとなった。コレクションは直ちに「フランス美術館 Musée de France」のラベルを受け、ロデズ市はレースのような繊細な彫刻が施された鐘楼が屋根に聳えるノートルダム大聖堂からほど近い場所

にコレクションに相応しい宝石箱を作る事を決定、スラージュ美術

館開設企画が立ち上がった。ただし、スラージュは1つだけ条件を

つけた。故郷を豊かにするこの美術館建設にあたり、スラージュ以

外のアーティストも紹介することができるよう 500 ㎡の特別展専用スペースを希望したのだ。 例を見ない充実したコレクション、傑出した建築物 その 5年後となる 2010年 10月 20日、ピエール・スラージュは2014年5月のオープンを予定した美術館の着工式で最初の石をロデズに置いた。美術館の建物はスペインのカタルーニャ出身の建築家 集団 RCR Arquitecteの設計による現代的なものである。2008年に98の候補者の中から選出された彼らは、2012年より 11月より王立英国建築家協会« Royal Institute of British Architects (RIBA ) »の名誉会員となるほど優れた設計事務所である。スラージュ美術館は正面

壁全面に耐候性鋼材コルテンを建築材料として用い、その素材が生

み出す赤から茶褐色の色のニュアンスが目を引く。最良の状態で現

代アートを展示することを考えて設計されており、常設展示は 2000㎡、特別展示スペースは 500㎡もあり、ミディ・ピレネー地方最大の規模を誇る。

ピエール・スラージュの言葉 :

「一人のアーティストに特化した美術

館を私は好まない。この美術館は創作

活動、作品の制作行程に重点が置かれ、

多くの現代アーティストに門戸を開く。

従来の美術館とは意趣が異なるものと

なるだろう」

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生命みなぎるスペース

生命がみなぎるスペースとして構想されたスラージュ美術館は 3 ヘクタールの庭園に面している。館内にはレストランおよび1つ星シ

ェフのミッシェル・ブラ Michel Bras と息子のセバスチャン・ブラSébastien Bras に因んで「カフェ・ブラ Café Bras」と名付けられたカフェがあり、好きなときに美食が楽しめる。その他、豊富な蔵

書を誇る図書室、資料センター、80 席のオーディトリアム、売店など各種設備が整っている。

美術館を生んだのはコンクにおける実験的な制作

サンチャゴ・デ・コンポステーラ巡礼街道の要所コンク Conquesにあるロマネスク様式の教会のステンドグラスはスラージュ制作によ

るもの。スラージュ美術館の刺激的な展示品をより良く理解するた

めに、是非とも事前に見ておきたい。

オープニング記念特別展およびイ

ベント:Outrenoir(黒を超えた黒)

存命する画家の中で、オークションや

現代美術のマーケットにおいて取り扱

われる作品点数が最も多いのが1919年

にロデズで生まれたピエール・スラー

ジュだ。世界各国にある90もの美術館

に作品が収蔵され、国際的な評価が高

く、なおかつ一般人からの人気も高い

スラージュは超一流の芸術家と言える

だろう。2009年にパリのポンピドゥー

センターで開催されたスラージュ回顧

展には50万以上もの来場者があったこ

とからも人気度が窺える。スラージュ

美術館ではオープン記念特別展に

「Outrenoir(黒を超えた黒)」を開催し、

スラージュの内なる世界へと迫る。黒

に反射する光を対象とした抽象画は

1979年以来今日までスラージュが制作

を続け、画家としての評価を決定づけ

たテーマである。世界各国の有名美術

館やコレクターからの貸与を受けるこ

とにより25点から30点ほどを紹介す

る。

2014年5月24日〜11月15日

ロデズのスラージュ美術館にて

開催

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ベスト オブ ミディ・ピレネー ゆかりの人物、その作品や事業 天才たちの軌跡

ミディ・ピレネーの地域性は先人たちの精力的な行動力に寄るもの

があると言える。古くはルイ 14 世の治世下のミディ運河建設から最先端テクノロジーを駆使したエアバス工場あるいはミヨー高架橋

まで、その精神を見て取ることができる。 ミディ運河 Canal du Midi ミディ運河は 17世紀に建築家ピエール=ポール・リケ(1604~

1680)によって考案された。トゥールーズと地中海の港町セートSèteを結ぶ前代未聞の土木工事である。長さ 240キロの運河は人の手によって掘られ、工事期間は 14年、1万 2000人の作業員が工事に従事し、4万 5000本の木が沿道に植えられ、橋や水門、水路などの建造物は 350を超えた。数字を見るだけでもリケによるこの工事の規模の大きさ、複雑さが想像できるだろう。この運河建設の

当初の目的はラングドック地方における徴税だった。 運河は 1681年に開通。オート・ガロンヌ県のルヴェル Revelにあるサン・フェレオル湖 bassin de Saint-Ferréolから運河へと水が流れるが、サン・フェレオル湖の湖水自体もモンターニュ・ノワール山

脈 Montagne Noireを流れる川から巧みに取水されている。 19 世紀、アキテーヌ県を抜け大西洋まで続くガロンヌ運河が造られ、ミディ運河がトゥールーズより下流に延長される形となった。

人間の英知を結集させた建造物として、また、トップクラスの運河

レジャーが楽しめる運河として、ミディ運河は 1996 年ユネスコ世界遺産に登録された。 ピック・デュ・ミディ天文台 L’observatoire du Pic du Midi ピレネー山脈でも最も有名な山頂ピック・デュ・ミディ・ド・ビ

ゴール Pic du Midi de Bigorre(標高 2872メートル)。国定自然保護地域に指定されているが、山頂には天文台があり、一般公開され

ている。世界でも権威のある天文台で、アメリカによるアポロ計画

の研究にも使われた。1880 年代当時、天文台建設は隣接するカンパン谷の住民にとって大変な事業であった。建築資材などは、危険

な区域もすべて人間かロバが背負って運び上げたため、地元住人は

「ピックの徒刑囚」と呼ばれるほどであった。多くの利用者を安全

かつ簡単に山頂に運ぶロープウェー敷設までそれは続いたのである。 ピック・デュ・ミディは、夏期だけではなく冬期もアクセス可能

である。気象や動植物、天体の観測、宇宙の歴史、そして天文台の

歴史など本格的な展示を誇る博物館が併設されている。ヨーロッパ

でもっとも標高が高い場所にある博物館だ。レストランや展望台が

付設されており、東西 300キロ以上遠望できる。

位置情報 ◇ミディ運河:トゥールーズ(オート・ガロンヌ県)から、セート Sète(エロー県)まで。 ◇ピック・デュ・ミディ天文台:オート・ピレネー県。タルブ Tarbesより47㎞南。

ミディ・ピレネー特有の文化 ミディ運河博物館・庭園

2008 年7月、レヴェル Revel(オート・ガロンヌ県)近郊のサン・フェレ

オル湖畔 St-Ferréol にミディ運河博物館・庭園 Musée et Jardin du Canal du Midiがオープンした。 運河への用水に非常に重要な役割を果

たす堤防が 17 世紀に造られたが、その堤防近くにあり、ミディ運河建設技師

の責任者たちが利用していた旧技師会

館が博物館として再整備された。19 世紀に造られた素晴らしいイギリス式庭

園の木々の木陰の中、800 ㎡の広さのある博物館はミディ運河建設の歴史を

展示する。 展示室はテーマごとに6つあり、ピエ

ール=ポール・リケへの人物像にも迫

りつつ、豊富な模型や視聴覚教材、当

時の資料を通じて生き生きと建設の歴

史を解説する。イベントホールも備え

る。ミディ運河の大小あらゆるエピソ

ードに触れることができる博物館であ

る。 ミディ・ピレネーの情緒を味わう

世界遺産に登録されたミディ運河は、

いつの時代も地中海と大西洋を穏やか

に結ぶ水路だ。秋になるとより一層魅

力が増す。 マジック・タッチ ピークで宿泊

ピック・デュ・ミディに一泊すれば、

さらにその魅力を堪能できる。天文台

スタッフの解説付きで天体観測し、本

格的な料理を楽しむ。満天の星空のも

とで眠り、翌朝はピレネー山脈のご来

光で目覚める。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー ゆかりの人物、その作品や事業 天才たちの軌跡 エアバス Airbus

19 世紀、トゥールーズはフランスにおける航空産業の発祥の地となった。まず、1855 年、トゥールーズで発明家クレマン・アデールが生まれた。初めて浮上に成功し、フランス語で飛行機を示す

「アヴィオン」を造語した人物である。20 世紀初頭になると、サン=テグジュペリやメルモーズなど郵便輸送機を操縦する伝説的なパ

イロットが次々と登場。その後、町はアエロスパシアル社の工場や

国立宇宙研究センターの本拠地がある航空産業の先端都市として発

展を続けた。コンコルドやロケットのアリアンが製造され、エアバ

スの工場ができ、ヨーロッパで最大の航空産業の町となったのだ。 エアバスの組み立て工場は一般公開されており見学が可能。トゥ

ールーズを訪れたら是非足を向けたい観光名所となっている。A330および A340 の組み立てが行われているクレマン・アデール工場は、テニスコート 227 面分、凱旋門が 10 個分の広さがある。更に広いラガルデール工場では史上最大の旅客機 A380 の製造が行われている。いずれの工場も、まずは広大な敷地をバスで見学したあと、下

車して実際に航空機が組み上がっていく様子を目の当たりすること

ができる。

ミヨー高架橋 Viaduc de Millau ミディ・ピレネー地方における旺盛な探求心はミヨー高架橋建設

にも見て取れる。ミヨー高架橋は世界で最も長く(長さ 2.s4 ㎞)、最も高い(高さ 270m)斜張橋である。最も高い主塔はエッフェル塔を 20 メートルも越す。タルン渓谷にわずか7本の主塔で支えられた高架橋は素晴らしい技術の結集であり、またフランス南部の美

しい自然にその姿を溶け込ませている。ミシェル・ヴィルロジュー

が考案し、ノーマン・フォスターによって設計され、エファージュ

社によって建設されたミヨー高架橋を利用すれば、地中海に出るの

に通常より 30 分早く、混雑期には4時間も短縮することが可能だ。2004年 12月の落成以来、何千人、何万人もの人が見学に訪れている。徒歩、バギー、船、ヘリコプター、とあらゆるアクセスが可能

だ。冒険好きなら超軽量動力機によるアクセスすら可能である。

ミディ・ピレネー特有のもの シテ・ド・レスパス

独自の手法で宇宙と関わる試み

宇宙に国境はない。シテ・ド・レスパ

ス Cité de l’Espace の名声にも国境はない。非常にユニークな宇宙へのアプロ

ーチの仕方で知られるこのシテ・ド・

レスパスの見学に遠方からわざわざ訪

れる人が後を絶たない。宇宙ステーシ

ョンミールに入ってみたり、プラネタ

リウムで感動したり、テラドーム館の

ドームの中で宇宙飛行士気分を味わっ

たり、『永遠の小道』を歩いて地球の

様子を見たり…とさまざまな楽しみ方が用意されている。

シテ・ド・レスパスは、研究者、宇宙

飛行士そして一般人を結ぶ大切な役割

を果たしており、常に双方向的なイベ

ントや楽しみながら宇宙を学べる新し

い催し物、宇宙学の最新研究に触れら

れる講座などを開催している。

位置情報 ◇エアバス組み立て工場:オート・ガ

ロンヌ県。 ◇ミヨー高架橋:アヴェロン県

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ベスト オブ ミディ・ピレネー ゆかりの人物、その作品や事業 工芸品 ミディ・ピレネー地方では斬新で独創的な工芸品が生まれておりフ

ランス内外で愛用されている。

ライヨールナイフ coutgeau de Laguiole ライヨールナイフはアヴェロン県の北部にあるライヨール村

Laguiole で生産されており、原産地ライヨール村以外の地域で生産されたナイフをライヨールナイフとよぶことはできない。フランス

の宝、とでもいうべきナイフである。現在の工場は世界的に有名な

デザイナーでライヨールナイフの熱狂的なファンであるフィリッ

ク・スタルクによるものだ。昔も今も、自由な発想でデザインでき

るナイフで、角や黒檀、ツゲあるいはアクリルガラスなどでできた

柄は鳩の羽、あるいは女性の足を思わせる。ライヨールナイフなら

どんなひらめきも自由自在。ただし商品のコピーはのぞく。 ルヴェルの家具 桜やオーク、バラあるいはレモンなどの木材を使った高級家具で

知られるのがレヴェル Revel。オート・ガロンヌ県の要塞化した村レヴェルには、19 世紀以来、家具職人、寄木細工職人、漆職人、タピスリー職人など 10 数名が住んでおり、ルイ 14 世、15 世、帝政時代のレプリカ家具を作り続けている。希少な木材で作られる非常に

クオリティーの高い家具はアメリカやアラブ首長国連邦にも輸出さ

れている。 ルヴェルはフランスにおける高級家具の都だが、アヴェロン県南

部のミヨーMillauは革手袋の都である。ミヨーは 12世紀以来、皮なめし業と手袋生産が盛んなことで知られている。過去何世紀もの間、

エレガントな女性たちを喜ばせてきたミヨーの手袋だが、現在はモ

ード界のトップクリエイターたちを魅了してやまない。 タルン・エ・ガロンヌ県の小さな村コサード Caussade で作られている帽子もクリエイターたちを魅力の虜にしている。パナマ帽、カ

ンカン帽、麦わら帽、野球帽など、コサード村は 19 世紀より確かな技術と豊かな創造力に裏付けられた帽子生産で発展し、今ではフ

ランス国内随一の帽子生産拠点である。 アリエージュの角製の櫛も有名である。ラヴラネ Lavelanet 近くにある小さな村で 13 世紀より作られており、ケラチンが豊富で非常に髪によい櫛として知られている。角製櫛の博物館もあるので合わ

せて訪れたい。 マルトル・トロサンヌの陶器 オート・ガロンヌ県には 18世紀より陶器の生産で知られる村マルトル・トロサンヌ Martres-Tolosane がある。村のアトリエでは繊細な陶器が一点一点手で絵付けされている。

ミディ・ピレネー特有のもの デザイナーとスターたち

モード界のクリエイターや建築家、デ

ザイナーたちにとって、ライヨールナ

イフをデザインすることは面白い訓練

になるらしい。オブラック地方の牛飼

い人のものたちであったこのナイフに

惹かれ、新たにデザインしたクリエイ

ターには、ジャン=ミッシェル・ヴィ

ルモット、フィリップ・スタルク、ソ

ニア・リキエル、ヤン・ペノールズや

クレージュなどが挙げられる。

ミヨーの手袋ブランド、メゾン・コー

ス Maison Causseの手袋は、ジャクリーン・ケネディやステイーブ・マックイ

ーンなどが愛用したことで知られる。

ミヨーに古くから伝わる手袋生産の技

がパリやニューヨークの大ブランドと

肩を並べている。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー 大自然とレジャー 大自然 ミディ・ピレネー地方はしばしば、フランスの中でももっとも住み

やすい、長寿の地方と言われている。確かに広々とした空間のある

暮らしやすい環境を誇る。その素晴らしい自然をいくつかご紹介す

る。

ピレネー山脈 ピレネー山脈はフランスとスペインに間に位置し、ミディ・ピレ

ネー地方内の3つの県(オート・ガロンヌ県、アリエージュ県、オ

ート・ピレネー県)にまたがる。標高の高く威容を誇る山々が連な

り、高原では牛や馬がのんびり草を食み、スレートや片岩の家々が

並ぶ村が山腹に点在するピレネー。アックス谷 Ax、ベトマル谷Bethmale リュション谷 Luchon、オール谷 Aure、ルロン谷Louron、カンパン谷 Campan、バレージュ谷 Barèges…。いずれも何世紀もの間羊など家畜の放牧で暮らしてきた。 ミディ・ピレネー地方には、バライトゥーBalaïtous(3146m)、ヴィニュマル Vignemale(3298 m), ピック・ロン Pic Long (3192 m), ピック・デュ・ミディ Pic du Midi (2872m)など 3000メートル級の峰がいくつもある。更には息をのむような圧倒的な存在感の圏谷

もある。現在は残っていない巨大な氷河の浸食によってできた圏谷

はピレネーの特徴とも言える。ヴィクトール・ユーゴが「ありえな

い、かつ驚異的なオブジェ」と形容したガヴァルニー圏谷は代表的

なものだ。 もう一ヶ所、スケールの大きい自然があるところがコートレ

Cauterets 近くにあるポン・デスパーニュ Pont d’Espagne である。無数の滝が落ちて迫力のある眺めが楽しめる。高地にあるいくつも

の湖もピレネーの魅力のひとつ。ネウヴィエル自然保護区域

Réserve naturelle du Néouvielleには 80もの湖があり、いずれもクリスタルのような透明度を誇り、くすんだ青や輝くような緑とそ

の色を変える。

峡谷や渓谷 ドルドーニュ渓谷、ロット渓谷、ガロンヌ渓谷、タルン渓谷、ア

ヴェロン渓谷、とミディ・ピレネー地方には5つの大きな渓谷があ

る。 谷を構成する地質や谷の長さ、そして谷をゆく道は非常に変化に

富んでいる。谷の壮大さ、谷に点在する歴史遺産の多さから、大自

然の中でのレジャー観光のポテンシャルを感じさせる地域である。 また、ロット谷でカオールより川上に続く断崖絶壁、アヴェロン

峡谷を蛇行する川と、谷を見下ろすように山腹に張り付く村々、こ

れから行く峡谷の興奮を告げてくれるような町、ミヨーから始まる

タルン峡谷もお忘れなく。特にタルン峡谷はヨーロッパでもっとも

有名な峡谷のひとつである。

マジック・タッチ

もっとも美しいイベント会場

ガヴァルニー圏谷はふもとは3.5㎞に

広がり、上部は 14㎞にもある壮麗な圏

谷だ。カールを囲むように 3000m級の

山々が連なる。山稜からはヨーロッパ

でもっとも高地にある滝グランド・カ

スカードを始め無数の滝が落ちて迫力

ある眺めが楽しめる。ユネスコの世界

遺産の登録名は「ガヴァルニー/モ

ン・ペルデュ、圏谷と峡谷」。毎年7

月に開催される演劇、音楽、振付のフ

ェスティバルの煌びやかな自然の舞台

でもある。

ミディ・ピレネーの情緒を味わう

汚れのないピュアな自然の中を行くド

ルドーニュ河。戦士の古城や洗練され

た美しい城のふもとを流れ、象牙色や

濃い紫色の瓦が輝く村々や修道院の合

間を縫う。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー 大自然とレジャー 大自然 高原 見渡す限り続く草の海、玄武岩に縁取られた小道、地平線でやっ

と空と結ばれる、何もさえぎるものがない広々とした空間…。オブラック高原(標高 800~1000m)はアヴェロン県の北部に広がる高地で、その風景はフランス南部でも非常に独特なものである。モ

ンゴルの草原にも並び評されるオブラック高原は伝統的に酪農が盛

んな地域で、夏には、花が咲き乱れる高地で放牧するためオブラッ

ク牛を移動させる盛大な祭りトランスユマンスも行われる。ライヨ

ールナイフを生産しているライヨール村があるのもオブラック高原

である。 アヴェロン県南部に広がるのがコース高原。ラルザック Larzac、コース・ノワール Causse Noir、コース・ド・ソヴテール Causse de Sauveterreに分かれ、すべてグラン・コース地方自然公園として保護地区に指定されている。石灰岩の高原で侵食により深い谷が刻

まれ、タルン峡谷 gorge du Tarn、ジョント峡谷 gorge de la Jonte、ドゥルビー峡谷 gorge de la Dourbie を見下ろす断崖絶壁が続く。ドロマイト鉱石の岩だらけで、蘭が咲き乱れ、草地が地平線まで続

く高原はいかにも異国を感じさせる景勝地だ。ラルザックはテンプ

ル騎士団ゆかりの地でもあり、またロックフォールチーズの生産地

としても知られている。 自然公園 ミディ・ピレネー地方には地方自然公園が3つある。グラン・コ

ース地方自然公園 Parc Naturel Régional des Grands Causses(31万5640ヘクタール)、オー・ラングドック地方自然公園 Parc Naturel Régional du Haut-Languedoc(26 万ヘクタール)、コース・デュ・ケルシー地方自然公園 Parc Naturel Régional des Causses du Quercy(17万 6000ヘクタール)である。これらの自然公園では自然や文化が保護されており、地元の人々との交流などの観光が盛んだ。 フランスで最初の国立公園、東西 100 キロに延びるピレネー国立公園 Parc National des Pyrénées があるのもミディ・ピレネー地方だ。また多くの自然保護地区があり、それぞれの地域に固有の動植物が

数多く保護されている。アリエージュ県にオルリュ Orlu 保護地区、モン・ヴァリエ Mont Valier保護地区があり、オート・ピレネー県にネウヴィエイユ Néouvielle保護地区がある。

ミディ・ピレネー特有のもの 地下の世界

ミディ・ピレネー地方では地下にも空

間が広がっている。ロット県のパディ

ラック洞窟はフランスでも屈指の洞窟

だ。他にも 110 メートルもの深さがあるオート・ピレネー県のエスパロ洞窟

gouffre d’Esparros、ラブイシュ地下川rivière souterraine de Labouiche、アリエージュ県のヨーロッパ最大の洞窟、ロ

ンブリーヴ洞窟 grotte de Lombrives など見事な洞窟はいくつもある。 また、アリエージュ県内にはヨーロッ

パでも唯一の先史時代の洞窟がある。

なかでもニオーNiaux、ベデイヤックBédeilhac、マ・ダジル Mas d’Azilの洞窟が有名。 洞窟に描かれた壁画は全世界で研究の

対象となっており、アリエージュ県で

はタラスコン・シュル・アリエージュ

先史時代公園 Parc de la Préhistoire à Tarascon-sur-Ariège を作り、人類の富を保護している。 ロット県にあるペッシュ・メルル洞窟

grotte de Pech Merle の調査も先史時代の研究にとって不可欠だ。また、フォ

ワサック洞窟 grotte de Foissac(アヴェロン県)、ロカマドールのメルヴェイ

ユ洞窟 grotte des Merveilles(ロット県)も非常に興味深い洞窟である。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー 大自然とレジャー 大自然でリフレッシュ ミディ・ピレネー地方では、山岳地帯も、渓谷や峡谷も、開発や

公害といったものとは縁遠く、自然は手厚く保護されている。豊か

な自然に加え、ヴァラエティーに富んだ風景に恵まれ、ミディ・ピ

レネー地方の田舎は心からリラックスし、気持ちを解放し、日常の

世界を忘れるのには最適な場所だ。

ハイキング フランスとスペインの国境を成す稜線やジェルス川の谷、あるい

はトゥールーズからわずか 20 分行った郊外…。ミディ・ピレネー地方ではあらゆるところで遊歩道や登山道が整備されており、いつ

でも、どこでもハイキングが楽しめる。地方内には整備された登山

道や遊歩道が2万 6000 ㎞相当もあるのだ。簡単なハイキングや遊歩道は PR( Promenades et Randonnées)、登山道は GR (sentiers de Grande Randonnée)、ピレネー山脈横断大登山道は GRT (sentiers de Grande Randonnée Transpyrénéens)と表記される。古城や要塞巡り、ワイナリー巡り、自然に触れるなどテ

ーマごとに地方を横断できる地方横断街道は GRP (sentiers de Grande Randonnée de Pays)である。 地方内に張り巡らされた整備道を行けば、どんなに短い簡単な散

策でも、ミディ・ピレネー独特の昔のままに保全された田舎の風景

や手つかずの自然、変化に富んだ眺望を楽しむことができる。 ミディ・ピレネー地方ハイキング委員会と8つの県委員会は連携

を密にしており、さらに 250 ほどの愛好会が活発に活動しているのもこの地方の強みである。タルン県による登山道・遊歩道を指定や

ロット県による「危機に瀕している自然地域」における登山道の整

備などにも注目したい。 さらに、ミディ・ピレネー地方にはサンチャゴ・デ・コンポステ

ーラ巡礼街道が3つも通っている。ル・ピュイ街道(GR 65)、アルル街道(GR 653)、アルル街道の支道であるピエモン・ピレニアン街道(GR 78)である。かの有名な GR10 もミディ・ピレネー地方を通過している。アリエージュ県、オート・ガロンヌ県、オー

ト・ピレネー県を通過しながら 40 日間かけて大西洋から地中海までトレッキングする、という魅惑のルート。

ミディ・ピレネーの情緒を味わう

ミディ・ピレネーのゆるやかな小道を

歩けば、さらさらと流れる小川や澄ん

だ空気が迎えてくれ、どこよりもこの

世で生きていることを喜びを実感させ

てくれるに違いない。

ミディ・ピレネー特有のもの

ミディ・ピレネー、冬の楽しみ

ドメーヌ・ド・トゥルマレ=ラ・モン

ジーDomaine du Tourmalet-La Mongie、サン=ラリー・スーラン Saint-Lary Soulan、ペイラギュード Peyragudes、リュション=シュペールバニェール

Luchon-Superbagnères 、 プ ラ ト ー ・ド・ベイユ Plateau de Beille、ギュゼGuzet…などピレネー山脈には 22 ものスキー場がある。加えてアヴェロン県

のオブラック山脈も自然に親しみたい

ノルディック・スキー客に最適のスキ

ーエリアだ。 ピレネーのスキー場はアルペンスキー、

クロスカントリー、スノーボード、ス

ノーサーフィン…とどんなウィンタースポーツも楽しめるよう整備されてい

るが、いずれも山への敬意を失わない

姿勢が共通している。ピレネーのスキ

ー場は評判は高く、トレンドとなって

いる。それに伴い、スノシューイング、

かんじきでの散策、犬ぞり、スノーモ

ービルのほか、スパ施設などスキー客

の期待に応えるレジャーが年々充実し

ている。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー 大自然とレジャー 大自然でリフレッシュ アウトドアスポーツ ハイキング、トレッキングはミディ・ピレネー地方全域で楽しめ

るレジャーの王様であるが、そのほかにも誰でも楽しめるものから

愛好家を満足させるものまで、あらゆるアウトドアスポーツが充実

している地方である。提供するアウトドアスポーツの種類の多さ、

アマチュアからプロ級までを満足させる密度の濃さがミディ・ピレ

ネー地方の切り札だ。 セレ川、ドルドーニュ川、アヴェロン川、タルン川の急流をカヌ

ーで下る。34を数える美しいゴルフ場でゴルフを楽しむ。レヴェズー地域 Lévézou にいくつもある巨大な湖でヨットをやる。オフロードバイクに乗って、峡谷や田園を数百キロと走り抜ける。サイクリ

ングロードも完備している。国際的なパラグライダーの名所として

知られるラルザックの断崖 falaises du Larzacの上空を飛んだり、コース・デュ・ケルシー高原にある迷路のような洞窟でケービングを

楽しむこともできる。乗馬用に考えられたコースを行けば、県から

県だけではなく、スペインにまで馬で行くことができる。 ピレネー山脈も、誰でも楽しめるスポーツができる場所として皆

が夢見る場所。急流ではキャニオニング、ラフティング、ハイドロ

スピードを楽しみ、山ではヴィア・フェラータに挑戦したり、クラ

イミング技術に磨きをかけたり、あるいはハングライダーやパラグ

ライダーで空を飛んだり、あるいはツール・ド・フランスの選手の

ようにトゥルマレ峠を自転車で登ってみる、ということすらできる。 ミディ・ピレネー地方では水遊びも楽しい。湖や川は楽しく水遊

びができるよう整備されている。サン・フェレオル湖 lac de Saint-Ferréol(オート・ガロンヌ県)、レヴェズー地域の湖(アヴェロン県)、モンタニェス湖 lac des Montagnès、ラウザ湖 lac du Laouzasなどの湖、ロット川、タルン川、アヴェロン川、ヴィオール川など

の川にはビーチが整えられており、監視員もいるので安心して遊ぶ

ことができる。

ミディ・ピレネーの情緒を味わう

ミディ・ピレネーの気象

ミディ・ピレネー地方の平均日照時間

は約 2000 時間もあり、フランスでもっとも長い地方のひとつだ。ライバル

はコート・ダジュール地方およびロー

ヌ河沿岸地域。春は非常に早く訪れ、

すぐに夏の気配がする。4月から6月

にかけての最高気温の平均は 16 度から24度と幅が広い。

7月、8月はふんだんに太陽の光が降

り注ぐ。最高気温は 26 度から 28 度の間になる。9月は残暑が続き、日中は

21度から 25度程度である。10月も平均気温 16 度から 19 度、とさわやかな日が続く。 ミディ・ピレネー特有のもの 幸せは庭園にあり ミディ・ピレネー地方は多くの庭園が

ある地方である。西洋式の庭園であれ、

エキゾチックな庭園であれ、庭園は訪

れた者を世界の果てに誘う。中世風の

庭園であればタイムトリップも可能だ。

テーマのある庭園は夢と想像の世界。

カオール Cahors(ロット県)には 30ほどの「秘密の庭園 Jardins Secrets」があるし、コルド・シュル・シエル

Cordes-sur-Ciel(タルン県)の「天国の庭園 Jardin des Paradis」も是非訪れたい。マルテル庭園 Jardin des Martels(タルン県)、コロンビエ城 château du Colombier にあるエデン庭園 Jardin d’Eden(タルン県)、クルジアナ庭園Jardins de Coursiana(ジェール県)をはじめ、ロゼルト Lauzerte のペルラン庭園 Jardin du Pèlerin(タルン・エ・ガロンヌ県)、タルブ Tarbes のマッセー庭園 Jardin Massey(オート・ピレネー県)もお忘れなく。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー 大自然とレジャー

大自然でリフレッシュ

運河クルーズ 船に乗ればミディ・ピレネー地方を新たな観点から見ることがで

きる。トゥールーズから出発するガロンヌ河クルーズでは、ドラー

ド港、美術学校、16世紀に架けられたポン・ヌフ橋、と次から次へガロンヌ河沿岸にある見どころを楽しむことができる。 ミディ運河でのクルージングは必ず押さえたいアクティビティー

だ。クルーズ船による数時間の観光から宿泊可能なクルーズ船によ

る数日観光など選択肢は多く、免許の必要がないボートを自分で操

縦して行くのも可能である。木漏れ日がやさしい河岸を眺めながら

のんびり進めば、トゥールーズ近郊の典型的な家々が並ぶ村や花々

で飾られた水門、ウォータースポーツが楽しめる港などが現れては

後ろに遠ざかっていく。河岸沿いの道をサイクリングするのも楽し

い。 運河だけではなく、河川でのクルーズも楽しめる。ガスコーニュ

地方を蛇行するビュゼ河は、ヴァランス・シュル・バイーズ

Valence-sur-Baïse からビュゼ Buzet にかけて運航可能な区域となっており、ハウスボートや観光船が行きかう。70 キロにわたって運航可能なロット川はサン・シル・ラポピーSaint-Cirq-Lapopie からワインで有名なカオール Cahorsまで両サイドに断崖絶壁が続き、素晴らしい眺望の中クルーズが楽しめる。タルン川では、この地方の独

特の平底の川船に乗ってクルーズを楽しみつつアルビやミヨーの高

架橋を仰ぐことが可能だ。 スパでリフレッシュ ミディ・ピレネー地方はフランスで4番目に鉱泉が多い地方で、

オリュ・レ・バン Aulus-les-Bains、バニェール・ド・ビゴールBagnères-de-Bigorre、バレージュ Barèges、リュズ・サン・ソヴール Luz-Saint-Sauveur、リュション Luchon、レクトゥールLectoure など 17 か所の鉱泉施設があり、それらはピレネー山脈、ジェルス県、アヴェロン県に集中している。鉱泉は古代時代から湧

き出ており、ミディ・ピレネー地方の重要な資源であった。長年の

研究の成果や鉱泉利用のノウハウの向上により、さまざまな疾患に

効果をあげている。特に、子供の喉や耳、鼻の疾患、リューマチ、

外傷、肥満に効く。治療目的の滞在だけではなく、保険の対象とな

らない一週間あるいは週末のみのレジャー目的の短期滞在も可能だ

(注:フランスでは治療目的の滞在は健康保険の対象となってい

る)。スキーやハイキングのあとスパ施設でゆっくりする観光客は

多く、リラクゼーションを目的としたさまざまなプランが提案され

ている。

マジック・タッチ

ボートを家の代わりに、自転車を積み

込んでロット川をゆっくり下る。サ

ン・シル・ラポピーからカオールまで、

太陽をいっぱいに浴びながら、ゆっく

りとした流れに身を任せよう。 ミディ・ピレネー特有のもの スパで過ごすのがトレンド

ジャクジー、ハマム、打たせ湯、水流

浴プール、リラックスバス、ケア用キ

ャビン…。スパ街道なるものがフランスにあったとしたら、ミディ・ピレネ

ー地方は街道が通過する重要な拠点と

なるに違いない。バニェール・ド・ビ

ゴール Bagnères-de-Bigorre のアケンシス Aquensis、ルダンヴィエイユLoudenvielle にあるバルネア Balnéa、サン・ラリーSaint-Lary にあるサンソリア Sensoria など、特にピレネー山脈において。リラクゼーションを追求し

たスパ施設が数多く存在する。デラッ

クスな雰囲気の中、充実したスパで大

人も子供も楽しめる。一人ひとりのニ

ーズに応えるさまざまなプランが工夫

されている。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー グルメとイベント

高級食材 ミディ・ピレネーの人々や自然など、いくつもある魅力のひとつが

料理。まごころがこもった自慢の味、郷土の味を訪ねる旅。 食欲を促進させるアペリティフ。ミディ・ピレネーだけにしかな

いアペリティフをいくつか紹介しよう。ジェルス県のプース・ラピ

エール Pousse-Rapière はアルマニャックと発泡性白ワインをブレンドするカクテル。搾りたてのブドウ果汁と若いアルマニャックを

ブレンドしたフロック・ド・ガスコーニュ Floc de Gascogne,も有名で、赤と白の2種類がある。4世紀ほど前に考案された飲み物で、

AOC原産地統制呼称を厳守しており、瓶詰めの認可も厳しい。ア

リエージュ県で乾杯に使われる飲み物はイポクラス Hypocras。さまざまなハーブやスパイスを加えて熟成させた琥珀色の甘いワイン

で中世の時代から親しまれている薬用酒。 アペリティフの次に来るのは前菜。ミディ・ピレネーでは東西南

北、何はなくとも、フォワグラが登場する。伝統を守りつつ、新た

な食べ方を研究し、楽しみ倍増させる工夫の努力を惜しまないフォ

ワグラ農家たちの熱意がこもった食材である。 カモと言えば、ミディ・ピレネーではさまざまな形で食卓に上る。

マグレ・ド・カナール(胸肉のロースト)や、コンフィ(カモの脂

で煮込み、同じ脂に漬けこんで熟成させた料理)、パテ、リエット

(脂を出した後の繊維)、砂肝のサラダなど、バリエーション豊か

だ。 オー・ラングドック地方自然公園内で生産されているラコーヌ

Lacaune のハムやソーセージなど豚肉加工品も丁寧な仕事ぶりが味わえる一品である。ガスコーニュの黒豚は、一生を自然の中で過ご

す放牧豚でジューシーで上品な旨味のある肉が特徴。また、ガルビ

ュール garbure も是非試したい郷土料理だ。ジャガイモ、キャベツ、タルブ産白インゲン豆、スネ肉のハムなどを入れて煮込んだ栄養た

っぷりのスープで、ピレネー山脈の料理だ。 そして、いよいよ真打ちトゥールーズのカスレ cassoulet の登場。思わず、敬意を表して黙々と食べてしまう料理である。タルブ産白

インゲン豆、カモのコンフィ、豚のスネ肉、ソーセージ、各種ハー

ブ、ニンニク、ナツメグなどを入れた煮込みで、正しく作ろうと思

ったら調理に非常に時間がかかる。陶製の椀に入れて供す。

ミディ・ピレネー特有のもの

黒いダイヤモンドと赤い黄金

希少で繊細な贅沢品、ケルシー産の黒

トリュフとサフランのことである。一

方は香りを楽しむ食品、一方はスパイ

スだが、両方ともロット県の産物であ

る。

黒トリュフは冬に収穫する。犬や豚の

嗅覚に頼って探させるのだ。ラルバン

クのマルシェ marché de Lalbenqueは「味の景勝地」に認証されているマル

シェだが、そこでは1キロあたり300

から700ユーロ、と値段に幅がある。

ロット県では年間約3トンから10トン

の生産があり、その品質は折り紙つき。

フランス料理を世界に知らしめる一員

を担っている

一方のサフランだが、ケルシーにおけ

るサフランの歴史は中世の十字軍の時

代にまでさかのぼることができるほど

古い。10月になるとサフランの開花が

始まり、丁寧な手作業により薄紫色の

花から赤い雌しべが採取されていく。

1グラムおよそ30ユーロで販売されて

いるが、1グラムのサフランを採取す

るのに200本分の花が必要であること

を知れば納得できる値段である。

ミディ・ピレネーの情緒を味わう フォワグラのマルシェ

ジモン Gimont、セッサン Seissan、サ マ タ ン Samatan 、 フ ル ラ ン スFleurance…ジェルス県の村々では 11月になると翌年3月までフランスでも

珍しいフォワグラのマルシェがたつ。

開催開始時には笛が鳴るなど、伝統を

感じられるマルシェで、厳しい品質チ

ェックなども昔からのしきたりだ。 マルシェはフォワグラや「お嬢さん」

(鶏ガラの詩的な名称)を求める人々

で大変な賑わい。マグレ・ド・カナー

ルやコンフィを自分で作るなら、レシ

ピやアドバイスを生産者から聞き出す

絶好の機会だ。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー グルメとイベント

高級食材 母乳で育てられたケルシー産子羊や平飼いで知られるジェルスの鶏、

ガスコーニュ牛とも呼ばれるオブラック牛、母乳だけで育てるアヴェ

ロンの子牛やセガラの子牛…などまだまだ試したい食材は豊富だ。牛肉に関して言えば、ミディ・ピレネーの牛はすべて生産データ追跡シ

ステムで履歴が保証されているほか、アニマルウェルフェアも遵守、

餌は人口餌ではなく牧草が与えられている。 チーズプレートが運ばれてきた。原料乳が牛のチーズだけではなく

ヤギやヒツジの乳から作るチーズなど、垂涎もののチーズが並ぶ。ロ

カマドゥール Rocamadour のとろけるような丸いチーズ。チーズセラーの奥で長い時間をかけてゆっくり熟成させた青カビチーズのロッ

クフォール Roquefortとコースのブルーチーズ Bleu des Causses。アリエージュ県のセラーの良い香りがするトム・デ・ピレネー

tomme des Pyrénées。オブラックに伝わる伝統的な手法で作られたライオールチーズ fromage de Laguioleなどである。

食へのこだわりは、ミディ・ピレネーでは時に突飛な形で現れる。

例えば、作るのに何時間も暖炉の火の前でつきっきりとなるガトー・

ア・ラ・ブロッシュ gâteau à la broche。パスティス・ガスコンpastis gascon は非常に薄い層を重ねたパイ菓子だが、作るにはやはり並はずれた器用さを要求される。

完熟したところで収穫し、夏の間ずっと楽しめるケルシーQuercyやレクトール Lectoure のメロンも甘くてジューシーな果肉で有名だ。そして、もうひとつ、グルメを喜ばせるフルーツがモワサック

Moissac のブドウ、シャスラ Chasselas である。フランス国内で一番知られているブドウであり、シャスラのように AOC 原産地統制呼称を受けている果物はほかにあまりない。

ミディ・ピレネーで食事をするのに美味しいワインは欠かせない。

カオール Cahors、ガイヤック Gaillac、フロントン Fronton、マディランMadiran、マルシアックMarcillacなどの AOCワイン。これら高級ワインは系統樹をたどれば古代にまでさかのぼることができる。

これらのワインのアロマや色、舌触りを語り始めたら止まらないに違

いない。ミディ・ピレネーは有料品質限定ワイン VDQSカテゴリーのワイン(AOCのワンランク下のカテゴリー)も豊富だ。コート・ド・サン=モンCôtes de St-Mont、コート・ド・ブリュオワCôtes de Brulhois、エントレーグ Entraygues、フェルFel、エスタンEstaing、コート・ド・ミヨー Côtes de Millauなどが挙げられる。またコート・デュ・タルンCôtes du Tarn、コンテ・トロサンComté Tolosan、コート・ド・ガスコーニュCôtes de Gascogneなど、ヴァン・デュ・ペイのカテゴリーも捨てがたい美味しさを誇る。

さて、この香り豊かな叙事詩を締めくくるのはアルマニャックであ

る。14世紀に考案された芳醇なブランデーだ。ジェルス県で生産されているこのアルマニャック Armagnacがあるからこそフランスはアール・ド・ヴィーヴルの国であると認められている、と言っても過

言ではない。

マジック・タッチ

自然の叡智と人間の英知を掛け合わせ

た結果がロックフォールチーズ。力強

くかつ繊細な味のロックフォールは、

フランスで AOC原産地統制呼称を受け

た初めてのチーズである。

ミディ・ピレネー特有のもの シェフたちと食材。極上の極上。

ミディ・ピレネーは実に 106項目の

食品が公的機関によって品質を保証さ

れており、フランスの地方でトップで

ある。13の AOC原産地統制呼称があ

り、20品目がラベル・ルージュを受

け、数多くの農産物が適合性証明書の

発行を受けているか、原産地名称保護

制度に基づいている。

もてなしの心にあふれている土地柄、

多くのシェフがミディ・ピレネーで店

を開いており、非常に評判が高い店も

多い。ライオル村のミッシェル・ブラ

Michel Bras やトゥールーズのミッシェル・サラン Michel Sarran はミシュランガイドでも最高のランクだ。地

方内には 20軒ほどミシュランの星付

きレストランがあるが、その他にも創

造性に富んだ店は多い。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー グルメとイベント

主なイベント

ミディ・ピレネー地方の人々は、あらゆる機会を見つけてはお祭

り騒ぎをするのが大好き。音楽イベント、文化イベント、さまざま

なフェスティバルや祭りが開催されている。 地方内で開催されるフェスティバルは 100 以上もあるので、ここではフランス内外で話題をさらう評判のイベントのみをいくつか紹

介する。まずはマルシアック・ジャズフェスティバル Jazz in Marciac。キース・ジャレット、ディー・ディー・ブリッジウォーター、ダイアン・リーヴス、ウィントン・マルサリスなど世界各国

から一流のジャズプレーヤーが集うフェスティバルである。スイヤ

ック・ジャズフェスティバル Souillac en Jazz やモントーバン・ジャズフェスティバル Jazz à Montaubanでも熱気に満ちたスウィングが楽しめる。モントーバンではフランスのシャンソンのフェステ

ィバル、アロール・シャント!(さあ、歌って)Alors … chante !も開催されている。才能ある若い歌手からベテランまでが参加する

人気の高いフェスティバル。カウボーイブーツとカウボーイハット

で参加したいのが、ミランド Mirande で開催されるカントリーミュージック・フェスティバル Festival de Country Music。トゥールーズでは、ガロンヌ河沿いにある公園プレリー・デ・フィルトルで

リオ・ロコ Rio Loco というイベントが開催され、毎年、スペインやブラジル、セネガルなど一カ国が特別招待国となり、10 日間熱気に包まれる。

まったく趣きの違ったフェスティバルがサン・セレ Saint-Céré で開催される歌曲フェスティバル Festival Lyrique de Saint-Céré。毎年見事なプログラムで開催されている。サン・ベルトラン・ド・

コマンジュ Saint-Bertrand-de-Comminges では、コマンジュ・フェスティバル Festival du Comminges、サン・リジエ Saint-Lizierではサン・リジエ・フェスティバル Festival de Saint-Lizier、といずれも町の大聖堂でクラシック音楽フェスティバルが開催され

ている。開催場所の厳かさ、レパートリーと参加する歌手の素晴ら

しさで人気が高い。 そして、最高の宗教音楽を聴くことができるのが、シルヴァネス

宗教音楽祭 Festival de Sylvanès。トゥールーズでもさまざまなクラシック音楽フェスティバルが開催されているが、ピアノ・オ・ジ

ャコバン Piano aux Jacobinsは、フランスで初めてピアノだけに焦点を当てたフェスティバルである。また、パイプオルガンの音楽祭 トゥールーズ・レ・ゾルグ Toulouse les Orguesは、期間中、市内と郊外に場所を交互に変えて毎晩開催される。

マジック・タッチ

フランス内外で定評のある音楽祭マル

シアックのジャズフェスティバル。場

内は凄まじい熱気と興奮の渦に包まれ

る。ジャズ界のスターたちも観客もみ

な、甘い陶酔に浸り、熱狂する。

ミディ・ピレネー特有のもの 名所旧跡で行われる音楽祭

ミディ・ピレネーではホールだけが音

楽祭の会場ではない。サン・ベルトラ

ン・ド・コマンジュ Saint-Bertrand-de-Comminges や サ ン ・ リ ジ エ

Saint-Lizier の大聖堂、コンクの教会、トゥールーズのジャコバン修道院 Le cloître des Jacobins やカレンナックCarennac の修道院の回廊、フォワFoix の城壁などがまずは会場となるのである。アヴェロン県南部にあるシル

ヴァネスの修道院 Abbaye de Sylvanèsもしばしば文化イベントに使われる。

この孤高のシトー派修道院が活気づく

のは8月のフェスティバル開催時だけ

ではない。聖歌や歌曲など声楽にとっ

て欠かせない場所となっている。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー グルメとイベント

主なイベント

そのほかにもめくるめくような夜を過ごせるイベントが相次ぐ。

ヴァランス・ダジャン Valence d'Agen では、300 人以上もの俳優がガロンヌ運河にかかる橋の上で時代劇を演じる野外イベント、

オ・フィル・ド・ロー、ユンヌ・イストワール(水の流れにのって、

歴史物語)Au fil de l'eau, une histoireが行われる。脚本やセリフも優れており、花火も上がって豪華で幻想的なイベント。フラニャ

ック Flagnac においても野外演劇イベント、イエール、アン・ヴィラージュ(昨日、ある村)Hier, un villageが開催される。俳優たちが、100 年前のこの村の喜びや悲しみを表現する。特殊効果も使った大掛かりなイベントである。コルド・シュル・シエル Cordes-sur-Ciel で開催されるのは鷹ショーを中心としたフェスティバル、フェット・デュ・グラン・フォコニエ Fêtes du Grand Fauconnier。1222 年にできたこの要塞でパレードや路地などで行われるイベント、展示会などが催される。フォワ伯爵ガストン・フェビュが暮ら

した城下で開催されるのは中世の祭りフォワ、テール・ディストワ

ール Foix, Terre d'Histoire。先史時代からフォワ伯爵の治世、そして革命までのアリエージュ県の豊かな歴史が語られる。

ヴィック・フザンサック Vic-Fezensac では聖霊降臨の祝日に闘牛 Feria de Pentecôteが行われる。長い歴史があり、情熱で、なおかつ敬意と誠意が込められた祭りである。闘牛の次に行われるのが、

ラテン音楽祭 Festival Tempo Latino。ヴィック・フザンサックの豊富な自然の中でラテンの音が心地よく響く音楽祭だ。さらに、生

きる喜びにあふれたイベントを二つ紹介しよう。リュション

Luchon で開催されるフラワー・フェスティバル Bataille des Fleurs de Luchonは、フランスの劇作家エドモン・ロスタンが沿道で花を投げ合ったことから始まった花合戦。またヴァウールで開催

されるバーレスク国際演劇祭 l'Eté de Vaourは毎年何千人もの人を笑いの渦に巻き込む。

ミディ・ピレネーの情緒を味わう マルシェと祭り

ミディ・ピレネーの青空の下、雰囲気

のある町や村でいくつものマルシェが

開かれている。フィジャック Figeac、

カオール Cahors、ルヴェル Revel、ヴ

ィ ル フ ラ ン シ ュ ・ ド ・ ル エ ル グ

Villefranche-de-Rouergueなどで開催

されるマルシェは取り扱う農産物も多

く、評判が高いマルシェだ。プラタナ

スの陰になった涼しいマルシェで、あ

るいは屋根付き市場で、ミディ・ピレ

ネーの人々の温かい心に触れよう。美

味しいものをみんなで食べるのが大好

きな人々だ。

マルシェからそのまま特産品の祭りと

なっているものも多い。ロートレック

Lautrecではピンクニンニク、ボーモ

ン・ ド・ロマー ニュ Beaumont-de-

Lomagneの白ニンニク、カドゥール

Cadoursの紫ニンニクの祭りがそれぞれ

行われている。桃、ブドウ、イチゴな

どのタルン・エ・ガロンヌ県のフルー

ツもモワサック Moissacのマルシェを

賑 わ せ て い る 。 ロ カ マ ド ゥ ー ル

Rocamadourではチーズ祭り fête des

fromages、ラコーヌ Lacauneではソー

セージ祭り fête de la charcuterie、

リュズ・サ ン・ソヴー ル Luz-St-

Sauveurではスペアリブ祭り la fête

des côtelettesなど面白い祭りがたく

さんある。トリー・シュル・バイズの

豚祭りも捨てがたい。

ジェルス県では、夜間に行われている

マルシェが評判だ。7月と8月の夏の間

は日が長い。バカンス客も地元客も、

生産者のスタンドや出店をのぞきなが

ら長い夏の夜を楽しむ。ミディ・ピレ

ネー地方らしい夏の過ごした方。

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ベスト オブ ミディ・ピレネー 数字で知るミディ・ピレネー

q 人口 286万 2700人

q 毎年1万 5000人が新規に転入

q 面積4万 5348㎢ (フランスで最も広い地方)

q 8つの県から構成される。アリエージュ県 Ariège、アヴェロン県 Aveyron、ジェルス県 Gers、オート・ガロンヌ県 Haute-Garonne、オート・ピレネー県 Hautes-Pyrénées、ロット県 Lot、 タルン県 Tarn、タルン・エ・ガロンヌ県 Tarn-et-Garonne

q フランス人の(沿岸地域を除く)国内旅行先第 3位。(私的旅行)

q 外国人観光客の訪問先、地方別では6位。マーケットシェア 4.3%

q 例年、ミディ・ピレネー地方における宿泊日数は 8550万泊を数える。うち、43%が 7月、8月に集中。

q フランス人観光客は 85%、外国人観光客は 15%

q 外国人旅行客の 56%はオランダ人、イタリア人、イギリス人

q トゥールーズ・ブラニャック空港から 78の国外デスティネーションへと結び、うち 17都市はヨーロッパ。フランス国内線も 15路線がある。

q 観光産業における雇用は 3万 3500人

q 31の村が「フランスの最も美しい村」に指定されている。

q 5つの町や地域が「芸術と歴史地区」に認定されている。

q ロカマドゥール Rocamadourおよびガヴァルニー圏谷 Cirque de Gavarnieの2か所の観光名所が「フランスの偉大なる名所 Grands Sites de France」に認定されている。

q ユネスコ世界遺産に指定されている名所は 5ヵ所。ミディ運河 Canal du Midi、ガヴァルニー圏谷 Cirque de Gavarnie、サンチャゴ・デ・コンポステーラ巡礼街道 Chemins de Saint-Jacques de Compostelle(街道沿いの史跡)。

q ミディ・ピレネー地方の 17%が、国立公園ないしは地方自然公園に指定されている。

q 13の AOC原産地統制呼称がある。

q ミシュランガイド星付きシェフが 25人。

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コートレ ースペイン橋

オーシュ

マルシアック

ルルド

ピク・デュ・ミディ サン・ベルトラン・ド・コマンジュ

オート・トピレネー県ー

ジェール県県

タルン・エ・タルン・ガロンヌ県

ト県トロッッットッッッットット

ロン県県アヴェロロロ

ン県ン県県県県ンタルンタルンルンルン

ージュ県ジュ県ジュ県アリエーアリエアリエリエリエリリ ー

ヌ県県ンヌ県オート・ガロンヌオー ンヌ県ンヌ県

ガヴァルニ リュション

コレクション・アリエージュ

カオール

ドゥー・メール運河モワサック

コルド・シュール・シエル

ヴィルフランシュ・ド・ルエルグナジャック

サン・シル・ラポピペッシュ・メルル

ロカマドゥール

ドルドーニュ渓谷

フィジャック

コンク

ロデーズ

ミヨー高架橋

トゥールーズ ソレーズ、ルヴェル・サン・フェレオル

アルビ

フラランバイズ

アルマニャック

ドゥー・メール運河

フランス

お問い合わせ先 : Jacques Daoulas15 rue Rivals - CS 78543 - 31685 Toulouse cedex 6Tel. : +33 (0)5 61 13 55 15 - Fax : +33(0)5 61 47 17 16 E.mail : [email protected] www.tourisme-midi-pyrenees.com

Comité Régional du Tourisme Midi-Pyrénées

Créd

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hoto

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T /

D. V

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欧州連合共催プロジェクト 欧州地域開発基金がミディピレネー地方を支援。