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京都教育大学紀要  No.109, 2006 英語句動詞の認知言語学的分析 二枝 美津子 A Cognitive Analysis of English Phrasal Verbs Mitsuko NIEDA Accepted June 2, 2006 : 英語の句動詞は,動詞と不変化詞が共起して,新しい意味をもつ複合動詞の一部である。句動詞では構成 要素である動詞と不変化詞との意味の融合がおこり,新しい意味は各要素の本来の意味から予測可能なものから, 予測困難な意味をもつものまで多様である。また,句動詞の多くは多義性をもつ。本論文では,動詞と不変化詞 の融合の程度差が意味形成,意味理解に積極的な役割を果たしていること,不変化詞が意味形成に重要な役割を 果たしていることを明らかにする。スキーマ的な動きを表す動詞に方向性を示す不変化詞が加わることで,意味 の融合が起こりやすく,意味の拡張も行なわれやすいことを示す。また,相当する一語動詞と,その使用場面の 比較を通して,句動詞表現が存在する理由を求める。動詞と不変化詞の起源,音韻的特質をも考察に入れると,句 動詞は二語から成るが,決して不経済な表現ではなく,ゲルマン的な生き生きとした表現であることを明らかに する。 : 複合動詞,句動詞,意味の融合,ゲルマン起源,一音節語 Abstract : The aim of this paper is to clarify the way to form the meaning of phrasal verbs. The so-called English phrasal verbs belong to multi-word verbs whose constituents are verbs and particles, and function as single verbs in sentences. Verb and particle coalesce to form a semantic unit in which the basic meaning of verbs and particles are coerced by a metaphorical meaning of verbs. The meanings of phrasal verbs are different, from the one we can predict easily to the one we cannot. The degree of coerciveness differs in individual phrasal verbs, which makes the phrasal verbs polysemous. The verbs used in phrasal verbs are action verbs and express simple, schematic actions. And the particles indicate the movement of the action. The combination of these makes them easy to form a new meaning. Most of the verbs and the particles are one-syllable words and that makes them to be pronounced like single words by liaison. Comparing with corresponding one word synonyms, we can know phrasal verbs are very Germanic expressions. Key Words : multi-word verbs, phrasal verbs, coerciveness of meaning, German origin, one-syllable words

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京都教育大学紀要  No.109, 2006

英語句動詞の認知言語学的分析

二枝 美津子

A Cognitive Analysis of English Phrasal Verbs

Mitsuko NIEDA

Accepted June 2, 2006

: 英語の句動詞は,動詞と不変化詞が共起して,新しい意味をもつ複合動詞の一部である。句動詞では構成

要素である動詞と不変化詞との意味の融合がおこり,新しい意味は各要素の本来の意味から予測可能なものから,

予測困難な意味をもつものまで多様である。また,句動詞の多くは多義性をもつ。本論文では,動詞と不変化詞

の融合の程度差が意味形成,意味理解に積極的な役割を果たしていること,不変化詞が意味形成に重要な役割を

果たしていることを明らかにする。スキーマ的な動きを表す動詞に方向性を示す不変化詞が加わることで,意味

の融合が起こりやすく,意味の拡張も行なわれやすいことを示す。また,相当する一語動詞と,その使用場面の

比較を通して,句動詞表現が存在する理由を求める。動詞と不変化詞の起源,音韻的特質をも考察に入れると,句

動詞は二語から成るが,決して不経済な表現ではなく,ゲルマン的な生き生きとした表現であることを明らかに

する。

:複合動詞,句動詞,意味の融合,ゲルマン起源,一音節語

Abstract : The aim of this paper is to clarify the way to form the meaning of phrasal verbs. The so-called English phrasal

verbs belong to multi-word verbs whose constituents are verbs and particles, and function as single verbs in sentences. Verb

and particle coalesce to form a semantic unit in which the basic meaning of verbs and particles are coerced by a metaphorical

meaning of verbs. The meanings of phrasal verbs are different, from the one we can predict easily to the one we cannot. The

degree of coerciveness differs in individual phrasal verbs, which makes the phrasal verbs polysemous. The verbs used in

phrasal verbs are action verbs and express simple, schematic actions. And the particles indicate the movement of the action.

The combination of these makes them easy to form a new meaning. Most of the verbs and the particles are one-syllable words

and that makes them to be pronounced like single words by liaison. Comparing with corresponding one word synonyms, we

can know phrasal verbs are very Germanic expressions.

Key Words : multi-word verbs, phrasal verbs, coerciveness of meaning, German origin, one-syllable words

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二枝 美津子

インド-ヨーロッパ語族の他の言語と比較して,英語の特徴的である表現の一つに,群動詞,句動詞,複合動詞と呼ばれる一群の動詞類があげられる。動詞(lexical verbs)に不変化詞(particle)out, in,

up などが共起して,本来の動詞とは異なる意味を有するようになる動詞である。同じゲルマン系の言語であるドイツ語にも複合動詞が存在する(abmachen, anmachen, einmachenなど)。ドイツ語の複合動詞 1 とは,基礎語の動詞に付与された不変化詞(ab-, an-, zu-, auf- などの分離前綴)によって意味が変化する。不変化詞が意味の形成に重要な役割を果たす点では類似しているが,相違点も多く見られる。ドイツ語の複合動詞の一部である分離動詞では元々一語の動詞(lexical verbs)と見なされ,動詞は基本語であり語根として機能し,接頭辞(分離前綴)が基本語から分離して不変化詞として用いられる。一方,英語の複合動詞は分析的であり,動詞に不変化詞が付与されて一つの動詞として意味をなす。また,英語の多くの複合動詞は,他の類似した意味をもつ一語動詞に言い換えが可能な点でも異なる。複合動詞は生産性が高く,相当する一語動詞より口語に多く用いられる点がその特徴として挙げられる。不変化詞が前置詞であるか,副詞であるかの区別は容易ではなく,議論の多いところである(Jespersen,

Bolinger, Palmer など)2。ここでは前置詞か副詞かという議論より,その語が変化しないことに注目して,Quirk et al.(1985)にそい,一括して不変化詞(particle)とよび 3,「動詞と不変化詞」を一まとめにして複合動詞(multi-words verbs)として扱う。個々の統語的な働きに重点をおいた従来の方法では複合動詞の意味をとらえ難いからである。本論文では,動詞と不変化詞の組み合わせを一つの構文体(construction)とみなし,Lindner(1994)にならって Verb Particle Construction (以後 VPC と略す)と呼んで議論し,Quirk et al. (1985)のいう下位分類の phrasal verb (VPC句動詞)を考察の対象とする。本論文では,VPC 句動詞(以後句動詞と略す)と,相当する一語動詞との意味の比較,使用場面の

比較を通して,動詞と不変化詞の融合の程度差が意味理解,意味形成に積極的な役割を果たしていることを明らかにする。また,動詞よりも不変化詞こそが意味役割に決定的な役割を果たすことを明らかにする。同じ概念を表す一語動詞と比べ,句動詞が何故必要とされるか,その理由を,融合する動詞及び不変化詞の起源,音韻的特質に求めて考察する。また,同じ句動詞は多義性に富み,使用される場面で意味が変わる。この多義性に,句動詞が用いられる理由の一つがあることを,意味の拡張と経済性の面から明らかにする。

先にも述べたように,句動詞の定義に関しては諸説が存在するが,ここではあえて下記の図で示すように phrasal verbsと prepositional verbsも含めて複合動詞として議論する。両者は例文(1)(2)で述べるように particle movement が可能か否かに関して統語的な振る舞いが異なっている。それら不変化詞は前置詞的,副詞的ではあるが,本来の前置詞と副詞とは同じではなく,意味形成の上で,動詞と密接な関係がある。品詞としての議論より,前置詞的,副詞的ではあるが変化しないという点に注目し,その違いは動詞との結びつき(意味の結合)の強さの程度との関係に表れると考える。それによっ

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て多角的に複合動詞の特徴をみることができる。

ここでいう複合動詞を句動詞(phrasal verb)とみなす研究者も少なくない。そのような分類をする研究者も前置詞を不変化詞として捉えている傾向にある。一方で上記の図に見られる「句動詞(phrasal

verb)」と「前置詞つき動詞(prepositional verb)」を区別する研究者は統語上の区別を重んじる。例えば,下記の句動詞(1a)は,(1b)のように不変化詞を移動させることができ,(1c)で見られるように目的語を代名詞化しても同様の統語変化が見られる。

(1)a. You should call up John before you go.

b. You should call John up before you go.

c. You should call him up before you go.

一方,下記の(2a)に関しては,(2b)のように不変化詞を移動させることはできず,(2c)のように目的語を代名詞化しても同じである。この統語的な振る舞いの違いは,(1a)の不変化詞は副詞的であるのに対して,(2a)のそれは前置詞的といわれる根拠であるといえる。

(2)a. The man looked at the chimney.

b. *The man looked the chimney at.

c. *The man looked it at.

(2a)では lookと atの通常の意味は保持されており,lookは peer/ gaze the chimneyに変えることができる。場所によっては,at は down / up the chimney にすることができる。それに対し,(1a)~(1c)では callと upそれぞれの語彙の意味は弱まり二つの要素が合わさって一つの概念を表している。このことを下記の例文で再検討すると,(3a)と(3b)では,look up の up は統語的には目的語である名詞の後に移動することができる。しかし,両者は意味の形成上は切り離すことはできない。Taylor

によると lookと upは,upの元の意味が lookのメタファー的意味によって圧縮(coerce)された意味単位(semantic unit)を形づくるように合体している(Taylor 2002:330)。Kennedy(1920)でも,句動詞はここの要素が本来の意味を失い,二つの要素が合わさることによって新しい意味をもつようになるとしている。(3a)の look up が表している行為は consult という語でも表すことができる。一方(3b)は visitで,(3c)は improveという一語のシノニムで言い表わすことができる。

phrasal verb: e.g. crop up / turn someone down

prepositional verb: e.g. come across a problem / take someone for a fool

phrasal prepositional verb: e.g. come up with an answer / put some up for election

                  (Quirk et al.1985:1161)

multi-word verb

phrasal verb prepositional verb phrasal prepositional verb

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二枝 美津子

(3)a. Look up the word in the dictionary.

b. Look me up when you come to Kyoto.

c. Life is looking up.

Kennedy(1920)や,Taylor(2002)の句動詞の言及によると,個々の要素が本来の意味を失い,二つの要素が合わさることによって新しい意味をもつようになるとしている。しかし,全ての句動詞において,結合により要素の本来の意味が,ほとんど,またはすっかり失われて新しい意味が生じるのではなく,その意味変化には個々の句動詞によって程度差がある。個々の要素の意味が強く残り,ある程度予測可能なものから,完全に予測不可能なイディオム化したものまで存在することは重要である。(3a)と(3c)では(3c)の方が意味を把握しやすい。どちらにしても,個々の要素の意味を生かしてゲシュタルト的な意味をもつ句動詞が存在するのは興味深い事実である。

句動詞に用いられる動詞の大多数は,動きを表すゲルマン起源の動詞であり,Dixon (1991)は,MOTION (bring, carry), REST (sit, stand), AFFECT (cut, kick), GIVE (give, get), MAKING (make,

let)のタイプの動詞と,動詞 be, doをあげている(1991:275)。Beiber et al(1999)によれば,句動詞の使用頻度で一番高いものから,take, get, put, come, go, set, turnや bring をあげている。これらの動詞をDixonの分類に当てはめてみるとほぼ同じである。これらの動詞は動作を表すものが多いが,そのうち多くの動詞は動作でもスキーマ化しやすい比較的単純な動きを表している。動詞自体は「単純な動き」を示すが故に,これらの動詞は不変化詞と共起することによって,意味を拡張しやすい。動詞の be, do

も多くの不変化詞と共起するが,動詞自体の表す意味が中立(neutral)であるだけに,不変化詞によって意味が大きく変化し,多様化が可能である。これらの動詞は習得時期も早く,使用頻度の高い動詞である。基本的に「動き」を表すということは,句動詞の重要な一面を示していると思われる。また,これらの動詞の多くがゲルマン起源であることも重要なことである 4。get, give は古ノース語

(Old Norse)起源であるが,古ノース語は北ゲルマン語派の言語であり,西ゲルマン語派の英語の相当する語彙に取って代わっただけである。また,英語にも古くから複合動詞は存在していたが,古くは現在の forgive, forget, upset, withstandなどのように,不変化詞は接頭辞として動詞につくという語構造をしていた。17世紀以降,次第に分析的傾向を強めていった英語では,この造語法はすたれて,「動詞+不変化詞(副詞,前置詞)」という現在の構造をなすようになってきた。例外的に,接頭辞 over-は現在でも生産的であるが,「動詞+不変化詞」の型の方が発達している。この形の複合動詞は新しいものが絶えず造られている(break out, carry out, give up, put out, set out, take over)。現在ドイツ語の複合動詞には非分離動詞,分離動詞,非分離・分離動詞があるが,この区別は不変化詞(接頭辞)と動詞の意味が独立しているか,結合しているかによって分けられている。後で考察するように,英語でも結合の程度差が見られる。句動詞を始め,複合動詞自体(PVC)がゲルマン系言語の特徴を示す表現であるといえる。また,句動詞に最も頻繁に用いられる動詞 make, call, come, take, get, give, go, look などはほとんど単音節であることも重要な特徴の一つである。Fraser(1974:13-14)も,不変化詞と共起する動詞は大半が単音節であり,残りは第一音節に強勢のある二音節語であると述べている。Fraserは,彼のいう音韻論

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的に単音節の動詞には,語末の音節には流音(liquid:[l][r])または鼻音(nasal:[m][n])である語を含むとしている。

Examples with [ r ]: butcher up, butter up, clatter up, etc

Examples with [ l ]: bottle up, gobble up, jiggle up, settle up, etc.

Examples with [ n ]: frozen up, brighten up, darken up, neaten up, etc.

Examples with [ m ]:blossom(out)   (Frazer 1974:13-14)

このことは,動詞の最後の音節は子音が音節主音(syllabic consonant)であり,その一音から音節が構成され,強勢は置かれていないことを示す。従って,理論的には二音節であっても,二音節目は第一音節に一音足しただけであり,実際は一音節語のように認識されている。動詞が単音節語であることは,同じく単音節の不変化詞と共起してあたかも一語動詞として用いられても,長い語ではなく,二音節から構成される語となり,発音しやすい語となる。

動詞と結びつきやすい使用頻度の最も高い不変化詞は up, out, on, in, off, downの 6つである(Biber et

al. 1999)。この使用頻度の高い不変化詞は,Lee(2002:18)が世界のメンタルなモデルを築く基本構成要素(building block)を表現する語とみなしているものと一致する。これらの語句が一致することに句動詞の本質の一つがあると思われる。この一致は偶然ではない。Lee(2002)は,これらの語が表す概念は,幼児期にモノの理解,および,モノどうしの空間における関係付けを習得する最も基本的な認知が到達するものの一つであると述べている(Lee 2002:18)。Piaget([1936]1952)によると,子どもは感覚知識として認知力の発達する初期の発達段階に,これらの概念の基本的重要性を認識する。言い換えれば,幼児は物体をつかんだり,摘み上げたり,落としたり引き上げたりしながら世界を理解していく。例えば,UPの概念は物体を縦に積み上げる動きを通して,量の増加の概念を築いてきたと思われる。明らかに,垂直の動きと量の増加の概念とに密接な関係がある。増加の概念は言語化されるが,多くは前置詞または副詞 upで表されることが多い。下記の(4a)では,upはメタファー理解で意味が拡張されている。upは downに変えることで意味が逆になる。(4b)は(4a)に比べると予測が難しくなる。(4b)は(4a)に比べ,さらに場面のプロトタイプから拡張した意味をもっているため,予測が困難になる。困難にはなるが,それでも,upの存在から「上向き」「良いこと」を表現していると予測することができる。

(4)a. You look a little up /down.

b. Life is looking up.

このように,不変化詞は句動詞の意味の決定にかなり積極的な役割を果たしている。Lindner(1983:61)によれば out の基本的な概念は「ある具体物が別の物体,または場所から移動,離れること」であり,それの最もよく表れた表現は下記の(5a)の文であるとしている。Lee(2001)では,out の中心的意味を「ランドマークである容器(container)または中のスペースの外に位置している」とし,外の位置している関係は,時には静的で時には動的であり,物理的にも抽象的にも広く

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拡張していくと述べている。次の(5a)~(5c)の例文では,同じ句動詞 go outが用いられているが,(5b),(5c)の表している出来事は(5a)が表す出来事とは異なっている。また,(5b)と(5c)では,表している現象は逆である。つまり,(5b)は火が「消える」が,(5c)では太陽は「出現」する。Lee

(2001:31-36)では反対の現象であるにもかかわらず,同じ outで表される意味を,outの他の意味も含めて,意味の拡張のネットワークを示すことによって説明している。

(5)a. She went out.

b. The fire went out.

c. The sun went out.

さらに,不変化詞が動詞に付加されているだけでなく,積極的に意味決定に重要な役割を果たしていることをみていく。

(6)a. Please turn on the radio.

b. Please turn off the radio

(6a)と(6b)では,動詞は同じであり,不変化詞 onと offの対比が直接決定的に生きている。不変化詞は附属的ではなく,動詞 turnの方向を示すことで反対の現象を表現する。状況によっては,onと off

だけで相手が伝えようとしていることがわかる場合もある。音声的にも,これら不変化詞には強勢が置かれる。強勢が置かれるということは,不変化詞は動詞に附属的に付いているだけでなく,意味上も重要な役割を果たしているということである。どちらの要素も重要であるが,意味決定には不変化詞が積極的に関与していることを示している。さらに,2.2 で見たように,句動詞に用いられる不変化詞は,「動き」に関するものであるが,この

ことも重要な点である。不変化詞 up, down, offは,上,下,四方への動きと関係する。一方,in, out, on

などは,意味のプロトタイプには「静的(static)」と「動的(dynamic)」の両方が存在する。共起する動詞によって,どちらかの意味を核にして意味が広がっていく。句動詞に用いられる意味は,「動的な」意味の核から派生していると考えられる。この理由は,前節でも見たように,句動詞の動詞は多くが動作を表すものであることと関連がある。古英語では前置詞 in, onは静的であるが,動的な意味も表すのに用いられる。前者の場合は目的語として与格を,後者の場合は対格の名詞をとった。現在の英語の in, on の中心的意味に両方があるのも,古英語の時代から引き継いだものである。また,13 世紀以降前置詞としても用いられるが,outは古英語では副詞として用いられた。前置詞としては out ofのように連結して表れ,現在でも out は副詞として用いられる方が多い。次の(7a)(7b)の例文で見られるように,wearと異なり,句動詞 put onは副詞 quicklyと共起できる。また,put onは(7d)のように「継続」を表す進行形にはできないが,(7e)のように「動作の繰り返し」を表す進行形にはすることができる。そこから put onでは「着ている状態」ではなく,「着る」という瞬時の動作を表していることがわかる。不変化詞 onによって装着する動作がリアルに伝えられると考えられる。

(7)a. *She wore the shirt quickly.

b. She put on the shirt quickly.

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c. She is wearing the same dress for a week.

d. *She is putting on the same dress for a week.

e. She is putting on the pretty dress with difficulties.

句動詞として表れる不変化詞は,空間認知に関する語が多い。しかも,場所の移動から状態の移動を基本的に表す語句が多いことは重要である。先にもみたように,物体を,また物体間の物理的空間の関係付けを習得することは幼児期に達成される最も基本的な概念の一つである。その基本的概念を具体的に表す語句(不変化詞)が複合動詞に頻繁に用いられることは,本質を理解する上で重要である。不変化詞は我々の身体的経験に結びついた語句であり,幼児期の経験をもとに概念を形成していく上で初期に習得する語句であることから,これらの句動詞は,容易に意味を理解できると考えられる。日本人英語学習者にとって句動詞の多義性は学習困難なものの一つであるが,これは不変化詞のもつ基本的な概念を学ぶ経験が少ないからであろう。しかし,学習初期には「覚える」だけであったのが,学習を積むにつれて次第にある程度予測がつくようになる。だが,容易に予測できないものも存在する。予測が困難になるほどイディオム化しているといえる。また,使用頻度の高い不変化詞もゲルマン起源であることは注目に値する。英語では,イタリック系の語彙が多いが,基本的な語彙ではゲルマン系の語彙の割合が多くなる。さらに,音韻的にも最も使用頻度の高い up など 6 つの不変化詞は一音節からなる。比較的頻度の高い along, about,away, into

などは二音節から成るが,第一音節目は短く,無強勢であるため intoを除いて二音節語というより一音節語のように聞こえる。また,down以外の語はほとんど母音で始まることも重要な特徴である。母音で始まるため,前に来る一音節からなる動詞の語末の子音とリエゾン(liaison)をおこして結びつき,両方で合わせて二音節からなる一つの動詞のように発音される。不変化詞移動(particle movement)を起こさなければ一つの語として発音される。日本人が make upを「メイキャップ」,または「メイカップ」,get upを「ゲタップ」,stand upを「スタンダップ」,come onを「カモン」と聞きとることもこの現象に起因していると思われる。

例文(4a)(4b)と(5a)~(5c)で,メタファー的意味によって動詞と不変化詞が圧縮する場合をみたが,ここでは,その融合度(coerciveness)に関しての程度差を考察する。次の(8a)が(8b)のように受動構文に交替可能であるのは,go intoが一つの他動詞として機能しているからであると考えられる。

(8)a. He went into the subject carefully.

b. The subject was gone into carefully. (Bolinger 1971:7)

また,動名詞化したときにもその融合性の程度差は明確になる。(9a)では,throw up は「吐く」という新しい概念を生み出している。そのため,動名詞化した場合,(9b)は容認されるが,(9c)のように動詞と不変化詞は切り離すと容認されない。このことは意味を表すのに動詞 throwと不変化詞 upは

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二枝 美津子

離すことはできないことを示している。この新しい意味の形成に二つの語が強く結びついて,二つの意味が一つの新しい意味に圧縮,融合されている。この場合,融合度は高いとみなされる。

(9)a. He threw up his dinner.

b. His throwing up of the dinner was stupid.

c. *His throwing of the dinner up was stupid.

一方,同じ throw up でも例文(10)では意味の結合,融合化の程度は低く,up は副詞として動詞(throw)の方向を表している。つまり,個々の語の独立性が強いため,意味の結合の程度は低く,動名詞化した場合には,不変化詞 upは(10c)のように動詞 throwから離すことも可能である。

(10)a. He threw up the ball.

b. His throwing up the ball was dangerous.

c. His throwing of the ball up was dangerous.

しかし,(8)や(9)の句動詞のように個々の意味が圧縮されて,凍結されている場合でも,次の(11b)は(11c)のように受動構文に交替することが不可能な場合がある。

(11)a. He came into his uncle's fortune by inheritance.

b. He came into a fortune.

c.*A fortune was come into.

(12)a. The idea came into his head.

b. His property was inherited by George.

(11)の come into は「相続する」という意味であるが,ここでは「相続する」という意味成立のためには目的語に制限がある。不変化詞の後に a fortune,a lot of moneyといった相続に値するものがこなければ,「相続する」という意味は予測不可能である。動詞と目的語が意味形成の上で結びついているため,目的語を主語として受動構文にすると,come into a fortune という結びつきがくずれ,「相続する」という理解が困難になるため,(11c)のような受動構文では表されない。同じ「相続する」という意味を表す一語動詞 inheritであれば,(12b)のように受身構文で表すことは可能である。また,同じ come

into でも,(12a)のように後につづく目的語に his head という語がくれば,「考えが心に浮かぶ」という意味になる。これらの不変化詞つきの自動詞には,目的語との関係が示されてはじめて一つの意味をもつ。辞書にも come into one's fortune, come into one's headとイディオムとしてあげられている。次にくる語も含めてイディオム化している。どちらも構成要素の総和の予測性は低いが,イディオムと句動詞の境を決めるのは困難である。先に見た分析性の程度差であると考えられる。

句動詞の重要な用いられ方は,英語の語彙の豊かさと関係があると思われる。一語動詞も存在する

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一方で,句動詞も存在する。一語動詞で表現可能であるのに,同じ物理的な現象を表すときに,句動詞を用いて表現できる。例えば,figure outは understand, make up は completeと物理的に同じ事象を表現するのに用いられるにも関わらず,二通りの表現が存在し,話者は状況に合わせて使い分ける。例文(13a)と(13b)は同じ現象を表しているが,全く同じ用いられ方をするのではなく,目の前の出来事を伝える場合に用いられるのは,(13a)の方である。

(13)a. The plane took off.

b. The plane departed.   (Bolinger, 1971)

目の前に起こったことは,句動詞を用いて状況を伝達することができる5。下記の(14)の例文は 2001

年のテロ事件の号外に載せられた文であるが,句動詞を用いてダイナミックに描写されている。ちなみに翌日の新聞報道では一語動詞で静的に伝えられた。

(14)a. A 747 or some kind of plane crashed in and exploded.

b. People were watching and then they started stampeding away.

c. He fled down 70 flights of stairs.

d. We tried to get away, but I was blown to the ground.

e. A crowd mobbed a man on a pay-phone, screaming at him to get off the phone so that they could

call relatives.

                  [The Inyo Register: Tuesday, September 11, 2001]6

一語動詞より句動詞は口語でよく用いられ,いきいきとした臨場感を与える。臨場感を与えることができる根拠の一つは前節でみたように,空間関係を示す語と,句動詞に用いられる不変化詞が一致するということにある。先にみたように,out, off, on, in, up, down は基本的には空間の移動(場所の移動),状態の変化を表す。それらはメタファー理解によって,共起する動詞の性質と合わさって,意味を拡張していく。これは,先にみたように,句動詞に現れる動詞が動作を表すものが多いことと無関係ではないと思われる。動詞がスキーマ的に捉えやすい動きを表し,方向を認知しやすい不変化詞が合わさることによって,視覚的,感覚的に理解されるため,意味の拡張が起こりやすいからであろう。動詞が複雑な概念を表すものではなく,単純な動きを示し,音声も短いため,用いやすく,聞き手も簡単に理解できると思われる。

句動詞の使われ方でもう一つ特徴的な面は,それらの語がいろいろな意味をもつこと,つまり,多義性に富むということである。このことを具体的に make up で検証してみる。下記の例文は,make up

をシノニムの一語動詞を( )内の語で表したものである。

(15)a. Jane makes up stories to amuse her little brother.(to invent stories) b. This would make up a part of her delight.(to form delight) c. We need someone with experience of making up a page.(to compile)

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二枝 美津子

d. She told me to make a bed up in the guest room.(to arrange) e. She had to make up her income by teaching piano students.(to complete an amount to the level

that is needed) f. You must make up the time that you have wasted this afternoon, by working late tonight.(to repay

the loss of the time)                  (Dictionary of Phrasal Verbs)

上記以上の意味もあるが,同じ makeと upの結びつきであっても,(a)から(f)のように多様な意味がある。一語動詞で表すときは,それぞれ異なった語を用いなければならない。しかも( )内で示された同じ意味を表す類義語の一語動詞は,全てラテン語起源の語彙であり,makeに比べて難解で,比較的後の段階で習得する動詞である。そこで問題になるのは,習得の負荷の問題である。複数の概念を表す必要がある際に,日本人学習者にとっては一つの概念を表す語は,一語を覚えて用いた方が楽である。その理由の一つは,一つの概念を表すのに一つの語を当てる方が理解する上で容易であるからである。1対 1の対応の方が,選択の余地がなく間違える危険性は少なくなる。しかし,難解な語彙になると,異なった意味での負荷がかかってくる。その個々の語を理解し,覚えるのに努力が必要になる。句動詞であれば,既に習得した基本的な動詞と不変化詞を用いるだけでよい。つまり,個別の語彙を用いなくても,既に習得しているやさしい語を組み合わせて新しい意味を表現することができる。先にもみたように,句動詞に頻繁に用いられる動詞は非常に簡単でスキーマ的な動作を表す。単純な動きのみを表すということは,不変化詞も意味拡張を起こしやすく,多くの状況を表すのに対応できることを意味する。換言すれば,一つの句動詞のもつ多義性を一語動詞で表すと,多くの語が必要となる。意味の包摂(上下)関係(hyponymy)で考えてみると,一つの句動詞は多くの一語動詞を包摂することになる。包摂関係において,上位語(hypernym)は下位語(hyponym)に取って代わることはできるが,その逆はできないし,下位語同士は両立できない。多くの語を習得しなくても,メタファーを媒介にして,一つの句動詞で多くの意味を表す表現が可能となる。聞き手も発話が行なわれる状況に応じて,多くの意味から的確に一つの意味を理解することができる。このことは,母語の獲得の場合も,句動詞に用いられる動詞に比べて,一語動詞の習得時期が遅いことからもわかる。句動詞の多義性をもって,多様な概念,意味を表現できる。二つの語を用いるのは一見不経済に見えるが,すでに知っている語句を組み合わせて,多様な意味,概念を表現するのは,比較的難しい新しい語句を覚えるより負荷が軽く,効率の面では良いといえるであろう。

Haiman(1983)によれば,概念距離と言語表現(形態素の長さ)の間には関係があり,概念距離が短くなるほど,言語表現も短くなる。使役性を例にあげると,使役の直接性が高いほど表現は短くなる。直接使役と間接使役では,前者の方が表現は短く(Haiman1983),目的語と動詞の距離も概念と近さと関係がある(Thompson & Koike 1985, 山下(二枝)2002)。そのことから類推すると,動詞と目的語の間に不変化詞が挿入される句動詞は,動詞と目的語が遠くなるので,概念距離も長くなると考えられる。また,句動詞は二語であるので一語動詞より長くなるとも考えられる。従って,概念距離が長くなり,目的語への影響性は弱くなると想定される。しかし,句動詞の場合は,二つの構成要素の意味が圧縮されて拡張した意味をもつようになる。その圧縮の程度差で一語と同じほど意味が凍結している句動詞と,比較的度合いの低い句動詞まで存在する。圧縮程度の高い場合は,二つの要素は完

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英語句動詞の認知言語学的分析 41

全に一つの語としてみなされる。意味の程度差はあっても,句動詞は一つの構文体(PVC)であり,言語表現を構成している要素全体の音素の長さを考慮しなければならない。不変化詞は一音節であり,不変化詞と共起する動詞も一音節の語が多い。二音節語は少なく(blossom, colour 等),三音節語は極めて少ない。しかも,高い頻度で用いられる動詞は,各音節が「子音+母音+子音」からなる短い音節の語である。二つの要素で構成されてはいるが,結果的に一音節ずつで,合わせて二音節語として発音される。二音節語は発音しやすく,強勢(stress)の違いを表すことができる便利な長さの語である。句動詞全体で短いため,概念距離は相当する一語動詞より長くはならないと考えられる。また,短い表現であるため,覚えやすいということもあり,短い要素の語を上手く組み合わせて使った効果的な表現であるといえる。

句動詞は動詞と不変化詞が合わさって新しい意味を作り上げる。句動詞を用いるのは,用いられる動詞が基本的な動きなどを表す語が多く,その動きの方向が不変化詞に見られる身体性にもとづく方向性が示され,理解されやすいことがあげられる。経済性からいえば,一つの語を使った方がよいようであるが,基本動詞で基本的(basic)に概念化をし,身体性にもとづいた不変化詞を加えることで,メタファーを媒介にして意味の融合がおこり,多義性をもつことができる。句動詞は身体性に基づいているため,意味を把握しやすく意味の拡張がおこりやすい。句動詞では,基本的な「動き」を表す動詞に,「移動」を示す不変化詞が結合する。「動作」に関する類似した要素の結合のために,簡単に表現することが可能である。句動詞が臨場感を与える理由の一つもここにある。子どもにとっても,習得初期に獲得できる基本的な動詞と不変化詞(起源的には副詞,前置詞)とが結合したものは表現しやすい。基本的な身近な語句を使って表現できるが故に,使いやすく,理解もはやい。しかも音韻的に,多くが単音節の動詞と単音節の不変化詞を結合させているため,結果的に,相当する一語動詞より短くなる。これも臨場感を生む原因の一つである。また,これらの句動詞を一語の類義語でおきかえると,それぞれ別々のラテン語起源の語彙を用いるか,より難解な語を用いることになる。多義性からみると,一見不経済のようであるが,多くの語を習得しなくても,よく使われる基本語を組み合わせることによって,多くの概念を表現することが可能であり,効率的であるといえる。多くの句動詞は動詞もゲルマン起源,不変化詞もゲルマン起源であり,結合の仕方もゲルマン的であるといえる。句動詞はあらゆる点で非常に素朴でゲルマン的な表現である。一語動詞と比べ,動作を動的に表現する場面に使われるのは,ゲルマン的表現であること,動作に関する動詞と不変化詞の組み合わせであること,音韻的にも一音節動詞に一音節不変化の組み合わせであり,発音も容易で短く,概念化もしやすいことがあげられる。

注 1)ドイツ語の複合動詞は動詞を基礎語として,前綴を結合して造られる動詞をいうが,その結合を融合的に強固に結合しているものと,単に連結的に不完全な結合をしているものがある。その結合

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二枝 美津子

の強弱に従って不分離動詞,分離動詞,分離・不分離動詞の 3種類に分けられる(三好 1968:131)。注 2) .Kennedyは“verb-adverb compound”と呼んでいる。注 3)ここでいう不変化詞を前置詞とみなすか,副詞とみなすかについては,多くの議論がされてきた。

Bolingerは不変化詞を副詞辞(adprep)と呼んでいる。注 4)この中で,例外として turnはギリシア語起源である。しかし,この語は 12世紀初頭にはすでに英語に入っており,その当時ギリシア語から直接入ったとは考えにくく,ラテン語を経由したと思われる。日常に用いられた語句であり,英語本来語のように用いられたと思われる。注 5)号外と,翌日の新聞報道での句動詞の使用比率は下記の通りである。

号外  The Inyo Register   (9月 11日) 10.5%

日刊紙 San Francisco Chronicle(9月 12日)  5.6%

注 6)2001年 9月 11日の号外からの例文である。(青木眞喜子氏の資料による)

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句動詞の使用率

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英語句動詞の認知言語学的分析 43

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