lilien, g.l. & rangaswamy, a. (2004) marketing engineering: chapter 5

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. . Strategic Market Analysis: Conceptual Framework and Tools Lilien, G.L. & Rangaswamy, A. Marketing Engineering (2004), Chapter 5 Web 公開版 小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Marketing Engineering 読書会 : 2015/04 小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 5 ME 読書会 : 2015/04 1 / 44

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Strategic Market Analysis:Conceptual Framework and Tools

Lilien, G.L. & Rangaswamy, A.

Marketing Engineering (2004), Chapter 5

Web公開版

小野 滋 (インサイト・ファクトリー)

Marketing Engineering読書会 : 2015/04

小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 5 ME 読書会 : 2015/04 1 / 44

目次

1. 戦略的マーケティング意思決定

2. 市場の需要とトレンド分析

3. 製品ライフサイクル

4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

5. 要約 [略]

ケーススタディ [略]

小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 5 ME 読書会 : 2015/04 2 / 44

1. 戦略的マーケティング意思決定

1. 戦略的マーケティング意思決定

2. 市場の需要とトレンド分析

3. 製品ライフサイクル

4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 5 ME 読書会 : 2015/04 3 / 44

1. 戦略的マーケティング意思決定

たいていの会社にはコーポレート・ミッションがあって、企業活動のスコープを定めている。例) 「文書ソリューションを通じてビジネスの生産性と知識共有を拡張する、グローバル文書ビジネスのパイオニア」(ゼロックス)

企業はミッションを直接的に測定できるオブジェクティブへと翻訳する。そのひとつがマーケティング・オブジェクティブ。例) 「今後5年間で平均 15%の売上成長」

企業はオブジェクティブに達しつつ持続可能なアドバンテージを確保するためのコーポレート戦略を立てる。例) 「ビジネスユーザとホームユーザーに PCを売ろう」

本章と次章では、マーケティング戦略の形成に影響する諸要因に焦点を当てる。

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1. 戦略的マーケティング意思決定..マーケティング戦略の構築において企業が考慮する要素は、以下にわけられる。

市場の機会とビジネス上の強みについての伝統的アセスメントa 市場と環境における機会と脅威の分析b ビジネス上の強み・弱みの分析

マーケティング戦略の中核c セグメンテーションとポジショニング ... セグメントとベネフィットの同定

d 機会分析 ... ベネフィットとビジネス上の強み・弱みを結びつけるe シナジー分析 ... 広告 etc.における製品 etc.間のポジティブ・ネガティブなシナジーを特定

f 機能要求分析 ... 製品 etc.に求められているものはなにか、企業がそれらの要求をどう満たすかを特定

g ポートフォリオ分析 ... 戦略を統合的に概観するオブジェクティブ・戦略の生成・評価

h オブジェクティブと戦略の生成i オブジェクティブと戦略の評価j プログラムの実装・監視・コントロール

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1. 戦略的マーケティング意思決定.Exhibit 5.1 戦略形成・評価のマーケティング指向アプローチ..

......

FIGURE

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1. 戦略的マーケティング意思決定

.Exhibit 5.2 典型的な限界とその解決..

......

典型的な限界 (Wind &Roberton,1983)

解決

分析の焦点が不適切 市場の定義と市場構造の理解 (3章)機能的孤立 統合。特に、コスト・ダイナミクスのモデ

ルと精算・サプライチェーンバリュー、マーケティングを結びつける (7,9章)

シナジーの無視 マーケティング・ミクス (2章)短期的分析 ダイナミック・モデル (7,8章)競合の無視 競争効果のモデル (2,6,10章)相互作用の無視 適切な市場定義 (3章)統合的視点の欠如 統合的モデル。PIMS,製品ポートフォリオ、

規範的資源配分モデルなど (6章)

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2. 市場の需要とトレンド分析

1. 戦略的マーケティング意思決定

2. 市場の需要とトレンド分析2.1 判断法2.2 市場・製品分析2.3 時系列手法2.4 因果的手法2.5 どの手法を選ぶか?

3. 製品ライフサイクル

4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

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2. 市場の需要とトレンド分析

本節では、既存製品についての市場の需要の評価とトレンド分析について扱う。新製品については 7章で扱う。

市場の予測のためには、まずその市場のレベルについて注意深く定義する必要がある。

潜在的市場 . . .製品・サービスに関心を示すすべての顧客の集合

利用可能市場 . . .関心を持ちかつ十分な所得とアクセスを持つ顧客の集合

有資格利用可能市場 . . .利用可能でありかつ有資格的な顧客の集合(例, ビールなら 21歳以上)

ターゲット市場 . . .企業が追求しようと決めた市場

浸透市場 . . .製品・サービスの購入経験がある顧客の集合

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2. 市場の需要とトレンド分析..市場の予測に完全はない。多くの企業は複数の手法を用い、結果が収束するかどうかを調べている。.Exhibit 5.3 市場予測アプローチの分類..

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Judgmental Salesforce compositeJury of executive opinionDelphi methods

Market and Survey analysis Buyer intentionsProduct tests

Time Series Naive methodsMoving averagesExponential smoothingBox-Jenkins method

Causal or Correlational Analysis Regression analysisEconometric modelsInput-output analysisMARMA

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2.1 判断法

営業部隊の合成推定営業部隊の意見を訊く。トレンドについて知識・洞察を持っていることが多い。悲観的ないし楽観的なバイアスがあったり、最近の成績によるバイアスがあったりする。予測に参加することで、販売目標についての確信が増しモチベーションがあがるかもしれない。

経営的見解による審議委員会キーとなるステークホルダーの意見をまとめる。経営陣、ディーラー、サプライヤー、コンサルタント etc.欠点: (1)各人が自分の意見を過度に重視する傾向がある (2)彼らに時間を取ってもらわないといけない (3)個々人の予測をどう重みづけるかを決めないといけない

デルファイ法と関連手法50年代に RAND社が開発、中長期予測でよく用いられる特徴: (1)匿名性 (2)複数ラウンドを通じたインタラクション (3)統計的要約のフィードバック

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2.2 市場・製品分析

購入意向潜在的購入者から確率的標本を抽出し、将来の一定期間に買うかどうかを聴取限界: (1)言明と行動の関係がわからない (2)無回答によるバイアス購入意向調査の二次的ソースがある。SRC-ミシガン大の ConsumerSentiment Measureなど。

市場テスト小さな市場で実際に発売する。(cf. 7章)

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2.3 時系列手法

過去データ (時系列データ)の統計的分析。過去における因果関係が未来にもあてはまるという想定に基づく (この想定自体についても注意深い検討が必要)。

素朴な手法最近の値を予測値とする。ないし、その値を季節調整する。過去の時系列に基づき、フリーハンドで予測線を引く。過去の時系列を前期・後期に分け、ふたつの平均をつないだ線を引く。

平滑化法データは、なんらかのパターンにノイズが加わったものだと考える過去の時系列を平滑化し、なんらかのパターンを見出す。

分解法データをいくつかの要素に分解する直感的にわかりやすく、実務に有用

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2.3 時系列手法

平滑化法 (1):

移動平均: St+1 = 1/N∑t

i=t−N+1 Xi

過去の N 時点だけに重みをつけている次の時点のみの予測で使われる事が多い簡単で低コストトレンド、季節、周期パターンがあるときは効果的でない

二重移動平均: 移動平均の移動平均移動平均と組み合わせてトレンドを調整できる ∗

指数平滑化: St+1 = αXt + (1− α)St , 0 ≤ α ≤ 1

重みが指数的に減衰するαはデータに照らして決める

二重指数平滑化パターンの変化に対応できる

∗原文によれば (移動平均)+(移動平均-二重移動平均) なのですが、Exhibit 5.4 の計算例と一致しないです... (泣)

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2.3 時系列手法

平滑化法 (2):

ここまでの手法は、いずれも次式の特殊ケースである:

St+1 =t∑

i=t−N+1

WiXi

適応フィルタリング予測の平均二乗誤差を最小化するWi を反復法で探す

Box-Jenkins 法強力な予測手法だが複雑自己回帰 (AR), 移動平均 (MA), 自己回帰移動平均 (ARMA)を含む多変量版 (MARMA) . . .説明変数の時系列を導入し、因果関係をモデル化できる

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2.3 時系列手法.Exhibit 5.4(a) 予測手法の比較: データ..

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2.3 時系列手法.Exhibit 5.4(b) 予測手法の比較: 予測..

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2.3 時系列手法

分解法 (1):

下式を想定する:Xt = f (It ,Tt ,Ct ,Et)

ただし、It は季節要素, Tt はトレンド要素, Ct は周期要素, Et は誤差要素。

関数形としてもっとも一般的なのは積 (It ×Tt × Ct × Et)。和を使うこともある。

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2.3 時系列手法

分解法 (2):

一般的手順:

...1 移動平均を求め、季節要素を除去

...2 元の系列との比か差を求め、トレンド要素と周期要素を得る

...3 元の系列から季節要素を求める

...4 回帰分析や二重移動平均で、トレンド要素を得る

...5 2. からトレンド要素を取り除き、周期要素を得る

...6 元の系列から季節要素、トレンド要素、周期要素を取り除き、誤差要素を得る

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2.4 因果的手法

需要を、需要の原因となる諸要因の関数として捉える

時間依存的なモデルでも、そうでなくてもよい

市場の諸条件が安定的でない場合、長期的な予測の場合に有用

手法:

回帰モデル

計量経済学的モデル

産業連関分析

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2.4 因果的手法.Exhibit 5.5 回帰モデルによる需要予測..

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潜在的売上 = 8.52 + 0.61 × 従業員数 

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2.4 因果的手法

産業連関分析 (input-output analysis): 産業の成長を予測

行・列に自社を加えて、予測に役立てる.Exhibit 5.6-7 遷移行列と構造行列..

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2.4 因果的手法

人工ニューラルネットワーク (artificial neural networks):

入力と出力との関係がはっきりしないときのモデル化に有用

多層フィード・フォワード・ネットワークがよく用いられる

データを与え、重みを学習させる . . .バック・プロパゲーションを用いることが多い

適切なノード数やレベル数を決める決定的な方法はない

定式化の例:

あるノードが受け取る信号: Z =∑

wixi

あるノードの出力: Y = 1/{1 + exp(−(Z − T ))}

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2.4 因果的手法.Exhibit 5.8 3層のフィードフォワード・ネットワーク..

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2.4 因果的手法.Exhibit 5.9 中間層ノードの処理メカニズム..

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2.4 因果的手法

重回帰と比べると. . .

長所:

事前にモデルの構造を指定する必要がない

データに欠損があっても、より頑健

優れた予測性能を示した事例が、数多く報告されている

短所:

モデルがブラックボックスとなり、解釈が困難

マーケティング分野では新しい手法。使用上のガイドラインがない

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2.5 どの手法を選ぶか?

Armstrong(2001)のガイドライン:

構造化された手法を用いること †

可能な限り、定量的な手法を用いること

(特に、これから生じる変化が大きいと思われる際には)外挿ではなく因果的手法を用いること

複雑な手法のほうが優れているという証拠がない限り、単純な手法を用いること

状況にあった手法を用いること (次頁)

†引用元にあたったところ、判断基準が事前に明確であることを指して「構造化されている」と呼んでいるようです。

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2.5 どの手法を選ぶか?.Exhibit 5.10 予測手法の選択ツリー..

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3. 製品ライフサイクル

1. 戦略的マーケティング意思決定

2. 市場の需要とトレンド分析

3. 製品ライフサイクル

4. コスト・ダイナミクス: 経験の効果

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3. 製品ライフサイクル

製品ライフサイクル (PLC)... 売上の予測、ステージに応じた戦略立案に有用.Exhibit 5.11 製品ライフサイクルの典型的諸段階..

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3. 製品ライフサイクル

PLCの背後に想定されるメカニズム:.Exhibit 5.12(a) 計算という需要を満たすさまざまな技術..

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3. 製品ライフサイクル.Exhibit 5.12(b) 世代交代によって引き起こされる需要..

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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 5 ME 読書会 : 2015/04 32 / 44

3. 製品ライフサイクル.Exhibit 5.12(c) RAMのライフサイクル..

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3. 製品ライフサイクル

PLCは実在するか?

実際に観察されるパターンは多様.Exhibit 5.13 若返りを伴うライフサイクルの例..

......

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3. 製品ライフサイクル.Exhibit 5.14 Boeing727,747のライフサイクル..

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3. 製品ライフサイクル

PLCにまつわる諸問題:

製品クラス (タバコ)、製品形式 (紙巻きタバコ)、ブランドのいずれについてのサイクルか?. . .標準的サイクルを示しやすいのは製品形式

新製品をどう定義するか?

PLCをめぐる近年のトレンド:

グローバル・マーケティング戦略への適用 . . .地域間の差をステージの差として捉える

ITによるサイクルの高速化

PLCはマーケティング・オポチュニティの分析の一要素に過ぎない。どう定義・測定するかは別にして、マーケティング戦略策定の際の概念的道具として有用。

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4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

1. 戦略的マーケティング意思決定

2. 市場の需要とトレンド分析

3. 製品ライフサイクル

4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

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4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

マーケット・シェアが拡大すると利益率が向上する

マーケティング戦略が利益に対して与える影響 (PIMS; 6章) についての重要な知見

シェアが 10%上がると課税前利益率が 5%上がる

主な理由: (1)規模の経済 (2)経験の効果

労働コスト減少は重要な理由ではないらしい

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4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

経験曲線

総コストと累積生産量の関連

60年代、Boston Consultingを中心に研究が進められた

Cq = Cn

(qn

)−b

q : 現在までの累積生産個数

n : 過去のある時点における累積生産個数

Cn: n個目の単位のコスト

Cq: q個目の単位のコスト

b: 学習定数

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4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

.Exhibit 5.15 学習・生産経験とコスト削減..

......

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4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

なぜコストは下がるのか: Alberts(1989)の説明

イノベーション (※規模・経験の直接的な効果ではない)

オペレータのイノベーションマネジメントのイノベーションプロセスのイノベーション

規模の経済過剰キャパシティの削減規模に依存する代替 . . .生産・調達・販売システムが大きいほうが、単位当たりコストが下がる調達力の増大

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4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果.Exhibit 5.16 生産コスト削減についての古典的な見方..

......

FIGURE

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4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

経験曲線を予測に活用する際の注意点:

価格をインフレーションに対して調整すること

コストと経験のプロットを描くこと (コストと時間ではない)

要素別に考えること。要素によって学習定数が異なるから

資源・活動が共通している複数の製品があるときは、経験が共有されるという点を調整して考えること

競合によって学習定数が異なる点に留意すること (後発が有利)

nとして適切な時点を選ぶこと

分析の単位を適切に定義すること (小さな市場で大きなシェアを持っている企業の経験は、大きな市場で小さなシェアを持っている企業の経験よりも小さいかもしれない)

プロセス・イノベーションのための予算を考慮すること

小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 5 ME 読書会 : 2015/04 43 / 44

4. コスト・ダイナミクス: 規模と経験の効果

典型的な価格-コスト関係:スタートアップ期→価格アンブレラ期→シェイク・アウト期→安定期.Exhibit 5.17 典型的な価格-コスト関係..

......

FIGURE

おしまい小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 5 ME 読書会 : 2015/04 44 / 44