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目的 さまざまなフルーツジュースに含まれる糖類 の定量分析を、最小限の前処理、超高速分析、 安価な方法にて行う。 背景 糖類を添加したソフトドリンクは、近年 2 糖尿病の進行や冠動脈疾患との関連が指摘さ れており、代わりに天然のフルーツを原料と した飲み物の消費が推進されています。特に ザクロジュースなどには、抗酸化物質が含ま れているなど健康上のメリットも報告されて います。したがって、これらの製品は通常の ソフトドリンクと比較して、高い値段がつけ られる傾向があります。 これらの天然成分由来のフルーツジュースの 品質保証や法令遵守の為、フルーツジュース の業界では、規格基準に対する適合性試験が 必要とされます。その試験の際の指標の 1 に、糖類の含有量が挙げられます。特にフル クトース、グルコース、およびスクロースは フルーツジュースの分析において重要な成分 です。これら糖類の含有量や含有比率の差異 が、品種の違いを示すマーカーとなります。 エバポレイト光散乱(ELS)検出器を用いた HPLC による分析手法は長い間、糖類分析の標 準的な手法として認識されてきました。また、 糖類の分離にはアミノプロピルやポリアミン などのアミン系の修飾基を有するカラムが一 般的でした。しかし、これらのカラムはシッ フ塩基が形成される為、カラム寿命の低下と、 カラムの劣化に伴う定量性の問題が発生して いました。 頑健な XBridge™ BEH Amide XP カラムと Alliance ® HPLC システムの組み合わせにより、5 種類の糖類の 高速定量分析が可能です。 ウォーターズのアミドカラムは、シッフ塩基を形成しないため、前述の問題を根 本から防ぐことができます。本テクノロジーブリーフでは XBridge BEH Amide XP カラムの糖類分析における有用性をご紹介します。 1. Alliance HPLC システム ELS 検出器 Mark E. Benvenuti and Jennifer Burgess BEH Amide カラムと エバポレイト光散乱検出による フルーツジュース中の 糖類の定量分析

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Page 1: Mark E. Benvenuti and Jennifer Burgess...Mark E. Benvenuti and Jennifer Burgess BEH Amide カラムと エバポレイト光散乱検出による フルーツジュース中の 糖類の定量分析

目的

さまざまなフルーツジュースに含まれる糖類

の定量分析を、最小限の前処理、超高速分析、

安価な方法にて行う。

背景

糖類を添加したソフトドリンクは、近年 2型

糖尿病の進行や冠動脈疾患との関連が指摘さ

れており、代わりに天然のフルーツを原料と

した飲み物の消費が推進されています。特に

ザクロジュースなどには、抗酸化物質が含ま

れているなど健康上のメリットも報告されて

います。したがって、これらの製品は通常の

ソフトドリンクと比較して、高い値段がつけ

られる傾向があります。

これらの天然成分由来のフルーツジュースの

品質保証や法令遵守の為、フルーツジュース

の業界では、規格基準に対する適合性試験が

必要とされます。その試験の際の指標の 1つ

に、糖類の含有量が挙げられます。特にフル

クトース、グルコース、およびスクロースは

フルーツジュースの分析において重要な成分

です。これら糖類の含有量や含有比率の差異

が、品種の違いを示すマーカーとなります。

エバポレイト光散乱(ELS)検出器を用いた

HPLCによる分析手法は長い間、糖類分析の標

準的な手法として認識されてきました。また、

糖類の分離にはアミノプロピルやポリアミン

などのアミン系の修飾基を有するカラムが一

般的でした。しかし、これらのカラムはシッ

フ塩基が形成される為、カラム寿命の低下と、

カラムの劣化に伴う定量性の問題が発生して

いました。

頑健な XBridge™ BEH Amide XP カラムと Alliance® HPLC

システムの組み合わせにより、5種類の糖類の

高速定量分析が可能です。

ウォーターズのアミドカラムは、シッフ塩基を形成しないため、前述の問題を根

本から防ぐことができます。本テクノロジーブリーフでは XBridge BEH Amide XP

カラムの糖類分析における有用性をご紹介します。

図 1. Alliance HPLCシステムと ELS検出器

Mark E. Benvenuti and Jennifer Burgess

BEH Amideカラムとエバポレイト光散乱検出によるフルーツジュース中の糖類の定量分析

Page 2: Mark E. Benvenuti and Jennifer Burgess...Mark E. Benvenuti and Jennifer Burgess BEH Amide カラムと エバポレイト光散乱検出による フルーツジュース中の 糖類の定量分析

日本ウォーターズ株式会社 www.waters.com東京本社 〒140-0001 東京都品川区北品川1-3-12 第 5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118

大阪支社 〒532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 サムティ新大阪フロントビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪テクニカルセンター  東京 大阪 名古屋 福岡 札幌

ソリューション

さまざまなフルーツジュースを購入し、これらを

分析サンプルとしました。サンプルの前処理は、

果肉片とその他不溶物を除くために遠心分離機に

かけた後、上清を水 /アセトン混液にて 50倍に希

釈しました。必要なサンプル前処理はこれだけです。

分析は 2424エバポレイト光散乱(ELS)検出器を

接続した Alliance HPLC システムにより行いました。

今回のように UV・蛍光による検出ができない場合

に、特に ELS検出は力を発揮します。また、ソルビ

トールのような糖アルコールやより分子量の大き

いオリゴ糖などの幅広い糖類の同時分析の為、示

差屈折率検出ではできないグラジエント分析も ELS

検出では可能となります。分析条件として、カラ

ムは XBridge BEH Amide XP、2.5 µm、4.6 x 100 mmを、移動相にはトリエチルアミン(TEA)を添加した

水とアセトンの 2液系のグラジエント条件を採用

しました。サンプル中の糖類の定量は、5種混合

標準品の 6点検量により行いました。図 2には、4

種の糖類及びソルビトールの分離クロマトグラム

を示します。糖アルコールは特定の品種のみに含

まれる為、粗悪品をモニターするマーカーとして

用いることができます。いくつかのフルーツジュー

スのクロマトグラムを図 3に示しましたが、リン

ゴジュース中の微量なソルビトールの検出も可能

となっています。

まとめ

XBridge BEH Amideカラムを用いることで、フルー

ツジュース中の糖類分析を、7.5分以内で行うこと

が可能です。Alliance HPLCシステムは、精度の高い

送液システム、および高い繰り返し注入精度を持っ

ており、直線でないグラジエント分析も可能です。

本分析法では、多くの実績のあるこの Alliance HPLC

システムと、シンプルな ELS検出、および頑健な XBridge BEH Amide XPカラムを組み合わせることで、単純な前処理、分析時間の短縮、高い費用対効果の目

的を達成した上で、定量精度の高いフルーツジュース中の糖分析が可能になり

ました。

図 2. 食品の糖類 5成分の ELS検出による分離

図 3. 4種類のフルーツジュースの糖類分析クロマトグラム。糖類それぞれについて定量値を記載。(定量値は希釈前の値 )

時間(分)0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00 5.50 6.00 6.50 7.00 7.50

1- Fructose- 0.22 g/100 mL 2- Sorbitol- 0.21 g/100 mL 3- Glucose- 0.21 g/100 mL 4- Sucrose- 0.21 g/100 mL 5- Maltose- 0.22 g/100 mL

2000

LSU

5

4

3

2

1

2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 4.0 4.2 4.4 4.6 4.8 5.0 5.2 5.4 5.6 5.8 6.0 6.2 6.4 6.6 6.8 7.0 7.2 7.4時間(分)

2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 4.0 4.2 4.4 4.6 4.8 5.0 5.2 5.4 5.6 5.8 6.0 6.2 6.4 6.6 6.8 7.0 7.2 7.4

時間(分)2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 4.0 4.2 4.4 4.6 4.8 5.0 5.2 5.4 5.6 5.8 6.0 6.2 6.4 6.6 6.8 7.0 7.2 7.4

時間(分)2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 4.0 4.2 4.4 4.6 4.8 5.0 5.2 5.4 5.6 5.8 6.0 6.2 6.4 6.6 6.8 7.0 7.2 7.4

1- Fructose- 4.67 g/100 mL 2- Glucose- 5.00 g/100 mL 3- Sucrose- 3.66 g/100 mL

1- Fructose- 7.82 g/100 mL 2- Glucose- 7.46 g/100 mL 3- Sucrose- Not Detected

1- Fructose- 6.73 g/100 mL *- Sorbitol- 0.45 g/100 mL 2- Glucose- 1.77 g/100 mL 3- Sucrose- 1.81 g/100 mL

*

1- Fructose- 2.47 g/100 mL 2- Glucose- 2.62 g/100 mL 3- Sucrose- 4.94 g/100 mL

Pineapple Juice White Grape Juice

Apple Juice Orange Juice

1000

LSU

1000

LSU

10

00 L

SU

1000

LSU

1

3

2 1

2

1 3

2

3

2

1 時間(分)

Waters および Alliance は Waters Corporation の登録商標です。XBridge および The Science of What’s Possible は Waters Corporation の商標です。その他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。

©2013 Waters Corporation. Printed in Japan.  2013年5月 720004548JA PDF