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Copyright© Noriharu Mikata 2016 All Rights Reserved. Ⅷ.泌尿器科領域悪性腫瘍の診断法 1.触診法 ........................................................................................................ 2 2.検査 ............................................................................................................. 4 A.尿検査 .................................................................................................... 4 ⅰ. 尿顕微鏡的検査(尿沈渣鏡検) ........................................................ 4 ⅱ.尿細胞学的検査(細胞診) ................................................................. 4 ⅲ.その他(いわゆる尿中マーカー) ...................................................... 6 B.血液検査法(腫瘍マーカー)..................................................................... 8 ⅰ.前立腺マーカー .......................................................................................... 8 a.酸性燐酸分解酵素(ACP)............................................................ 8 b.前立腺特異抗原(prostatic specific antigen:PSA) ...................... 8 ⅱ.精巣腫瘍マーカー ............................................................................. 11 C.内視鏡診断 ........................................................................................... 13 ⅰ.膀胱鏡 ............................................................................................... 13 ⅱ.腎盂尿管鏡........................................................................................ 15 D.病理学的診断法 .................................................................................... 16 ⅰ.生検法と組織学的診断 ...................................................................... 16 ⅱ.組織学的分化度................................................................................. 17 診断法索引 ...................................................................................................... 18

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Page 1: Ⅷ.泌尿器科領域悪性腫瘍の診断法mikata-no.com/PDF-C/8diagnosis.pdfCopyright© Noriharu Mikata 2016 All Rights Reserved. 1.触診法 泌尿器科領域悪性腫瘍の理学的検査法は、

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Ⅷ.泌尿器科領域悪性腫瘍の診断法

目 次

1.触診法 ........................................................................................................ 2

2.検査 ............................................................................................................. 4

A.尿検査 .................................................................................................... 4

ⅰ. 尿顕微鏡的検査(尿沈渣鏡検) ........................................................ 4

ⅱ.尿細胞学的検査(細胞診) ................................................................. 4

ⅲ.その他(いわゆる尿中マーカー) ...................................................... 6

B.血液検査法(腫瘍マーカー) ..................................................................... 8

ⅰ.前立腺マーカー .......................................................................................... 8

a.酸性燐酸分解酵素(ACP) ............................................................ 8

b.前立腺特異抗原(prostatic specific antigen:PSA) ...................... 8

ⅱ.精巣腫瘍マーカー ............................................................................. 11

C.内視鏡診断 ........................................................................................... 13

ⅰ.膀胱鏡 ............................................................................................... 13

ⅱ.腎盂尿管鏡 ........................................................................................ 15

D.病理学的診断法 .................................................................................... 16

ⅰ.生検法と組織学的診断 ...................................................................... 16

ⅱ.組織学的分化度 ................................................................................. 17

診断法索引 ...................................................................................................... 18

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1.触診法

泌尿器科領域悪性腫瘍の理学的検査法は、

視診や全身的な触診法は内科等と変わりはな

いが、泌尿科器領域の臓器悪性腫瘍に関して

は双手診で行うべきと考える.図に岸[1)]

から引用改変した腎臓、膀胱および前立腺に

対する触診法のうち最も広く行われていると

考えられるものを示す.

腎臓の双手診は、右腎では検者の左手指の

掌側を背面に、右手指の掌面を肋骨弓下方の

腹壁におき、患者の呼気に合わせて腎臓を両

手でつかむように触診する(左腎では検者の手は逆となる).腎腫瘍の触診で

は、腫瘤の大きさ、硬度、表面の性状、呼吸性移動の有無などを診察する.

膀胱腫瘍の双手診は、膀胱を空虚にした後砕石位をとり、示指または中指(効

き手の効き指)を直腸内へ入れて、恥骨結合上 3 ー 4 横指の部位を対側手指で肛

門方向に押さえて行う.患者には深呼吸をさせて腹壁を充分弛緩させる.麻酔

下に行えばより正確な所見がえられるため、TUR-Bt のために麻酔された時には

必須の診断法である.膀胱腫瘍では、腫瘤の大きさ、性状、可動性、周囲臓器

との関係を診察する.

陰嚢内容の触診は左手で精巣を保持し、右手で精巣、精巣上体、精策などを

触診する.特に精巣腫瘍では、その大きさ、硬度、性状、表面の性状、陰嚢皮

膚との癒着等を診察する.無痛性の陰嚢腫大の場合陰嚢水留との鑑別のために

透光性の有無をみる.

前立腺腫瘍の触診は、他臓器腫瘍の触診に比べ最も重要な検査法といえる.

近年血中腫瘍マーカーの進歩、画像診断法の発達普及によって前立腺腫瘍患者の診

断は向上してはいるが、まだまだ血中腫瘍マーカーに異常が無い前立腺癌患者は多

く存在し、これらの症例は前立腺触診で診断されている.前立腺腫瘍の双手診

は膀胱と同じく砕石位で行う、これ以外の体位では検者の腕が極端に長くなけ

れば双手診は不可能である.膀胱の場合と同様に示指または中指(効き手の効

き指)を直腸内へ入れて、恥骨結合上 3 ー 4 横指の部位を対側手指で肛門方向に

押さえて行う.前立腺は肛門括約筋のすぐ奥に触れるが、双手診で行えば更に

前立腺が直腸側に出てきてより正確に触診が出来る.触診では前立腺の大きさ、

左右側葉の対称性、前立腺表面の性状、硬度、結節の有無、周囲との癒着や精

嚢腺の状態を観察する.硬度については特に重要で、前立腺癌では骨様硬ない

しは石様硬と表現される程硬い結節を触れる.これとは逆に前立腺肉腫の一部

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では、軟式庭球のボールを触れたのと全く同じ触感の弾性軟と表現される硬度を

呈することがある. 文 献 1)岸洋一:泌尿器科診察法および一般検査法.新島端夫監修、岩動孝一郎、河邊香月編集、解説泌尿器科診療.メディカル出版、東京、1985、pp29-46. 診断法TOPへ

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2.検査

A.尿検査

ⅰ. 尿顕微鏡的検査(尿沈渣鏡検)

泌尿器科領域悪性腫瘍の臨床症状で最も

多いのが血尿であるために、尿路性器癌の

検査として尿検査は必須のものである.こ

こでいう血尿は肉眼的なものと尿沈渣を顕

微鏡で観察し赤血球を認める顕微鏡的血尿

をさす.

尿中ヘモグロビンの触媒作用による試薬

の反応をみている潜血反応は、尿沈渣中の

赤血球を顕微鏡で形態として観察する所見

と不一致のものが多く、これだけで血尿の

検査を終了してしまうのは尿路性器癌の検

査としては不十分である.井口[1)]の

報告から尿潜血反応と顕微鏡的血尿との関係を、尿潜血反応の偽陽性および偽

陰性の赤字であらわしたものを図1に示す.1視野に5個以上の赤血球を認め

るものを顕微鏡血尿とすると、尿潜血反応の偽陽性は 6%、偽陰性は 9%となる.

また無症候性顕微鏡血尿のうち 2.3%が尿路悪性腫瘍であるとされている[1)]

ため、尿潜血反応陰性を血尿なしとすると、約 0.4%(250 人に1人)の尿路悪

性腫瘍を見逃すことになってしまう.潜血反応が鋭敏すぎるため偽陽性が多い

と思われるが、むしろ偽陰性のほうが頻度は高く悪性腫瘍の検査としては尿沈

渣を顕微鏡的に観察した所見を優先すべきである[2)].

ⅱ.尿細胞学的検査(細胞診)

尿中に排出された尿路細胞を各種の染色を行

って、その染色性や形態学的に良性細胞であるか

悪性腫瘍から流出された細胞かを診断する方法

である(図2).その判定法として Papanicolow の子宮頸癌の判定基準に準拠

してⅠからⅤまでに分類する方法と、より単純に陽性(+)、擬陽性(±)お

よび陰性(-)に分類する方法[3)]とがあり、日本細胞学会はどちらの判

定基準も正しいとしている.背景に雑多な細胞がみられることと尿の細胞学的

診断を的確に行える細胞診断士が少ないためか、膀胱癌症例についての自然尿

での細胞診陽性率は高いとはいえない.国立がんセンターでの膀胱癌症例でさ

え自然尿の細胞診では 34.1%が陰性であった[4)].膀胱をポンピングした

潜血反応(-) 潜血反応(±) 潜血反応(+) 潜血反応(2+) 潜血反応(3+)

50以上 6 4 19 38 55

30ー49 6 2 6 9 4

20ー29 10 6 21 8 3

10ー19 25 13 35 22 4

5ー9 53 35 35 10

1ー4 166 69 36 8

1 410 54 13 1

0 440 37 9 3

0%

20%

40%

60%

80%

100%

図1:尿潜血反応と顕微鏡的血尿

個/1視野

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液体の細胞診はより高くなる[5)].最近は尿の細胞学的診断を独立させて

細胞診断士に教育するようになり、その正

診率は飛躍的に増加している.膀胱癌 94 例

の自排尿細胞診の結果とそのG分類とを図

3に示すが、G分類が進むほど細胞診の陽

性率は高くなっている(p<0.0001). 診断法TOPへ

G1(9

例)

G2(38

例)

G3(42

例)

G4(5

例)

(+) 4 26 4

(±) 2 7 6 1

(-) 7 27 10

0%

20%

40%

60%

80%

100%

図3:尿細胞診とG分類

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ⅲ.その他(いわゆる尿中マーカー)

尿路上皮癌

が尿中に放出

する物質を測

定してこれを

尿路上皮癌の

補助診断とし

て利用されつつある.以下に各物質について略記する[6、7)].

a)BTA(bladder tumor antigen):尿路上皮癌から分泌されるプ゚ロテアーゼ

によって基底膜が破壊されて、Ⅳ型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミネクチ

ンなどが分解され、これらの断片が尿中で分子量 16 ー 165kDa の複合体を形成

する.この複合体を膀胱腫瘍抗原として測定する.

b)BFT(塩基性フェトプロテイン):等電点が塩基性である癌胎児性抗原で膀

胱癌の尿中で上昇することが報告されている.

c)核マトリックスプロテイン 22(nuclear matrix protein 22、NMP22):

核マトリックスプロテイン 22 は細胞核内に存在する NuMA 蛋白(nuclear

mitotic apparatus protein)が細胞死により可溶化型となり体液中に出現した蛋

白質質であり、2 種類のモノクロナール抗体によって認識される.NMP22 は定

量反応で Bladder チェック NMP22 は定性反応である.

d)BTAA(bladder tumor associated antigen,膀胱腫瘍関連抗原)stat/BTA

TRAK:ヒト膀胱癌細胞株では生産されるが正常上皮細胞株には存在しないヒト

complement factor H related protein を検出する方法で BTA stat は定量法、

BTA TRAK は定性法である.

e)immunoCyt/uCyt+:immunoCyt/uCyt+は尿路上皮癌に発現する 3 種類の癌

関連抗原(M344,LDQ10,19A22)に対する抗体を用いた多重蛍光免疫細胞化学

的手法によって蛍光顕微鏡下測定されるキットである.

f)UroVision:UroVision は膀胱癌でみられることのある、染色体/遺伝子異

常である、3,7,17 番染色体の aneuploid および 9 番染色体短腕 21 領域の

delection を Multi-color fluorescens in situ hybridization(FISH) assay で検出

する方法である.

以上の各検査法の感度、特異度、定性法か否か、保険適応、利点、欠点を佐

賀らの報告から引用して表1に示した.保険適応が得られている測定法や、感

度特異度の高い検査法もみられるが、実際の臨床診断法としてどれだけ広く普

及信頼されているかは不明である.尿路上皮癌の真の尿中となりうるかはこれ

からの広範囲の臨床例の検討を待つ必要があるとも考えられる.

感度(%) 特異度(%) 定性 保険適応 利 点 短 所

BTA 49 86 ○ ○ 簡便 高分化で感度低、擬陽性多

BFP 67 72 ○ 比較的簡便 擬陽性多、時間を要す

NMP22 64 78 ○ 高感度、擬陽性少 時間要す

BladderチェックNMP22 49-55 85-87 ○ ○ 高感度、擬陽性少

BTA Stat 52 76 ○ 簡便 高分化で感度低、擬陽性多

BTA TRAK 69 65 無し 高分化で感度低、擬陽性多

immunoCyt/uCyt 74-87 62-91 高感度 高コスト

UroVysion 69-87 89-96 高感度 高コスト

表1:尿 中 マ ー カ ー

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また尿中の色素と膀胱腫瘍との関連も検討されたが尿中の色素の種類が多す

ぎてどの色素が通常どの程度までの濃度で有るのかさえも解明されていない.

文 献 1)井口 宏:血尿と泌尿器科疾患 穂坂正彦、甲斐祥生 監修 最新泌尿器科学の話題 横浜市泌尿器科医会、横浜、2000、p115-118 2)三方律治:尿潜血反応と顕微鏡的血尿(総合司会)第 11 回東京泌尿器科医会学術大会,2000.9.2 3)秦 順一、坂本 穆編集:標準病理学 第2版、医学書院、東京、2002 4)末舛恵一、垣添忠生編:図説臨床「癌」シリーズNo.4 膀胱癌メジカルビュー社、東京、1986 5)三方律治、木下健二、望月孝規、小金井真理子:膀胱腫瘍のスクリ-ニング法としての尿細胞診に関する研究.昭和53年度臨床研究紀要、P390ー392、東京都衛生局、1979 6)鳥居 徹、赤座英之:尿路上皮癌 日本臨床腫瘍学会編 臨床腫瘍学3版、癌と化学療法社、東京、2003 年、p749-770 7)佐賀祐司、玉木 岳、安住 誠、川上憲裕、柿崎秀宏:尿路上皮癌の腫瘍マーカー Urolgy View 16:18-22,2008 診断法TOPへ

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B.血液検査法(腫瘍マーカー)

泌尿器科領域悪性腫瘍の症例では、その全身状態や腫瘍随伴症候群を把握す

るために様々な血液検査が行われるのは勿論であるが、ここではいわゆる腫瘍

マーカーについて記す.前立腺マーカーと精巣胚細胞腫瘍の血液マーカーが従

来より知られており、診断にも応用されていたが、これ以外の悪性腫瘍につい

ては残念ながら特異的な血中マーカーは見いだされてはいないと考えられる.

ⅰ.前立腺マーカー

a.酸性燐酸分解酵素(ACP)

燐酸脱水素酵素は燐酸エステルを加水分解する酵素で、pHが 8.6 の時作用す

るアルカリ性燐酸分解酵素(ALP)とpHが 5.6 の時に作用する酸性燐酸分解

酵素(ACP)とがある.1938 年に広汎な転移のある前立腺癌患者でこの血清

ACPが高値となることが発見されて以来、臨床的に前立腺癌の腫瘍マーカーー

として応用される様になり、さらに 1953 年には前立腺由来の前立腺性燐酸分解

酵素(PAP)も測定可能となり前立腺癌の診断価値はさらに高まった[1)].

PSAが発見されるまでは世の中で腫瘍マーカーといえるものはACP以外に

無いといっても過言ではなかった.1970 年代にはいるとACPやPAPも免疫

測定法(RIA,EIA)での測定が可能となり更に診断性精度は高まった[2)、

3)].

b.前立腺特異抗原(prostatic specific antigen:PSA)

前立腺特異抗原(PSA)は前立腺分泌細

胞の粗面小胞体で精製された糖蛋白で蛋白分

解酵素である.その等電点は 6.9、分子量は

30-34kDa で、237 のアミノ酸残基と 7%の等

からなる.PSA は血液中では結合型 PSA と

遊離型 PSA として存在しているが、臨床的に

は通常この両者を併せた総 PSA として測定

した結果を表現している.

γseminoprotein (γSM)は現在遊離型

PSA を測定していることが判明している)[4)].

この前立腺特異抗原(PSA)は前立腺癌の症例で高値をとり、前立腺癌の

臨床経過と非常に密接な変化を示すことから、前立腺癌の腫瘍マーカーとして

酸性燐酸脱水素酵素にとってかわって臨床的に広く応用されている[5)-7)].

未治療前立腺癌 93 例,前立腺肥大症 460 例,前立腺結石 28 例,前立腺症 13

例,前立腺炎 82 例,膀胱頚部硬化症 17 例,不定愁訴(不定愁訴はあるが,触

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診その他の検査で泌尿器科的に異常を認めないもの)178 例,神経因性膀胱 54

例,血精液症 30 例,他臓器癌 95 例,他臓器疾患 226 例,その他(検診ドック

などを含む)190 例の計 1,466 症例について血中のPSA濃度を対数で表したグ

ラフを図1示した.PSA のカットオフ値は 3.0ng/ml、l であった[6)].

未治療前立腺癌患者でカットオフ値を越える症例の全未治療前立腺癌症例に

対する比を感受性とし,未治療前立腺癌以外の良性疾患でカットオフ値以下の

例数の全良性疾患数に対する比を特異性とした.感受性と特異性の積を診断効

率とした.その結果は PSA 結果の感受性は 0.9783、特異性は 0.7493 および診

断効率は 0.7344 であった[6)].

各疾患群間のPSA値は一元配置分散分析では P<0.0001 の差を認めた.未治

療前立腺癌のPSA値は 0.9ー4,310ng/ml,平均 152.6ng/ml でこの値は良性疾

患群の各疾患に比べて有意に高値であった(p<0.0001).しかし前立腺肥大症,

前立腺症,前立腺炎及び他臓器疾患のPSAの平均値はカットオフ値を越えて

いた[6)].

PSAは前

立腺癌の腫瘍

マーカーとし

ては診断効率

が 0.734 と他

に類をみないほどの高率であり、前立腺癌の治療経過を非常によく反映するP

SAであるが、良性の前立腺疾患特に前立腺肥大症で高値をとることがある.

良性疾患でのPSAが高値となる理由として,前立腺肥大症のようにPSAを

産生する腺上皮の量が増えることと、前立腺炎や前立腺結石などのように腺管

が圧迫されてPSA漏出が生じ,血中のPSAが高値となると推測されている.

前立腺癌と前立腺肥大症との鑑別診断をPSAで行う試みとして、遊離型PS

Aと総PSAとの比(PSA F/T)、前立腺単位容積当たりのPSA量(P

SAD)やPSAの経時的増加量等が測定されている[5)].しかしながら、

これらの値の基準値は国際的にも定められておらず、とくにPSA F/Tに

付いてはその基準値が測定法で全く異なっていて基準値を提示しない検査会社

さえ存在するが、一般的には総PSAが基準値をこえてPSA F/Tが 20%

ー 15%未満の場合には前立腺癌の可能性が高いとされている.

表1に被膜下摘除術を行った前立腺肥大症(組織学的診断確定)46 例と組織

学的に診断の確定した前立腺癌 80 例を臨床病期分類したものの、PSA、γS

M、PSA/γSMおよび超音波で計測した前立腺容積当たりのPSA量を示

す.臨床病期Aでは全ての項目で前立腺肥大症と有意差はなく、臨床病期Bで

はγSMでは前立腺肥大症と有意差はなく、PSAが危険率<0.05 で有意に高く、

PSA γ SM PSA/γ SM PSAD前立腺肥大症(46例) 7.26±7.33 9.91±17.0 0.97±0.48 0.09±0.06

病期A( 9例) 6.74±4.58 8.09±5.49 0.93±0.31 0.15±0.09病期B(11例) 87.5±244(*) 52.5±149 2.87±3.63(**) 2.34±5.70(**)病期C(26例) 39.9±30.7(**) 26.2±19.8(**) 2.06±2.46(**) 1.33±1.45(**)病期D(34例) 315±765(**) 189±494(**) 8.98±22.7(**) 7.85±16.8(**)

(*):P<0.05、(**):P<0.01

表1:前立腺肥大症と前立腺癌のPSAによる鑑別

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PSA/γSMとPSADとは危険率<0.01 で有意に高値であった.臨床病期C

とDでは全ての項目で危険率<0.01 で有意差を認めた.この結果から単なる血中

PSA測定では進行度の低い前立腺癌と前立腺肥大症など良性前立腺疾患との

鑑別は容易とはいえない[5)].

このようにPSAは前立腺癌のマーカーとして非常に優れているが、本邦に

おいてはPSAの測定キットが非常に多彩であり、保険適用になっているキッ

トでさえ 25種類を越えている、しかもその測定はどれひとつ同一のものもなく、

かつ基準値もそれぞれに異なっていて全く統一性がなく、臨床医の頭をいため

ている問題である.学会等で互換式を作成しているが対照血清数が少なくて数

学的に互換式の正確度は低い[7)].

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ⅱ.精巣腫瘍マーカー

精巣腫瘍の腫瘍マーカーは、

組織型の推定、治療効果判定、

予後予測などについて極めて

有用な情報をもたらす.精巣腫

瘍の腫瘍マーカーとしては、現

在ではヒト絨毛性ゴナドトロピ

ンβサブユニット(β-human

chorionic gonadotoropin:β

hCG)とα胎児性蛋白

(alpha-fetopotein:AFP)が広

く認められている[8)、9)].

図 2 に 28 歳の精巣胚細胞腫瘍

(組織型は、セミノ-マと胎児性癌との混合)症例のβhCG と AFP との術前、

術後および術後化学療法による消長を示す.

精巣腫瘍では乳酸脱水素酵素(lactic dehydrogenese:LDH)が高値を示す

こともあり、これを精巣腫瘍のマーカーに含めようとする動きがみられるが、精巣

腫瘍のマーカーとしては特異性は極端に低いため特定臓器の腫瘍マーカーとは

いえない.肝機能障害や肝臓癌で異常値をとる頻度が圧倒的に高率であり、そ

れでは LDH の分画を測定しても臓器特異性は得られない.LDH が異常値を示

すのは腫瘍随伴症候群(paraneoplastic syndrome )のひとつであるから、特

異的腫瘍マーカーとしてではなく症例個々人の腫瘍マーカーと考えるべきであ

る.

残念ながら、このβhCG と

AFP 精巣腫瘍マーカーについて

胚細胞腫瘍の組織型による陽性率

を調査した報告は殆どみられない.

表2に亀山・本間[10))]の

報告およびその報告から引用した欧米の陽性率を示す.この結果では血中のβ

hCG も AFP も胚細胞腫瘍の組織型によってその陽性率は様々である.しかしな

がら、陰嚢内腫瘍をみとめ、血中のβhCG ないし AFP のいずれかが異常高値

をとれば胚細胞腫瘍と考えられる. 文 献 1)高井修道:泌尿器悪性腫瘍の臨床 金原出版、東京、1963 2)木下健二、三方律治:抗男性ホルモン療法と放射線療法を併用した前立腺癌患者の血清酸ホスファタ-ゼおよび血清亜鉛濃度の変化について.昭和52年度臨床研究紀要、225ー227、東京都衛生局1978.

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3)三方律治,今尾貞夫,堀内大太郎,田中良典,高井計弘:前立腺癌の3マーカーが異常高値を呈した前立腺肥大症の1例 日臨外医会誌,50,2676ー2579,1989. 4)丸岡正幸、西川泰世、長山忠雄:γSM(γセミノプロテイン),前立腺特異抗原(PSA):中井利昭編、検査値のみかた、2版、p947-950、中外医学、東京、2000 5)三方律治,今尾貞夫,中村 陽:前立腺癌患者における血中前立腺特異抗原値γセミノプロテイン値の臨床的検討 日臨外医会誌,58(7):1474ー1477,1997. 6)三方律治,今尾貞夫,石渡 進,鈴木基文:前立腺特異抗原の臨床的検討 泌外,11:1367ー1371,1998 7)三方律治:3測定法による血中前立腺特異抗原(PSA)値の比較検討 日外科系連会誌,23(5)747ー751,1998 8)木下健二、三方律治:睾丸腫瘍患者の精索静脈血及び末梢血中における Human Chorionic Gonadotropin 及び Testosterone の測定. 昭和53年度臨床研究紀要、246ー266、東京都衛生局、1979. 9)三方律治,今尾貞夫,加藤 温: 睾丸悪性腫瘍患者におけるα-fetoprotein(AFP)の消長 日臨外医会誌,52:1893ー1896,1991. 10)亀山周二、本間之夫:睾丸腫瘍の腫瘍マーカー 臨床検査 38:669-672,1994 診断法TOPへ

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C.内視鏡診断

泌尿器領域悪性腫瘍の診断に内視鏡検査は欠かせない診断法である.特に膀

胱鏡検査の歴史は古く、タングステン電球の開発される前はアセチレンガスを

使ったアーク灯を光源とし、この光を反射鏡等を使用して膀胱内へ導き膀胱鏡

検査を行ったり、白金線をガラスで包み込みこれを細管の先に取り付け通電し

て発光させるほぼ現代に近い形の膀胱鏡が出来上がっていた.エジソンが 1980

年にタングステン電球を開発したが、1976 年にはこの小さなタングステン電球

を膀胱鏡の先端に取り付けた膀胱鏡がドイツ人 Nitze 氏によって完成した.国

産の膀胱鏡は 1919 年には完成した[1)].また 1930 年代に 16mm の動画が撮

影されている.1950 年代になるとグラスファイバーが開発されて、これが応用

されて光源を体外においた膀胱鏡が作成され体内光源式の膀胱鏡は姿を消した.

最近は軟性膀胱鏡も臨床に応用され、またファイバー束の細く長い軟性鏡が

開発されて腎盂尿管鏡として上部尿路癌の診断に応用されている.

ⅰ.膀胱鏡

膀胱癌の診断には欠かせない検査である.

膀胱鏡検査では膀胱癌の存在診断だけでは

なく、腫瘍の形態や茎の状況から膀胱癌の

分化度や進展度まで推察しうる.しかしそ

こまでの診断技術を獲得するには相当な数

の膀胱鏡診断とその組織学的診断をあわせ

て体得する必要がある.図 1 に乳頭状有茎

性多発膀胱腫瘍の膀胱鏡像、図2に非乳頭

上広基性膀胱腫瘍の膀胱鏡像を示す.

また膀胱鏡は膀胱癌の診断だけではなく、

血尿患側を観察することで腎癌や腎盂尿管

癌の診断にも用いられる(図3).さらに最近の膀胱鏡は膀胱尿道鏡の方式に

なっているものが多いため尿道癌の診断も行われることは勿論である.

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ⅱ.腎盂尿管鏡

ファイバー束の細く長い軟性内視鏡を、膀胱鏡

でステント挿入の要領で尿管口から、尿管ないし

腎盂まで挿入して腎盂尿管の状況を確認する.腎

盂尿管癌が直接観察できるためにその診断には

非常に有用である.しかしながら腎盂尿管鏡の挿

入や観察には熟達した技術が必要であり全ての

症例で観察が成功するとは限らない.しかしなが

ら、現在はこの腎盂尿管鏡を用いて腎盂や尿管の

組織を生検可能な装置も開発されている.図4に

腎盂腫瘍の腎盂鏡像を、図5に尿管腫瘍の腎盂尿 管

鏡像を示す. 1)金子栄壽 膀胱鏡 附尿道鏡手技、鳳鳴堂書店、東京、1950年 診断法TOPへ

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D.病理学的診断法

ⅰ.生検法と組織学的診断

泌尿器科領域悪性腫瘍に対して

も、その組織診断の確定と分化度や

浸潤度を組織学的に求めて、治療法

を選択するために生検法[1)]が行

われる.

現在最も広く行われているのは、

学会等で組織診断のなされた症例

だけを前立腺癌症例とすると定義されているため[2)]、前立腺に対する生検

である.前立腺生検は超音波監視下に針生検で行われるが、経直腸法と経会陰

とがある[1)].前立腺を小区域に分けて各区域から生検を行うが、何カ所か

ら生検を行うかは各施設などで様々で定まってはいない[2)].

膀胱癌では浸潤度によって外科的治療法が異なるために[3)]、組織学的浸

潤度診断が必要となるために生検が必要となる.経尿道的膀胱腫瘍電気切除術

(TUR-Bt)で行われることが多いが、臨床的に表在性膀胱腫瘍と考えられると

きには、根治的 TUR-Bt を行ったときに更に深層を生検することが多い.臨床

的に浸潤性が疑われ場合は生検を目的とした TUR-Bt を行う.また根治的

TUR-Bt を目的としていたが腫瘍を根治的切除出来ない場合にも生検 TUR-Bt

となってしまう.

腎盂尿管腫瘍に対しては、腎盂尿管鏡で生検が行われる.

陰茎腫瘍に対しては組織診断確定のために、開創生検が行われる[1)]

腎腫瘍や精巣腫瘍が疑われるときには、腫瘍細胞の播種の危険が多いため生

検は禁忌とされている[1)]

生検や手術標本を含めた尿路性器の各臓器悪性腫瘍の組織学的診断の主なも

のを表 1 に示す.最近、”移行上皮癌”を”尿路上皮癌”と記載されることが

多いが[3)]、組織学的には尿路上皮癌≡移行上皮癌と考えられるため、ここ

では、引用文献のタイトル以外は、総論および各論を通して全て、旧来の”移

行上皮癌”を使用する. 文 献 1)東原英二:生検法.新島端夫監修、岩動孝一郎、河邊香月編集、解説泌尿器科診療.メディカル出版、東京、1985、pp96-98. 2)日本泌尿器科学会 日本病理学会編:泌尿器・病理 前立腺癌取り扱い規約、第3版、金原出版、2001 3)日本泌尿器科学会、日本病理学会編:泌尿器科・病理 膀胱癌取り扱い規約、第 3 版 金原出版、東京、2001

臓器 組  織  診  断副腎 腺癌(皮質)、褐色細胞腫(髄質)腎臓 腎細胞癌、腎芽腫、肉腫腎盂尿管 移行上皮癌膀胱 移行上皮癌、肉腫尿膜管 腺癌陰茎 扁平上皮癌尿道 扁平上皮癌前立腺 腺癌、肉腫精巣 胚細胞腫瘍

表1:尿路性器悪性腫瘍の主な組織像

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ⅱ.組織学的分化度

腫瘍の悪性の程度を組織学的に決

める方法として、悪性腫瘍細胞の分化

の程度をみて判定されている.この分

化度の基準に統一されたものは少な

く、各病理学者や各学会等でそれぞれ

定義されていた.現在では

UICC[1)]による G 分類が臨床的に

は簡単便利でどの臓器の悪性腫瘍に

ついても同じ分類であるために広く

使われていると考える.すなわち、

G1:高分化、G2:中分化、G3:

低、分化およびG4:更に分化度が低いか未分化とし、分化度不明(組織診断

不明)を GX としている.しかしながら日本泌尿器科学会では G 分類を G3 迄

として、未分化癌を組織分類で別の項目としている[2)].このために各論で

は、各臓器の悪性腫瘍の分化度を本邦の報告と比較するため G3 と G4 を纏めて

G3 とした.自験例の腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌および前立腺癌の G 分類を図

1に示した[3)]. 腎盂尿管癌以外では G2 が最多であったが腎盂尿管癌では

G3 がもっとも多い.

最近 Gleason 分類が前立腺癌の組織分類に広く使われはじめているが[2)]、

複雑であり実際の臨床応用では問題がありそうで、9 段階の Gleason score を更

に三段階に纏めている報告も多くみられる[4)]. 文 献 1)L.H.Sobin,Ch.Wittekind 編:UICC,TNM 悪性腫瘍の分類(日本語版)、金原出版、東京、2003 2)日本泌尿器科学会 日本病理学会編:泌尿器・病理 前立腺癌取り扱い規約、第3版、金原出版、2001 3)三方律治,今尾貞夫,深澤 立:東京都立墨東病院における尿路性器癌の臨床統計:1986 年ー2000 年の入院患者について 泌外 17(2):167ー172,2004 4)田村芳美、小屋智子、森田崇弘、久保田裕、高橋 修、藤塚 勲、伊藤一人、鈴木和彦:利根中央病院における前立腺癌患者症例の臨床的検討-PSA スリーニング受診歴の有無による生存率の比較-.日泌尿会誌、100:525-533,2009. 診断法TOPへ

腎癌 腎盂尿管癌 膀胱癌 前立腺癌

GX 12 7 6 0

G4 2 6 33 38

G3 16 34 137 73

G2 93 21 176 135

G1 26 1 36 64

図1:尿路性器癌のG分類

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診断法索引

Gleason 分類 .................................................................................................. 17

UICC の G 分類 ............................................................................................. 17

酸性燐酸分解酵素(ACP) ............................................................................ 8

触診法 ............................................................................................................... 2

腎盂尿管鏡 ...................................................................................................... 15

生検法と組織学的診断 .................................................................................... 16

精巣腫瘍マーカー(AFP,βhCG) ................................................................ 11

前立腺特異抗原(PSA) ............................................................................... 8

尿顕微鏡的検査(尿沈渣鏡検) ........................................................................ 4

尿細胞学的検査(細胞診) ............................................................................... 4

尿潜血反応 ........................................................................................................ 4

尿中マーカー .................................................................................................... 6

膀胱鏡 ............................................................................................................. 13