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MOS-FETパワーアンプ 作成レポート 2010 5 24

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Page 1: MOS-FETパワーアンプ 作成レポートmyaudio.sakura.ne.jp/MOS-FET.pdf「MJ無線と実験」2008 年12 月号及び2009 年1 月号に掲載された落合萠氏のMOS-F

MOS-FETパワーアンプ

作成レポート

2010 年 5 月 24 日

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「MJ無線と実験」2008 年 12 月号及び 2009 年 1 月号に掲載された落合萠氏のMOS-F

ETパワーアンプの作成レポートです。

~1.部品調達編~

1. 購入部品リストと部品構成表

1.1. 購入部品リスト

部品の購入を始めるにあたり、まず最初に誌面に掲載されている部品のリストを作り、部

品・代替品を購入しつつ、訂正しながら購入部品リストとしている。

購入部品リスト

なお、部品を集めて行く中でMJ無線と実験 2009 年 1 月号の記事の誤記を見つけたので、

ここに書き出しておく。

P133 [図 4]バイアス回路 誤:4.2K 正:4.3K

秋葉原の海神無線の店員さんに、「4.2 は系列(E12,E24,E96,・・・)には無いです

よ。もし、必要なら組み合わせしてお作りしましょうか。でも誤差の中に入っちゃ

うんですよね。イコライザーにお使いですか。」と表を出しながらやさしく説明し

てくれた。言われて気がついた。(そうだ 4.2 なんて無い。)「4.3K で結構です!」。

(MJ無線と実験の 2009 年 8 月号、ラインコントロールアンプの記事の回路でも

4.2KΩだったので、それが正しいのかもしれないが・・・。)

P134 [図 8]バイアス回路 誤:4.2K 正:4.3K

ピン配置説明 誤:2SK1530 のペアが 2SJ200 になっている

正:2SK1530 のペアは 2SJ201 が正しい

P136 [図 7] 誤:7K 正:2.7K

誤:2SA1887 正:2SA1837

誤:負側 CRD E202 の向きが反対

P136 [図 8]部品配置図 誤:10K 正:12K

誤:2SK80A 正:2SK30A

1.2. 部品構成表

部品構成表を、回路図の部品番号と対応する実際の部品を結びつける為に作成した

部品構成表は、本来ならマイクロソフト社の Access を使って作りたい所だが、我が家の資

金管理をしている方に予算申請できず、導入できていない。

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2. 部品調達

近年、ディスクリート部品がどんどん製造中止になってきている。製造中止品を使っている

と自分で作った愛着のあるアンプの保守ができなくなり、完成時の状態が維持できなくなる

可能性があるので、できる限り「製造中の部品を使う」という方針を心に決めた。

また、キーパーツは保守用に余分に確保することにした。

2.1. 部品の入手可否確認及び代替品の検討と調達

以下、○印は、製造されていて入手可能、△は、生産されていないが入手できた部品。×は

入手できない部品であることを表している。

(1) アンプ部

×2SC5170-F 随分時間をかけてネットで調べて、やっとイサハヤ電子の石である

ことがわかったが、製造中止でスペックは結局わからずじまい。入

手もできそうにない。誌面には 2SC2458,2SC2240,2SC1775 が代替

として紹介されており、その中から 2SC2458-GR(要求 hFE は 300

以上で、GR は 200~400)を代替として使用することにして入手し

た。データシートを(株)東芝 セミコンダクター社(以下、東芝)

のホームページから入手。

日立の 2SC1775/2SC1775A は、生産中止。生産移管先の株式会社

ルネサス テクノロジのホームページに製造中止の旨が掲載されて

いる。

×2SK389-BL 廃品種になった石。なんとか作成用に2個、保守パーツ用に2個、

合計4個入手できたが、今後は入手できないだろう。また、データ

シートは東芝のホームページから入手できず、別の場所から英文の

ものを入手した。しかし、最初に心に決めた「製造中の部品を使う」

の方針に従いたい所だ。記事(2009 年1月号後編)によると、

2N5464,2N3954 でも同様に使えると記載されていたが、これとて

とっくに廃品種で入手困難。入手できてもバカ高い(2N3954 は1

個3千円ぐらい。2個要るので6千円!)。安定して動作するか不

安であるがディスクリートでペアを作るしかない。VGDS が低い為、

設計上使用できるか確認する必要があるが、2SK170-BL のペアが

ローノイズであり最有力候補。絶対最大定格からすると2SK117-BL

のペアか、2SK246-BL をペアで対応できそうだ。2SK170-BL のペ

ア、2SK117-BL のペアは入手済。実機検証してみようと思う。こ

れら素子のデータシートは東芝のホームページからダウンロードし

た。

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○2SA1358-Y 購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。

○2SC2458-GR 購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。

○2SA1837 購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。

データシートを見ても、hFEのランク指定が無い。記事には hFE 200

以上と書いてあったので、余分に買って選別しなければならない。

2SC4793 も同様。

○2SC4793 購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。

○2SK1529-Y 購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。

○2SJ200-Y 購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。

ツェーナーダイオード

△RD9.1E 入手済。ところが 2009 年4月になってデータシートをダウンロー

ドしようと思って NEC エレクトロニクス(株)のホームページを幾

度も捜したが一向に見つからない。変だな~。もしかして・・・。

廃品種のページ(サポート>検索>保守・廃止品検索)を見たら、

廃止年月 2009 年 4 月となっていた。急いでデータシートをダウン

ロード。

ついでに、ホームページに「パワートランジスタの取り付け方法」

の PDF があり参考になるのでこれもダウンロードした。パッケー

ジタイプ毎に、ワッシャーと絶縁用ブッシュをどのように取り付け

るか図示されていてわかりやすい。

×多回転半固定VR 記事にはスペクトロールの 64Y を使用したと記載されていたが入

手不可能。手持ちは錆が入った 100Ω1個だけ。代替品として、と

いうよりオーディオに実績があり信頼性の高いコパル電子( 日本電

産コパル電子株式会社)の TM-7P(3回転)を使用する。スペクト

ロール社は、現在、VISHY(ピシェイ)という会社の傘下に入って

いる。

スペクトロール 64Y コパル電子 TM-7P

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×パナソニック製 半固定VR(2KΩ)

パナソニック製は誌面には型番の記載が無いので、生産されている

のか入手できるのかできないのかわからない。そこで、コパル電子

の RJ-6P を入手した。

○コパルλ-13T コパルの製品カタログにまだ載っていた。ホームページからカタロ

グをダウンロード。(2009 年 5 月 24 日)

△コパルλ-13T 2009 年 6 月 5 日、コパル電子のホームページを見たら、「*生産

終了予定品」と書かれていた。5月は、その様な記述はなかったの

に。「*生産終了予定品」と書かれたカタログを再度ダウンロード。

メーカ側は代替品として RJ-13P を指定している。急いで入手。

×抵抗器 マイクロオーム製 レンジモールド

今はもう入手できそうにない。また、ホームページで検索しても、

マイクロオーム社は出てこない。(レンジモールドだと思われる昔

買った部品が手元にいくつか残ってた。)そこで、タクマン電子の

音響用金属皮膜抵抗器 REY を使うことにした。REY25(1/4W)で

も良いのだが、なんとなく余裕があった方が良いような気がしたの

で REY50(1/2W)とした。なお、KOA 製でSFと呼ばれるモール

ド型の金属皮膜抵抗器がカタログにのっている

これか?レンジモールド。M-25 と書いてある

タクマン電子 REY50 オーディオ用金属皮膜抵抗器

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○金属皮膜抵抗 誌面に掲載されている 0.1Ω5W の抵抗は KOA の金属皮膜抵抗器

SPRX5C (SPRX の 5W タイプ)を入手。(しまった。保守用に

余分に購入するのを忘れた) ホームページからデータシートをダ

ウンロード。0.1Ω以外の 2W,3W 型は松下製の酸化金属皮膜抵抗を

使用したとのことで、ネット上で探してみたが見つからない。そこ

で、すべて KOA 製の酸化金属皮膜抵抗を入手した。

KOA の SPRX5C 0.1Ω

KOA の酸化金属皮膜抵抗器

△電解コンデンサ エルナー セラファイン

メーカのホームページを見るとこの電解コンだけ PDF のデータシ

ートが掲示されておらず、特性がわからない。

部品自体は、若松通商で販売されていたので入手。

エルナーのセラファイン

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○ディプマイカコンデンサ

双信電機株式会社のホームページに載っていたが、ネット上では

0.02μF が見つからない。0.01μF を見つけたが 2,000 円弱だった

ので、0.02μF だともっと高額だろうし、0.01μF をパラにするに

しても、左右で4個必要なので 8,000 円弱。ちょっと手が出ない。

ディプマイカは、33pF だけにして(それでも@300 円台と高額)、

0.02μF(0.022μF)は、日通工のフィルムコンデンサを購入した。

これは 1 個 80 円だった。

△放熱器 フレックス TF1310A-2

この放熱器、昔から知っている。でも、今、ホームページで「フレ

ックス」を探してみても見つからない。若松通商で購入したが、メ

ーカーはどうなっているのだろう。

○その他小型放熱器 2SA1358-Y を熱結合するためのコの字型の放熱器がなかなか見つ

からず苦労した。

○その他購入パーツ ユニバーサル基板 サンハヤト ICB-97

MOS-FET 用の放熱シート(TO-3用マイカシート)、絶縁ブッ

シュ、シリコングリス

5PWラグ版、1L2P小型ラグ版、スペーサー(ねじ付き)

アルミ板 1t 程度 100×150mm 2枚

コードブッシュ(MOS-FET と基板間に入れるアルミ板にケーブル

を通す為)、ゴムブッシュも使用するかわからないが一応購入

絶縁用のチューブもしくは熱収縮チューブ。MOS-FET の足の半田

付けした部分にケーブルを通して被せショートを防止する。

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(2) 電源部

○パワートランス ISO S-2347。受注生産だがノグチトランス販売株式会社から入手で

きる。インターネットで注文して入手した。

×SBD PB102F, PB302F は既に生産中止。記事に代替として挙げられてい

た B30A15 の値段をネットで調べてみたら、なんと 7,350 円!。そ

んな高いもの買えねぇ~。

もっと安価で同じ日本インター製の KRH30A15/KCH30A15 と、

FRH10A15/FCH10A15 を購入。KRH30A15/KCH30A15 は、装着

時にマイカシート(TO-3用)が必要。放熱をどうするか考えな

ければならないが、価格は手の届く範囲だった。なお、KRH30A15

は、メーカの製品一覧にないので、販売元で特注したのかもしれな

い。

※SBD … Schottky Barrier Diode の略

×63V/22,000μF 平滑用電解コンデンサー

記事には Panasonic 製を使用したと記載されているが、ネジ端子型

は生産終息品になっていた。入手したのは、記事と容量が違うが、

日本ケミコン株式会社の KMH シリーズ(105℃標準品)80V/27,000

μF。若松通商にて 2,000 円/個だったので背に腹は代えられない。

通常は 5,000~6,000 円/個はすると思う。

※Panasonic のホームページ→商品情報[法人のお客様]→電子デ

バイス・産業用機械→商品一覧中の回路部品→コンデンサ中のアル

ミニウム電解コンデンサ→回路部品-アルミニウム電解コンデンサ

の表示下線の下、左から2番目の量産終息品をクリック

○80V/2,200μF 記事にはエルナー製を使用したとの事であったが、日本ケミコン株

式会社のSMHシリーズ(85℃標準品)を購入した。同時に止め金

具(30mmφ)も購入。

※日本ケミコン株式会社のホームページは、「製品体系図から検索」

を使うとわかりやすい

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△2N5465 生産中止品である。とても高いが入手は可能。記事には代替品とし

て 2SJ105-BL が指定されているが、最大定格が同じ 2SJ103-BL を

購入。(PD は 2SJ105 は 200mW だが 2SJ103 は 300mW、パッケ

ージ形状も異なる)

○2SK30A-GR 購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。

○2SA1048-GR 購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。

低電流ダイオード

○E202 石塚電子製の 2mA の CRD。問題なく購入できた。データシートを

ホームページからダウンロード。

※CRD … Current Regulative Diode(定電流ダイオード)の略

○その他半導体 2SA1837、2SC4793、2SA1048-GR、2SC2458-GR、RD9.1E を購

○その他のパーツ ユニバーサル基板 サンハヤト ICB-93SG

放熱器、スペーサ

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(3) 筐体

×鈴蘭堂のケース 誌面ではケースについては言及していないが、写真から明らかに鈴

蘭堂ケース。(おそらくSR-3) 鈴蘭堂は、平成19年4月に

閉店してしまったので、このケースは購入できない。現状では、タ

カチのケースSLシリーズとか、OSシリーズを使うことになるで

あろうが、電源トランスの端子部分の深さスペースが5cmは要る。

また、重量もあるので、コの字型アングルでかさ上げし、かつ、周

辺シャーシをLアングルで補強した構造にしようと考えている。

なお、筐体は、部品が揃い、配置の検討が完了した段階で購入する。

過去、デザインにとらわれて先に購入し、思うようにレイアウトで

きず失敗した経験がある為。

○電源SW 誌面にスペックの記載がないので、どの程度の容量のSWが必要か

不明であるが。電源トランスの容量からして 10A 以上は必要であろ

う。この容量タイプでインターネットや店頭で探してもなかなか気

に入ったデザインのSWが見つからなかった。ある時、ふと、目に

とまった押しボタン式SW(日本開閉器製)が気に入り、購入した

のだが、モーメンタリ(押している間だけON、離すとOFF)だ

った。形ばかり気になっていたので失敗した。

もう一度、オルタネイト(1度押してON、もう一度押してOFF)

タイプのSWを探しに行き入手。ただ、秋葉原の各店頭には、3A~

5A 程度の容量のSWしか陳列していない。店員さんに「AC125V

で 10A 以上のSW」とスペックを伝えても「そんな容量の物はない」

とそっけない。「日本開閉器の SCB-AV12」と具体的にメーカと型

番を伝えたところ、「それならある」となにやら裏側の棚と、陳列

されている下からごそごそと引っ張り出して売ってくれた。「こん

な不況なんだから、もっと愛想よく接すれば良いのに…。店、無く

なっちゃうよ。」と思うのは、私だけでしょうか。

日本開閉器の

SCB-AV12

○パイロットランプ ネオンブラケットを購入。店頭で選んで購入した。LEDのタイプ

も購入してどちらを使うか決めたい。

○ヒューズボックス サトウパーツのヒューズボックス、F-95-N (適合ヒューズ管

Ø6.4×30mm)を入手した。

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○電源コードブッシュ メーカはわからないが、手持ちの物を使う。四半世紀前に購入した

骨董品。

○電源コード(プラグ付き) 10A

○スピーカ端子

○RCAジャック

○その他 ラグ端子、絶縁チューブ、線材(ビニール線最低6色:赤、黄、緑、

青、白、黒。スズめっき線:0.8mmφ、0.5mmφ)、熱収縮チュー

ブ、ビス、ナット、ワッシャー類

以上で、筐体を除く部品集めは一旦終了。

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~2.回路図見直し編~

2. 回路図の見直し

作成に先立ち、購入した部品にわせて回路図を見直す。昔は、方眼紙に手書きしていたが、

今更、そんな事はしたくない。パソコンで回路図を書きたい。フリーソフトで良いものがな

いか探したところ、「水魚堂の回路図エディタ BSch3V」を見つけた。若干使いづらいとこ

ろもあるが結構使える。提供者に敬意を表す。(ありがとうございます。大変助かります。)

2.1. アンプ部回路図

R105 91KΩを 91Ω100Ωに訂正

「MJ無線と実験」2008 年 12 月号及び 2009 年 1 月号に掲載された

落合萠氏のMOS-FETパワーアンプのパワーアンプ部の回路図

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2.2. 電源部(平滑回路)

2.3. 安定化電源部

出力電圧-62V の時、2SJ103 にかかる電圧が-54.1V(=-62-1.2+9.1)かかっているので、レベ

ルシフトする。2N5465 の場合は不要。

「MJ無線と実験」2008 年 12 月号及び 2009 年 1 月号に

掲載された落合萠氏のMOS-FETパワーアンプの

電源・平滑回路の回路図

「MJ無線と実験」2008 年 12 月号

及び 2009 年 1 月号に掲載された落

合萠氏のMOS-FETパワーア

ンプの定電圧回路

2N5465 を 2SJ103-BL に変更し、

ソースに 9.1V のツェナーダイオー

ドを入れてレベルシフト

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~3.トランジスタの選別~

3. トランジスタの選別

3.1. hFE測定治具の作成

設計上、hFEが指定されているのと、入手時にペアを購入できないトランジスタがある為、

hFEの測定が必要で、治具があると測定がしやすい。しかし、hFEの測定といっても、絶

対値を正確に測定する必要は全くなく、相対的にhFEが揃っていて、ペアが組める事が確

認できれば良い。しかも、測定はそう頻繁には行わない。そこで、簡易的に治具を作成する

ことにした。

当初は、手持ちで余っているACアダプターと、これも手持ちの5V3端子レギュレータを

使用して、安定化電源を作ろうと考えていたのだが、簡易的な治具とすることと、綺麗な直

流が得られることから、方針変更し、高電圧出力(3V)で入手し易いカメラ用のリチウム

電池を使うことにした。リチウム電池は、容量の大きい CR123A を使いたかったのだが、

電池ボックスが入手できなかったため、CR-2 型とすることにした。

治具の回路は、下図の様にいたってシンプル。NPN,PNP の切り替えスイッチも付けておら

ず、手動(ワニ口グリップの付け替え)で行う。私の場合これで十分である。なお、測定を

進めてゆく過程で、電池とした事が正解であったことに気付いた。実は、測定で何回か電池

の+と-を短絡させてしまったのである。安定化電源なら回路に何らかの支障が出るだろう

が、電池であれば、過電流で電池が「へたる」だけ。短絡すると、出力電圧が 0.2V 程低下

してしまうが、継続して使う事が出来る。嫌だったら新しい電池と交換すればよい。

測定回路(NPN 時) 測定回路(PNP時)

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回路図を基に作成した治具は、ユニバーサル基板に、抵抗とボリューム、電池ボックスをそ

れぞれ独立して付けたシンプルな物。接続は、みの虫クリップを使って行う。

測定治具 測定の様子

3.2. hFEの測定方法

測定には、デジタルテスターが2台あると便利なのだが、私は、デジタル1台。アナログの

テスターも1台所有しているが、選択できるレンジが少なく、使い物にならない。

測定は、まず、ベース電流を決める抵抗値を決める。hFEを測定するので、本来なら測定

の都度、ベース電流が一定になるように調整すべきだが、ここでは、抵抗値が 500KΩにな

るようにVRを調整した。テスター1台では仕方がない。

次に電池の電圧を測定する。電圧は、結構変化するので、測定の度に、測った方が良い。で

も、テスターが1台なので、数個続けて電流を測り、「電圧が変わっていないで!」と祈り

つつ電池の電圧を確認した。変化してしまっていたら遡って電圧を確認しながら再測定する。

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3.3. 測定

(1) 2SA1358-Y の測定

2SA1358-Y の 20 素子についてペアを作るため測定。結果を下表に示す。残念ながら、紙面

で指定されているhFE≧200 は1つもなかったが、hFE が 170 台にそろっていていたので

ペアは組みやすかった。

2SA1358-YのhFE測定結果

番号 IC IB(mA) VC hFE 備考

5 2.06 0.01238 6.19 166.4

1 2.09 0.01238 6.19 168.8

10 2.10 0.01238 6.19 169.6

12 2.11 0.01238 6.19 170.4 No.14 とペア(保守用)

14 2.11 0.01238 6.19 170.4 No.12 とペア(保守用)

20 2.12 0.01238 6.19 171.2

6 2.14 0.01238 6.19 172.9 No.8 とペア(保守用)

8 2.14 0.01238 6.19 172.9 No.6 とペア(保守用)

4 2.15 0.01238 6.19 173.7 No.11 とペア(保守用)

11 2.15 0.01238 6.19 173.7 No.4 とペア(保守用)

16 2.16 0.01238 6.19 174.5 No.17 とペア(保守用)

17 2.16 0.01238 6.19 174.5 No.16 とペア(保守用)

7 2.18 0.01238 6.19 176.1

2 2.18 0.01238 6.19 176.1 No.15 とペア Q207

15 2.18 0.01238 6.19 176.1 No.2 とペア Q208

9 2.19 0.01238 6.19 176.9

18 2.19 0.01238 6.19 176.9 No.19 とペア Q107

19 2.19 0.01238 6.19 176.9 No.18 とペア Q108

13 2.34 0.01238 6.19 189.0

3 2.43 0.01238 6.19 196.3

(2) 2SA1837/2SA4793 の測定

2SA1837/2SA4793 は、コンプリペアとして販売されていた物を購入している。しかし、

hFE=132 と紙面で指定されている値(200 以上)よりもだいぶ低かったので、高 hFE のペ

アを作る為、同時に各々10 素子ずつ購入した。

測定結果を下表に示すが、2SA1837 と 2SA4793 の差がありすぎて、ペアはまったく作れな

い。やはり、ペアとして販売されている物を購入した方が得策の様である。素子は、定電圧

回路に使用する事にした。正負でアンマッチとなってしまうが仕方ないところ。

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2SA1837のhFE測定結果

2SC4973のhFE測定結果

番号 IC IB(mA) VC hFE

番号 IC IB(mA) VC hFE

1 1.75 0.01262 6.31 139

1 2.33 0.01262 6.31 185

2 1.85 0.01262 6.31 147

2 2.29 0.01262 6.31 181

3 1.89 0.01262 6.31 150

3 2.32 0.01262 6.31 184

4 1.71 0.01262 6.31 135

4 2.38 0.01262 6.31 189

○ 5 1.94 0.01262 6.31 154

5 2.36 0.01262 6.31 187

6 1.92 0.01262 6.31 152

6 2.36 0.01262 6.31 187

7 1.72 0.01262 6.31 136

7 2.30 0.01262 6.31 182

8 1.84 0.01262 6.31 146

○ 8 2.29 0.01262 6.31 181

9 1.70 0.01262 6.31 135

9 2.35 0.01262 6.31 186

10 1.77 0.01262 6.31 140

10 2.36 0.01262 6.31 187

○印の素子を安定化電源に使用。2SA1837 は hFE が最大の素子を、2SC4973 は、hFE が最

小の素子を選択している。

(3) 2SA1048-GR/2SA2458-GR の測定

初段のカレントミラー用ペアや、LR各チャンネルの特性を揃える為、hFE を測定する。

測定結果を下表に示すが、2SA1048-GR/2SA2458-GR も自分でコンプリメンタリーペア

を選別するのは難しい。今回は必要ないので問題無いが、コンプリメンタリーペアが必要な

場合は、ペアとなったものを購入するのが一番効率的であると思う。自分でペアを選別する

となると、ロットを変えて多量に購入するなどして組み合わせるしかないだろうが、商売を

するわけではないので、その様なことはできない。

ところで、電源回路の誤差増幅回路は利得が大きければ、リップル成分を少なくすることが

できるので、hFE の大きな素子を採用した。

2SA1048-GRのhFE測定結果

番号 IC IB(mA) VC hFE 使途

6 2.43 0.01218 6.09 200

3 2.50 0.01218 6.09 205

2 2.58 0.01218 6.09 212 Q009 の保守用

8 2.61 0.01218 6.09 214 Q009

9 2.63 0.01218 6.09 216

10 2.65 0.01218 6.09 218

5 2.69 0.01218 6.09 221 Q008 の保守用

7 2.72 0.01218 6.09 223 Q006 の保守用

1 2.90 0.01218 6.09 238 Q008

4 3.12 0.01218 6.09 256 Q006 定電圧回路誤差増幅用

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2SC2458-GRのhFE測定結果

番号 IC IB(mA) VC hFE 使途

16 2.60 0.0122 6.10 213 No.2 とペア(保守用)

2 2.60 0.01218 6.09 213 No.16 とペア(保守用)

23 2.60 0.01216 6.08 214 Q002 の保守用

4 2.61 0.01218 6.09 214 Q002

8 3.71 0.0122 6.10 304 Q003

11 3.73 0.0122 6.10 306 Q003 の保守用

19 3.76 0.01216 6.08 309 D202 温度補償用の保守用

21 3.81 0.01216 6.08 313 D102 温度補償用の保守用

10 3.84 0.0122 6.10 315 No.1 とペア(保守用)

1 3.84 0.01218 6.09 315 No.10 とペア(保守用)

5 3.87 0.0122 6.10 317

27 3.92 0.01216 6.08 322 D202 温度補償用

20 3.95 0.01216 6.08 325 D102 温度補償用

25 3.96 0.01216 6.08 326 Q109 の保守用

30 3.96 0.01216 6.08 326 Q209 の保守用

26 3.97 0.01216 6.08 326

17 3.97 0.01214 6.07 327 Q109

18 3.97 0.01214 6.07 327 Q209

28 3.99 0.01216 6.08 328

29 4.02 0.01216 6.08 331 Q205,No.15 とペア

15 4.04 0.0122 6.10 331 Q206,No29 とペア

6 4.05 0.0122 6.10 332 Q105,No.22 とペア

22 4.04 0.01216 6.08 332 Q106,No.6 とペア

13 4.06 0.0122 6.10 333 Q005 の保守用

14 4.08 0.0122 6.10 334 Q005 定電圧回路誤差増幅用

7 4.10 0.0122 6.10 336

9 4.10 0.0122 6.10 336 Q201,No12 とペア

12 4.10 0.0122 6.10 336 Q202,No9 とペア

24 4.16 0.01216 6.08 342 Q101,No3 とペア

3 4.17 0.01218 6.09 342 Q102,No24 とペア

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~4.作成編(電源部)~

4. 電源部の作成

4.1. 基板部品配置とパターンの検討

集めた部品をユニバーサル基板に乗せて、部品

配置とパターンを考えた。落合氏の実装は立形

であるが、基板に余裕があるので横型に部品を

配置した。中央が少しあいてしまうが、下記の

配置となっている。部品配置を用紙に書き写し、

配線引き回しを考えた。

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パターン図と実際の引き回しの写真を示す。実装では、中央のアースラインは、誌面での指

定に従い、軽く撚っている。

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~5.作成編(アンプ部)~

5. アンプ部の作成

5.1. 基板部品配置とパターンの検討

電源基板同様、集めた部品をユニバーサル基板に乗せて、部品配置とパターンを考えた。落

合氏の実装は立形であるが、基板に余裕があるので横型の部品実装形態とし、かつ、回路図

と合わせるように部品を配置した。部品の配置を用紙に書き写したのが下図である。

部品配置図を基に配線引き回しを考えた。パターン図と実際の引き回しの写真を次頁に示す。

実装で、正負電源ライン、アースラインは、0.8mmφのスズめっき線を2本平行に取り付

けている。

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5.2. 素子の熱結合

ベース接地アンプ部とカレントミラー回路には、イサハヤ電子のデ

ュアルバイポーラトランジスタ 2SC5170-F の代替として

2SC2458-GR を使ったので、熱結合をして同等の状態を作り出す。

熱結合は、エポキシ系の接着剤を使用して行った。商品の特徴とし

て「振動や冷熱の繰り返し条件での接着」とあったので、この接着

剤を購入・使用した。接着を行う目的は、

一方のトランジスタの熱を他方に伝導

して熱平衡状態を作り出すことなので、

熱伝導率が良いことが必要条件なのだ

が、それがわかる記述がされている接着

剤は見当たらなかった。

5.3. 温度補償用素子の前加工

温度補償用の素子は、2SC2458-GR をダイオードとして使用するように指定されている。

誌面の加工指示に従い、トランジスタの前加工を行う。

誌面の加工指定(抜粋) 実際の前加工の様子

5.4. 温度補償用ダイオードの抑え用平ばねの作成

誌面では、温度補償用ダイオード(2SC2458-GR)を抑える平ばねの形状が紹介されている

が、適切なものがなかなか見つからなかった為、事務用品の書類を束ねるクリップを利用し

て作成することにした。

誌面の記述(抜粋) 手前が加工後、奥が加工前

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5.5. 放熱器の加工

放熱器には、100×150mm のアルミ板を取り付けて、その上にアンプ部の基板を取り付け、

一体化する。アルミ板の取り付けは、ねじ付きのスペーサを用いて取付を行うので、2.5mm

φの穴あけを行い、3mmφのタップでねじ山を作って、スペーサを取り付ける。

5.6. パワーMOS-FETの放熱器への取付

パワーMOS-FETの取り付けにあたって、ゲート抵抗、ソース抵抗、ドレインの電解コ

ンデンサ、温度補償用ダイオード(2SC2458-GR)を取り付ける必要がある為、結構混み合

う。当初小型の1L2Pのラグで取り付ける予定であったが、変更して3PWのラグ板で取

り付ける事にした。また、MOS-FETの足や放熱器や抵抗など熱源に触れる線材には耐

熱絶縁チューブ、その他のCR類は絶縁チューブ(エンパイヤチューブ)で保護した。

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5.7. 基板(アンプ部)の取付

放熱器へのパワーMOS-FETの取付が完了したら、アンプ基板を取り付けることになる。

アンプ基板は、アルミ板を介して取りつける。アルミ板には、2つの MOS-FET の双方の

位置にケーブルを通す為の穴をあけ、ブッシュを取りつけた。一方には、MOS-FET のゲー

トに接続されている 100Ω、47Ωから基板のドライバー段のエミッタへの配線と、レベルシ

フトを兼ねた温度補償用ダイオード(2SC2458-GR)からの配線、合計4本を通し、もう一

方には、放熱器側から初段差動回路の反転入力に接続している 1.2KΩへの NFB 用の配線を

通す。さらに、下側に、落合氏のアンプでは実装されなかった放熱器内の 10μF/100V の

電解コンデンサのアース側をまとめるため、3PW のラグ版を放熱器側に取りつけている。

なお、この時点では、基板と MOS-FET との間は接続しないでおく。

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~6.作成編(筐体の作成と組み上げ)~

6. 筐体の作成と組み上げ

6.1. 筐体の選定

あの鈴蘭堂は閉店してしまい今はないので、他のメーカから筐体を探すことになる。色々な

作成記事を見ると現在は、(株)タカチ電機工業の筐体を使うのがポピュラーらしい。早速、

ホームページを見てあたりを付け、SLシリーズを使うことにした。ただ、この製品、説明

に「側板」とある面がどう見ても全面パネルにしか見えない。ここは迷わず、側板を前面パ

ネルとして使用することにした。ところで、筐体のサイズだが、前面パネル(側板)の横幅

は 430mm とするにしても、高さと奥行きを決めなければならない。買ってから交換はでき

ないので、念入りに筐体内部への部品の配置を検討した。

(1)前面パネル(側板を使用)

前面パネルは、電源スイッチとパイロットランプしか付けないので、いたってシンプル。前

面パネル(側板)は、3mm の板厚があるが、加工は丸穴を2つしか開ければ良いだけなの

で苦にならない。但し、側板を使っているので、筐体の内部構造的に内部機構にあたらない

ように注意して配置を決める必要がある。取り付け位置を下図に示す。なお、ここでは仮に

高さを 150mm(149mm)とした。

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(2)筐体高の検討

検討前、筐体の内部の高さは、ネジ端子式ブロックコンで決まると考えていたが、意外に、

電源トランスの制約の方が大きかった。電源トランスは、取付面から天板まで 9cm。また、

端子部は深さが 4cm 弱でトータル 13cm ある。しかし、タカチのSLシリーズ用のオプシ

ョンの内部シャーシの高さは取付面から 1.7cm なので、かさ上げしないと端子部が入らな

い。また、シャーシ高を 4cm 以上とすると、電源トランス自体の高さが 9cm あり、放熱器

やネジ端子式ブロックコンの高さも 10cm あるので、筐体高を 150cm 以上にしなければな

らない。そこで、内部シャーシの高さを1cm かさ上げし、電源トランスをさらにシャーシ

から1cm 持ち上げて取り付ける構造にすることで筐体の高さを 150mm に収めるようにし

た。実際の製品では、SLシリーズの中から高さ 149mm の製品を選択することになる。図

に検討結果を示す。

なお、電源トランスの端子部が底板に近いため、接触によるショート防止用にガラスエポキ

シ等の板で絶縁する必要があるかもしれない。組み上げる時、様子を見て対応する。

(3)筐体の奥行きの検討

筐体に平面的に部品を配置し、奥行きを検討した。ここで配慮した点は、平滑用コンデンサ

と出力端子、アンプ基板を近づけ、配線が最短になるようにしたことである。なお、初段、

ドライバー段用の安定化電源基板は、平面的に取り付けると、奥行きが大きな筐体が必要に

なる為、立てて取り付けることにした。検討の結果、奥行きを 320mm とする事にした。

以上(1)~(3)の検討の結果から、筐体は下記製品を購入することにした。

(株)タカチ電機工業製

SL149-32-43 SS SL 型アルミサッシケース

AC32-42 AC 型アルミシャーシ

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(4)背面パネル

この段階で、電源スイッチと連動したコンセントを追加することにした。外付けで、スピー

カ保護回路を作り、連動させるためである。なお、パーツの配置にあたって注意した点は、

電源コードとヒューズホルダの高さを内部シャーシ下に収まるようにしたことである。

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6.2. 筐体加工

筐体が届いた...。

筺体加工行うにあたり、所有している道具は、金鋸、平形金ヤス

リ、半円形金ヤスリ、丸形金ヤスリ、ピンバイス、ハンドドリル、

ドリル (0.8mmφ~5.0mmφ)、面取りカッタードリル、ネジタッ

プ切り 3mmφ用と 5mmφ用、リーマ、シャーシパンチ。道具は

これだけ。これらの道具を駆使して筐体の加工に挑むことになる。電動工具は無いが、加工

はなんとか出来る。もちろん、効率は悪く、多くの労力と根気が必要だ。

6.2.1. 前面パネルの加工

まずは、前面全面パネルの加工から行う。前面パネルは穴二つ開けるだけ。5.0mmφのド

リルで穴開けして、リーマで所定の径に仕上げた。加工の際、バネルの保護シートをはがさ

ずに加工を始めたが、保護シートとパネルの間に切削屑が多量に入ってしまう。仕方なく加

工部分周辺の保護シートをはがして加工を行った。

ところで、電動ドリルなら力があるのでなんでもないことだろうが、ハンドドリルでは結構

大変なことがある。ハンドトリルでの穴開けで難しいのは穴が開く寸前である。ドリルの刃

が引っ掛かってどうにもこうにも回転しなくなる。また、ハンドドリルで穴開け開けする際、

気をつけなければならないことは、目的の穴径に合ったサイズのドリル刃を使って1回で開

けること。一度小さな穴を開けてからサイズの大きなドリル刃で穴径を広げるのはハンドド

リルの場合やめた方が良い。ハンドドリルの刃が引っ掛かって上手く行かない。

6.2.2. 背面パネルの加工

次は、背面パネルの加工だ。RCAジャックとスピ

ーカー端子は、丸穴なので問題はない。

加工が大変なのは、電源コンセント、ヒューズホル

ダー、電源コードプロテクターの 3 つの穴である。

電源コンセントの角穴(20×11mm)は、まず、四

隅の内側に 3.0mmφのドリルで内側に沿って 3.0mm 間隔で連続して穴開けをする。(横は

20mm なので、1つの穴は 2mm のドリルで開けることになる。縦も同じ。)穴と穴はニッ

バか丸ヤスリでつなぎ、鋸の歯の様なギザギザの角穴の元が出来る。後は、現物合わせしな

がら平型ヤスリで角形に仕上げる。たったこれだけの作業だが、軽く2時間はかかった。

取り付け用ビス穴は、角穴を開けてから現物合わせして位置決めしてから開ける。最初に開

けると、必ずずれるので順番を間違わないようにしたほうがよい。

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今回の筐体のパネルは厚さが3mm もあるので、コンセント

を取り付けるビスは、平ビスを使う。平ビスの頭が入るよう

に面取りカッターで面取り(すり鉢状に加工)した。

ヒューズホルダーの穴は、基本は丸穴だが直径が 15.2mmφ

と大きいので 5mmφの丸穴を開けてから 10mm ほどリーマで広げるは結構大変だ。回転止

めの溝は、金鋸の歯(ハンディソーという柄が付いた鋸を買って来た)を使って溝を作り、

丸型ヤスリで仕上げた。この加工も仕上げるまでに3時間程度かかっている。

最後に、電源コードプロテクターの穴である。この穴は、縦 14.3mm 横 13.2mm と長円形

なので、13.2mm の丸穴を開けてからヤスリで縦方向に削って行くしかないが、両端を綺麗

な半円形にするのが難しい。この加工もまた2時間程度かかった。

6.2.3. 内部シャーシ

当初、内部シャーシから 10mm トランスを持ち上

げる設計であったが、トランスの底面の絶縁ブッ

シュで 1mm 程更に持ち上がる為、ネジ長がぎり

ぎりで 1mm も余らない事がわかった。

そこで、設計を変更し、トランスのかさ上げ高を

5mm 減の 5mm とし、その分シャーシを更に

5mm かさ上げした。この措置により、電解コンデ

ンサや放熱器と天板の間が僅か 3mm となってし

まった。

定電圧回路は、立てて取り付ける予定であったが、

検討の結果、スペースに余裕があることが分かり、

平置きとした。出力段用の 27,000μF(オリジナ

ルは 22,000μF)の穴は、端子用に加え、圧力弁

用の穴も開けた。なお、ドライブ段の定電圧回路

用の 2,200μ/80V の電解コンデンサは基板用のニ

チコンの SMH を購入していたがネジ端子型の方

が使いやすいので、KMH を新たに購入した。

トランス用の長方形の穴は、ドリルで金鋸が入る

位の穴を開け、金鋸で切り取り、ヤスリで仕上げ

た。放熱器の放熱用の丸穴、角穴も周に沿ってド

リルで穴開けしてリーマ、ヤスリで仕上げた。

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6.2.4. レタリング

インスタントレタリングを使用して文字入れした。なお、前面パネルには大きな文字を入れ

たかった為、市販の転写シール(A-one 品番 51112)を使ったが、仕上がりは良くなかっ

た。商品には「透明タイプ」と銘打っていたが、透過性は少なく粘着テープの糊が残った感

じ。もう少し、高級感を出したいところだ。ちょっと失敗。でも、他に手軽で安価にできる

方法が無いので、これで良しとした。

背面パネルにも端子の名前をレタリングし、専用の固定剤で固定した。

前面パネル

背面パネル

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6.3. 組み上げ

まず、前面パネルに電源スイッチとパイロットランプ、背面パネルにRCAジャック、スピ

ーカ端子、ACコンセント、フューズホルダーを取りつけた後、ACコードを取りつけ、続

いて、内部シャーシにSBD、平滑用コンデンサ、放熱機、電源トランスを取りつける。

SBDは、シャーシをヒートシンクとするが、電力増幅段用のSBD(KCH30A15/

KRH30A15)は、背面がコモンになっているので、マイラーシートで絶縁が必要である。

一方、ドライブ段用のSBD(FCH10A15/FRH10A15)は、モールドタイプなので絶縁

に気にすることはないが、シリコングリスの塗布は必要。なお、SBDの足には、耐熱性絶

縁チューブを被せてから小基板を取り付けた。

筺体にパーツの取り付けが終わったら配線

に取り掛かる。線材は、ドライブ段周りは、

モガミ電線の 2515(30 本/0.18mm、赤、青、

黄、緑、オレンジ)、オヤイデ電気の

UL1430-18(34 本/0.18mm、黒、白)を使

用。MOS-FET への電源ラインと出力は、

2516(50 本/0.18mm、赤、青、黒、黄)、

入力のシールド線は、モガミ電線の 2520(赤、

白)を。AC関係は、フジクラ電線の

AWG-20、パイロットランプは MIYAMA と書かれた 24AWG と刻印のある電線を使った。

配線は、AC周りから確認しながら進める。まずは、続いてドライブ段用の整流・平滑回路

のまでの配線を行い確認を行った。

最初の火入れ式だ。手元にあった小容量 0.5A のヒューズを入れ、AC コードをコンセント

に挿して、こわごわと電源 SW を ON!(沈黙)・・・。何事もなかった。ふ~。

早速、整流後のブロックコンデンサにかかっている電圧を測定。なんと 80V かかっている。

落合氏の想定設計値の±77V を超えており、しかも、平滑用コンデンサの耐圧ぎりぎりなの

で、トランスの接続を AC 0V-100V から 0V-105V に変更し、(写真は火入れ式前に撮影)

±76V とした。

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ドライブ段の平滑回路が正常に動作していることが確認できたので、次は定電圧回路の取り

付けと調整だ。念入りに、回路図と現物を見比べて、配線ミスが無いことを確認した上で平

滑回路の出力を定電圧回路の基板に接続。まず、正の電源を+62V に調整。続いて負側の調

整。…あれ?。-73.4V に固定されていて半固定VRを回しても調整できない。

何度もチェックしたので実装ミスは無いはずだ。でも思い込みでミスすることもちょくちょ

くあるので、2度、3 度と回路図と現物を見比べた。しかし、特に問題は無い。素子が不良

か?。ベース・エミッタ間の電圧を測定したが、動作はしているようだ。オリジナルの回路

のFET、2N5465 でないと駄目なのか。でも、買うと 1 個 700 円以上もする。定電圧回路

の教科書を引っ張り出して、じっくり再勉強し、もう一度、回路図を確認。あっ!定電流ダ

イオードの向きが反対!。なんと、無線と実験誌に掲載されていた定電圧電源回路の回路図

で負側の定電流ダイオードの向きが反対だった。どおりで動かないはずだ。

定電流ダイオードを逆向きにつけなおして、再度、負側電源を確認。OK!。

続いて、出力段用平滑回路、MOS-FET から出力端子への配線、CR積分型位相補正回路、

出力端子のアース側から平滑回路への配線等の配線を行う。ところで、これらの配線にはモ

ガミ 2516(50 本/0.18mm)使ったが、固くとても曲げづらい。こんなに太くなくて良いの

かもしれないが、ま、趣味なので。配線が終わったら、電圧のチェックだ。念のため、ヒュ

ーズを 2A にして、電源ON…。あれ?、電源が入らない。ヒューズを確認したら、なんと

メルトダウン(溶断)していた。平滑回路の先には何も接続していない。平滑用のコンデン

サに電荷を蓄積するだけで、こんなに流れるのか~。一体、電気代いくらかかるのだろう。

夏場、クーラーかけながら聞けるだろうか。と余計な心配をしながら 10A のヒューズにし

て電源ON。今度はメルトダウンしなかった。

出力段用の平滑回路の出力電圧は 54.6V。トランスの1次側を 0-105V とした為で、設計値

56V より低いが問題ない。

最後に、基板への電源の接続とレベルシフトダイオード(2SC2458-GR のダイオード接続)

を接続する。この際、放熱器と、定電圧電源の基板を近づけすぎて、出力の配線が、放熱器

に触れてしまうことがわかった。5mm ほどずらせばよいのだが、また穴あけするのが面倒

なので、配線材に耐熱ガラスチューブを被せて済ませた。なお、ドライバー段の出力から

MOS-FET のゲートへの接続、ドレインへの正負電源の接続はこの時点では接続しない。配

線だけ引き出しておいて、末端はショートしないように絶縁テープなどを巻いておく。

なお、放熱器内から配線を引き出す時、MOS-FET 以外の部品、配線の実装がすっきりとし

ておらず、作業しづらかったので、3PW のラグ版の両端に 2P1L のラグ版を取りつけて実

装しなおした。

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~7.調整~

7. 調整

7.1. ドライブ回路の調整

調整は片チャンネルずつおこなう。

(1)200Ω+200Ωの中点から NFBの 1.2KΩを介して初段差動の反転入力に接続。200Ω+200

Ωの中点とアース間にテスターを電圧レンジで接続。また、全ての半固定 VRを中点

にセットしておく。

(2)初段の共通ソースの中点調整用の半固定 VR(50Ω)で、200Ω+200Ωの中点を 0Vに

調整。(私のテスターで測定不能な 0.1mV以下に出来た。3回転型の VRなので微調

整がしやすい)

(3)初段の動作電流を決める半固定 VR(500Ω)を調整し、6.2KΩに 37.2Vかかるように

(電流が 6mA流れるように)調整する。

(4)2段目差動の共通エミッタの半固定 VR(500Ω)により、差動アンプの両出力端が+2

V程度になるようにする。

最初、半固定 VRの位置を中点にして測った時の電圧は-36V。指定の+2Vには程遠い。

実装を間違えたのかと思った。半固定 VRを絞っていって、最小になった時、やっと

2.4Vになった。ここから、+2Vにしようとしたが、少し半固定 VRを戻すとすと、1.7V

にぽんと飛んでしまい、微調整できない。半固定 VRの抵抗の最小単位が、この電圧

分のように感じる。仕方なく 2.4Vとした。この半固定 VRは1回転型だが、ここは多

回転型にした方が良さそうだ。

(5)バイアス回路の 2KΩの VRにより、バイアス電圧を 4V(対アース±2V)とする。

(6)(3)~(5)の調整により 200Ω+200Ωの中点が 0Vからずれるので、(2)~(5)

の調整を繰り返し、200Ω+200Ωの中点を 0Vに追い込む。

7.2. 出力段を入れた全体の調整

ドライブ段の調整が完了したら、ドライバー段の出力から MOS-FETのゲートへの接続、

MOS-FETのドレインへの正負電源の接続、NFBの配線を行う。

MOS-FETのソース抵抗 0.1Ωの両端にテスターを接続し、電圧を測る。電源 ON直後、190

~200mAのドレイン電流が流れるようにバイアス回路の 2KΩの VRを調整する。1時間程、

監視し、ドレイン電流が特定の値に落ち着くことを確認する。抵抗は 0.1Ωなので、15.0mV

ならば 150mAのドレイン電流が流れている事になる。落合氏は、150mAに調整したとのこと

であるが、私の場合は、室温のせいか、165mAで落ち着いていた。

バイアス回路を触ると、出力の電圧が 0Vからずれるので、再度、中点の調整が必要だ。

今度は、200Ω+200Ωの中点 0ではなく、出力端子、もしくは、NFBの 1.2KΩの初段差動の

反転入力と反対側とアース間にテスターを接続し、0Vとなるように 7.1.の(2)~(4)

の調整を繰り返す。

Page 36: MOS-FETパワーアンプ 作成レポートmyaudio.sakura.ne.jp/MOS-FET.pdf「MJ無線と実験」2008 年12 月号及び2009 年1 月号に掲載された落合萠氏のMOS-F

出力電圧が 0Vに落ち着けば、一応これで完成だが、今後も、四季を通じて、中点電位と

ドレイン電流の調整を行いたい。

8. 測定

私は、オシロスコープ、シグナルジェネレータ等の測定器を持ち合わせていないので、測定

は出来ない。(測定技術は持ち合わせている)

9. 観賞

ヒアリングは、1974 年に「MJ無線と実験」に掲載された安井章氏の記事を見て作成した

プリアンプ(DCアンプではない)を接続。音源は iPod。CD プレーヤーは、今は無い。20

年以上前 CD が発売された当時、確か 16 万 8 千円で購入した CD プレーヤーがあったのだ

が、年月を経て、動かなくなり昨年廃棄。新たには買ってもらえず、今は、iPod が音源と

なっている。

聞いたのは、大好きな、カラヤン/ベルリンフィルによるチャイコフスキーの交響曲第6番

「悲愴」。カラヤンは生涯で 6 回「悲愴」を録音しているが、中でも 1976 年 5 月の録音が

最高だ。アンプを評価するときは昔から、この第一楽章と第二楽章を聞くことにしている。

第一楽章はダイナミックレンジを確認し、第二楽章では、個々の楽器の分離を確認する。第

二楽章では、ティンパニーが、まるで息継ぎするように強弱をつけて演奏している。この演

奏がリアリティをもって聞こえるかがポイントだ。

オリジナルの落合氏のアンプとどの位乖離があるかわからないが、私のレベルでは一言で言

って「すばらしい!」。(自己満足)

「MJ無線と実験」2008 年 12 月号及び 2009 年 1 月号を見てから完成まで 1 年半かかっ

てしまった。途中、1日/月のペースになったこともあり、完成に至るまで期間を要してし

まった。ちと、かかり過ぎ。次は、プリアンプ、スピーカ保護用のリレー回路、そして、電

気代節約のため、もう少し小出力のアンプを作りたいと考えている。