muji✕iktt天然染めへの取り組み
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無印良品とクメール伝統織物研究所の、カンボジアの天然素材を利用した色落ちしない天然染めへの挑戦をご紹介します。 http://www.econetworks.jp/internatenw/2013/02/muji_iktt/TRANSCRIPT
MUJI✕IKTT 天然染め-未来への羅針盤づくり
2013年1月9日 作成:千田 智美
EcoNetworks 運営パートナー
●取り組み 無印良品とクメール伝統織物研究所(IKTT)は、「天然染めの新しい常識をつくる」という志を共にし、天然素材の廃材を利用した落ちない天然染めに挑戦している。
東京有楽町のATELIER MUJIにて展示会・講演会を実施(2012年9月11日~10月8日)
(写真:ATELIER MUJIウェブサイトより) (写真:ATELIER MUJIウェブサイトより)
有機栽培されたエジプト綿を天然染めしたタオル。テスト販売は好評ですぐに品切れ。
●染め材は?
バラの茎 木くず 椰子の 実の殻
大量に廃棄物として出る天然素材を有効活用。バナナの葉を燃やした灰は色止めになる。これからはゴミが宝の山に変わる。 ※木くずに含まれる防腐剤などの化学物質は使用前に除去。
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MUJI 無印良品ではこれまでも、商品を作る人の健康、環境への影響を懸念していた。
●無印良品の調達会社ムジ・グローバル・ソーシング 達富社長の活動 染色に使われる化学染料(※)にも健
康や環境に悪影響のある重金属類が
含まれていることもある。無印良品の工場では、適切に処理してはいるもの
の、水質汚染と工場で働く人の健康リスクをゼロに近づけるため、化学染料そのものを使わない染色方法を模索
していた。
世界中のコットンの栽培地を視察し、農薬と化学肥料でただれた皮膚の写
真を撮りためるなど、生産者への健康被害を調査。オーガニックコットン製品
を推進してきた。
※化学染料の中には有害な化学物質(環境ホルモンや発ガン性の疑いのあるもの)が多く含まれるものもある。これらは製品に残っていることもあり、着用する人の健康に悪影響を与えるリスクもある。また、洗濯によって衣類に残った化学物質が川や海へ流れ出て、生態系に影響を及ぼす恐れも指摘されている(参照:グリーンピース報告書“Dirty Laundry: Reloaded”)
(参照:テレビ東京『ガイアの夜明け』 2012年9月11日放送 【地球を救うヒット商品とは】)
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MUJI 化学染料を使わない「天然染料」で染めたオーガニックコットン製品が作れないか?
現代の天然染料についての「常識」 1. すぐに色落ちする?
2. 材料費が高くつく?
これからの常識 1. すぐに色落ちする?→落ちない。
2. 材料費が高くつく? →廃材を有効活用すれば安い。
やはり難しい?
IKTTとの出会い カンボジアで落ちない天然染めの製品をつくっているクメール伝統織物研究所(IKTT)(※)の森本喜久男氏と出会った達富社長。
●森本氏の見解 「急いで染めたものは急いで落ちる。ゆっくりと染めたものは ゆっくりとしか落ちていかない」 「300年以上前の天然染めの布は今も色あせていない。 昔は天然染めは色落ちしないのが常識だった。色落ちするというのは今の常識」 「事前処理の方法や媒染方法など、正しい処方箋が知られていないから、 色落ちするという誤った常識が一般化してしまっている」 ※クメール伝統織物研究所: 森本喜久男氏がカンボジアに創設した伝統染織の研究所。内戦でバラバラになった高齢の匠たちの「手の記憶」を、ジグソーパズルのピースを探るようにして集めてつなぎあわせ、伝統染織を再生した。染色植物などを育てる自給自足の森のなかで、伝統を紡ぎ続けている。 [参考文献:森本喜久男(2008)『カンボジア絹絣の世界』(日本放送出版協会)]
いや、できる!
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MUJI✕IKTT 天然染め-未来への羅針盤づくり
●天然染めのオーガニックコットンの利点 ・生産者と工場労働者の健康を守ることができる。 ・環境を汚さない。 ・染めた後の廃材は、熱分解されているため、そのまま廃棄するよりも 早く土に還る(そのままだと3カ月、染め材として利用したものは1カ月)。 ・着る人にとってマイナスを消すだけでなく、健康にプラスの効果が 期待される。天然染料の7~8割は生薬としても活用されてきたもの。
●MUJI✕IKTTが実現する天然染めの新しい常識 ・色落ちしない。洗濯機でも洗える。 ・手頃な価格で購入できる。
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「アートというのはもっと突き詰めれば、それはいわば愛ではないか、それがあることで喜びが感じられる、そういうものではないかと思っています。ふだんそういうものを普通に、ぬくもりのあるものを自分のそばに、身近に置いて使える環境、それが新しい伝統としてつくられていくようになる。これは今始まったばかりですけれども、新しい常識、新しい伝統、それがトータルでいえば1つの新しい羅針盤、新しい方向を生み出していく、つくり出していくことだと思っています 」(2012年9月23日森本喜久男さん講演で)
天然染めの新しい常識、新しい伝統をつくろうと歩みだした無印良品とIKTT。未来へ向けた羅針盤づくりはこれからもつづく。
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●参考文献 ・森本喜久男(2008)『カンボジア絹絣の世界』(日本放送出版協会)
●参照ウェブサイト ・ATELIER MUJIトークイベント 「天然染 “未来に向けた羅針盤づくり”・・・IKTTの活動と無印良品との取組み」採録: http://www.muji.net/lab/report/121024-01.html ・良品計画 環境・社会への取組み「トップ対談」: http://ryohin-keikaku.jp/csr/interview/002.html ●参照資料 ・グリーンピース報告書“Dirty Laundry: Reloaded” ・テレビ東京『ガイアの夜明け』2012年9月11日放送 【地球を救うヒット商品とは】
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