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Title 2011年度 授業記録
Author(s)
Citation 長崎大学留学生センター紀要, 20, pp.87-137; 2012
Issue Date 2012-06-30
URL http://hdl.handle.net/10069/29234
Right
NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
2011年度前期 日本語集中プログラムAコース 授業記録
科 目 名:文法
担当者名:○夛田美有紀、川崎加奈子、松尾まゆ美、田島紀子、近藤有美
(○はコーディネーター)
目標
日常生活に必要な基本的な日本語を習得する。さらに、所属する研究室で
の日常的なやり取りが日本語でできるようになる。
授業の方法
『新日本語の基礎Ⅰ』は1課を3コマ、『新日本語の基礎Ⅱ』は1課を2コ
マのペースで進めた。各課で重要となる語彙や文法項目を毎日、予習クイズ
として課し、予習段階での理解度、定着度に応じて授業の内容が調節できる
ようにした。宿題は毎日A3用紙1枚程度を課し、翌日返却し、返却時にフィー
ドバックを行った。
試験は学期中に6回、木曜日か金曜日の1校時に行った。試験は試験終了
後に採点し、月曜日の2校時に返却した。間違えたところに下線を引くだけ
で正解を書かず、自分で直させて提出させた。
結果と課題
今回から日中韓プログラムとの乗り入れクラスとなった。日中韓の学生は
中国人ばかりで、漢字圏であったため、文字がゼロでも修得は非漢字圏の学
生よりも早かった。今回からプログラム開始前に文字の自学プリントを配り、
できるだけたくさん覚えてくるようにと言ったのだが、文字につまずく学生
ほど自学をしてきておらず、クラス開始後しばらくは文字の習得に差があっ
た。しかし、一冊目の後半あたりから差があまり見られなくなり、試験でも
ほぼ全員が80%以上をとれるようになった。
ただ、日中韓プログラムの学生は後期から日本語で専門を履修する予定で
あり、研究室でも日本語を使うように言われるなど、大使館推薦の学生と日
本語の必要度が異なっているため、今後それぞれの必要度にあわせた課題を
出すなど、より細やかな対応が必要ではないかと考えている。
授業コマ数:週10コマ
受 講 者 数:11名(大使館推薦国費留学生2名、研究生1名、日中韓プログ
ラム生8名)
使 用 教 材:『新日本語の基礎Ⅰ・Ⅱ』(スリーエーネットワーク)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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2011年度前期 一般プログラム 授業記録
科 目 名:初級Ⅰ
担当者名:○夛田美有紀、安田眞由美、小谷裕子、渡邊佐智子、木下希美
(○はコーディネーター)
目標
ひらがな、カタカナを覚え、初級前半の文法事項を学び、日常生活で最低
限必要な日本語を習得する。
授業の方法
3コマ程度で1課進み、25課まで学習した。定着度をみるため、中間試験
と期末試験を行った。試験の前には復習の日を設けた。
授業で扱った内容は文法が中心ではあるが、必要に応じて会話も取り上げ、
教室内では口頭練習を行うように心がけた。時間内に終わらなかった項目や
不足した練習については次の回を担当する教員に引き継ぎ、次の時間に補う
ようにした。その日に学習した項目の定着を図るため、宿題を毎日課した。
結果と課題
途中から来なくなった学生は一名だけで、他の学生は研究室の都合でこら
れない曜日がある学生を除いてはほぼ毎日出席する学生ばかりであった。ク
ラスの雰囲気もよく、活動にも積極的に参加していた。コース開始後一ヶ月
ほどは、クラスの半数以上を占めていた中国の学生が文字の習得が早かった
ため、文字の習得が遅かった非漢字圏の学生が押され気味であった。しかし、
非漢字圏の学生が文字を完全に習得してからはそのような差異が見られず、
むしろ中国の学生の数名よりよくできるようになっていた。
2011年度前期 一般プログラム・集中プログラムAコース 授業記録
科 目 名:初級Ⅰ漢字
担当者名:松本久美子
授業コマ数:週5コマ
受 講 者 数:12名
使 用 教 材:『新日本語の基礎Ⅰ』(スリーエーネットワーク)
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:5名(集中3名、一般2名)
使 用 教 材:『KANJI LOOK AND LEARN』(The Japan Times)
2011年度前期 授業記録
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目標
日本語を学び始めた学習者が、漢字に対する理解を深め、基本的な160の漢
字を読み書きできるようになること。
授業の方法
授業回数全15回で、第1回のオリエンテーションでは漢字の成り立ち・構
成等を導入した。初級Ⅰ漢字ではテキストの1課から10課(全160字)を学習
した。1回1コマで1課を終了。5課を終えた段階で中間テスト、10課終了
後に期末テストを実施した。また、15回中2回、「生活の中の漢字」を扱い、
大学食堂等で毎日目にする漢字を取り上げた。
授業方法は、まず、漢字の読みとその意味を確認し、書く練習を行った。
次に付属のワークブック(必要な個所をコピーして配布)を使用して、読み
の練習を行った。また、例文中の語彙に関連して、日本の日常生活や日本文
化に関するものについて写真や広告等を用いて紹介するよう努めた。授業の
最初と最後に漢字カードを使った読みの確認と復習をした。また、3課終了
後から毎回学習した漢字を使って文を作成する宿題を課した。
結果と課題
今期は集中プログラムの授業が始まる前に漢字のクラスがスタートしたた
め、学生にとって望ましい形でのスタートとはならなかった。1回目と2回
目は漢字の導入に時間を用いたが、ひらがなもまだ終了していない学生にとっ
て、漢字の学習はかなり抵抗があったようである。授業回数を15回確保せね
ばならず、また、修了判定に間に合うように成績を出さなければならないの
で、コース開始時期を他のコースより遅らせることは不可能である。初級Ⅰ、
初級Ⅱ、中級Ⅰの学生が初級Ⅰ漢字に混在することもあり、今後は初級レベ
ルの漢字については、独立させず、それぞれの初級プログラムの中に組み込
んでいく方向で考えて行くべきではないだろうか。
2011年度前期 一般プログラム 授業記録
科 目 名:初級Ⅱ
担当者名:○永井智香子・小谷裕子・酒井亮子・安田眞由美・渡邊佐智子
授業コマ数:週5コマ
受 講 者 数:9名
使 用 教 材:『新日本語の基礎Ⅱ』(スリーエーネットワーク)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 89 ─
目標
初級前半を終えた学生を対象に初級後半基礎文法の定着をはかり、その運
用能力を高めることを目標とする。
授業の方法
『新日本語の基礎Ⅱ』に入る前に5コマ使い、『新日本語の基礎Ⅰ』の復習
を行った。『新日本語の基礎Ⅱ』の進み方は2コマで1課進むペースで進めた。
そのほかにテキストの「問題」の部分の聴解問題をするクラスを6コマ、テ
キストの「復習」の部分をするクラスを2コマ、読解のクラスを6コマ(『み
んなの日本語初級Ⅱ』(スリーエーネットワーク)の付属教材である『初級で
読めるトピック25』の中から選んだものを使用)、『新日本語の基礎Ⅱ』の付
属復習ビデオを見るクラスを2コマもうけた。定期テストとして、『新日本語
の基礎Ⅱ』のテストを2回実施した。各課A4用紙1枚からなる宿題も課し
た。
結果と課題
今期のクラスも前期と同様専門との兼ね合いで、週5日出席することが難
しい学生が多かった。最初から週に1、2回しか出席できない学生も2名い
た。また、専門との関係で、後半から休みがちになった学生もいた。このよ
うな状態が続くのはよくない。何らかの対策を考える必要がある。
2011年度前期 一般プログラム 授業記録
科 目 名:初級Ⅱ漢字
担当者名:永井智香子
目標
初級前半の漢字を160個(テキストのパート1)学び終えた学生に初級後半
の漢字160個(テキストのパート2)を身につけさせる。
授業の方法
最初の2コマは初級前半の漢字160個(パート1)の復習を行った。その後、
1コマで1課進んだ。毎回授業の始めに、復習を兼ねて小テストを行った。
また、生活漢字のクラスも一コマもうけた。テストは小テストを2回実施し
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:8名(集中プログラム生1名、一般7名)
使 用 教 材:『KANJI LOOK AND LEARN』(The Japan Times)
2011年度前期 授業記録
─ 90 ─
た。テキスト付属のワークブックは毎回コピーして配布した。そのワークブッ
クを使って、新出漢字を書かせ、残りは宿題として提出させた。
結果と課題
日本語のレベルが本来の初級Ⅱの学生が1名しかおらず、初級Ⅰレベルの
学生が5名、中級レベルの学生が2名という構成であった。初級Ⅰレベルの
学生が全員中国人で非常に熱心に授業に取り組んだので、テキストに出てく
る初級Ⅱレベルの例文なども理解していた。また、非漢字圏の学生が2名で、
その2名にペースをあわせて進む必要があった。非漢字圏の学生が新しい漢
字を書いている間は、早く書き終わった中国、台湾の学生はテキストに出て
いる語彙を覚えていた。
このクラスを担当したことを通じて、改めて漢字圏の学生にも漢字の学習
が必要だということがよくわかった。ただ、今後、今回のように、本来の日
本語のレベル(初級後半)の学生が1名しかいないということがおこらない
よう、何らかの対策をとる必要がある。
2011年度前期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ読解
担当者名:永井智香子
目標
様々なテーマについて書かれた文章を読み、中級前半レベルの表現・文型
を学ぶことによって中級前半レベルの読解力をつける。
授業の方法
取り上げた教科書は『みんなの日本語』『中級へ行こう』が終わったことを
前提にして作られたものであったので、最初の2コマを使って、『中級へ行こ
う』の主要文法や文型を勉強した。その後、教科書に入ったが、3コマ、あ
るいは、4コマで1課を終えるというペースで進んだ。不定期に宿題を課し
た。
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:12名(NISP4名、日中韓生1名、一般6名、集中プログラム生
1名)
使 用 教 材:『中級を学ぼう』中級前期(スリーエーネットワーク)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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結果と課題
使用教材に取り上げられている読み物は短いが、読み応えがあるものが多
く、また、取り上げられている表現・文型も中級前半にしては多少難しいも
のが含まれていた。そのような教科書であるので、意欲的に授業に取り組む
学生には非常によい教科書だと思う。今期は欠席、遅刻もほとんどなく、活
発さには多少欠けたが、学生たちは真面目に勉強し、よいクラスであったと
思う。
2011年度前期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ聴解
担当者名:小谷裕子
目標
① 聞く練習を通し、「読む・書く・話す」も含めた総合的な中級の日本語
能力を高める。
② 長文の内容を聞き取り、理解する力をつける。
③ 教材から日本についての理解を深める。
授業の方法
① トピックのキーワード確認と簡単な質疑応答
② テープの聴解
1)問題を見ないで、聞くことに集中
2)問題を見ながら、内容のポイントに集中した聞き取り
3)ディクテーション:細部まで正確に聞き取る練習
③ 重要表現・語句の応用練習
④ 副教材:会話教材を使った聴解練習と会話表現練習及び文法確認
結果と課題
出席率も良好で非常に真面目なクラスであった。授業後のアンケートによ
ると、日本事情が主体の主教材だけでなく、会話表現主体の副教材も好評で
あったが、授業中は教師からの問いかけには答えても学生側からの積極的な
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:12名(一般7名、NISP5名)
使 用 教 材:『毎日の聞きとりplus 40 ㊤』(凡人社)、
『日本語会話中級Ⅰ』(TIJ東京日本語研究所)、自作教材等
2011年度前期 授業記録
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発言は殆んどなく、会話教材に対する反応が今ひとつ掴めなかった。大人し
いクラスであったため純粋な聴解クラスになってしまったが、もう少し「話
す」ことに積極的に取り組んでもよかったのではないかと思う。
2011年度前期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ作文
担当者名:永井智香子
目標
初級文型、中級前半に学ぶ文型を使って、与えられた身近なテーマについ
て構成を考え、できるだけ正確な文章を書くことができることを目標とする。
授業の方法
テキストは『日本語作文Ⅰ』(専門研究出版)を参考にして作成した自作の
ものをプリント教材として使用した。作文を書くためのトピックは「自己紹
介」「私の趣味」「私のふるさと」「友情について」「日本に来てびっくりした
こと」「旅」「葉書や手紙を書こう」「私の国のまつり」「私の国の教育事情」
「環境問題について」「専門について」の11であった。それぞれのトピックに
ついて書くための教材は関連語彙、例文、文型、作文例などにより構成され
ている。
1コマで1つのトピックをとりあげ、基本的にプリント教材に沿って授業
を進めた。テストは文型と文法を中心に小テストを2回実施した。宿題とし
て授業中に書いた文型練習とトピックについての作文を提出させた。
結果と課題
学生の出席率、宿題の提出率ともに非常によかった。学生は意欲的に授業
に取り組んだ。中級Ⅰ読解クラスと参加学生が同じだったことで、作文を書
く際に学生が読解クラスで学んだ表現・文型を使うことが多いことがわかっ
たのもよかった。
2011年度前期 一般プログラム 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ会話
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:12名(NISP4名、日中韓生1名、一般7名)
使 用 教 材:自作プリント教材
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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担当者名:松本久美子
目標
中級に必要な語彙・表現を増やしながら、初級文型を組み合わせ、様々な
場面・状況に即した談話レベルの発話ができるようになる。
授業の方法
テキストに学習項目として挙げられている文型や表現の練習は最小限にと
どめ、課の場面で必要とされる「談話型」の理解と基本練習、応用練習に時
間を使った。応用練習は基本的にペアワークののち、発表させる形を取った。
基本的に1.5コマで1課を終えた。メインテキストでは主として研究室での指
導教員との会話場面を設定して行った。補助教材では大学院生同士の会話が
理解できるように日常会話に現れる音の変化(縮約形等)を取り上げた。
結果と課題
単位を必要とする学生が1名いたが、テストは行わず、主に授業中の談話
発表で評価した。全員まじめに熱心に取り組んだ。大学院生が多数を占める
授業では、予習や復習を前提としたコース運営は難しいので、授業中に課題
が完結し、一定の達成感が得られるよう工夫した。今期から補助教材として
話し言葉に特徴的な音の変化を取り上げた。今後も継続する予定であるがど
のようにコースに組み込んでいくかが課題である。
2011年度前期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ漢字
担当者名:溝部エリ子
目標
初級から中級レベルの漢字の形と基本的意味を正確に理解し、語彙レベル
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:9名(うち短期留学プログラム生6名、他3名)
使 用 教 材:『KANJI LOOK AND LEAN イメージで覚える元気な漢字512』
(The Japan Times)
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:6名(集中C1名、一般5名)
使 用 教 材:『日本語でビジネス会話―中級編―』(日米会話学院)
補助教材『なめらか日本語会話』(アルク)から抜粋
2011年度前期 授業記録
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での読み書きができるようになるとともに、文や文章の中で理解できるよう
になる。
授業の方法
新出漢字を単漢字として個々に字形・字義を提示、類似するステムの中で
識別能力を養いながら、音韻媒介ルートを活性化することで語彙アクセスへ
の処理能力を高めるスパイラルな練習を行なった。それぞれのカテゴリーの
中では新出漢字を体系化、精緻化し、意味的な知識の構築を図るとともに、
産出する上での迅速な処理、適切、且つ正確に運用できる能力の育成に努め
た。
結果と課題
当初、学習者の習熟度レベルに顕著な格差が認められたものの、初級レベ
ルの漢字と織り交ぜ、提示を繰り返していくことで、未獲得のものの習得、
運用度の高い漢字の定着が時間とともに図られた。また、視覚的要素からの
識別能力が備わっていくことで、ステムが反映、応用される漢字へのリンク
が容易になり、獲得数が格段に増えていったように思う。これは偏に学習者
の漢字に対する習得意欲と努力の賜物であり、最終到達度テストでは処理時
間には多少差は認められるものの、全員が十分、安定した中級レベルの域に
達することができたことは、今後の熟達度に大きな期待を寄せるものである。
2011年度前期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅱ読解
担当者名:高野泰邦
目標
現代日本社会の様々な側面や普遍的なテーマを取り扱った文章を素材とし、
受講生に中級後半の4技能(読む力を中心に、聴く力、話す力、書く力)を
バランス良く身につけさせることが本コースのねらいである。
授業の方法
本コースは週2コマ開講され、『中級を学ぼう』中級中期(スリーエーネッ
トワーク)を教科書として使用した。教科書は計10課から成り、3コマで1
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:12名(一般7名、NISP5名)
使 用 教 材:『中級を学ぼう』中級中期(スリーエーネットワーク)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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課を終了するペースで授業の進行を計った。各課の授業内容については、新
出語句の学習、本文の読解活動、文型の練習、文型を応用した作文活動、作
文の発表、討論などを複合的に盛り込み、読解を中心とした総合的な技能の
習得を目指した。
結果と課題
全般にわたり本コースが掲げる目標には近づけたようであるが、受講生の
中にはこのコースの単位を必要とする学生とそうでない学生が混在しており、
単位を取ろうとして臨んだ学生は最後までその目標に向かって授業に出席し
たが、単位取得が目的でない学生は学期が進み、学期末が近づくにつれ、出
席の状況が芳しくなくなった。単位取得を目的とする学生もそうでない学生
も積極的に受講できる授業進行計画の検討が課題として残された。
2011年度前期 一般プログラム・留学生センター交換留学生プログラム
(NUJALP)・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅱ聴解
担当者名:小谷裕子
目標
① 「聞く」だけではなく、「読む・書く・話す」の総合的な日本語能力を
高め、上級に進む力を養う。
② ニュース特有の表現や語彙、スピードに慣れる。
③ 日本の社会問題や伝統文化等について理解を深める。
授業の方法
a)長文聴解
① 取り上げるトピックについてキーワードの確認、漢字の確認
② テープ聴解(視覚情報無し・問題を見ながら・ディクテーション)
③ 内容、表現の確認、表現の応用練習
b)ニュース教材聴解
新聞の見出しを使い教材の内容を導入後、ニュースの聴解、内容確認
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:14名(一般8名、NUJALP3名、NISP3名)
使 用 教 材:『毎日の聞きとり plus 40 ㊦』(凡人社)、『ニュースで学ぶ日本
語パートⅡ』(凡人社)、自作教材等
2011年度前期 授業記録
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*応用:ビデオでa・bに関連した社会問題等を紹介
結果と課題
以前と比べると非常に簡単に情報が入手できる環境になったが、その為か
学生達は留学したといっても全くと言っていいほど日本のニュースを見てい
ない。自分が興味を持つ情報だけを捜し求め、自国のニュースも余り知らな
い様子だった。それ故、社会情勢やニュースに関連した語彙が少なく、導入
に時間がかかる。上級の日本語に進むためには、もっと普段から身の回りの
日本語に接して欲しい。
2011年度前期 一般プログラム・留学生センター交換留学生日本語プログラ
ム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅱ作文
担当者名:永井智香子
目標
① 日本語の書き言葉(主にだ・である体)を使って構成を考えて、客観な
文章が書けるようになる。
授業の方法
プリント教材の作成には主に6冊の作文テキスト(『留学生のための日本語
作文演習(中上級用)』(留学生センター)、『日本語の表現技術』(古今書院)、
『留学生の日本語:作文編』(アルク)、『留学生のための論理的な文章の書き
方』(スリーエーネットワーク)、『留学生のためのここが大切文章表現のルー
ル』(スリーエーネットワーク)、『小論文への12のステップ』(スリーエーネッ
トワーク))を参考にした。プリント教材は以下の11の項目よりなっている。
1.表記のしかた、いろいろな文体 2.話し言葉と書き言葉 3.複合
助詞① 4.複合助詞② 5.さまざまな文末表現 6.文末がパターン化
されている表現 7.分類とその内容について書く 8.さまざまな接続表
現 9.目指す文とは 10.数字をあらわす日本語 11.書くとき注意すること
毎回作文と授業中に書いた文型などは宿題として提出させた。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:5名(NUJALP1名、日中韓生1名、一般3名)
使 用 教 材:プリント教材
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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結果と課題
学期初めに、時間割の関係で短プロ生5名が出席できないことがわかり、
本来10名のクラスが少人数のクラスとなった。少人数クラスではあったが、
出席率も、宿題の提出率も非常によかった。
2011年度前期 一般プログラム・留学生センター交換留学生プログラム(NUJALP)
授業記録
科 目 名:中級Ⅱ会話
担当者名:木下希美
目標
場面に応じ、適切な丁寧さを用いて話せるようになること。
授業の方法
まず、その課のトピックについて、今の自分の力でどれだけできるか試し
た。例えば、ユニット4の「ほめられた時にうまく対応する」では、ペアに
なり、Aが褒め、Bがそれに答える。その後、テキストの基本会話を確認し、
今まで自分が知らなかった表現や丁寧な表現などをクラスで話し合った。知っ
ていたが使ったことのなかった表現なども場面を設定し、練習し合った。特
に、目標である場面に応じた適切な丁寧さを意識し、学生と話し合いながら
授業を進め、最後はまたペアとなり、新しく勉強した言葉や表現や敬語など
を使いながら、丁寧な会話ができるように練習した。
結果と課題
学生が「そうしていただければありがたいです。」や「お言葉に甘えて」な
ど今まであまり使わなかった表現を教室活動内でよく使っていたのは、教師
として嬉しく、授業に意義があったと考えられる。しかしながら、教室以外
の実際の使用場面を教師は確認することができないので、教室以外でも学生
がその場に応じた適切な丁寧な表現ができていればさらによいと思う。反省
点として、始めは13名いた学生のうち最後まで授業に参加したのが6名となっ
てしまった。魅力ある授業を行うために精進したい。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:13名(一般 8名、NISP1名、NUJALP4名)
使 用 教 材:『Formal Expressions for Japanese Interaction 待遇表現』(The
Japan Times)、自作教材等
2011年度前期 授業記録
─ 98 ─
2010年度前期 一般プログラム・留学生センター交換留学生プログラム
(NUJALP)・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅱ漢字
担当者名:溝部 エリ子
目標
既習漢字とともに構成された新出漢字の意味、用法が実生活における日本
語使用場面において適切に使用、運用できるようになる。漢字獲得数として
は日本語能力試験N2レベルの漢字をその目標とした。
授業の方法
中級Ⅰ漢字で習得した漢字のステムと字形を基に新出漢字をステムと字形
からグループ化し、形態認識を高めながら単漢字の書き方・読み方の理解、
定着を図っていった。その上で新出漢字と既習漢字から構成される基本語彙
(代表熟語)の読み方、その意味と使い方を文や文章の中で様々なタスクを
用い、提示していった。
結果と課題
獲得数という面では順次行なった到達度テスト、最終到達度テストでの結
果からも充分な成果が認められたが、書き表す上での字形、バランスに基本
的問題点が多く、修正できない学習者がいたことは残念でならない。漢字学
習過程における初段階での基本的認知は基礎のストローク、ステムの確立が
何より大切であり、単に漢字獲得数を増やしていくことは後々までその影響
を及ぼす。現代社会では「書く」行為の産出場面がツールの拡大により減少
の一途をたどっているものの、正確な字形認識なくしてその認知度は確実で
あると言い難い。よって今後の課題としては、ある程度の習熟度をもった学
習者の入口での修正が課題と言えよう。しかしながら、学習者のほぼ全員が
習得方法は異なるものの、ぞれぞれが自分のスタイルで熱心に参加し、いい
雰囲気でクラス活動を行えたことは評価したいと思う。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:20名(NUJALP11名、NISP6名、他3名)
使 用 教 材:『漢字マスター Vol.3 2級漢字1000』(専門教育出版)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 99 ─
2011年度前期 全学教育プログラム・一般プログラム・留学生センター交換
留学生プログラム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:日本語Ⅱ(上級Ⅰ読解)
担当者名:松本久美子
目標
中級後半を終えた留学生に上級前半レベルの読解力をつけることを目標と
した。
授業の方法
基本的には教科書に沿って行った。
① 本文内容に関連したことについて話し合い、その課のテーマについて
理解を深める。
② テキストの本文を読む。
③ パラグラフごとに重要表現のチェック・練習、語彙・文法に関する質
疑応答を行う。
④ 本文内容についての質問に答える。
「重要表現」と語彙に関するものを宿題とし、テストは前半と後半に分け
て2回実施した。
結果と課題
テキストは今回新しい物を使用した。本文は上級Ⅰレベルに適切な内容で
あると思う。ただ、学部学生で本来なら中級クラスが適当である学生にとっ
ては、かなり難しい内容であったようだ。来年度は全学日本語に上級レベル
に加えて中級レベルのクラスを設けることを検討している。
2011年度前期 一般プログラム・留学生センター交換留学生日本語プログラ
ム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:上級Ⅰ聴解
担当者名:永井智香子
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:13名(学部留学生3名、NUJALP9名、一般1名)
使 用 教 材:『学ぼうにほんご中上級』(専門教育出版)
2011年度前期 授業記録
─ 100 ─
目標
テレビのドキュメンタリー番組等を10分程度に編集したものを視聴するこ
とを通じて、日本語の運用能力を高める。
授業の方法
基本的に授業は以下のようにすすめた。
1.その日に見るビデオに関連したことについて話し合う。
2.プリントに書いてあるビデオの内容についての質問事項を確認する。
3.1回目のビデオ視聴
4.ビデオの内容についての質問事項に答えさせる。
5.プリント教材にある語彙や文法事項の確認
6.ビデオの内容についての質問の答えを書かせる。
7.スクリプトを見ながら2回目のビデオ視聴
テストは小テストを2回実施した。宿題はビデオの内容に関連したことに
ついて書かせたり、関連語彙を使って短文作りをさせたりした。また、不定
期に宿題を出した。
結果と課題
テレビの番組を教材として使っているが、どのような番組を使うのがよい
のかまた、その教材を使ってどのようなクラス活動をするのがよいのか試行
錯誤を重ねている。今回のクラスも全体的に学生の反応が鈍く、授業に取り
組もうという姿勢もあまり見られなかった。来期はやり方を変える必要があ
る。
2011年度前期 一般プログラム・留学生センター交換留学プログラム(NUJALP)
授業記録
科 目 名:上級Ⅰ作文
担当者名:夛田美有紀
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:9名(一般2名、NUJALP7名)
使 用 教 材:『大学で学ぶための日本語ライティング』(ジャパンタイムズ)
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:10名(NUJALP8名、一般2名)
使 用 教 材:プリント教材
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 101 ─
目標
今まで習った日本語を使い、適切な構成、内容で短文やレポート作成が書
けるようになる。レポート作成に必要な資料を探し、それを読み取り、自分
の意見が述べられるようになる。
授業の方法
1コマで1課のペースで進めた。特に丁寧に扱ったほうがいいと思われた
課については2コマで1課進めた。毎週作文の課題を課し、翌週に提出させ
た。中間試験では一課から五課、期末試験では六課から十課までを範囲とし
た。
結果と課題
使った教科書が中上級を対象としていたため、前半は中級作文のような印
象を与えてしまったようである。二回目からは文法の補足問題を加えるなど
して、できるだけ学生のレベルに合うようにしたものの、メインとして取り
上げたものがやさしい、という印象はぬぐえなかったようである。しかし、
苦戦している学生もいたため、あまり難しいことはできず、加減が難しかっ
た。大半の学生は難しい課題に取り組むことを好んだため、授業で補足的に
扱った項目についても試験範囲の中に入れた。
宿題も、毎回きちんと作文の体裁にして提出してくる学生もいれば、まと
まりのある文を何とか書いて提出してくる学生もいたが、期限内に出すこと
だけを評価の対象とした。
単位が必要なNUJALPの学生だけでなく、一般の学生も宿題をきちんと提出
し、訂正されたところで疑問に思ったところは質問に来ることが多かった。
授業態度もまじめで、雰囲気のいいクラスであった。
2011年度前期 一般プログラム 留学生センター交換留学生日本語プログラ
ム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:上級Ⅰ会話
担当者名:松本久美子
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:10名((NUJALP6名、一般2名、山形大学からのライデン大学
生2名)
使 用 教 材:『日本語上級話者への道』(スリーエーネットワーク)
2011年度前期 授業記録
─ 102 ─
目標
日本語中級話者が、話すべき内容とその構成を意識しながら語彙・表現を
豊かにし、上級レベルの会話能力を身につけられるようにすること。
授業の方法
基本的にテキストに沿って行い、基本的に1回の授業で1課を終えた。具
体的には、テキストの設問に答えながら、必要な語彙を獲得し、自分が話す
内容を吟味し、内容のドラフトを作り、話すという方法を取った。ペアワー
ク、グループワークを多用した。これに加え、今期はテキストの課のテーマ
に関連したプレゼンテーションを3回、パワーポイントなどを使用して行っ
た。プレゼンテーションのテーマは以下のとおりである。①自分の街の様子、
②好きなものをアピールする、③将来の夢
結果と課題
今期は東日本大地震の影響で山形大学に留学していたライデン大学の学生
2名をコース途中から受け入れた。優秀な学生であったため、途中参加であっ
ても問題なかった。上級レベルの会話のクラスでどうやったら学生に明確な
達成感を持たせることができるかが課題である。
2011年度前期 一般プログラムプログラム 授業記録
科 目 名:上級Ⅱ総合実践
担当者名:◯高野泰邦、永井智香子、松本久美子、夛田美有紀、松村真樹
目標
日本語能力試験N1に合格するための知識・スキルを習得する。
授業の方法
本コースは、5名の教員によるオムニバス形式で授業を展開した。12週目
までは、言語知識の中で学習する項目をそれぞれ「文字・語彙・文法」と「読
解」及び「聴解」に振り分け、上級日本語の知識とスキルを獲得するための
学習をするとともに、模擬試験を実施した。後半部分3週については、日本
で就職を希望する学生のために就職のための日本語の手引きについて学習す
る機会を提供した。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:6名(他「就職のための日本語」:2名)
使 用 教 材:自作教材
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 103 ─
結果と課題
本授業はもともと1人の教員によって担当される予定であったが、不測の
事態によりそれがかなわなくなり、センター教員5名が急遽オムニバス式で
担当することとなった。計画通り授業は進行したものの、受講生(単位取得
目的でない学生)の学習態度に積極性が欠けていたきらいがあったようであ
る。なお、後半部分の就職のための日本語の手引きへの授業参加者は2名で
あった。
2011年度前期 留学生センター交換留学生日本語プログラム(NUJALP)
授業記録
科 目 名:日本の文化・社会・言語Ⅱ
担当者名:高野泰邦
目標
本授業の目標は、大きく2つに分けられる。第一に、日本の文化・社会・
言語の中のテーマを扱った文章に基づいて、日本の文化・社会・言語につい
ての理解を深めること、第二に、各受講生に独自の判断で取り組める課題研
究を課し、それについて一定期間調査・研究をさせ、その後レポートを書か
せ、レポートに基づいて発表させるという一連の活動をすることにより日本
の文化・社会・言語についてより一層理解を深めること、である。
授業の方法
4月から6月中旬までは、主として日本の文化・社会・言語の諸相につい
て準備された文章を素材に主として読解と質疑応答をすることにより理解を
深める活動をした。その後、4月から準備を進めていた課題研究についてよ
り質の高い学習の成果を達成するため、作成されたレポートの添削や修正な
どの活動を数回にわたり行い、発表のための準備を7月下旬までの約1ヶ月
間継続し、最終的に8月初旬に発表会を行った。
結果と課題
計画的に取り組んだ課題研究の成果については、総合的に満足できる結果
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:11名
使 用 教 材:『上級へのとびら』(くろしお出版)から抜粋した文章、ハンド
アウト、等
2011年度前期 授業記録
─ 104 ─
になったようである。日本の文化・社会・言語についての教材を通しての活
動についても、今期は受講生に各テーマについてのデスカッションの時間を
取り入れたが、結果的に良い学習環境が創造できたようである。来期もこの
形態で授業を継続したいと考える。
2011年度前期 留学生センター上級日本語・日本文化コース(AJLC) 授業
記録
科 目 名:日本研究Ⅱ人間と文化
担当者名:夛田美有紀
目標
人間関係維持のための言葉遣いの方略についての専門書を読み、普段使わ
れている日本語の使われ方について考察できるようになる。考察の手がかり
として小説、ドラマ、漫画などを取り上げ、言葉を使っている人物の性格や
心理状態、他の人との人間関係、立場などについて考える。
授業の方法
専門書は2コマで一章進んだ。授業前に予習させ、授業の前半30分で内容
の確認と解説、内容に応じて意見交換を行った。残りの時間で小説やドラマ
などを取り上げ、各場面で言葉がどのように使われているのか、なぜそのよ
うな使われ方をしているのかを考え、意見を出し合った。1章が終わるごと
に、合計五回行った。
結果と課題
専門書の読み取りは、予習シートに穴埋めをすればその章の内容が大体わ
かるようにしてあり、シートを埋めることはできていたのだが、内容は、抽
象的な事柄は理解しにくかったようである。しかし、その抽象的な事柄の事
例として提示した小説、漫画、ドラマにより、抽象的な事柄の言いたかった
ことを理解できたようである。
漫画は擬音語や擬態語の読み取りが難しかったようであるが、提示した資
料の読み取りや理解にはあまり問題がなく、注目してほしい部分に注目する
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:8名
使 用 教 材:ハンドアウト(『わきまえの語用論』より抜粋、小説、漫画)、
ドラマの一部
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 105 ─
ことができたが、発表では注目してほしい部分の分析を行っていた学生は半
数程度であった。前回の学生には必要なかったことであるが、着目点や分析
方法など、もっと具体的に示すべきであったかもしれない。
2011年度前期 短期留学プログラム 授業記録
科 目 名:日本語の構造(The Structure of Japanese)
担当者名:高野泰邦
目標
「日本語の構造」は、短期留学プログラム生のために提供されている英語に
よる授業である。日本語の統語構造、特に、主要な助詞で構成される日本語
の統語構造に焦点を当て、基本的な統語構造の知識を習得させることにより、
日本語でのコミュニケーションがより正確に、そしてスムーズに展開できる
技能を身に付けさせることを目標とした。
授業の方法
本授業は、12週目まで日本語の主要な助詞(が、は、を、に、で、まで、
までに、までで、と、に、や、)で構成される統語構造について、後半の3週
で日本語に特有の関係節の構造について、言語学的な観点から学習できるよ
うに構成した。これらの日本語の統語構造についての知識をより着実に習得
できるようにするために、日本語の構造に関連するレポートを課し、提出さ
せることにした。
結果と課題
受講生8名の日本語能力のレベルにばらつきがあり、各受講生による本コー
スについての講義内容の理解の程度にも幾分差が生じたようである。レベル
2~4の学生には上述の主要な助詞で構成された統語構造や関係節の構造を
理解するのに少々難解な部分があったようであり、レベル5の学生にはそれ
らの構造を理解するのにさほどチャレンジングではなかったというやむを得
ないアンバランスさが生じた。本コースに対する受講生の学習態度に幾分温
度差が生じたことが課題として残されたようである。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:8名
使 用 教 材:『The Structure of the Japanese Language』(The MIT Press), and
Other Printed Materials
2011年度前期 授業記録
─ 106 ─
2011年度前期 短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:日本語2
担当者名:◯高野泰邦、浜田悦子、坂本英子
目標
初級後半レベルの文型・文字・語彙を習得するとともに、日常生活に必要
となる総合的な日本語能力(聞く力、話す力、読む力、書く力)を習得する
ことを目標とした。
授業の方法
週5コマのうち、4コマで新しい文型・語彙(『みんなの日本語初級Ⅱ』の
各課を2コマ)を学習し、残りの1コマで当該週に学んだ文型・語彙を総合
的に(『みんなの日本語初級Ⅱ:初級で読めるトピック25』)学習した。学期
中4回の小テストと最後に期末試験を実施した。なお、『みんなの日本語初級
Ⅱ:標準問題集』を宿題として課し、各課の学習事項の確認、整理、定着を
図った。
結果と課題
初級前半レベルでは受講生全員良いスタートを切っていたようであるが、
初級後半レベルに進むに連れて文型・文字の定着度という観点からは非漢字
圏の学習者が数名遅れを取り始めた。しかし、授業中の学習態度と宿題を着
実にこなすように指示することにより、全員が最後までまじめに取り組んで
学期を終了した。
2011年度前期 全学教育プログラム・一般プログラム・留学生センター上級
日本語・日本文化コース(AJLC) 授業記録
科 目 名:日本語Ⅰ
担当者名:高野泰邦
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:20名(学部生9名、AJLC8名、一般2名、交換留学生1名)
使 用 教 材:『日本の論点2007・2010』から抜粋した文章
授業コマ数:週5コマ
受 講 者 数:9名
使 用 教 材:『みんなの日本語初級Ⅱ』(スリーエーネットワーク)等
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 107 ─
目標
現代日本社会の課題をテーマにした文章を素材に、大学生活に必要な日本
語の総合的な技能(読む力、考える力、調べる力、書く力、話す[発表する]
力、聴く力)を習得させることを目標とした。具体的に、①論理的に構成さ
れた文章が読める。②論理的に考えることができる。③あるテーマについて
自分で調べることができる。④あるテーマについて論理的に書くことができ
る。⑤あるテーマについてまとまった考えを発表することができる。⑥他人
の意見を聞いてそれについて適切に答えることができる。などである。
授業の方法
学習目標がより明確に把握できるように、10週目まで以下の要領に基づい
て授業を展開した。テーマについて背景となる情報を簡潔に提供した。
難解語句や漢字等を解説し、理解の促進を図った。本文を適当な長さに区
切って音読させ、要点をまとめさせた。文章の内容について質問等をして
理解しているかどうかを確認した。テーマ全体について意見や感想を述べ
させた。
10週目に入る前までに発表のための原稿を各受講生に書かせ、各受講生の
原文を数回にわたり添削し、修正をさせ提出を求めた。その後3週間にわた
り修正済みの原稿に基づいて発表のための練習をし、14週・15週で発表会を
実施することにより、書く力、発表する力、聴いて適切に答える力の養成を
行った。
結果と課題
受講生が20名であったので、上級者のクラスとしてはかなり多めだったが、
このコースのために掲げた目標にはかなり近づけたと思われる。特筆すべき
反省点は、各発表者の発表を聴いて適切な質問やコメントを発する力の養成
に行き届かないところが残されたようだ。今後の課題としたい。
2011年度前期 全学教育プログラム・短期留学プログラム(NISP)・留学生セ
ンター上級日本語・日本文化コース(AJLC) 授業記録
科 目 名:日本語Ⅰ
担当者名:夛田美有紀
2011年度前期 授業記録
─ 108 ─
目標
今後の大学での勉強に役立つ技能の習得、上達を目的とする。時事問題に
ついての記事を理解するだけでなく、自分の意見が持てるようになる。自分
の意見をまとめてレポートが書けるようになる。グループで話し合って意見
をまとめ、発表できるようになる。
授業の方法
1コマ目に新聞記事などの読解とレポートの書き方についての学習、2コ
マ目にレポートの書き方の続きと、レポート作成、3コマ目にレポートの清
書、4コマ目に原稿の書き方の学習とグループに分かれて発表の準備、5コ
マ目に発表の仕方の学習と発表原稿の清書、6コマ目に発表を行った。発表
の際には発表をしていない学生は発表の内容を聞き取るシートに書き込ませ、
発表後の質疑応答は授業態度の評価に反映させた。
結果と課題
新聞記事などから抜粋した2種類の読み物をA4用紙1枚に収め、レポート
の書き方の説明、練習をしてレポートの下書きをし、翌週に清書を行った。
さらにその週にグループ発表の準備を行い、翌週に発表原稿の清書とグルー
プ内での調整を行い、グループ発表を行った。
今回は学部留学生が非常にまじめであったのに対し、学部交換留学生など
はあまり授業に積極的に参加しない学生が何人かいた。そのため、今までグ
ループ発表は三人で組ませていたのだが、三人だと一人がグループ活動に参
加していないグループもあったため、途中から二人組みに変えた。はじめは
文句が出たものの、おとなしく二人組みを作ってくれた。
今までは彼らは学部交換留学生が学部留学生を引っ張り、日本語能力を高
めてくれていたのであるが、今回はそういう助け合いがなく、日本語能力を
伸ばさなければならない学部留学生の日本語能力が、学部留学生だけのクラ
スであればもっと伸ばせたのではないかと悔やまれる。
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:26名(学部留学生6名、NISP3名、AJLC8名、学部交換留学
生9名)
使 用 教 材:新聞記事など
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 109 ─
2011年度前期 全学教育プログラム・短期留学プログラム(NISP)・留学生セ
ンター上級日本語・日本文化コース(AJLC) 授業記録
科 目 名:日本語Ⅰ
担当者名:松本久美子
目標
新聞の記事等を読み、その内容について討論したり、自分の考えをまとめ
て発表したりできるようになることを目標とした。
授業の方法
授業回数全15回で、第1回はオリエンテーション及び自己紹介、第2回は
発表および討論に関する留意点についてハンドアウトを用いて行った。第3
回はディベートの練習、第4回から学生による発表・討論(主としてディベー
ト形式)に移った。発表はそれぞれの学生がコース中に2回(グループによ
る発表:2人もしくは3人)行った。1コマで1組の発表とその内容に関す
る討論を行った。
<発表・討論の方法>
発表前:発表担当者は最近の新聞記事等の中からクラスで紹介し討論した
い記事を選び、その内容についての質問に答えられるように準備をしておく。
新聞記事等と、その記事を選んだ理由、内容の要約、内容に関する意見(A4/
1枚)、について事前に準備し、担当教員のチェックを受ける。
発表当日:発表者は選んだ新聞記事等の内容を紹介し、内容についての質
問を受ける。次に発表者は選んだ新聞記事等の内容を紹介し、内容について
の質問を受ける。次に発表者は討論のテーマを提示し、討議の司会進行を努
める。最後にディスカッションのまとめを行う。発表・討論が終ったところ
で、発表者は自己評価を、参加者は発表についての評価を評価用紙(A4/1
枚)に従って行う。担当教員はこれを回収したあと、発表についてのコメン
ト(良かった点、次回注意すべき点)をする。学生による発表についての評
価は、評価者の名前を消してコピーし、次回の発表のための参考資料として
発表者に渡している。
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:23名(学部留学生11名、NISP3名、AJLC3名、学部交換留学
生9名)
使 用 教 材:新聞記事など
2011年度前期 授業記録
─ 110 ─
結果と課題
今期も全学教育のクラスに様々な学生が混在することになった。読解力お
よび会話力のレベル差も大きく、人数も20人を超えていたので、授業中にほ
とんど発話しない学生も見られた。1コマ目を教師主導で記事の読解を行い、
十分内容を理解したうえで討論に移るという形式を検討する必要があるかも
しれない。
2011年度後期 日本語集中プログラムAコース 授業記録
科 目 名:文法
担当者名:○夛田美有紀、川崎加奈子、松尾まゆ美、渡邊佐智子、
近藤有美(○はコーディネーター)
目標
日常生活に必要な基本的な日本語を習得する。さらに、現在所属している、
あるいは春から所属する研究室での日常的なやり取りが日本語でできるよう
になる。
授業の方法
『新日本語の基礎Ⅰ』は1課を3コマ、『新日本語の基礎Ⅱ』は1課を2コ
マのペースで進めた。各課で重要となる語彙や文法項目を毎日、予習クイズ
として課し、予習段階での理解度、定着度に応じて授業の内容が調節できる
ようにした。宿題は毎日A3用紙1枚程度を課し、翌日返却し、返却時にフィー
ドバックを行った。
試験は学期中に6回、1校時に行った。試験は試験終了後に採点し、後日
返却した。全体的な間違いについてはフィードバックを行い、個別の間違い
については各自直して翌日提出させた。
結果と課題
大使館推薦、教員研修生、研究生、大学院生と珍しく多様な学生が在籍す
るコースとなったが、国籍が多様であったため、教室活動が活発に行えたよ
うに思う。冬休み中に日本語を忘れてしまった学生は学期末までペースが戻
授業コマ数:週10コマ
受 講 者 数:9名(大使館推薦国費留学生2名、教員研修生4名、研究生1
名、大学院生2名)
使 用 教 材:『新日本語の基礎』Ⅰ・Ⅱ(スリーエーネットワーク)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 111 ─
せないままだったので、休み中の課題の与え方について再考する必要がある
と思われた。
コース終了時に行っている発表も活発な質疑応答が行え、授業では見られ
ない一面が見られて、教師としても収穫の多い発表であった。
2011年度後期 一般プログラム 授業記録
科 目 名:初級Ⅰ
担当者名:○夛田美有紀、浜田悦子、田島紀子、松尾まゆ美
(○はコーディネーター)
目標
ひらがな、カタカナを覚え、初級前半の文法事項を学び、日常生活で最低
限必要な日本語を習得する。
授業の方法
3コマ程度で1課進み、25課まで学習した。定着度をみるため、中間試験
と期末試験を行った。試験の前には復習の日を設けた。
授業で扱った内容は文法が中心ではあるが、必要に応じて会話も取り上げ、
教室内では口頭練習を行うように心がけた。時間内に終わらなかった項目や
不足した練習については次の回を担当する教員に引き継ぎ、次の時間に補う
ようにした。その日に学習した項目の定着を図るため、宿題を毎日課した。
結果と課題
活用の学習が中心となる年明けから遅刻が目立つようになり、最初の10分
の復習が終わった頃に全員揃うといった状態であった。そのためか、活用の
定着がなかなか進まなかった学生は学期末まであやふやな定着のままであっ
た。一般コースで、学生は研究などで忙しいと考え、遅刻について厳しく言っ
てこなかったのであるが、次回からは遅く来ないように注意しようと考えて
いる。
ただ、国籍が多様で、教室活動を行うのにちょうどいい人数であったため、
クラスの雰囲気はよく、すぐに答えが言えない学生に対しても答えが出るま
で温かく見守る雰囲気があり、発話にも積極的な学生が多かった。
授業コマ数:週4コマ
受 講 者 数:13名
使 用 教 材:『新日本語の基礎』Ⅰ(スリーエーネットワーク)
2011年度後期 授業記録
─ 112 ─
2011年度後期 一般プログラム・集中プログラムAコース・短期留学プログラ
ム(NISP) 授業記録
科 目 名:初級Ⅰ漢字
担当者名:松本久美子
目標
日本語を学び始めた学習者が、漢字に対する理解を深め、基本的な160の漢
字を読み書きできるようになること。
授業の方法
授業回数全15回で、第1回のオリエンテーションでは漢字の成り立ち・構
成等を導入した。初級Ⅰ漢字ではテキストの1課から10課(全160字)を学習
した。1回1コマで1課を終了。5課を終えた段階で中間テスト、10課終了
後に期末テストを実施した。また、15回中3回、「生活の中の漢字」を扱い、
大学食堂等で毎日目にする漢字を取り上げた。
授業方法は、まず、漢字の読みとその意味を確認し、書く練習を行った。
次に付属のワークブック(必要な個所をコピーして配布)を使用して、読み
の練習を行った。また、例文中の語彙に関連して、日本の日常生活や日本文
化に関するものについて写真や広告等を用いて紹介するよう努めた。授業の
最初と最後に漢字カードを使った読みの確認と復習をした。また、3課終了
後から毎回学習した漢字を使って文を作成する宿題を課した。
結果と課題
前回の反省を踏まえ、最初に漢字の構成と部首の意味等に着目させ、その
応用として日常生活に見られる漢字の意味を推測する練習を行うことで、漢
字に対して興味を持たせることができたように思う。来期からは初級レベル
の漢字については、独立したクラスで扱うのではなく、それぞれの初級プロ
グラムの中に組み込んでいくことになる。日本語のレベルの異なる学習者が
混在することはなくなるが、特に初級Ⅰでは漢字圏と非漢字圏が混在するク
ラスでの導入となることでまた新たな工夫が必要とされるであろう。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:9名(一般1名、集中4名、NISP4名)
使 用 教 材:『KANJI LOOK AND LEARN』(The Japan Times)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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2011年度後期 一般プログラム 授業記録
科 目 名:初級Ⅱ
担当者名:○永井智香子・酒井亮子・田島紀子・松尾まゆ美
目標
初級前半を終えた学生を対象に初級後半基礎文法の定着をはかり、その運
用能力を高めることを目標とする。
授業の方法
『新日本語の基礎Ⅱ』に入る前に4コマ使い、『新日本語の基礎Ⅰ』の復習
を行った。『新日本語の基礎Ⅱ』の進み方は2コマで1課進むペースで進めた。
そのほかに『新日本語の基礎Ⅱ』の付属復習ビデオを見るクラスを2コマも
うけた。定期テストとして、『新日本語の基礎Ⅱ』のテストを2回実施した。
各課A4用紙1枚からなる宿題も課した。
結果と課題
今期のクラスも前期と同様専門との兼ね合いで、最初から週に1、2回し
か出席できない学生が3名いた。また、今期はプレースメントテストの結果、
初級Ⅰレベルから初級Ⅱを勉強せずに中級Ⅰレベルに配置された学生が3名
いたので、人数の少ないクラスとなった。受講者6名のうち常時出席してい
たのは3名であった。このように人数が少ない状態が続くと一つの独立した
クラスとして存続することが難しくなってきている。ただ、人数は少なかっ
たが常時出席する学生は3名とも非常に熱心で活発で雰囲気のよいクラスで
あったことを付け加えておきたい。
2011年度後期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:初級Ⅱ漢字
担当者名:溝部エリ子
授業コマ数:週4コマ
受 講 者 数:6名
使 用 教 材:『新日本語の基礎Ⅱ』(スリーエーネットワーク)
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:7名(NISP3名、他4名)
使 用 教 材:『KANJI LOOK AND LEAN イメージで覚える元気な漢字512』
(The Japan Times)
2011年度後期 授業記録
─ 114 ─
目標
新出漢字を正確に認識、基本的意味が理解でき、読み書きができるように
なる。併せて、初級前半で習得した漢字とともに構成された漢字語彙が文の
中で理解でき、使えるようになる。
授業の方法
非漢字圏と漢字圏の混合クラスであったこと、初級Ⅰからの継続生が1名
という課題を補うため、初級前半の過程を常に提示確認しながら、新出漢字
との共有を図った。非漢字圏の学習者に対しては新出漢字個々の字形の識別、
ステムの共有から字義への理解を深めるとともに識別能力の徹底を心がけた。
一方、漢字圏の学習者へは単漢字の音韻表出の徹底、漢字語彙の音韻認識の
確認練習を行うことに焦点をあて、それぞれに意味再生テスト、遅延テスト
で語彙アクセスへの処理能力を高めるスパイラルな練習を行ないながら、漢
字プロフィシェンシーの育成に努めた。
結果と課題
全員が大変意欲的、且つ真摯に、また楽しい雰囲気の中で漢字習得にそれ
ぞれの目標を持って取り組んでくれた。当初、初級前半レベルの習熟度に一
定の格差が認められたものの、非漢字圏学習者は視覚的要素からの識別能力
が備わっていくことで、ステムが反映、応用される漢字へのリンクが完成し、
未獲得のものの習得、運用度の高い漢字が時間とともに定着し、獲得数が格
段に増えていった。また、漢字圏学習者においても音韻表出の誤りが訂正さ
れ、最終到達度テストでは処理時間には多少差は認められるものの、各学習
者の漢字に対する習得意欲と努力の賜物により、全員が充分な成績を獲得で
き、今後の熟達度に大きな期待を寄せられる結果となった。
2011年度後期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ読解
担当者名:安田真由美
目標
初級で習った学習項目を復習しながら、ある程度まとまった長さの文章(450
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:21名(一般19名、NISP2名)
使 用 教 材:『中級を学ぼう』中級前期(スリーエーネットワーク)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 115 ─
字~750字程度)を読むことに慣れる。そして、中級で必要な文型や語彙・文
法を学習し、実際に使えるようになる。
授業の方法
テキストを使用し、4.5時間(1コマ×3回)で1課を終えるくらいのペー
スで授業を進めた。2コマ終了後に毎回、学習文型を使った短文作成を宿題
として課し、また1課終了後には、短文作成に加えて、その課のトピックに
沿った作文を、段落を意識しながら3段落構成くらいで作成することを、宿
題として課した。そして、学期の途中と最後にそれぞれ1回ずつ復習テスト
を実施した。
具体的なテキストの進め方は以下の通りである。
① 学習する課のトピックについて、学習者が持っている知識をディスカッ
ションやインタビューにより活性化する。
② その課を学習するために、必要な語彙の意味や使い方を確認、練習す
る。
③ 450字から750字程度の長さの読み物を読んで、既習語彙や文法の整理
をしたり、新しい語彙や文型の使い方を知る。
④ 学習項目の文型や文法が実際に使えるように、練習問題や短文作成を
行う。なお、答えが1つの練習問題は授業中に行い、短文作成など答
えが1つではなく自由に答えられるようなものは宿題にした。
⑤ 学習した本文の聴解を行い、( )に言葉を書いたり、本文の内容
に関する質問文を聞いて、答えを書いたりする。
⑥ 時間的に余裕のある場合には、本文に関連した語彙を増やすためにプ
ラスアルファの練習を行う。
今学期、テキストは最後まで終了した。
結果と課題
学習する語彙や文型、文法が多く、毎回宿題も多かったが、非常にまじめ
に取り組んでいた。必ず予習してから授業に臨む学生も少なくなかったし、
宿題の提出率も非常に高かった。テキストの本文読解や短文作成など様々な
練習や課題を通して、このクラスの学習目標はある程度、達成できたと思わ
れるが、いくつか課題も残っている。
まずは、課題としていた、その課のトピックである作文をクラスの中で発
表する時間を取ることができなかったという点である。この3段落構成の作
2011年度後期 授業記録
─ 116 ─
文は、興味深い観察眼で書かれた力作が多かったので、発表すればクラスの
中でも共感を得られたり、学習者同士、刺激にもなったのではないかと思わ
れる。次回、授業スケジュールを立てる際に、作文発表の時間を組み込むよ
うにしたい。
次に、文法や文型の意味の説明を日本語だけで理解するのが困難な場合が
あり、すぐに母語の翻訳に頼ってしまう傾向が強かったという点である。意
味の説明が母語と一対一対応ですぐに理解することができるような場合なら
問題はなかったが、意味が複雑で母語では翻訳しにくいようなものに関して
は、理解することが難しかったようである。このような場合、日本語で説明
を聞いた後、多くの例文から自分なりに意味を推測して、練習問題をするこ
とで意味を理解、確認していくことが求められる。しかし、例文から自分な
りに意味を推測する作業に慣れていなくて、十分に意味が理解できていない
と感じられる場合もあったし、また、意味の理解が深まるように充分に時間
をかけて練習問題をすることができない場合もあった。学習者のつまづきの
個所と、それを克服するにはどんな練習がどのくらい必要なのか、今回の気
づきを踏まえて次への課題にしたい。
2011年度後期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ聴解
担当者名:小谷裕子
目標
④ 聞く練習を通し、「読む・書く・話す」も含めた総合的な中級の日本語
能力を高める。
⑤ 長文の内容を聞き取り、理解する力をつける。
⑥ 教材から日本についての理解を深める。
授業の方法
① トピックのキーワード確認と簡単なディスカッション
② テープの聴解
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:21名(一般19名、NISP2名)
使 用 教 材:『毎日の聞きとりplus 40 ㊤』(凡人社)、『日本語会話中級Ⅰ』(TIJ
東京日本語研究所)、自作教材等
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 117 ─
1)問題を見ないで、聞くことに集中
2)問題を見ながら、内容のポイントに集中した聞き取り
3)ディクテーション:細部まで正確に聞き取る練習
※ 語彙が易しいと思われる教材については、何の情報も与えず一度聞か
せ内容を推測させてからキーワード確認を行った。
③ 重要表現・語句の応用練習
④ 副教材:会話教材を使った聴解練習と会話表現練習及び文法確認
主教材の内容に関連したビデオによる聴解
結果と課題
真面目ではあるが非常におとなしい受講生が多い静かなクラスであった。
初級上がりの学生にとって中級の教材は難しく、それがひたすら受身の受
講姿勢につながったと思われる。初中級レベルの学習の充実が望まれる。
中級Ⅰレベルの生教材ビデオを用意するのは難しいが、学生達が活発な反
応を見せたので、今後もできるだけ生教材を取り入れられるよう心掛けたい。
2011年度後期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP)留学生センター
交換留学生日本語プログラム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ作文
担当者名:永井智香子
目標
初級文型、中級前半に学ぶ文型を使って、与えられた身近なテーマについ
て構成を考え、できるだけ正確な文章を書くことができることを目標とする。
授業の方法
テキストは『日本語作文Ⅰ』(専門研究出版)を参考にして作成した自作の
ものをプリント教材として使用した。作文を書くためのトピックは「自己紹
介」「私の趣味」「私のふるさと」「友情について」「日本に来てびっくりした
こと」「旅」「葉書や手紙を書こう」「私の国のまつり」「私の国の教育事情」
「環境問題について」「専門について」の11であった。それぞれのトピックに
ついて書くための教材は関連語彙、例文、文型、作文例などにより構成され
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:21名(NISP2名、日中韓生8名、NUJALP3名 一般8名)
使 用 教 材:自作プリント教材
2011年度後期 授業記録
─ 118 ─
ている。
1コマで1つのトピックをとりあげ、授業を基本的にプリント教材に沿っ
て進めた。テストは文型と文法を中心に小テストを2回実施した。宿題とし
て授業中に書いた文型練習とトピックについての作文を提出させた。
結果と課題
学生の出席率、宿題の提出率ともによかった。単位認定に関係がない学生
も真面目に授業に取り組んだ。授業が進むにつれて、学生の書く作文のミス
が減り、より長い複文を正確に書けるようになるように、プリント教材に工
夫を加える必要がある。
2011年度後期 一般プログラム 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ会話
担当者名:松本久美子
目標
中級に必要な語彙・表現を増やしながら、初級文型を組み合わせ、様々な
場面・状況に即した談話レベルの発話ができるようになる。
授業の方法
テキストに学習項目として挙げられている文型や表現の練習は最小限にと
どめ、課の場面で必要とされる「談話型」の理解と基本練習、応用練習に時
間を使った。応用練習は基本的にペアワークののち、発表させる形を取った。
基本的に1.5コマで1課を終えた。メインテキストでは主として研究室での指
導教員との会話場面を設定して行った。補助教材では大学院生同士の会話が
理解できるように日常会話に現れる音の変化(縮約形等)を取り上げた。
結果と課題
受講生に単位を必要とする学生がおらず、全員大学院生(もしくは研究生)
であった。大学院生が多数を占める授業では、予習や復習を前提としたコー
ス運営は難しいので、授業中に課題が完結し、一定の達成感が得られるよう
工夫した。実験や実習等でクラスを欠席しても、授業について行けるように
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:16名
使 用 教 材:『日本語でビジネス会話―中級編―』(日米会話学院)
補助教材『なめらか日本語会話』(アルク)から抜粋
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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クラス外で行わなければならないタスクは与えず、評価も主に授業中の談話
発表で評価した。しかし、理系の大学院生が主のクラスであっても、学習者
の力を伸ばすためにはある程度の課題を与えることも必要であろう。学習者
の過度の負担にならないよう考慮しながら、課題とテストをコースにどう導
入するかが課題である。
2011年度後期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP)・留学生センター
交換留学プログラム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅰ漢字
担当者名:溝部エリ子
目標
初級で習得した漢字とともに中級レベルの新出漢字の形と基本的意味を正
確に理解し、漢字語彙レベルでの読み書きができ、文や文章の中で理解でき
るようになる。
授業の方法
新出漢字を単漢字として字形・字義を提示、読み方、書き方を学びながら
類似するステムの中でグループ化し、識別能力を養っていった。また、一方
で音韻媒介ルートを活性化することで語彙アクセスへの処理能力を高めるた
めのスパイラルな練習を行なった。それぞれのカテゴリーの中では新出漢字
を体系化、精緻化し、様々なタスクを行うことで意味的な知識の構築を図り
ながら、漢字語彙として産出する上で迅速に処理、運用できる漢字プロフィ
シェンシー能力の育成に努めた。
結果と課題
漢字圏、非漢字圏の学習者が半々ではあったが、習熟度レベルでは差はな
かったが、それぞれの既習学習過程での問題点がいくつか認められた。過去
の課題から、入口での修正、統一した学習プロセスを図ることで、正確な字
形、字義認識、音韻産出の確立の重要性が学習者の中で認知されたことは大
きな成果であった。視覚的要素からの識別能力が確固なものとなり、ステム
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:22名(NISP7名、NUJALP7名、他8名)
使 用 教 材:『KANJI LOOK AND LEAN イメージで覚える元気な漢字512』
(The Japan Times)
2011年度後期 授業記録
─ 120 ─
が反映、応用される漢字へのリンクが容易となったことで漢字語彙の獲得数
もさらに安定し、増えていったように思う。学習者の習得意欲も高く、それ
ぞれが真摯にタスクを達成し、最終到達度テストではほぼ全員が十分、安定
した中級レベルの域に達することができたことは、それぞれの努力を大きく
評価するとともに今後の熟達への期待をもたらすものである。
2011年度後期 一般プログラム・留学生センター交換留学生日本語プログラ
ム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅱ読解
担当者名:高野泰邦・溝部エリ子
目標
現代日本社会の様々な側面を取り扱った文章を素材とし、学習者に中級後
半の4技能(読む力を中心に、聴く力、話す力、書く力)をバランス良く身
につけさせることを目標とした。
授業の方法
本コースは週2コマの授業で、『中級を学ぼう』中級中期(スリーエーネッ
トワーク)を教科書として使用し、2名の教員が授業を担当した。教科書は
計10課から成り、奇数の課(1課、3課、5課、7課、9課)と偶数の課(2
課、4課、6課、8課、10課)にそれぞれ授業担当者を振り分け、上掲の目
標の達成に向けて授業を展開した。授業の進行速度は、3週間に1課進むよ
うに計画した。各課の授業内容については、新出語句の学習、本文の読解活
動、文型の練習と習得、文型を応用した作文活動、作文の発表、討論などで
構成した。ただし、2人の教員の授業の進め方については、その教員の裁量
に委ねることで授業に臨んだ。
結果と課題
取り扱かわれるテーマは普遍的なものが多いので、学習の対象としては申
し分ないと思われるが、テーマによっては新出語彙が多く含まれているもの
もあり、内容をしっかりと理解させるまでに時間が取られたものも含まれて
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:15名(NUJALP3名、NISP1名、日中韓プログラム生1名、
一般10名)
使 用 教 材:『中級を学ぼう』中級中期(スリーエーネットワーク)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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いる。このような部分を学習者にいかに効率よく提示し、理解を深めさせる
かが今後の課題となろう。また、教科書には聴解のためのCDが付録として
ついているのだが、学習者はどうもあまり聴いていないのが実態のようだ。
今後、CDを聴くように指導し、聴解力の養成も強化したいと考える。
2011年度後期 一般プログラム・留学生センター交換留学生プログラム
(NUJALP)・短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅱ聴解
担当者名:小谷裕子
目標
① 「聞く」だけではなく、「読む・書く・話す」の総合的な日本語能力を
高め、上級に進む力を養う。
② ニュース特有の表現や語彙、スピードに慣れる。
③ 日本の社会問題や伝統文化等について理解を深める。
授業の方法
a)長文聴解
① 取り上げるトピックについてキーワードの確認、漢字の確認
② テープ聴解(視覚情報無し・問題を見ながら・ディクテーション)
③ 内容、表現の確認、表現の応用練習
b) ニュース教材聴解
新聞の見出しを使い教材の内容を導入後、ニュースの聴解、内容確認
*応用:ビデオでa・bに関連した社会問題等を紹介
結果と課題
日本文化や偉人紹介等を中心とした長文聴解の方がニュース教材より「新
しいことを学べている」という気になるためか、皆興味を持って取り組んで
いた。関連した内容の生教材も好評であった。しかし、学生達にはむしろニュー
スを積極的に聞いて欲しい。昨今の留学生はほとんどテレビニュースを見な
いので、上級に進むために必要な語彙力が不足している。長いニュース文の
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:20名(一般12名、NUJALP7名、NISP1名)
使 用 教 材:『毎日の聞きとり plus 40 ㊦』(凡人社)、『ニュースで学ぶ日本
語パートⅡ』(凡人社)、自作教材等
2011年度後期 授業記録
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中の情報を正確に聞き取れる力の養成が課題である。
2011年度後期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP)・留学生センター
交換留学生日本語プログラム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅱ作文
担当者名:夛田美有紀
目標
自分の意見を日本語で表現できるようになる。レポートなどを書くときに
使われる「書き言葉」を理解し、書き言葉で文章が書けるようになる。レポー
トなどを書くときに使われる「書き言葉」で文章が書けるようになる。文の
構成を考えて正確な文章が書けるようになる。内容のある読みやすい文章が
書けるようになる。
授業の方法
先学期までこの授業を担当していた教員の作った作文教材をそのまま使わ
せてもらい、1コマ1課のペースで進めた。各課とも作文に必要な文型や構
成の説明と練習を行い、習った項目を使った作文を宿題として課した。宿題
は翌週提出してもらい、翌々週に返却した。その際、クラス全体にフィード
バックしたほうがよいと思われた項目については説明を行った。コースの半
ばで中間試験を、コースの最後には期末試験を行った。
結果と課題
文法が理解できたつもりでも、作文を書くとなるとその文型がうまく使え
ていない、という学生が数名いた。彼らは漢字を書くのにも苦労しており、
自分が言いたいことを表現する語彙が十分でないと思われた。授業では短文
作成をして、使い方について説明するだけであったため、翌週作文を回収し
て作文として使うための説明も必要であったと思うことが何度かあった。フィー
ドバックは行ったが、その文型を使った作文はその課でしかなかったため、
もう少し先を見た提示方法がよかったと思った。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:9名(NISP1名、NUJALP5名、一般3名)
使 用 教 材:プリント教材
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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2011年度後期 一般プログラム・留学生センター交換留学生プログラム(NUJALP)
授業記録
科 目 名:中級Ⅱ会話
担当者名:松本久美子
目標
日本の社会慣習を理解し、状況に即した待遇表現を用いて日本語話者と円
滑なコミュニケーションができるようになる。
授業の方法
教科書善12ユニットの中から8ユニットを選び、基本的に1ユニットを1.5
コマで終了した。各ユニットで学習する機能(謝罪等)に着目させ、基本練
習および応用練習を行った。また、コース中に3回、ユニットに関連したテー
マで課題として日本人に対するインタビュー等を行わせ、レポートを提出さ
せるとともに発表を実施した。
結果と課題
今期は大学院入試を控えた研究生と実験の発表等の準備で忙しい大学院生
が12月から徐々にクラスを休み始め、1月に入るとかなりの学生が欠席する
ようになった。単位認定を必要とする学生も3人いたため、待遇表現を用い
た会話能力を伸ばすべく、クラス外でのタスクを課し、それを発表する時間
を設けたが、研究生・大学院生には負担だったようである。このような異な
るニーズを持つ学生が混在するクラスの運営をどうするかが課題である。
2011年度後期 一般プログラム・短期留学プログラム(NISP)・留学生センター
交換留学生日本語プログラム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:中級Ⅱ漢字
担当者名:夛田美有紀
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:9名(NISP4名、NUJALP1名、一般3名)
使 用 教 材:『Intermediate Kanji Book vol.1』(凡人社)
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:10名(NUJALP3名、一般7名)
使 用 教 材:『待遇表現 Formal Expressions for Japanese Interaction』(The
Japan Times)
2011年度後期 授業記録
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目標
初級で習った漢字の復習をするとともに中級の漢字を学習する。漢字の読
み方や成り立ち、語構成についても学ぶことで漢字に対する理解を深め、中
級に必要な漢字語彙を増やす。
授業の方法
1コマ1課のペースで進めた。各課とも「復習」でその課で習う内容のウォー
ミングアップを行った後、「要点」で学習項目について説明し、それを踏まえ
て新出漢字の読み方を確認した。その後、「基本問題」や「応用問題」で学習
項目のより深い理解と定着を図った。さらに、各課の復習クイズを宿題とし
て課した。コースの半ばで中間試験を、コースの最後には期末試験を行った。
結果と課題
非漢字圏の学生も漢字がよくでき、かなりの数の問題をこなせたと思う。
新出漢字を使った読みの確認練習で、初級で習っているはずの漢字と組み合
わせた語彙を提示したのであるが、ほとんど読めていた。
授業に余裕があったため、コラムで扱われている項目も取り上げたが、そ
れもよく定着しており、漢字の連濁や送り仮名がなくても訓読みにするなど
といったこともよく理解できていた。
ただ、こういうクラスであったため、中級Ⅰの漢字をやっと終え、使いこ
なすまでには至っていない学生にはつらかったようで、途中で来なくなって
しまったのが心残りである。
2011年度後期 全学教育プログラム・留学生センター交換留学プログラム
(NUJALP)・留学生センター上級日本語・日本文化コース(AJLC)一般プロ
グラム 授業記録
科 目 名:日本語Ⅳ(上級Ⅰ読解)
担当者名:夛田美有紀
目標
今後の大学での勉強の基礎となる読解能力と文章表現能力の向上を目的と
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:17名(学部留学生5名、NUJALP5名、AJLC4名、学部交換留
学生1名、一般2名)
使 用 教 材:『学ぼう!にほんご上級』(専門教育出版)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 125 ─
する。上級レベルの文法を理解して使えるようになる。本文の内容を理解す
るだけでなく、それに対して自分の意見が持てるようになる。本文の内容を
踏まえて自分の意見をまとめて書けるようになる。
授業の方法
一日に2コマ、1校時と3校時にある授業であったため、一日1課進むと
いうペースで授業を行った。
具体的には、1校時に本文読解、2校時に本文読解の続きと文型の学習を
行った。翌週の1コマ目に前の週に学習した文型のクイズを行った。宿題と
して、一週間で体験した出来事について筆者に伝える作文を書かせた。この
作文は単に事実の列挙ではなく、その出来事に接して自分がどう思ったのか
を伝えるためにどんな情報が必要なのかを考えることを目標にした。
期末試験では1校時に文法、2校時コマ目に本文を使った読解を行った。
結果と課題
学部留学生よりそれ以外の学生が圧倒的に多かった。彼らは学部3年生が
多く、日本語力も高く、積極的であった。学部留学生はクイズを行う1校時
に遅刻や欠席をしていたため、授業後に呼び出し、警告をして、翌週からク
イズをきちんと受けるようになった。
また、宿題として課した作文は、一年しか日本にいない学生にとっては毎
日が新たな発見であるが、滞日暦が長い学部留学生にとっては題材を見つけ
るのが難しかったようである。課題の与え方については吟味する必要がある
と思われるが、この課題で自分の考えを日本語で表現する練習ができたので
はないかと思う。
2011年度後期 一般プログラム 留学生センター上級日本語・日本文化コース
(AJLC)留学生センター交換留学生日本語プログラム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:上級Ⅰ聴解
担当者名:永井智香子
目標
テレビのドキュメンタリー番組等を10分程度に編集したものを視聴するこ
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:8名(AJLC4名、NUJALP1名、日中韓1名、一般2名)
使 用 教 材:プリント教材
2011年度後期 授業記録
─ 126 ─
とを通じて、日本語の運用能力を高める。
授業の方法
基本的に授業は以下のようにすすめた。
1.小テストの実施(3分)
2.その日に見るビデオに関連したことについて話し合う。
3.プリント教材にある語彙や文法事項の確認
4.プリントに書いてあるビデオの内容についての質問事項を確認する。
5.1回目のビデオ視聴
6.ビデオの内容についての質問事項に答える。
7.ビデオの内容についての質問の答えを書かせる。
8.スクリプトの穴埋め問題をしながら2回目のビデオ視聴
9.穴埋め問題の答え合わせ
結果と課題
テレビの番組を教材として使っているが、どのような番組を使うのがよい
のかまた、その教材を使ってどのようなクラス活動をするのがよいのか試行
錯誤を重ねている。今期は毎回小テストを実施したり、穴埋め問題をしたり
した。やはり、一般プログラムで毎回小テストをするのは無理があるようで
ある。また、穴埋め問題も授業の最後のほうに実施するので、説明不足とな
ることも多かった。ビデオを使用しての日本語授業はまだまだ試行錯誤が続
きそうである。
2011年度後期 一般プログラム・留学生センター交換留学生プログラム
(NUJALP)・上級日本語日本文化コース(AJLC) 授業記録
科 目 名:上級Ⅰ会話
担当者名:松本久美子
目標
日本語中級話者が、話すべき内容とその構成を意識しながら語彙・表現を
豊かにし、上級レベルの会話能力を身につけられるようにする。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:13名(NUJALP5名、AJLC4名、一般4名)
使 用 教 材:『日本語上級話者への道』(スリーエーネットワーク)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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授業の方法
基本的にテキストに沿って行い、基本的に1回の授業で1課を終えた。具
体的には、テキストの設問に答えながら、必要な語彙を獲得し、自分が話す
内容を吟味し、内容のドラフトを作り、話すという方法を取った。ペアワー
ク、グループワークを多用した。これに加え、今期はテキストの課のテーマ
に関連したプレゼンテーションを3回、パワーポイントなどを使用して行っ
た。プレゼンテーションのテーマは以下のとおりである。①自分の街の様子、
②好きなものをアピールする、③将来の夢
結果と課題
後半、大学院生に欠席が見られるようになったが、出席していた学生は全
員課題にもまじめに取り組んだ。新しい語彙、表現の使用にも意欲的であっ
たが、コース終了後もそれらが使用語彙として定着するかどうかはわからな
い。上級話者らしい語彙の選択ができるような指導方法を加えることが今後
の課題である。
2011年度後期 留学生センター上級日本語・日本文化コース(AJLC) 授業
記録
科 目 名:日本の伝統文化
担当者名:○永井智香子・鈴木光子・寺師照美・西村洋子・乗元貴美子
目標
留学生が日本の伝統文化に触れ、実際に体験する。
授業の方法
授業は不定期で、実施したのは日本舞踊、華道、茶道、着物である。それ
ぞれの専門の講師による日本語での説明と模範演技等の後、留学生たちが実
際に体験してみるという流れで授業が行われた。
結果と課題
福州大学の学生は国では日本語、日本文化を専攻しているので、日本の伝
統文化について多少の知識を持っている。しかし、中国で実際に日本の伝統
文化を体験してみたことは少なかったということである。4名の講師の話に
授業コマ数:全4コマ(不定期)
受 講 者 数:4名(AJLC4名)
使 用 教 材:各講師が必要に応じてプリント教材を使用
2011年度後期 授業記録
─ 128 ─
よると非常に興味を持って熱心に取り組んだようである。
2011年度後期 留学生センター交換留学生プログラム(NUJALP) 授業記録
科 目 名:日本の伝統文化
担当者名:○永井智香子・鈴木光子・寺師照美・西村洋子・乗元貴美子
目標
ライデン大学の留学生が日本の伝統文化に触れ、実際に体験する。
授業の方法
授業は不定期で、実施したのは日本舞踊、華道、茶道、着物である。それ
ぞれの専門の講師による日本語での説明と模範演技等の後、留学生たちが実
際に体験してみるという流れで授業が行われた。
結果と課題
ライデン大学の学生は国では日本語、日本文化を専攻しているので、日本
の伝統文化について多少の知識を持っている。しかし、オランダで実際に日
本の伝統文化を体験してみたことは少なかったということである。講師の話
によると質問も多く、非常に熱心に取り組んだということである。
2011年度後期 留学生センター交換留学生日本語プログラム(NUJALP)
授業記録
科 目 名:日本の文化・社会・言語Ⅰ
担当者名:高野泰邦
目標
日本の文化・社会・言語の中から選んだテーマ(13)について、学習者自
身が各テーマについて考え、それを作文にまとめたものを発表する活動をす
ることにより、日本語でまとまった考えを構成する力とそれをスピーチする
力を向上させることを主な目標とした。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:8名(NUJALP8名)
使 用 教 材:なし
授業コマ数:全4コマ(不定期)
受 講 者 数:8名(NUJALP8名)
使 用 教 材:各講師が必要に応じてプリント教材を使用
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 129 ─
授業の方法
13のテーマをシラバスに明記し、それらのテーマについて指定された日ま
でにスピーチの原稿を準備させ宿題として提出させた。その原稿を添削して、
スピーチの準備に間に合うように返却した。学習者は添削された原稿を修正
した上で、その原稿に基づいてスピーチをした。各学習者は、最初の7週間
は3分程度の、その後の8週間は4分程度のスピーチをするとともに、質疑
応答の時間を設けて、聴く態度と質問する態度の育成を図った。
結果と課題
毎週スピーチをすることにより、日本語で文章を構成する能力と書かれた
日本語をクラスで発表する能力が徐々にではあるが向上していったようだ。
今学期は、ある事情により8名の受講生(定数は10名)がスピーチをするこ
ととなったため、毎週ほぼ8名全員がスピーチをする時間を確保できた。さ
らに、各スピーチが終了してから質疑応答をすることや話し合う時間が持て
たことがスピーチをすることの意義や動機付けを増幅させたと思われる。
2011年度後期 留学生センター上級日本語・日本文化コース(AJLC) 授業
記録
科 目 名:日本研究Ⅰ:人間と文化
担当者名:松本久美子
目標
二音の現代の生活文化に関する資料を読み、日本社会に関する理解を深め
ると同時に、客観的な視点を持ちながら積極的に日本社会にアプローチして
いく姿勢を持てるようにする。
授業の方法
基本的に『留学生のための日本事情入門』の中から8つのテーマを選び、
本文理解と内容に関する質疑、自国との比較を行った。テーマに関連する附
属資料を適宜配布し、より広い視点からテーマについて考えられるようにし
た。また、テーマに関連して日本人学生に対するインタビュー調査を行わせ、
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:4名(AJLC4名)
使 用 教 材:『留学生のための日本事情入門』(文理閣)、ハンドアウト、ビ
デオ等
2011年度後期 授業記録
─ 130 ─
結果をレポートにまとめて発表するという作業を行った。
結果と課題
今期は東日本大地震の影響もあってか、8名の枠に4名しか応募がなく、
少人数でのクラスとなった。しかし、前年度と同様に4名の中でも特に聴解
力と会話力にかなりの差が見られた。前年度まではコース最後に質問紙調査
の結果をまとめ発表させるという形をとっていたが、今回はもう少し平易な
課題で、コース全体で4回のインタビュー調査と発表を実施した。今回の形
態の方が学生のレベルに合わせ、力を伸ばすことができると考える。
2011年度後期 留学生センター上級日本語・日本文化コース(AJLC) 授業
記録
科 目 名:日本研究Ⅰ言語と社会
担当者名:高野泰邦
目標
大学生活に必要な日本語の表現法を効率的に学び、その表現技術を実際に
応用できる能力を身につけさせる。なお、到達目標は以下の5項目を立てた。
到達目標:① 要領を得た聴き方ができる。② 場面に応じて適切に話すこと
ができる。③ 論理的に考えることができる。④ 順序立てて調べ
ることができる。⑤ 効果的に書くことができる。
授業の方法
第1回目の授業で授業目標と到達目標、毎回の具体的な授業内容、成績の
評価方法などについて行き届いた説明をし、学生の学習に対する意識を高め
るためのオリエンテーションをした。続く14回の授業では、日本の大学生に
必要な日本語の表現のし方(14のテーマ)について教科書の読解を中心に理
解を深め、トレーニング用の冊子を活用することにより学習した内容の要点
などを整理しながら授業を進めた。テーマ毎のトレーニングでは、論理的思
考のポイントを押さえたり、それを応用して書いたり、書いたものを発表し
合ったり、あるいは残った部分を宿題として課したりして、達成目標が把握
できるような授業展開にした。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:4名(AJLC4名)
使 用 教 材:『大学生のための日本語表現トレーニング』(三省堂)
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 131 ─
結果と課題
受講生は4名だったので、なるべく各受講生に参加型の授業を試みた。授
業内にできなかった部分は宿題として課し、日本語の表現の添削をして返却
した。各テーマの重要なポイントは把握できたようであったが、細かい日本
語の表現のし方については必ずしも十分ではない場合も観察された。
2011年度後期 短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:日本語学入門
担当者名:高野泰邦
目標
学習者が日常会話におけるスムースなコミュニケーションを取り交わせる
ようにするために日本語の基本構造を構成する語彙、句、文型等を体系的に
習得することが本コースの狙いである。特に、日本語の述語(動詞、形容詞、
形容動詞)の体系的な習得と述語で構成される句、文型の基本的知識を習得
することが目標である。
授業の方法
日本語の述語(動詞・形容詞・形容動詞)の成り立ち(辞書形、語幹・語
基、非過去形・過去形、肯定形・否定形、非形式形・形式形、丁寧形、尊敬
語・謙譲語、他動詞・自動詞、て形、たり形、たら形、ば形、可能形、受身
形、使役形など)について学期をとおして一通り講義をし、特に重要なポイ
ントを演習することにより、これらの基本的な語彙、句、文型等についての
学習者による知識の習得が効率的に行えるように授業を展開した。クイズ(7
回)と期末試験を実施することにより、より確かな知識の習得の強化を図っ
た。
結果と課題
学期が始まる時点での受講生の日本語能力については、レベル1(初級前
半)の学生6名、レベル2(初級後半)の学生3名、レベル3(中級前半)
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:16名(NISP16名)
使 用 教 材:『A Dichotomous Approach to Basic Japanese Grammar:
The Predicates and Some Other Aspects』(Seizansha Publishing
Company)
2011年度後期 授業記録
─ 132 ─
の学生2名、レベル4(中級後半)の学生1名、レベル5(上級)の学生4
名であった。全般にわたり、受講生は本コースの目標達成にかなり近づけた
ようであるが、特に初級レベルの受講生の一部には基本となる知識(語彙、
句、文型)の習得がチャレンジングであったようであり、上級レベルの一部
の学生にはチャレンジングな部分が少なかったようである。
2011年度後期 短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:日本語1
担当者名:○松本久美子、小谷裕子、坂本英子
目標
日本語の学習が全く初めての学習者を対象に、日本での日常生活に必要な
基礎的な日本語運用能力を養成すること。
授業の方法
『みんなの日本語初級Ⅰ』に沿って授業を行い、平均2コマで1課を終えた。
基本文型の導入と練習・会話練習以外に、リーディングと作文の時間を設け、
コース期間中に4回実施するとともに、作文を使ったプレゼンテーションを
3回行った。コース最終日にパワーポイントを用いたプレゼンテーションを
実施した。
筆記テスト:全4回(小テスト3回、期末テスト(1課から25課))
結果と課題
全員まじめに取り組み、欠席や遅刻もほとんどなかった。学習した日本語
を積極的に使おうという姿勢が見られ、授業評価では全員が学習目標を達成
したと回答している。来年度からは初級Ⅰの中で漢字を導入しなければなら
なくなるので、口頭練習等、いかに効率よく行っていくかが課題である。
2011年度後期 短期留学プログラム(NISP) 授業記録
科 目 名:日本語2
担当者名:◯高野泰邦、浜田悦子、小谷裕子
授業コマ数:週5コマ
受 講 者 数:9名
使 用 教 材:『みんなの日本語初級Ⅰ』(スリーエーネットワーク)等
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
─ 133 ─
目標
初級後半レベルの文型・文字・語彙を習得するとともに、日常生活に必要
となる総合的な日本語能力(聞く力、話す力、読む力、書く力)を習得する
ことを目標とした。
授業の方法
週5コマのうち、4コマで新しい文型・語彙(『みんなの日本語初級Ⅱ』の
各課を2コマ)を学習し、残りの1コマで当該週に学んだ文型・語彙を総合
的に(『みんなの日本語初級Ⅱ:初級で読めるトピック25』)学習した。学期
中4回の小テストと最後に期末試験を実施した。なお、『みんなの日本語初級
Ⅱ:標準問題集』を宿題として課し、各課の学習事項の確認、整理、定着を
図った。
結果と課題
学期初めの2週間は4名の学生でスタートしたが、2週遅れで学生が一人
加わった。2週遅れで始めた学生は最初の2、3週間は授業の流れに乗るこ
とに少々戸惑いがちだったが、その後他の4名の学生と歩調を合わせて授業
に参加できるようになった。結果的に、5名全員、最後までまじめに取り組
んで学期を終了した。
2011年度後期 全学教育プログラム・一般プログラム・短期留学プログラム
(NISP)・留学生センター上級日本語・日本文化コース(AJLC) 授業記録
科 目 名:日本語Ⅲ
担当者名:高野泰邦
目標
日本社会、あるいは、日本人に関する様々な文章を素材に、大学生活に必
要な日本語の総合的な技能(読む力に力点をおきつつ、考える力、調べる力、
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:25名(学部学生8名、AJLC4名、学部交換留学生7名、NISP
5名、大学院生1名)
使 用 教 材:『日本の論点2007・2010』から抜粋した文章(Handouts)
授業コマ数:週5コマ
受 講 者 数:5名
使 用 教 材:『みんなの日本語初級Ⅱ』(スリーエーネットワーク)等
2011年度後期 授業記録
─ 134 ─
書く力、話す[発表する]力)を身につけさせることを目標とした。
授業の方法
学習目標が具体的に理解できるように以下のような方法で各授業を展開し
た。①テーマについて背景となる情報を提供した。②難解語句、新出語句や
漢字などをわかりやすく説明した。③各学生に本文を適当な長さに区切って
音読させた。④必要があると判断した場合は質問等をして理解しているかど
うか確認をした。⑤読解テーマについて各受講生に感想を述べさせた。
なお、発表のための準備として、各自にテーマを決めさせ作文を書かせる、
数回にわたり作文の添削をする、その上で発表の準備をする等の活動を経て、
発表させた。
結果と課題
全体的に、本授業が目指す目標にはかなり近づけたように思われるが、受
講生が25名だったので、読後の感想を述べさせることにかなり多くの時間が
割かれたことに加え、発表の練習および発表当日において各受講生に行き届
いた指導をする時間的な余裕が確保できなかったことなどが特に今後の課題
として残された。
2011年度後期 全学教育プログラム・短期留学プログラム 授業記録
科 目 名:日本語Ⅲ(火曜クラス)
担当者名:永井智香子
目標
テレビのドキュメンタリー番組等を10分程度に編集したものを教材として
使用することを通じて日本語の運用能力の向上を目指す。
授業の方法
主に教材として使用した番組はNHKの「らいじんぐ産」「プロジェクトX」
であった。授業は火曜の1校時目と3校時目であった。「らいじんぐ産」や「プ
ロジェクトX」の前半を10分程度に編集したものを1校時目に、後半を10分
程度に編集したものを3校時目に視聴した。毎回の1校時目と3校時目の授
業の進め方は以下のようであった。
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:24名(学部正規生11名、NISP4名、学部交換留学生9名)
使 用 教 材:プリント教材
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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1.小テスト(1校時目のみ)
2.その日に見るビデオの内容に関連したことについて話し合う
3.プリント教材を使ってビデオに出てくる語彙や文法事項の確認
4.ビデオの内容についての質問の確認
5.ビデオの内容についての質問に答える
6.ビデオの内容についての質問を要約して書いて提出させる
7.2回目のビデオ視聴をしながらスクリプトを配布し穴埋め問題をする
結果と課題
今回、多くのビデオ教材を新しくした。新しくする作業に追われ、授業の
準備が十分にできなかったことが最大の反省点である。結果としては全体的
に学生の反応が鈍かった。クラス活動がより活発になるべく工夫を加える必
要がある。
2011年度後期 全学教育プログラム・短期留学プログラム・留学生センター
上級日本語・日本文化コース(AJLC) 授業記録
科 目 名:日本語Ⅲ(金曜クラス)
担当者名:永井智香子
目標
テレビのドキュメンタリー番組等を10分程度に編集したものを教材として
使用することを通じて日本語の運用能力の向上を目指す。
授業の方法
主に教材として使用した番組はNHKの「らいじんぐ産」「プロジェクトX」
であった。授業は火曜の1校時目と3校時目であった。「らいじんぐ産」や「プ
ロジェクトX」の前半を10分程度に編集したものを1校時目に、後半を10分
程度に編集したものを3校時目に視聴した。毎回の1校時目と3校時目の授
業の進め方は以下のようであった。
1.小テスト(1校時目のみ)
2.その日に見るビデオの内容に関連したことについて話し合う
3.プリント教材を使ってビデオに出てくる語彙や文法事項の確認
授業コマ数:週2コマ
受 講 者 数:23名(学部正規生9名、AJLC4名、学部交換留学生10名)
使 用 教 材:プリント教材
2011年度後期 授業記録
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4.ビデオの内容についての質問の確認
5.ビデオの内容についての質問に答える
6.ビデオの内容についての質問を要約して書いて提出させる
7.2回目のビデオの視聴をしながら スクリプトを配布し穴埋め問題をする
結果と課題
基本的に日本語Ⅲ火曜クラスと同じ授業内容であった。今回、多くのビデ
オ教材を新しくし、授業の準備が十分にできなかったことが最大の反省点で
あることは火曜クラスと変わりがない。しかし、火曜クラスでの反省点を多
少とも金曜クラスに反映させることができた。その結果、火曜クラスに比べ、
やや学生の反応がよかった。
2011年度後期 全学教育プログラム 授業記録
科 目 名:日本事情
担当者名:○松本久美子・多田美有紀・永井智香子・高野泰邦・松村真樹
目標
現代日本謝意の様々な側面に着いて学ぶことにより、留学生活に必要な日
本事情に関する知識を深め、日本社会についてよりよく理解できるようにす
る。
授業の方法
留学生センターの教員がそれぞれの専門の立場から日本事情に関する講義
をオムニバス形式で行った。受講生に対して担当者毎に講義内容に関するレ
ポートを課し、評価を行った。
結果と課題
日本事情は本来的には正規学部留学生のために全学科目として開講されて
いる科目であるが、学部交換留学生が年々増加しており、今期は学部交換留
学生の数が正規学部留学生のそれを上回った。講義科目であるから、人数が
増えること自体にはあまり問題がないとも言えるが、今後も学部交換留学生
が増加するようであれば、そのニーズに違いから、多少の問題が生じるかも
しれない。
授業コマ数:週1コマ
受 講 者 数:37名(正規学部留学生17名、学部交換留学生20名)
使 用 教 材:ハンドアウト等
長崎大学留学生センター紀要 第20号 2012年
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