nhk カルチャー講義(第1回)
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自己紹介❖ 佐々木 貴教(ささき たかのり)
❖ 京都大学 大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻宇宙物理学教室 助教
❖ 2008年3月に東京大学で学位を取得
❖ 専門は “惑星の形成と進化” の理論研究 惑星系はどのようにして作られるのか 惑星系はどのように進化していくのか 我々は何処から来て何処へ行くのか? 生命を宿す “第二の地球” は存在するか?
(c) NASA
講座の内容
✤ 現在の太陽系の姿 8つの惑星とその衛星、そして無数の小天体たち
✤ 太陽系形成論のレビュー 標準理論(京都モデル)の概要とその拡張の歴史
✤ 系外惑星の発見、そして汎惑星形成理論へ 多様な惑星系の作り方;第二の地球は存在するか?
講座の内容
✤ 現在の太陽系の姿 8つの惑星とその衛星、そして無数の小天体たち
✤ 太陽系形成論のレビュー 標準理論(京都モデル)の概要とその拡張の歴史
✤ 系外惑星の発見、そして汎惑星形成理論へ 多様な惑星系の作り方;第二の地球は存在するか?
水星・太陽系で最も小さな惑星 ・太陽からの距離:0.38AU ・半径:2440km(地球の0.38倍) ・質量:3.3×1023kg(地球の0.055倍) ・温度:-183℃(夜)~427℃(昼) ・月に似たクレーターに覆われた地形 ・巨大な金属核を持っている ・磁場を持っている(成因は未だ不明)
金星・太陽からの距離:0.723AU ・半径:6052km(地球の0.95倍) ・質量:4.9×1024kg(地球の0.815倍) ・温度と気圧:460℃, 90気圧 ・大気成分:二酸化炭素96.5%, 窒素3.5% → 強烈な温室効果が働いている ・スーパーローテーションという強い風 ・自転の向きが他の惑星とは逆回転
地球
・太陽からの距離:1億4960万km(1AU) ・半径と質量:6378km, 6.0×1024kg ・大気成分:窒素78%, 酸素21% ・太陽系で唯一プレートテクトニクスが存在 ・磁場を持っている(→オーロラが存在)・太陽系で唯一地表面に液体の水を持つ ・太陽系で(おそらく)唯一生命が存在
地球の内部構造
内核(固体)
外核(液体)
下部マントル上部マントル地殻地表
Fe + Ni の合金}
}かんらん岩, 輝石
}玄武岩, 花崗岩
地表:複数のプレートが存在 (c) Wikipedia
(c) Wikipedia
月・人類が降り立った唯一の地球外天体 ・地球からの距離:38万4400km ・半径:1737km(地球の0.27倍) ・質量:7.3×1022kg(地球の0.012倍) ・地球に常に同じ面を向けている ・表面は無数のクレーターに覆われている
表 裏 (c) Wikipedia (c) Takayuki Yoshida
火星・太陽からの距離:1.52AU ・半径:3394km(地球の0.53倍) ・質量:6.4×1023kg(地球の0.11倍) ・温度と気圧:-63℃, 0.006気圧 ・大気成分:二酸化炭素95%, 窒素3% ・水と二酸化炭素の氷から成る極冠 ・南北半球で大きく異なる地形の特徴 ・過去に水が流れたと思われる地形がある
火星には原始生命が存在した?
生物の痕跡!?
1996年8月 火星隕石中の原始生命体の痕跡が 科学雑誌「Science」に掲載される
様々な議論が行われてきたが、未だ結論は出ず
(c) NASA
(c) Wikipedia
冥王星より大きな天体の発見
2005年 冥王星より大きな天体 2003UB313 (エリス) が発見される
2400
第10惑星!?
「惑星の定義」を明確にしよう!
(c) Frank Bertoldi
① ほぼ球形である ② 太陽の周りを回り, かつ恒星でも衛星でもない ③ その軌道周辺で他の天体を一掃している
冥王星, カロン, エリス, ケレスは ③ の条件を満たしていない
準惑星(Dwarf Planet)① ほぼ球形である ② 太陽の周りを回り, かつ恒星, 惑星, 衛星ではない ③ その軌道周辺に他の天体が存在している
新しい「惑星の定義」
8つの惑星と3つの準惑星
惑星
準惑星
水 金 地 火 木 土 天 海
冥王星 エリス ケレス マケマケ(2008年7月)
ハウメア(2008年9月)
=5 (今後も増える可能性あり)
(c) Wikipedia, NASA
木星・太陽系で最も大きな惑星 ・太陽からの距離:5.2AU ・半径:71492km(地球の11.2倍) ・質量:1.9×1027kg(地球の318倍) ・主に水素とヘリウムから成るガス惑星 ・表面に大きな渦(大赤斑)が見られる ・4つの大きな衛星(ガリレオ衛星)を持つ ・強力な磁場を持つ
土星・太陽からの距離:9.6AU ・半径:60268km(地球の9.4倍) ・質量:5.7×1026kg(地球の95倍) ・主に水素とヘリウムから成るガス惑星 ・太陽系で最も密度が小さい惑星 ・明確に見える環(リング)を持つ (※他の巨大惑星も薄い環を持っている) ・巨大な衛星タイタンを持つ
土星の環(リング)
発見されている環(内側から順に)D環, C環, B環, A環, F環, ヤヌス / エピメテウス環, G環, E環, パレネ環
(c) Wikipedia
環は氷と塵の粒子から成る
土星の潮汐力 > 自己重力 のために破壊が卓越する
(c) Wikipedia
土星探査機「カッシーニ」1997年10月 打ち上げ 2004年6月 土星軌道に投入 2004年12月 タイタンにホイヘンス探査機を投入 2017年5月まで探査を続ける予定
土星の6つの衛星・1つの環を新しく発見 土星の環の消失現象を観測 タイタン上での降雨や流水現象を確認
(c) NASA
天王星・海王星
・太陽からの距離:19.2AU ・半径:25559km(地球の4倍) ・質量:8.7×1025kg(地球の14.5倍) ・自転軸が黄道面に対して横倒し
・太陽からの距離:30AU ・半径:24764km(地球の3.9倍) ・質量:1.0×1026kg(地球の17倍) ・表面に大きな渦(大暗斑)が見られた
天 王 星
海 王 星
小惑星
メインベルト小惑星 火星と木星の間に存在 トロヤ群小惑星 木星の軌道上に存在発見された数は 40万個を超える
地球に降ってくる隕石の母天体だと考えられている
(c) Wikipedia
(c) Cornell Univ.
小惑星イトカワと探査機「はやぶさ」2003年5月 打ち上げ 2005年夏~ 小惑星イトカワに到着 表面の観測 表面物質の資料採取 2010年6月 地球に帰還 2010年10月 資料中から微粒子を検出!
小惑星への到着は工学実験探査機としての快挙 小惑星の物質は太陽系の謎を解く鍵を与える!
オールトの雲
長周期彗星(P≧200年)の巣だと考えられている
太陽系を球殻状に取り巻く 仮想的な天体群太陽から1万~10万AUに 1×1012個ほどの天体?
現在は状況証拠のみで 仮説の域を出ない存在
(c) kahaku.go.jp
彗星
ダストテイル (塵の尾)
イオンテイル (イオンの尾)
核:氷と塵が混ざった塊 コマ:核を覆う薄いガス 尾:太陽からの放射圧と 太陽風により形成
太陽系初期の情報を保持(c) Wikipedia
(c) Wikipedia