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NIR装置における グローバル検量線の活用 2018年5月 fossanalytics.com

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Page 1: NIR装置における グローバル検量線の活用 - FOSS analytical ......第1章 FOSSが提供する飼料用ANNグローバルキャリブレ ーションは、飼料測定用NIR装置のために用意され

NIR装置におけるグローバル検量線の活用

2018年5月fossanalytics.com

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飼料製造において近赤外 (NIR) 分光法を導入する場合、原料産地や季節間差、生産者の違いなど天然由来のバリエーションに柔軟に対応できる堅牢な キャリブレーション が必要です。 つまり、独自でこのような堅牢なキャリブレーションを開発するには、必要なサンプルデータセットを集めるために数年もの時間がかかる可能性があります。

一方、既製のキャリブレーションを使えば、はるかに素早く分析作業を進めることができます。場合によっては、設置するだけですぐに使用できます。 原料と飼料タイプに合わせて「バイアス調整」と、

NIR装置におけるグローバル検量線の活用

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既に開発済みのキャリブレーションがあれば、現場では速やかに測定作業を開始することができます場合によっては、装置を設置後ただちに使用開始が可能となります。原料又は飼料の種類にあわせて「バイアス調整」とよぶ微調整を行うこともできます。またこのような校正作業を最新のネットワークソフトウェアを使用してリモートで実施することも可能です。

時間短縮という点で、既製のキャリブレーションは有効的なオプションとなります。しかし、これは本当にこれまでどおり化学分析を行うより有益でしょうか?また既製キャリブレーションを購入したとして、その検証をどのように実施するのか、また実際に装置にインストールしたとし活用することができるのでしょうか?

既製キャリブレーションの本当の価値、および使用するには何が必要かについて詳しく見てみましょう。

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1. ANN検量線とデジタルサービス – 一般的な使用例

2. 現場の事例

3. ISO 規格に準拠した信頼性の高い検証

4. オンライン技術サポートで効果的な飼料キャリブレーションを実現する6つのステップ

目次

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第1章

FOSSが提供する飼料用ANNグローバルキャリブレーションは、飼料測定用NIR装置のために用意された専用キャリブレーションです。 このキャリブレーションは、幅広い飼料および飼料原料に対応しています。 化学分析値をもつ30万検体以上のサンプルデータと参照データとなる5万点以上のパターンデータをベースに、すぐにご活用頂ける膨大なリファレンスデータをご提供できます。

ANN検量線と デジタルサービス

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特長:• サンプリングおよび化学分析は検量線の確認のためだけに必要。

• 原料確保の最適化-飼料原料がもつバリエーションに対して、ANNデータセットが柔軟に対応できるため、原料調達先の切り替え、選択を容易に行えます。

• 業務時間の短縮-1つの検量線で各種サンプルに対応できるため、オペレーターがサンプルにあわせてキャリブレーションを切り替える必要がありません。

必要なANNキャリブレーションを選択後、次のステップとしてはネットワークソフトウェアを使用して装置及びデータに関する定期的なレポートをフォスから受け取ることができます。

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ANN 検量線 • 人工ニューラルネットワーク(ANN)は、基本的に人間の脳の神経構造を基準にしたキャリブレーションモデルです。

• FOSSは1990年代初頭からANN検量線モデルを開発、提供してきました。

• 大量のデータベースを持つキャリブレーションは、あらゆる天候や地域、さらには育種や品種を網羅しています。例えば、FOSS植物副産物キャリブレーションには、6700以上の飼料サンプルが開発に使われています。

• FOSSNIRSDS2500用キャリブレーションは、300.000以上の化学分析値に対して参照される50.000以上のNIR試験に基づいています。

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以降の例は、既製キャリブレーションの価値と 関連サポートについて言及しています。

ANN検量線 とデジタルサービス – 一般的な使用例

第2章

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装置専用アプローチ

飼料会社のラボラトリーマネージャーは、日常業務においてNIR装置が必要だと考えました。つまり、動物(家禽、豚、畜牛、ウサギ)飼料およびその飼料の製造用原料(小麦、ライ小麦、トウモロコシ、大豆ミール、穀物、菜種粕など)の製造に使用される原料成分分析のためです。

マネージャーは新しいNIR装置を喜んで箱から出しましたが、使用する前には、キャリブレーションをインストールする必要があります。

早速キャリブレーション開発作業を始めましたが、すぐにとてつもないがかかるということに気付きました。装置を販売した会社も手助けしようとしますが、飼料アプリケーションや飼料の種類に関する知識が不足していました。結局、マネージャーは様々な説明をしましたが、実際に役立つ支援を得ることはほとんどできませんでした。

特に苦労したのは、キャリブレーション開発にあたって必ず必要となる湿式化学分析でした。脂肪や繊維など、一連の化学分析には時間がかかります。それは、マネージャーがキャリブレーションにデータを追加し続けようとしているためでした。つまり、時間とキャリブレーション更新の戦いになりました。その間も容赦なく日常業務をしなければなりません。

最終的に、マネージャーはその処理を中止し、別のNIRソリューション、つまりネットワーク接続された既製のキャリブレーションに移行することにしました。

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ネットワーク接続された装置と既製のキャリブレーション

新しいソリューションは、植物性飼料原料、配合飼料、ウェットサイレージ(トウモロコシ、ルーサン、牧草)などをテストするためのキャリブレーションによる時間短縮を実現します。既製のキャリブレーションには多少の微調整が必要な場合もありますが、すぐにお使い頂けます。特に、NIRとの比較に使用される平均値と同じ飼料に対して実行する3種類の湿式化学分析を使用して、バイアス調整を行うためのいくつかの試験を行う必要があります。その後、遠隔地にいるアプリケーションスペシャリストからオンラインで協力を受けてバイアスを設定することで、移動費や待ち時間を減らすことができます。

アプリケーションサポートスペシャリストは、その後もオンラインで必要なデータセットにアクセスしてキャリブレーションの検証を支援します。

最後に、バイアス調整と検証が行われたキャリブレーションをネットワーク経由で装置にアップロードします。すべてが完了すると、スペシャリストが現場に出向き、装置の立ち上げをサポートし、アドバイスを与えたり、ユーザーにスポットトレーニングを行います。

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ネットワーク接続で常に更新される信頼性の高いキャリブレーション

アプリケーションサポートスペシャリストは、ネットワークを介して状態を確認し、成分が大きく変動した場合などに必要な調整を行うことができます。例えば、穀物サプライヤーに整合性がない場合は、ベンダーごとにバイアス調整が必要です。このような調整も、ネットワーク接続されたソフトウェアでサポートをうけることができます。装置との同期は数分で完了するため、同期完了後はただちにお使いいただくことができます。

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NIR のメリットを活用

研究室のマネージャーは、NIRに投資するという最初の決断を実行することができます。ラボではキャリブレーションの開発を中止し、製品の基本成分を迅速に測定・管理し飼料製造の効率化を実現しました。成分仕様が規格内に収まっていない場合は出荷しません。

この例は、すべての場合に当てはまりませんが、詳細は飼料産業の実例に基づいています。既製のキャリブレーションで順調なスタートを切り、ネットワーク接続されたサポートによる調整や長期間の性能監視などのメリットを活用したビジネス事例は明らかに存在します。

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第3章

既製のキャリブレーションを使用する前には、そのキャリブレーションで測定する原料飼料及び飼料製品に適していることを確認する必要があります。 当社の技術サポートがお手伝いいたいします。次のセクションをご覧ください。

ISO に従った性能検証

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皆様が扱う飼料サンプルでキャリブレーションを検証する必要があります。

検証の目的:1.測定結果に信頼性を持たせること-独自の検証評価によって、使用する飼料用キャリブレーションの精度を検証する。

2.キャリブレーションの有効性を文書化して測定精度をサプライヤーや顧客に報告する。

ISO 定義の NIR 管理によるベストプラクティス

グローバルイニシアチブの一環として、飼料生産におけるNIRの使用を改善します。ISO専門委員会ISO/TC34、食品、小委員会SC10、動物飼料は、飼料におけるNIRの使い方ガイドラインを作成しました。ガイドラインの初版は2010年に作成され、2017年8月に改訂されています。

このガイドラインでは、飼料用キャリブレーションの検証におけるグローバルベストプラクティスが記されています。ISO12099はキャリブレーションモデルの検証を既定していますか?

キャリブレーションと初期検証:ご使用の前に、キャリブレーションモデルを分析対象の飼料母集団に対する独立した試験セットでローカルに検証する必要があります。バイアス、スロープ、標準誤差(SEP)の判断には少なくとも、20の飼料が必要です。各飼料のタイプ、構造/パラメータ、温度、および測定への影響が分かってい

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る、あるいは影響が期待されるその他の要因に対して検証を実施します。キャリブレーションは、検証に使用される飼料の種類、範囲、温度などのばらつきに対して確認します。

検証では、以下のような違いを網羅する代表的な飼料を十分に準備することが重要です。a)メインとなる原料飼料及びそれ以外の飼料成分を様々なパターンで配合したもの

b)牧草、飼料原料、穀物の季節、地域、遺伝的影響c)サンプル前処理方法、条件d)保管状態e)飼料と装置の温度f) 装置のモデル(例:装置の違い)

ISO規格の要件を見ると、初期検証は非常に手間がかかることが伺えます。実際には何が必要であるか見極めるため、その分野の専門家にアドバイスを求めました。

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第4章

FOSS のアプリケーションスペシャリスト Maciej Socjusz は飼料用NIR装置のアプリケーション開発、サポートに長年携わってきました。 飼料用キャリブレーションの運用を迅速、確実に進めるための6つのステップをここでは紹介いたします。

オンライン技術サポートで 効果的な飼料キャリブレーション を実現する 6つのステップ

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1)測定結果や基準データへのオンラインアクセスを確保することから始める

装置をネットワーク環境(FossConnectなど)に接続できることを確認します。これにより、日常業務に支障をきたさずにに素早く遠隔でサポートを受けることができます。

2)NIR機器を使用する前に検証する

当然と思われることですが、見過ごすと運用開始が遅れる可能性があります。検証に必要なデータセットをすべて見られるようにすることにより、スペシャリストが関連する統計分析を行って、バイアス調整に何が必要か、どのような異常値および誤りがあるかなどが判断できます。

3)タイムリーなアドバイスで良好なスタートを切る

装置設置後ただちにアプリケーションスペシャリストによるユーザートレーニングを行うことが重要です。しっかりとトレーニングをうけたユーザーは、はじめから参照分析法の基準やクロスチェック方法の手順を理解できるため、不要な評価試験を排除し最小限の労力で評価を進められます。この作業を確実かつ迅速に行うことで、キャリブレーションの運用効果を生み出すベースを構築することができます。

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4)重要な原料および成分に対するサンプリングを考慮する

ISOでは、キャリブレーションの検証には少なくとも20のサンプルが必要であると定めています。キャリブレーションを複数の飼料(すべて植物成分など)と最大6つのパラメータで行う場合、20サンプルでは少数の飼料タイプにしか対応できません。したがって、最も重要な原料およびパラメータから始めることをお勧めしています。同様に、その飼料が幅広いパラメータに対応していることが重要です。

5)機器のフィードバックを使用して基準解析の飼料を選択する

キャリブレーションを私用して測定を行い、その結果の信頼性が低い場合、ソフトウェア上では警告を示します。つまり、飼料タイプがキャリブレーションの範囲外である、あるいは間違った飼料であることを知らせます。キャリブレーションで示されない場合は、関連飼料を化学分析で測定して、NIRの結果が正しいかどうかを検査する必要があります。明らかに警告が多いことが十分に確認されれば、フォスはキャリブレーションのアップデートを検討し対応を行います。検証で個々の飼料またはパラメータの問題を示した場合は、グローバルキャリブレーションを行ってサンプルに合わせた調整が必要です。

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6)ネットワークを介して日常業務でのランダムな飼料検査を続行する

初期調整後、キャリブレーションは安定するため、年1回のランダム飼料による検証のみが必要です。アプリケーションスペシャリストが問題が機器、オペレーター、キャリブレーションのどこにあるか判断するためには、リモートアクセスは最高のツールです。同様に、データのアップロードおよび再構成は、オペレーターの作業を邪魔することなく定期的に素早く行われます。定期確認することにより、装置を常に最新状態に保つことができるため、実際に問題が発生した場合は、従来の性能試験を行う代わりに、特定が素早く簡単に行われ、修復することができます。

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