nite講座2020 no 01 · 2021. 1. 20. · 経済産業省の化学物質管理政策...

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経済産業省の化学物質管理政策 令和2年10月9日 経済産業省 製造産業局 化学物質管理課 NITE講座2020 「化学物質に関するリスク評価とリスク管理の基礎知識」 No.1

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  • 経済産業省の化学物質管理政策

    令和2年10月9日

    経済産業省 製造産業局化学物質管理課

    NITE講座2020 「化学物質に関するリスク評価とリスク管理の基礎知識」 No.1

  • 1

    1.我が国における化学物質管理制度について・・・・・・・・・・・・・・P2

    2.化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)関連 ・・P4

    3.化管法(化学物質排出把握管理促進法)関連・・・・・・・・・・・・・P10

    4.化兵法/水銀法関連 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P15

    5.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P20

    目次

  • 2

    1.我が国の化学物質管理制度について労働環境 消費者

    環境経由軍縮・

    危機管理排出・ストック汚染 廃棄

    人の健康への影響

    急性毒性

    短期間の影響で死に直結

    する毒性

    長期毒性

    人の健康等を「じわじわ」と蝕む毒性

    生活環境への影響(動植物を含む)

    オゾン層破壊性

    温室効果抑制

    農薬取締法

    食品衛生法

    医薬品医療機器法

    家庭用品品質表示法

    家庭用品規制法

    建築基準法

    農薬取締法

    労働安全衛生法

    毒劇法

    大気汚染防止法

    水質汚濁防止法

    土壌汚染対策法

    廃棄物処理法等

    化兵法

    フロン排出抑制法

    オゾン層保護法

    有害性

    暴露

    ・毒物(青酸カリ等)、劇物(硫酸等)など

    ・過去化学兵器製造に用いられたもの等が対象

    ・サリンやVXガスなど

    水銀汚染防止法

    化管法

    化審法

    農薬取締法

    ・環境経由で、人健康や生態影響を及ぼす化学物質が対象

    ・PCB等

  • 3

    目次

    1.我が国における化学物質管理制度について・・・・・・・・・・・・・・P2

    2.化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)関連 ・・P4

    3.化管法(化学物質排出把握管理促進法)関連・・・・・・・・・・・・・P10

    4.化兵法/水銀法関連 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P15

    5.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P20

  • 化審法の概要化審法は、化学物質の製造・輸入に関する上市前の事前審査及び上市後の継続的な管理により、化学物質による環境汚染を防止することを目的としている。

    新規化学物質

    上市

    事前審査

    一般化学物質(およそ28,000物質)

    優先評価化学物質(226物質)

    第二種特定化学物質(23物質)

    人健康影響・生態影響のリスクあり

    第一種特定化学物質(33物質)

    難分解・高蓄積・人への長期毒性又は高次捕食動物への長期毒性

    あり

    監視化学物質(38物質)

    難分解・高蓄積・毒性不明

    少量新規(年間1トン以下(環境排出量))

    高濃縮でなく低生産(年間10トン以下(環境排出量))

    中間物等(政令で定める用途)

    低懸念高分子化合物

    ・製造・輸入許可制(必要不可欠用途以外は禁止)・政令指定製品の輸入禁止・回収等措置命令 等

    ・ 製造・輸入(予定及び実績)数量、用途等の届出

    ・ 必要に応じて予定数量の変更命令

    ・ 取扱についての技術指針・ 政令指定製品の表示 等

    ・ 製造・輸入実績数量・詳細用途別出荷量等の届出

    ・ 有害性調査指示・ 情報伝達の努力義務

    ・情報伝達の努力義務(特定一般化学物質のみ)

    ・ 製造・輸入実績数量、用途等の届出

    事前確認等

    有害性や使

    用状況等を

    詳細に把握

    環境中への

    放出を抑制

    使用状況等を

    大まかに把握

    環境中への

    放出を回避

    使用状況

    等を詳細

    に把握

    ※物質数は令和2年4月1日時点のもの

    特定一般化学物質

    国がリスク評価

    4

    ・ 製造・輸入実績数量・詳細用途等の届出・ 有害性調査指示・ 情報伝達の努力義務

  • 新規化学物質の審査・確認制度(概要)通常新規:新規化学物質の届出を行い、通常の事前審査を受けると、製造・輸入が可能。低生産量新規、少量新規、低懸念高分子、中間物等:通常の届出によらず、事前の申出・確認により製造・輸入できる場合がある(特例制度)。

    ※ 我が国の化学産業が少量多品種の形態に移行をする中、化学物質による環境汚染の防止を前提に、少量多品種産業にも配慮した合理的な制度設計としている。

    5

    手続きの種類 条項 手続 届出時に提出すべき有害性データ その他提出資料数量上限

    数量調整 受付頻度

    通常新規 法第3条第1項届出

    →判定分解性・蓄積性・人健康・生態影響 用途・予定数量等 なし なし 10回/年度

    低生産量新規 法第5条第1項

    届出→判定申出

    →確認

    分解性・蓄積性(人健康・生態影響の有害性データもあれば届出

    時に提出)用途・予定数量等

    全国10t以下

    (環境排出量)あり

    届出:10回/年度申出(電子・光・書面):12回/年度

    少量新規 法第3条第1項第5号申出

    →確認 - 用途・予定数量等全国

    1t以下(環境排出量)

    あり申出(電子):9回/年度

    申出(光・書面):4回/年度

    低懸念高分子化合物

    法第3条第1項第6号

    申出→確認 -

    分子量・物理化学的安定性試験データ等 なし なし 随時

    中間物等法第3条

    第1項第4号申出

    →確認 -

    取扱方法・施設設備状況を示す図面等 なし なし 随時

    少量中間物等 (簡素化) 1社1t以下 なし 随時

  • 2017年改正化審法の概要(審査特例制度)1.審査特例制度における全国総量上限の見直し

    • 用途別の排出係数を用いたリスク評価手法の確立を踏まえ、企業活動における予見性を高めるため、全国総量上限を環境排出量換算の基準へ見直すべく、以下を実施。

    環境排出量換算方法や用途別の排出係数、新制度施行に伴う手続き等に係る政省令、告示の整備新制度に対応するため新規化学物質申出システムの改修

    6

    申出製造・輸入数量を数量調整された物質数

    2018年度 2019年度総申出件数 36,254 ⇒ 25,801数量調整件数 4,088 ⇒ 620数量調整件数/総申出件数 11% ⇒ 2%

    特例制度 全国総量上限 全国総量上限

    少量新規制度 1トン(製造・輸入数量) 1トン(環境排出量換算)

    低生産量新規制度 10トン(製造・輸入数量) 10トン(環境排出量換算)

    <これまでの制度> <改正後の制度>

    2018年度 2019年度総申出件数 1,837 ⇒ 1,754数量調整件数 254 ⇒ 39数量調整件数/総申出件数 14% ⇒ 2%

    <少量新規化学物質>

    <低生産量化学物質>

    0

    1000

    2000

    3000

    4000

    5000

    2018年度 2019年度

    低生産

    少量新規4,342件

    659件

    数量調整件数比較

    ☆数量調整対象は排出係数1の申出のみ・用途証明有の場合

    113:水系洗浄剤(家庭用又は業務用のものに限る)

    122:芳香剤又は消臭剤・用途証明無し

  • 2017年改正化審法の概要(審査特例制度)2.新制度施行に伴う手続きの電子化の推進と業務の合理化

    • 少量新規制度と低生産量新規制度の数量確認において、手続きの電子化を推進し、業務の合理化とともに電子申請率約8割に向上。

    ①低生産量新規制度における申出の電子化。②電子申出への移行を促すため、電子申出の受付回数を増やすとともに、電子申出の障壁となっていた電子証

    明書の提出を廃止。③申出物質の化学物質構造情報は、化審法独自の方法から、無料ソフト等での作成が可能な方法に変更。

    7

    ●少量新規

    書面持参16,681 電子申請

    19,573

    2018年度(合計36,254件) 2019年度(合計25,801件)

    電子申請19,855

    書面持参3,947

    光ディスク1,999

    電子申請+光ディスク申請率は54%から85%に約30%増加事業者が枠取りする必要がなくなったためか、2018年度の総申出件数の約70%

    電子申請1,231光ディスク

    114

    書面郵送400

    ●低生産量新規申出方法の割合

    2019年度(合計1,745件)

    審査特例制度において、ともに電子申請率約8割に向上

  • ○ 我が国では、条約の対象物質について、その妥当性に鑑み、化審法の第一種特定化学物質に指定し、その製造・使用等を制限する等の措置を講じて、条約の義務を履行してきている。

    ○ COP9でPFOA等が廃絶対象物質に追加されたため、今後、政令改正し、以下を実施予定。(1)第一種特定化学物質の追加指定(2)当該一特物質を使用した製品を輸入禁止製品に追加指定

    POPs条約の最近の動きと化審法での対応

    ○ PFOA等は廃絶対象物質への追加の決議(第9回COP(2019年4~5月))○ ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)等(フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等に利用)

    は、廃絶対象物質への追加(第15回POPRC(2019年10月))〇 デクロランプラス(難燃剤等に利用)、メトキシクロル(殺虫剤等に利用)は、リスク評価開始〇 UV328(潤滑剤や接着剤等に利用)は、締約国から提案があり、2021年1月から検討開始

    ○ POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)とは、 環境中での残留性、 生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念される残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している条約(2004年5月17日発効)。

    〇 対象物質については、POPsの検討委員会(POPRC)において議論されたのち、締約国会議(COP)において決定される。

    1. POPs条約とは

    2. 最近の動き

    3. 化審法における措置

    8

  • 9

    目次

    1.我が国における化学物質管理制度について・・・・・・・・・・・・・・P2

    2.化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)関連 ・・P4

    3.化管法(化学物質排出把握管理促進法)関連・・・・・・・・・・・・・P10

    4.化兵法/水銀法関連 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P15

    5.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P20

  • 化管法の概要事業者による化学物質の自主的管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする。事業者は国が定める化学物質管理指針に留意した化学物質管理を実施するとともに、進捗状況等の情報提供を行う等国民の理解を図るよう努めなければならない。PRTR制度は経済産業省と環境省の共管、SDS制度は経済産業省の専管。

    SDS制度

    • 有害性のおそれのある化学物質及び 当該化学物質を含有する製品を、事業者間で譲渡・提供する際に、化学物質の性状及び取扱い情報を提供することを義務づける制度。

    • 化学物質の適正管理に必要な情報提供を義務づけ、事業者による自主管理を促進する。

  • 化管法の見直し

    ●本法律の施行日である2000年3月30日から7年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする旨法律に記載。

    ●2008年度の見直し検討の結果、基本的仕組みは変更せず、対象物質の見直し、対象業種の追加が行われた。(第一種指定化学物質354→462、第二種指定化学物質81→100)

    ●上記見直し後は、規制の一定期間経過後見直し基準(法令見直し期間5年)に基づき、2013年度に見直しを実施し、検討の結果、制度改正は行わず。

    ● 2018年度に見直し検討を開始。

    ●以下のスケジュールで制度及び物質選定について、審議会において検討を実施2018年度 経済産業省・環境省合同検討会(委託事業で実施)2019年度前半 経済産業省・環境省2省合同審議会(制度見直し関係)2019年12月~ 厚生労働省・経済産業省・環境省3省合同審議会(物質選定関係)2020年5月 報告書のとりまとめ今後 政令改正予定(報告では第1種:522物質、第2種:134物質)

    見直しの経緯

    2019年4月から、経済産業省・環境省の合同審議会において議論を実施し、パブコメを経て、同6月28日に化管法の課題や見直しの必要性及び方針等をとりまとめ・公表。具体的な物質の指定に向け、2019年12月から厚生労働省・経済産業省・環境省の3省合同審議会にて審議を行い、パブコメを経て、2020年5月1日、指定候補物質リストを含む合同審議会報告をとりまとめ・公表。

    11

    今後のスケジュール

  • 現行PRTR物質

    化審法用途のみ(一般工業用途)

    化管法の排出量実績等により選定一種:排出量10t又は移動量100t二種:排出量1t又は移動量10t

    排出量推計値により選定一種:排出量10t二種:排出量1t

    化審法用途以外あり

    化管法対象母集団物質化管法対象母集団物質

    製造輸入量により選定一種:100t 農薬は10t

    二種:1t

    今回検討案前回選定時

    製造輸入量により選定一種:100t 農薬は10t

    二種:1t

    ②①

    環境モニタリング、オゾン層破壊物質、環境保全施策上必要な物質※ ※一種のみ

    現行PRTR物質以外

    環境モニタリング、オゾン層破壊物質

    従来の基準では、製造輸入量をばく露の指標として物質を選定。今回の見直しにおいては、以下を指標として評価、選定。

    ① 「現行PRTRデータのある物質」当該PRTRデータ(届出排出量・移動量、推計排出量)を用いてばく露を評価

    ② 「現行PRTRデータのない物質のうち、化審法用途のみの物質」化審法の届出情報、排出係数等を基にした「排出量推計値」により、ばく露を評価

    ③ 「現行PRTRデータのない物質のうち、化審法用途以外の用途もある物質」引き続き製造輸入量により、ばく露を評価。(農薬は実質≒排出量)

    化管法の見直し検討の重点(ばく露基準を「製造輸入量」から「排出量」へ)

    12

  • 現行化管法対象物質以外の物質(258)

    見直しによる化管法対象物質数の概況化管法対象物質の見直し作業の結果、有害性が化管法の現行選定基準に合致し、新たなばく露情報の選定基準に合致する物質は656物質、うち特定第一種指定化学物質に該当する物質は24物質

    <現行(562)>

    特定第一種指定化学物質※1

    (15)

    第一種指定化学物質(462)

    第二種指定化学物質(100)

    <見直し案(656)>

    特定第一種指定化学物質

    (24)

    第一種指定化学物質(522)

    第二種指定化学物質(134)

    除外候補(164) ※2

    (320)

    (10)

    (78)

    (86)

    (56)(12)

    (15)(9)

    下記の各種法令や各調査結果から選定した候補物質(約9,000)のうち、有害性情報が化管法の現行の物質選定基準に合致し、新たなばく露情報の選定基準に合致するもの。また、環境保全施策上必要な物質の判断基準に合致するもの。

    • 化審法 特定化学物質・監視化学物質・優先評価化学物質 等

    • 毒劇物取締法 毒物・劇物• 労働安全衛生法 通知対象物質• ロッテルダム条約対象物質• 農薬取締法 登録農薬 等• 自治体条例対象物質• 諸外国におけるPRTR対象物質• 内分泌かく乱作用を有することが推察される

    物質

    (190)

    (68)

    (数字は物質数を示している)

    ※1:特一は、現行では「発がん性がクラス1(13物質)」、「生殖毒性がクラス1(2物質)」及び「変異原性がGHSクラス1A(該当なし)」、見直し案では現行に加えて「発がん性がクラス1(7物質)」、 「生殖毒性がクラス1(鉛)」及び「生態影響からの指定(有機スズ化合物のうちトリブチル酸化スズ)」を対象としている。

    ※2:最新の有害性情報が物質選定基準に合致しないもの、及びばく露が小さい(排出移動量、推計排出量または製造輸入量が小さく、環境中での検出がなく、かつPRTR届出・推計の実績がないもの)を対象としている。 13

  • 14

    目次

    1.我が国における化学物質管理制度について・・・・・・・・・・・・・・P2

    2.化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)関連 ・・P4

    3.化管法(化学物質排出把握管理促進法)関連・・・・・・・・・・・・・P10

    4.化兵法/水銀法関連 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P15

    5.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P20

  • 化学兵器禁止法の施行状況1997年に発効した「化学兵器禁止条約」の柱の一つである、化学兵器不拡散のための産業検証制度及びその国内実施法の「化学兵器禁止法」に基づき、特定の化学物質を製造等する事業所の情報を化学兵器禁止機関(OPCW:本部ハーグ)に申告。事業所の申告内容が正しいか確認するためのOPCWの国内での国際検査に年20回以上立会い。対象物質の輸出入についても、申告を実施OPCWによる国際検査は、OPCWの検査官が実際に事業所を訪問して行われ、経済産業省本省・経産局、(独)製品評価技術基盤機構(NITE)が国際検査に立ち会い、その円滑な遂行に協力また、 2019 年 11 月の CWC 締約国会合にて、規制物質(ノビチョク4物質)の追加を決議本年6月、化学兵器禁止法施行令を改正し、特定物質として規制

    OPCWによる国際検査の様子

    <OPCWに対する我が国の貢献>

    15

    日本は締約国中第3位の分担金(約580万ユーロ:2020年)を提供当省は、化学物質のデータベース構築等に協力近年は、我が国化学産業の国際検査負担の軽減を目指して、OPCWに対し、効率的・効果的な国際検査の実現を含めた産業検証制度の見直しの必要性を提起

  • 化学兵器禁止法の概要条約に規定する表剤及び識別可能な有機化学物質(DOC)の製造等を行う事業所等は、製造等の実績を届出・申告検証閾値を超えて製造等を行う事業所等は、国際機関による国際検査を受ける

    条約上の義務

    《軍事活動》遺棄・老朽化学兵器廃棄 内閣府、外務省等

    《産業活動》 経済産業省

    国内関係行政機関

    ・製造・使用許可・立入検査

    化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(化学兵器禁止法)

    表1剤(特定物質)

    表2剤(第1種指定物質)

    (1)表1剤総量規制

    (2)産業検証制度・対象物質生産施設等の申告

    ・申告に基づく国際機関による国際検査

    表3剤(第2種指定物質)

    ・製造等・使用予定・実績届出

    ・製造予定・実績届出

    有機化学物質・特定有機化学物質

    ・製造実績届出・製造実績届出

    ・製造等・使用者は国際検査を受け入れ(検証しきい値を超える事業所等)

    ・製造等・使用者は国際検査を受け入れ(検証しきい値を超える事業所等)

    ・製造・使用実績届出

    (3)貿易規制・輸出入量の申告

    ・非締約国との表剤輸出規制

    ・輸出入実績届出・輸出入実績届出

    ・輸出許可・輸入承認(対全地域)

    ・輸出許可・輸入承認(対非締約国)・輸出許可・輸入承認(対非締約国) ・輸出許可・輸出許可

    窓口:化学兵器・麻薬原料等規制対策室

    窓口:安全保障貿易審査課

    AG独自規制

    ・製造者は国際検査を受け入れ

    ・製造者は国際検査を受け入れ

    ・製造者は国際検査を受け入れ

    ・製造者は国際検査を受け入れ

    16※なお、化兵法施設情報は機密性3となっており、地震等の被害時の被害報の共有は限定メンバーとなっている。外国為替及び外国貿易法

    特定物質:毒性物質及び毒性物質の原料となる物質で化学兵器の製造の用に供されるおそれが高いもの指定物質:毒性物質及び毒性物質の原料となる物質で化学兵器の製造の用に供されるおそれがあるもの第一種指定物質:指定物質のうち、化学兵器以外の用途に使用されることが少ないもの (「第二種指定物質」とは、第一種指定物質以外の指定物質)有機化学物質:特定物質及び指定物質以外の有機化学物質特定有機化学物質:りん、硫黄又はふっ素を含む有機化学物質

  • 17

    水銀汚染防止法の背景と概要水銀汚染防止法は、水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保し、水銀による環境の汚染を防止するため、特定水銀使用製品の製造、新用途水銀使用製品(※)の製造販売の禁止、水銀等の貯蔵及び水銀を含有する再生資源の管理等について所要の措置を講じている。環境省と共管。経済産業省の所管に係る事業における水銀等の使用の許可の申請等を所管。

    ※既存の用途に利用する水銀使用製品として省令に定められていない水銀使用製品。その利用が人の健康の保護又は生活環境の保全に寄与するものである場合は、製造又は販売が可能。

    世界規模で水銀対策を行う必要性が認識され、2010年から条約作成のための政府間交渉を開始

    水俣病を経験した我が国として、同条約を早期に締結するとともに追加的措置を講じ、世界の水銀対策に主導的に取り組むことが必要(条約発効日:2017年8月16日)

    我が国がホストを務めた国連環境計画主催の外交会議(於:熊本市、水俣市)において、水銀に関する水俣条約の採択(2013年10月)

    (1)水銀等による環境の汚染の防止に関する計画を策定する。(2)水銀鉱の掘採を禁止する。(3)特定の水銀使用製品について、許可を得た場合を除いて製造を禁止す

    るとともに、部品としての使用を制限する等の所要の措置を講じる。(4)特定の製造工程における水銀等の使用を禁止する。(5)水銀等を使用する方法による金の採取を禁止する。(6)水銀等の貯蔵に係る指針を定め、水銀等を貯蔵する者に対し定期的な

    報告を求める。(7)水銀含有再生資源の管理に係る指針を定め、水銀含有再生資源を管

    理する者に対し定期的な報告を求める。(8)その他罰則等所要の整備を行う。

    ※施行期日:我が国について条約が効力を生ずる日(2017年8月16日)。ただし、(3)は2018年1月1日(第1陣規制)/2020年12月31日(第2陣規制)

    小規模金採掘21%

    塩ビモノマー

    製造工程20%

    塩素アルカリ

    工業13%

    電池10%

    歯科用

    アマルガム10%

    計測機器9%

    照明4%

    電気機器5%

    その他8%

    合計3,798トン

    (出典: 我が国の水銀に関するマテリアルフロー(2010年度ベース、2016年度更新))

    背景 法律の概要 (2015年6月19日公布)

    出典:UNEP Technical Background Report to the Global Atmospheric Mercury Assessment (2008)

    <世界の水銀需要><日本の水銀需要>

  • 水銀法・外為法による経産省関連の水銀規制の動き

    2018年1月1日 特定水銀使用製品第1陣の規制を開始(製造・組込・輸出入の禁止)

    2018年4月1日 水銀等の貯蔵報告・水銀含有再生資源の管理報告の受理開始(9府省・12府省)2018年10月1日 水銀含有再生資源(水銀法第2条第2項)の要件を定める省令を改正・施行2018年12月3日 新用途製品命令を改正、条約発効日に遡及して既存用途製品を追加規定2019年2月18日 水銀等の貯蔵ガイドライン・水銀含有再生資源の管理ガイドラインの改正版を公表2019年3月 水銀法Q&Aの改訂2019年10月 経産大臣を主務大臣とする特定水銀使用製品規制手引きを改訂

    2020年12月31日 特定水銀使用製品第2陣の規制を開始(製造・組込・輸出入の禁止)

    《第1陣》 水銀電池(特定のものを除く)、特定の一般照明用蛍光ランプ、電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ・外部電極蛍光ランプのうち特定のもの、化粧品、防除用薬剤(特定のものを除く)

    《第2陣》 ボタン形アルカリマンガン電池、スイッチ・リレー、一般照明用高圧水銀ランプ、マーキュロクロム液(赤チン)、非電気式の気圧計・湿度計(特定のものを除く)・圧力計(特定のものを除く)・温度計(特定のものを除く)・血圧計

    2017年8月16日の条約発効後、製造、使用、輸出入等の規制制度の運用を順次開始。必要に応じ、省令の改正等、運用の適正化に取り組んでいる。

    今後の予定

    18

    ※環境省と経済産業省の合同審議会において「個別の製品品目ごとに、・・・廃止期限の前倒し(水俣条約における期限より早い時期の廃止)を検討すべき」との方針が示されたことから、業界における水銀削減の自主努力、水銀代替の技術動向等に配慮しつつ、同合同審議会で検討した結果、一部の品目は第一陣規制として条約の廃止期限に前倒して規制が開始された。

  • 19

    目次

    1.我が国における化学物質管理制度について・・・・・・・・・・・・・・P2

    2.化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)関連 ・・P4

    3.化管法(化学物質排出把握管理促進法)関連・・・・・・・・・・・・・P10

    4.化兵法/水銀法関連 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P15

    5.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P20

  • 20

    製品含有化学物質情報の伝達における課題• 最終製品が化学物質規制(RoHS等)を遵守するためには、最終製品の材料に規

    制対象物質が含まれているかを確認する必要がある。一方、材料の製造から最終製品の製造まで自社で完結することは希であることから、遵法のためには大きなコストがかかる。

    • このため、規制されている化学物質の含有情報が、上流の素材メーカーから下流の最終製品メーカーまでの企業間で、効率的に伝達されることが重要であり、標準的な情報伝達スキームが有効な解決策となる。

    一部の混合物の含有物質情報が企業機密となっており、公開できない

    情報入手が遅い/精度が高くない

    海外のサプライヤから情報が提供されない

    商社が介在する場合、情報伝達が滞る/途切れるケースがある

    川上側企業の規模が大きく、情報提供を依頼しにくい

    データフォーマットが複数あり、データ入力が非効率。特に、個社フォーマットの負荷が過大

    マンパワー不足、反応工程を経た化学物質の認識に差がある

    川上(化学品)

    サプライヤへの説明・研修の負荷が大きい

    川下(成形品・最終製品)川中(化学品→成形品加工)

  • • 電気・電子分野が関わる製品含有化学物質の情報伝達の標準スキームとして、JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)とJGPSSI(グリーン調達調査共通化推進協議会)の2種類が存在していたが、情報伝達スキーム「chemSHERPA(ケムシェルパ)」として統一し、2018年から本格運用を開始。

    • また、電気・電子分野では、製品含有化学物質の情報伝達に求められる要件が国際標準化されていることから、chemSHERPAは、当該国際規格であるIEC62474に準拠。

    日本発の化学物質情報伝達スキーム「chemSHERPA」

    21※IEC62474: 国際電気標準会議(IEC)が制定し、サプライチェーンの企業間で流通するマテリアルデクラレーション(構成材料/含有物質の情報伝達)に

    求められる各種の要件等について規定している。

    JGPSSIグリーン調達調査共通化推進協議会

    IEC62474電気・電子業界及びその製品に関するマテリアルデクラレーションの国際規格

    2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

    ▼2001年発足

    ▼2012年発行

    ▼ 2006年発足

    ▼2015年運用開始

    JAMPアーティクルマネジメント推進協議会

    JGPSSIツール

    JAMPツール ▲2018年2月ツールの最終バーション

    新情報伝達スキームの検討・開発(2013-2015)

    ▼2018年本格運用

    ▼2013年ツールの最終バージョン

    chemSHERPAへの移行期間

    ▼2008年JAMPツール運用開始

    統合▼2003年JGPSSIツール運用開始

  • アジア等における化学物質管理制度の相互調和の推進我が国企業のサプライチェーンはアジアをはじめとしてグローバルに拡大。有害性情報をアジア域内等で共同で収集し、共通基盤化するとともに、各国制度を調和させることによって、効果的な化学物質管理を実現するため、各国との関係構築に取り組んでいるところ。

    <最近の取組>

    (1)AMEICC(日・ASEAN経済産業協力委員会):日ASEAN化学物質管理データベース(AJCSD:運営・管理はNITE)の活用に向けた取組み等について意見交換:2020年8月

    (2)ベトナム:第8回日越化学物質管理に係る政策対話(2019年12月)・ワークショップ(2019年7月、9月、

    12月)を実施。我が国の化学物質管理規制運用のノウハウの移行のため、化学品庁に対して化学物質データベースの運用及び制度設計に関する支援を実施。

    (3)GHS専門家派遣:インドネシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムに対して、我が国と調和したGHS制度の導入実現に

    向け、専門家によるセミナー等を実施。

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