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東海北陸コンポジットハイウェイ コンベンション 2015 が開催されました
2015 年 12 月 10(木)・11 日(金)、東海北陸コンポジットハイウェイ コンベンション 2015 が、東海北陸コンポジットハイ
ウェイコンソーシアムおよび石川県と金沢工業大学の主催で行われ、両地域の産官学関係者約 400 人が参加しました(会場:北國
新聞赤羽ホール 石川県金沢市)。
冒頭で石川憲一金沢工大学長は同ハイウェイ構想について、北陸の繊維・機械工業の集積と、東海の強みである自動車・航空機
産業を活かし、炭素繊維複合材料の生産・加工・組立まで可能な世界に冠たる産地を形成するのが目的との意義を強調されました。
次いで谷本正憲石川県知事が挨拶され、鵜澤潔ICC所長の現況報告はじめ、羽島浩章東大大学院教授やICCと協定を結んだ独・
CFKバレーの最高経営責任者(CEO)であるグンナー・メルツ氏らによる記念講演も行われました。
2日目は、今回のコンベンションテーマである「CFRP産業の立ち上げ ~研究からビジネスのフェースへ~」に不可欠な公設試
験研究機関による取組みの紹介と、企業間の垂直連携、水平連携についてのパネルディスカッションが行われました。またロビー
では2日間にわたり 30を超える企業・機関のパネル展示があり、最新 CFRP技術についての情報交換が行われました。
次回の東海北陸コンポジットハイウェイコンベンション 2016 は、GCC が中心となり岐阜を会場として開催いたします。
どうぞよろしくお願いします。(期日 10 月中旬予定)
■CONTENTS
■ 東海北陸コンポジットハイウェイ コンベンション 2015
報告
■ 活動履歴・予定
■ ICCM20 (20th International Conference on Composite
Materials)での発表研究の紹介
■ GCC 技術紹介Ⅱ「動的粘弾性測定(DMA)」
■ GCC 研究分科会 TOPICSⅢ「Tailored Design 研究分科
会に参加して~ミズノテクニクス(株)様」
■ GCC トピックス(岐阜大学プレスリリースから)
■活動・予定
2016 年 3 月 8~10 日 JEC EUROPE 参加
NO.4 2016.2.
ブース前での情報交換 3センターのパネル展示 400 名に及ぶ参加者
金沢工大石川学長講演 主催者メンバー ICC鵜澤所長報告
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複合材料の最新研究動向の紹介
ICCMは複合材料に関する最大の国際会議であり 2年に 1度開催され、20thの ICCMは昨年の 7月 19日
~24 日にかけてコペンハーゲンで開催された。回数を重ねる毎に発表数が増えており、今回の発表数は 1000
件を超えるものとなった。22 のセッションが中央の広場のステージも利用して同時進行するため、聴衆は目当て
の発表を聞くためプログラムを事前に入念にチェックし、発表毎にセッション会場を移るということとなる。発表の
内容はタイトルと2行の要約でチェックするほか、ウエブにアップされている予稿を見ることも可能であり、ICCMで
は会議終了後も引き続き予稿をウエブ上で公開している。誰でも自由に閲覧できるようになっているので是非ご
覧いただきたい。ここでは参加できた「製造プロセスの影響評価」と「リサイクル」のセッションについて簡単に紹介
する。
【プロセスの影響評価、モデリング】
CFRP/CFRTP では最終製品の力学特性がプロセスの影響
を強く受けて大きく変化することから、GCCでは早くから
その重要性に着目し研究を行っている(例えばスタンピン
グプレスにおけるプレス条件による成形体の強度変化な
ど)。今回の ICCM でも次の3つのセッションで計 86 件の
発表がなされ、この分野の研究の重要性が増しているとの
感を強くもった。
・Process Modeling (34 papers)
・Process Induced Effects (28 papers)
・ Experimental Method for Process Characterization
(24 papers)
製造プロセスでは、RTM と Compression Molding(プレス
成形)を対象とするものが多く、thermo-mechanicalのよ
うに熱も考慮に入れた取扱いも増えてきた。成形体への影
響 と し て は residual deformation や cure-induced
deformation といったそりや繊維しわのような変形、ある
いは void などが議論されており、まだ直接強度まではモ
デル化や予測は難しいようである。研究手法はシミュレー
ションが主であり、実物に近い大規模なスケールのものや
精密なモデル化が行われていた。
図は、プリフォームのプレス成形において繊維交差角の
変化を最少とするよう、しわ押さえのセグメント分割とセ
グメント毎のしわ押さえ力を最適化したシミュレーショ
ンの結果であり、このような精密なプロセス制御も検討さ
れている。
【リサイクル】
リサイクル関連は1セッションで 21 の発表があった。予
想したほどの発表数がなかったものの、GCCも取り組んでい
るリサイクル繊維を高性能複合材料に再成形するために必
要な不連続繊維の配向制御についての研究発表が2件行わ
れていた。その一例として 6mmの不連続炭素繊維を配向させ
たエポキシ樹脂マトリックスの再生複合材料(Vf 約 60%)
で、弾性率 115GPa、引張強度 1509MPa を達成したものが紹
介されていた。
図は水に不連続炭素繊維を混合したものをノズルで噴射
することにより作製した一方向マットと複合材の写真を示
す。実験室レベルでは一方向化はできており、スケールアッ
プを図られつつある。
~ ICCM20(20th International Conference on Composite Materials)での発表研究の紹介 ~
センター長 三宅 卓志 工学部機械工学科教授
繊維交差角変化を最少とするしわ押さえ力(ファブリック
引込み力)の最適化シミュレーション(S. Chen et al.)
リサイクル繊維一方向複合材断面とマット(Z, Liu et.al.)
※以上の詳細は、ICCM のウエブ上の予稿でキーワー
ドでソートして閲覧できるので、是非ご覧ください。
http://iccm20.org/p/
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Tailored Design研究分科会にご参加のミズノテクニクス(株)様より、ご感想をお寄せいただきました。
「ミズノテクニクス(株)では、スポーツ用品の製造を始め、『組物技術』を用いた製品設計・開発も行なってお
ります。一方、岐阜大学複合材料研究センター(GCC)には、長年積上げられた高度な『組物技術』があります。
本研究分科会では、これまでの設計開発技術に加え、GCCの強みの1つである『組物技術』のノウハウを融合す
ることができ、また新しい発見もありました。その結果、「ゴルフシャフト 」を製品化することができました。
変わった試みとしては、『公開実験』。実験はクローズで行なうことが多い中、 『公開実験』は、回を重ねる毎
に参加企業も増え、そして、異業種の方々との交流を持つことができたことは喜ばしいことです。最近では、題
材を『杖』とすることで、“福祉・介護”というキーワードが加わり、GCC×医学部とのコラボも進行中です。こ
のような新しく幅広い繋がりが魅力です。今後も新たな出会い・発見を求めて、参加していきたいと思います。」
GCC 技術紹介 Ⅱ
「JEC2015 に関して」
副センター長 武野 明義 工学部化学・生命工学科准教授
動的粘弾性測定(DMA)
この技術紹介では、複合材料の評価に用いられている分析方法を平易に解説してい
る。今回は動的粘弾性測定 DMA(Dynamic Mechanical Analysis)について解説する。
複合材料に限らず材料の力学特性の基本のひとつは、単純引張試験に
代表される静的力学試験である。これに対し、DMA やレオメーター等
による動的力学試験では、荷重を振動とすることで弾性率を貯蔵弾性率
E’と損失弾性率 E”に分離できる点が特徴的である。これは、それぞ
れ素材の持つ弾性体と粘性体の性質に相当し、その比は損失係数と呼ば
れる。複合材料の E’と E”を測定すると、ガラス転移温度、融点等の
マトリックスの緩和現象に起因する温度で、前者は階段状に値がシフト
し、後者はピークを持つ。温度依存性を評価する場合は、その測定振動
数を高くすると得られるDMAカーブは高温側にシフトする(図)。
高分子の粘弾性特性は、測定振動数あるいは測定温度の変化に対して同
等の応答を示し、両者を対応づける時間-温度換算則(例えば WLF 式)
が知られている。これにより本来は測定できない長年後の姿を温度変化
に置き換えて予測することができる。熱硬化性のエポキシ樹脂では、後
硬化(ポストキュア)前後でかなり異なる結果が得られ、その硬化温度
の履歴も観察できることがある。また、ガラス転移以上の温度域で貯蔵
弾性率が平坦になる領域(ゴム状平坦領域)の値を求めると、熱硬化性
樹脂の架橋密度を推定できる。一方、熱可塑性樹脂の場合は、結晶の評
価が重要となる。測定できるDMAカーブの最も高温側に位置し、急激
に E’が低下し、E”が上昇する温度が融点に相当する。ポリプロピレ
ンは、いくつかの結晶系を持っており、ほとんどの場合はα晶を形成し、
その融点は微細な結晶ほど低い。核剤を用いるなど特別な条件ではβ晶
が現れることがあり、その場合は 15℃前後低い融点となる。このβ晶は、
測定のため昇温すると一度融解・再結晶化しα晶に変化してしまう。熱
分析の多くがこの問題を抱えている。すなわち分析のために温度を上昇
させると、上昇させた温度まで熱処理を加えたことになってしまう。複
数の測定手段を組み合わせることで、相乗効果を期待したい。 動的粘弾性試験装置
(岐阜大学生命科学総合研究支援センター)
動的粘弾性試験
(弾性率は、弾性に寄与する貯蔵弾性率と
粘性に寄与する損失弾性率に分離される。)
GCC 研究分科会 TOPICSⅢ 「Tailored Design 研究分科会に参加して~」
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守富研究室・カーボンファイバーリサイクル工業(株)が岐阜に世界最大規模の CFRP リサイクル拠点を設置
~CFRPのリサイクル技術を確立、省エネ・低コスト・安全性の向上を実現~
高効率でリサイクルが可能な技術:「二段階熱処理法」について
二段階熱処理法は瓦焼きで空気を送りながらゆっくりと焼く「いぶし瓦」の技術を応用したもので、
第一段階では再生装置にて CFRP中の樹脂分を熱分解ガス化し、第二段階ではガス化できずに残留した炭
素分をゆっくり燃焼させる。この二段階の過程を経ることで炭素繊維を傷めることなく回収することが
可能であり、この方法により生じたリサイクル炭素繊維の強度は、新品のものと比較し 80%程度の強度
を保っているというデータを得ている。
■二段階熱処理法 3つの特長
1、既存技術の 30分の1の燃料コストを実現
処理の第一段階で CFRP を熱分解ガス化することで発生したガスは、そのまま熱処理の燃料として利
用することが可能。従来のリサイクル手法では処理毎に燃料を用意する必要があり、高コストの原因と
なっていたが、当技術では処理物から燃料を得ることが可能であるため、燃料に関するコストを大幅に
抑えることが可能になる。具体的には再生装置の燃料である灯油の消費を約 50%減、電気代約 70%減と
いう結果が出ており、石油や石炭から同等の炭素繊維をつくる場合の 30分の 1程度のコストで済むと試
算。
2、人体への健康被害のリスクを低減
当技術では従来の方法のように CFRPを処理する際に細かく粉砕する過程を必要としないため、空気中
に舞った粉塵を吸引してしまうなど、人体への健康被害のリスクを低減する。
3、品質の標準化が可能
当技術では廃材を粉砕する必要がなく、大きな状態のまま処理することが可能であり、リサイクル処
理後に残る炭素繊維も大きく長い形として残るため、強度実験をより正確に行うことができ、リサイク
ルした CFRPの品質の標準化が可能となる。
CFRPリサイクル施設について
施設設置には岐阜大学からは回収技術の提供、CFRI からは廃材の集積基地及び出荷基地となる施設の確保を行い、両者の協力の
元、岐阜県可児郡御嵩町に世界最大規模となる約 2,000トン/年の処理施設を設置する。この規模は現在の国内全ての CFRP廃材を
リサイクルできる処理能力であり、2020年までに「二段階熱処理」の連続運転によるフル稼働を目指す。
今後の課題と実用化に向けての展望
大学及び施設は、今後リサイクル炭素繊維の品質保証のための規格・標準化と作業環境や健康影響などについて、炭素繊維メー
カーやユーザーとの連携を取りながら研究を進めていく予定。
実用化に関しては、強度が落ちるもののコストの大幅低減が可能である特徴を考慮し、自動車の軽量化部材、トンネルのひび割
れなどに対する修繕・補強の素材や高速道路の防音壁など、高い強度を必要としない用途への利用を想定。コストを下げることで
新たな用途を開拓し、またヴァージン繊維との組み合わせなどにより強度向上できるよう、研究・開発を進めていきたい。
GCCトピックス(岐阜大学プレスリリースから)
岐阜大学は、守富教授(炭素繊維粉塵の生体影響評価分科会世話人)を中心としたグループが世界最高水準の省エネ性と
経済性を持つ CFRP リサイクル技術「二段階熱処理法」を確立し、カーボンファイバーリサイクル工業(株)(以下 CFRI)と
共同して岐阜県に世界最大規模の CFRPリサイクル施設を設置するニュースを報道関係者に公表しました(2015年 10月 15日
付)。これまでそのほとんどが埋め立て等で処分されてきた CFRP のリサイクルの核になると期待されています。詳細は大学
広報誌『岐大のいぶき 30号』6~9ページをご参照ください。
大学院工学研究科
教授 守富 寛
(炭素繊維粉塵の
生体影響評価
分科会世話人)
岐阜大学複合材料研究センター
〒501-1193 岐阜県岐阜市柳戸 1-1
TEL&FAX.058-293-2495 E-mail [email protected]
URL http://www1.gifu-u.ac.jp/~g_cc/
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