no.3179 農林水産省消費・安全局 畜水産安全管理 …...( 2 ) no. 3179 2011. 11....

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(1) - 361 - 平成 23 年 11 月 21 日印刷発行(毎週月曜日発行) No.3179 (Vol. LXⅢ No. 46) (1) ・家畜衛生関連情報 (平成 22年分 ) …………………………………………………………………… 361 ・家畜衛生レポート (栃木県より )  …………………………………………………………………… 365 ・各班だより (検疫業務班 )  …………………………………………………………………………… 367 No. 3179 農林水産省消費・安全局 畜水産安全管理課、動物衛生課 2011. 11. 21 (1) ☆家畜衛生関連情報(平成 22 年分) 危機管理体制整備対策による報告 1 伝染性疾病発生状況 年累計 疾病名 発生 戸数 発 生 頭羽数 死 廃 頭羽数 <ウイルス病> RS ウイルス病 95 818 30 アデノウイルス病 3 10 1 コロナウイルス病 112 793 11 牛パラインフルエンザ 1 7 0 牛ライノウイルス病 1 12 0 ロタウイルス病 152 330 18 牛乳頭腫 8 37 0 異常産(ピートンウイルス 関与疑い) 1 1 1 <細菌・真菌病> 乳房炎 黄色ブドウ球菌 27 74 2 CNS 8 24 1 レンサ球菌 10 16 0 マイコプラズマ 17 112 12 プロトテカ 6 7 0 その他(混合感染も含む) 109 215 1 牛ボツリヌス症 10 84 68 悪性水腫 33 51 51 アクチノバチルス症 1 1 1 壊死性腸炎 71 127 77 その他のクロストリジウム症 2 2 2 偽膜性大腸炎 1 1 1 コリネバクテリウム感染症 3 5 0 大腸菌症 40 66 19 パスツレラ(マンヘミア)症 149 304 101 肝膿瘍 3 3 2 マイコプラズマ肺炎 33 72 13 マイコプラズマによる 慢性中耳炎 1 1 1 マイコプラズマによる 多発性関節炎 1 3 3 ヒストフィルス・ソムニ 感染症 7 11 5 牛アクチノバチルス症 1 1 1 放線菌症 1 1 0 リステリア症 2 2 1 デルマトフィルス症 1 1 1 趾乳頭腫症 1 5 0 皮膚糸状菌症 1 2 0 真菌性胃腸炎 1 1 1

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第 3種郵便物認可 家 畜 衛 生 週 報 平成 23 年 11 月21 日 No.3179 (1)(1) No.3179 2011.11.21 AnimalHygieneWeekly(家畜衛生週報) 第

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平成 23 年 11 月 21 日印刷発行(毎週月曜日発行) No.3179(Vol.LXⅢNo.46) (1)

・家畜衛生関連情報 (平成 22年分 ) …………………………………………………………………… 361

・家畜衛生レポート (栃木県より ) …………………………………………………………………… 365

・各班だより (検疫業務班 )  …………………………………………………………………………… 367

No.3179 農林水産省消費・安全局 畜水産安全管理課、動物衛生課 2011.11.21

(1)

☆家畜衛生関連情報(平成 22年分)危機管理体制整備対策による報告1 伝染性疾病発生状況

牛 年累計

疾病名発生

戸数

発 生

頭羽数

死 廃

頭羽数<ウイルス病>

RSウイルス病 95 818 30アデノウイルス病 3 10 1コロナウイルス病 112 793 11牛パラインフルエンザ 1 7 0牛ライノウイルス病 1 12 0ロタウイルス病 152 330 18牛乳頭腫 8 37 0異常産(ピートンウイルス

関与疑い)1 1 1

<細菌・真菌病>乳房炎 黄色ブドウ球菌 27 74 2 CNS 8 24 1 レンサ球菌 10 16 0 マイコプラズマ 17 112 12 プロトテカ 6 7 0

 その他(混合感染も含む) 109 215 1牛ボツリヌス症 10 84 68悪性水腫 33 51 51アクチノバチルス症 1 1 1壊死性腸炎 71 127 77その他のクロストリジウム症 2 2 2偽膜性大腸炎 1 1 1コリネバクテリウム感染症 3 5 0大腸菌症 40 66 19パスツレラ(マンヘミア)症 149 304 101肝膿瘍 3 3 2マイコプラズマ肺炎 33 72 13マイコプラズマによる

 慢性中耳炎1 1 1

マイコプラズマによる

 多発性関節炎1 3 3

ヒストフィルス・ソムニ

 感染症7 11 5

牛アクチノバチルス症 1 1 1放線菌症 1 1 0リステリア症 2 2 1デルマトフィルス症 1 1 1趾乳頭腫症 1 5 0皮膚糸状菌症 1 2 0真菌性胃腸炎 1 1 1

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サルモネラ症 29 167 6アルカノバクテリウム・

ピオゲネス感染症6 6 7

<原虫・寄生虫病>ピロプラズマ症 67 174 2クリプトスポリジウム症 45 83 17コクシジウム病 197 578 35肝蛭症 13 16 3乳頭糞線虫症 6 7 4消化管内線虫症 7 22 3ジアルジア症 1 26 0

<合併症>RSウイルス病と コロナウイルス病 7 30 2 コロナウイルス病と

 パスツレラ(マンへミア)症1 1 0

 コロナウイルス病とパスツ

レラ(マンへミア)症と

 牛マイコプラズマ肺炎と

 クリプトスポリジウム症

1 10 0

 コロナウイルス病と

 マイコプラズマ肺炎4 4 1

 パラインフルエンザ 1 5 0 パラインフルエンザと

 アルカノバクテリウム感

染症と牛伝染性鼻気管炎

1 1 1

 パラインフルエンザと

 マイコプラズマ肺炎1 2 0

 パラインフルエンザと

 パスツレラ症1 4 0

 パラインフルエンザと

 パスツレラ症と

 マイコプラズマ肺炎

1 1 0

 ライノウィルス病 2 4 0 パスツレラ(マンヘミア)症 18 178 17 パスツレラ(マンヘミア)

症とマイコプラズマ肺炎5 30 5

 マイコプラズマ肺炎 4 5 1 急性鼓張症 1 1 1コロナウイルス病と パラインフルエンザ 1 1 0

 パラインフルエンザとパス

ツレラ(マンヘミア)症1 1 0

 パラインフルエンザと牛

ライノウイルス病とパス

ツレラ(マンヘミア)症

1 3 0

 ロタウイルス病 7 53 1 ロタウイルス病と乳房炎 1 1 0 ロタウイルス病と

 アデノウイルス感染症3 2 5

 ロタウイルス病と

 クリプトスポリジウム症2 3 0

 ロタウイルス病と牛ウイ

ルス性下痢・粘膜病と

 クリプトスポリジウム症

2 12 0

 牛ウイルス性下痢・粘膜病 2 6 0 パスツレラ(マンヘミア)症 7 17 0 パスツレラ(マンヘミ

ア)症とヒストフィル

ス・ソムニ感染症

2 7 8

 パスツレラ(マンヘミ

ア)症と

 牛マイコプラズマ肺炎

2 2 1

 パスツレラ(マンヘミ

ア)症とヒストフィル

ス・ソムニ感染症と

 牛マイコプラズマ肺炎

1 1 1

 マイコプラズマ肺炎 5 13 0 サルモネラ症 1 12 2 真菌性胃腸炎 1 1 1 クリプトスポリジウム症 9 10 3パラインフルエンザと パスツレラ(マンヘミア)症 1 1 1 パスツレラ(マンヘミ

ア)症と

 牛マイコプラズマ肺炎

1 1 0

ロタウイルス病と トロウイルス病 1 7 0 大腸菌症 13 20 6 大腸菌症と

 クリプトスポリジウム症1 1 1

 クリプトスポリジウム症 31 50 3 コクシジウム病 3 3 1

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第 3種郵便物認可 家 畜 衛 生 週 報 平成 23 年 11 月21 日 No.3179 (3)(2) No.3179 2011.11.21 AnimalHygieneWeekly(家畜衛生週報) 第

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パスツレラ(マンヘミア)症と マイコプラズマ肺炎 23 48 11 マイコプラズマ肺炎と

 ヒストフィルス・ソムニ

感染症

1 3 0

 ヒストフィルス・ソムニ

感染症7 9 6

 大腸菌 1 1 1 レンサ球菌症 2 2 2 肝膿瘍 1 1 1 伝染性角結膜炎 1 1 0大腸菌症と コクシジウム病 1 1 1 クリプトスポリジウム症 6 8 1 尿石症 1 1 0コクシジウム病と クロストリジウム症 3 5 0 牛マイコプラズマ肺炎 1 1 1 乳頭糞線虫症 7 9 2 盲腸重責 1 1 1牛マイコプラズマ肺炎と アルカノバクテリウム・

ピオゲネス感染症1 2 2

 ヒストフィルス・ソムニ

感染症2 2 2

壊死性腸炎と 鼓張症 1 1 1細菌性肺炎と アミロイドーシス 1 1 1鼓張症と 肝膿瘍 1 1 1新生子牛の結腸閉鎖 1 1 1牛呼吸器病症候群(BRDC) 1 5 0牛呼吸器病症候群(BRDC)と

 牛伝染性鼻気管炎と

 RSウイルス病と

 牛ウイルス性下痢粘膜病と

 パスツレラ症

6 17 10

豚 年累計

疾病名 発生戸数

発生頭羽数

死 廃頭羽数

<ウイルス病>豚痘 1 1 0サイトメガロウイルス病 3 4 2ロタウイルス病 3 5 3サーコウイルス関連疾病 41 471 230

<細菌・真菌病>滲出性表皮炎 11 240 65増殖性腸炎 16 46 20浮腫病 42 1283 936アクチノバチルス症

 (胸膜肺炎除く)4 17 15

アルカノバクテリウム・

 ピオゲネス症17 19 14

壊死性腸炎 7 39 21胸膜肺炎 79 934 762大腸菌症 85 1495 730パスツレラ症 46 227 120マイコプラズマ病 8 32 22レンサ球菌症 65 252 197ヘモフィルス・パラスイス

感染症(グレーサー病)12 42 21

サルモネラ症 7 27 4ブドウ球菌症 1 3 3

<原虫・寄生虫病>コクシジウム病 2 4 1豚鞭虫症 9 17 8豚回虫症 3 4 1

<合併症>サーコウイルス関連疾病と PRRS 1 2 2 PRRS とサルモネラ症 1 2 2 ロタウイルス病 2 2 2 パスツレラ症 1 1 1 パスツレラ症と豚丹毒 1 1 1 サルモネラ症と胸膜肺炎 1 90 60 増殖性腸炎 1 2 0 大腸菌症 2 2 2 アルカノバクテリウム

 感染症1 1 1

 パスツレラ症と豚胸膜肺炎 1 20 2

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(4) No.3179 2011.11.21 AnimalHygieneWeekly(家畜衛生週報) 第

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 パスツレラ症とアルカノ

バクテリウム感染症1 1 1

 サルモネラ症と

 マイコプラズマ感染症1 1 2

PRRS と マイコプラズマ症 1 2 2 マイコプラズマ病と

 パスツレラ症1 2 2

 グレーサー病 1 1 1 グレーサー病と大腸菌症 1 1 1 パスツレラ症 1 1 1 レンサ球菌症 1 1 1 クリプトスポリジウム症 1 1 1滲出性表皮炎と グレーサー病 1 2 2 化膿性髄膜炎 1 1 0胸膜肺炎と PRRS 2 4 4 サルモネラ症 1 1 1 パスツレラ症 5 6 5 パスツレラ症とマイコプ

ラズマ肺炎と豚赤痢1 1 1

 パスツレラ症と

 レンサ球菌症1 1 1

大腸菌症と 滲出性表皮炎 1 4 2 アクチノバチルス症 1 1 1 グレーサー病 1 7 7パスツレラ症と マイコプラズマ病 2 32 17 アルカノバクテリウム・

ピオゲネス感染症3 3 1

 レンサ球菌症 3 7 4 レンサ球菌症と

 マイコプラズマ病1 1 0

 アクチノバチルス症 1 1 1 グレーサー病 1 1 1レンサ球菌症と 壊死性腸炎 1 130 130 悪性水腫 1 1 1 アルカノバクテリウム・

ピオゲネス感染症1 1 0

 豚胸膜肺炎 1 1 0

鶏 年累計

疾病名 発生戸数

発 生頭羽数

死 廃頭羽数

<ウイルス病>鶏アデノウイルス感染症 1 560 560鶏脳脊髄炎 6 1100 35鶏封入体肝炎 15 15481 4770

<細菌・真菌病>鶏パスツレラ症 2 95 50サルモネラ症 4 634 345伝染性コリーザ 2 6 6壊死性腸炎 2 17 17壊疽性皮膚炎 2 137 137大腸菌症 194 51021 37849ブドウ球菌症 16 303 247緑膿菌 1 5 5アスペルギルス症 2 11400 900

<原虫・寄生虫病>コクシジウム病 68 6545 4406ヒストモナス症 4 218 37鶏回虫症 3 4 0

<合併症>鶏痘と ブドウ球菌症 1 10 5大腸菌症と ブドウ球菌症 2 64 54 緑膿菌症 1 63 63 マイコプラズマ病 1 660 660 コクシジウム病 3 5806 410コクシジウム病と 壊死性腸炎 1 10 10 壊疽性皮膚炎 1 60 60 大腸菌症 9 852 243 大腸菌症とクロストリジウム感染症と真菌症

1 13 13

 ブドウ球菌症 3 82 80 真菌性肺炎 1 60 60 鶏回虫 1 2 2

グレーサー病と 豚マイコプラズマ病 1 1 1 コクシジウム病 1 2 0

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第 3種郵便物認可 家 畜 衛 生 週 報 平成 23 年 11 月21 日 No.3179 (5)(4) No.3179 2011.11.21 AnimalHygieneWeekly(家畜衛生週報) 第

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その他の家畜 年累計

疾病名 発生戸数

発 生頭羽数

死 廃頭羽数

(緬羊)レプトスピラ 1 1 1壊死性腸炎 1 7 7捻転胃虫症 2 12 12捻転胃虫症と仮性結核 1 5 5(山羊)リステリア 1 1 1(馬)ロドコッカス・エクイ

 感染症5 5 5

(キジ)大腸菌症 1 11 11(ダチョウ)壊死性腸炎 1 1 1真菌性肺炎 1 1 1

牛・豚・鶏・その他の家畜 年累計

疾病名 発生戸数

発 生頭羽数

死 廃頭羽数

(牛)硝酸塩中毒 1 10 0低マグネシウム血症 4 4 3分娩性低カルシウム血症 70 77 56ケトーシス 3 4 0尿石症 14 17 11尿毒症 1 1 1大脳皮質壊死症 13 14 14脂肪壊死症 11 11 9ビタミンA欠乏症 15 30 11白筋症 1 1 1キョウチクトウ中毒 1 2 2エンドファイト中毒 1 7 0乳熱と低マグネシウム血症 1 1 0(豚)セレン及び

 ビタミンE欠乏症3 8 8

(鶏)尿酸塩沈着症 2 325 325(ミツバチ)大量死 1 2群 1000

☆家畜衛生レポート ( 栃木県より )栃木県県南家畜保健衛生所

今回の東日本大震災で被災された皆様、また、原子力発電所の事故で避難を余儀なくされた皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早く復興できますよう心からお祈り申し上げます。このたびの大震災では、栃木県内でも亡くなられた方がおり、また、自宅が倒壊する等の被害がありました。家畜保健衛生所(以下「家保」)では、宇都宮市の県央家保において、排水管の破損により検査機器の一部が使用困難になるなどの被害はあったものの、現在は、通常どおり業務を行える状態になっております。

1 栃木県の概況栃木県は、関東地方の北部にある内陸県で、県北部から西部にかけては、那須岳から日光男体山に至る山岳地帯となっており日光国立公園に指定されています。また、平坦で広い大地を有し、豊富な水資源、穏やかな気候に恵まれるなど、農業にとって素晴らしい環境にあるとともに、大消費地であります首都圏から 100 ㎞前後に位置しています。そして、日本一のいちご、かんぴょうを始め、畜産部門では北海道に次ぐ全国第2位の生乳生産を誇り、肉用牛生産でも全国第6位になります。

「とちぎの牛乳」

銘柄牛「とちぎ和牛」

2 中毒・代謝病等発生状況

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(6) No.3179 2011.11.21 AnimalHygieneWeekly(家畜衛生週報) 第

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2 管内の概要県内には、県央 ( 宇都宮市 )、県南 ( 栃木市 )、県北 (那須塩原市)の各地域に3つの家保があります。そのうち当所は、県南部の5市3町を管轄区域とし、西は群馬県、東は茨城県、南は埼玉県に隣接しています。当所管内の畜産農家戸数・頭羽数は表に示すとおりで、各畜種バランス良く飼養されています。

3 沿革・組織当所は、昭和 26 年に「栃木家畜保健衛生所」として設置され、平成 12 年に組織改編で「県南家畜保健衛生所」と改称されました。平成 20 年には新築移転して現在に至っています。現在、職員数は12名(獣医師10名、畜産職1名、事務職1名)で、企画指導課、防疫課の2課で構成され、地域における家畜衛生の向上と畜産振興に寄与するため、各種業務を実施しています。他の家保に比べ、職員数は少ないものの、持前のチームワークと機動力を活かし、畜産農家への指導等を行っております。

4 新庁舎の概要現在の庁舎は、平成 20 年 12 月に栃木市惣社町にある惣社工業団地内に完成しました。建屋は「本庁舎」、「付属庁舎」及び「解剖室(焼却炉)」となっており、本庁舎は1階が事務室、臨床検査室等、2階が精密検査室と会議室等となっています。解剖室は、天井を高く設計し、ホイストで牛を吊り上げ、上からそのまま投入できる焼却炉を設置しました。

5 事業の概要(1)主な事業は、以下のとおりです。①生産段階における家畜伝染性疾病の発生予防とまん延防止口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの万一の発生に備えた危機管理体制の強化とヨーネ病、オーエスキー病等のまん延防止・清浄化の推進②生産農場における衛生管理による生産性向上の推進

<管内の家畜の飼養戸数及び頭羽数>項目 乳用牛 肉用牛 馬 豚 鶏

飼養戸数( 戸 ) 78 160 13 40 75

飼養頭数( 頭羽 ) 3,200 17,200 140 42,500 473,000

事務所全景

解剖室全景

焼却炉

解剖後の牛の投入

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第 3種郵便物認可 家 畜 衛 生 週 報 平成 23 年 11 月21 日 No.3179 (7)(6) No.3179 2011.11.21 AnimalHygieneWeekly(家畜衛生週報) 第

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各班だより(検疫業務班より)

動物衛生課検疫業務班は、動物検疫所に関する業務等を行っています。昨年の宮崎県での口蹄疫の発生を受け、家畜防疫体制の強化を図るため、本年4月に家畜伝染病予防法が改正されました。これにより、入国者に対する水際検疫措置が 10 月より強化されました。10 月からの施行に向け、検疫業務班では、動物検疫所と連携し、新たな制度の実施方法の検討、関係省庁や航空会社・船会社への協力要請、各空海港における試行、インターネットの広告等を活用した広報を行ってきました。

【新しい制度の概要】アジアをはじめ、世界各国で、口蹄疫などの家畜の伝染病が発生しています。これらの病気の侵入を防ぐため、口蹄疫やアフリカ豚コレラの発生国・地域からの全ての直行便を対象に、航空機内・船内におけるアナウンス等により、入国者に対して以下の質問を行っています。また、一部の便については、監視のため、機内・船内や出発国の出国手続きカウンターで質問票の配布を行っています。

飼養衛生管理基準の遵守の徹底と的確な慢性疾病対応による生産コストの低減③動物用医薬品適正使用確保のための監視指導の強化獣医療、動物薬事の指導による畜産物の安全・安心の確保④病性鑑定の推進24 時間体制の対応

(2)迅速な情報伝達の実施数年前から、インターネット回線を利用して通信会社から一度にFAXを送信するシステム(商品名:IFAX)を導入し、緊急の家畜衛生情報等を迅速に生産農場・関係団体等に配信しています。まだ実施されていない事務所がありましたら、この方法をお勧めします。また、携帯電話アドレスへの情報送信を希望する生産者に対し、試験的に情報提供を行っています。(3)牛肉の放射性物質検査の実施東京電力の原子力発電所事故に伴う放射性物質の影響については、住民や子供たちの生活環境を汚染するだけでなく、農業分野でも多大な被害をもたらし、その影響がどこまで続くのかはわかりません。このような中、県産牛肉から暫定規制値を超過する放射性物質が検出されたことにより、8月2日、政府から本県肉牛の出荷制限指示がありました。その後、関係者一同の努力により、汚染稲わらの適正管理をし、「全戸検査」から「全頭検査」の牛肉検査体制を構築し、8月 25 日に一部解除の承認を得ました。当所では放射性物質測定装置(NaI シンチレーションスペクトロメーター)が設置され、牛肉の安全対策として、8月29 日から1日平均 25 頭の牛肉の放射性物質検査を実施し、安全・安心な牛肉を提供するために努力しております。

6 最後にこの 10 年の口蹄疫、BSEや高病原性鳥インフルエンザの発生等により、家畜保健衛生所を取り巻く状況は大きく変りました。また、今年発生した東日本大震災に起因した生産現場の混乱と、原子力発電所事故による放射性物質汚染の影響については、終息時期が予測できない事態となっています。更に、今年度は家畜伝染病予防法が大幅に改正され、家畜飼養農家に対する飼養衛生管理基準の遵守の徹底を周知・指導するなど、本格施行に向けた準備も必要です。このように、家畜伝染病の発生予防・まん延防止の重要性に加え、放射性物質汚染も含めた畜産物の安全・安心の対策等、県民の期待や要望もますます大きくなっていくと思われます。それだけ我々職員が担っている使命は本当に大きいものであると肝に銘じ、所員一丸となって頑張っていきたいと思います。

牛肉の放射性物質測定

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(8) No.3179 2011.11.21 AnimalHygieneWeekly(家畜衛生週報) 第

家 畜 衛 生 週 報

毎週月曜日発行

編集・発行:農林水産省消費 ・安全局畜水産安全管理課、動物衛生課

 03(3502)8111 内線 4581

〒 100 - 8950 東京都千代田区霞が関 1- 2- 1

通  信

- 368 -

質問項目に該当する方は、日本到着時に手荷物引き取り場内にある動物検疫所カウンターに寄っていただき、その回答に応じて、靴・カバンなどの手荷物の消毒や入国後の衛生指導を行います。

〈質問の内容〉

Q1.過去 1 週間以内に牛、豚、鶏などの家

畜に接触したり、牧場、と畜場などの畜産施

設に立ち寄りましたか?

Q2.家畜やその糞尿、牧場等の土に触れた衣

類や靴などを所持していますか?ハム、ソー

セージなどの肉製品を所持していますか?

Q3.日本国内で、1 週間以内に家畜に触れる

予定がありますか?

【靴底消毒と車輌消毒】従来より、空海港において、全ての入国者に対する靴底消毒やフェリー等により入国する車輌の消毒を徹底しています。

【手荷物検査の強化】検疫探知犬等を活用し、畜産物の持ち込みに関する手荷物検査を強化しています。また、渡航者・入国者の増加する年末年始や春節、GWなどには、取組を強化しています。

【畜産関係者の方へ】今後も、海外から、口蹄疫などの病原体を意図せずに持ち込むことのないよう、動物検疫にご協力をお願いいたします。また、畜産農家は、水際措置だけに注目するのではなく、農場のバイオセキュリティを確保することが最も重要です。海外からの物品の購入や、海外での農場等への立ち入りは最も気を付けていただきたいことです。地方自治体や畜産団体等におかれては、畜産農家の方への注意喚起や動物検疫制度の周知にご協力をお願いいたします。

空海港における水際検疫の強化について(農林水産省HP)http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/ quarantine_beefup.html

10 月 27 日に、食品安全委員会は、食品に含まれる放射性物質の食品健康

影響について、放射線による健康の影響が見いだされるのは、通常の一般生活において受ける放射線量を除いた生涯における追加の累積線量として、おおよそ 100mSv 以上とする評価結果をとりまとめました。これを受け、厚生労働省は、食品に係る現在の暫定規制値 ( 飲料水や牛乳乳製品は放射性セシウムで 200Bq/kg、穀類や肉魚等は同 500Bq/kg) に適合している食品は健康への影響はないと一般的に評価され、安全は確保されているが、より一層食品の安全と安心を確保するため、来年4月を目途に、一定の経過期間を設けた上で、許容できる線量を年間1mSv( 現在は同5mSv)に引き下げることを基本として、薬事・食品衛生審議会において規制値設定のための検討を進めていくことを明らかにしました。放射能や放射性物質の話が毎日報道されていますが、用語や単位等の基礎的な事項を含めて、わかり

やすい知識を提供することが重要であると考えています。農林水産省では、「放射性物質の基礎知識」と「食品等に含まれる放射性物質」について、農林水産省における対応を中心に資料をまとめて公表しましたので、ご活用下さい ( ウェブページは http://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/saigai/kiso_chishiki.html、または「農林水産省/放射性物質の基礎知識」で検索して下さい。)。

港での車輌消毒の様子