作 業 安 全 マ ニ ュ ア...

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1.伐 1- 1. 鋸断 1 1- 2. 伐倒方向の選定 4 1- 3. 伐倒前の準備作業 5 1- 4. 退避場所の選定 6 1- 5. 伐倒の合図 6 1- 6. 伐倒の方法 6 1- 7. 退避 8 1- 8. かかり木の処理 9 1- 9. 枝払い 11 1-10. 玉切り 12 2.下 2-1. 刈払機、刈刃の選定 14 2-2. 一般的注意事項 14 2-3. 作業計画 15 2-4. 刈払機の取扱い 15 2-5. その他の留意事項 18 作 業 安 全 マ ニ ュ ア ル 平成25年4月 NPO法人 フォレスターズかがわ 技術 編

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Page 1: 作 業 安 全 マ ニ ュ ア ル(1)チェーンソー作業は、足場をしっかり確保し、身体のバランスのよい姿勢で行うこと。①傾斜地では、スリップしないよう足場に気を付ける。②チェーンソの前ハンドルを左手、後ハンドルを右手

   1.伐 倒 作 業1- 1. 鋸断 11- 2. 伐倒方向の選定 4

1- 3. 伐倒前の準備作業 5

1- 4. 退避場所の選定 6

1- 5. 伐倒の合図 6

1- 6. 伐倒の方法 6

1- 7. 退避 8

1- 8. かかり木の処理 9

1- 9. 枝払い 11

1-10. 玉切り 12

   2.下 草 刈 り2-1. 刈払機、刈刃の選定 142-2. 一般的注意事項 142-3. 作業計画 152-4. 刈払機の取扱い 152-5. その他の留意事項 18

作 業 安 全 マ ニ ュ ア ル

平成25年4月

NPO法人 フォレスターズかがわ

( 技術 編 )

Page 2: 作 業 安 全 マ ニ ュ ア ル(1)チェーンソー作業は、足場をしっかり確保し、身体のバランスのよい姿勢で行うこと。①傾斜地では、スリップしないよう足場に気を付ける。②チェーンソの前ハンドルを左手、後ハンドルを右手

1.伐 倒 作 業

 1-1.鋸 断(チェーンソー作業)

 1-1ー1.作業姿勢

     正しい姿勢で作業すれば、安全な作業ができるばかりでなく、振動障害の予防にも役立ち、また、

     能率もあがります。

   (1)チェーンソー作業は、足場をしっかり確保し、身体のバランスのよい姿勢で行うこと。

①傾斜地では、スリップしないよう足場に気を付ける。

②チェーンソの前ハンドルを左手、後ハンドルを右手

  で持つ(左利きの人も必ずこの持ち方をします)

③立った姿勢での構えは、左足をやや前方に出し、

  両足は肩幅程度に開く。

④鋸断位置が低い場合は、同じ構えで中腰の安定し

  た姿勢をとる。

  受け口切り、追い口切りなどでさらに鋸断位置が

低い場合には、立木に近い左足を立て膝とし、

右足を折り曲げて構える。

   (2)チェーンソーは、身体の近くで使うようにすること。

  右腕のひじを右脇腹に付け、左腕をわずかに曲げるように持つと、チェーンソーが身体の

近くで操作できる。

  受け口切り、追い口切りのときは、左腕の肘を膝か

もものところへ付けるようにするとよい。

  両肘を体から離すと背中や腕に負担がかかるばか

りでなく、ハンドルを強く握るようになり、振動障害予防

上からも好ましくない。

   (3)ハンドルは、正しく握ること。

①左手は、キックバックに備えて、必ず親指(第1指)を下に回して、前ハンドルを握ります。

  右手は、スロットルロックアウトを押しつつ後ハンドルを握り、人差し指(第2指)でスロット

  ルレバーを操作します。

  手首は、まっすぐにしておきます。曲げておくと腕が疲れ振動障害予防の観点からも好

  ましくない。

②水平切りのときは、左手は前ハンドルの側方部を持ちます。バーの上側で水平切りを行

  うときは、右手の親指(第1指)でスロットルレバーを操作すると楽な場合があります。

③受け口の斜め切りのときなど 30°から 45°の角度に切るときは、左手は前ハンドルの

  曲がりの中間部を持ちます。

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 1-1-2.鋸断の方法

     鋸断の方法には、ガイドバーを使う部分からみて、バーの下側で切る方法、バーの上側で切る

     方法、突っ込み切りの方法の3とおりある。また、チェーンソーの操作方法からは、先回し切り、

     元回し切り、平行切りがある。

①バーの下側で切る方法(バーの腹を使う方法)

    最も容易で、基本的な方法。バーの下側では

  ソーチェーンは作業者の方へ向かって走ってお

  り、従って、鋸断時にチェーンソーは前方に引

  っ張られ、鋸屑は足元に向かって飛びます。

    このため、スパイクを利用して、「先回し切り」(ス

 パイクを当てた箇所を軸として、バーの先の部分を

  回して扇形に切り進める方法)で切ると楽に切れる。

    正しく目立てをしたソーチェーンを使っていれば、自然に材に食い込んで行くように切

  れていくので、左手は前ハンドルを握っているだけでよく、押しつける必要はない。

    「元回し切り」は、下図のようにバーの先端を軸として、根元の部分を図のようにチェー

  ンソーを操作して、扇形に切り進める方法です。下図のように、直径のやや大きい材を切

  る場合、[先回し切り]と組み合わせをすると良い。

    「平行切り」は、バーを平行に移動させて、切り進める方法。

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②バーの上側で切る方法(バーの背を使う方法)

  バーの下側で切れない条件のときに用いる

方法。バーの上側ではソーチェーンが作業者の

反対の方向に向かって走っています。そのため、

チェーンソーは作業者の方へ押され、鋸屑は前方

へ飛びます。

  作業者は肘を身体につけるなどして、チェーン

ソーをしっかり保持することが必要。

  バーの上側で切るときは、平行切りが主体です。

(下から切り上げるときは、バーの先端を下げて斜

めに切ることが一般的)

  この方法は、枝払い、玉切り作業における切り

上げに適している。

③バーの先端で切る突っ込み切りの方法

  中大径木の芯切り、追いづる切りのときの追い口切りなどの場合に用いる方法。

  キックバックを避けるため、バーの先端部下側でバーの幅分の切り口を作り、ついでに

チェーンソーの向きを突っ込む方向へ変えて、切り進めます。最初から突っ込む方向で切り

込むと、キックバックが起きて大変危険。

 1-1-3.キックバックの防止

     走行中のソーチェーンが木材や障害物に当たってガイドバーが跳ね上げられることをキックバック

    現象という。

     キックバックによる災害を防止するため、次のことに心がけよう。

①ガイドバーの先端部上部だけでは、切らないこと。

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②バーの先端が鋸断中の材の陰にある

  小丸太に触れないように注意すること。

 1-1-4.その他鋸断上の注意事項

   (1)できるだけチェーンソーの自重を利用して鋸断することとし、

     無理に押しつけないこと。

無理に押しつけて鋸断すると、クラッチ部などの

損傷につながり、また、振動障害予防上もよくない。

   (2)ソーチェーンが材で締め付けられたとき、スロットルレバーを引いて無理にエンジンを回転させない。

     このような場合は、一旦エンジンを停止し、くさびなどを用いてのこみちを拡げ、外すこと。

   (3)曲がって切り込んだ場合は、途中から無理に直さず、切り直しをする。

原因 : ●鋸断姿勢が悪い

      ●ソーチェーンの目立ての負揃い

      ●ガイドバーの変形

   (4)運転中は、ソーチェーンに十分チェーンオイルが供給されていること。

 1-2.伐倒方向の選定

   (1)伐倒方向は、伐倒する立木の状態、隣接木の状況、地形、風向、伐倒後の作業、材を損傷

     させないことなどを考慮して、安全で確実に倒せる方向を選定する。

①立木の傾き、曲がり、枝の張り具合など、立木の状

  態から重心の位置を判断する。

②隣接木との、枝がらみ、つるがらみの有無とその状

  態、伐倒方向線上の障害物の有無と伐倒方向の

  変化、はね返りの可能性などを判断して、伐倒の

方向を選択する。

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   (2)伐倒方向は、一般的には、斜面の横方向か、斜め下方を選定する。

①横方向への伐倒は、伐倒した材の安定がよく、伐倒後の作業が容易です。重心を移動させ

  て伐倒することが多いので、多少の熟練を要します。

②斜め下方への伐倒は、重心の方向に近い方向へ伐倒することが多く、比較的作業は容易。

③重心が谷側にある木を下方向に倒すのは容易ですが、倒れるときの速度が最も大きくなる

  ため、伐倒木が折れるなど材の損傷が起きやすいばかりでなく、折れた幹や枝の飛来のお

  それがあります。

④上方向への伐倒は、通常は起こし木になり、くさびやけん引具を用いて行うことが必要で熟

  練を要します。適切な伐倒でないときは、倒れるときに元口が作業者に当たったり、伐倒木

  が滑落して作業者を巻き込むおそれがあります。

 1-3.伐倒前の準備作業

   (1)伐倒する立木について、かかり木、隣接木との枝がらみ、つるがらみ、落下のおそれのある

     枯れ枝や冠雪を調べ、必要に応じ事前に処理しておく。

立木に巻き付いているつる類は、取り除いておく。

   (2)伐倒したとき、接触して跳ね返るおそれのある立木、折れて飛来するおそれのある枯損木

     などは、処理しておく。

   (3)伐倒作業に支障となる周囲のかん木、笹、浮き石などは、除去しておく。

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 1-4.退避場所の選定

   (1)退避場所は、あらかじめ選定しておく。

   (2)退避場所は、伐倒方向の反対側の斜面上方で

     3m以上離れた箇所とし、立木の陰などの安全

     なところを選ぶ。

   (3)退避路は、かん木、笹など退避の支障となるも

     のを取り除き、作業用具などを退避路上に置か

     ないようにする。

退避するとき、かん木、笹などが支障となり、転

倒のおそれがある。

 1-5.伐倒の合図

   (1)伐倒作業では、定められた合図を、呼子又は大声で必ず行い、周囲の作業者及び通行者

     の安全を確認して作業を進める。

   (2)合図は、次により行う。

予告合図  : 受け口切りの作業の開始直前に行う。

本 合 図  : 追い口切りの作業開始直前に、他の作業者の退避を確認してから行う。

終了合図  : 伐倒が終了したら、伐倒した材の安定と、周囲の安全を確認してから行う。

 1-6.伐倒の方法

 1-6-1.受け口切り

   (1)伐採点は、山側の地際を標準として、受け口の

     位地を確かめ、なるべく下げること。

材の有効利用を図るため、伐採点を下げる

ことが、通常要請されるが、安全な正しい作

業手順で作業が行われることを確かめて、

伐採点を決めます。

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   (2)伐倒を容易にするため、除去を必要とする根張りは、

     切り取っておく。

根張り切りは、伐倒を容易にするとともに、伐

倒方向をずれにくくする。

なお、空洞木、腐れ木の根張りは残しておく。

   (3)受け口の下切りの深さは、根張りを除いた伐根直径の1/4以上とする。

     ただし、大径の木では、根張りを除いた伐根直径の 1/3以上とする。

     受け口の下切りは、水平に切り込むこと。

①受け口の向いている方向が伐倒方向です。

②受け口が小さいと、隣接木とのわずかな接触

  や強い風で、伐倒方向がずれるおそれがある。

③広葉樹は、一般的に受け口を大きめに作るのが

  よい。傾き木、裂けやすい木は、その木の状況に

  大きめの受け口とする。

   (4)受け口の斜め切りは、下切りに対し、 30°~45°の角度とする。

   (5)受け口の下切りと斜め切りとは、終わりの部分を必ず一致させる。

 切り終わりの部分が一致していないと、追い口切りをしたとき、切り込み過ぎの部分がつるの

 機能を低下させて早く倒れたり、食い違いの部分が支点になって裂けたり、引き抜けたりして

 危険です。

   (6)受け口を作ったとき、必要に応じ芯切りをあわせて行っておく。

大径木では、必ず芯切りをして、裂け、芯抜け(やり)、

伐倒方向のずれを防止しましょう。

 1-6-2.追い口切り

   (1)追い口切りは、受け口の高さの、下から2/3程度の位地を

     水平に切り込むこと。

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   (2)追い口切りの深さは、一般的には、つるの幅が伐根直径の

     1/10程度を目安とし、切り込みすぎないようにする。

 1-6-3.伐根のチェック

   伐倒が終わったとき、倒れたときの状況と伐根を観察して伐倒方向をチェックし、伐倒技術の

   向上と安全確保に役立てる。

   伐根の観察では、特につるの部分をよくみる。つるの大きさはよいか、また裂け、引き抜けが

   ないか調べ、つるの働きを理解し、技術を向上させよう。

    ●つるが良く機能した例

        つるは、有効に機能すれば、切断した跡が引きちぎれた状態になっている。徐々に時間を

       かけて倒れたことの証拠です。つるは、作業者の命を守るものです。

    ●つるが機能しなかった例

       追い口の位地が低いとつるがほとんど機能しない。つるが裂けたままで、ちぎれた状態に

       なっていない。

 1-7.退 避

   (1)追い口が浮き始めたら、前もって決めてある退避場所へ直ちに退避する。

①チェーンソーなどの用具類を持ったままでは素早い退避は出来ない。用具類を置いて

  退避するなどその場に応じた対応が必要。

②退避場所では、伐倒木の跳ね返り、回り木、枝の飛来などに注意し、突発的な自体に

  備える。

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   (2)退避場所から出るときは、伐倒木が安定し、上方からの落下物、転落物がないことを確かめてか

     らにする。

伐倒木は倒れてから安定するまでに時間を要し、

また、折れた枝が時間をかけて落ちてくることが

あるので注意。

 1-8.かかり木の処理

   (1)かかり木の処理は、細心の注意を払って作業すること。

 かかり木の処理は、伐倒作業の中で最も危険な作業

の一つ。

 まず、かかり木とならないよう、正しい手順による伐倒

が大切。

 かかり木となってしまったときは、安易な対応を避け、

慎重な処理にこころがけることが大切。

 手に負えないと判断したときは、熟練者に依頼する

ことが適切。

   (2)かかり木は、早期に処理する。

 放置したかかり木が落下して、下で作業していた

作業者が災害を受けた事例は多い。

 かかり木となってしまったときは、早期の処理が

必要。

   (3)かかり木から離れるときは、標示をしておく。

 他の作業者が誤って近づかないよう、あらかじめ

打合せておいた標識で標示しておく。

 作業着手前に発見したかかり木(自然に生じた

ものなど)も標示しておく。

   (4)かかり木は、かかり木が外れたときに危険の生じない位地から、かかり具合をよく観察して、安全な

     作業方法により処理する。

①かかっている木の胸高直径が20センチメートル未満で、容易に外れることが予想される場

  合は、木回し、ターニングストラップ、ロープ等を使って外します。

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②かかっている木の胸高直径が20センチメートル以上である場合又はかかり木が容易に外

  れないことが予想される場合は、けん引具等を使って外します。

   (5)次に掲げる方法によるかかり木の処理は、行わない。

①かかられている木の伐倒

  かかり木がいつ落ちてくるかわからず、大変危険。

②投げ倒し(浴びせ倒し)

  伐倒木が予期しない方向にはねたり、また、二重

のかかり木になって、更に処理が困難になり、危険

が増す。

③元玉切り

  かかり木の元玉を切り離す方法。切り離したとき、か

  かり木が落下したり、滑落したりして危険。

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④かかられている木の枝切り

  かかられている木に登り、枝を切って外す方法。かかり木が外れるときに、大きく揺れたり

して作業者が転落することがあり危険。

⑤肩で担う

かかり木を肩で担うと、木の重量が作業者にかかり、

外れた木の下敷きとなったり、外れた木が滑落して

 1-9.枝払い

   (1)枝払い作業は、材の安定を確認のうえ、足場を確保してから作業に着手する。

   (2)材の上での枝払い作業は、転倒、転落のおそれがあるので

     行わない。

 材が地上から2m以上も浮いている部分の上での

作業は、墜落による災害のおそれがある。

 また小径の材の上は、足場がせまくて不安定なので、

このような材の上での作業は避ける。

   (3)伐採現場での枝払いが困難な場合は、集材作業で材を動

     かしてから枝払いを行う。

   (4)枝払いは、原則として山側に作業者が位地して行い、

     元口から材の先端へ向かって作業をすすめる。

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   (5)材をまたいでの操作やチェーンソーのバーが

     自分の足に向かうような操作は、行わない。

   (6)枝払いは、できるだけガイドバーの根元の部分を

     使って切る。

ガイドバーの先端上部は、キックバックを起

こしやすいので、この部分を使って枝払いをしない。

   (7)支え枝は、材の安定を確かめて切り払う。

 傾斜地において、地面に接して伐倒木を

支えている枝は、杭止めなどを行い、材の

安定を確認した後で切る。

   (8)長い枝は、二度に分けて切るなど、枝の跳ね返りなどに注意して切る。

 長い枝は、枝の裂けや跳ね返りを防ぐため一度

に切り落とさず、まず半分程度の箇所を切り落とし、

ついで根元を切るようにする。

   (9)斧を使用して枝払いする場合は、次のことに注意する。

①振り下ろす斧の刃先の方向に足を出さない。

 斧による枝払いは、自分の位地する反対側

 の枝を切り払うことを原則とし、斧の刃先を決

 して自分の足先に向けて振り下ろさない。

②振り下ろすところに、刃先にふれる枝やかん木のないことを確かめる。

③もじり斧、片手斧など不安定な構え方での

 作業はしない。

 腕が交差した状態で使う「もじり斧」は、力の

加減が難しく、振る方向を誤りやすいので、

行わない。

   (10)同時に2人以上で、同一の材の枝払いをしない。

枝払いが進むと材が不安定になり、転びだすことがある。また、近接作業となる。

 1-10.玉切り

   (1)玉切りは、無理な作業姿勢、無理な作業方法で行わないこと。

 玉切り作業を無理な作業姿勢で行うと単に

疲れるばかりでなく、玉切った材が転がるなどして危険。

 例えば、やがらになった材の玉切りは危険です。やが

らになった材は、そのままでは一応安定していますが、

玉切ると材が転がったり滑ったりします。

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   (2)玉切り作業を行うときは、必ず斜面上部に立って行い、足を材の下に入れないこと。

 斜面下部の作業では材が転がると危険です。どうし

ても斜面下部で作業しなければならないときは、ロープ

などで材を固定してからにする。

 また、材の状態をよく観察して切り離した材等の動き

によって、危険が生じない位置で作業します。

   (3)玉切った材で転がるあそれのあるものは、安定する場所まで

     転がすか、杭止めを行って、安定させておくこと。

   (4)玉切りのときは、ガイドバーがはさまると引き抜き難いので、はさまれないうちにくさびを打つこと。

 はさまれたとき、ガイドバーをこじってはずそうとする

と取付部やバーを損傷し、また、エンジンをジンをふか

してはずそうとするとクラッチ関係の故障の原因となる。

   (5)片持ち材、橋状の材などを玉着るときは、くさび、支柱などを使用し、

     材を安定した状態にして行うこと。

①片持ち材の玉切りは、裂けないように注意し、図のように

  まず、材の下部 1/3 をガイドバーの背(上側)を使って

  切り上げ、つぎに材の上部を切る。

   (6)同時に2人以上で、同一の材の玉切りをしないこと。

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2.下 草 刈 り

 2-1.刈払機・刈刃の選定

    (1)刈払機の種類

 ・2サイクルエンジン、電動刈払機

    (2)刈払機の構造

 ・エンジン部、電動伝達部、刈刃部

 ・肩掛式(Uハンドル、2グリップ、ループハンドル)背負式等

    (3)刈刃

 ・丸鋸刃、笹刈刃、チップソー、切込刃等

     ※選択にあたっての留意点

 ・林業に適した構造、強度

 ・作業中転倒しても、体に刈刃が接触しにくい構造・・・・肩掛け式腰バンド付き

 ・作業者の性別、年代・・・軽量・小型・低振動・低騒音

 ・刈刃は、まる鋸刃、それ同等の性能、安全性を有するもの

 2-2.一般的注意事項

    (1)服装・保護具

 ・保護帽        ・防振手袋      ・耳栓

 ・合図用の笛     ・防塵めがね     ・防蜂網

    (2)持ち運び等

     1)通勤歩行

 ・刈刃を外す、刈刃に刃覆いをかける

 ・歩行者間の距離を十分に保つ

 ・通勤路の整備

     2)移動歩行

 ・エンジン停止

     3)熱中症の予防

       4)蜂刺されの防止

 ・防蜂網の着用

 ・救急薬品等の携行

     5)火災の防止

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 2-3.作業計画

    (1)あらかじめ作業計画を定め作業者全員に徹底を図る

 ・事前踏査による刈払区域と危険箇所

 ・T.B.M : 作業手順及び作業者の配置及び合図等確認

 ・K.Y.T : その日の作業に潜む危険を指摘しあい、安全注意事項をもうける

    (2)作業手順、作業配置の注意点

      1)作業者への接近注意

 ・作業者の振り向き時の注意

 ・作業者に近づく時は必ず合図をして、刈刃の停止を確認してから。

      2)上下作業の禁止

      3)危険区域半径5m立入禁止

※安全作業上は15m以上離れることが望ましい

      4)急傾斜地下方への作業の禁止

※状況に応じて鎌等の手工具を使う

※刈刃の回転方向の反対側に進まないようにする

 2-4.刈払機の取扱い・作業方法(肩掛け式Uハンドル)

  2-4ー1.刈払機の装着

     (1)肩バンドと肩当てを正しくあてがい、腰当てが右腰の適当な位置(高さ)になるよう肩バン

       ドの長さを調節した後、腰バンドを締める。

   (2)刈り払い機を吊り金具に吊り、バランスの調整を行う。(刃が刈払機高になるように

  2-4ー2.エンジンのかけ方

   ※平坦な所に置き、刈り刃が地面に触れないように注意。

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     [冷えたエンジン始動]

1)停止スイッチ・・・解除、プライミングポンプ・・・数回押す。

2)チョークレバー・・・閉、コントロールレバー・・・低速。

3)機体をしっかり押さえ、スタータハンドルを手応えのあるところから強く引く。

4)最初の爆発音がしたら、チョークレバー・・・閉

5)止まった場合、再度スタータハンドルを引き始動させる。

     [暖まっているエンジン始動]

1)燃料タンクが空の場合は給油後、プライミングポンプ・・・数回押す。

2)停止スイッチ・・・解除、チョクレバー‥・開、コントロールレバー‥‥‥低速。

3)機体をしっかり押さえ、スタータハンドルを手応えのあるところから強く引く。

※エンジン始動後は、2~3分アイドリングをし、無負荷で高速運転をしない。

     [エンジン停止]

1)スロットルを低速。

2)停止スイッチ・・・停止の位置。

  2-4ー3.基本動作

1)構え方・・・操作桿を軽く握り、上体をまっすぐ起こし、両足を肩幅よりやや広めに

  開き、右足を半歩前に出す。

2)全身・・・刈り払った分だけ右足からスリ足で。 一時的にでも左足が前に出ない。

3)横移動・・・移動方向の足から、小刻みな足さばきで。

4)体の振り・・・腕だけでなく、刈刃が常に身体の正面になるよう、腰と膝を使って

  振る。

※連続的な作業なので、リズムのある動作で、体と刈り払機が一体となるよう重心

を移動。

  2-4ー4.鋸断位置

     草類の鋸断位置           灌木の鋸断位置

※笹、堅い雑草木の刈り払いは、刈り込み幅を小さくする。

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Page 18: 作 業 安 全 マ ニ ュ ア ル(1)チェーンソー作業は、足場をしっかり確保し、身体のバランスのよい姿勢で行うこと。①傾斜地では、スリップしないよう足場に気を付ける。②チェーンソの前ハンドルを左手、後ハンドルを右手

  2-4ー5.刈り払い作業

1)刈り幅・・・・・・約 1.5m 程度

2)立ち位置・・・・中央よりやや左側

3)刈り払いは、右から左へ2~3回

          に分けて行う。

※緩い傾斜地・・・刈り刃の送り方向

           を谷側にする。

※急な傾斜地・・・山側に向かって

    刈り進む。

4)刈り払い対象物を左側に倒しながら行う。

※刈り刃を5~10°傾けると寄せやすい。

 ・ 大振りの禁止

 ・ 往復刈りの禁止(刈り刃の回転方向と反対方向への刈り払いの禁止)

 ・刈り刃回転中の接触防止

※草等が飛散防護装置等刈り刃周辺部に絡まった場合は、必ずエンジンを止め、

  回転が止まってから除去する。

  2-4ー6.障害物の注意

1)二段刈り

 ・ 障害物が予想される箇所では、まず刈り足を高くして安全を確認してから、低く

  刈り込む。

2)刈り刃が岩石等障害物に当たった場合

 ・ 直ちにエンジンを止め、刈り刃の亀裂、割れ、欠けを点検。程度により歯車室、

  操作桿等も点検。

  2-4ー7.伐倒作業

 ・ 切断部直径・・・・・5㎝程度以下

 ・ 伐倒危険区域・・・樹高の 1.5 倍

※小径木でも受け口を作り慎重に伐倒する。

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  2-4ー8.点検・整備

(1)毎日点検

1)エンジン外部の点検 2)エアクリーナの汚れ

3)燃料タンクの空気穴の目づまり等 4)歯車室周辺の汚れ

5)刈り刃の損傷、変形の有無 6)ネジ類のゆるみと脱落の有無

7)その他の部品の損傷、変形の有無 8)吊り金具と吊りバンドの損傷の有無

9)緊急離脱装置と飛散防護装置の機能

(1)毎週点検

1)燃料フィルターの汚れ 2)燃料タンクの汚れと損傷の有無

3)フレキシブルシャフトの潤滑状況等 4)歯車室の潤滑状況等

(1)毎月点検

1)マフラーの汚れと損傷の有無 2)シリンダ冷却フィンの汚れと損傷の有無

3)スパークプラグの機能点検 4)クラッチの汚れとシューの摩耗の有無

5)リコイルスタータの汚れと損傷の有無 6)防振ゴムの劣化と損傷の有無

7)動力電動軸の摩耗等の有無

  2-5.その他 作業時の留意事項

 作業時の スロットル

2時間/日  中途半端な回転は、プッシュバック・連続10分以内  プルインなど、労働災害の発生の原因

 となる2時間/日  2時間連続使用するため、できるだけ連続30分以内  必要最小限の回転での使用が望ましい5分以上休憩

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特徴

チェンソー 全開

刈払機 必要最小限

区分 使用時間