改正民法ここが変わる ~債権総論編~2020年合格目標...
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2020 年合格目標 行政書士試験特別公開講座 『改正民法ここが変わる~債権総論編~』
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改正民法ここが変わる ~債権総論編~
令和元年11月23日
担当講師 LEC専任講師・弁護士 日 髙 正 美
*本レジュメにおいて(旧)は現行法の規定を指し,(新)は令和2年4月1日施行の改正法の規定を指す。
1. 【特定物の引渡しにおける善管注意義務】
(新)第400条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは,債務者は,その引渡しを
するまで,契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定ま
る善良な管理者の注意をもって,その物を保存しなければならない。
※下線部の文言が追加され,善管注意義務の内容決定の基準が具体的に示された。
2. 【法定利率に関する変動制の採用】
(新)第404条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは,その利率
は,その利息が生じた 初の時点における法定利率による。
2 法定利率は,年3パーセントとする。
3 前項の規定にかかわらず,法定利率は,法務省令で定めるところにより,3
年を1期とし,1期ごとに,次項の規定により変動するものとする。
4 各期における法定利率は,この項の規定により法定利率に変動があった期の
うち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割
合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に1パーセント未
満の端数があるときは,これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に
加算し,又は減算した割合とする。
5 前項に規定する「基準割合」とは,法務省令で定めるところにより,各期の
初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの各月における短
期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間
が1年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を60で除して
計算した割合(その割合に0.1パーセント未満の端数があるときは,これを
切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。
※本条の改正に関連して,419条1項に「債務者が遅滞の責任を負った 初の時点にお
ける」という文言が追加されている。
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【不能による選択債権の特定】
(新)第410条 債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において,その不
能が選択権を有する者の過失によるものであるときは,債権は,その残存する
ものについて存在する。
※改正前は,当事者双方に過失がなく不能が生じた場合にも,残存するものへの特定が生
じる旨規定されていたが,改正法により,選択債権の特定が生じるのは選択権者有過失
の場合に限定されることとなった。
4. 【不確定期限付き債務の履行遅滞時期】
(新)第412条第2項 債務の履行について不確定期限があるときは,債務者は,その
期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知っ
た時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
※下線部の文言が追加された。
5. 【受領遅滞】
(新)第413条 債権者が債務の履行を受けることを拒み,又は受けることができない
場合において,その債務の目的が特定物の引渡しであるときは,履行の提供を
した時からその引渡しをするまで,自己の財産に対するのと同一の注意をもっ
て,その物を保存すれば足りる。
2 債権者が債務の履行を受けることを拒み,又は受けることができないことに
よって,その履行の費用が増加したときは,その増加額は,債権者の負担とす
る。
※受領遅滞責任の内容を,通説の見解に従って明らかにした。
6. 【履行の強制】
(新)第414条 債務者が任意に債務の履行をしないときは,債権者は,民事執行法そ
の他強制執行の手続に関する法令の規定に従い,直接強制,代替執行,間接強
制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求することができる。ただし,
債務の性質がこれを許さないときは,この限りでない。
2 前項の規定は,損害賠償の請求を妨げない。
※本条を簡素化し,強制執行手続の詳細については民事執行法等に委ねることとした。
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7. 【債務不履行による損害賠償】
(新)第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が
不能であるときは,債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求すること
ができる。ただし,その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引
上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるもの
であるときは,この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において,債権者
は,次に掲げるときは,債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができ
る。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において,その契約が解除され,
又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
※本条第1項では,帰責事由の立証責任の所在を明らかにするとともに,帰責事由の判断
基準を明確化した。
※本条第2項は,填補賠償が可能な場合について,判例・通説をふまえて規定したもので
ある。
8. 【損害賠償の範囲】
(新)第416条第2項 特別の事情によって生じた損害であっても,当事者がその事情
を予見すべきであったときは,債権者は,その賠償を請求することができる。
※旧法では下線部は「当事者がその事情を予見し,又は予見することができたときは」と
いう文言だった。
9. 【過失相殺】
(新)第418条 債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者
に過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の責任及びその
額を定める。
※下線部の文言が追加された。
10. 【賠償額の予定】
(旧)第420条第1項 当事者は,債務の不履行について損害賠償の額を予定すること
ができる。この場合において,裁判所は,その額を増減することができない。
※下線部の文言が削除された。
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11. 【債権者代位権】
※(新)423条から423条の7まで ~以下本項では(新)を省略する。~
⇒判例法理・通説を条文化する趣旨で,①債権者代位権行使の要件の明確化(423条),
②代位行使可能な被代位権利の範囲の明確化(423条の2),③債権者から相手方に対
して自己への直接の金銭支払を求めることができる旨の明文化(423条の3),④債権
者代位の相手方が債務者に対して有する抗弁の取扱いの明確化(423条の4),⑤債権
者代位権の転用の明文化(423条の7)がなされた。
⇒また,実際上活用されていない裁判上の代位(旧423条2項本文)を廃止した。
⇒債権者代位制度の合理化を図るため,⑥債権者代位権が行使された場合における債務者
の処分権限を制限しないこととし(423条の5),⑦債権者代位訴訟提起時における債
務者への訴訟告知制度を創設した(423条の6)。
12. 【詐害行為取消権】
※(新)424条から426条まで ~以下本項では(新)を省略する。~
⇒詐害行為取消権の要件に関して,①取消しの対象を「法律行為」から「行為」に改め(4
24条1項),②被保全債権の範囲を明確化し(同条3項),③被保全債権の種類を明確
化した(同条4項)。
⇒破産法の否認権制度を参考にしつつ,④相当の対価を得た財産処分行為(424条の2),
⑤既存の債務についての担保の供与及び債務消滅行為(424条の3,424条の4)
について,詐害行為取消権の要件の特例を設けた。
⇒転得者に対する詐害行為取消請求に関し,⑥「受益者に対して詐害行為取消請求をする
ことができること」という要件を加重した(424条の5)。
⇒判例法理を明文化する趣旨で,⑦逸出財産の債務者への返還請求権等の明確化(424
条の6),⑧詐害行為取消権の行使の範囲の明確化(424条の8),⑨債権者から相手
方への直接の支払請求権等の明確化(424条の9)がなされた。
⇒⑩詐害行為取消請求訴訟の被告適格等を明文化するとともに(424条の7),⑪認容判
決の効力が及ぶ範囲を明文化した(425条)。なお,改正425条は,判例の見解(相
対的取消説)と異なる立場を採用するものである。
⇒425条の改正に関連して,⑫詐害行為取消請求が認容された場合における受益者又は
転得者の債務者に対する反対給付返還請求権(425条の2,425条の4)及び⑬債
務消滅行為の受益者又は転得者の債権の復活(425条の3,425条の4)の規定が
設けられた。
⇒詐害行為取消権の期間制限(426条)に関し,⑬2年の制限期間の起算点の明確化,
⑭長期の期間制限の短縮(20年⇒10年),⑮出訴期間であることの明文化がなされた。
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13. 【多数当事者の債権・債務(保証以外)】
※(新)427条から445条まで ~以下本項では(新)を省略する。~
⇒①連帯債権に関する規定の新設(432条~435条の2)
⇒連帯債務に関する絶対効事由を見直し,②履行の請求を相対効化(旧434条の廃止),
③他の連帯債務者の相殺権の援用を認めないこととする代わりに抗弁権の主張を認める
こと(439条2項),④債務の免除を相対効化(旧437条の廃止),⑤消滅時効の完
成の相対効化(旧439条の廃止)がなされた。
⇒判例・通説を条文化する趣旨で,連帯債務者の求償権に関する規定の見直しがなされた
(442条~445条)。
⇒不可分債権・不可分債務に関する規定が見直された(428条~430条)。
14. 【保証】
※(新)448条から455条の10まで ~以下本項では(新)を省略する。~
⇒判例・通説を条文化する趣旨で,①主債務の目的・態様が事後的に加重された場合も保
証債務が加重されないことの明文化(448条2項),②主債務者が債権者に対して有す
る抗弁をもって保証人も債権者に対抗できることの明文化(457条2項),③主債務者
が有する相殺権,取消権,解除権により主債務者が免責される限度において,保証人も
履行拒絶できることの明文化(457条3項),④連帯債務に関する規定の改正に適合さ
せる改正(458条・441条),⑤委託を受けた保証人の主債務者に対する求償権の額
に関する規定の明文化(459条1項),⑥保証人が期限前弁済をした場合における求償
権行使時期に関する規定の明文化(459条の2)がなされている。なお,これらの規
定のほか,保証における求償制度を合理化するための改正がなされている(旧460条
3号の廃止等)。
⇒保証人保護の観点から,⑦債権者の情報提供義務(458条の2,458条の3),⑧主
債務者の情報提供義務(465条の10),⑨自然人を根保証人とする根保証契約におけ
る極度額等に関する規律の創設(465条の2,465条の4,465条の5),⑩自然
人を根保証人等とする保証契約に係る公正証書作成の原則義務化(465条の6~46
5条の9)の改正がなされている。
15. 【債権譲渡①~譲渡制限特約の効力】
(新)第466条第2項 当事者が債権の譲渡を禁止し,又は制限する旨の意思表示(以
下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても,債権の譲渡は,そ
の効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には,譲渡制限の意思表示がされたことを知り,又は重
大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては,債務者は,
その債務の履行を拒むことができ,かつ,譲渡人に対する弁済その他の債務を
消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
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4 前項の規定は,債務者が債務を履行しない場合において,同項に規定する第
三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし,その期間内に履行がな
いときは,その債務者については,適用しない。
※旧法における譲渡制限特約の効力については,当該特約の違反がある場合,第三者に対
してもその無効を主張できるとする見解(物権的効力説)が通説であったが,新法は,
かかる見解を採用せず,譲渡制限特約付き債権の譲渡は,特約違反があっても原則とし
て有効である旨規定している。
※債権譲渡制限特約を付した債権の債務者を保護する観点から,特約違反の債権譲渡があ
った場合,債務者が権利供託できる旨の規定が新設された(466条の2)。また,譲渡
制限特約付き債権の譲渡における譲受人を保護する観点から,譲渡人につき破産手続開
始決定があった場合において,譲受人が一定の要件の下で債務者に対し供託するよう請
求できる旨の規定が新設された(466条の3)。
※判例法理を条文化する趣旨で,466条3項の規定は譲渡制限特約付き債権を差し押さ
えた差押債権者には適用しない旨の規定が創設された(466条の4)。
※実務上の必要性に鑑み,預貯金債権に付された譲渡制限特約の効力は,原則として有効
である旨の規定が創設された(466条の5)。
16. 【債権譲渡②~将来債権譲渡】
(新)第466条の6 債権の譲渡は,その意思表示の時に債権が現に発生していること
を要しない。
2 債権が譲渡された場合において,その意思表示の時に債権が現に発生してい
ないときは,譲受人は,発生した債権を当然に取得する。
3 前項に規定する場合において,譲受人が次条の規定による通知をし,又は債
務者が同条の規定による承認をした時(以下「対抗要件具備時」という。)まで
に譲渡制限の意思表示がされたときは,譲受人その他の第三者がそのことを知
っていたものとみなして,第468条第3項(譲渡制限の意思表示がされた債
権が預貯金債権の場合にあっては,前条第1項)の規定を適用する。
※判例法理を条文化した新設規定である。
※将来債権譲渡についても,既発生債権の譲渡と同様の方法によって対抗要件を具備でき
る旨の改正もなされている(467条1項かっこ書の新設)。
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17. 【債権譲渡③~無留保承諾による抗弁切断の制度の廃止】
(旧)第468条第1項本文 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは,譲
渡人に対抗することができた事由があっても,これをもって譲受人に対抗する
ことができない。
※旧468条1項の無留保承諾による抗弁切断の制度は,公平性・合理性の観点から問題
があると指摘されており,今般の改正で廃止された。
18. 【債権譲渡④~債権譲渡における相殺権】
(新)第469条 債務者は,対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権によ
る相殺をもって譲受人に対抗することができる。
2 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても,
その債権が次に掲げるものであるときは,前項と同様とする。ただし,債務者
が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは,この限りでない。
一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
二 前号に掲げるもののほか,譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基
づいて生じた債権
3 第466条第4項の場合における前二項の規定の適用については,これらの
規定中「対抗要件具備時」とあるのは,「第466条第4項の相当の期間を経過
した時」とし,第466条の3の場合におけるこれらの規定の適用については,
これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは,「第466条の3の規定により
同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。
※債権譲渡と相殺に関する無制限説( 判昭 50.12.8 参照)の趣旨を反映して,債権譲渡
における相殺の可否についてルールを明確化した。
19. 【債務引受】
※(新)470条から472条の4まで ~以下本項では(新)を省略する。~
⇒判例法理・通説を条文化する趣旨で,併存的債務引受の規定(470条以下)及び免責
的債務引受の規定(472条以下)を創設した。
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20. 【弁済】
※(新)473条から504条まで ~以下本項では(新)を省略する。~
⇒①弁済の基本的な効果に関する規定の創設(473条),②債権者保護の観点からの第三
者弁済の要件の改正(474条),③預貯金口座に対する払込による弁済に関する規定の
創設(477条),④代物弁済の合意が諾成契約であることの明確化(482条),⑤特
定物の現状引渡しに関する規定の改正(483条),⑥弁済と受取証書交付請求が同時履
行関係にあることの明文化(486条),⑦弁済充当の規定の整理(488条~491条),
⑧弁済提供の効果が履行遅滞責任の免責であることを明確化(492条),⑨弁済供託の
要件・効果に関する規定の改正(494条~498条),⑩弁済による代位に関し,任意
代位についても債権者の承諾を要しないとする(499条)ほか,保証人が代位弁済し
て不動産の第三取得者に代位するに当たり代位の付記登記を要しないこととする等の改
正(500条~502条)がなされた。
⇒合理性が乏しいと解されていた諸規定(旧476条,旧480条)を削除した。
⇒「債権の準占有者」(旧478条)という文言を「受領権者(債権者及び法令の規定又は
当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)
以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」(新
478条)に改めた。
21. 【相殺①~相殺制限特約の第三者対抗要件】
(新)第505条第2項 前項の規定にかかわらず,当事者が相殺を禁止し,又は制限す
る旨の意思表示をした場合には,その意思表示は,第三者がこれを知り,又は
重大な過失によって知らなかったときに限り,その第三者に対抗することがで
きる。
※旧法で「善意の第三者」に対抗できない旨規定されていたのに対し,新法は,これを悪
意又は重過失の第三者に対抗できる旨の規定に改めた。
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22. 【相殺②~不法行為に基づく損害賠償債権を受働債権とする相殺の禁止の範囲の見直し】
(新)第509条 次に掲げる債務の債務者は,相殺をもって債権者に対抗することがで
きない。ただし,その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたとき
は,この限りでない。
一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)
※509条の制度趣旨(不法行為の誘発防止,被害者に対する現実的な損害填補)に照ら
しても,人の生命・身体の侵害を伴わない単なる過失行為により生じた不法行為損害賠
償債務を受働債権として相殺することは上記制度趣旨に反しないと解されることから,
同条による相殺禁止の範囲を見直す旨の改正がなされた。また,被相殺者が不法行為損
害賠償債権を債権譲渡により取得した場合にも上記制度趣旨は妥当しないため,相殺を
許すこととした。
23. 【相殺③~無制限説の明文化】
(新)第511条 差押えを受けた債権の第三債務者は,差押え後に取得した債権による
相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが,差押え前に取得した債
権による相殺をもって対抗することができる。
2 前項の規定にかかわらず,差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づ
いて生じたものであるときは,その第三債務者は,その債権による相殺をもっ
て差押債権者に対抗することができる。ただし,第三債務者が差押え後に他人
の債権を取得したときは,この限りでない。
※判例法理である無制限説( 判昭 45.6.24)を明文化する趣旨の改正がなされた。
24. 【相殺④~相殺の充当に関する規定の整理】
※相殺の充当に関し,合意がある場合には当該合意により,合意がない場合には相殺適状
となった時の順序に従う旨を明確化した(新512条)。
以 上
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予 告
行政書士試験特別公開講座 『改正民法ここが変わる ~債権各論編~』
【日時】 2020(令和2)年 1月 25 日(土) 14:00 ~ 15:30
【会場】 LEC池袋本校
【担当講師】 日髙 正美 LEC専任講師