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ORACLE.COM/JAVAMAGAZINE NOVEMBER/DECEMBER 2012 COMMUNITY 03 JAVA TECH ABOUT US JAVA IN ACTION blog 9月30日~10月4日にかけて開催されたJavaOne 2012のテーマは、「Make the Future Java(未 来のJavaを創る)」でした。 参加者は1週間に渡って、 完全性、生産性、安全性、革新性の面でもっとも優れた開 発プラットフォームとして普及しているJava、そして、コ ミュニティ主導で進化し、オープン性、透過性、協調性を 兼ね備えたJavaが引き続き担う役割というものを見て きました。9月30日(日)に行われたStrategy Keynote では、オラクルのHasan Rizviが、Javaの成功に決定 的な役割を果たした3つの要素である技術革新、コミュニ ティの参加、オラクルのリーダーシップ/管理責任につい て詳しく述べました。技術革新については、Java SEで のMacintosh OS XとLinux ARMのサポート、2012 年末までのJavaFXのオープンソース化、Oracle Java Embedded Suite 7.0のリリース、およびJava EE側 での複数のリリースを取り上げました。コミュニティの 参加については、Java Community Process(JCP) の継続とJSRに対する新しい活動によって、Javaユー ザー・グループの参加が昨年から25%増加したことを 説明しました。管理責任については、オラクルの継続的 な支援活動の事例として、昨年4つの地域で開催された JavaOneカンファレンスおよびJava Magazineの創刊 を取り上げました。ここでは、日曜日に開催された「Java Strategy Keynote」と「JavaOne Technical Keynote」から重要な部分を抜粋して紹介します。 Java 8/Java 9 オラクルのGeorges Saabは、近日登場するJDK 8 リリースと、それに含まれるProject Lambdaおよび Project Nashorn(Java仮想マシン上で動作する JavaScriptの最新の実装)について解説しました。また、 Project Nashornの機能がすでにNetBeans 7.3で内部 的に使用されていること、オラクルがOpenJDKの実装に 協力する計画を発表したことについても取り上げました。 オラクルのBrian Goetzは、ラムダ式や改良された 並列ライブラリなど、Java SE 8で計画されている言語 機能とライブラリ機能について詳しく紹介しました。これ らの機能は、コードの簡素化とライブラリの開放を実現 し、並列処理をより効果的に使用できるように変更を加 えたものです。 オラクルのMark Reinholdは、Java 8の開発プロセ スに参加して、ウィークリービルドで最新のコードと新機能 を実際に使用してみることを開発者らに呼びかけました。 また、Georges Saabは、Java SE 9以降に先送り // java nation / 写真:HARTMANN STUDIOS 未来の JAVAを 創る JavaOne 2012 / Mark Reinhold Georges Saab Brian Goetz Nandini Ramani

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9月30日~10月4日にかけて開催されたJavaOne 2012のテーマは、「Make the Future Java(未来のJavaを創る)」でした。 参加者は1週間に渡って、完全性、生産性、安全性、革新性の面でもっとも優れた開発プラットフォームとして普及しているJava、そして、コミュニティ主導で進化し、オープン性、透過性、協調性を兼ね備えたJavaが引き続き担う役割というものを見てきました。9月30日(日)に行われたStrategy Keynoteでは、オラクルのHasan Rizviが、Javaの成功に決定的な役割を果たした3つの要素である技術革新、コミュニティの参加、オラクルのリーダーシップ/管理責任について詳しく述べました。技術革新については、Java SEでのMacintosh OS XとLinux ARMのサポート、2012年末までのJavaFXのオープンソース化、Oracle Java Embedded Suite 7.0のリリース、およびJava EE側での複数のリリースを取り上げました。コミュニティの参加については、Java Community Process(JCP)の継続とJSRに対する新しい活動によって、Javaユーザー・グループの参加が昨年から25%増加したことを

説明しました。管理責任については、オラクルの継続的な支援活動の事例として、昨年4つの地域で開催されたJavaOneカンファレンスおよびJava Magazineの創刊を取り上げました。ここでは、日曜日に開催された「Java Strategy Keynote」と「JavaOne Technical Keynote」から重要な部分を抜粋して紹介します。

Java 8/Java 9オラクルのGeorges Saabは、近日登場するJDK 8リリースと、それに含まれるProject LambdaおよびProject Nashorn(Java仮想マシン上で動作するJavaScriptの最新の実装)について解説しました。また、Project Nashornの機能がすでにNetBeans 7.3で内部

的に使用されていること、オラクルがOpenJDKの実装に協力する計画を発表したことについても取り上げました。 オラクルのBrian Goetzは、ラムダ式や改良された並列ライブラリなど、Java SE 8で計画されている言語機能とライブラリ機能について詳しく紹介しました。これらの機能は、コードの簡素化とライブラリの開放を実現し、並列処理をより効果的に使用できるように変更を加えたものです。オラクルのMark Reinholdは、Java 8の開発プロセ

スに参加して、ウィークリービルドで最新のコードと新機能を実際に使用してみることを開発者らに呼びかけました。また、Georges Saabは、Java SE 9以降に先送り

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になった、Project Jigsawのモジュール化、OSGiとの相互運用性を可能とするProject Penrose、クラウドにおけるJavaのマルチテナント機能の改善、およびJavaを異種プラットフォームに対応させることを目的としたOpenJDKプロジェクトであるProject Sumatraについても詳しく紹介しました。

JavaFXオラクルのNandini Ramaniは、Linux ARM向けのJavaFX開発者プレビューおよびLinux向けのJavaFX Scene Builderがダウンロード可能になったことを発表しました。また、Microsoft Windows、Micintosh OS X、Linux向けのリリースを含む他のJavaFX 2マイルストーン、JavaFX Scene Builderツール、NetBeans 7.3のJavaFX WebViewコンポーネント、およびOpenJDKのOpenJFXプロジェクトについても取り上げ、JDK 8で、JavaFXは3Dコンポーネントとサード・パーティ・コンポーネントの統合を提供する予定であると述べました。

組込みNandini Ramaniは、組込み分野におけるJavaの最新情報について説明し、Javaをエコシステムに理想的なテクノロジーにすることが”次のIT改革”であることを示しました(オラクルの製品発表について、詳しくは「小さな

ことから大きなチャンス」を参照)。Ramaniは、開発者に対して、Oracle Java SE Embeddedの最新リリースをダウンロードして使用してみることを強く勧めました。

Java EE 7/Java EE 8オラクルのCameron Purdyは、Java EE 6における開発者生産性の大幅な向上や、プラットフォーム間、ベンダー間、さらにはクラウド間での移植性といった、エンタープライズ分野における最新の進展について、その概要を発表しました。現在、Java EE 7 Software Development Kit(SDK)の初期バージョンがGlassFish 4にダウンロード可能となりました。このバージョンには、WebSocketのサポートや改善されたJSONのサポートなどが含まれています。最終リリースの予定は、2013年4月となっています。ava EE 8に期待が高まっているなか、オラクルのArun Guptaは、アプリケーションのマルチテナント機能、Project Jigsawを基にしたモジュール化、クラウド・アーキテクチャのJava EE 8での搭載について詳しく紹介しました。また、HTML5アプリケーションを構築するためのエンド・ツー・エンドのフレームワークの設計に使用するProject Avatar、およびHTML5に対応したNetBeansの高度なツール機能であるProject Easelについても取り上げました。

右: 深海探査で使用される最先端テクノロジーの概要についてプレゼンテーションを行う、海洋学者でナショナル・ジオグラフィック探検家のRobert Ballard博士。

左: オラクルのCameron Purdyに、活動値を測定できるNikeFuel加速度計リスト・バンドを贈呈するNikeのNicole Otto氏。

JavaOneの内容は、基調講演のハイライト、すべての基調講演、およびすべてのセッション、birds-of-a-feather (BOF)セッション、チュートリアルの3つに分類された録画ビデオで視聴することができます。

JavaOneコンテンツのビデオ視聴

JavaOne 2012へようこそ

「Strategy Keynote」のハイライト

「Technical Keynote」のハイライト

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2012年Duke’s Choice Awards受賞者の授与式が、JavaOne開催初日のセレモニーで執り行われました。オラクルのPeter Utzschneiderは、「今年のDuke’s Choice Awards受賞者は、非常に多様で創造的なJavaベースのプロジェクトを陣頭指揮し、その努力はJavaコミュニティにとって計り知れないほど貴重なものです」と述べています。また、受賞した国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、10月12日にケニヤで開催されたOracle Dayでも受賞式が行われ、Duke’s Choice Awardが贈られました。人道援助という使命を果たすために、UNHCRはNetBeansプラットフォームを基盤とするJavaシン・クライアント・アプリケーションを開発しました。このアプリケーションによって、難民の人数に関する情報、および現場での支援に必要とされる水、食料、住居、保健といった情報を収集して、さまざまな情報源からの地理座標情報と組み合わせることができます。「UNHCRは、本年のすべての受賞者と同様、世界中のJavaコミュニティ・メンバーによって素晴らしい仕事が行われているということを実証しています」と、Utzschneiderは述べています。

写真: ORANGE PHOTOGRAPHY、HAIG ANYONYI

左: 2012年Duke’s Choice Award右: UNHCRのLevel One登録ツールの作成者であるDoudoux Stanyslas Matayo氏(左)とAbdouraouf Gnon-Konde氏に、オラクルの事業開発担当のSenior Directorで あるOrla Nichorcoraが2012年Duke’s Choice Awardを授与。

新しいOpenJDKプロジェクトであるProject Sumatraは、JavaアプリケーションにおいてGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)を活用できるようにすることで、アプリケーションのパフォーマンスを向上させます。Project Sumatraの取り組みを指揮しているオラクルのJohn Coomesは、ほぼ10年間にわたってJava HotSpot VMの開発に携わってきました。開発の初期段階では、コード生成、ガベージ・コレクション、および処理をGPUにオフロードするためのランライム開発に重点を置いていました。その次の段階では、Java 8のラムダ式を活用して、アプリケーションの並列処理能力を大幅に向上させました。「Java Community Keynote」の基調講演で、AMDのGary Frost氏(Project Sumatraにすでに参加中)は、Project Sumatraの取り組みについて語るとともに、関連するAparapi(A Parallel API)オープンソース・プロジェクトを使用してGPUの高速化を達成できることを実証しました。Aparapiは、Javaバイトコードを、多種多様なGPU上で動作するOpenCLに変換することによって、データ並列コードをGPUで実行します。Frost氏が行ったデモンストレーションでは、マンデルブロのフラクタル図形をプロットしたり、ライフ・ゲームをプレイしたり、および物理のN体問題で10,000個の天体の重量方程式を解いたりするアプリケーションでAparapiを使用し、従来のJavaスレッド処理と比較して最大で10倍高速化されることを示しました。他のすべてのOpenJDKプロジェクトと同じよう

に、Project Sumatraへの参加をJavaコミュニティに呼びかけました。プロジェクトはまだ始まったばかりですが、最終的に、リリースをテストして改善の提案やバグ修正などを行う開発者が必要になるでしょう。

Project Sumatraの更新2012年DUKE’S CHOICE AWARDS受賞者の授与式

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木曜日の「Community Keynote」の基調講演では、JavaOneはJavaコミュニティによってつくられコミュニティのためにあるということを強く印象付けました。JavaOne Communityの議長であるSharat Chander氏は、2012年のJavaOneカンファレンスで使用するコンテンツの60%がJavaコミュニティのメンバーによって提供されたことを取り上げ、来年はその割合がさらに増えるように働きかけました。オラクルのDonald Smithは、イノベーションの促

進におけるコミュニティの重要性について取り上げました。Cloudera、Eclipse、Eucalyptus、Perrone Robotics、Twitterからパネリストをステージに招き、イノベーションの考え方についてより進んだ議論を行いました。Eclipse財団のExecutive DirectorであるMike Milinkovich氏がパネリストとして参加し、「イノベーションのプロセスをよりオープンにすれば、より多くの発想について議論するようになり、より多くの開発者がプロセスのはじめから終わりまでそれぞれの選択肢を正当化することに集中するようになります」と述べました。イノベーションに関する

トピックは続き、オラクルのGeorges Saabが、London Java Community(LJC)のMartijn Verburg氏とAdopt-a-JSRプログラムについて対談しました。他のプログラムの参加者もステージに登場し、Adopt-a-JSRプログラムの目標および固有の課題である、Hack Daysの計画から、メーリング・リストとフォーラムの管理、問題の優先順位づけ、エバンジェリズムに至るまでさまざま取り上げ議論しました。そのすべてが、コミュニティと開発者の参加をよりいっそ

う促進して優れたオープン・スタンダードを開発することを目的としています。「コミュニティに参加して、エコシステムをよりよいものにしてください」と、Verburg氏は呼びかけています。次に、Perrone RoboticsのPaul Perrone氏が再び登場し、Java仮想マシン(JVM)上でPerrone MAXプラットフォームを実行する小型ロボット車両のAARDBOTSファミリーなど、同社のロボット技術におけるJava関連の最新の取り組みについて紹介しました。Perrone氏は、”ガラガラという輪転音”を出しながら4輪駆動ロボットを試走させました。これは自由に移動できるARMベースの警備ロボット車両で、超音波センサーと”段差”センサーを備えています。その後、ステージの裏から「I’ve got some toys」とい

う奇妙な声が聞こえてきました。そこでサプライズ・ゲストのJames Gosling氏が登場しました。これは、James Gosling氏とLiquid Roboticsとの最先端の取り組みを紹介するための仕掛けだったのです。Gosling氏は会場で、海上の複数のWave Gliderをリアルタイムに衛星追跡して見せ、複雑なデータ構造を簡単にするガベージ・コレクション機能を備えた言語であるJavaが、人工知能アプリケーションにとりわけ適していることを示しました。最後に、Chande r氏がステージに再び登場し、JavaOne Communityの議長をOracle JavaテクノロジーのエバンジェリストであるStephen Chin氏に引き継ぎました。フル装備のモーターサイクル・ギアを着用したChin氏は、NightHacking Tourと題したツーリングを間もなく開始し、ヨーロッパを回りながらJavaコミュニティのメンバーと会合を持つと語りました。続報については、次号でお届けします。

コミュニティによる

コミュニティのためのJAVA

写真: HARTMANN STUDIOS

上から時計回りに:Wave Gliderについて説明するJames Gosling氏、 ロボットを操作するPaul Perrone氏、JavaOne記章の授与を報告するSharat Chander氏。

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JavaOne Latin America 2011からの慣例に従い、JavaOne 2012の幕開けに、晴れ渡るサンフランシスコでGeek Bike Rideが行われました。約50人のJava開発者がフィッシャーマンズ・ワーフに集合し、自転車とスケートボードでFort MasonとCrissy Fieldを経由してゴールデン・ゲート・ブリッジを渡り、Sausalitoにゴールしました。昼食で休憩した後、参加者はフェリーでサンフランシスコに戻りました。参加者は、Oracle Technology NetworkがスポンサーになっているDukeサイクル・ジャージを着用していました。ジャージを受け取るには、Javaに関する質問に回答する必要があります。質問には、”Javaの創始者は誰ですか”、”サンフランシスコで最大のJavaカンファレンスとは何ですか”、”今年のDuke’s Choice Awardの受賞者の名前を1人挙げてください”などがあり、参加者のRégina ten Bruggencate氏は最後の設問に”Me!”と回答していました。

写真: 寺田佳央

GEEK BIKE RIDE

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上から時計回りに:波打ち際で記念写真を撮影するGeek Bike Rideの参加者。サイクリングに参加したSouJavaのJuggy。ゆっくりと走行を楽しむ参加者。

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組込み市場でのJavaに対する需要増に対応して、オラクルは、サンフランシスコで10月3日~4日にかけて新しいイベントであるJava Embedded @ JavaOneを開催しました。基調講演の中で、オラクルのJudson Althoffは、私たちの周りにあるデバイスはすべて、24時間/365日、常に接続されていることに触れ、次のIT革命であるデバイスの爆発的な増加に対応できる、理想のソリューションを提供できるのはJavaであると述べました。組込みJavaソリューションは、デバイスをプロビジョニング、管理、保護するためのフレームワークに加えて、多数のデータを集計、処理、分析する能力も備えており、Javaなら、1つのプラットフォームですべてのデバイスをプログラムできると、Althoffは述べています。JavaのエバンジェリストおよびJava MEの専門家であるTerrence Barr氏は、この大きなチャンスに非常に意欲的に取り組んでいます。「組込みJavaにとって絶好の機会が巡ってきました。オラクルは、ITにおけるこの次の波に乗ろうとしているパートナを探しています」と述べています。組込み分野の競争は、激化の一途をたどっています。JavaOneでは、CinterionがEHS5を発売しました。これは、超小型高速マシン・ツー・マシン通信モジュールで、多種多様な工業用途向けにセキュアなワイヤレス接続を提供します。

オラクルが発表した組込み製品JavaOneの直前に、オラクルは、組込み分野で複数の製品を発表しました。 Oracle Java ME Embedded 3.2は、リソースに制約がある接続型組込みシステム向けに最適化された完全なクライアント向けJavaランタイムです。小型の組込み

低電力デバイスに固有の要件に合わせて設計および最適化されており、画面またはユーザー・インタフェースを持たない、マイクロコントローラやその他のリソースに制約があるハードウェアに使用できます。Oracle Java Wireless Client 3.2は、量販されてい

るモバイル機器に機能豊富なアプリケーション環境を提供するために最適化されたJava ME実装を中心に構築されています。Java ME Software Development Kit (SDK) 3.2は、Oracle Java ME Embedded 3.2およびOracle Java Wireless Client 3.2の両方に対して完全な開発環境を提供します。Oracle Java Embedded Suite 7.0は、Oracle

Java SE Embedded 7、Java DB、Oracle Java Embedded Suite対応版のGlassFish、およびJersey Web Services Frameworkに基づいたパッケージ・ソリューションです。組込みデバイス間でデータを収集、管理、送信するための付加価値サービスを提供するために作成されました。Oracle Java Embedded Suite 7.0は、完全なデバイス・ツー・データセンター・ソリューションの組込みシステム用サブセットです。⦆

小さなことから大きなチャンス

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写真: ORACLE PHOTOGRAPHY、ORANGE PHOTOGRAPHY、TDC

毎年、JavaOneでは、IT業界でキャリアを積み重ねている一流の女性技術専門家を招待しています。この招待された女性技術専門家たちは、技術専門家とコミュニティの主催者に刺激を受けています。今年は、10年以上のプログラミング経験を持つベテラン開発者であるTrisha Gee氏、

Régina ten Bruggencate氏、Saskia Vermeer-Ooms氏の3人が、より多くの女性がコミュニティで積極的に活動し、プログラミング分野でキャリアを積むように激励しました。この3人は、Javaに関与する女性たちを結ぶ世界規模のネットワークであるDuchessのリーダーです。同ネットワークには、60か国500人のメンバーが所属しており、Webにおいて強力な存在感を示しています。Gee氏はセッション「The Problem with Women: A Technical Approach」で、女性が性別に言及することなく、イベントでの講演、イベントの企画、ブログでの発信、プログラミングに対する情熱の共有を行うことを推奨していました。Yara Senger Fabiane Nardon氏とYara Senger氏はブラジルの開発者で、コ

ミュニティのリーダーとして活発に活動しています。Nardon氏は、多数の講演を行っており、さまざまなJavaカンファレンスでプログラム委員会のメンバーを務めています。Nardon氏のJavaOneセッションでは、自動スケーリングに対応したWebベースのJavaアプリケーションについて取り上げていました。SouJava Javaユーザー・グループ(JUG)の代表およびGlobalcodeの共同創設者であるSenger氏は、Javaの将来像についてのセッションと、電子機器と外部基板に対応したJava APIについてのセッションで講演しました。DuchessBrazilネットワークの創設者として、3人は、技術職の女性がJavaコミュニティに参加するように強く働きかけています。Anderson Patrycja Wegrzynowicz氏とGail Anderson氏は、両者とも技術系

企業の共同創設者です。Wegrzynowicz氏は、ソフトウェア・エンジニアリングの自動化およびJavaテクノロジーの専門家で、Yonitaの共同創設者でありCTOでもあります。講演では、オープンソースのJavaライブラリにおけるセキュリティ上のぜい弱性について説明しました。Anderson氏は、20年以上に渡って技術講座の企画と教本の執筆を行っており、またソフトウェア開発トレーニングの大手提供会社であるAnderson Software Groupの共同創設者でもあります。Anderson氏は、「Make Your Clients Richer」セッションで講演しました。Senger氏は、「私たちは、私たち自身の生活とキャリアのために立ち上がる必要がありま

す」と、主張しています。Senger氏は、女性がユーザー・グループへ参加したり、Javaカンファレンスで発言するための提案書を提出したりしてJavaコミュニティに関与するよう提言しています。

JavaFXに関連したコミュニティ活動は、ツイート、ブログ記事、プロジェクトの数が増加したことで、順調に拡大しています。現在は、Java.netにJavaFXコミュニティ・サイトがあります。このサイトのおもな目的は、JavaFXコミュニティに活動の中心となる場所を提供することで、関連するツイート、ブログ記事、および他の資料を簡単に検索することができます。Gerrit Grunwald氏とJim Weaver氏はこのサイトのコミュニティ・リーダーで、皆さんからのフィードバックを歓迎しています。

Java.netの 新しいJavaFXコミュニティ

技術分野での女性の活躍

Régina ten Bruggencate氏

Trisha Gee氏

Yara Senger氏

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Java Magazineでは、グリーンヴィルJavaユーザー・グループの創設者であるJohn Yeary氏とJavaユーザー・グループ(JUG)のメンバーになって5年のGlen Peterson氏を、JavaOne 2012において取材しました。サウスカロライナ州グリーンヴィルは、農村に囲まれた小都市です。Peterson氏はグリーンヴィルJUGに関して、「グリーンヴィルとシャーロット(もっとも近い大都市)の間では、非常に興味深いことが進行しています」と語っています。それでは、グリーンヴィルJUGに参加しているのは少数の常連メンバーだけなのでしょうか。決してそうではありません。

JavaエバンジェリストのYeary氏は、2002年にグループを創設しました。最初の数回のミーティングでは、出席者は多くても3人でした。今では、グループのミーティングには毎回25人ほどが集まるようになっています。グリーンヴィルJUGがここまで大きくなったのは、Yeary氏と他のメンバーの継続的な努力があったからです。グリーンヴィルJUGは周辺のほとんどが農村地域であるために、参加を希望する人がいたとしても、連絡を取るのが困難でした。Yeary氏は、働きかけを行うためにさまざまな方法を試しました。成功した方法の1つが、技術系管理職のメーリング・リストでした。これらの管理職が部下の開発者にグリーンヴィルJUGのことを話し、多くの開発者が初めは管理職に勧められてミーティングに参加していましたが、最終的にはJUGの月例ミーティングの常連参加者となりました。最近、グリーンヴィルJUGの成長とって転機となったのは、JFrogの関係者がOSCONに参加す

る途中でグリーンヴィルJUGのミーティングに立ち寄って参加したことです。グリーンヴィルに立ち寄る経費は、OSCONに出張するための総経費と比較して少額であったため、Yeary氏は交渉によってミーティングでのプレゼンテーションを依頼することができました。Yeary氏は、JUGミーティングのプレゼンターを探しているJUGリーダーに対するアドバイスと

して、「見栄をはらず自分らしく、講演者に自分の住む地域や地元の開発者コミュニティを紹介し、くつろいでもらうように心がけることです」と述べています。このようにすれば、JUGセッションでプレゼンテーションを行う価値が十分にあるという情報が、引き受けてくれる可能性がある講演者の間で広がることになります。

写真: DAVE MCCLINTOCK、SNAPSHOTSC.COM

JAVA関連書籍

『ORACLE CERTIFIED ASSOCIATE, JAVA SE 7 PROGRAMMER STUDY GUIDE』著者:Richard M. Reese出版社:Packt Publishing(2012年8月)『Oracle Certified Associate,Java SE 7 Programmer Study Guide』は、認定試験対策を目的としており、解説と例によって、Java言語の機能を実際のプログラミングに適用する最良の方法を説明しています。Java SE 7のアソシエイツ・プログラマ認定資格によって、Java開発者としての経歴が加えられます。Javaの知識は重要であり、効率的で生産性の高いコードを記述する方法を知ることによってスキルが向上し、この分野で優位に立つことができます。認定試験対策を目的としているため、単純な復習だけではなく、各章には試験問題のサンプルも掲載されています。

『HADOOP IN PRACTICE』著者:Alex Holmes出版社:Manning 『Hadoop in Practice』には、Hadoopの例が100件近く掲載されており、問題/解決方法の形式でそれぞれの例について説明しています。Pigの使用またログ・ファイル・ローダーの記述によるビッグ・データの問合せなどの特定のタスクに、個別の手法で対処しています。各問題を段階的に進めていくことで、特定のソリューションを構築してデプロイする方法を学習するとともに、その設計に込められている考え方を理解します。各課題に取り組んでいくにつれ、Hadoopが使いやすく感じられるようになり、ビッグ・データの世界にも慣れてきたことに気付くでしょう。

サウスカロライナ州グリーンヴィルのJUG

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Jonas Bonér氏はスウェーデン出身で、起業家、プログラマー、講演者、ライターとして活躍しています。2011年2月に、Java Championとなりました。Java Magazine: 育った場所はどこですか。Bonér氏: スウェーデンのウプサラです。その後、ストックホルムへと移り、さらにエステルスンドへと移り住みました。私の家族はスキーが大好きだったので、スウェーデンのオーレ、フランスのセレ・シャバリエ、イタリアのアラーニャ、オーストリアのバートガスタイン/ザルツブルクなどにも一時期は住んでいました。どれも、有名なスキー・リゾートです。Java Magazine: 初めてコンピュータとプログラミングに興味を持ったのは、いつ/どのようにしてですか。Bonér氏: 大学では数学を学んでいましたが、それで何をしたらよいのか分かりませんでした。最初に思いついたのが、数学の教師になることでした。その後、興味本位でコンピューター・サイエンスの講座(C++でのプログラミング)を受講したところ、何がやりた

いかに気付きました。それは応用数学であり、私にはそれがとても合っていました。Java Magazine: 最初のコンピュータと、最初に習得したプログラミング言語を教えてください。Bonér氏: 本当に最初のプログラミングは、大学のSolaris端末上のPascalで行いました。また、最初のコンピュータでは、Slackware Linuxを実行していました。Java Magazine: 仕事として最初に行ったプログラミング作業を教えてください。Bonér氏: 仕事としての最初のプログラミング作業はウプサラでITコンサルタントをしていたときで、CORBA(コモン・オブジェクト・リクエスト・ブローカ・アーキテクチャ)およびEJB(Enterprise JavaBeans)1.0を使用しました。それは大きな喜びでした。 Java Magazine: 趣味は何ですか。また、リラックスするためにどんなことをしていますか。Bonér氏: 家族と一緒に楽しく過ごしながら、釣り、スキー、読書、サクソフォンの演奏(テナー、アルト、ソプラノ)、音楽

鑑賞をしています。Java Magazine: 仕事について、実際の業務以外でもっとも楽しいと思われるのはどんなことですか。Bonér氏: 興味が湧いた場所に足を運んで、何かに熱心に取り組んでいる優れた能力と人を引きつける力を持った人に合って、何かを学び取ってくることです。また、この旅から学んだことをすべて活かして、独自の事業を立ち上げることも楽しみの1つです。Java Magazine: 今後の数年間はどのようなものにしたいですか。Bonér氏: 家族に関しては、子供達の成長を見るのを楽しみにしており、子供達がどのような人物になっていくかをすぐそばから見守り続けます。

そして、子供達の話を聞き、子供達が夢を実現できるように指導していきたいと思っています。事業に関しては、現在私たちが懸命に取り組んでいるオープンソース・スタックを基に事業を立ち上げ、成功させたいと考えています。個人的には、小さなことであっても状況を一変させることがあるので、人生で大切なことをもう少し賢明にそしてより上手に理解、選択、集中できるようになりたいと願っています。

Bonér氏の企業サイトであるTypesafeと、最新のオープンソース・プロジェクトであるAkkaをご覧ください。

JAVA CHAMPIONのご紹介

JONAS BONÉR氏2012年のJCP AWARD受賞者

今年で10回目となるJava Community Process(JCP)Awardの受賞者が、JavaOne 2012のJCPパーティーで発表されました。受賞者は、素晴らしい候補者の中から選ばれました。今年のJCP Member/Participant of the Year(最優秀JCPメンバー/参加者)の賞は、Adopt-a-JSRプログラムに対して歴史的な貢献をしたこと、およびJCPを通してJava開発者を支援してきたことが評価され、London Java CommunityとSouJava(前出)の2つのJavaユーザー・グループに贈られました。Outstanding Spec Lead(最優秀仕様リード)の賞は、JSR 354 Money and Currency APIへの取り組みが評価されたVictor Grazi氏に贈られました。Most Significant JSR(最優秀JSR)の賞は、JCP議長のPatrick Curran氏が指揮するJCP.Nextの成果に対して贈られました。