「授業づくり」の研修...

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平成31年度島根県初任者研修 教育センター研修における 「授業づくり」の研修 ハンドブック 島根県教育センター 島根県教育センター浜田教育センター

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Page 1: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

平成31年度島根県初任者研修

教育センター研修における

「授業づくり」の研修

ハンドブック

島根県教育センター

島根県教育センター浜田教育センター

Page 2: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

目次

はじめに ………………………………………………………………………………………………… 1

授業力向上のイメージ図 ……………………………………………………………………………… 2

経験年数に応じた研修(教育センター研修)において大切にしたい「授業力」の視点 ……… 3

初任者研修における「授業づくり」のねらい ……………………………………………………… 4

初任者研修教育センター研修「授業づくり」の流れ ………………………………………………… 5

第Ⅰ回初任者研修「授業づくり」の進め方について………………………………………………… 9

初任者研修における「授業力に関する自己診断シート」の活用について…………………………11

授業力に関する自己診断シート…………………………………………………………………………12

「授業づくり」の研修で扱う模擬授業について………………………………………………………14

模擬授業学習指導案(略案)様式………………………………………………………………………15

模擬授業・協議の進め方について………………………………………………………………………16

『「課題研究」レポート』作成のためのリーフレット…………………………………………………18

フォローアップ研修(2年目)課題研究構想シート…………………………………………………20

学習指導案の役割と書き方・考え方(基本型)………………………………………………………21

サンプル指導案(基本型)【小学校算数科】から見た書き方のポイント……………………………27

サンプル指導案(基本型)【中学校理科】から見た書き方のポイント………………………………31

サンプル指導案(基本型)【高等学校家庭科】から見た書き方のポイント…………………………35

学習指導案の書き方のポイントチェックリスト………………………………………………………39

おわりに …………………………………………………………………………………………………40

Page 3: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

はじめに

子どもたちのよりよい成長のために、私たちが成長する!

「どうして教員になったのですか。」と聞かれたら皆さんはどのように答えますか。

子どもたちに生き生きと人生を歩んでほしい。誰もが願っていることです。

そのような子どもたちの将来を実現するために、私たちは日々教育を行っています。

よい教師の条件として「子どもが好き、教えることが好き、学ぶことが好き」と話す

人がいます。子どもたちのためにしっかり教えるんだという思いがあること、そのため

に学び続けていこうという向上心があることです。

また、子どもたちにとっての教師の存在意義は、自分をよりよい成長に導いてくれる

ことにあります。愛情をもって教えてくれる先生や自分たちのことをしっかり考えてく

れる先生との出会いを期待しています。

我々は、その期待に応えられるように努力していかなければなりません。

言葉で言うのは簡単ですが、実際に指導を行ったり、自己研鑽したりすることは簡単

ではなく、日々の忙しさの中では難しさを感じることが多いのが現実です。

ただ、忙しい日々の中ですが、走り続けていると見えないものもたくさんあります。

少し立ち止まり研修できるこの機会をプラスにとらえて、子どもたちの成長につながる

授業力を一緒に身に付けていきましょう。

-1-

Page 4: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

めざす授業づくり

生きる力 知・徳・体資質・能力の育成

初任研

6年目研修

中堅教諭等資質向上研修

授業力の4つの構成要素「情熱・使命感」「構想力」「生徒理解力」「指導力・統率力」

思考力・判断力・表現力等を育む授業

児童生徒等の実態を考慮した授業

児童生徒を主体とした授業

授業力向上のイメージ図

教育センター研修

-2-

Page 5: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

初任者研修 6年目研修 中堅教諭等資質向上研修

授業の目標を踏まえ、児童生徒を主体とした授業ができる。

授業の目標を踏まえ、児童生徒等の実態を考慮した授業ができる。

各教科等の目標及び学習評価等を踏まえ、思考力・判断力・表現力等を育む授業ができる。

学習のねらい

・ 本時のねらいを明確にする。 ・

本時のねらいを明確にする。

単元(題材)を通して付けたい力を明確にする。

本時のねらいを明確にする。

単元(題材)や年間を通して,付けたい力を明確にする。

指導内容の系統性や関連性を考慮する。

学習過程

・ 本時の授業に児童生徒が主体的に学ぶ場を設定する。

本時の授業に児童生徒等が主体的に学ぶ場を設定する。

児童生徒等の思考の流れを大切にした単元(題材)計画等を構成する。

本時の授業に児童生徒等が主体的に学ぶ場を設定する。児童生徒等の実態や思考の流れを大切にした単元(題材)計画等を構成する。知識・技能の活用を図る学習活動を充実させる。

学習評価

・ 学習評価の意義を理解するとともに、ねらいに準拠した評価をする。

・ 児童生徒等の実態や学習内容に応じて、「指導と評価の一体化」を図る。 (形成的評価の重視)

・ 児童生徒等の実態や学習内容を踏まえて思考力・判断力・表現力等の評価方法を工夫する。

指導と評価の一体化 ~授業改善につなげる~

平成31年度 経験年数に応じた研修(教育センター研修)において大切にしたい「授業力」の視点

◆教育センター研修における「授業力」の四つの構成要素の解釈

「情熱・使命感」 児童生徒等のよりよい成長を願って、周囲と協働しながら自らの資質向上を図っていく姿勢

「構想力」 学習のねらいを明確にするとともに教材を研究し、見通しをもって授業を計画・創造、改善していく力

「生徒理解力」 集団の中で個の可能性を引き出すために、児童生徒等一人一人の実態・特性を理解する力

「指導力・統率力」 学び合う集団づくりに努め、専門的な指導技術をもとに学習のねらいの達成に向けて授業を実践する力

◆経験年数に応じた研修において大切にしたい授業力の視点(下線部はキーワード)

授業づくり

」の研修

におけるねらい

構想力及び生徒理解力

指導力・

統率力

・学び合う集団づくりに努める (学習規律、安心して学習できる場) ・指導技術を高める(発問、言葉かけ、板書、教材・教具、学習形態等)

情熱・

使命感

                     ・多様な価値観を尊重する                     ・新しい教育情報等を進んで得ようとする                     ・他者から学ぶ(同僚、管理職、保護者・地域、児童生徒等から)

初任者研修における「授業づくり」のキーワードは

「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」

-3-

Page 6: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

☆初任者研修における「授業づくり」のねらい

☆「なぜそのような授業を目指すのか」

☆「初任者研修でめざす授業のイメージ」

授業の目標を踏まえ、児童生徒を主体とした授業ができる。

○基本的な指導力として、単元計画に基づいた本時のねらい(どんな力を付けたいか)を

明確にし、学習過程を組み立てることが求められる。

◯児童生徒が意欲的、主体的に学ぼうとするための授業力を磨き、教科書の内容を教え込

むことに終始する授業になっていないか確認してほしい。

初任者研修をとおしてめざす姿

1年後には、

「『本時のねらいが明確な授業』『児童生徒を主体とした授業』のためには、○○が大切だ。」

「ねらいにせまるために、児童生徒等を主体とした指導方法を○○のように工夫しよう。」

などと、自分の言葉で語ることができる。

本時計画(本時のねらいを明確にし、児童生徒等を主体とした指導方法等を工夫してい

る)

評 価(ねらいに準拠した評価をしている)

<手立て>

・ねらいの明確化とその提示方法の工夫

・ねらいにせまるための児童生徒等を主体とした本時計画

や指導方法

・「見通す・振り返る」学習活動の工夫

・評価方法の工夫 等

-4-

Page 7: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

第Ⅱ回教育センター研修

○教科指導

国語、算数、体育、選択教科(社会・理科・生活・音楽・図画工作・家庭より選択)

○島根大学教育学部附属義務教育学校の授業参観・研究協議

第Ⅰ回教育センター研修

○講義

・研修の流れについて。

・「授業づくり」のねらいと視点について。

・「授業力に関する自己診断シート」について。

○協議

・4~5月の授業実践について、「これまでの実践を振り返るシート」に記入する。

・今後の課題について。

第Ⅲ回教育センター研修(7月~8月に所属の教育事務所ごとに実施)

○模擬授業(P14~P17参照)

◯協議

・「本時のねらいが明確な授業」と「児童を主体とした授業」のために大切にしたい学習活動

や教師の手立てについて。

・1学期に実践した授業について、「授業力に関する自己診断シート」の7月の欄に記入する。

・今後の具体的な実践について。

○道徳教育

○特別活動

○総合的な学習の時間

○外国語教育

初任者研修教育センター研修(小学校)「授業づくり」の流れ

研修の2つの視点「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」を踏まえ、

日々の授業や校内における示範研・授業研・その他研で研修する。

研修の2つの視点「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」を踏まえ

た自分の課題を、2学期の授業で具体的な実践をとおして改善するとともに、学校訪問

指導を受ける。(学校訪問指導を3学期に実施する学校もある。)

※それぞれの研修項目の目的と内容について、平成31年度島根県新任教職員研修実施要項(青

表紙本)の20~21ページを参照すること。

第Ⅴ回教育センター研修

○講義

・フォローアップ研修について。

○演習

・2学期に実践した授業について、「授業力に関する自己診断シート」の1月の欄に記入する。

・フォローアップ研修「課題研究」の研究主題設定について。

-5-

Page 8: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

第Ⅱ回教育センター研修

○道徳教育

○特別活動

○島根大学教育学部附属義務教育学校の授業参観・研究協議

第Ⅰ回教育センター研修

○講義

・研修の流れについて。

・「授業づくり」のねらいと視点について。

・「授業力に関する自己診断シート」について。

○協議

・4~5月の授業実践について、「これまでの実践を振り返るシート」に記入する。

・今後の課題について。

第Ⅲ回教育センター研修

○模擬授業(P14~P17参照)

◯協議

・「本時のねらいが明確な授業」と「生徒を主体とした授業」のために大切にしたい学習活動

や教師の手立てについて。

・1学期に実践した授業について、「授業力に関する自己診断シート」の7月の欄に記入する。

・今後の具体的な実践について。

○授業づくり(教科別)

・各教科の目標と内容。

・学習指導案作成の意義。

・各教科における「本時のねらいが明確な授業」「生徒を主体とした授業」の実際。

・これまでの成果と課題を踏まえた授業改善について。

初任者研修教育センター研修(中学校)「授業づくり」の流れ

研修の2つの視点「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」を踏まえ、

日々の授業や校内における示範研・授業研・その他研で研修する。

研修の2つの視点「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」を踏まえ

た自分の課題を、2学期の授業で具体的な実践をとおして改善するとともに、学校訪問

指導を受ける。(学校訪問指導を3学期に実施する学校もある。)

※それぞれの研修項目の目的と内容について、平成31年度島根県新任教職員研修実施要項(青

表紙本)の20~21ページを参照すること。

第Ⅴ回教育センター研修

○総合的な学習の時間

○講義

・フォローアップ研修について。

○演習

・2学期に実践した授業について、「授業力に関する自己診断シート」の1月の欄に記入する。

・フォローアップ研修「課題研究」の研究主題設定について。

Page 9: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

第Ⅱ回教育センター研修

○道徳教育

○特別活動

○授業づくりの視点

・学習指導案作成の基本的理解。

○島根大学教育学部附属義務教育学校の授業参観・研究協議

第Ⅰ回教育センター研修

○講義

・研修の流れについて。

・「授業づくり」のねらいと視点について。

・「授業力に関する自己診断シート」について。

○協議

・4~5月の授業実践について、「これまでの実践を振り返るシート」に記入する。

・今後の課題について。

第Ⅲ回教育センター研修

○模擬授業(P14~P17参照)

◯協議

・「本時のねらいが明確な授業」と「生徒を主体とした授業」のために大切にしたい学習活動

や教師の手立てについて。

・1学期に実践した授業について、「授業力に関する自己診断シート」の7月の欄に記入する。

・今後の具体的な実践について。

○授業づくり(教科別)

・各教科の目標と内容。

・学習指導案作成の意義。

・各教科における「本時のねらいが明確な授業」「生徒を主体とした授業」の実際。

・これまでの成果と課題を踏まえた授業改善について。

初任者研修教育センター研修(高等学校)「授業づくり」の流れ

研修の2つの視点「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」を踏まえ、

日々の授業や校内における示範研・授業研・その他研で研修する。

研修の2つの視点「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」を踏まえ

た自分の課題を、2学期の授業で具体的な実践をとおして改善するとともに、学校訪問

指導を受ける。(学校訪問指導を3学期に実施する学校もある。)

※それぞれの研修項目の目的と内容について、平成31年度島根県新任教職員研修実施要項(青

表紙本)の20~21ページを参照すること。

第Ⅴ回教育センター研修

○総合的な学習(探究)の時間

○講義

・フォローアップ研修について。

○演習

・2学期に実践した授業について、「授業力に関する自己診断シート」の1月の欄に記入する。

・フォローアップ研修「課題研究」の研究主題設定について。

-7-

Page 10: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

第Ⅱ回教育センター研修

○道徳教育

○子どもの見方・とらえ方

○教科指導(体育)

○特別活動

○島根大学教育学部附属義務教育学校の授業参観・研究協議

第Ⅰ回教育センター研修

○講義

・研修の流れについて。

・「授業づくり」のねらいと視点について。

・「授業力に関する自己診断シート」について。

○協議

・4~5月の授業実践について、「これまでの実践を振り返るシート」に記入する。

・今後の課題について。

第Ⅲ回教育センター研修

○模擬授業(P14~P17参照)

◯協議

・「本時のねらいが明確な授業」と「児童生徒を主体とした授業」のために大切にしたい学習

活動や教師の手立てについて。

・1学期に実践した授業について、「授業力に関する自己診断シート」の7月の欄に記入する。

・今後の具体的な実践について。

○各教科等を合わせた指導・自立活動

・各教科等を合わせた指導と自立活動の在り方について。

・これまでの成果と課題を踏まえた授業改善について。

初任者研修教育センター研修(特別支援学校)「授業づくり」の流れ

研修の2つの視点「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」を踏まえ、

日々の授業や校内における示範研・授業研・その他研で研修する。

研修の2つの視点「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」を踏まえ

た自分の課題を、2学期の授業で具体的な実践をとおして改善するとともに、学校訪問

指導を受ける。(学校訪問指導を3学期に実施する学校もある。)

※それぞれの研修項目の目的と内容について、平成31年度島根県新任教職員研修実施要項(青

表紙本)の20~21ページを参照すること。

第Ⅴ回教育センター研修

○総合的な学習(探究)の時間

○講義

・フォローアップ研修について。

○演習

・2学期に実践した授業について、「授業力に関する自己診断シート」の1月の欄に記入する。

・フォローアップ研修「課題研究」の研究主題設定について。

-8-

Page 11: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

第Ⅰ回教育センター研修「授業づくり1」の進め方について

◆講義・協議のテーマ 「本時のねらいが明確な授業」

「児童生徒を主体とした授業」

◆4~5月の授業実践について、授業づくりの2つの視点に絞って、「これまでの実践を振

り返るシート」に記入します。その後、グループに分かれて協議を行います。

<グループ協議について>

① 司会者、全体協議の発表者を決めます。

② 一人ずつ、自分の「これまでの実践を振り返るシート」に記入した内容について

話します。「気になる点」の原因や、めざしたい授業になるための具体的な手立て

について、意見交換できるとよいでしょう。

③ 「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」に向けて大切だと考

えたことを、グループで2~3つのキーワードとしてまとめてください。

④ 各グループで話し合ったことを、全体協議で伝えられるようにしてください。時

間は1グループ5分以内です。

<全体協議について>

① 各班の発表

1班から順番に、グループで話し合ったキーワードについて発表します。

② 担当からのコメント

-9-

Page 12: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

これまでの実践を振り返るシート 名前

本時のねらいが明確な授業 児童生徒を主体とした授業 その他

気になる点 良い点 自分はこんな授業をめざしたい

そのための具体的手立て

気になる原因は何だと思いますか。特に改善に取り組みたい点は何ですか。

-10-

Page 13: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

初任者研修における「授業力に関する自己診断シート」の活用について

1 活用の目的

客観的指標をもとに自分の授業を振り返り、継続的な授業改善を図る。

※ 自己の授業力に関する視点がどこに置かれ、強みや弱みがどこにあるか、自分と対話するた

めのシートです。間接的に管理職や他の教員、さらには児童生徒等と対話できることもねら

っています。授業力に対する評価シートではありません。

2 活用の手順

(1)第Ⅰ回教育センター研修で、初任者研修や経験者研修などの教育センター研修における「授業

力」の構成要素の意味や、「授業づくり」のねらいを理解する。

(2)第Ⅲ回教育センター研修で、「7月」及び「A」~「D」に数値及び文章を入力することで、1

学期の授業実践について振り返る。

(3)「D」で設定した自己課題を中心に、教育センター研修の「授業づくり」や「校内における研修

(授業研等)」を通して授業改善に取り組む。

(4)第Ⅴ回教育センター研修で、「1月」及び「E」に数値及び文章を入力することで、2学期の授

業実践について振り返る。

(5)「E」の内容を踏まえて、初任者研修のまとめをするとともに、フォローアップ研修の課題研究

主題を設定していく。

上記のほか、日頃の校内における研修でも活用してください。定期的に自分の授業を振り返ったり、

課題を設定したりすることができます。

-11-

Page 14: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

氏名 所属

選んだ構成要素

C.授業評価等で児童生徒から授業に関して言われることを書いてみましょう。

B.校内における研修(授業研)等で言われることを書いてみましょう。

D.授業力の構成要素から1つ選び具体的に自己課題を設定してみましょう。

 このシートは、自己の授業力に関する視点がどこに置かれ、強みや弱みがどこにあるか、自分と対話するためのシートです。間接的に管理職や他の教員、さらには児童生徒等と対話できることもねらっています。授業力に対する評価シートではありません。授業改善のための振り返りをするのが目的です。

(到達基準)

4 とてもあてはまる3 おおむねあてはまる2 あまりあてはまらない1 ほとんどあてはまらない

授業力に関する自己診断シート(初任者研修用)

授業力の構成要素と解釈

到達目標(基本的な行動指針)

7月 1月

〔情熱・使命感〕

 児童生徒のよりよい成長を願って、周囲と協働しながら自らの資質向上を図っていく姿勢

授業に関して自ら課題をもち、日々改善に努めている。

授業改善に役立てるために、他の教職員から学ぶようにしている。 A.自己診断をみながら自己評価を書いてみましょう。新しい教育情報を自ら得ようとしている。

多様な価値観を尊重する態度や幅広い視野・知識を身に付けようとしている。

児童生徒の意識や思考の流れなどに見通しをもった授業づくりをしている。

指導内容の系統性や関連性を考慮した授業づくりをしている。

目指す児童生徒の姿を具体化し、学習指導要領に基づいた授業を実践している。

〔生徒理解力〕

 集団の中で個の可能性を引き出すために、児童生徒一人一人の実態・特性を理解する力

児童生徒一人一人や学習集団の実態、特性などを把握し、理解している。

児童生徒一人一人の実態に応じて、指導方法や学習形態を工夫している。

授業において、児童生徒一人一人が主体的に考えたり活動したり場を設けている。

〔構想力〕

 学習のねらいを明確にするとともに教材を研究し、見通しをもって授業を計画・創造、改善していく力

指導と評価の一体化を図った授業づくりや授業改善をしている。

学習のねらいに向かって児童生徒が学習するために、発問、説明、指示等の指導技術をもっている。

かかわり合い、支え合う学習集団づくりをしている。

〔指導力・統率力〕

 学び合う集団づくりに努め、専門的な指導技術をもとに学習のねらいの達成に向けて授業を実践する力

学習規律の確立や児童生徒が安心して学習できる場づくりや学習集団づくりをしている。

児童生徒の学習意欲等の向上のために、児童生徒一人一人の姿や変容をとらえている。

本時のねらいが達成されるように、学習活動を組み立て、時間配分し授業を進めている。

E.自己診断をみながら、2学期中に自己課題に向き合った感想とフォローアッ  プ研修に向けての展望を書いてみましょう。

0246810121416情熱・使命感

構想力

生徒理解力

指導力・統率力

7月

1月

-12-

Page 15: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

氏名 所属

選んだ構成要素

 授業力に関する自己診断シート(初任者研修用)記入説明

 このシートは、自己の授業力に関する視点がどこに置かれ、強みや弱みがどこにあるか、自分と対話するためのシートです。間接的に管理職や他の教員、さらには児童生徒等と対話できることもねらっています。授業力に対する評価シートではありません。授業改善のための振り返りをするのが目的です。

(到達基準)

4 とてもあてはまる3 おおむねあてはまる2 あまりあてはまらない1 ほとんどあてはまらない

授業力の構成要素と解釈

到達目標(基本的な行動指針)

7月 1月

〔情熱・使命感〕

 児童生徒のよりよい成長を願って、周囲と協働しながら自らの資質向上を図っていく姿勢

授業に関して自ら課題をもち、日々改善に努めている。

授業改善に役立てるために、他の教職員から学ぶようにしている。

指導内容の系統性や関連性を考慮した授業づくりをしている。

A.自己診断をみながら自己評価を書いてみましょう。新しい教育情報を自ら得ようとしている。

多様な価値観を尊重する態度や幅広い視野・知識を身に付けようとしている。

C.授業評価等で児童生徒から授業に関して言われることを書いてみましょう。

〔構想力〕

 学習のねらいを明確にするとともに教材を研究し、見通しをもって授業を計画・創造、改善していく力

目指す児童生徒の姿を具体化し、学習指導要領に基づいた授業を実践している。

B.校内における研修(授業研)等で言われることを書いてみましょう。

児童生徒の意識や思考の流れなどに見通しをもった授業づくりをしている。

指導と評価の一体化を図った授業づくりや授業改善をしている。

(例)生徒理解力児童生徒の学習意欲等の向上のために、児童生徒一人一人の姿や変容をとらえている。

〔生徒理解力〕

 集団の中で個の可能性を引き出すために、児童生徒一人一人の実態・特性を理解する力

児童生徒一人一人や学習集団の実態、特性などを把握し、理解している。

児童生徒一人一人の実態に応じて、指導方法や学習形態を工夫している。

本時のねらいが達成されるように、学習活動を組み立て、時間配分し授業を進めている。

E.自己診断をみながら、2学期中に自己課題に向き合った感想とフォローアッ  プ研修に向けての展望を書いてみましょう。

D.授業力の構成要素から1つ選び具体的に自己課題を設定してみましょう。

授業において、児童生徒一人一人が主体的に考えたり活動したりする場を設けている。

学習のねらいに向かって児童生徒が学習するために、発問、説明、指示等の指導技術をもっている。

〔指導力・統率力〕

 学び合う集団づくりに努め、専門的な指導技術をもとに学習のねらいの達成に向けて授業を実践する力

学習規律の確立や児童生徒等が安心して学習できる場づくりや学習集団づくりをしている。

かかわり合い、支え合う学習集団づくりをしている。

0246810121416情熱・使命感

構想力

生徒理解力

指導力・統率力

7月

1月

②到達目標について判断する具体的な視点は、各自で考えてください。例えば、「児童生徒の意識や思考の流れなどに見通しをもった授業づくりをしている。」という到達目標の場合は、「児童生徒の意識や思考の流れのイメージをもち、導入・展開・まとめを作成している」・「板書に計画性があり、思考の流れに沿って構造的になっている」 ・「指導上の留意点等を明確にしている」などの視点が考えられます。

④A~Cで記入したことを受けて、2学期に重点

的に自己課題とする授業力の構成要素を1つ

書き、2学期に向けて具体的な自己課題を設

定しましょう。(ここまでを第Ⅲ回教育センター

研修で記入する。)

⑤校内における研修や、教育センター研修に

おける「授業づくり」の成果と課題を踏まえて、

今後の展望を書きましょう。フォローアップ研

修の課題研究主題を設定する際に、この内容

を参考にすると良いでしょう。(第Ⅴ回教育セ

ンター研修で記入する。)

③グラフを参考に自己評価を書きましょう(A)。また、自己評価の視点をより妥当なものとするために、他の教員や児童生徒による授業評価等も参考にしてみましょう(B、C)。

-13-

Page 16: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

「授業づくり3」で扱う模擬授業について

1 実施研修 第Ⅲ回教育センター研修

2 目 的 授業の目標を踏まえ、児童生徒を主体とした授業の在り方を理解し、指導力を身

に付ける。

3 内 容 (ア)本時のねらいを明確にし、児童生徒を主体とした授業づくりの基本

(イ)模擬授業による授業研究

4 視 点 「本時のねらいが明確な授業」

「児童生徒を主体とした授業」

※「新学習指導要領の実施に向けて~明日を担う島根の子どもたちのために~」

(平成30年3月 島根県教育庁教育指導課学力育成スタッフ)の

「授業をつくるためのチェックリスト」等を参照

5 時 間 1人35分

(準備・説明3分、模擬授業15分、協議等17分 ※3~5人のグループで行う。)

6 留意事項

本研修以降に行う授業を取り上げること。また、第Ⅰ回教育センター研修で、自分が特に改

善に取り組みたい問題点として挙げた内容を踏まえること(前ページ参照)。

学習指導案を作成する際に、4で示した2つの視点を踏まえて授業展開全体を考えること。

4で示した2つの視点について、教師の手立てが見える場面で模擬授業を行うこと。

授業の流れを説明して終わるようなダイジェスト版ではなく、 の場面を切り取ったものと

すること。

7 そ の 他

学習指導案の準備等の詳細については、第Ⅲ回教育センター研修の実施要項で通知する。

P15を参照のこと。

「平成31年度経験年数に応じた研修(教育センター研修)において大切にしたい『授業力』

の視点」(P3)を読み、準備の参考にすること。

-14-

Page 17: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

(模擬授業学習指導案例)

◆この様式を参考にし、A4判1枚程度にまとめてください。(両面印刷可)

第○学年○○科学習指導案

学 校 名

指導者氏名

1 単元(題材)名

2 単元(題材)目標

3 本時の学習

(1)目標

(2)展開

学習活動と予想される子どもの反応 指導上の留意点(・)と支援(◎)

(3)評価

十分満足できると判断される状況 概ね満足できると判断される状況 支援を要する状況への手立て

※各項目の内容等はP21~39を参考にしてください。

※評価については「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」([小学校]平成23年11月、[中学校]平成23年11月、[高等学校]平成24年7月 国立教育政

策研究所)を参考にしてください。

国立教育政策研究所のHPからダウンロードすることができます。市販もされています。

いずれも必読の資料です!!

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模擬授業・協議の進め方について

◆模擬授業・協議のテーマ 「本時のねらいが明確な授業」

「児童生徒を主体とした授業」

◆グループに分かれて模擬授業と協議を行います。基本的に受講者が主体的に進めていく

研修とします。

1 模擬授業について

模擬授業の時間(目安)

① 1人35分

② 時間配分(準備・説明3分、模擬授業15分、付箋5分、協議12分)

進め方について

① 名簿順に授業を行ってください。

② 司会や計時も順番に行ってください。(授業が終わった人・最初は名簿の最後の人)

付箋について

① 模擬授業終了後、次のことについて付箋に書いてください。

「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒等を主体とした授業」について

ア ブルー … 効果的であったと思われる教師の手立て等

イ ピンク … 授業者への提案

② ピンクとブルーについてそれぞれ1枚以上書いてください。

③ 授業者自身も時間があれば付箋に書いてください。

協議について

① 司会の人から「模擬授業振り返りシート(17ページを参照)」にコメントしなが

ら付箋を貼っていきます。(「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした

授業」の視点で)

② それに付け加えながらメンバーの付箋を貼ってください。

③ 最後に授業者が特に意識した視点について協議します。

④ 「良い点」「気になる点」のまとめについては、模擬授業が終わってから個人での

振り返り作業で行います。

2 授業の振り返りとグループ協議について

個人での振り返りについて

① 全員の模擬授業が終わってから、自分の付箋を整理します。自分の授業について

「良い点」「気になる点」について記入します。

② 「気になる点」の原因等について考え、整理します。

③ ①、②を踏まえて、「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」

とはどのような授業か、自分がめざしたい授業について記入します。

④ 具体的な改善策を考えるときに、「授業づくりQ&A」や「授業力に関する自己診

断シート」等を参考にしてください。

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グループ協議について

① 司会者、全体協議の発表者を決めます。

② 一人ずつ、自分の「振り返りシート」に記入した内容について話します。「気にな

る点」の原因や、めざしたい授業になるための具体的な手立てについて、意見交

換できるとよいでしょう。

③ 「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」に向けて大切だと考

えたことを、グループで2~3つのキーワードとしてまとめてください。画用紙

1枚に、1つのキーワードを書きます。

④ 各グループで話し合ったことを、全体協議で伝えられるようにしてください。時

間は1グループ5分以内です。

3 全体協議について

各班の発表

1班から順番に、グループで話し合ったキーワードについて発表します。

担当からのコメント

各グループから出されたキーワードを使って、担当スタッフがまとめます。

「振り返りシート」※A3判で1人に1枚配付します。

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フォローアップ研修(2年目)『「課題研究」レポート』作成のためのリーフレット

課題研究については、次に示す「1 研究構想」、「2 研究のまとめ方」を参考にしてまとめてみましょう。

1 研究構想

どんな研究を、どのように進めていくかの構想作りには、下のようなワークシートを利用すると構想を立て

やすい。

研究構想シートの記入例

A 研究主題

「論理的思考力を育む授業方法の開発」

~問いと学び合いを取り入れた世界史学習を通して~

B 研究動機

・世界史の授業で教師が

歴史の用語や流れの説

明に終始してしまって

いる。

・生徒が調べたり、考え、

たり、話し合う場面が少

ない。

・本時のねらいを達成す

るための問いが設定で

きていない。

D 研究仮説

・各授業ごとに論理的思考を必要とする問いを用意し、その解答を

ペアで説明し合う場面を設定すれば、生徒の論理的思考力が育ま

れるであろう。

C 研究の目的

・生徒が問いに対して授

業で得た知識だけでな

く、調べたり学び合いで

得られた知識を加えて論

理的に思考できる授業を

開発する。

E 研究手順

①アンケート実施(事前・事後)

②問いの作成、授業実践

③定期考査のデータ収集 ④考察

F 研究成果の検証方法

①論理的思考に関するアンケート(事前、事後)

②授業中のノートの記述

③定期考査の結果(1~2学期)

によって論理的思考力の変化を測定する

2 研究のまとめ方

研究主題

研究のタイトル。1~7が総括してあらわされるもの。研究主題をより具体化するためにサブタイトルを

つけることもできる。

(「論理的思考力を育む授業方法の開発」~問いと学び合いを取り入れた世界史学習を通して~)

1 研究の目的 この研究で何を明らかにしようとしているか、何を目指しているか。

(生徒が問いに対して授業で得た知識だけでなく、調べたり学び合いで得られた知識を加え

て論理的に思考できる授業を開発する。)

2 研究の動機 なぜこの研究主題を設定したか。

自分の授業づくりの課題、学校の実態や課題や社会的・学問的背景

など研究の基盤となるもの。

(世界史の授業で教師が歴史の用語や流れの説明に終始して…)

自分の授業の

現状や課題

Dを実施・確認するた

めの作戦・スケジュール(時

期、場所、対象、使用

資料、手順)など、具

体的な研究行動を記す

Dが機能したか、

正しかったかを判

断する方法を記す

「Cを達成するためには、○○を○○す

れば○○になるだろう」「○○は○○な

のではないか」という予測を、研究の指

針・ビジョンとして記入する

自分が目指す

授業像

「近年○○が叫ばれて

いる」などの書き出し

を避け、自発的な自ら

の課題として記述する

ようにする

「これからの読書教育について」のような漠然

とした問いではなく、「読書習慣を支援する教

室環境の構築について」のように焦点化する

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課題研究レポート作成上の留意点

・1文はあまり長くならないようにする。

・文体は「である」調で書く。

・表記や用語を統一する。

・事実と意見を区別する。

・説明には図表を有効に活用する。

・主語・述語などの文の関係、語句の係り受けに乱れがないようにする。

・必要な場所では接続詞を積極的に使い、論理を明示的にする。

・章や節の中で、結論やまとめを先に書き、そのあとにその結論やまとめを論証する記述を行うようにする。

【参考】 一般的な教育実践研究の進め方

3 研究仮説 この研究の結果についてどのような予測が考えられるか。

研究の指針、ビジョン。研究の目的と合わせて記述してもよい。

(各授業ごとに論理的思考を必要とする問いを用意し、その解答をペアで説明し合う場面を

設定すれば、生徒の論理的思考力が育まれるであろう。)

4 研究の方法 研究の目的を達成、あるいは研究仮説を確認するために、いつ、どこで、誰(何)に対して、

何を使って、どのような方策を行うか。また成果をどうやって確かめるか。

(対象:○○高等学校3年、授業実施期間:6月1日~11月31日、科目名:世界史B、

手順:アンケート実施(事前・事後)、問いの作成、授業実践、定期考査のデータ収集)

5 結果 研究仮説についてどのような結果が得られたか。

(論理的思考力の変化が見られるか。)

6 考察 結果をもたらした理由は何かを分析する。

7 まとめ 研究の目的は達成できたか。

研究を通してどのようなことがわかったか、また明らかになったか。

8 参考文献等 引用文献、参考文献の一覧、添付資料など。

(著者名、書名、出版年、出版社など)

先行研究などを参考にしながら、自分の考えを客観

的なものとして述べるようにする。引用の場合は

「○○で述べられているように」などと明記する

成果と課題を明確にする

子ども・学校等の実態を観察し、課題を発見する。

③研究仮説の設定

②研究の目的の設定

①実態把握観察

④実践方法の設定

⑤検証方法の設定

⑥実践・追究

⑧考察

⑦結果の検証

⑨研究の総括と

今後の課題のまとめ

その課題について、子ども・学校等のどういう姿を目指したいのか、

まとめる。

①を②にするために、何をどのようにすればよいと考えるかを明確に

する。

③が立証されたかどうかを判断する方法を考える。

③を、具体的には、どのように実践や追究するのかを検討する。

③に基づいた教育活動を④に従って行う。

⑥の結果をまとめ、③が立証されたかどうかを⑤によって検討する。

③が機能したのはなぜか、機能しなかったのはなぜかを検討する。

この研究で何が明らかになったか、また実践上の課題や、さらにどの

ような教育活動が必要かをまとめる。

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所属の校種・職種

番号/氏名

A 研究主題

B 研究動機 D 研究仮説 C 研究の目的

E 研究手順

F 研究成果の検証方法

フォローアップ研修(2年目) 課題研究構想シート

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学習指導案の役割と書き方・考え方(基本型)

1.学習指導案の役割

学習指導案を作成することは「どのような力を身に付けさせるために」「どのような学習指導を

行うのか」という内容や手順を具体的に考えていくことです。指導者は、年間指導計画に基づい

た系統性や単元全体の目的、対象となる児童生徒の実態や課題を踏まえてどのような内容をどの

ような学習活動を通して指導していくのかという単元を構想したうえで、毎時間の流れと内容を

考え必要な準備をしていきます。学習指導案を作成することで、その内容や指導方法を事前に考

えたり工夫したりしながら練り上げていくことができます。つまり、学習指導案は、単元を見通

したうえでその時間のねらいを達成するためのとても重要な計画であると言えます。

公開授業では、授業のねらいや工夫点、指導者の指導上の留意点等、授業参観の観点を明確に

しておくことが重要です。また、児童生徒の実態や自校の目指す児童生徒像等についてあらかじ

め知っておいてもらいたいこともあります。このような時、学習指導案は、共通理解を図るため

の資料として重要な役割を果たします。

授業後には、児童生徒の様子や自分自身の指示や発問等の指導を振り返って成果や課題を明ら

かにすることが必要です。その際、児童生徒の反応や計画の変更点、反省点など書き込みがされ

た学習指導案は授業記録としての役割を果たし、研究協議の話し合いを深め改善案や有効な手立

てを出し合うことで、次の授業構想への準備にもなります。

2.学習指導案(各項目)の意味と書き方

(1)単元(題材)名

単元名とは、いくつかの教材や活動で意図をもって構成された一連の学習活動を示す名

称である。また、教科の中でも、音楽、図画工作、家庭、美術、技術・家庭等においては、

「単元名」ではなく「題材名」と表記されることもある。学習指導要領に示された各内容

項目の有機的な関連を図って一つの指導単位にまとめて組織した場合には「題材名」と表

記する。

また、総合的な学習の時間は「単元名」で、道徳科は「主題名」で、特別活動は内容に

より、「議題」、「題材」で表記する。

【チェックポイント】

□学習のねらいや内容が一目でわかるように明記されている。

□「単元名」が教科等に応じた表記になっている。

□「単元名」等と「教材名」が混同されていない。

(例)

道 徳 科 : 主題名

「やさしいきもちで」

特 別 活 動 : 議 題「どうぞよろしくの会をしよう」

題 材「すてきな言葉」

総合的な学習の時間 : 単元名「捺染(なっせん)ぞめで自分たちの手拭いを染めよう」

(混同例) 国語科 × 単元名「ごんぎつね」

○ 単元名「読んで考えたことを話し合おう」

ねらい「身近にいる幼い人や高齢者に

温かい心で接し、親切にする。」

教 材「はしの上のおおかみ」

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(2)単元目標

単元目標とは、意図をもって構成された一連の学習活動(単元)をふまえた教師側の指

導計画上の目標である。そのため、「~できるようにする。」「~を身に付けさせる。」とい

った教師を主語にした文末表現となるが、児童生徒を主語にした方が設定しやすい教科は

「~する。」「~できる。」「~を味わう。」等で表現することもある。いずれにしても、1 つ

の指導案の中で、視点が混在することなく統一した表現になっていることが大切である。

なお、評価の観点ごとに記述する場合もあるが、ねらいを絞ることから、単元(題材)

全体の目標を 1 文程度で記述する場合もある。

【チェックポイント】

□学習指導要領や各教科等の学習指導要領解説を参考に、本単元で身に付けさせたい力が

明確にされている。

□学習を通して目指す児童生徒の姿が簡潔に記述されている。

□複数の目標がある場合、主語(視点)が混在していない。

(3)単元の評価規準

評価規準とは、「全ての児童生徒が到達することを期待する達成目標」で、「設定した目

標について、児童生徒がどのような学習状況として実現すればよいのかを具体的に想定し

たもの」である。その際、「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」(平

成 23 年 11 月 国立教育政策研究所)を活用するとよい。

【チェックポイント】

□自校の指導計画に基づき、単元ごとに各観点に即して「概ね満足できる」状況が設定さ

れている。

□各観点の評価規準が、単元目標を踏まえて具体的に設定されている。

□文末が「~しようとしている。」や「~している。」等の児童生徒の状態を示す表記にな

っている。

(4)単元について

① 教材観(教材について)

指導者が、単元設定の意義と単元のもつ価値を明確にし、教材に対してどのような見方

をもっているのかを述べるところである。そのため、指導者がその単元をどのように理解

し、児童生徒にとってこの単元や教材はどのような意味をもち、今後の学習にどのように

つながっていくのか、他教科等とどのようにつながっているか、実生活とどのように結び

ついているか等を示すことが大切である。

【チェックポイント】

□学習指導要領に示された目標や内容との関連が記述してある。

□児童生徒にとって単元や教材のもつ教育的意義や、他教科、実生活等との関連が述べて

ある。

② 児童・生徒観(児童生徒について)

指導者が、児童生徒の実態を調査や観察により客観的にとらえ、一人一人の学習に対す

る構えなどを具体的に述べるところである。

なお、児童生徒の課題にだけ目を向けるのではなく、個や集団のよさに着目することが

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必要である。ただし、児童生徒の課題が記述してある際には、個人情報保護の観点から、

個人を特定できるような記述は避ける必要がある。

【チェックポイント】

□単元に関わって児童生徒がどのような実態(レディネス)であるのかが記述してある。

□単元に関わるこれまでの学習履歴の状況が記述してある。

□学習に対しての学級集団の特徴について記述してある。

□小・中学校においては、全国学力・学習状況調査や県学力調査から見られる課題等につ

いて必要に応じて記述してある。

③ 指導観(指導にあたって)

教材観及び児童・生徒観を踏まえて、単元全体の学習指導の具体的方法や手立てについ

て述べ、さらに本時の指導を具体的に述べるところである。

【チェックポイント】

□教材教具、学習形態、学習過程、教師の支援のポイントなどについて指導者の意図的な

活動が記述してある。

□単元全体の指導に合わせ、本時の指導が具体的に記述してある。

(5)単元指導計画

単元の指導計画は、各時間・「次(つぐ)*1」の目標、主な学習活動、評価規準を示した

ものである。そのため、単元でどのような力を身に付けさせるのか、どのような学習活動

を行い、評価していくのかが明確になっていることが大切である。

【チェックポイント】

□機械的な「次」の設定や学習活動と関係のない区切りの設定をすることなく、全体を見

通した構成になっている。

□目標や学習活動は学習指導要領の該当箇所を根拠に具体的に示されている。

① 主な学習活動

単元目標を達成するための学習活動を、毎時間、または「次」ごとに示したものである。

そのため、どのような学習活動を通して学ばせるかが明確になっていることが大切である。

【チェックポイント】

□単元目標を達成するための学習活動の流れに具体性と必然性がある。

□単元目標や本時の目標をそのまま当てはめた表現ではなく、児童生徒が実際に行う学習

活動を具体化した表現(「どのようなこと」を「どのようにして行うか」)で記述されて

いる。 (例) × 「かけ算の答えの求め方を理解する。」

○ 「かけ算の答えは、同じ数の足し算で求められることを図で表す。」

*1 数時間をひとまとまりとした区切りのことである。教科により小単元と表したり、区切りだけで名称を付けなかった

りすることもある。

※特別支援教育の指導案の場合は、前頁 「単元の評価規準」及び 「単元について」に児童

生徒一人一人についての実態・目標・評価規準・手立てを記述する。(=個別の支援計画)

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② 評価規準

単元指導計画に示す評価規準は、各時間、または「次」ごとに設定した目標に対応して、

児童生徒がどのようなことを、どの程度までできるようになることを目指すのかを具体的

に示したものである。そのため、目標との整合性がとれているかが大切であり、児童生徒

がどのような学習状況であれば、目標を達成したと判断するのかを具体的に記述する必要

がある。

【チェックポイント】

□評価規準は、児童生徒が目標を達成した具体的な姿を設定している。

□文末が「~しようとしている。」「~している。」「~ができる。」等の児童生徒の状態を示

す表現になっている。

□評価の観点を1つ程度としている。

□評価方法が、(発言)(ノート)等として具体的に見取ることができるもので明記されて

いる。

③ 単元指導計画の表記例

(例)単元指導計画(全○時間 本時 ○ / ○)

次 時 目 標 主な学習活動評 価

関 考 技 知 評価規準

1 ○(小数)÷(整数)

の計算の仕方を考

え、説明できる。

・(小数)÷(整数)

の計算の仕方に

ついて絵や図を

使って説明する。

○ 0.1 を単位にし、絵や図を使っ

計算の仕方を説明している。

(ノート・発言)

○(整数・小数)÷(整

数)の計算の仕方

を考え、説明でき

る。

・(整数・小数)÷(整

数)の計算の仕方

を図や単位の考

え方で説明する。

○ 0.01 を単位にし、既習の考え方

を使って計算の仕方を説明して

いる。 (ノート・発言)

3 ○(小数)÷(1 位数)

の筆算の仕方を理

解 し 計 算 が で き

る。

・(小数)÷(1 位数)

の筆算の仕方を

理解し計算する。

○ (小数)÷(1 位数)の筆算の仕

方を理解し正しく計算してい

る。 (ノート)

4 ○(小数)÷(1 位数) ・(小数)÷(1 位数) ○ (小数)÷(1 位数)で、商が純

・単元目標達成のために、単元全体を通し

て学習活動をどのような構成にしていくの

かを検討する。

・単元全体を通して各観点のバランスを考慮

し、指導に当たることができるようにする。

・1時間の授業での観点は1つ程度に絞り、指

導の重点化を図る。

・全ての子どもが到達することを期待する達成目標を満たしている児童・生徒の状態を具体的に記述する。

・評価規準の観点別文末表現や評価方法については、以下に例を示す。

(例) 「関心・意欲・態度」・・・「~しようとしている。」「~に取り組んでいる。」(行動観察)

「思考・判断・表現」・・・「~について考え、図に表している。」(学習カード)

「技能」・・・・・・・・・「~の計算ができる。」(評価問題)

「知識・理解」・・・・・・「~が言える。」(発言)「~について理解している。」(発言・記述)

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(6)本時の学習

① 目 標

1時間の授業で、どのような力を、どのような学習活動を通して身に付けさせるのかを

記したものである。

【チェックポイント】

□単元指導計画と整合性が取れている。

□目標が2つ以上あるときは観点別に記述してある。

□文末には関係する観点が付記してある。

② 展 開

時系列に児童生徒の活動と、その活動に対応した教師の動きや関わり方を示したもので

ある。そのため、児童生徒の活動の部分では、問題解決的な学習過程でどのような活動を

行うのかが大切である。また、教師の動きや関わり方の部分では、目標を達成させるため

の指導の工夫や児童生徒の反応に対する支援や働きかけをどのように行うかが大切である。

【チェックポイント】

●児童生徒の活動の欄

□見通し*2・振り返り*3 が設定されている。

□主な発問を設定し、それに対する児童生徒の予想される反応が記述してある。

□各学習活動にかける時間が記してある。

□文末は、児童生徒が主語になり「~について考える。」「~について話し合う。」などの表

現になっている。

●教師の動きや関わり方の欄

□児童生徒の予想される反応に対する支援が記述してある。

□教材や資料の使用場面や使用方法が記述してある。

□評価規準と評価方法が記述してある。

□評価規準は、本時の目標と整合性が取れている。

□文末は教師の立場で記述し、「~を知らせる。」「~するようにする。」などの表現になっ

ている。

「目標」「ねらい」「めあて」について

「目標」と「ねらい」は同義。「目標(ねらい)」を達成するための

学習課題を児童・生徒向けの言葉で示したものが「めあて」。

*2 授業の冒頭で目標を示し、学習の見通しを立てる活動。

*3 授業の終末で学習内容・方法・状況などを確認・記述する活動。

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③ 評 価(評価基準)

設定した目標をどれだけ達成できたかの判断となる目安のことである。そのため、評価

基準を「十分満足できると判断される状況」「概ね満足できると判断される状況」「支援を

要する状況への手立て」として記述する。

【チェックポイント】

□単元指導計画の評価規準の内容と整合性が取れている。

□評価基準が具体的に記述してある。

□「概ね満足できると判断される状況」については、「十分満足できると判断される状況」

にするための手立てが記述してある。

・「平成 27 年度 道徳教育指導者養成研修」(文部科学省)文部科学省初等中等教育局 教育課程課 教科調査官

赤堀博行 「講義5道徳教育を推進するリーダーとして」補助資料

・「楽しく豊かな学級・学校生活を作る特別活動 小学校編」文部科学省 国立教育政策研究所教育課程研究センター

平成 27 年9月

・「(小学校編)今、求められる力を高められる総合的な学習の時間の展開」文部科学省 平成 22 年 11 月

・「学校教育辞典」第3版/教育出版

・「『評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料』の活用方法について 小学校・中学校編」国立教育

政策研究所 教育課程研究センター 平成 23 年 11 月

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かけ算の筆算(2)

・1,2位数×何十の計算・2,3位数×2位数の計算・乗法計算の工夫・2,3位数×1位数の暗算

わり算

・除法の意味と記号・九九1回適用の除法・倍の計算(第一用法)

1年 2年 3年

かけ算

・分配法則,交換法則の活用・a×□,□×a・0のかけ算

かけ算①

・かけ算の意味と記号・倍の意味・5,2,3,4の段の九九の構成, 暗唱と適用・乗法と積の大きさ

かけ算②

・6,7,8,9,1の段の九九の構 成,暗唱と適用・乗法について成り立つ性質 (交換法則、分配法則)・倍の意味理解・簡単な2位数×1位数・九九表のきまり

10よりおおきいかず

・2ずつ,5ずつまとめて数えること

20よりおおきいかず

・数の構成に基づく数の数え方

かけ算の筆算(1)

・何十,何百×1位数の計算・2,3位数×1位数の計算・結合法則・倍の計算(第二用法)

第2学年○組 算数科学習指導案

日 時 平成○年○月○日(○)○校時

指導者 ○ ○ ○ ○

場 所 ○ ○ 教室

1 単元名 かけ算(2)九九をつくろう2 単元の目標 乗法の意味について理解を深め、それを用いることができるとともに、乗法が用いられる場面を式に表し

たり、式を読み取ったりすることができる。3 単元の評価規準

算数への 関心・意欲・態度

数学的な考え方 数量や図形に ついての技能

数量や図形についての知識・理解

・累加の簡潔な表現としての乗法のよさに気付き、ものを数えるときに乗法を用いようとしている。

・進んで乗法九九を構成しようとしている。

・乗法について成り立つ性質や決まりを進んで見付けようとしている。

・乗法の式に表したり、式を読み取ったりすることに関心をもち、いろいろな場面を式に表そうとしている。

・乗法に関して成り立つ簡単な性質を調べ、乗法九九を構成したり計算の確かめをしたりすることに生かしている。

・簡単な場合について、2位数と1位数との乗法の計算の仕方を考えている。

・乗法が用いられる場面を、具体物や図などを用いて考え、式に表している。

・乗法の式を、具体的な場面に結び付けて捉えている。

・1位数と1位数との乗法の計算が確実にできる。

・乗法が用いられる場面を式に表したり、式を読み取ったりすることができる。

・乗法は、一つ分の大きさが決まっているときに、その幾つ分かに当たる大きさを求める場合に用いられるなど、乗法の意味について理解している。

・乗法は累加で答えを求めることができることを理解している。

・式に表したり、式を読み取ったりすることを通して、乗法が用いられる場面の数量の関係について理解している。

4 単元について (1)教材観(教材について) 本単元で扱う乗法は、学習指導要領には以下のように位置づけられ、学習の関連としては下図の通りである。

図≪本単元の学習の関連と発展≫

基本型のサンプル指導案(小学校・算数)から見た書き方

A 数と計算(1)数の意味や表し方について理解し、数を用いる能力を伸ばす。

エ 一つの数をほかの数の積としてみるなど、ほかの数と関連付けてみること。(3)乗法の意味について理解し、それを用いることができるようにする。 ア 乗法が用いられる場合について知ること。 イ 乗法に関して成り立つ簡単な性質を調べ、それを乗法九九を構成したり計算の確かめをしたりすること

に生かすこと。ウ 乗法九九について知り、1位数と1位数との乗法の計算が確実にできること。

エ 簡単な場合について、2位数と1位数との乗法の計算の仕方を考えること。D 数量関係(2)乗法が用いられる場面を式に表したり式を読み取ったりすることができるようにする。

⑦「概ね満足できる」状況が設定 ・ ⑧単元目標を踏まえて具体的に設定

⑨「~しようとしている。」「~している。」等の児童・生徒の状態を示す文末表現

⑩学習指導要領に示された目標や内容との関連の記述

④学習指導要領や各教科等の学習指導要領解説を参考に記述

⑤学習を通して目指す児童・生徒の姿を簡潔に記述 ⑥複数の目標がある場合、主語を混在させない

①学習のねらいや内容が一目でわかるように明記 ②③

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本単元では、前単元に引き続き児童自ら乗法九九を構成したり数の並び方のきまりを発見したりしながら、乗法の意味について理解できるよう学習を進めていく。乗法九九は、以後の学年で取り扱う乗法や除法の計算の基盤となるものであることから、体験的な活動や身

近な生活体験などと結び付けて学習し、その習熟を図ることが大切である。また、乗法を生活や学習に活用しその有用性を感じさせ、進んで学習や日常生活に用いようとする態度を育てる上で有意義な単元である。

(2)児童観(児童について) 本学級は、25 名の学級である。算数の学習に意欲的に取り組み、自分の考えを書いたり発言したりするこ とができる児童が多い。しかし、中には式は書けても説明することや図を描くことが苦手な児童もいる。そこ

で、ペア学習を取り入れたり、ICTを活用したりしてみんなで学び合う活動を大切にしてきた。それにより苦手な児童も説明の仕方や図の描き方が分かるようになりつつある。前単元から、新たな乗法九九を習得することに喜びを感じ学習への意欲が高まっている。習熟を図る場面で

は反復練習のみにならないよう、ゲーム等を取り入れるなどして楽しみながら学習している。本単元の学習を始めるにあたってレディネステストを実施した。結果は以下の通りである。

問題 正 答 主な誤答(1)3の4つ分を表している式はどれですか?

ア 3+4 イ 4+4+4+4 ウ 3×4 エ 4×3

ウ 3×4 …22人

ア 3+4…2人エ 4×3…1人

(2)2個ずつ4皿分のいちごの数はいくつでしょう。かけ算の式に書いて求めましょう。

式 2×4=8答え8こ…23人

4×2=8…1人2+2+2+2=8…1人

(3)●の数をかけ算の式に書いて求めましょう。どのように求めたのか図に描き表しましょう。

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ● ・3×5=15

または

・5×3=15と解答した児童…16人

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

・3×5=15…2人

・5×3=15…2人

・3×5=15…2人

・無回答…3人

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

● ● ● ● ●

(4)計算をしましょう。 ①2×3 ②5×8 ③3×3

・全問正答 …21人

誤答 …4人・2×3=5 ・3×3=6・5×8=30 ・5×8=35

この結果から、次のことが分かる。① 大部分の児童が1つ分のいくつ分を表す乗法の意味を理解し、乗法九九は定着している。② 立式の時にかける数とかけられる数を間違う児童が数名いる。③ 図と式を対応させて求めることができる児童は6割程度である。④ 乗法九九(2の段~5の段)の定着が図れていない児童が数名いる。以上のことから、乗法の式の意味理解の確実な定着には課題がある。全国学力・学習状況調査の結果からも

式の意味理解には課題がある。

(3)指導観(指導にあたって) 本単元では、前単元で学習した乗法の性質やきまりを用いながら、児童自らが九九を構成していくような主

体的な学習を大切にしたい。乗法九九の暗記のみの単調な学習にならないようにするため、数字の並び方や変化の規則性を感じることができる操作的な活動を取り入れていく。また、九九表を用い、数の並び方やきまり発見の面白さを感じることができるよう、対話的な学習を中心とした学び合いの時間の充実を図っていく。そうすることで、算数の学習への意欲を高めていきたい。 本時は、乗法九九を活用して問題を解決する場面である。この問題では、乗法を用いるために自分で同じ数のまとまりを見つけたり、工夫してまとまりを作ったりすることが必要となる。そこで、個人思考に入る前に必要な既習事項を確認し、課題解決の見通しがもてるようにする。また、考えがもちにくい児童にはヒントとなるワークシートを準備し思考の手助けとする。 学び合いの際には、ペアで半具体物を操作して数のまとまりを確認したり、他者の考えを図と式を関連させ

ながら全体で話し合ったりすることで確実に理解させたい。意見を取り上げる際、「同じ数ずつ囲む」考えや「分ける」「動かす」考えを中心に取り上げ、乗法九九を活用するよさを感じさせたい。振り返りの場面では自分にとってよりよい考えを意識させることで深い学びにつなげたい。終末では、日常生活の一場面に目を向けさせ、乗法を活用しよういう意欲につなげていきたい。

⑪単元等のもつ教育的意義や実生活との関連の記述

⑯教材教具、学習形態、学習過程、教師の支援のポイントなどについて指導者の意図的な活動の記述

⑰単元全体の指導に合わせ、本時の指導の記述

⑫子どもの実態(レディネス)の記述

⑬単元に関わるこれまでの学習履歴の記述

⑭学習に対する学級集団の特徴の記述

⑮学力調査から見られる課題等に

ついての記述

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5 単元指導計画(全 17時間 本時 15/17)

次 時 目 標 主な学習活動評価

関 考 技 知 評価規準(評価方法)

(1)6のだん、7のだん

1 6 の段の九九の構成の

仕方を考えることがで

きる。

累加や乗法の積の関係な

どから6の段の九九の構成

の仕方について考える。

乗法について成り立つ性質やきまりを用いて

九九を構成しようとしている。

(観察・ノート)

2 6 の段の九九を確実に

唱え、適用することがで

きる。

6 の段の九九を唱えたり、

九九表を見ながら、性質や

きまりを見つけたりする。

6 の段の九九を見直すことを通して、乗法につ

いて成り立つ性質を考え、説明している。

(発言・ノート)

3 6 の段の九九を使う乗法の

問題に取り組む。○

6 の段の九九を確実に唱えることができ、それを用い

て問題を解決することができる。(ノート)

4 7 の段の九九の構成の

仕方を考えることがで

きる。

7 の段の九九の構成の仕方

について考える。 ○

乗法について成り立つ性質やきまりを用いて

九九を構成しようとしている。

(観察・ノート)

5 7 の段の九九を確実に

唱え、適用することがで

きる。

7 の段の九九を唱えたり、

九九表を見ながら、性質や

きまりを見つけたりする。

7 の段の九九を見直すことを通して、乗法につ

いて成り立つ性質を考え、説明している。

(発言・ノート)

6 7 の段の九九を使う乗法の

問題に取り組む。○

7 の段の九九を確実に唱えることができ、それを用い

て問題を解決することができる。(ノート)

(2)8のだん、9のだん、1のだん

7 8 の段の九九の構成の

仕方を考え、唱えること

ができる。

8 の段の九九の構成の仕方

について考えたり、唱えた

りする。○ ○

乗法について成り立つ性質やきまりを用いて

九九を構成しようとしている。

8 の段の九九を確実に唱えることができる。

(観察・発言・ノート)

8 8 の段の九九を確実に

唱え、適用することがで

きる。

8の段の九九表を見なが

ら、性質やきまりを見つけ

たり、問題に取り組んだり

する。

○ ○

8 の段の九九を見直すことを通して、乗法につ

いて成り立つ性質やきまりを考えたり、問題を

解決したりできる。

(発言・ノート)

9 9 の段の九九の構成の

仕方を考え、唱えること

ができる。

9 の段の九九の構成の仕方

について考えたり、唱えた

りする。○ ○

乗法について成り立つ性質やきまりを用いて

九九を構成しようとしている。

9 の段の九九を確実に唱えることができる。

(観察・発言・ノート)

10 9 の段の九九を確実に

唱え、適用することがで

きる。

9 の段の九九表を見なが

ら、性質やきまりを見つけ

たり、問題に取り組んだり

する。

○ ○

9 の段の九九を見直すことを通して、乗法につ

いて成り立つ性質やきまりを考えたり、問題を

解決したりできる。

(発言・ノート)

11 1 の段の九九を構成し、

乗法の意味理解を確実

にする。

1の段九九を構成し、その

唱え方を知り、適用問題に

取り組む。○

1 の段の九九を構成することを通して、乗法の

意味を理解している。

(観察・発言・ノート)

(3)倍

12 図を見て基準量の何倍

かを考え、「倍」につい

ての理解を深める。

長さの違う2本のテープ

を用い、それぞれの「3倍」

の長さの求め方を考える。

倍を表す数が同じでも、基準量が異なれば比較

量も異なることを理解している。

(観察・ワークシート)

(4)きまり

13 九九表からきまりを見

つける活動を通して、乗

法と積の関係や乗法の

交換法則についての理

解を深める。

九九表からきまりを見つ

け、乗法の交換法則を確認

する。

教科書に記載されている

児童の吹き出しを読み、分

配法則について調べる。

各段の九九を構成するときに用いた乗法と積

の関係や、乗法の交換法則を、乗法の性質やき

まりとしてまとめようとしている。

(発言・ワークシート)

14 乗法の性質や決まりを

用いて、簡単な場合の2

位数と1位数の乗法の

答えの求め方を理解す

る。

九九表をもとに、学習し

てきた性質やきまりを用

いて、被乗数が2位数の乗

法について答えの求め方

を考える。

乗数と積の関係や乗法の交換法則を用いて、簡

単な場合の2位数と1位数の乗法の答えの求

め方を考え、説明している。

(発言・ワークシート)

(5)活用

15 本

ものの数の求め方を、乗

法を用いて解決できる

ように同じ数のまとま

りを図に表して考える

ことができる。

チョコレートの数のいろ

いろな求め方を、図をもと

に考え、それぞれの考えを

発表し、学び合う。

ものの数の求め方を、乗法を用いて解決できる

ように同じ数のまとまりを図に表して考えて

いる。 (発言・ワークシート)

(6)まとめ

16 17

学習内容を適用して問

題を解決し、学習の定着

を図る。

「力をつけるもんだい」と

「しあげのもんだい」に取

り組む。

○ ○

学習内容を適用して、問題を解決することができる。

(ノート)

基本的な学習内容を身につけている。 (ノート)

評価方法を明記

実際に行う学習活動を具体化した表現で記述

目標を達成した具体的な姿を設定

「~しようとしている。」「~している。」「~ができる。」等の文末表現

評価の観点を1つ程度

⑲目標や学習活動は学習指導要領の該当箇所を根拠に具体的に表現

⑳学習活動の流れに具体性と必然性がある。

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6 本時の学習 (1)目標(ねらい)

ものの数の求め方を、乗法を用いて解決できるように同じ数のまとまりを図に表して考えることができる。【数学的な考え方】

(2)展開(15/17時間) 時 学習活動と予想される児童の反応 指導上の留意点(・)と支援(◎)

10 分

15 分

1.本時の問題を知り、めあてを確認する。

2.問題に取り組む。

3.全体で学び合う。

①求め方を言葉や図、式で説明する。

②それぞれのやり方のよさについて学び合う。

・同じ数のまとまりをつくると、かけ算で求められる。

・上下、左右に分けて考えると求めやすい。

・チョコレートはないのに「ある」とみて計算して、後から引く

方法はすごいと思った。

4.学習をまとめる。

5.適用問題をする。

6.ふり返りをする。

6.ワークシートにふり返りを書く。

・図を二つに分けて考えたら、かけ算を使って解きやすかった。

・●を移動して長方形の形に並べたら3×6で一気に答えが求め

られて簡単だと思った。

・全員にチョコレートが渡せるかどうかを話題にし、チ

ョコレートの入っている箱のふたを徐々にずらしなが

ら問題を提示することで児童の興味を引く。

・箱の中のチョコレートの並びに意識を向けながら題意

を理解させ、解決への意欲を高める。

・既習の学習を想起させ、課題解決の手立てとすること

で学習への見通しをもたせる。

◎思考の手助けとなるように、書き込み式のワークシー

トを準備する。

・『分ける』『動かす』『補って引く』の考えは、図と式の

関係を理解できるように、ペアで図を指示したり半具

体物を操作したりしながら説明させ、数のまとまりを

確認させる。

・児童の考えの中で、図と式が一致していないものや途

中までのものがあれば取り上げ、全体で考えることで、

自分の考えを見直したり、理解を深めたりできるよう

にする。

・多様な考え方を認めつつ、それぞれのよさに目を向け

させ、よりよい方法への意識付けをする。

・計算の仕方を分類することで、かけ算を用いてものの

数を求めるよさを感じることができるような価値づけ

を行う。

◎数のまとまりがわかるように、色分けをした図がかい

てあるワークシートを準備しておく。

・速く解けた児童には複数の方法で解くように指示し、

どの方法が自分にとってよりよい方法か考えさせる。

・学習内容の理解と、多様な考え方やそのよさについて

ふり返らせる。

・最後に職員室の前に掲示してある賞状の写真を使い、

日常の場面に活用する意欲へとつなげて授業を終え

る。

(3)評価 十分満足できると判断される状況 概ね満足できると判断される状況 支援を要する状況への手立て

ものの数の求め方を、乗法を用いて解決でき

るように同じ数のまとまりを図に表して考

えている。また、複数の方法を考えよりよい

方法を選んでいる。

ものの数の求め方を、乗法を用いて解決できるよう

に同じ数のまとまりを図に表して考えている。

適用問題において、複数の方法で解くように指示

し、よりよい方法について考えさせる。

数のまとまりがわかるように、色分けをし

た図がかいてあるワークシートや半具体物

を操作できるマグネット板を準備する。

● ●●● ●●

● ● ●● ●●● ● ●● ●●● ● ●● ●●

問題1はこの中のチョコレート

は、ぜんぶで何こありますか。

めあて チョコレートの数をかけ算をつかってもとめよう。

まとめ 同じ数のまとまりをつくれば、かけ算をつかってはやくもとめることができる。

問題2

はこの中のチョコレート

は、ぜんぶで何こありますか。

●●●●●●●●●●●●●●●●●●

4×6=24 24こ

●● ●●● ●

●●●●● ●●●●●● ●●●●●● ●

5×6=302×3=630-6=24 24こ

●●●●●●

●●●●●●●●●●●●●●●●●●

2×3=63×6=18 6+18=24 24こ

● ● ●● ● ●

● ●● ● ● ●● ●● ● ● ●● ●● ● ● ●

分ける

動かす補って引く

3×8=24 24こ

●●●●●●

●●●●●●●●●●●●●●●●●●

6×4=24 24こ

●●●●●●

●●●●●●●●●●●●●●●●●●

同じ数ずつ囲む

ものの数の求め方を、乗法を用いて解決できるよう

に同じ数のまとまりを図に表して考えている。

【発言・ワークシート】

「十分満足できると判断される状況」にするための手立ての記述

子どもの予想される反応に対する支援の記述

教材や資料の使用場面や使用方法の記述

「~を知らせる。」「~するようにする。」等の文末

表現

評価規準と評価方法の記述・ 本時の目標と整合性

単元指導計画の評価規準の内容との整合性・ 評価基準の具体的な記述

主な発問における児童・生徒の予想される反応の記述

単元指導計画の目標との整合性・ 目標が複数ある場合観点別に記述・ 観点の付記

「~について考える。」「~について話し合う。」等の文末表現

評価の観点(数学的な考え方)

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第2学年○組 理科学習指導案

日 時 平成○○年○月○日(○)○校時

指導者 ○ ○ ○ ○

場 所 ○ ○ 教室

1 単元名 動物のからだのはたらき

2 単元目標

動物の消化、呼吸及び血液循環や外界の刺激に対する反応について観察や実験を基に、動物の体のつ

くりと働きを関連付けて理解する。

3 単元の評価規準

自然事象への

関心・意欲・態度 科学的な思考・表現 観察・実験の技能

自然事象についての

知識・理解

生命を維持する働きに関

する事物・現象に進んで関

わり、それらを科学的に探

究しようとしているとと

もに、生命を尊重しようと

している。

生命を維持する働きに関

する事物・現象の中に問題

を見いだし、目的意識をも

って観察、実験などを行

い、動物の体が必要な物質

を取り入れて運搬する仕

組み、外界の刺激に反応す

る仕組みなどについて自

らの考えをまとめ、表現し

ている。

生命を維持する働きに関

する観察、実験の基本操作

を習得するとともに、観

察、実験の計画的な実施、

結果の記録や整理などの

仕方を身に付けている。

動物の体が必要な物質を

取り入れて運搬する仕組

み、不要な物質を排出する

仕組みなどについて基本

的な概念や規則性を理解

し、知識を身に付けてい

る。

4 単元について

(教材観) 本単元は、動物の消化や呼吸、血液の循環についての観察・実験を行い、それらのはたらき

を物質交換の視点でとらえさせることをねらいとしている。また、学習指導要領(平成20年9月)では、大単元「動物の生活と生物の変遷」において、「生物と細胞」の小単元が中学3年生での学習から移行している。そこで、動物のからだのはたらきは細胞を基礎に成り立っていることに気づくことで、マクロ

な見方からミクロな見方へと転換していく。そして細胞とその活動を、動物の生と死から切り離して、

静的なつくりとはたらきをとらえるのではなく、細胞が生きているという動的な視点でとらえるように

していく。また、この単元は生徒がヒトのからだの精妙なしくみに感動し、自分自身や他人を大切にし

ようとする姿勢や、ヒトだけではなく生命すべてを尊重する態度を養う上で大変有意義な単元である。

(生徒観) 生徒は、小学校で、昆虫のからだのつくりと育ち方、ヒトや他の動物の呼吸、消化、排出、

血液の循環について、また、生命活動を維持するための様々な器官があることについての初歩的な学習

をしている。また、動物の飼育経験、動物園や水族館での観察、野外での観察、映像の視聴など、観察

の機会を多くもち、動物の不思議さをもっと知りたいという関心が高い生徒がいる半面、全く興味を示

さない生徒もいる。本単元の学習の最初にコンセプトマップ(次頁図)を描かせた。子どもたちの描い

たコンセプトマップの全体像を概観すると、からだの中の臓器とそれぞれのはたらきについては理解し

ているものの、それぞれが独立しており、関連して機能しているような記述はほとんどない。例えば「血

液」という概念ラベルに着目すると、血液が全身を流れているつくりとして「心臓」「血管」と結びつ

けている子ども、また、血液の成分である「赤血球」「白血球」「血小板」と結びつけている子どもは多

④学習指導要領や各教科等の学習指導要領解説を参考にして

いる。

⑤学習を通して目指す生徒の姿が簡潔に記述されている。

⑨文末が「~しようとしている。」「~している。」等

の生徒の状態を示す表現になっている。

⑩学習指導要領に示された目標や内容との関連が記述してある。

⑪単元等のもつ教育的意義などが簡潔に記述してある。

※丸数字は「学習指導案の見方・指導のポイント

チェックリスト」の番号に対応する

基本型のサンプル指導案(中学校・理科)から見た書き方

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数見られた。しかし、「養分」「不要物」「酸素」

「二酸化炭素」と結びつけている子どもはごく

わずかであった。多くの子どもは、ガス交換は

肺で行われ、消化・吸収は消化管で行われ、血

液は心臓というポンプで血管の中を流れるこ

とは理解しているものの、消化・吸収した養分

や呼吸でのガス、細胞での活動で生じた不要物

など全体を一つの系統でまとめることができ

ていない様子が見られた。次に「不要物」とい

う概念ラベルに着目すると、「便」や「尿」と

して「消化管」から体外へ排出されるものとし

て理解している。「腎臓」が「尿」をつくるは

たらきがあることを3名の子どもが描いてい

る程度である。

本学級は、34名から構成されている。理科の学習では、男女2名ずつの4名の班をつくり、グループ実験や班の話し合いを授業に取り入れている。男女の仲も良く、実験や観察は班で協力して意欲的に取

り組むことができる。話し合い活動の場では、自分の考えを表現しやすくするために班ごとにホワイト

ボードを使用しており、活発に意見交換をすることができる。ただ時折、班で意見のぶつかり合いが生

じ意見がまとまらないこともあるが、議論が深まり子どもの科学認識が変容する過程においては大切な

場面としている。

(指導観) こうしたことをふまえて、自分をふ

くむ動物を対象とした学習なので、五感を使っ

て調べられる体験的な観察・実験をできるだけ多く行うようにする。そして、マクロな事実とミクロな

事実における理論の統一的な理解へとつなげていきたい。そこで、単元を以下のように展開する。第1

次で消化・吸収のしくみを学習する。セキツイ動物は摂取した食物を消化して、養分を吸収したあと、

残りかすを捨てる。口から肛門までの食物の通り道の諸器官がどうなっているのか考え、時間をかけな

がら食物が分解され、からだの中に吸収されることに気づかせていきたい。また、動物が素早く運動す

るためには消化管は体積の小さい方が、吸収するためには表面積の大きい方が都合がいいことも見いだ

させたい。第2次では、吸収された養分が全身の細胞に送られ、呼吸によって得た酸素と結合しエネル

ギーを獲得していることを学習する。激しい運動をするセキツイ動物はかなりのエネルギーが必要であ

る。そのエネルギーをつくりだすためには多くの酸素が必要であることに気づかせ、体内にそれを取り

込む肺は表面積が大きい方が、さらに運動しやすくするためには体積が小さい方が都合がいいことを見

いださせたい。そして、養分や酸素は全身の細胞に血液を通して心臓で押し流されることに気づかせ、

そのようなつくりをブタの肺と心臓で観察し、いかに巧みですばらしいつくりをしているか実感を持っ

てとらえさせたい。第3次では、体内で発生した不要な物質が、どこで、どのようにして体外に排出さ

れるのかを考える。

本時は、第3次の1時で、尿はどこで、どのようにしてつくられるのかを考えていく。前時までに、

動物が生きていることは細胞が活動していることであることを理解している。そして、細胞内呼吸が行

われ、細胞で不要物が生じ血液に捨てられることを理解している。そこで、生徒に “おしっこクマさ

ん”を使い、飲み込んだコーヒーがそのままコーヒーとして排出されるところを見させ、消化管と尿が

関係しているように揺さぶる。次に人体模型を使い、ぼうこうがじん臓につながっていることを確認し

ていく。じん臓には動脈、静脈、輸尿管の3つの管がついていることを確認し、じん臓では何がおこっ

ているかをモデルを使って考える。このときに、血液・尿中にある成分の粒の大きさに注目させる。課

題に対して、自分の考えを深めることができるように、考えを図や言葉で表現できるワークシートを用

意し、思考する時間を十分に確保する。次に、そのワークシートを使って班で話し合いをする。そして、

⑯教材教具、学習形態、学習過程、教師の支援のポイント

などについて指導者の意図的な活動が記述してある。

⑰単元全体の指導に合わせ、本時の指導が具体的に記述してある。

⑫子どもの実態(レディネス)が記述してある。

⑬単元に関わるこれまでの学習履歴が記述してある。

⑭学習に対しての学級集団の特徴について記述してある。

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班のホワイトボードの記述をもとに学級全体で学び合いを行い、長い時間をかけて分解してできたブド

ウ糖の行方について視点を当てて思考を深めさせたい。次時では、ブタのじん臓を使い、100万個もある糸球体の観察を行い、ミクロな視点で尿をこしとるしくみをとらえることができるようにしていきた

い。

5 単元指導計画(全 11時間 本時 10/11)

次 目 標 時 主な学習活動 関 考 技 知 評価規準(評価方法)

食物はどのよう

にして体内にと

り入れられるか

理解する。

1

食物に含まれる栄養分についての

話を聞き、食物はどのようなしくみ

で消化・吸収されるのか考える。

栄養分が消化・吸収されるし

くみや、そのゆくえに関心を

もち、記述している。(ノート)

2

獲物を捕らえる動物たちにとって、

どのような消化管のつくりが都合

よいのか考える。

消化管のつくりが都合よくで

きている仕組みを説明してい

る。(ノート、振り返りシート)

3

だ液による消化のはたらきを調べ、

だ液のはたらきと性質について考

察する。

目的を理解し, 正しく結果を

記録している。(ワークシー

ト、行動観察)

4

消化とは粒の大きな物質を吸収さ

れやすい小さな粒に分解するはた

らきであることを見いだす。

分解と吸収が効率よく行える

仕組みを説明している。(振り

返りシート)

エネルギーをど

のようにして得

るか理解する。

5 小腸で吸収された養分は、どこに運

ばれて何に使われ、使われたあとは

どうなるのか考える。

小腸で吸収された養分の経路

やゆくえに関心もち記述して

いる。(ノート)

6・7

血液は二つの経路で全身を循環し、

肺でとり入れた酸素を全身の細胞

に運び、細胞の呼吸でできた二酸化

炭素を肺へ運んでいることを理解

する。

呼吸の仕組みと血液循環とを

関連付けて説明している。(振

り返りシート)

8

メダカの尾びれを材料に、毛細血管

やその中を流れる血球のようすを

観察し、血管のつくりや血液の成分

とはたらきについて理解する。

毛細血管やその中を流れる血

球のようすを観察し、結果を

まとめている。(ワークシー

ト、行動観察)

9 細胞の物質交代と、細胞内の呼吸に

ついて理解する。 ○

細胞内の呼吸について記述し

ている。(振り返りシート)

不要な物質はど

のようにしてと

り除かれるのか

理解する。

10

本時

体内で発生した不要な物質が、どこ

で、どのようにして体外に排出され

るのか考える。 ○

腎臓でどのようにして血液か

ら不要物が取り出されて尿が

できるのかモデルを使って表

現している。(発表、ワークシ

ート)

11

ブタの腎臓の観察を行い、腎臓のつ

くりとその尿生成のしくみについ

て理解する。 ○ ○

観察結果をまとめている。(ワ

ークシート、行動観察)

細胞の活動に伴ってできた有

害なアンモニアが排出される

一連のしくみを記述してい

る。(振り返りシート)

評価の観点を1つ程度としている。

評価規準は、生徒が目標を達成した具体的な姿を設定している。 文末が「~しようとしている。」「~している。」等の生徒の状態を示す表現になっている。 評価方法が、(発言)(ノート)等として具体的に見取ることができるもので明記されている。

⑲目標や学習活動は学習指導要領の該当箇所を根拠に具体的に示されている。

-33-

Page 36: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

□動脈 ◇ ● □ 静脈 動脈 ◇ ● □ 静脈 動脈 ◇ ● 静脈

ぼうこうへ ぼうこうへ ぼうこうへ

○ 血球◎ タンパク質☆ ブドウ糖

◇ 塩分● 尿素□ 水

6 本時の学習

(1) 目 標 腎臓でどのようにして血液から不要物が取り出されて尿ができるのかを考え、モデルを使

って表現し、腎臓のつくりの巧みさをとらえることができる。 (科学的な思考・表現)

(2) 展 開

学習活動と予想される子どもの反応 指導上の留意点(・)と支援(◎)

1. 本時の学習の見通しをもつ。(2分)

2. 課題を把握する。(3分)

3. 尿はどのようにしてつくられているのか考える。

○ 尿はからだのどこでつくられているのか考える。

・ぼうこうでつくられる。

・大腸でつくられて吸収し、ぼうこうにたまる。

・どこかの臓器で血液中の不要物を尿にする。

・腎臓で血液中の不要物を尿にする。

○ 血液の成分から尿が腎臓でつくられるモデルを個人で

考えたことを基に、班でホワイトボードにまとめる。

○ 班で話し合ったことを発表し、学級で共有する。

・ 腎臓でろ過される。

・ ブドウ糖が腎臓で結合し合って、大きな粒になり、

それからろ過される。

・ 腎臓で一度ろ過されるが、ブドウ糖は何らかの形

で血管に戻る。

○ 発表から気づいたことを整理する。(5分)

4.「学習の足跡」を書く。(5分)

◎本時の見通しがもてるように、1時間の授業スケジュ

ールを提示する。

・クマのぬいぐるみにコーヒーを飲ませ、それがそのま

ま出てくるようすを見させる。

・考えがいくつかでてきたところで、人体模型を使い、

尿道から尿が流れる方向とは逆向きでからだのつく

りがどうなっているのかを提示する。

・血液の成分の中の血球、タンパク質、ブドウ糖、塩分、

尿素、水を取り上げて考えさせる。それぞれの粒の大

きさについては示しておく。

・図で表現できるワークシートを配り、まずは個人で考

えさせる。

◎班での話し合い活動では、血液成分の粒径の大きさに

視点が向いているか机間指導を行う。また、討論の様

子を聞き、班ごとの考えを集約しておく。

・9班分のホワイトボードを、表現した内容で分類して掲示する。

◎ブドウ糖もろ過されているような班があった場合、大

事な養分が排出されることがあり得るのか考えさせ

る。

・尿と血しょうの成分比較をさせる。水の割合が増えて

いること、養分の割合が0になっていること、尿素の

割合が増えていることに気づかせる。

・腎臓での再吸収の巧みさに気づき、自分のからだのつ

くりの巧緻性に気づかせたい。

(3)評 価

十分満足できると判断される状況 概ね満足できると判断される状況 支援を要する状況への手立て

血液成分の粒径の大きさに着目して、

腎臓で血液から濾し出されて尿がつく

られることをモデルを使って説明し、

かつブドウ糖がぼうこうへ逃げないよ

うに説明している。

血液成分の粒径の大きさに着目して、

腎臓で血液から濾し出されて尿がつく

られることをモデルを使って説明して

いる。

(十分満足できる状況にするための手立て)

粒径の小さいブドウ糖が排出されるのかど

うか、またその理由について考えさせる。

腎臓で血液の成分から尿がつくられる

モデルを表せない生徒には、血しょう

と尿の成分比較をさせる。腎臓に流れ

てきた血液の成分がぼうこうへ流れる

ものと静脈へ流れるものとどのように

して仕分けられるのか教師と対話をし

ながら考えさせる。

見通し・振り返りが設定されている。

主な発問を設定し、それに対する生徒の予想される

反応が記述してある。

文末は生徒が主語になり「~について考える。」「~

について話し合う。」などの表現になっている。

おしっこはどのようにしてつくられるのか、血液中の成分と腎臓のつくりと関連づけて

モデルで表そう。 生徒の予想される反応に対する支援が記述してある。

教材や資料の使途や使用場面が記述してある。

腎臓でどのようにして血液から不要物が取り出

されて尿ができるのかを考え、モデルを使って表

現している。

【評価方法 発表・ワークシート】

評価の観点(科学的な思考・表現)

(5分)

(15分)

(15分)

十分満足できる状況にするため

の手立てが記述してある。

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基本型のサンプル指導案(高等学校・家庭総合)から見た主な書き方のポイント

第2学年○組 家庭総合学習指導案

日 時 平成〇年〇月〇日(〇)第〇限

指導者 ○ ○ ○ ○

場 所 ○ ○ 室

1 単元名 住生活をつくる

2 単元の目標 住居の機能、住空間の計画、住環境などについて科学的に理解させ、住生活の文化に関心をもた せるとともに、必要な知識と技術を習得して、安全と環境に配慮し、主体的に住生活を営むことが できるようにする。

3 単元の評価規準 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解

住居の機能、住空間の計画、住環境などの住生活の科学と文化に関心を持ち、意欲をもって学習活動に取り組んでいる。

住空間の計画、住環境などについて課題を見いだし、その解決を目指して思考を深め、適切に判断し、表現している。

主体的に住生活を営むために必要な住空間の計画などの技術を身に付けている。

住居の機能、住空間の計画、住環境などについて科学的に理解し、安全と環境に配慮した住生活を主体的に営むために必要な知識を身に付けている。

4 単元について (1)教材観

本単元は、高等学校学習指導要領第 2章第 9 節家庭の「第 2節家庭総合(4)生活の科学と環境 ウ住生活の科学と文化」に位置づいている。高等学校における住生活の学習内容の特徴としては、住居単体を扱うだけでなく、住環境について学習することを通して、地域社会と住居の関係にまで視野を広げることがあげられる。住まいは生活の器であり、家族生活を支える基盤である。近年は、生活様式や価値観の多様化、少子高齢化といった社会の変化も激しく、住生活を取り巻く課題には様々なものがある。そのため本単元においては、中学校までの学習を踏まえ、安全で快適な住居、家族が生活する場としての住居の機能について、理解を図りながら、住生活の文化について関心をもたせていくことが重要である。さらに、生涯を見通して住居を計画することの重要性や、地球環境保全のために住宅に耐久性をもたせること、持続的な活用をするために必要な維持管理・計画などについて「家族・家庭生活」での既習事項に関連付けることが大切である。住生活に関する必要な知識と技術を習得して、安全と環境に配慮し、主体的に住生活を営む態度を育むことに大変有意義な単元である。

(2)生徒観 本学級の生徒は、37 名から構成されている。家庭科の学習では、3~4 名のグループを作り、実

習や話合い活動を取り入れている。話合い活動においては、付箋やミニホワイトボードなどを使用することで、活発な意見交換ができている。 生徒は、中学校の「住生活」において、住居の基本的な機能及び家族の安全を考えた室内環境の

整え方の理解、快適な住まいの工夫について学習してきている。 事前に行った住生活についてのアンケートによると、住生活に関する興味関心は高く、およそ 7

割が「詳しく学んでみたい」と回答している。内容については「将来の一人暮らしの住まい」「インテリアデザイン」への関心は高いが、「生涯を見通した住まい」「地域社会とのつながりとしての住まい」については「考えたことがない」という回答がおよそ 8 割であった。これらのことから、近い将来については考えたいが、子どもや高齢者といった異年齢の世代への配慮や地域社会の一員であるという視点をまだもっていない生徒が多いという実態であった。

(3)指導観 これらのことをふまえ、住生活についての視野をさらに広げ、主体的に住生活を営んでいく力を

育成するために、第1次では住居の機能と平面図の基礎知識の理解、ライフステージに合った住居について学習する。ここでは家族が生活する場としての住居の機能や平面図から生活を読み取るための基礎的な知識について理解を図り、ライフステージごとの住要求を知り、生涯を見通して住生活を営むことが重要であることを学習する。多様な価値観に配慮しながら、乳幼児・高齢者にとっても安全で、家族が快適に生活でき、生活価値観が実現できる住まいについて考えさせる。モデル家族を用いて具体的に考えさせることで、実生活とつなげながら、よりよい解決方法を見つけさせたい。第2次では安全で健康な住まいについて扱う。近年の自然災害や家庭内事故の事例を取り上

①学習のねらいや内容が一目でわかるように明記 ② ③

④学習指導要領や各教科等の学習指導要領解説を参考に記述

⑤学習を通して目指す生徒の姿を簡潔に記述

⑥複数の目標がある場合、主語を混在させない

⑦「概ね満足できる」状況が設定 ⑧単元目標を踏まえて具体的に設定

⑨「~しようとしている。」「~している。」等の生徒の状態を示す文末表現

⑩学習指導要領に示された目標や内容との関連の記述

⑪単元等のもつ教育的意義や他教科・領域、実生活との関連の記述

⑫単元に関わっての生徒の実態の記述 ⑬単元に関わるこれまでの学習履歴

⑭学習に対する学級集団の特徴の記述

※丸数字は「学習指導案の見方・指導のポイントチェックリスト」の番号に対応する。

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げることで、現代における住環境の課題に気付かせ、解決する力を身に付けさせたい。第3次では住居が気候風土に応じたつくりになっていることや、住居に対する文化に応じて住様式が異なっていることを理解できるようにする。第4次では住環境における地域社会とのつながり、持続可能な生活について学習する。環境や地域との関わりの視点から、実際の例をもとに、これからの住生活に向けての課題意識をもたせたい。 学習を進めるにあたっては、現在そしてこれからの生活に生かすための手立てとして、事例の提

示、事例検討、他者との関わりを充実させていく。学習内容について自分の考えをもたせた上で、他者と話し合うことで多様な考え方にも触れ、対話を通じて考えを深められるようにする。どのように思考が変化したのかを見取ることができるようにワークシートを作成する。個人からグループ、そしてまた個人へと考える場面を設定するのは、個人の考え方の視点を広げ、根拠をもってよりよい住まいの在り方を追求させるためである。学習形態では、ペア活動、グループ活動、ワールドカフェやポスターセッションを取り入れていく。

本時は、「モデル家族の住要求を満たすための住まいの工夫を考える」という学習活動 2 時間のうちの 2時間目である。前時に、モデル家族の 5 年後、15 年後、25 年後のライフステージを提示して、それぞれのライフステージごとの住要求を考えさせた。その後で、最も解決したいライフステージの住まいの住要求と改善に向けたコンセプトをグループで決めさせた。コンセプトを決めさせたのは、住まいの改善に向けた課題を明確にさせ、主体的に解決する課題として位置付けるためである。本時では、グループで設定したコンセプトを実現するために、まず個人で住まいの工夫を理由とともに考えさせる。それをグループ内で発表して共有する。話し合う際には、個人の考えが共有できるように拡大平面図を用意して、キーワードを付箋に書かせたものを貼りながら説明させていく。モデル家族の住まいを考えるにあたっては、利便性や安全性、プライバシー保護とコミュニケーションの確保、加齢や不測の事態への備えなどの様々な視点から、多角的に住まいを見つめ、工夫する力を育てたい。さらに、グループで発表させた後に、もう一度すべての家族構成員の立場に立って生活価値観にも触れながら、住まいを見直して考えさせることで、「家族と家庭生活」での既習事項とも関連付け、互いに配慮しながらよりよい家庭生活を送ることができる住まいについて考えていくことの重要性に気づかせたい。

5 単元の指導計画と評価計画 (全14時間 本時 6/14 )

次 目 標 時 主な学習活動 評価の観点

評価規準・評価方法 関 思 技 知

住居の機能と

平面図の基礎

知識を身に付

け、ライフス

タイルに合っ

た住居を考え

ることができ

る。

・資料をもとに世界の住まいと暮らしの関わりについて話し合う。 〇

・示された写真から、他国の人々の住生活や住まい方について考えようとしている。(観察、ワークシート)

2 ・日本の住まいについて、時代による間取りの変化と生活様式の移り変わりを平面図から読み取る。

・平面図から空間や生活を読み取ることができる。 (ワークシート)

・住居広告や住宅情報誌を比較して、自分が一人暮らしをする際に住んでみたい住まいを選ぶ。

・経費、生活動線、広さ、周辺環境等の情報を収集・整理し、検討することができる。(ワークシート)

・ライフステージごとの住まいの条件について、配布資料及びそれぞれが持ち寄った資料をもとに話し合う。

(ワールドカフェ)

・家族の住まいの条件について生涯を見通して考え、話し合いに意欲的に取り組もうとしている。(観察)

5

⑥(本時)

・モデル家族の住まいの住要求を満たすための住まいの工夫を考える。

・家族構成やライフステージ、生活価値観に応じた住要求を満たすための住まいの工夫を平面図にまとめ、その理由についても説明できる。(観察、発言、ワークシート)

7 ・各班で設定したコンセプトを実現するための住まいの工夫を発表する。

(ポスターセッション)

〇 〇

・生涯を見通して、住居の機能や住空間の計画について関心を持ち、よりよい生活について考えようとしている。(観察、ワークシート)

・家族構成やライフステージ

の変化と住要求の関係につ

いて理解している。

(ワークシート)

⑯教材教具、学習形態、学習過程、教師の支援のポイントなどについて指導者の意図的な活動の記述

⑰単元全体の指導に合わせ、本時の指導の具体的記述

実際に行う学習活動を具体化した表現で記述

⑲目標や学習活動は学習指導要領の該当箇所を根拠に具体的に表現

⑳学習活動の流れに具体性と必然性がある。

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安全で健康な

住生活を営む

ことができる

住まいについ

て理解する。

8 9

・家庭内事故や災害を防ぐための対策を話し合う。

・家庭内事故や防災など、近年の安全な住環境の課題について考えを深め、まとめたり、発表したりしている。 (観察、ワークシート)

10

・健康な住生活を営むために室内環境(採光、通風、シックハウス症候群、生活騒音)の整え方や対策についてまとめる。

・健康で快適な住まい方や住環境について考えようとしている。(ワークシート)

気候風土に応じ た 住 居 や様々な住様式が存在すること を 理 解 する。

11

・日本各地の住居、世界の住居を比較して、住生活の文化(住居と気候・風土・生活の関わり)について考える。

・住居と気候・風土・生活の関わりを理解している。 (ワークシート)

住環境における地域社会とのつながりの重要性を理解し、持続可能な生活とは何か考えることができる。

12

・VTRを視聴して、共生の視点から、

住まいの在り方について見直す。 〇

・地域社会とのつながりとこれからの住まいの在り方について考えようとしている。(ワークシート)

13 14

・持続可能な住居及び住民参加のまちづくりについて、情報を集め、発表する。

・地球環境に配慮した快適な住環境や、自然環境や社会環境と調和した住生活について考え、まとめたり、発表したりしている。 (ワークシート)

6 本時の学習 (1)目標

家族構成やライフステージ、生活価値観に応じた住要求を満たすための住まいの工夫を平面図にまとめ、その理由についても説明できる。 【思考・判断・表現】

(2)展開 学習活動と予想される生徒の反応 指導上の留意点(・)と支援(◎)

1.本時の学習課題を確認する。(5分)

2.モデル家族の住要求を満たすための住まいの工夫を考える。

①グループで決めたコンセプトを実現できるよう、住まいの工夫を個人で考える。

(15 分) *30 代夫婦、長女(1歳) →「幼児が安心して暮らせる家」 ・親の目が届くように、家事スペースに近いと

ころを保育スペースにする。 ・周りに危険がないように、電気製品などの置

き方を配慮する。 →「子育てのストレスを減らす家」 ・子どもの世話をするときの動線を短くするた

めに、子どもに関連するものを近くに置く。 ・休日や夜間に親がリラックスできるように、

趣味に使える空間をつくる。

*40 代夫婦、長女(13 歳)、長男(11 歳) →「子どもの自主性を育む家」 ・プライバシーを守るために、子ども部屋を男

女それぞれに割り当てる。 ・子どもが家事に参加できるよう、台所の調理

スペースを広くする。 →「子どもの自立性を見守りながら、家族のコミュニケーションも大切にできる家」

・家族が集まりやすいように、居間を広くする。

◎本時の見通しが持てるように授業の流れを提示する。

・コンセプトと結び付けて解決策を考えられるよう、ワ ークシートに理由を記載する欄を示しておく。

・事前に準備させておいた住宅広告、住宅情報雑誌、インターネットの情報、書籍等の資料も参考にしても良いと伝える。

◎4時間目にワールドカフェでまとめたものを掲示しておき、参考にするように助言する。

・グループで話し合うときに自分の考えを伝えやすいように、住まいの工夫のキーワードを付箋に書いてまとめておくように指示する。

モデル家族の住要求を満たすためには、住まいの工夫をどのようにしたらよいのだろうか。

評価の観点を1つ程度

評価方法を明記

単元指導計画の目標との整合性・ 目標が複数ある場合観点別に記述・ 観点の付記

学習活動にかける時間

「~について考える。」「~について話し合う。」等の文末表現

子どもの予想される反応に対する支援の記述

教材や資料の使途や使用場面の記述

「~を知らせる。」「~するようにする。」等の文

末表現

主な発問における児童・生徒の予想される反応の記述

目標を達成した具体的な姿を設定

「~しようとしている。」「~している。」「~ができる。」等の文末表現

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・子どもが家族の気配も感じられるように、居 間にも勉強空間をつくる。

*50 代夫婦、妻の両親(80 代) →「安全で快適に過ごせる家」 ・転倒防止のために手すりを設置する。 ・車椅子が通るように廊下の幅を広くする。

→「互いの生活を尊重する家」 ・親世代が安全に快適に暮らせるように、手す りを付けたり、ベッドを置いたりする。

・それぞれが自分の時間を楽しめるように、独 立した空間を確保する。

②コンセプトを実現するための住まいの工夫についてグループで話し合う。 (15 分)

③グループで出た考えを基に、モデル家族のすべての構成員の立場で改めて住まいを点検する。(10 分)

・壁を取り払って居間を広くすると、家族の時間は充実するが個人の空間が狭くなる。趣味の時間等がゆっくりとれないので、やはりやめておく方が良い。

・高齢の親世代が洋室を使えるようにしたが、トイレ等が遠くなってしまうので、トイレの増設または和室の洋室化を考えた方が良い。

3.学習の振り返りをする。 (5 分)

・子どもの立場で子ども部屋を広くとることを考えたが、親個人の立場で考えると自由な時間を使える空間が狭くなるので、生活に潤いを感じにくくなる。それぞれの立場に立って住まいの在り方を考えていくことが重要だと思った。

4.ポスターセッションについての見通しをもつ。

・互いに考えていることが分かるように、工夫点をキーワードとして付箋に書きだしたものを平面図(拡大版)に貼りながら発表するように指示する。

◎それぞれのライフステージにおける家族構成員の立場に立って、利便性、安全性、健康の視点の他、生活価値観を満たしているかを考えられるようにチェック欄を設けたワークシートを準備する。

・それぞれの家族構成員にとって困る点をワークシートに記入するよう伝える。

・理由を含めて自分の考えを発表しているか、机間指導 で確認し、できていない班には理由を述べるように伝 える。 ・グループの意見を集約して書けるように、発表用シー トに構成員の吹き出しを用意しておく。

・記述しているワークシートを基に思考の変化に気づか せる。

・各グループの拡大平面図を黒板に貼って紹介する。 ・次時のポスターセッションに向けて、発表する意欲に つなげて授業を終える。

家族構成やライフステージ、生活価値観に応じた住要求を満たすための住まいの工夫を平面図にまとめ、その理由についても説明をしている。

【評価方法 ワークシート】

(3)評価

十分満足できると判断される状況 概ね満足できると判断される状況 支援を要する状況への手立て

モデル家族の住要求を満たすための住まいの工夫を複数考え、それぞれの良さについて理由を説明している。また、モデル家族のすべての構成員の立場からその工夫を点検し、その良い点、悪い点について説明している。

モデル家族の住要求を満たすための住まいの工夫を考え、そのよさについて理由を説明している。また、モデル家族の構成員の複数の立場からその工夫を点検し、その良い点、悪い点を説明している。 (十分に満足できる状況にするための手立て)工夫点が他にないか、他の構成員の立場から見るとどうなのかを問いかける。

コンセプトを実現する住まいの工夫を考えることができない生徒には、ワールドカフェでまとめたものを参考にするように助言する。家族構成員の立場に立って考えることができない生徒には、ワークシートのチェックシートの視点を問いかける。

評価の観点(思考・判断・表現)

見通し・振り返りの設定

評価規準と評価方法の記述・ 本時の目標と整合性

単元指導計画の評価規準の内容との整合性・ 評価基準の具体的な記述

「十分満足できると判断される状況」にするための手立ての記述

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内   容 チェック欄

①学習のねらいや内容が一目でわかるように明記されている。

②「単元名」が教科等に応じた表記になっている。

③「単元名」等と「教材名」が混同されていない。

④学習指導要領や各教科等の学習指導要領解説を参考に、本単元で身に付けさせたい力が明確にされている。

⑤学習を通して目指す児童生徒の姿が簡潔に記述されている。

⑥複数の目標がある場合、主語(視点)が混在していない。

⑦自校の指導計画に基づき、単元ごとに各観点に即して「概ね満足できる」状況が設定されている。

⑧各観点の評価規準が、単元目標を踏まえて具体的に設定されている。

⑨文末が「~しようとしている。」や「~している。」等の児童生徒の状態を示す表記になっている。

⑩学習指導要領に示された目標や内容との関連が記述してある。

⑪児童生徒にとって単元や教材のもつ教育的意義や他教科等、実生活等との関連が述べてある。

⑫単元に関わって児童生徒がどのような実態(レディネス)であるのかが記述してある。

⑬単元に関わるこれまでの学習履歴の状況が記述してある。

⑭学習に対しての学級集団の特徴について記述してある。

⑮小・中学校においては、全国学力・学習状況調査や県学力調査から見られる課題等について必要に応じて記述してある。

⑯教材教具、学習形態、学習過程、教師の支援のポイントなどについて、指導者の意図的な活動が記述してある。

⑰単元全体の指導に合わせ、本時の指導が具体的に記述してある。

⑱機械的な「次」の設定や学習活動と関係のない区切りの設定をすることなく、全体を見通した構成になっている。

⑲目標や学習活動は学習指導要領の該当箇所を根拠に具体的に示されている。

⑳単元目標を達成するための学習活動の流れに具体性と必然性がある。

単元目標や本時の目標をそのまま当てはめた表現ではなく、児童生徒が実際に行う学習活動を具体化した表現(「どのようなこと」を「どのようにして行うか」)で記述されている。

評価規準は、児童生徒が目標を達成した具体的な姿を設定している。

文末が「~しようとしている。」「~している。」「~ができる。」等の児童生徒の状態を示す表現になっている。

評価の観点を1つ程度としている。

評価方法が、(発言)(ノート)等として具体的に見取ることができるもので明記されている。

単元指導計画と整合性が取れている。

目標が2つ以上あるときは観点別に記述してある。

文末には関係する観点が付記してある。

見通し・振り返りが設定されている。

主な発問を設定し、それに対する児童生徒の予想される反応が記述してある。

各学習活動にかける時間が記してある。

文末は、児童生徒が主語になり「~について考える。」「~について話し合う。」などの表現になっている。

児童生徒の予想される反応に対する支援が記述してある。

教材や資料の使用場面や使用方法が記述してある。

評価規準と評価方法が記述してある。

評価規準は、本時の目標と整合性が取れている。

文末は教師の立場で記述し、「~を知らせる。」「~するようにする。」などの表現になっている。

単元指導計画の評価規準の内容と整合性がとれている。

評価基準が具体的に記述してある。

「概ね満足できると判断される状況」については、「十分満足できると判断される状況」にするための手立てが記述してある。

学習指導案の書き方のポイントチェックリスト

本時の評価

本時の展開

児童生徒の活動の欄

教師の動きや関わり方の欄

項目

単元(題材)名

単元目標

単元の評価規準

児童・生徒観

教材観

指導観

単元指導計画

本時の目標

Page 42: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

おわりに

授業づくりの研修はどうでしたか。

「本時のねらいが明確な授業」「児童生徒を主体とした授業」について、新しい発見があ

りましたか。

知識量を重視する授業と今回のテーマの授業の違いを感じたのではないでしょうか。

子どもたちが、たくましく、豊かに歩んでくれることを願って、「本時のねらいが明確な

授業」「児童生徒を主体とした授業」をこれからも意識していってください。

島根県公立学校教育職員人材育成基本方針(平成 30年 2月)[自立・向上期](1~5年目)における育成指標

1 豊かな人間性と 職務に対する使命感

① 人間理解・人権意識

・生命尊重・人権尊重の精神と、多様な価値観を尊重する態度を有している。

② 職務に対する誇りと責任

・教育職員として必要な倫理観、職務に対する使命感・責任感、学び続ける意欲を有している。

③ ふるさとを愛する心

・地域の自然・歴史・文化・伝統を理解し尊重する態度、ふるさとを愛する人材育成への意欲を

有している。

2 子どもの発達の支援に対する理解と対応

④ 子ども理解・子ども支援

・子どもとのふれあいや観察を通して、様々な行動の内に潜む微妙な心の動き、キャリア発達を

理解し、学級等の集団づくりを進めることができる。

⑤ 特別支援教育の推進

・特別な支援の必要な子どもの実態把握を行い、一人一人のニーズに応じた指導や支援について

の計画を立て、実践することができる。

3 職務にかかわる専門的知識・技能及び態度

⑥ 教科等の指導に関する専門性

・教科等を学ぶ意義を踏まえて指導計画を作成し、教科等の指導を実践することができる。

⑦ 社会の変化への対応

・新たな学びや教育課題に対して、適切な対応の仕方を具体的に考え取り組むことができる。

4 学校組織の一員として考え行動する意欲・能力

⑧ 学校組織マネジメント

・学校教育目標に沿った自己目標を立て、その達成に向けて取り組むことができる。

⑨ 他者との連携・協働

・経験豊かな職員からの助言を受け入れ、自らの役割に応じて行動することができる。

5 よりよい社会をつくるための意欲・能力

⑩ 地域資源の活用と地域貢献

・子どもと地域社会をつなごうとする意欲を持ち、地域と連携した学校教育活動を計画に基づい

て実践することができる。

⑪ 合意形成に向けた議論の調整・促進

・子ども同士が協働し、探究していく活動を円滑に実践することができる。

フォローアップ研修(2年目)での「授業づくり」のねらいは、次のとおりです。

授業づくりにかかる自己課題に基づいた研究主題を設定し、その解決に向け

て主体的に取り組む態度と実践力を身に付ける。

次の段階に向かって、学び続けていきましょう。

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Page 43: 「授業づくり」の研修 ハンドブック...初任者研修における「授業づくり」のねらい 「なぜそのような授業を目指すのか」 「初任者研修でめざす授業のイメージ」

【授業づくり参考資料】

・しまねの教育情報 Web

http://eio-shimane.jp/

・平成 31 年度各教科等の指導の重点

「しまねの教育情報 WebEIOS」でダウンロードできます。

・新学習指導要領の実施に向けて(リーフレット)「明日を担う島根の子どもたちのために」

(平成 30年 4月)

「しまねの教育情報 WebEIOS」でダウンロードできます。

・学習指導の基本を身に付けよう 授業づくり Q&A ~「よい授業」を目指して~

(平成 23 年3月)

https://www.pref.shimane.lg.jp/education/kyoiku/kikan/hamada_ec/kenkyu/kiyou_h

oukoku/jyugyou.html

・学習評価を生かした授業改善,授業づくりのためのハンドブック[小学校]

(平成 23年 3月)

https://www.pref.shimane.lg.jp/kyoikusido/index.data/handbook_syou.pdf

・学習評価を生かした授業改善,授業づくりのためのハンドブック[中学校]

(平成 23年 3月)

https://www.pref.shimane.lg.jp/kyoikusido/H24tyuu_handbook.html

研究大会の学習指導案など、授業

づくりの参考になる様々な情報を

入手できます。

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