泌尿器の学習内容泌尿器(2)の学習目標 27 •...
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泌尿器の学習内容1
• 腎臓の構造と機能–尿の産出–ネフロンの構造と機能–糸球体濾過関門–レニン・アンギオテンシン系
• 尿の排出路の構造と機能
泌尿器(1)の学習目標2
• 腎臓の位置と形態が説明できる。• 腎小体の構造が説明できる。• 糸球体濾過関門が説明できる。
腎臓の機能
1. 排泄処理原尿の産生:糸球体で血液の濾過による産生
(170L/day:120ml/min)↓近位尿細管で約99%以上再吸収
尿の産生(1.5L/day)
2. 体液恒常性の維持体液量の調節電解質濃度の調節酸塩基平衡の調節
3. 内分泌作用レニン、エリスロポエチンなどを分泌
3
泌尿器系の臓器4
腎臓の位置5
腎臓内部の解剖(1)6
腎臓内部の解剖(2)7
右腎を後方から見る8
腎臓の血管9
ネフロン10
• 短ループ=皮質ネフロン• 長ループ=傍髄質ネフロン
ネフロン11
皮質ネフロン12
• 腎小体が皮質外側部に存在。• ヘンレループは髄質外層まで。
傍髄質ネフロン13
• 総ネフロン数の1/8。• 腎小体が皮質内側部に存在。• ヘンレループは髄質内層まで。• 尿凝縮に重要。
腎小体14
腎小体の構造15
腎小体の組織16
腎小体の組織17
糸球体18
糸球体濾過関門(障壁)19
• 血液の選択的濾過–メッシュ構造による限外濾過(サイズで選別:分子量約7万以下のみ)
–内皮細胞表面の糖タンパク質の陰性荷電によるチャージバリア
糸球体濾過関門(障壁)20
1. 有窓型毛細血管内皮細胞:陰性チャージ2. 基底膜(IV型コラーゲン)
1. 内透明層:陰性チャージ2. 緻密層:網状構造のIV型コラーゲン3. 外透明層:陰性チャージ
3. スリット膜(ネフリン)
糸球体濾過関門21
糸球体濾過関門22
糸球体濾過関門23
糸球体濾過関門の微細構造24
メサンギウム細胞
• 平滑筋の伸縮性(元々、平滑筋由来)
• マクロファージの貪食能• 糸球体毛細血管を束ねて支持• 血流のコントロール(収縮)
• 貪食作用(古い基底膜、濾過残渣)
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メサンギウム細胞26
泌尿器(2)の学習目標27
• ネフロンの構造と機能が説明できる。• 糸球体傍装置が説明できる。• レニンアンジオテンシン系が説明できる。• 腎臓の発生が説明できる。
近位尿細管
• 単層立方上皮• 刷子縁:微絨毛• 基底線条:基底陥入とミトコンドリア• 原尿中の成分の再吸収
– グルコース、ペプチド、アミノ酸、タンパク質:約100%再吸収
– 水、電解質(ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、重炭酸イオンなど):約70%再吸収
• 分泌・排泄– 有機イオン、薬物
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近位尿細管細胞29
近位尿細管細胞30
近位尿細管31
ヘンレのループ32
ヘンレのループ33
• 単層扁平上皮• 毛細血管に似る• 下行脚:水の再吸収• 上行脚:ナトリウムイオンの再吸収• 対向流増幅機序
• 間質の浸透圧勾配• 皮質<髄質の形成
対向流増幅機序34
遠位尿細管
• 単層立方上皮• 基底線条が見られる。• 刷子縁はない。• 近位尿細管に比べて、丈が短い。• 酸塩基平衡の調整
– ナトリウムイオンの再吸収とカリウムイオンの分泌– 水の再吸収(ADH:バゾプレッシン存在下)
• 尿の酸性化– 重炭酸イオンの再吸収と水素イオンの分泌
• 緻密班:糸球体傍装置
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遠位尿細管36
遠位尿細管37
糸球体傍細胞
• 腎小体の血管極付近• 血圧の維持と水・電解質濃度の調節を行う。• 緻密班
– 遠位尿細管にある。– 遠位尿細管は同じネフロンの腎小体の血管極に必ず近づく。– 腎小体に接する部分の遠位尿細管上皮細胞が変化したもの。– 核が密集し、細胞の丈が高い。– 血中NaCl濃度のセンサー
• 糸球体傍細胞– 輸入細動脈にある。– 輸入細動脈の平滑筋細胞が上皮様内分泌細胞に変化したもの。– 核:球形– 分泌細胞にレニンを含む。– 血圧センサー
• 糸球体外メサンギウム細胞(細網状細胞、ゴールマハティヒ細胞)
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糸球体傍装置39
TGFとレニン40
RAA系41
RAA系42
集合管
• 複数の遠位尿細管を集め、乳頭管となり腎杯へ開口する。• 単層立方上皮• 主細胞
– 最も明るく大きい。– 細胞境界が明瞭– 水チャネル、ADH受容体を持つ– ADH依存の水の再吸収
• 介在細胞– かなり少数– ミトコンドリアが多く、暗調– α介在細胞:水素イオン分泌(尿の酸性化)– β介在細胞:重炭酸イオンの分泌
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集合管44
集合管45
腎臓の発生46
腎臓の発生47
腎臓の上昇48
腎臓の分化49
尿管芽の誘導
1. 間葉組織で転写因子(WT1, Sal1, Six1など)が発現する。
2. WT1はGDNFの発現調節を行い、分泌する。3. 中腎管でGDNF受容体RETが活性化され、尿管芽を増殖・伸長させる。
4. 尿管芽からはFGF2およびBMP7を分泌する。5. FGF2とBMP7は間葉に作用し、細胞増殖とWT1の発現を維持する。
6. 尿管芽先端付近の間葉を後腎組織帽(cap mesenchyme)という。
7. これを繰り返して、尿管芽を伸ばしていく。
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ネフロンの発生51
ネフロンの分化
1. 間葉に侵入した尿管芽はWnt9bを分泌する。
2. Wnt9bに反応した間葉は自らWnt4を分泌する。
3. Wnt4は間葉に作用して、上皮細胞の管に分化する。
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腎臓の位置異常53
泌尿器(3)の学習目標54
• 尿路が説明できる。• 嚢胞腎に興味を持つ。
尿管55
• 長さ25~30cm
• 直径4~7mm
• 腎盂から始まり、膀胱に開口する。• 蠕動運動(約4回/分)
• 生理的狭窄部位– 腎盂尿管移行部– 総腸骨動静脈との交叉部– 尿管膀胱移行部
• 膀胱壁を斜めに貫き、膀胱三角に開口
膀胱と尿道56
尿の逆流を防ぐ仕組み57
尿管58
• 粘膜– 移行上皮– 粘膜固有層– 粘膜筋板や粘膜下層はない。
• 平滑筋層– 外縦は遠位部のみ。螺旋状に走り、厳密な層構造ではない。
– 内縦走筋層– 中輪状筋層– 外縦走筋層
• 外膜
膀胱
• 小骨盤腔の腹膜下にある。• 内尿道括約筋• 移行上皮
– 尿がたまっていない時は6~8層に見える。– 伸展時は2~3層に見える。
• 被蓋細胞– 移行上皮の最表面にあるエオジン陽性の大型細胞。– 細胞膜が厚く、尿の希薄化防止(尿と組織壁の浸透圧の障壁)機能がある。– 細胞膜の一部は、膀胱が収縮しているときは折りたたまれている。– 切片上では、紡錘状小胞として観察される。– 伸展時には細胞膜の一部となる。
• 粘膜固有層• 平滑筋層:排尿筋
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膀胱の組織60
膀胱壁の断面61
尿道
• 男女で構造と長さが違う。• 男性:20cm、女性:4cm• 男性
– 前立腺部• 移行上皮• 精丘
– 隔膜部• 尿生殖隔膜• 多列円柱上皮• 外尿道括約筋
– 海綿体部• 多列円柱上皮→重層扁平上皮(遠位部)• 尿道球線• 尿道腺
• 女性– 重層扁平上皮とも多列とも言われている。
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膀胱と尿道(男性)63
膀胱と尿道(女性)64