よりよい平和構築に けて - undp ·...

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Kosovo Kosovo Kosovo Kosovo Kosovo Kosovo Afghanistan Afghanistan Afghanistan Afghanistan Afghanistan Palestine Palestine Palestine Palestine Palestine Palestine Timor-Leste Timor-Leste Timor-Leste Timor-Leste Timor-Leste Timor-Leste United Nations Development Programme Partnership for Peace-Building: UNDP & Japan

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Page 1: よりよい平和構築に けて - UNDP · を強化してきました。紛争後の地域で活動する援助 機関のなかでも、undpは特に、平和構築に不可欠

KosovoKosovo

Kosovo

Kosovo

Kosovo

Kosovo

Afghanistan

Afghanistan

Afghanistan

Afghanistan

Afghanistan

Palestine

Palestine

Palestine

Palestine

Palestine

Palestine

Timor-Leste

Timor-Leste

Timor-Leste

Timor-Leste

Timor-Leste

Timor-Leste

国連開発計画(UNDP)United Nations Development Programme

よりよい平和構築に向けて

Partnership for Peace-Building: UNDP & Japan

~UNDPと日本の協力~

Page 2: よりよい平和構築に けて - UNDP · を強化してきました。紛争後の地域で活動する援助 機関のなかでも、undpは特に、平和構築に不可欠

KOSOVO

AFGHANISTAN

PALESTINE

TIMOR-LESTE

パレスチナ問題の国際化は、第一次世界大戦終結によるオスマン

朝トルコの解体に始まります。パレスチナは、「バルフォア宣言」(1917

年)によって同地へのユダヤ人国家建設に支持を表明したイギリスに

よって、1922年から47年まで委任統治下に置かれました。その間、多く

のユダヤ人がパレスチナへ移住しましたが、これにより、何世代にもわた

って同地に暮らしてきたパレスチナ人との間に衝突が起こりました。

1947年、パレスチナ問題は国連の手に委ねられましたが、パレスチナ分

割決議案はアラブ諸国に受入れられず、イスラエルの建国宣言とともに、

第一次中東戦争が勃発しました。これにより、被占領地に住む多くのパ

レスチナ人が、難民となって近隣諸国へ逃れることを余儀なくされました。

さらに、1967年の第三次中東戦争で、ヨルダン統治下にあった東エ

ルサレムとヨルダン川西岸、ガザ地区、ゴラン高原、シナイ半島にイスラ

エルが侵攻し、さらに多くのパレスチナ難民が発生しました(シナイ半島

は79年にエジプトへ返還)。

1993年9月、イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)との間でオス

ロ合意(暫定自治統治宣言)が調印されました。しかし、2000年9月末

に起こった衝突を機に両者の緊張状態は再び高まっています。また、

被占領地に住むパレスチナ人は厳しい封鎖状態の下で暮らすことを余

儀なくされています。

アルバニア系住民が多数派を占めるコソヴォは、第二次世界大戦後

のユーゴ社会主義連邦共和国(旧ユーゴ)においてセルビア共和国の

自治州となりましたが、共和国としての地位を求めるアルバニア系住民

とセルビア系住民との間に度々衝突が繰り返されてきました。旧ユーゴ・

セルビア当局は1989年よりコソヴォの自治権縮小を開始したのに次い

で、アルバニア系住民が「コソヴォ共和国」の樹立を宣言した直後、コ

ソヴォ自治州議会を解散させ、弾圧を強めていきました。

1998年2月にはアルバニア系のコソヴォ解放軍(KLA)とセルビア治

安部隊との間に武力衝突が発生し、大量の難民が発生しました。そし

て和平交渉が行き詰るなか、NATO軍によるセルビア空爆が1999年3

月から約80日間にわたって行われました。

コソヴォへの政治レベルでの国連の介入は、1999年6月に国連安全

保障理事会(安保理)決議1244が採択されたことによって始まりました。

同決議によって国連コソヴォ暫定行政ミッション(UNMIK)が設立され、

以来、コソヴォではUNMIKおよびその他の国際機関が参画し、人道支

援、暫定民政行政、民主的社会制度の構築、経済復興が進められてき

ました。

KOSOVO コソヴォ PALESTINE パレスチナ

近年、世界各地で内戦や武力紛争に直面する国々

が増加するなかで、紛争後の平和の定着と国づくり

といった平和構築の取り組みがますます重要になっ

ています。貧困撲滅と人間開発の推進を目指す国

連開発計画(UNDP)では、開発途上国が直面する

災害や紛争等の危機に対する予防と、危機後の復旧・

復興に対する支援(Crisis Prevention and Recovery)

を開発協力の重要な課題と位置付け、その取り組み

を強化してきました。紛争後の地域で活動する援助

機関のなかでも、UNDPは特に、平和構築に不可欠

な緊急援助の段階から長期的な開発への継ぎ目の

ない移行を目指し、様々な国で平和構築支援のパー

トナーとして活動しています。

平和構築とUNDPの取り組み

アフガニスタンは、1979年のソ連軍による侵攻以来、長らく戦乱状

態に置かれてきました。1989年のソ連軍撤退後、ムジャヒディン等の諸

勢力が覇権を争う内戦が勃発しましたが、1994年末以降はイスラム原

理主義政権の樹立を目指したタリバーンが他勢力を抑え、1996年9月

に首都カブールを制圧、アフガニスタンを実効支配しました。しかし、

2001年9月11日の米国同時多発テロを契機として、米英軍によるタリ

バーン政権への攻撃が行われ、アフガニスタンは再び戦禍に見舞われ

ました。

同年12月、米英軍の支援を受けた北部同盟がタリバーン支配地域

を奪還し、和平プロセスに関するボン合意が成立しました。こうして成立

したアフガニスタン暫定行政機構(AIA)のもとで、2002年1月には「東

京アフガニスタン復興支援会議」が開催され、国際社会の支援が確認

されました。現在では、ハミド・カルザイ暫定政権議長を大統領として

2002年6月に発足したアフガニスタン移行政権(ATA)が、「憲法制定

ロヤ・ジェルガ」および総選挙の実施に向けて、復興への道のりを歩ん

でいます。

東ティモールは、宗主国ポルトガルの海外植民地放棄を機に1975

年11月独立を宣言しました。しかし、翌76年にはインドネシアの軍事介

入を受けて併合されました。これに対して国連は併合を認めないとする

決議を1982年まで毎年採択し、ポルトガルとインドネシアの協議を仲介

してきました。

1998年6月、インドネシアのハビビ大統領は東ティモールの拡大自治

案を提案しました。そして、独立派と統合派との武力衝突のなか、インド

ネシア政府は1999年1月、東ティモールの自治案の賛否を問う住民投

票の実施を提案しました。その後、同年8月の住民投票で独立票が過

半数を占め、2002年5月に「東ティモール民主共和国(ティモール・レ

ステ)」として正式に独立するまで、国連は国連東ティモール・ミッション

(UNAMET、1999年6月から99年10月まで)、国連東ティモール暫定行

政機構(UNTAET、1999年10月より)を通じて、住民投票や独立まで

の暫定行政に対する支援を行ってきました。現在では国連東ティモー

ル支援ミッション(UNMISET、2002年5月より)が独立後の国造りを支

援しています。

AFGHANISTAN アフガニスタン TIMOR-LESTE 東ティモール

今日、UNDPと日本は、開発支援活動の様々な分野でパー

トナーシップを組んでいますが、なかでも紛争後の開発分野

において大きな成果を上げています。この協力関係では、

UNDPは日本政府から資金協力を得るだけでなく、日本の援

助機関やNGO、民間企業など様々な組織との緊密な連携に

より、平和構築支援活動を効果的に実現しています。UNDP

は、中立性が求められる選挙支援や元兵士の武装解除など

二国間での実施が困難な分野に対して、有効な支援の枠

組みを提供することができます。このように、UNDPと日本は、

平和構築の分野において相互補完関係にあるといえます。

両者の協力による支援活動は、様々な途上国の平和の定着

と国づくりの過程において極めて重要な役割を果たし、これ

までに幾つもの成功例を生み出してきました。

UNDPと日本

平和構築に向けたパートナーシップ

Foundations    for Lasting Peace

Page 3: よりよい平和構築に けて - UNDP · を強化してきました。紛争後の地域で活動する援助 機関のなかでも、undpは特に、平和構築に不可欠

EGYPT

Jerusalem

SYRIA

ISRAEL

PALESTINE

LEBANON

JORDAN

IRAQ

SAUDIARABIA

BOSNIA ANDHERZEGOVINA SERBIA AND

MONTENEGRO

ITALY

ROMANIA

BULGARIA

MACEDONIA

KOSOVO

ALBANIA

Prishtina

1999年6月にコソヴォ暫定行政ミッション(UNMIK)が安保理決議

により発足した後、UNDPはコソヴォにおいて、UNMIKや他のドナー機

関と協力し、家屋再建、緊急雇用創出、コソヴォ暫定政府の行政能力

向上等を目指した復興プロジェクトを実施してきました。コソヴォ地域へ

の支援は現在、紛争直後の緊急支援から平和構築のための中長期

的支援への移行期にあり、UNDPは他のドナー等関係機関と連携して、

その移行が円滑に行われるよう支援しています。紛争の再発を予防し、

真の民族融和と平和構築を実現するためには、引き続き日本をはじめ

とする主要ドナーの協力を得て、コミュニティー・レベルでの支援を継続

していくことが不可欠といえます。

UNDPを通じて行われた日本政府からの支援は約4,000万ドルにの

ぼり、そのうち2,400万ドル以上は「国連人間の安全保障基金」を通じ

て拠出されています。特に、「コソヴォ住宅・電化事業プロジェクト」で

は8,000人の住居が再建され、8万人の家庭への電力供給が復旧しま

した。また、「コソヴォ独立メディアプロジェクト」は140万人の人々に中

立で正確なテレビやラジオ放送を提供することを可能にしました。さら

に2003年4月には、「小型武器回収計画」(100万ドル)が同基金を通

じた事業として承認され、コソヴォの治安改善に取り組んでいます。こ

のような日本政府の支援に加え、日本のNGOが実施パートナーとして

関わったプロジェクトとしては、「コソヴォ学校再建プロジェクト」と「コソ

ヴォ医療復旧プログラム」が挙げられます。アドラ・ジャパン(Adventist

for Development and Relief Agency)による「コソヴォ学校再建プロ

ジェクト」では、3,000人の子供達が学校に通えるようになりました。

コソヴォ医療復旧プログラム(HRP)は、「国連人間の安全保障基金」

を通じて日本政府よりUNDPに拠出された100万ドルをもとに、日本の

「特定非営利活動法人アムダ(Association of Medical Doctors of

Asia)」の協力を得て実施されました。2001年11月より開始された同

プロジェクトは、2002年11月に完了し、復旧した医療施設は地方自治

体に引き継がれました。

コソヴォの医療部門は、紛争による破壊のみならず、人材育成や

インフラ投資が充分に行われてこなかったという問題も抱えていました。

この状況を踏まえ、1)家庭保健センターの建設およびサービスの提供、

2)家庭診療の専門家育成、等がプロジェクトの重点目標に据えられ

ました。

対象となったペヤ、イストック、プリズレンの3市では、全ての施設を

新たに建設する必要がありました。プロジェクトは、地方自治体の建

設承認を経てUNMIKの基準に従った施設を建設した後、新たな家

具、医療機器、薬剤等を提供しました。その結果、3つの家庭保健セ

ンター(アンビュランタ)と1つの診療施設が完成し、3市合わせて約3

万9,500人が施設を利用できるようになりました。�

さらに、WHOによる家庭医学専門家育成プロジェクトと密接に連

携し、医療従事者の資質の向上が図られました。家庭医療専門医が

招聘され、家庭医学入門、小児保健、性と生殖に関する健康、基礎的

保健医療に関わる緊急医療などの各分野で約90名がトレーニング

を受けました。

コソヴォ医療復旧プログラム

UNDPコソヴォ事務所ホームページ: http://www.kosovo.undp.org

KOSOVO コソヴォ

支援を受け、現在までに総額約4億ドルにのぼるプロジェクトを実施し

ており、またUNDP本部の予算からも2,000万ドルを超える資金をパレ

スチナ支援に充てています。現在は1億4,500万ドルを超えるプロジェ

クトが西岸とガザ全域で実施されています。

UNDP/PAPPは、○1 インフラ整備、○2 人造り、○3 法組織・制度造り

という3つの大きな目標を掲げ、パレスチナの恒久的な安定と平和を目

指して様々な活動を行なっています。なかでも、水利用状況の改善、

収入源の確保、保健衛生サービスの向上等については、これまでの支

援総額の約60%が充てられてきました。いずれの分野においても、前

述の3つの目標を実現するだけでなく、セクター間が相乗効果を生み

出すことを目指し、広い視野に立ったセクター横断型のプログラム作り

が行われております。

ドナー各国の中でも日本は、PAPPが規模を拡大する前からその理

念に理解を示し、これまでのPAPP活動資金の半分以上を支えてきた

最大の資金援助国です。UNDPは日本政府からの資金援助を受け、

人材育成、インフラ整備(上下水道処理システム整備、排水溝整備、

道路整備、学校医療機関の復興建設等)、雇用促進プロジェクト等を

数多く実施してきました。UNDPと日本のパートナーシップ事業として、

1993年より2001年までに総額約1億8,600万ドルの支援が実施され

ています。また、2002年6月以降、パレスチナ自治政府の改革支援を

目的としてUNDPが実施しているプロジェクト総額は1,295万ドルに上

りますが、うち1,110万ドルは日本政府から拠出され、裁判所整備や首

相府の能力構築に活用されています。

UNDP/PAPPを通じた日本政府の支援プロジェクトの好例が、「西

岸・ガザ地区の地方自治体における農産業による雇用創出」(414万ド

ルの支援提供)と「西岸地区での飲料水の緊急供給」(同320万ドル)

です。プロジェクトはいずれも、2000年末より開始し、2002年末までに完

了しました。�

前者では、ガザでの破壊を受けた果樹、灌漑設備そして雨水用貯水

池の修復に加え、西岸における段々畑の建設、井戸掘り、植樹などによる

未耕作地の開拓、および学校その他の教育施設、家屋や道路の修復

などが行われました。これにより、延べ20万人分もの臨時の雇用機会が

創出されました。

また、後者は貯水池や給水網、給水車の整備によって、西岸の過疎地

へ水を供給する試みです。現在では28台の給水車によって、イスラエル

軍による封鎖下に置かれている40の村々に新鮮な水が運ばれています。

さらに、日本の支援を受けて実施されたUNDP/PAPPの活動を

紹介する上で欠かせないのが「海外在住自国民による技術移転計画

(TOKTEN)」です。同計画を通じて、海外在住のパレスチナ人を短

期間(3~6ヵ月)招聘し、各分野における彼らの専門知識を、パレスチナ

自治政府の各省庁や大学を含む諸機関の能力向上に役立てています。

1997年の開始から現在までに同計画に参加した専門家は、延べ300

名以上にのぼります。

日本の協力によるUNDP/PAPPの活動例

UNDPパレスチナ人支援プログラム・ホームページ: http://192.115.229.1/

PALESTINE パレスチナ

1

2

1

2

1999年の紛争勃発後、UNDPは紛争後の復興支援のため最も

早くコソヴォにて活動を開始した援助機関の1つであり、紛争後に

破壊された地域のインフラ及び人々の生活復興のための活動を

展開してきました。以来、UNDPが支援したプロジェクトの総額は

5,400万ドルにのぼります。

1978年12月にUNDPは国連安全保障理事会の要請に基づき、

「UNDPパレスチナ人支援プログラム(UNDP/PAPP)」を立ち上げ、

活動を開始しました。以来、20年以上もの間、UNDPはパレスチナの

発展のために様々な活動を行っています。UNDPは各国ドナーからの

1.崩壊したペヤ診療所が新しく再建された。

2.専門家育成プロジェクトにおける心電計の実習風景。

<左上>再建されたアルバナ診療所での診療風景。

写真提供:アムダ

1. 破壊された農地での修復作業の様子。

2. 28台の給水車によって西岸に飲料水が供給されている。

<左上>修復された小学校にて。

UNDPの取り組みと日本との連携 UNDP Programme and Japan's Contribution UNDPの取り組みと日本との連携 UNDP Programme and Japan's Contribution

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INDONESIA

TIMOR-LESTEDili

INDIA

PAKISTAN

AFGHANISTAN

IRAN

TURKMENISTAN

UZBEKISTAN

TAJIKISTAN

KYRGYZ

CHINA

Kabul

Kandahar

1

2

1

2

しました。このUNAMAからの要請により、UNDPはアフガニスタン暫

定行政機構基金(AIAF)を設立するなど、同国の復興において中心

的な役割を担っています。同基金に対しては、日本を含むドナーから総

額7,320万ドルが拠出され、主として公共サービス再開に向けて早急

に必要な費用(公務員の給料や政府庁舎の修復費、行政の経常支

出の資金等)に使用されました。また、UNDPは2002年6月の緊急ロヤ・

ジェルガ委員会に対する支援を実施し、現在でも憲法委員会、司法委

員会、人権委員会などの国家委員会に対する支援を行っています。さ

らに治安面では、法秩序支援信託基金(LOTFA)の設立による警察

組織の再構築、各省庁の能力構築など、幅広い分野で支援活動を展

開しています。

アフガニスタンではUNDPと日本政府の協調プロジェクトが展開され

ており、その代表例がアフガニスタン復興雇用プロジェクト(REAP)です。

他にも、日本政府はUNDPを通じ、2002年1月に地雷除去に関する

支援として約1,540万ドルを拠出したほか、同年10月には緒方イニシア

ティブの一環として地雷除去、地雷教育、地雷被害者対策へ480万ド

ルの追加支援を行いました。また、2003年2月には日本政府主催により

「アフガニスタン平和定着東京会議~銃から鍬へ:元兵士の市民社会

への復帰」が開催され、今後のアフガニスタンにおける平和と安定に

ついて議論がなされました。同会議に先立ち、日本政府はアフガニスタ

ンにおけるDDR(元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰)支援とし

てUNDPを通じ3,500万ドルの拠出を決定しました。UNDPと日本政府

の連携協力は、アフガニスタンの復興に向けて更に深まっています。

UNDPは、アフガニスタン政府と連携し、アフガニスタン復興雇用プロ

グラム(REAP)を2002年1月より実施しています。復興推進と雇用創

出を目的として、カブール市とその周辺地域及びカンダハール地域で事

業が展開されている同プログラムに対して、日本政府は総額600万ドル

を拠出しています。

REAPは、基礎インフラの修復と失業者対策という現在の課題に同

時に取り組むために、帰還民を含む現地の人 を々雇い、道路、上下水道、

教育・医療施設の修復や建設等の公共事業を行っています。各事業

予算の60%は労働者の給与に充てられ、一人につき一日約2ドルの給

与が支払われています。労働者選定にあたっては、社会的弱者に対し

最大限に機会が与えられるよう配慮されています。�

カブールでは、これまで90以上の事業が実施され、約17,000人が

復興事業に従事しました。この中には、女性を対象とした教育設備の

修復や各省の庁舎、カブール大学の修復なども含まれています。カンダ

ハールでも2002年6月から同様の事業が開始され、約20,000人の雇用

が見込まれています。�

さらにREAPは、アフガニスタン政府の行政能力の向上に貢献する

とともに、地方自治体やNGOとのパートナーシップの構築にも役立って

います。カブールで実施されたREAPには、日本のNGO、JENとピース

ウィンズ・ジャパン(PWJ)が参加し、小学校の修復を通じて、アフガニス

タンの教育再建に貢献しています。

アフガニスタン復興雇用プログラム(REAP)

UNDPアフガニスタン事務所ホームページ: http://www.undp.org/afghanistan

AFGHANISTAN アフガニスタン

の課題に焦点を当て、UNMISETや他の国際機関との連携のもと、

新国家東ティモールの中長期的な発展計画の支援を担っています。

これまでにUNDPは820万ドルを東ティモールに対する支援に充ててき

た一方、各国ドナーの支援を受けて総額8,600万ドルにのぼるプロジェ

クトを実施してきました。なかでも日本政府はその65%を占める5,630

万ドルを、UNDPを通じて拠出しています。

日本政府とUNDPは当初、大規模に破壊されたインフラの復旧、そ

して制憲議会選挙と大統領選挙に連携して取り組みました。国の基

本的な経済社会インフラの復旧に焦点を当てた11件の案件に対し、

日本政府はUNDPを通じた緊急無償資金援助により総額4,604万ド

ルを拠出しています。また、コミュニティー開発支援の分野では、地方

復興「アイナロ・マナトゥトゥ コミュニティー活性化プロジェクト(AMCAP)」

に「国連人間の安全保障基金」を通じて500万ドルを拠出したほか、

2003年3月には、「元兵士及びコミュニティーのための復興・雇用・安

定プログラム(RESPECT)」に対し、約390万ドルを新たに拠出しました。

同プログラムは、元兵士を含めた失業問題に取り組むもので、全国規

模の雇用機会創出を計画しています。また同年4月には、日本政府の

支援のもと、警察能力向上に関するセミナーも実施されました。

2002年、独立とともに、UNDPが発表した初の「東ティモール人間

開発報告書2002」において、東ティモールはアジア最貧国とされてい

ます。混乱直後の緊急人道援助から持続可能な発展へと課題が移

行し、2004年6月のUNMISET撤退を控えた現在、日本政府とUNDP

の連携は、ますます大きな役割を果たしつつあります。

2002年5月に東ティモールが正式に独立するまで、UNDPは2001

年8月の制憲議会選挙および2002年4月の大統領選挙という、2つの

選挙と新憲法の制定を支援してきました。それぞれ91.4%と86%とい

う高い投票率を達成したこれらの選挙に対しては、15ヵ国のドナーか

ら支援が寄せられ、UNDPを通じた支援額は370万ドルに達しました。

なかでも緊急無償資金協力を通じた日本政府からの拠出額は、全体

の約3分の1を占める120万ドルにのぼります。

UNDPは民主化支援の一環として、この選挙支援プログラムに力

を注ぎました。支援内容は、国際選挙監視団(800名:うち日本人80名)

の調整、東ティモール人選挙管理員(3,000名)の調整と監視訓練、

独立選挙委員会、政治省、広報部への機材供与および専門家派遣、

有権者データ管理のための情報技術支援、制憲起草委員会への支

援、政党および立候補者に対する選挙対策支援、選挙および市民教

育支援など、多岐にわたります。

2回の選挙と憲法制定が終わり独立を果たした現在、活動の焦点

は、民主主義の浸透・強化を目的とした市民教育や人材育成、制度

作りへと移行しています。独立選挙委員会や出版事業の普及などへ

の支援のほか、地元のNGO・CSOの人材育成、人権をテーマにした

演劇ワークショップや音楽祭の開催、パンフレットや冊子の作成・配布

など、市民社会を対象とした活動を幅広く行っています。今後は、1日

1時間のラジオ放送など、公共放送と連携した市民教育の可能性も

検討しています。このように、UNDPと日本政府が支援した選挙支援

プロジェクトは、独立以降も展開を続け、東ティモールにおける民主主

義の浸透に大きく貢献しています。

東ティモールにおける選挙支援プログラム

UNDP東ティモール事務所ホームページ: http://www.undp.east-timor.org

東ティモール国連機関ホームページ: http://www.unagencies.east-timor.org

TIMOR-LESTE 東ティモール

UNDPは1950年代よりアフガニスタンで支援活動を展開しており、

1990年代には同国政府の機能が低下する中、独自の広範なネット

ワークを活用して草の根レベルでの支援を実施してきました。過去

10年間にUNDPを通じて実施された支援総額は2億ドルを超えます。

2001年12月5日のボン合意を受けてアフガニスタン暫定行政機構

(AIA)が設立され、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)が発足

1999年8月の住民投票とその後の大規模な破壊行為の後、UNDP

は1999年11月より、東ティモールにおける復興と国づくりの支援を開

始しました。以来、2002年5月の独立に向けた選挙、行政機構の設立、

コミュニティー復興支援を経て、独立後は、新政府の行政能力強化、

人材育成、法整備の確立、警察能力の向上、貧困削減、失業対策など

1.および左上 REAPプロジェクトの瓦礫撤去作業。

2.再建された小学校の開校式。女生徒達は6年ぶりに登校した。

1.大統領選挙の投票手続きの様子(2002年4月)。

2.民主主義をテーマとした壁画制作(2001年8月)。

<左上>制憲議会選挙で投票用紙を受け取る人 (々2001年8月)。

UNDPの取り組みと日本との連携 UNDP Programme and Japan's Contribution UNDPの取り組みと日本との連携 UNDP Programme and Japan's Contribution

Page 5: よりよい平和構築に けて - UNDP · を強化してきました。紛争後の地域で活動する援助 機関のなかでも、undpは特に、平和構築に不可欠

政府開発援助(Official Development Assistance)

国連コソヴォ暫定行政ミッション(United Nations Interim Administration Mission in Kosovo)

コソヴォ解放軍(Kosovo Liberation Army)

コソヴォ医療復旧プログラム(Hospital Rehabilitation Programme in Kosovo)

パレスチナ解放機構(Palestine Liberation Organization)

パレスチナ支援プログラム(Programme of Assistance to the Palestinian People)

海外在住自国民による技術移転計画(Transfer of Knowledge Through Expatriate Nationals)

アフガニスタン暫定行政機構(Afghanistan Interim Authority)

アフガニスタン移行政権(Afghanistan Transitional Authority)

国連アフガニスタン支援ミッション(UN Assistance Mission in Afghanistan)

アフガニスタン暫定行政機構基金(Afghanistan Interim Authority Fund)

法秩序支援信託基金(Law and Order Trust Fund for Afghanistan)

アフガニスタン復興雇用プログラム(Recovery and Employment Afghanistan Programme)

元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(Disarmament, Demobilization and Reintegration of the former combatants)

国連東ティモール・ミッション(United Nations Mission in East Timor)

国連東ティモール暫定行政機構(United Nations Transitional Administration in East Timor)

国連東ティモール支援ミッション(United Nations Mission of Support in East Timor)

アイナロ・マナトゥトゥ コミュニティー活性化プロジェクト(The Ainaro and Manatuto Community Activation Project)

元兵士及びコミュニティーのための復興・雇用・安定プログラム(Recovery, Employment and Stability Programme for � Ex-Combatants and Communities in Timor-Leste)

非政府組織(Non Governmental Organizations)

市民社会団体(Civil Society Organizations)

ODA

UNMIK

KLA

HRP

PLO

PAPP

TOKTEN

AIA

ATA

UNAMA

AIAF

LOTFA

REAP

DDR

UNAMET

UNTAET

UNMISET

AMCAP

RESPECT�

NGO

CSO

UNDP 東京事務所〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-70UNハウス 8階www.undp.or.jp

略語一覧

国連開発計画(UNDP)は

以下の特徴を生かし、

平和構築支援のパートナーとして

活動しています。

UNDPは132の国で常駐事務所を設置しており、紛争

中の困難な状況下でも、現場での活動を継続してきま

した。こうして様々な開発途上国で蓄積したベスト

プラクティス(成功例)を活用し、現地にあった解決策を

速やかに提供します。

世界に広がるUNDP

UNDPの常駐代表は、国連常駐調整官を兼務すると

ともに多くの途上国で人道調整官も兼ねており、緊急

援助から復旧・復興への移行を国連システムとして

総合的に調整、連携させる重要な役割を果たしています。

パートナーを調整するUNDP

平和構築活動においては、政府との信頼関係を築く

ためにも中立性は重要な要素といえます。UNDPは

国連機関としての中立性にもとづき、行政機構や法、

治安システムの構築・強化を支援しています。

中立なUNDP

マルチセクター・アプローチによる現場でのプロジェクト

の実施と、政策レベルでの対話や提言を組み合わせた

UNDPの包括的な支援方法は、資金・活動の効果を

高めています。

包括的に支援するUNDP

Why UNDP?Advantages in Crisis Prevention and Recovery

復旧支援

司法・治安部門改革

自然災害対策

紛争予防と平和構築

小型武器削減、武装・動員解除

地雷対策

○c U

ND

P 2

00

3年

5月

危機予防と復旧支援UNDPの活動分野

表紙

写真

○c U

NIC

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93

-11

49

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