NTT技術ジャーナル　2016.1148

保健 ・ 医療 ・ 福祉分野において国内最大級の総合展示会である「国際モダンホスピタルショウ₂₀₁₆」が₂₀₁₆年 ₇ 月に東京ビッグサイトで開催されました．NTTグループは，「保健 ・ 医療 ・ 福祉分野におけるプレゼンスの向上」と「お客さまへのソリューション提案機会創出」を目的とし，本展示会へグループ共同出展を実施しました．ここでは，NTTグループブースの展示内容，今後の展望を紹介します．

国際モダンホスピタルショウ2016概要

「国際モダンホスピタルショウ」は，例年約₃₅₀社が出展し， ₈ 万人以上が来場する国内最大規模の展示会で，病院をはじめ，保健 ・ 医療 ・ 福祉分野における質の向上，充実に役立つ機器，製品，システム，サービスなどを幅広く展示し，最新情報の発信および情報交流の場を提供することにより，健康福祉社会の発展に寄与することを目的としています．

今回で₄₃回目を迎える本展示会は「健康 ・ 医療 ・ 福祉の新時代へ～連携と地域包括ケアの充実を目指して～」というテーマを掲げ，２₀₁₆年 ₇月₁₃～₁₅日の ₃ 日間，東京ビッグサ

イト東展示棟で開催されました．会場は「医療機器，環境設備」「医療情報システム」「看護 ・ 介護 ・ リハビリ」「健診 ・ ヘルスケア」「施設運営サポート ・ サービス」の ₅ つのゾーンから構成されており，NTTグループは「医療情報システム」のゾーンで₁₅₀平米のブースを構え，各社の保健 ・ 医療 ・ 福祉分野における取り組みを存分にアピールしました（写真 ₁ ）．

NTTグループ展示

NTTグ ル ー プ は２₀₀₅年 よ り グループ共同出展をしており，２₀₁₆年で₁２回 目 の 出 展 で し た． 例 年，NTT東日本がグループ事務局を務め，出展するグループ会社が協力することで，NTTグループの持つソ

リューションが健康福祉社会の発展にいかに貢献できるのかを紹介しています（表 ₁ ）．

今回は「つながる安心　いつまでも．どこまでも．」をテーマに，ブース内を「地域包括ケアソリューション」「病院ICTソリューション」「近未来の医療」の ₃ カテゴリーでエリアを分け，会社ではなく商材どうしのつながりを重視して展示を実施しました（図，表 ₂ ，写真 ₂ ）．■地域包括ケアソリューション

NTTグループブースでは，「国際モダンホスピタルショウ２₀₁₆」のテーマとしても掲げられている「地域包括ケア」を重要テーマの ₁ つとし，地域包括ケアを支える ₉ つのソリューションを展示しました．２₀₁₆年 ₇ 月₁₁日にリリースされたクラウド型多職種連携サービス「ひかりワンチームSP」（NTTアイティ）を中

国際モダンホスピタルショウ2016概要

NTTグループ展示

写真 1 　NTTグループブース外観

表 1 　出展一覧

NTTNTT東日本NTTドコモNTTデータNTTファイナンスNTTソフトウェアNTTロジスコNTTアイティNTTエレクトロニクステクノ大和電設工業（協和エクシオ）

NTTグループ

地域包括ケア

医療健康福祉

「国際モダンホスピタルショウ2016」出展報告

田た な か

中 進し ん や

也NTT東日本

NTT技術ジャーナル　2016.11 49

ＥＶＥＮＴ

ＲＥＰＯＲＴＳ

心に，在宅医療対応電子カルテシステム「movacal.net」（NTTエレクトロニクステクノ），診療所向け電子カルテ「Bizひかりクラウド　Future Clinic２1 ワープ」（NTT東日本）などの医療ソリューションや，在宅介護 医 療 向 け テ レ ビ 電 話 サ ー ビ ス

「Q&Aみまもりテレビ電話パック」（NTT東日本），介護レクリエーション支援サービス「Q&A介護レク広場」（NTT東日本）などの介護ソリューションを合わせて展示し多くの関心を集めました．

また，地域包括ケアが展開していく中で需要が高まっていくスマートデバイスを，安心 ・ 便利に活用できるソリューションとして，スマートデバイスマネジメント（NTT東日本）やサポート付き簡単オフィス

図　NTTグループブースマップ

表 ２ 　出展物一覧

出展商品名 会社名

地域包括ケアソリューション

ひかりワンチームSP NTTアイティ在宅医療対応電子カルテシステム　movacal.net NTTエレクトロニクステクノ

Bizひかりクラウド Future Clinic ２1ワープ NTT東日本Q&Aみまもりテレビ電話パック NTT東日本訪問看護事業所向けクラウドサービス

（いきいきメディケアサポート） NTT東日本

ギガらくWi-Fi NTT東日本ギガらくサイネージ NTT東日本スマートデバイスマネジメント NTT東日本Q&A介護レク広場 NTT東日本

病院ICTソリューション

情報セキュリティ対策 NTT東日本お薬手帳リンク NTTドコモオフィスリンク NTTドコモteamLabBody NTTドコモレセプト博士NEO NTTデータアイかいけい博士NEO NTTデータMINS-PRO電子カルテ(MI･RA･Is/PX) NTTデータ栄養給食管理システム「ニュートリメイト」 大和電設工業（協和エクシオ）各種リースサービス NTTファイナンス

NTT東日本関東病院ソリューション

光タイムライン NTT東日本スマートデバイスを活用した病棟業務改善ソリューション NTT

はなして翻訳 ･ てがき翻訳 ･ みえる翻訳 NTTドコモ機密書類回収処理システムiSS-BOX NTTロジスコ無断離院 ･ 連れ去り防止 見守りサービス NTTソフトウェア

近未来の医療

ウェアラブル生体センサ “hitoeⓇ” NTT音声入力対応のマスタ型レポート機能

（内視鏡情報管理システム活用例） NTT

インタラクション制御技術「R-env:連舞Ⓡ」 NTT

写真 ２ 　NTTグループブースの様子

NTT技術ジャーナル　2016.1150

Wi-Fiサ ー ビ ス「 ギ ガ ら くWi-Fi」（NTT東日本）を展示し，多くのお客さまから問合せをいただきました．■病院ICTソリューション

昨年も好評を得たスマートフォン内線化サービス「オフィスリンク」

（NTTドコモ）や病院向け電子カルテシステム「MI ・ RA ・ Is／PX」（NTTデータ），「レセプト博士NEO」（NTTデータアイ）や「各種リースサービス」（NTTファイナンス）など，多種多様な商材を展示し，病院の日常業務を下支えするソリューションを展示しました．

また，NTT東日本の医療 ・ ヘルスケア事業のシンボルであるNTT東日本関東病院で導入 ・ トライアル中であるソリューションも事例とともに数多く展示し，好評を博しました．■近未来の医療

今後の在宅医療 ・ 看護 ・ 介護支援

における健康モニタリングに用いるソリューションとして期待が高まる

「ウェアラブル生体センサ“hitoe®”」（NTT）や，インタラクション制御技術「R-env：連舞®」（NTT）など，新しい技術で近未来の医療を変えていく試みを紹介しました．特にインタラクション制御技術のデモとして，ロボットがNTTグループブース入り口や地域包括ケアソリューションの展示エリアで来場者を案内し，多くの関心を集めました．■ステージ ・ セミナー

NTTグループブースでは，さまざまなテーマでプレゼンテーションや講演を実施しました（表 ３ ）．

地域の医療を支えるパートナーとし てNTTグ ル ー プ を 選 ん で く ださった関係者からは，医療現場の目線でソリューションの導入や運用での課題発見から解決までのストー

リーを分かりやすくお話しいただき，多くの来場者が足を止め，熱心にメモを取る姿がみられました．医療法人鉄蕉会CIO（最高情報責任者）の中後淳氏による講演「亀田総合病院のICT改革の取り組みとAoLani

（アオラニ）プロジェクト～NTTグループに今後期待すること～」や，医療法人社団一成会たちばな台病院の総務部長山田教子氏，看護部長小林重美氏による講演「ナースコールの活用で看護師のワークスタイルは変化するのか？」など，電話交換機やナースコール，電子カルテなどのシステムとスマートフォンを連動させ業務改善を行うことに関する講演には多くの注目が集まり，グループブースから溢れるほど聴講者が集まりました．

また，医療法人慶春会福永記念診療所理事長 ・ 院長の高井俊輔氏の講

表 3 　講演タイトル・講演者一覧

講演タイトル 講演者

電子カルテ由来の診療情報利活用の取り組み京都大学大学院医学科　社会健康医学系専攻教授京都大学学際融合教育研究推進センター ･ 政策のための科学ユニット長川上　浩司　氏

カレスプレミアムガーデン開院への取り組み社会医療法人社団カレスサッポロ地域包括ケア拠点施設　カレスプレミアムガーデン開設準備室　室長小西　徹夫　氏

地域包括ケアシステムにおける多職種連携への取り組み 医療法人慶春会　福永記念診療所　理事長 ･ 院長高井　俊輔　氏

ナースコールの活用で看護師のワークスタイルは変化するのか？ 医療法人社団　一成会　たちばな台病院　一成会法人本部総務部長　山田　教子　氏　　看護部長　小林　重美　氏

２018年を見据えた訪問看護の必要性一般社団法人訪問看護支援協会　代表理事株式会社ホスピタリティ ･ ワン　代表取締役高丸　慶　氏

認知症の包括的な医療 ･ 介護を支援する多職種連携ツールの開発と実用化

NTT東日本関東病院　神経内科　部長吉澤　利弘　氏

亀田総合病院のICT改革の取り組みとAoLani(アオラニ)プロジェクト～NTTグループに今後期待すること～

医療法人鉄蕉会　CIO（最高情報責任者）中後　淳　氏

NTT東日本関東病院のICTに関する取り組み NTT東日本関東病院　院長亀山　周二　氏

医療トレーサビリティについて NTT東日本関東病院　名誉院長　東京医療保険大学　学事顧問落合　慈之　氏

IoTを活用した服薬支援モデルの開発 エーザイ株式会社　認知症ソリューション本部辻本　道彦　氏

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演「地域包括ケアシステムにおける多 職 種 連 携 へ の 取 り 組 み 」 や，NTT東日本関東病院神経内科部長の吉澤利弘氏による講演「認知症の包括的な医療 ・ 介護を支援する多職種連携ツールの開発と実用化」などの「多職種連携」「地域包括ケア」に関する講演も非常に多くの聴講者が集まり，注目度の高さがうかがい知れました．「地域包括ケアソリューション」

というトピックを押さえた講演やNTT東日本関東病院の先進的な取り組みについての講演，そして実際のお客さまの目線での講演など，バラエティに富んだ講演をしていただくことで，健康福祉社会の発展にNTTグループがどのように貢献していくのかを詳しくお伝えすることができました（写真 ３ ）．

国際モダンホスピタルショウ2016の振返り

天候に恵まれなかったこともあり国際モダンホスピタルショウ全体の来場者数は，昨年の ₈ 万２₁₄₉人から₈ 万₉₄２人へ減少したものの，NTTグループブースの来場者数は２₃₇２人から２₇₄₄人へ増加しており，保健 ・医 療 ・ 福 祉 分 野 に お け るNTTグループへの期待の高まりが見て取れる結果となりました．アンケート回収数も₁₇₃₈枚から₁₈₄₈枚へ増加し，多くの来場者から提案依頼をいただ

きました．また，本年から来場者のご 意 見 を 記 録 と し て 残 しNTTグループ各社の活動に反映できるよう導入した，ヒアリングシートを集計した結果，₁₅₀人以上の来場者に，NTTグ ル ー プ 各 社 が 展 示 し た ソリューションに非常に強い関心を持っていただけたことが分かりました．

数多くの商材を展示した中でも，NTTドコモが展示したアプリケーションやNTT東日本関東病院の事例として展示した病棟業務改善ソリューションなどのスマートフォン関連のサービスと，NTTアイティが展示したクラウド型多職種連携サービスやNTT東日本が展示したギガらくWi-Fiなどの地域包括ケアを下支えするソリューションは特に関心が高く，提案依頼が集まる傾向がみられました．

今後の展望

■短期的な展望今後の営業活動の中で，来場され

た方を中心に訪問し，医療 ・ 介護 ・ヘルスケア分野へのICT活用を推進することで， ₁ つでも多くの医療 ・介護の現場に貢献していきます．まずは，アンケートで提案依頼をいただいた方や各展示商材コーナーで強い関心を持っていただいた方へ，優先 し てNTTグ ル ー プ の ソ リ ュ ー

ションを紹介していきます．■中 ・ 長期的な展望

本展示会を通じて，NTTグループ会社どうしの連携だけでなく，NTTグループ各社がハブとなり，医 療 ・ 介 護 系 デ ィ ー ラ ー と も 協業 ・ 連携し，医療 ・ 介護 ・ ヘルスケア分野でのICT活用に取り組んでいくことが，いかに強く期待されているのかを実感しました．

NTTグループは，皆様に選ばれ続ける「バリューパートナー」として，幅広い業界のさまざまなプレーヤーの方々とのコラボレーションを通じ，今までにない高付加価値サービスや新たなビジネスモデルの創造を進めていきます．医療 ・ 介護 ・ ヘルスケアの分野においても，これから迎える超高齢社会の到来を前に，誰もが安心して医療 ・ 介護サービスを受けられる健康福祉社会の実現をめざし，ICTを活用したサービス展開に貢献していきます（写真 ₄ ）．

国際モダンホスピタルショウ2016の振返り

今後の展望田中　進也

　NTTグループの総合力を活かし，医療 ･介護 ･ヘルスケア分野のICT活用を推進することで，誰もが安心して暮らせる健康福祉社会の発展に寄与していきます．

◆問い合わせ先 NTT東日本 B＆O営業推進本部 ビジネス営業部 医療 ･ ヘルスケア事業推進室 TEL 03-₆803-₉00₄ FAX 03-₅₇81-₅313

写真 3 　講演の様子 写真 ₄ 　グループ各社メンバー