横浜市立小学校体育研究会 ボール運動研究部...

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- 1 - 市ボール運動研究部 平成 29 年 12 月 6 日 横浜市立 小学校 横浜市立小学校体育研究会 ボール運動研究部 指導案 学年・組 第 4 学年 2 組 32 名(男子 19名 女子 13 名) 単元名 パスをつないでみんながスター☆ チャレンジサッカー(ゴール型ゲーム) 単元目標 【技 能】 簡易化されたゲームで、コート内で攻守入り交じって、ボールを手や足で操作したり、空いて いる場所に素早く動いたりしてゲームをしようとする。 【態 度】 運動に進んで取り組み、規則を守り、友達と励まし合って準備や練習、ゲームをしたり、ゲー ムの勝敗を受け入れたりしようとする。 場や用具の安全に気を配ったりしようとする。 【思考・判断】 楽しくゲームを行うことができるように規則を選んだり、自分のチームに合った簡単な作戦を 選んだり、考えたりしようとしている。 学習に取り組む前の子どもの学びの状況 楽しさ体験の状況 「ソフトバレーボールを基にした易しいゲーム」では、チームで円陣となってラリーを続ける練習をしたり、 平手で力強くボールを打って相手側のコートに落としたりして、基礎的な動きを楽しみながら学習した。ま た、学習を進める中で少しずつボールの扱いに慣れ、できるようになった(なってきた)と実感できた。 事前のアンケート結果 ボール運動に対する意欲が高い児童が多く、学習を楽しみにしている状況がわかる。 質問項目 はい どちらかと言えば、はい どちらでもない どちらかと言えば、いいえ いいえ ボール運動は好きですか? 58.6 20.7 13.8 3.4 3.4 これまでのボール運動は楽し かったですか? 62.1 27.6 6.9 0 3.4 (単位:%) 体育科基本調査アンケートでは、62.1%の児童が「できなかった技や動きができるようになったとき」に、 体育が「楽しい」と感じると回答している。また、その他にも約半数の児童が「楽しい」と感じると回答し た項目は次のようであった。「自分の得意は技や動きを学習したとき」(44.8%)、「力いっぱい運動して学習 できたとき」(41.4%)、「技や動きのよさについて先生にほめられたとき」(41.4%) このことから、本学 級の児童は、学習する動きについて十分に時間をとって学習したい、あるいは、学習の中でさらに運動がで きるようになり、そのことを教師に認められることに喜びを感じていることがわかる。 学び方の状況 「幅跳び」では、5〜10m 程度の短い助走から遠くへ跳べるように、教師が例示した場を自分の力に応じて 選んで練習し、記録をとったり、友達と競ったりして学習した。より高く跳べるように目標物を置いて取り 組んだり、リズムよく踏み切れるように助走の場に目印を付けたりして工夫した。

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Page 1: 横浜市立小学校体育研究会 ボール運動研究部 指導案...ゲームできるようになった。 自分たちに合った作戦で得点して勝ち たいな! 勝つためには、守備でも積極的にボー

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市ボール運動研究部

平成 29 年 12 月 6 日

横浜市立 小学校

横浜市立小学校体育研究会 ボール運動研究部 指導案

1 学年・組 第 4 学年 2 組 32 名(男子 19名 女子 13 名)

2 単元名 「パスをつないでみんながスター☆ チャレンジサッカー」

(ゴール型ゲーム)

3 単元目標

【技 能】 簡易化されたゲームで、コート内で攻守入り交じって、ボールを手や足で操作したり、空いて

いる場所に素早く動いたりしてゲームをしようとする。

【態 度】 運動に進んで取り組み、規則を守り、友達と励まし合って準備や練習、ゲームをしたり、ゲー

ムの勝敗を受け入れたりしようとする。

場や用具の安全に気を配ったりしようとする。

【思考・判断】 楽しくゲームを行うことができるように規則を選んだり、自分のチームに合った簡単な作戦を

選んだり、考えたりしようとしている。

4 学習に取り組む前の子どもの学びの状況

楽しさ体験の状況

・「ソフトバレーボールを基にした易しいゲーム」では、チームで円陣となってラリーを続ける練習をしたり、

平手で力強くボールを打って相手側のコートに落としたりして、基礎的な動きを楽しみながら学習した。ま

た、学習を進める中で少しずつボールの扱いに慣れ、できるようになった(なってきた)と実感できた。

・事前のアンケート結果

ボール運動に対する意欲が高い児童が多く、学習を楽しみにしている状況がわかる。

質問項目 はい どちらかと言えば、はい どちらでもない どちらかと言えば、いいえ いいえ

ボール運動は好きですか? 58.6 20.7 13.8 3.4 3.4

これまでのボール運動は楽し

かったですか? 62.1 27.6 6.9 0 3.4

(単位:%)

・体育科基本調査アンケートでは、62.1%の児童が「できなかった技や動きができるようになったとき」に、

体育が「楽しい」と感じると回答している。また、その他にも約半数の児童が「楽しい」と感じると回答し

た項目は次のようであった。「自分の得意は技や動きを学習したとき」(44.8%)、「力いっぱい運動して学習

できたとき」(41.4%)、「技や動きのよさについて先生にほめられたとき」(41.4%) このことから、本学

級の児童は、学習する動きについて十分に時間をとって学習したい、あるいは、学習の中でさらに運動がで

きるようになり、そのことを教師に認められることに喜びを感じていることがわかる。

学び方の状況

・「幅跳び」では、5〜10m 程度の短い助走から遠くへ跳べるように、教師が例示した場を自分の力に応じて

選んで練習し、記録をとったり、友達と競ったりして学習した。より高く跳べるように目標物を置いて取り

組んだり、リズムよく踏み切れるように助走の場に目印を付けたりして工夫した。

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・「ソフトバレーボールを基にした易しいゲーム」では、ラリーが長く続くように味方の立ち位置を話し合っ

たり、自陣から相手コートに向かって、相手が捕りにくいようなボールを返せるように練習したりして、簡

単な作戦を考えながら学習した。また、3 年生のゴール型ゲームの学習では、記録カードを活用し、前方の

広いスペースやゴール前にパスを出して、攻撃に参加する児童が走り込んでシュートすることで、得点しや

すい状況が生まれることに気付くことができた。

・体育科基本調査のアンケートでは、「体育学習がもっと楽しくなるためには、どのようにしたらよいと思いま

すか」の問いに、44.8%の児童が「体育の時間内にくり返し練習する」と答えた。また、同様に、「自分の

めあてをもって学習する」と答えた児童も 41.4%と多かった。このことから、めあて学習の大切さを実感

している児童が多く存在するとともに、できるようになるためには、しっかり時間をかけて練習することが

大切であることを理解している児童が多いことがわかる。

技能の状況

・「ソフトバレーボールを基にした易しいゲーム」では、ボールを片手や両手ではじいて味方にパスしたり相

手コートに返したりすることに難しさを感じていた児童が多かった。また、ボールの落下点やボールを操作

しやすい位置に体を移動させることが理解できていない児童も相当数存在した。学習の中で練習を繰り返し、

ゲームを楽しむうちにできるようになった児童もいたが、そもそもボール運動が苦手という児童との差は大

きいと言わざるをえない。事前のアンケートでは、「ボール運動は得意ですか?」の問いに、「苦手」「どちら

かと言うと苦手」と回答した児童は、全体の 20.5%存在している。

・「サッカー型のボール運動は楽しみですか?」「サッカー型のボール運動は好きですか?」の問いには、数名

の児童が技能面の不安から「楽しみではない」「嫌い」と答えた。これまでの経験から、足でボールを扱うこ

とに対する難しさや不安を抱えている児童が全体の 10.3%存在する。

体育の学習、あるいは、ボール運動そのものに楽しさや喜びを感じている児童が多い反面、運動することその

ものに苦手意識を持っている児童や、サッカー型のゲームに難しさを感じている児童が少なくない。

そこで、本学習では児童がゲームの様相をある程度理解しやすいように、攻撃のパターンを規則の工夫をする

ことである程度限定する。また、本学級の実態として基本的なボール操作の技能が身に付いていない児童も多い

ので、ゲームの中でボールを保持する場面を簡易化する。加えて、ゲームの様相を記録する方法は一般的な方法

を用いるが、そこから自分たちに合った作戦を選んだり、考えたりする過程では、教師から動き方を例示する。

5 単元を通して身に付けさせたいこと(資質・能力が身に付いた子どもの姿)

【知識・技能】

① ボールを保持したときに、ゴールに体を向けている姿。【基本的なボール操作】

② 攻守入り交じって、空いている場所に素早く動いている姿。【ボールを持たないときの動き】

③ パスされたボールに対して素早く体を動かし、ボールを捕っている姿。【基本的なボール操作】

④ 相手から離れている味方に、パスしている姿。【基本的なボール操作】

【思考力・判断力・表現力】

⑤ ゴール型の楽しいゲームの行い方を考え、プレーヤーの数やコートのつくり、プレー上の制限、得

点の仕方などのルールを選んでいる姿

⑥ ゴール型の形に合った攻め方を知り、簡単な作戦を立てている姿。

⑦ チームの作戦や自分のプレーに対する考えを、簡単な言葉で伝えている姿。

【学びに向かう力・人間性】

⑧ ゴール型のゲームに進んで取り組んでいる姿。

⑨ 規則を守り、友達と励まし合って練習やゲームをしている姿。

⑩ 用具の準備や片付けを友達と一緒にしている姿。

⑪ 場を準備する中で危険物を取り除いたり、用具の安全を確かめたりする姿。

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6 単元を通して身に付けさせたいことを実現するための手立て

授業構想

は じ め【1・2・3】 な か【4・5・6・7】 ま と め【8・9】

子どもの実態

と思い

と思い◎

○3年生のタワーボールでは、ゴ

ールに近い場所までボールを運

んでシュートできた。

◎味方とパスをつないで、ゴール

に近づけるようにしたいな!

◎パスされたボールを力一杯蹴っ

てシュートしたいな!

◎みんなが楽しめるサッカーの学

習がしたいな!

○素早くパスをつなぐとチャンスができ

るが、守備も上手になり、シュートす

ることができない。

(得点のチャンスが少ない)

◎ゴール前で守備を固められたら、シュ

ートを打てないから、パスをつないで

守備を誘い出そう!

(駆け引きを楽しむ)

◎記録カードで振り返ると、自分たちに

合った作戦を考えやすいぞ!

○攻撃と守備で駆け引きを楽しみながら

ゲームできるようになった。

◎自分たちに合った作戦で得点して勝ち

たいな!

◎勝つためには、守備でも積極的にボー

ルを捕りに行けばよさそうだ!

学習課題

●チャレンジサッカーのルールを理

解して、ゲームを楽しもう!

●学習計画を立てよう!

●たくさん点をとるために、積極的に

パ ス を つ な い で 駆 け 引 き を 楽 し も

う!

●自分たちに合った作戦を選ぼう!

(学習カードと学習資料の活用)

●ゲームに勝つために、自分たちに合っ

た作戦を実行しよう!

●攻撃では常にシュートをねらおう!

●守備では積極的にボールを奪いにい

き、素早く攻撃しよう!

規則

・コートの大きさは、縦 25m × 横 15m

・ボールは足で扱う。(得点も含む。ボールを

手で止めたり、受けたりすることは可)

・得点は 1 ゴールで1点。

・相手の攻撃側のコートには、守備側は 2 人

まで入れる。

・攻撃側のフリースペース 2 の外で守備側は

プレーする。

・攻撃側はフリースペース 2 の外から得点す

る。

・フリースペース 2 に入る攻撃側プレーヤー

は 1 人で固定し、プレーが継続している間

は交代しない。

・守備はパスカットで攻撃側からボールを奪

う。(フットボールコンタクトの禁止)

・フリースペースの大きさは縦 3m × 横 5m

4 時間目からの変更点

・フリーマンからのパスで得点したら 3 点。

・攻撃側は自由にフリースペースのプレーヤーを

交代できる。(積極的な攻撃)

8 時間目からの変更点

・攻撃側、守備側ともに、フリースペースは出入

り自由。

平成29年度 研究テーマ

子どもと創り上げていくゲーム・ボール運動を目指して

◆学習の進め方

◆ゴールについて

◆得点と勝敗について

◆ゲームの開始と得点後の再開

◆タッチラインからの再開

◆ゴールラインからの再開

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は じ め【1・2・3】 な か【4・5・6・7】 ま と め【8・9】

慣れの運動

・ポストシュート<ボール操作①>

・対面のパス<ボール操作③>

・ポストシュート<ボール操作①>

・対面のパス<ボール操作③>

・チャレンジ&カバー

<ボールを持たないときの動き②>

・ポストシュート<ボール操作①>

・チャレンジ&カバー

<ボールを持たないときの動き②>

学習カ

(1)【視点①】 子どもが自ら課題発見→課題設定するための手立て

①試しのゲーム(1) 人の動き ボールの動き(パス) シュート

「はじめ」の1時間目では、既習の攻撃方法を使ってゲームを楽しむ中で、課題を発見する。

個人学習カード

攻撃記録カード(全チーム)

【学習資料】攻撃パターンの例(全チーム)

作戦カード(全チーム)

【発見されることが予想される課題】

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②試しのゲーム(2) 人の動き ボールの動き(パス) シュート

「はじめ」の 2・3 時間目では、攻撃側と守備側で駆け引きしながらチーム全員で攻撃するためにフリースペ

ース 2 についてのルールを加え、さらに課題を発見する。

【発見されることが予想される課題】

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②記録カード/作戦カード 子どもが自ら課題発見→課題解決するための記録/作戦カード

個人の学習カード はじめ・なか・まとめの全ての時間で使用する。

個人が毎時間の終わりに自分で技能面や態度面、友達との学び合いについて振り返り、学習のめあてや次時の

学習計画(慣れの運動の計画)に生かせるようにする。

チームの学習カード①(記録) はじめ・なか・まとめの全ての時間で使用する。

ゲームに出場していない 1 名が記録する。自分たちのプレーの中で、似た形がある場合に、その数を数えたり、

気付いたことを記入したりする。

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)

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【学習のめあて】

【学習の振り返り】

【予備欄】

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)

(

【プレー記録】 【プレーイメージ図】

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チームの学習カード②(記録 → 作戦) なかの後半・まとめの時間で必要に応じて使用する。

主にチームタイムで話し合う際に使用する。記録カードの記述や振り返りを参考にして、自分たちに合った作

戦を選ぶ材料にする。

【学習資料】攻撃パターンの例(記録 → 作戦) なかの後半・まとめの時間で必要に応じて使用する。

主にチームタイムで話し合う際に使用する。記録カードの記述と比較し、自分たちに合った作戦を選ぶ。

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【プレーイメージの回数を数える】

【攻撃パターンの種類】

【シュートを打つ場所】

【チームの作戦についての「ふきだし」】

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(2)【視点②】 子どもが自ら課題設定→課題解決するための手立て

③慣れの運動

毎時間の学習を始めるにあたっては、クラスやチームでめざしたい動きのイメージを、児童が自分の動き方と

して共有している必要がある。また、クラスやチームでゲームの内容や本時の学習について振り返る際には、自

分たちがめざした動きがどうだったのか、具体的な動きのイメージでつかませたい。

そこで、今回の学習では、はじめの学習では教師が提示した慣れの運動を行うが、なかの学習では、ゲームの

中で気付いた動きの成功例をもとに、慣れの運動の行い方を児童と確認したり、共有したり、作ったりしながら

学習を進める。

また、学習の中で気付いた動きの成功例を共有するために、クラス全体で慣れの運動を行ったり、動き方のア

イディアについて教師が指導したりして、児童が実際に体を動かしながら定着させていくことを考えた。

そのために、児童の気づきをもとに教師が学習の中で引き出したい動きの例を、学習の振り返りの中で積極的

に取りあげ、場合によっては動きの写しの時間を設定しながら慣れの運動の内容を固めていく。

加えて、チームや個人の振り返りの中から設定された課題については、学習資料を提示したり、教師が個別の

支援を行ったりして学習する。

《慣れの運動の例》

ポストシュート 1<ボール操作①>はじめ・なか

[慣れの運動のねらい]

・フリースペースからパスを受けて、しっかりボールをとらえ、強くシュートするイメージをつくる。

[ゲームのどの動きにつながるのか]

・フリースペースにいる味方からパスを受けて、空いているスペースに走り込んでシュートすること。

・フリースペースから味方がシュートしやすいパスをすること。

[慣れの運動の行い方]人の動き ボールの動き(パス) シュート

○フリースペースでパスを受けたら、走り込んでくる味方にタ

イミングを合わせてパスを出す。[運動のタイミング・コミュ

ニケーション]

○最初のパスが出されたら、シュートを打ちたい位置に向か

って、フリースペースの味方に声をかけながら走りこむ。→

力強くシュートする。[積極的なチャレンジ]

○攻撃側 4(フリー)は、味方がシュートしやすい場所に、シュ

ートしやすいようにパスを出す。[運動のタイミング・コミュニ

ケーション]

パスコース❶ 始めのパス

攻撃側 1

攻撃側 2

攻撃側 3

攻撃側 4(フリー)

攻撃側 1(2 人目)

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ポストシュート 2<ボール操作①>なか・まとめ

[慣れの運動のねらい]

・リターンパスを受けて、しっかりボールをとらえ、強くシュートするイメージをつくる。

[ゲームのどの動きにつながるのか]

・フリースペースにいる味方からパスを受けて、空いているスペースからシュートすること。

・フリースペースから空いている味方を見つけてパスをすること。

[慣れの運動の行い方]人の動き ボールの動き(パス) シュート

ボールキープ 3 対 1<ボールを持たないときの動き②>なか・まとめ ※3対1→3 対 2 へと段階的に扱う

[慣れの運動のねらい]

・状況を判断し、できる限り長くチームでボールを保持するイメージをつくる。

[ゲームのどの動きにつながるのか]

・フリースペースにいる味方からパスを受けるために、空いているスペースに動く。

・フリースペースから空いているスペースにいる、あるいは走り込んで来る味方にパスをする。

・ボールを保持している相手にチャレンジしてボールを奪う。

・相手のパスコースに走り込み、パスカットしてボールを奪う。

[慣れの運動の行い方]人の動き ボールの動き(パス)

○フリースペースでパスを受けたら、走り込んでくる味方にタ

イミングを合わせてパスを出す。[運動のタイミング・コミュニ

ケーション]

○最初のパスを出したら、シュートを打ちたい位置に向かっ

て、フリースペースの味方に声をかけながら走りこむ。→

力強くシュートする。[積極的なチャレンジ]

○攻撃側 4(フリー)は、どの味方にシュートさせるか選んで

パスを出す。[状況判断]

パスコース❶

パスコース❷

パスコース❸

始めのパス

攻撃側 3

攻撃側 2

攻撃側 1

攻撃側 4(フリー)

○攻撃側は、パスやドリブル、スクリーン&ターン

を駆使して、3人で1個のボールをできる限り長

く保持し続ける。

○攻撃側は、守備側の位置と味方の状況を見て

プレー選択の判断をする。

○守備側は、1人がボール保持者へ近づき、攻撃

側からボールを奪うことをねらう。

○一定の時間が経ったら、役割を交代する。

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ボールキープ 3 対 2<ボールを持たないときの動き②>なか・まとめ ※3対1→3 対 2 へと段階的に扱う

[慣れの運動のねらい]

・状況を判断し、できる限り長くチームでボールを保持するイメージをつくる。

[ゲームのどの動きにつながるのか]

・フリースペースにいる味方からパスを受けるために、空いているスペースに動く。

・フリースペースから空いているスペースにいる、あるいは走り込んで来る味方にパスをする。

・ボールを保持している相手にチャレンジしてボールを奪う。

・相手のパスコースに走り込み、パスカットしてボールを奪う。

[慣れの運動の行い方]人の動き ボールの動き(パス)

対面のパス<ボール操作③>はじめ・なか・まとめ

[慣れの運動のねらい]

・タイミングよく動くイメージをつくり、正確なパスと、正確なボールコントロールを身に付ける。

[ゲームのどの動きにつながるのか]

・フリースペースから出されたパスに、タイミングよく走り込んでボールを受ける。

・フリースペースから、空いているスペースや走り込んできた味方にタイミングよくパスを出す。

[慣れの運動の行い方]人の動き ボールの動き(パス)

○攻撃側は、パスやドリブル、スクリーン&ターンを

駆使して、3人で1個のボールをできる限り長く

保持し続ける。

○攻撃側は、守備側の位置と味方の状況を見て

プレー選択の判断をする。

○守備側は、1人がボール保持者へ、1人は攻撃

側の残りの2人の間へ動いてパスカットをねら

う。

○前のマーカーに立ち、前方からのパスを受けてボ

ールをコントロールし、次のプレーヤーにパスを出

す。

○後方のマーカーからスタートし、前方のマーカーで

パスを受け、対面のマーカーに正確にパスをする。

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④子どもが自ら課題解決していくためのチームタイムの設定

[チームタイムのタイミング]

・ゲーム①とゲーム②の間、ゲーム②終了後(それぞれ 4 分間ずつ)

[教師の意図]

・前時に設定した課題を解決しようと試みたゲーム①終了後に、自分たちの状況によって動き方を相談する時

間を設定する。(本時の課題修正のためのチームタイム)

・ゲーム③終了後に 1 時間の学習を振り返り、課題設定したり、課題解決するための方法について相談したり

する時間を設定する。(次時の課題設定のためのチームタイム)

[チームタイムのタイミング]

・ゲーム①とゲーム②の間、ゲーム③終了後(それぞれ 4 分間ずつ)

[教師の意図]

・ゲーム③終了後に 1 時間の学習を振り返り、課題設定したり、課題解決するための方法について相談したり

する時間を設定する。(次時の課題設定のためのチームタイム)

課題設定

ムタイム

慣れの運動

ム①

ム②

ム③

ムタイム

課題設定

本時の課題修正のためのチームタイム 次時の課題設定のためのチームタイム

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4

( 1

4 4 ( 4

) 4

( 4 ( 4 4

) 4

4 4

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7 単元計画

はじめ なか まとめ

時間数 1 2 3 4 5 6 7 8(本時) 9

学習活動

○学習の場や、用具の準備

の方法を知る。

○準備運動をする。

○学習課題をつかむ

「チャレンジサッカーのル

ールを理解して、ゲーム

を楽しもう!」

○学習計画を立てる。

○慣れの運動を知る。

○試しのゲームをする。

○個人の振り返りとチーム

タイムの持ち方を知る。

○学習の場や、用具の準備をする。[3 分間]

○学習課題の確認をする。[1 分間]

「たくさん点をとるために、積極的にパスをつないで

駆け引きを楽しもう!」

○準備運動と慣れの運動をする。[5 分間]

ゲーム 前半 3 分間(チームタイム 3 分間)後半 3 分間

○ゲームの記録をとる。→ 作戦を選ぶ。

「自分たちに合った作戦を選ぼう!」

○振り返りをする。 → 次ゲームへの課題を設定する。

(学習カードと学習資料の活用)

・学習課題の確認 (チームタイムはそれぞれ4分間)

・ゲーム① → チームタイム → ゲーム② →

→ ゲーム③ → チームタイム

・全体の振り返りと課題設定[5 分間]

・整理運動、片付け

※学習活動の流れは、「な

か」と同様

チームタイム

○振り返りをする。

・ゲームの記録をもとにチ

ームの特徴を話し合う。

・チームに合った作戦を考

え、プレーの意図を確認

する。

→必要に応じて慣れの運

動を計画したり、ゲーム

の間に練習したりする。

具体の評価規準

知識・技能

① ボールを保持した時に、ゴールに体を向けてシュートすることができる。

② パスされたボールに対して素早く体を動かし、ボールを捕ることができる。

③攻守入り交じって、空いている場所に素早く動くことができる。

④ 空 い て い る 場 所 に 動

い た 味 方 に パ ス を す

ることができる。

思考力・判断力・表現力

⑤ ゴ ー ル 型 の 楽 し い ゲ

ームの行い方を考え、

プ レ ー ヤ ー の 数 や コ

ートのつくり、プレー

上の制限、得点の仕方

な ど の ル ー ル を 選 ぶ

ことができる。

⑥ ゴール型の特徴に合った攻め方を知り、簡単な作戦を立てることができる。

⑦ チームの作戦や自分のプレーに対する考えを、簡単な言葉で伝えることができ

る。

学びに向かう力・

人間性

⑧ ゴール型のゲームに進んで取り組むことができる。

⑨ 規則を守り、友達と励まし合って練習やゲームをすることができる。

⑩ 用具の準備や片付けを友達と一緒にすることができる。

⑪ 場を準備する中で危険物を取り除いたり、用具の安全を確かめたりできる。

単元名

「パスをつないで

みんながスター☆

チャレンジサッカー」

単元目標

<技 能>

<思 考・判 断>

<関心・意欲・態度>

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8 本時展開(10時間目 / 全11時間)

学習活動と内容 指導(○)と評価(●)

1. 学習課題の確認をする。[1 分間]

たくさん点をとるために、積極的にこうげきパターンのパスをつないで

ゲームを楽しもう!

2. 準備運動をし、学習の場や、用具の準備をする。[3 分間]

3. 慣れの運動をする。[8 分間]

□ポストシュート(フリーゾーンからのパス)

□対面のパス(パス&コントロール) □ボールキープ 3 対 2

4. ゲームを楽しむ。

ゲーム① 前半 3 分間(入れ替え 1 分間)後半 3 分間

○ゲームの記録をとる。→ 前半と後半の間のチームタイムで作戦を選ぶ。

「自分たちに合った作戦を選ぼう!」

○ゲーム後の振り返りをする。 → 次ゲームへの課題を設定する。

・学習カードと学習資料を活用して、チームの特徴に合った作戦を考える。

・ゲーム後のチームタイムで設定した学習課題を確認し、課題解決の方法を

話し合う。[4 分間]

ゲーム② 前半 3 分間(入れ替え 1 分間)後半 3 分間

○ゲーム後の振り返りをする。 → 次ゲームへの課題を設定する。

・学習カードと学習資料を活用して、チームの特徴に合った作戦を考える。

・ゲーム後のチームタイムで設定した学習課題を確認し、課題解決の方法を

話し合う。[4 分間] ゲーム① → チームタイム → ゲーム②

※ゲームとゲームの間にチームタイムを設定

5. 全体学習を振り返り、次時の課題を設定する。[5 分間]

6. 整理運動をする。[1 分間]

7. 個人の学習カードに記入し、片付けをする。[5分間]

○前時に確認した学習課題を振り返り、

解決への見通しを持てるようにする。

・学習の足跡の掲示

・個人、チームの記録の振り返り

○フィールドのラインは、あらかじめペ

グマークを打ち、配置を明確にしてお

く。(全校で情報共有する)

●安全に気を付け、用具の準備や片付け

で分担された役割を果たしている。

○準備運動や慣れの運動については、動

きのポイントや、味方とのコミュニケー

ションのとり方について助言する。

・学習資料の活用

・授業者が発する言葉

○味方同士が交わす言葉やジェスチャ

ーについて助言する。

○チームの特徴に合った攻撃パターン

と、チームの作戦の整合性を授業者も一

緒に確認する。

●味方とコミュニケーションをとり、状

況に応じて体を移動させてパスを受け

たり、シュートしたりすることができ

る。

●必要に応じてプレーの意図を話し合

い、作戦ボードに簡単な作戦をかいてい

る。

・作戦ボードの活用

・児童同士が交わす言葉

本時目標 ○チームの仲間でパスをつないで得点するために、例示された

作戦を選び、ゲームを楽しむことができる。

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9 学習資料・学習カード等

❶インサイド・キック

❷ボールへの近づき方(アプローチ)

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❸リーグ対戦表

❹チームのめあてとメンバー表

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❺動きの例示のための学習カード

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平成29年 月 日

ボール運動研究部

12月研究報告

日時:平成29年 月 日( )

場所:横浜市立 小学校

内容:市一斉授業研究会

○横浜市立小学校体育研究会ボール運動研究部テーマ

「子どもと創り上げていくゲーム・ボール運動を目指して」

~主体的・対話的で深い学びを通して、資質・能力を身に付ける授業づくり~

はじめの言葉 横浜市立   小学校     先生

本日は、ご参加いただきありがとうございます。中学年ゴール型ゲームのサッカーを授業提案し

ていただきました。皆さんで活発に意見を出し合い、実りのある授業研究会にできたらと思います。

部長挨拶 横浜市立   小学校     先生

本日は、参加いただきありがとうございます。働き方改革が注目されていますが、教員の働き方

改革には材の共有が大切だと考えています。ぜひ、みなさんで今日の研究会で学んだことを発信し

て、材の共有を図ってほしいと思います。中学年は「ゲームの型に応じた」という部分が弱いと思

います。今日の授業では、攻め方の型を示すことで、子ども達がチームで攻め方を選び、学ぶとい

うことを示しました。みなさんでよい研究会にしたいです。

会場校校長挨拶 横浜市立  小学校長    先生

本日は、お越しいただきありがとうございます。子ども達の姿で、話し合っていただき、研究の

ためになる授業であればと思います。忌憚のないご意見をいただき、研究会を通して全市へ発信し

ていただきたい。

研究討議

ご自評

・フリーゾーンの位置

子ども達がどのような動きをしたいかということと、教師のねらいをふまえ、フリーゾーンを

ゴールの前中央に置いた。ゴール前、中央に置くことにより、子ども達のよい動きをより引き

出せるのではと考えた。また、技能が低い子でもシュートを打たせたいというねらいがあった。

・学習カード

チームで攻め方を選ぶことができる形の学習カードを活用して、動きを振り返り、単元で積み

重ねてきた。

・慣れの運動

フリーゾーンの有用性に気づいた後、子ども達と話し合って慣れの運動をつくった。同じ慣れ

の運動でも、シュートについて課題をもつのか、フリーゾーンからのパスに課題をもっている

のか、それぞれちがうということがわかった。

質疑

・手はどこまで使えるのか。

→子ども達と話し合い設定した。「空中に飛んでいるボールをどのように処理したらよいか分か

らない。」という子がいたので、サッカーの技能差、苦手意識を考えて、今日のゲームになっ

た。しかし、今日、飛んできたボールをバレーボールのブロックのようにカットする場面があ

小学校

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った。パスコースに相手がいたら、だれかにパスをして突破してほしいが、難しかった。パス

を出すということを、もっと積極的に指導をした方がよかった。

研究討議

・攻撃のイメージ図が、子ども達の対話的な話し合いに有効的だった。ナンバリング、ネーミン

グなどがあるとさらによいのではないか。

・フリーゾーンの位置と大きさが妥当だったのか話し合った。位置は、サイドに置くのもよかっ

たのではないか。

・自分達でフリーゾーンに入る動きがあったので、自分達でフリーゾーンを決めるというのも、

今日の子ども達の動きを見るとできたのではないか。

・フリーゾーンをゴール前中央に置くことで、ポストプレーにつながる。5年生になったときの

サッカーの動きは楽しみだが、フリーゾーンがゴールに近すぎてかたまってしまったのでは。

→フリーゾーンの位置はサイドも考えた。子どもたちは、3年生のタワーゴールの学習で、両端

のプレーも有効だと気が付いているので、サッカーに近い学習を考えたときに、ポストプレー

の学習も行いたいというねらいがあった。フリーゾーンを子ども達が決めると、それぞれのコ

ートにチームに応じたフリーゾーンをかくということになってしまい、コートによってフリー

ゾーンが違うと、授業が進めづらくなる恐れがあった。距離は、最初ゴールから50センチだ

ったが、今日は1,5メートルに下げた。これよりも下げると今度はシュートが打ちづらくな

るのではないかというように考えた。

・サイドのフリーマンは今まで授業をした経験があり、攻撃の切り替えが早くなる。今日の授業

では、ゴール前中央に置くことで、シュートで終わることができるよさがあった。しかし、ゴ

ール前中央に置くと、動きが止まってしまうという欠点もある。置く場所によって動きが変わ

るということが勉強になった。

・手と足の交錯がないように安全面には配慮しなければならない。今回の授業の動きを見て、ゴ

ール前に小さく1つ、サイドにもフリーゾーンを2つという3か所を設けて、自由に入れる形

にすると、フリーマンの思考も高まるのではないかと考えた。

・子どもたちが課題発見をしていた姿があった。「勝つ、得点をとるために」という思いがある。

スペースの取り合いが上手だったので、どのようにその動きを学習させたのか教えていただき

たい。

→スペースの取り合いというイメージでは学習していない。はじめのゲームでは、得点した子が

5名ほどだった。「守りが追いつかない、パスをもっと回したい。」という子どもの思いから中

央のフリーゾーンを設定した。子どもの立っている場所が自然と広がる動きになった。子ども

は、攻撃のパターン図に沿った動きをしようとしていた。.慣れの運動で、なかなかうまくいか

ないときには、教師が指導した。人に対してパスをするのではなく、場所に投げるということ

や、パスの投げるスピード、転がし方を指導した。子どもたちは、ゴールに近い、蹴りこみや

すい位置を考え、慣れの運動をつくっていた。シュートがうまくいかない紫チームにはゴール

に走り込むということを指導した。子ども達は、早くフリーゾーンに運ぶことをねらっていた。

・手を使ってよいと選択制にすることで、子ども達がどこで使うべきか理解しながら話し合うこ

とができていた。フリーゾーンがあることで、ゲームの動きのスピードが落ちてしまうと感じ

た。フリーゾーンの位置は1、5メートルにしたことで、うまくいかなかったことはあるか。

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→フリーゾーンがあることで、スピードは落ちるが、それが意図したプレーでもある。子ども達

のかけひきをするというということをねらいたかった。水色、黄色、緑チームはある程度でき

ている。中山小学校の球技交流会のサッカーの実態は、大きくパスを出して、走っていくが、

団子状態になるという状況が多かった。そこで、守備に守られて、かたまってしまったのなら、

一旦ボールを下げるということを経験させたかった。中学年で、このような学習をした方がよ

いではと今回考え、このようなゲームにした。守備がゴール間に2人入ってくると、シュート

につながらないという場面があった。フリーゾーンを下げるとシュートまでの距離が長くなっ

て難しくなる。子ども達がフリーゾーンのエリアでボールを受ける姿勢、投げる姿勢は、学習

が不十分だった。より低い姿勢で転がすということができていれば、よりスピード感のある動

きができたのではないかと反省している。

・苦手な子への手立てがすばらしい。ゴールを広くするという工夫はどうか。

→ゴールを広くするというのは考えた。ハードルを使ったり、的を使ったりすることもあるが、

子ども達との話し合いで今のゴールに決定した。

・攻め方を選ぶという形がよかった。チームで攻めるときに、有効だった根拠を話し合うことが

できていた。

→チームで選んだ攻め方を、慣れの運動でも取り入れていたのがよかった。作戦カードは、4年

生なりの作戦を考える手立てとなっていた。

指導講評 横浜市立   小学校      先生

紫チームを中心に見ていた。子ども達が満足していて、今の子ども達にぴったりなゲームを考え

ることができていた。体育のゴールは子ども達の幸福である。豊かなスポーツライフを実現するこ

とが大切。今日の子ども達にとって学校が楽しい、サッカーが楽しいと言える授業であった。

フリーゾーンの位置は、実態によって変わってくる。サッカーの特性、魅力を共有するというこ

とが大切。蹴ったときの気持ち良さ、ゴールネットを揺らした時、パスがつながる楽しさなどを子

どもが味わうことができているかが大切になる。パスは、柔らかすぎるとパスカットされる。スペ

ースに投げているから可能になる。攻守が入り混じった状態で一気に攻めることは難しい。ボール

キープが苦手なので、今回は手を使った。子ども達が団子状態になるのは、子どもにとってはやる

気の現れである。

単元で身に付けさせたいことを明確にしているのがよい。フリーゾーンを置くことで、難しいサ

ッカーを克服したのではないか。系統性を考えると、このあとどうつなげていくのかが大切。

課題の設定、発見は子どもにとって必要感があるかどうかが大切。みんなが楽しめるゲーム作り

という視点で話し合うべきである。社会体育との関わりもしっかりと考えるべき。ボールゲームは

共生という観点からみても学ぶべきことがたくさんある。子どもと一緒に創る喜びというのを感じ

ていたのではないか。

数的優位にするゲームもあるが、3対3の中で学ぶこともある。子ども達に豊かなスポーツライ

フを送るための資質を育むためにはどうするのかというのも一緒に考えていきたい。

閉会の言葉 横浜市立  小学校      先生

紫チームを中心に見ていた。チームの中で、7時間ぶりの得点をしたと喜んでいる子がいた。多

くのクラスに特性のある子どもがいる中で、どのようなゲームにすればよいのか考えることが大

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切。子どもが運動特性を感じながら、スポーツを通して幸福につながるゲームをこれからも考えて

いきたい。