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「その子理解」に基づく「授業のユニバーサルデザイン」 ~行動理解と教材活用の工夫~

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「その子理解」に基づく「授業のユニバーサルデザイン」

~行動理解と教材活用の工夫~

-1-

は じ め に

困った時に、いつでもどこでも役立つ冊子~子ども理解と授業力を高めよう~

本冊子「高めよう支援教育」も、2回目の改訂となりました。この間平成26年1月

20日に、障害者の権利に関する条約が批准され(発効は2月19日)、共生社会の形

成に向けたインクルーシブ教育システム構築のために、特別支援教育の一層の推進が求

められています。

特別支援教育を推進し充実させるためには、教職員の専門性向上が前提となります。

教職員の専門性の中身としては、子どもの障がいの特性を理解する力や授業力の向上が

あります。本冊子の前半は、自閉症等の子どもの不適応行動に関しての対処の仕方が述

べられています。ここでは、自閉症スペクトラム障がい(ASD)の特性から子どもを

理解する「なぜ?」から始まり、その対処法「どうする?」に導かれます。教職員のみ

なさんが日々の指導で困った時にこの冊子を広げると、解決のヒントになるかも知れま

せん。冊子の後半では、本校の教育実践の中から具体的な教材が紹介され、日々の授業

の参考になるかと思います。授業力を向上させるためのヒントがたくさん詰まっていま

す。

今回の改訂では、「教材紹介」の数を2倍に増やし、小学部の「かず・ことば」に関

する教材だけでなく、中学部や高等部の美術、体育、音楽および家庭科(調理実習)に

関する教材を追加しています。初版の教材紹介からは4倍強の増加です。それだけ本校

における教育実践の蓄積が充実してきた証しであり、支援教育のセンター校としての取

組みを紹介できる機会であると捉えています。今回の改訂で、より実践力を増した「高

めよう支援教育」にリニューアルされたのではないでしょうか。

本冊子「高めよう支援教育」の発刊の目的は、支援教育に携わる教職員のみなさんが、

日々の指導で悩んだり、行き詰ったりした時に、いつでもどこでも手軽に広げて、支援

教育の原点に立ち返り、改めてこれまでの指導を振り返るためのツールとなることでは

ないでしょうか。指導する子どもたちがなかなか指示を聞いてくれない、授業に集中で

きない、集団に入ってくれない、パニックを起こしてしまう等で指導に悩んでいる時こ

の冊子を広げ、「どうする?」と読み直せば、何か解決への糸口が浮かんでくるかも知

れません。また、教材の設定はこれでよかったのか?、ねらいは合っているのか?、あ

るいは、授業のアイデアが浮かんでこない時にこの冊子を広げると何らかのヒントを与

えてくれるかも知れません。「高めよう支援教育」は、B5版の大きさの薄い小冊子で

すから、いつでもどこでも持参できます。あたかも、困った時とっても頼りになるドラ

えもんのポケットのような、そんな冊子になってほしいなと思います。

特別支援学校や特別支援学級だけでなく多様な学びの場である幼稚園、小学校、中学

校、高等学校等のあらゆる教育の現場で、この冊子が活用されることを期待しています。

特に、経験年数の少ない教職員の方々にとっては強い味方になると思います。

この冊子を活用されたみなさんからご意見をお聞きし、さらなるパワーアップをめざ

したいと考えます。次回の改訂もどうぞお楽しみに!

平成27年10月

大阪府立寝屋川支援学校長 太田 正義

- 2 -

★ は じ め に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

★ も く じ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

★1「すぐに手が出てしまう」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

★2「席にじっとしていられない・すぐに立ち歩く・しゃべりだしてしまう」・・・・・・・・ 8

★3「授業に集中できにくい・一斉指導が入りにくい」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

★4「板書ができにくい・書写がむずかしい」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

★5「集団に入りにくい」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

★6「突然パニックをおこしてしまう」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

★1「1日の流れを知ろう」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

★2「みんなで校歌を歌おう」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

★3「ドレミ deタッチ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

★4「構音のトレーニングと発音練習」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

★5「はしでつかんでぶどうを作ろう!!」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

★6「中学部のびのびタイム~腹が立ったときどうする?~」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

★7「iPadの Kyenoteでカンタン作成、視覚支援の音楽教材」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

★8「かんたん!手作り50玉そろばん」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

★9「1~3までの集合数」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

★10「ボウリングゲーム」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30

★11「トランプあそび」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

★12「お買い物あそび」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

★13「ぴったりカード」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

★14「自己紹介シート」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

★15「シルエットゲーム」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

もくじ

行動理解

教材紹介

- 3 -

★16「これってだ~れ?これってな~に?」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

★17「さかなつりクイズ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

★18「連想ゲーム」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38

★19「すごろく」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

★20「折り染め布を使ったポケットティッシュカバー作り」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

★21「選挙」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

★22「つとむくんの料理教室」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42

★23「オリジナル粘土で絵を描こう」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

★24「和紙で絞り染め体験」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44

★25「カラフルゴールテープ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45

★26「カエルのケロケロ合唱団」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

★27「にじみでお花を描こう」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47

★28「顔じゃんけん」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48

★29「なんばんめ?」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

★30「1円・5円・10円を活用した学習」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

★ 今すぐ使える魔法の言葉 他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

★ 参考&おすすめ文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56

- 4 -

知的障がい等

初刊の「これだけは知っておきたい支援教育の基礎知識」では、知的障がい、発達障がいに関する

全般的な情報や用語をまとめました。幅広くご活用いただいているとうかがい、感謝しています。

続いて、「支援教育への理解がずいぶん深まった」「でも、個に応じた支援って?」「支援学校では

具体的にどんな教材で支援が行われているの?」といった疑問に少しでもお答えできるよう、本校を

中心に、支援学校や支援学級で行われている支援方法や教材を紹介させていただくことを目的として

「深めよう支援教育」を刊行しました。改訂版「高めよう支援教育」は、このことを継承しつつ、『授

業のユニバーサルデザイン』の推進を念頭に、教材紹介の内容を検討し、ボリュームアップしました。

そして、今回 2 回目の改訂版では、教材紹介を更に充実させました。

支援教育では、障がい特性を理解することはもちろんですが、一人ひとりのつまずきの原因や背景

を理解した上で、課題を設定し支援を展開していくことが重要です。

例えば自閉症のある子が突然パニックをおこす事例では、“自分なりの手順や思いと異なったか

ら” “思いをうまく表現できなかったから” “フラッシュバックをおこしたから” “予期せぬこ

とがおこったから”…と原因は様々です。授業に集中できない事例でも“聞き取って理解するのが難

しい”“どこに、何に注目して良いのかわからない” “活動がいつ終わるのか見通しがもてない”…

とその子によって原因や背景は異なります。すぐに友達に手が出てしまう行動問題ても、例えば、

ASD(自閉症スペクトラム症/障害)のある子が “そのことで相手をしてもらえる”と思ってしまう(誤

学習)場合と 、ADHD(注意欠陥多動性障害)のある子が“気持ちを表現する言葉を習得できて

いない”ために生起するのとでは支援の手立てが異なります。このように、一見同じように見える行

動問題やつまずきでも、個々の原因や背景を知ることが大切です。

また、ASD やADHD、LD(学習障害)等の診断名については、特性の優先順位に応じて診断

名がついている場合もあり、他の障がい特性を合わせ有しているケースもあります。(図1参照)

いずれのケースにおいても、関係機関と連携して発達検査等も活用しながら、「障がい特性理解」

から「子ども理解」へと努めましょう。

最近ではICF(国際生活機能分類)の考え方が広まってきています。これは、障がいの有無に関

わらず活動参加が可能になるような環境的条件整備が必要であるという考え方です。これからは、誰

もがわかりやすいユニバーサルデザインに溢れた環境が広がる社会になっていくよう、取組みを進め

ていきましょう。(※図2参照)

健康状態

心身機能・身体構造 活 動 参 加

環境因子 個人因子

図2

ICF(国際機能分類)のモデル図

ASD 自閉症スペクトラム症/障害

ADHD

注意欠陥多動性障害

LD 学習障害

発達障がい

-5-

イラスト 中学部2年生生徒作品 「動物」

ここからは、主に「行動理解」についてとりあげています。

行動のひとつひとつに、その子なりの理由があるはずです。

「なぜ、そのような行動をするのか」

まずは、いろいろな視点から子どもたちを見てみることが大切ですね。

ほんの少しですが、その行動にはこんな理由が隠れているのかも…といった事例をいくつ

かとりあげてみました。

-6-

なぜ?? たとえば…

★冗談が通じない★

冗談、遠まわしな表現や比喩ひ ゆ

、皮肉などが理解しづらい子どもがいます。

★気持ちを上手く言葉にできない★

知っている語彙ご い

の量は多いが、気持ちを言葉にして伝えることが苦手な子どもや自分自身

の気持ちを理解(認知)することが難しい子どもがいます。 「何があったの?」「どうだった?」と尋ねても、すぐに「知らん!」「忘れた!」等と返

事が返ってきます。

どうする?☝ ・ロールプレイやワークシートを使ったSST(ソーシャルスキルトレーニング)で社会

へ出るためのスキルを身につける。

ex)

・表情から気持ちを読み取ることの練習。

・相手の気持ちを理解することが難しく、それがトラブルになっているときには、 大人

に助けを求める方法の学習・習得。

・分からないときに、どのように行動すれば良いかの学習・習得。

・気持ちの整理と正しい言葉での表現の学習・習得。

何で突っ込みいれただけなの

に叩かれるんだよう???

知らん!

なんでやねん!

なんだと!?

どうしていつもすぐ叩くの?

叩いてはいけません!!

1、「すぐに手がでてしまう」

・冗談が通じず、腹を立ててしまう

・気持ちを上手く言葉にできない

・かまって欲しい、かまってもらっていると思って喜んでいる

・適切な力加減がわからない …etc

-7-

・コミック会話や気持ち表現カードの活用。

「○○が悔しかったんだね」「△△と言われて腹がたったんだね」と一度気持ちを受け

止めてあげましょう。

★かまって欲しい・力加減がわからない★

“叩いたら相手をしてくれる”と誤った学習をして、いくら叱られても、かまってもら

えることが嬉しくて同じことを繰り返してしまう子どもがいます。

どうする?☝ 「それはダメ!」→「~は…だから、こうしようね!」と望ましい“人とのかかわり方”

を伝えましょう。

うれしいな♪ いけません♪

ごめんなさい♪

いけません!

叩いたらダメ!

話をしたい時は優しく

トントンとしようね

「バーカ」って言われたんだね。

→それで腹がたって叩いちゃっ

たんだね。

-8-

なぜ?? たとえば…

★ いつがよくていつがダメかわからない★

どうする?

・「何を」(今はこれをする時)「どこで」「どのように」「どれくらい」(何時から何

時まではこれ)「終わったら何をするのか」をわかりやすく、明確に☝

ex)「ちょっと待って!」ではいつまでかわからず、すぐにしゃべりだしてしまう子がい

ます。

→座って話を聞くことができたら、次には発表する時間を作るなどして、“したい行動”

から“してよい行動”に置き換える環境作りの工夫も大切です。

初めのうちは…

離席カードや発言カードの使用

※約束(10分間座っていましょう等)とトークン(シールなどのごほうび)が必要

2、「席にじっと座っていられない ・すぐに立ち歩く・しゃべりだしてしまう」

・いつが良くて、いつがダメかわからない

・注目してほしい

・居場所やすべきことがわからない

・授業がわからない …etc

どうしても我慢できない時

は静かにカードを出して、

許可をもらいましょう。

-9-

★ 注目してほしい★

どうする?

その子が活躍できる役割を作り、誉める場面やみんなに認められる場面をつくる。

★居場所やすべきことがわからない★

どうする?

写真等での提示

★ 授業がわからない★

どうする?

つまずきやできる課題を把握し、課題を設定する。

ex)・全体の学習が掛算の8の段の課題→個別に2の段の課題

・文章題読み取りのつまずき→「合わせて」等のキーワード

に下線を引いたり枠で囲ったりする

※これらは「集中できにくい」や「一斉指導が入りにくい」行動と重なることがあります。

見た目が同じプリントを使用

することでプライドも傷つき

にくくなりますね☝

① いすを机に乗せて

いすを机に乗せて後ろへ

後ろへ…

②赤枠の中にごみを集め

③集めたごみはちりとり

④ちりとりからごみ箱へ

-10-

なぜ?? たとえば…

★他に興味をひくものがあり、そちらを優先してしまう★

どうする?

・教室はすっきり片付いていますか?

・集中しやすい席ですか?

環境を整えましょう

・席の配慮(ドアの横・窓際を避ける、教卓の前など) ex)黒の席

・他に興味をひくものがあり、そちらを優先してしまう

・どこに、何に集中していいのかわからない

・いつまで注目すればいいかわからない …etc

3、「授業に集中できにくい・一斉指導が入りにくい」

☆スッキリ☆

×集中しにくい ×集中しにくい

○2列目くらいまで…

-11-

・個別にも声をかける。

・指示は一つずつ、もしくはメモ書きにして。

★どこに何に注目すれば良いのかわからない★

どうする?

「今ここ」「これができたら次はこれ」等の表示

① 教科書ページを開きます

② プリントのⅠからⅤ番を解きます

③ 終わったら裏返します

④ 合図があるまで静かに待ちます

⑤ 答え合わせをします

★いつまで集中すればいいのかわからない★

どうする?

・タイムタイマーの活用

・短い言葉でわかりやすい説明

・黒板の赤い枠の中を写したら静かに好きな絵を描いてOK

※これらのことは「席にじっと座っていられない」や「勝手にしゃべりだしてしまう」

行動と重なることがあります。

3つ話をします。

1つ目は…

理科室に移動し

て実験して、次は

体操服に着替え

て体育館です。

残り時間が一目でわかります!

アラーム付きも販売されています。

①まず理科室にいきます

②教室に帰って着替えます

③体育館に行きます

-12-

なぜ?? たとえば…

★どこを見ればよいのかわからない★

どうする?

・座席を見やすいところ(前など)に配置する。

・今ここ!☝カードを黒板に貼る

・大事な部分、書き写す範囲を絞り、赤の枠の中だけなどわかりやすく提示する。

★眼球運動機能の弱さ★

眼球運動機能の弱さの特徴 ・探し物が苦手

・読みが苦手

・集中力が続かない

・視写・板書の時に書いているところを見失う

・球技が苦手

・遠近感がつかめない

・物によくぶつかる

ちゃんと

書きなさい!!

4、「板書ができにくい・書写がむずかしい」

・どこを見ればよいのかわからない

・眼球運動機能の低さ

・短期記憶の弱さ …etc

※例えば、フロスティッグ視

知覚知能検査等の検査の活用

もあります。

-13-

どうする?

・板書トレーニング

※漢字の習得にも活用出来ます☝

・ジオボードの活用

※市販品もありますが、ベニア板に釘等を打って

簡単に作ることもできます。

・PCパソコン

を使った学習例(パワーポイントで作成した画面です。)

★短期記憶の弱さ★

黒板を見てからノートに書き写すまでの時間に内容を忘れてしまう子がいます。

どうする?

・黒板から写すことが難しい子どもにはノートの横や上に写すべき教材を置く。

※眼球の上下運動が難しい事例でも活用できます。

・書く速度が遅いことが考えられるので、適切な作業量を配慮する。

見本と同じもの

を作ってね♪

☜ボードが大きいと粗大

運動、小さいと微細運動に

なりますね。

☆紙面上で書いて取り組

む方法もあります。

斜めは特に

難しいなぁ…

1色では難しい図形も、カラーの輪ゴムを

使って1本1本色を変えるとできる子も…

・画面上で、矢印が赤→緑→青→紫→ピ

ンクと動いていきます。

・はじめはそれを指で追います。(追視

の学習にもなります。)

・慣れてくると紙面上に書いたり、タブ

レットペンを用いて画面上に書いた

りして練習をします。

スタート!

紫 ピンク

-14-

なぜ?? たとえば…

★特定の音や声が苦手★

どうする?☝ その子に応じた参加方法(ex体育で…)

優先課題は?体育に参加すること?集団に入ること?

・イヤマフの使用

・全てではなく特定の課題への参加から始める(バスケットボールのパスのみの参加など)

※いきなり“体育の時間ずっと”ではなく、まずは「この課題は」と約束するとスモ

ールステップで達成しやすくなります。

・場所を変えての取り組みから始める(グラウンドが見える場所での体育の参加など)

ノイズが軽減され、必要な

音(声など)は聞こえます。

5、「集団に入りにくい」

・特定の音や声が苦手

・すべきことがわからない

・全体への指示が理解しずらい …etc

-15-

★すべきことがわからない★

どうする?☝

★全体への指示が理解しずらい★

どうする?☝ ・個々に説明(復唱する方法もあります。)

・メモも有効(1つずつ書きましょう。)

こんなふうに乗り越えられた子がいます!

Aくん。

今から○○をします。

今から○○

をします。

様子… Aくんは体育の授業になかなか参加できませんでした。課題は好きで、よくこなせ

るのですが、大音量の音楽プレイヤーが手放せず、そのことに触れられると周りに手を出して暴れることもしばしばでした。 手立て… ・毎回、その日の体育の場所と内容、友だちや先生のメンバーを伝えました。 ・不安なことをたずね、確認しました。 ・パニックをおこした後、何がいやだったかを振り返り、表現の方法を学びました。 結果 前もって不安なこと「○○の音が苦手なんだ…」が伝えられるようになり、「これなら我慢して頑張れそう!」など参加できそうなところを一緒に選びながら、少しずつ参加できることが増えました。

こっちに膝を置

くのかぁ…

できた!!

フラフープや三角△コーンを使っ

ての立ち位置…

よくやりますよね。

手前のフラフープからコーンの先生

にパス→ゴール下のフープまで走っ

てボールを受け取ってシュート!!

-16-

なぜ?? たとえば…

★急な予定変更★

予定と異なることが急におこると不安になります。

どうする?

・構造化(視覚による支援)・変更事項の早めの伝達

今日の午後は

運動会練習になります。

体操服に着替えてね。

え~っと。国語がなくなっ

て、運動会練習です♪

火曜の午後は

国語なのに…

・写真がわかりやすい子もいれ

ば、写真では情報量が多すぎて

わかりにくい子も…

・絵カードがわかりやすい子も

いれば、シンプルに文字だけ、

または組み合わせたものが良い

子もいます。

写真や絵カードによるスケジュールの例

文字によるスケジュールカードの例

6、「突然パニックをおこしまう」

・急な予定変更

・思いと異なったとき、気持ちをうまく表現できなかった時

・フラッシュバック(過去にあった嫌なことなどを思い出す)…etc

-17-

ここは誰でも使えます。

使う時は靴を脱ぐこと・静かにすること。

☞こう決めておけば“誰かの特別な場所”

になりませんね♪

終わったものをフィニッシュボックスに入れたり、線で消したり、剥がしたり…

一言に視覚・ ・

に・

よる・ ・

支援・ ・

といっても子どもによってわかりやすい方法は様々です。

★思いと異なったとき・気持ちをうまく表現できない時★

「おもちゃの並べ方が自分の思いと違う」「ゲーム等で勝てない」「自分なりの手順と違う」

「嫌な事を『イヤ!』と言えない」「遊びたくない時に遊びに誘われうまく断れなかった」

どうする?

パニックになったときは…

ex) 気持ちを伝える言葉の習得

「友だちと楽しく遊ぶことはいいことです。時には友だちがゲームに勝つことがあります。

友だちがゲームに勝った時には素直に友だちが勝ったとこを認めてあげるようにします。

そして、『もう一度ゲームをしようか』と言えばいいのです。もう一度しようと言えるの

は仲良しだからできるのです。」

※参考文献 「ソーシャルストーリーブック 書き方と文例」 かもがわ出版

★落ち着ける場所を確保しておき、その場所へいく。

★大声で静止したり叱ったりしない。

★気持ちが落ち着いたら話を聞く。

戻ってきたら、外して

フィニッシュボック

スへ…

終りが見える

なくなればもうない 体育での周回ボード

-18-

イラスト 中学部2年生生徒作品 「動物」

ここからは、「教材の工夫」についての紹介をしていきます。

✿❀おまけの教材❀✿

よくある「がんばり表」、でも日々子ども達は十分がんばっています。

そこであえて「がんばる」という言葉を避けて「やったね表」「やったぞシール」として

取り組みました。

何分までに!

やったぞシールは好き

な物を選べます♪

黒板にチョークが

残らないように!

何周・何回

作成は子どもと一緒に!

目標や結果を明確に!

具体的にわかりやすく!

-19-

ねらい

準備物

・1日の流れの表(先生で作成したものです) ・絵カード(日常生活の場面のカード) ・時計カード(正時の絵カード) ・時計(小学部の教材室のもの)

絵カード、時計カードは作成しました。

実践例

現在、取り組んでいるグループは、数字(1ケタ)をほぼ確実に読むことができます。 時計に関しては、今回が初めて取り組みました。時間の流れを横に見ていくことができるので 時間が進むことをイメージしやすいようでした。 取り組み方は色々あるので・・・いくつか紹介させていただきます。 ◎1.表の指定された時刻のところに生活場面の絵カードを貼っていく。 数字で示したり、「○時」という風に伝えたりしていきました。 2.生活場面のカードを貼った後に時計の絵カードを貼っていく。

◎時計の絵カード(正時)を正しい時刻のところに貼っていく。 貼った後に時計の読み方の確認も行いました。 ◎時計の絵カードを見て、時計の模型を正しい時刻にする。 主に生活場面のカードを指定された時刻に貼る課題を中心に行い、その後に他の課題を行っていった。はじめは、時計の模型などで視覚的に時刻を確認していましたが、次第に言葉の指示で貼ることができるようになってきました。 正時を中心に取り組んでいったので短針に注目しやすくした。絵カードの針の色を変えた。 また、デジタル教材に興味のある児童もいるので、正時の読み方の流れをクイズ形式にしたパワーポイントも使用した。

・おおまかな1日の流れを知る。 ・時計や時間に親しむ。 ・正時を読む。

1、 「1日の流れを知ろう」

つぶやき・・・コーナー どうしても一人の児童が取り組んでいる間に待ち時間ができてしまうのでホワイトボード全体サイズの表にして注目しやすくしました。 時計に興味のある児童も出てきたので正時から「○分」を意識できるように少しずつ課題を発展させられたらいいかなぁと思っています。

-20-

ねらい

準備物

・校歌 ・校歌の歌詞と意味をイメージ化した映像 ・手話のビデオ(ビデオは逆になり、そのまま使用すると児童は逆の模倣をしてしまいます。

それを反転させたものを使用しました。)

実践例

①校歌を聴きながら、歌詞と意味(文字や写真、イラストで作成したもの)を見せる。 ※歌詞の意味は、簡単に児童に分かりやすいものにし(本来の意味とは違っているかも知

れませんが・・・)、児童の写真や身近なイラストを入れたり、アニメーションを入れたりしました。

②手話のビデオに歌詞をつけたものを見せ、みんなで一緒に手を動かす。 ※ここで使用した手話は標準化されたものではなく、一部本校のみで使用している表現や

児童がイメージしやすいように作ったものもあります。 ③イメージ化した映像と手話のビデオは、本番に向けて徐々に流す回数を減らしていき、本番は音楽のみで行う。

・卒業式に向けて、みんなで校歌を歌う(表現する)。 ・校歌を歌ったり、手話で表現したりする。

2、 「みんなで校歌を歌おう」

つぶやき・・・コーナー ・この方法をするまでに校歌を歌っていた児童は、歌詞の意味が以前より少し分かって歌えるようになったと思います。また、手話で覚えることで、あやふやだった歌詞を3番までしっかり覚えられるようになりました。

・校歌の全部ではなくても、部分的に手を動かす児童がいたり、サビの部分を手話で表現できるようになったりする児童もいました。

・スライドがあることで、自分たちの写真が出てくることを楽しみにしている児童もいて、全員が興味を持って取り組めたと思います。

・卒業学年だけでなく、在校生も授業等で使用し、卒業式には全員で一緒に歌って(表現して)お祝いすることができました。

わが ぼこう(わたし の がっこう)

-21-

ねらい

準備物

・ピアノ等の音階が出せる楽器 ・DVD(視覚的な支援を用いるために作成していただきました。)

実践例

①音階(ドレミファソラシド)の一つひとつにタッチする身体の部位や動きを決めます。

②ピアノに合わせて順番にタッチしていきます。(速度や「ドドドド…」や「ドド…」とタッチする回数などを変えると楽しいです。)

③「ドレミの歌」に合わせてリズムよくタッチしていきます。

♪アレンジ色々♪

・「ソはどこ?せーの!!」などと問いかけ、ゲーム感覚で楽しむことができます。 ・『キラキラ星』や『かえるのうた』など簡単に階名で歌える曲でタッチをすることがで

きます。 …など

・楽しみながら音階を学習する。 ・音の高さを意識する。 ・曲に合わせて身体を伸ばしたり、丸めたりする。

3、 「ドレミ de タッチ」

つぶやき・・・コーナー ・タッチする部分や動きは児童生徒の実態や目的に合わせて決めれます。 ・できるだけタッチしにくい場所を選ぶとよく身体が伸びます!!『ソ』の背中をタッチするときには「もっと上まで~!」などと言うと「痛いー!!」と言いながら一生懸命タッチする生徒が多くいました。

-22-

ねらい

準備物

・母音カード ・ミルクせんべい ・チョコスプレッド ・シャボン玉

実践例

1.顔のストレッチ

①首まわり②目・口をギュっとつぶってから勢いよく目、口を開ける③口を縦長に伸ばす

④口をとがらせる⑤舌の動き(上下左右、ぐるっと口の周りを1周する、舌を口の中で丸

める、舌を鳴らす)

2.長音 「あ」誰が一番長く言えるか。

3.母音の練習 母音カードを使って母音の発音練習。

4.ミルクせんべいなめ(舌体操)

①柔らかい丸みのある舌で何回も唾をつけて、せんべいの中央部に5㎝の大穴をあける。

②あけられたら、片方を切って手を後ろで組んで唇を使って食べる。③小さく切ったミル

クせんべいを口の上下左右につけて舌で取る。

5.シャボン玉(息の使い方)

①弱く長く吹いて大きくする。②やや強く吹いてたくさん飛ばす。

・唇や舌、息の使い方の基本練習をする。 ・声を出す練習をする。

4、 「構音のトレーニングと発音練習」

つぶやき・・・コーナー ・舌体操や息の使い方練習では、マーブルチョコやろうそく等も使用しました。 ・参考図書:「ただしいはつおん」大阪府立生野聾学校編 「絵を見て教える やさしい発音・発語指導」田研出版

母音カード ミルクせんべいとチョコスプレッド

-23-

ねらい

準備物

・ぶどうの粒(10個)

→ぶどうの粒は紫色のフェルトにミシンをかけ、

中に綿をつめれば出来上がりです。

・台紙

→ぶどうの粒と台紙にはマジックテープを付け

ておきます。

・わりばし

実践例

①ぶどうの粒をおわんに10粒盛ります。

②わりばしを使って1粒ずつ台紙へ移していきます。

③10粒きれいに並べれば1房のぶどうの完成です。

※粒が大きいので手でつかんでしまう生徒もいました。

※ぶどうが簡単にできるようになれば、つかむものを

豆にするなど、つかむものをつかみにくいものにし

ていけばより器用になると思います。

・おはしでつかむ感覚を養う。

・おはしでつかむ力をつける。

5、「はしでつかんでぶどうを作ろう!!」

つぶやき・・・コーナー

ただ単におはしでつかんで運ぶだけではなく、「ぶどうを完成させる」という目的を持っ

ておはしの練習ができれば、飽きずに取り組むことができるかなと思って作りました。

-24-

ねらい

準備物

・顔の表情カード(色分け)3~5種類(レベル分けの段階に応じて) ・黒板

実践例

① 黒板に「最近腹が立ったこと」を出し合い、意見を出し合う。 ② ホワイトボードに怒りのレベル分けの図を提示し、自分の腹立ちレベルと思われる場所に、

カードを貼る。 ③ 図を見ながら、「自分だったらこのへんまでならがまんできる」レベルを知り、 爆発しないためにどうするかを考え、意見を共有する。

④ 感情の理解が難しい生徒については、色分けした表情カードのマッチングをした。 ・のびのびタイムは、平成23年度から中学部で始まった自立活動の取組みである。各学年4~5のグループに分かれ、年間5~6回1時間程度実施している。この内容は昨年度担当したコミュニケーションを課題としたグループで、取り組んだ。1学期は電話のやりとりや買い物ごっこなどに取り組んだ。2学期の終わりに、生徒から高等部卒業後の就労を意識しての「腹が立った時どうする、腹が立たないように「するためにどうする」という内容をやってほしいという依頼があり、取り組んだ。腹が立ったことを出し合う場面は大変盛り上がり、「結構自分ってがまんしている」「腹が立っても自分で~~をしてコントロールしている」ということの再認識にもなった。

★生徒から出た『腹が立ったこと』

「バスの中がうるさい。がまんできない」「○○くんに「あほ、ぼけ」と言われた。」 「ゲームをしていたのに、途中で邪魔された」「残しておいた自分のおやつを食べられた」などなどたくさん出し合い、黒板いっぱいに。 ○レベル分けの実際の写真はないが、上位レベルに意見が集中した。

・自分が腹が立ったことを出し合い、自分の経験と友だちの経験との違いを知る。 ・自分が爆発せずにがまんできるレベルを知り、爆発しないためにどうするかを考える。

(自立活動区分:3『人間関係の形成』(3)自己の理解と行動の調整に関すること)

6、「中学部のびのびタイム」~腹が立ったときどうする?~

・怒りのレベルを、5段階で考えたが、生徒が考えやすいように3段階くらいにしたほうがよかった。(反省点)

・自分で考えてレベル分けができるよう、表情カードを用意し、ホワイトボードに各自で貼るようにした。

-25-

ねらい

準備物

・iPad ・HDMIケーブルなどの接続用具・大型テレビ (・画像素材)

実践例

①Keynoteのテンプレート(文字は横書きのみ)を利用して、iPadに取り込んだインターネット画像を追

加したスライドを作成する。 ②iPad のKeynote で作成した歌唱教材画面を、大型テレビにミラーリング機能を使って映して生徒に提

示する。

③縦書きの歌詞は、Wordなどで作成した画面をプリントスクリーン機能でスライドに貼り付ける。(日本

語の詞は本来縦書きであり、また長い横書きの歌詞カードは、後方座席の生徒には歌詞後半が見えにくい

という理由で縦書きを作成。)

④楽曲の内容に沿った写真を提示することで、興味・関心を高めながら理解を深め、記憶の強化を行うこ

とができる。

⑤画像付き歌詞画面をワンセンテンスごとに提示していくことで、長い歌詞を音楽の流れに沿って目で追

うことの困難さを軽減することができる。

7、「iPadの Keynoteでカンタン作成 視覚支援の音楽教材」

・言語によるイメージ化が困難な生徒から、比較的知的障害が軽い生徒まで、すべて

の生徒にまでが対象

・音楽の聴覚情報に視覚情報を加えることで、楽曲への理解を容易にする。

授業の流れの提示画面

リズム打ち

「涙をこえて」 部分歌詞 「トレロカモミロ」部分歌詞

「校歌」 全体歌詞 「ジョイフルジョイフル」全体歌詞・部分歌詞

音楽鑑賞 ビバルディ「四季」

つぶやき・・・コーナー

写真の取り込み・漢字のルビ打ちの作業・アニメーションを追加したスライドを、教材づくりの場所を選

ばず、直感的に短時間で行えます。また授業の準備・後片付けが、ノートPCを教室に運んで接続させる

ことと比較して、格段に容易に行うことができます。

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ねらい

準備物

・空き箱、針金(ワイヤーでも可)、ビーズ白25個、青25個、ビニールテープ 【作り方】

① 空き箱の両側面にキリなどで等間隔に5つずつ穴をあける

② ワイヤー(紐や針金などでも可)を通す。

③ 100 円均一などで売っている大きめのビーズを白5個、青5個ずつ通し、

ビニールテープなどで固定する。 ④同様に5列作る。

実践例

1)10の合成、分解 10の合成や分解について、玉を動かしながら確認する。 (1-9、2-8、3-7、4-6……なこ) そろばんは5個ずつで色が変わっているので、数えるのが苦手な児童生徒も数えやすい。 2)数唱 玉をうごかしながら、数を数えていく。 2とばし、5とばし、10とばしができるようになると、3とばしや4とばしにも挑戦する。かけ算の導入にもなる。声を出しながら手をうごかし、目で確認することで数の感覚を養っていく。

3)くりあがりのあるたし算やくりさがりのあるひき算 玉を動かしながら、たし算やひき算を行う。

数の合成や分解を確認しながら行えるので、苦手意 識をもつ生徒でも取り組みやすい。

・数の合成、分解を視覚的に理解する。 ・数の感覚を養う。 ・くりあがりやくりさがりのある計算にスムーズにとりくめるようにする。

8、「かんたん!手作り50玉そろばん」

つぶやき・・・コーナー かんたんに作れるので、児童生徒と一緒に作ってもよかったかなと思いました。 箱やワイヤーがやらかいと、玉が動かしにくいので、しっかりした箱や針金の方が良いかと思います。ビーズの色は、一目で違うとわかる色がよいです。

-27-

ねらい

準備物

・数字カード ・●印のカード(1~3のまとまりのカード⇒バラバラのカード) ・キャラクターカード(アンパンマン・トーマスなど、生徒の好きなキャラクター) ・小型ホワイトボード ・カスタネット ・果物模型・ミニチュアのおもちゃ・お皿・手助けシート など

実践例

・様々な物やパターンと数詞「1(いち)」「2(に)」「3(さん)」を対応させていくことで、物の集まりを「かず」として捉えて「かず」を認識していくことをねらいとしました。「かず・ことば」の広がり、生活体験の広がりにつながればと考え、歌・音・絵カード・具体物・物語の登場人物など様々な「かず」を取り入れた学習に取り組みました。

・いろいろな物の集まりやパターンから「かず」を知る。 ・3までの「かず」についての理解を深める。

9 、「1~3までの集合数」

こどもの好きないろいろな模型を使い、1対1対応で「同じ」という概念を学習してから「1~3」までの集合数に取り組みました。

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1.数字の歌(パネルシアターを使って)

※「すうじの1はなーに?」と対応したパネルを選んで貼ったりもしました。

2.数字カードを使って、数唱したり、指で表現したり、

指示された数字カードを選び取ったりします。 3.具体物(果物模型など)と「かず」(1~2)の対応。

手だすけシートを使って具体物を「2コ」ずつ置く学習。 徐々にシートがなくてもできるようになりました。

※「手助けシート」は紙製プリンカップを切って、

ボール紙に貼り付けました。

4.物の集まりと数詞。「1~3」の数字カードに対応した数のキャラクターカード(1

~3のかたまり)を置く課題です。

※「1~3のかたまり」を選ぶことに慣れてきたら・・・バラバラのカードを使って、見本を参考にしなが

らキャラクターカードを置いていきます。

パネルをひっくり返すと数字がでてきます。

手だすけシート

【パターンを変えた2の世界】

【「あまり」を意識する課題】 ぶどうが2つ

ケーキも2つ

あまり

イチゴも2つ

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※子どもの好きなものをカードに使用すると、モチベーションがグッとアップします!

※好きなミニチュアのおもちゃなども使用しました。

5.「かず」と「音」の対応。 数字カードと●印カードを対応させた「かず」の分だけ、カスタネットを鳴らす課題です。●印にカスタネットの位置も対応させます。

6.絵本の読み聞かせ学習後、物語に登場するキャラクターと「かず」を対応させる。

(「トランプ遊びシート」は、枠内にトランようにするために使用しまし ※これは『かえるのふゆごもり』という絵本ですが、使い方次第で「かず」の学習に活用できる絵本は沢山

あります。様々な世界の「かず」に触れる体験としてよい教材となります。

見本

カスタネットを鳴らすことには

楽しみながら取り組んでいました。

●カードの●の数にあわせてカス

タネットを鳴らすことも、指導者の

見本を見た後に取り組むとしっか

りできるようになりました。

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ねらい

準備物

・ボウリングのピン ・ボール ・得点表 ・丸シール、メダルなど

・これは本校の教材室にありましたが、もし入手できれば本物のピンを使ってみるのも楽しい

かも・・・。 ・ピンは、500mlのペットボトルでもすぐに作れます。

実践例

・まずは数を数える前に、みんなで何度か転がして倒しゲームを楽しみました。 それから「ボウリングゲーム」をスタートしました。 1.一人ずつボールを転がします。 2.倒れたピンを机の上に並べます。 3.並べたピンを数えていきます。 (この時に、あやふやな時は指さししながら一対一対応で一緒に数えました。) 4.得点表に、倒れた数だけ丸シールを貼っていきます。

全員が終わった後に、 5.得点表に貼られたシールを見比べて、誰が一番

多いかを調べる。 6.その授業の優勝者にメダルをかけてあげる。 *今回は、1回だけの投球で数を数える取り組みでしたが、2回投げてそれぞれ倒れたピンの数を数えて、合わせていくつというふうに加算の勉強にも展開できます。

*順番に取り組む活動なので待っている間も、他の子ども達が倒したピンの数を数え て、自分の席でプリントに記入するなど待ち時間の工夫も必要ですね。

・数を数える ・1から5ないし10までの数の概念 ・数の大小 ・ゲームを楽しむ

得点表

机上の様子

10、 「ボウリングゲーム」

つぶやき・・・コーナー 子ども達により意欲的に取り組んでもらえるように、優勝者にメダルをかけてあげたり、ボウリングのピンに注目できるようにキャラクターをつけてみるなどもいいかもしれませんね・・・。また、スクーターボードに乗せて、子ども自身がボール役になってみる活動もダイナミックで楽しいかもしれませんね・・・。

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ねらい

準備物

・黒板用トランプ(大) (1~5)

・個別用トランプ(小) (1~5)

・トランプあそびシート ・すうじばん ・丸シール

実践例

・1から5までの数字のトランプから2枚を選び、「合わせていくつ」(加算)を行い合計を出します。どちらが大きい数になったかを考える学習です。

1.黒板には大きなトランプを用意。それぞれの

子どもたちには個別にトランプと「トランプ遊び シート」を配布する。

(このシートは、枠内にトランプを並べることで、机 上が煩雑にならないため。また、順番を待っている間 も一緒に加算の練習ができるように使用しました。)

対戦するペアを決め、「すうじばん」に名前を記入していく。

2.前に出た子どもは、黒板のトランプを2枚選び、枠内に貼りつける。 待っている子ども達は、机上のシートに黒板と同じ数字のカードを枠内に置く。 3.2枚の数字を合わせた合計を、黒板に記入する。 同じくシート内でも合わせた合計を記入する。 4.合計と同じ数だけ、「すうじばん」に丸シールを貼りつける。 待っている子ども達は、「すうじばん」にえんぴつで丸を記入する。 5.全て終了後、 「すうじばん」のシールの数を見比べて、だれが一番大きいか

考える。 (「トランプ遊びシート」は、枠内にトランようにするために使用しました。)

*家庭で一緒に遊ぶことができればという願いも込めて、この教材を選びました。

・1から5までの数の加算 ・数の大小

黒板用トランプ

個別トランプカード

黒 板

机 上

11、 「トランプあそび」

どの数字が出

るかな・・・。

トランプ遊びシート すうじばん

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ねらい

準備物

・果物模型 ・写真カード ・数字カード 果物模型がない時は、デジカメで撮影してカードをラミネートし作成するなどして簡単に代

替えすることもできます。

実践例

・ここではお使い場面を設定して、お願いされた物を正しく選んでくる活動をしました。 ・お願いをする先生・お店の店員さん役の先生(子どもがやってもいいですね)とのコミュニケーションを取ることも意識して取り組みました。

1.写真カードと数字カードを見て、買い物してく

る果物を確認する。 *まずは1種類の物から始めましたが、2種類の物をお

願いしていくこともあります。

2.カードを持ってお店コーナーにいく。 *写真カードや数字カードなどの視覚による支援を頼りにして買い物をする子ども、また、カードを持た

ずに短期記憶力で買い物する子どもなど、それぞれの子どもの様子に合わせて取り組みました。

3.お願いされた果物と同じ物を選び、またお願いされた数

だけ買い物かごに入れる。 *お店の人に「○○ください」と言葉で伝えることも促しました。

4.お願いした先生に届けて手渡す。そこで正しく選ぶことができたか確認する。

*机上に並べて、写真カードと同じであることを確認します。次に、並べた物を一つずつ指さ

ししながら数えて数が正しいか確認します。

*2種類の物を選んだ時は、確認後に合わせていくつになるか考えることに取り組むことも

ありました。

*子どもの実態に応じて、お金のやり取りも活動にいれることもあります。

・1から5までの数 ・数唱 ・マッチング ・加算

12、 「お買いものあそび」

子どもの実態に応じて、●印に替

えて、具体物(バナナの絵など)

にするのもいいですね。

子どもの実態に応じて、

「バナナが3本の写真

カード」を置いて、マッ

チングにより確認して

いくのもいいですね。

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ねらい

準備物

・ぴったりカード ・文字カード

(引用:ポプラ社 わらべきみか)

実践例

1.カードをバラバラに置いて、カルタ取りのように同じ 動物の図柄を2枚探して選び、組み合わせました。

ここでは全てを使用せずに、色の重なりをないようにして、主に 子どもたちに親しみのある動物を使用しました。

2.文字カードを1枚選び、声に出して読み上

げます。 ↓ その動物を探して組み合わせて作ります。

* 図柄を組み合わせてからその名前カードを

選ぶという逆からのアプローチもできます。 また、一文字ずつに分割して、名前を構成する取り組みにも展開できます。

3.図と文字の情報を別々に提示するのでは

なく、絵と文字の一致をねらい、両方の 情報を1つにまとめたカードを作成し ました。 これによって絵と文字の両方を確認して、動物のカードを探しました。

・語彙ご い

の獲得 ・文字を読むこと ・絵の構成

取り組んでいく中で、絵を見て動物の名前をすぐにことばで答えることができる子どもでも、名前を文字カードで選べない、一文字ずつ構成することが難しいことがよくありました。

13、 「ぴったりカード」

うさぎ ね こ

うさぎ ね こ

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ねらい

準備物

・自己紹介シート ・筆記用具

・Wordで作成した物です。

実践例

とってもおしゃべりが上手だけど、書くことが苦手なAさん。 とっても文字を書くことが上手だけど、お話するのが苦手なBくん。 それぞれ違うところで、なかなか自信が持てなかった2人。 ・毎回、授業の初めに「自己紹介」をしていくことにしました。 まずは、「自己紹介シート」に 1.自分の名前を書く。 2.好きな物・好きなことを書く。 3.書きあがったシートを持って、みんなの前で読んで発表す る。

(時には、聞いている子どもたちに、「好きなおかしは何やった?」と質問をして、

聞くことを促すことも・・・。)

最後は、頑張って書いたこと、小さな声でもみんなの前で話せた ことを、大いに褒めてあげました。

・ここでは、名前や自分の好きな物といった子ども自身が身近に感じることを書くことによって、文字の練習を行いました。また、相手に自分のことを伝える・相手のことを聞くという自立活動のねらいにもあるコミュニケーションの内容も含めて取り組みました。

・文字を書く練習 ・相手に伝えることの練習 ・相手の話を聞くことの練習

文字を書く練習の他に、文字カード

を使って、名前や物の名前を構成の

練習としてもいいですね。

14、 「自己紹介シート」

「おかし」でなくても、子どもの

興味のあるものでも・・・。

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ねらい

準備物

・影絵ボックス(段ボールや箱を使用します。) ・ライト

実践例

・ここでは、何かを言い当てることよりも、楽しみながら物の名前を知り、書くことへのモチベーションを持たせることをねらいました。

・子ども達の身近な物を「影絵」に映し出して、イメージをさせます。 ・テーマを決めて行いました。 ex)「今日は果物シリーズ」 ・様々に向きを変えることで、より子どもたちのイメージを膨らませることができます。 ・考えた物の名前を、鉛筆で書いていきました。 ・子どもに応じて、文字カードを並べて名前を 構成していくこともあります。

・最後に実物を子ども達の前に出して、直接触れて重さやにおいを感じたりして、様々な感覚を通して物の名前を学習していきます。

・ことば、語彙ご い

の獲得 ・文字の練習 ・イメージする力をつける

つぶやき・・・コーナー

「楽しくなければ、がんばれない! 楽しくなければ、身につかない!」 今回の物の名前(語彙

ご い

)の学習を含め様々な学習をしていく時に、子ども達には様々な経験を通して楽しみながら学んで欲しいなあと思います。もちろんプリントで文字を繰り返し書いて学んでいくことも大切だと思います。ただその前に、今日プリント練習することばはどんな物なのかを、様々なアプローチから迫ることで、より子ども達の中に深く入り込むのではと考えています。 見てみる・聞いてみる・触れて感触や重さを感じる・においを感じる・食物なら食べてみる・・・。これら子ども達の持っている五感を通して学んでいくことで、子ども達にとって生活場面でも応用できる多元的な知識となっていくのではと思いこれからも取り組んでいきたいです・・・。

15、 「シルエットゲーム」

箱の底をくり抜い

て、模造紙を貼って

スクリーンにして

います。模造紙の他

に薄手の白い布な

ども代用できます。

表 面 裏 面

この中に影に出した物を

置きます。

物を置く台として、透明の

コップが使えます。また、

スクリーンに近い方がは

っきりとした影になりま

す。

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ねらい

・「おかあさんといっしょ」というテレビ番組の「すりかえ仮面」をモチーフにした取り組

みです。ただ、写真や絵を見て、その名前を答えるだけでは、子どもたちにとっては、お

もしろさ、楽しさがないですよね・・。でも、ちょっと、指導者が変装し、キャラクター

を設定するだけで、子どもたちは、とっても喜びますよ~!!

準備物

・マント、マスクなどの変装グッズ

・身近な人や物の絵カード or写真カード(友だち、先生、乗り物、食べ物、動物など)

・写真や絵カードの一部を隠すためのカード

・ホワイトボード

実践例

1、「○○仮面」が登場する。

2、「これってなーに、これなーに!!じゃーん!!」と言いながら、マントの中から、

写真カード or 絵カードを見せる。

3、子どもたちに、いろいろな物や人の名前を答えてもらう。

※同じ写真や絵カードでも、少し隠すだけで、子どもたちは盛り上がりますよ!

・身近な物や人の名前を知る。 ・ひらがなに触れる。

16、「これってだ~れ?これってな~に?」

-37-

ねらい

・実際に魚釣りのゲームをしたことで、児童がとても興味を持って取り組むことができまし

た!また、その後 ICT 教材(魚釣りクイズ)を使い、数字と具体物のマッチングや足し

算の基礎をクイズ形式で学ぶことで、さらに理解を深めました。

準備物

<魚釣りゲーム>

・魚釣りセット(紙の魚にクリップをつけたもの、釣竿(先にマグネットをつけたもの)

・1~10までの数字カード、表

・自分の顔の写真カード

・ホワイトボード

<魚釣りクイズ>

・PC

実践例

<魚釣りクイズ>

1、TV 画面に映された魚の数を数える。

2、「合わせていくつ?」の答えを選ぶ。(二択)

3、全員で答えを確かめる。

・自分の釣った魚と友だちの釣った魚を合わせて数える。

・10までの足し算(合わせていくつ)ができる。

17、「さかなつりクイズ」

「ピンポン」「ブブー」など音

が出ると盛り上がりますよ!

魚が動くと、ゲーム感覚で楽しく

学ぶことができます!

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ねらい

準備物

・身近な物の絵カード or写真カード、名前カード

(中庭の遊具、ディズニーのキャラクター、食べ物など)

・ホワイトボード(グループ分けのテーマを書く)

実践例

①ホワイトボードを中心で区切り、それぞれテーマ(仲間分け)を設定する。 ②写真カード、絵カードを机上へランダムに並べる。 ③発表する児童は、選んだ写真(物、キャラクター)が属するテーマの所に貼る。 ④写真、絵カードのグループ分けが済んだら、次はそれぞれの名前カードを写真の下に貼る。 ⑤正しく名前カードが貼れたら、自分の貼ったカードを音読する。

効果・工夫等

・「中庭にあるもの」と「ディズニーのキャラクター」とい

う全く異なるテーマを設定することで、比較的早い段階で

活動の意図を飲み込むことができる児童が多かった。

・グループの児童が好きなディズニーのキャラクターを使用

することで、児童の興味・関心を惹きつけることができた。

・「みっきー」や「ちぇしゃねこ」等、児童がよく知ってい

るキャラクターを使用することで、拗音や促音を正しく読

めるようになるための足がかりになった。

・複数の写真カードと名前カードを、それぞれテーマごとに分ける。

・濁音、半濁音、拗音、促音のつく言葉を読む練習をする。

18、「連想ゲーム」

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ねらい

準備物

・大型のサイコロ 2種(数字だけのもの、ドットだけのもの) ・コマ ・大型すごろくシート(模造紙ほどの大きさ)

実践例

(1)順番を決める。 (2)自分のコマを選ぶ。 (3)大型のサイコロを振る (4)出た目の数字を答える(またはドットの数を数える) (5)出た目の数だけ、数唱しながら自分のコマを進める。

自分の立ち位置を「いち」とカウントしてコマを進めてしまう児童については、一緒にコマを持ち、立ち位置を『ぜろ』と言ってから、次に進む時に『いち』と数えるようにした。

(6)コマが止まったマスに描かれた動物の名前を答える。(絵の下に名称が平仮名で書いてあるので児童に応じてそれを読ませる)

(7)動物の表現をする。(鳴き声、動きなど…音楽授業で取り組んでいるリトミックの動物が出てくると、大喜び!歌いながら表現していました。)

・サイコロを振って出た目の数字(1~6)が読めるようになる。

・サイコロを振って出た目のドットの数(1~6)を数えられるように

なる。 ・出た目の数字(又はドットの数)とコマを進める数を一致させことができる。

19、「すごろく」

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ねらい

準備物

障子紙、絵の具、ハンカチ(100均のものなど)、布染め用の染料、アイロン、裁縫セット、テレビ、パソコン

実践例

視聴覚教材を使って、折り方や染まり方を確認する。1次は障子紙を使って、折り方・染め方

の練習。2次でアイロンで型を付け、実際に布を染めてみる。3次はその布を使ってポケット

ティッシュカバーを作る。

・折る作業により、集中力や手先の巧緻性を高める。 ・配色や染め方を変えることで様々な模様が見られるので、探究心、研究心、色彩の感覚を高めることができる。

・また、染めた布をティッシュカバーに変えていく過程で、アイロンの使い方や並縫いの基本的な練習をする。

20、「折り染め布を使ったポケットティッシュカバー作り」

つぶやき・・・コーナー 「この折り方で、この辺を染めれば、この染まり方になる」という例を視聴覚教材で示すことで、イメージをしっかりと持って取り組むことができる。この模様が作りたい→この色で染めたい→もっときれいに染めるには・・・と発展的な探究心を駆り立てていくことが狙いである。

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ねらい

準備物

・色ペン、色鉛筆 ・アニメやゲームのキャラクターが印刷されたポスター用紙

・投票用紙 ・選挙関連の動画

実践例

《生徒会役員選挙前》 ①2週間後に行われる生徒会役員選挙について、事前学習を振り返り、公示内容を確認する。 ②選挙の目的を考える。 ③身近なキャラクターを立候補者に見立て、実際の選挙ポスターを参考にして、選挙ポスター を作成する。 ④立候補する役職を決め、生徒会役員選挙の模擬選挙を行う。(会長候補・副会長候補・書記候補の順に演説、投票、開票)

《生徒会役員選挙後》 ①4つの選挙原則を知り、生徒 会役員選挙にもあてはまるこ とを確認する。

②得票数が同数の場合、どのよ うにして当選者を決めるのか を考え、動画を見て答え合わ せをする。

③来年のアメリカ大統領選挙に 触れ、そこで採用されている 勝者独占方式を用いて生徒会役員選挙の模擬選挙を行い、選挙方式が異なると選挙結果が変 わることを知る。

④選挙で選ばれた人をみんなで支えることの大切さを確認する。

・選挙の目的や仕組みを知る。 ・模擬選挙を通して選挙の流れを体験し、生徒会役員選挙に興味 関心を持つ。

21、「選挙」

つぶやき・・・コーナー 身近なキャラクターを立候補者に見立てることで、生徒は意欲的に選挙ポスターを作成

し、緊張した面持ちで演説や投票を行った。得票数が同数となり、くじ引きで当選者を決定した実際の例を動画で見た生徒全員が驚きの表情を浮かべていた。勝者独占方式を用いた模擬選挙では、「陣取りゲームみたい!」と興味津々で開票の行方を見守っていた。

【授業で使用したスライド】

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ねらい

準備物

・つとむくんの口は、いろいろな食べ物を実際に食べているように見える。 ・使用方法②では、不正解だとつとむくんの目が困った表情になる工夫もしている。

実践例

①つとむくん人形にいろいろな材料の絵カードを食べてもらい、結果どんな料理を食べたことになるのか、クイズ形式で学習する。 ②「○○の料理」を作るには、どの材料が必要か、生徒がいくつかの絵カードの中から選んでつとむくん人形に食べさせるやりとりをしながら学習する。

「やきそば」の材料は? あっ まちがえた

つとむくん

ぶたにく

にんじん たまねぎ

・調理実習の事前学習のなかで、メニューに必要な材料をつとむくん人形と考えていく。

・つとむくん人形を登場させることで、意識付けがしやすくなる。

22、「つとむくんの料理教室」

つぶやき・・・コーナー 料理メニューに必要な材料を一つ一つ確認することができ、調理実習の学習において見通しを持って参加できた。つとむくん人形に教えてもらったということがインパクトになったようである。

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ねらい

準備物

紙・筆記具・フォトフレーム・カーボン紙・トイレットペーパー・水・ボウル・のり・

絵の具・ビニール袋

実践例

①フォトフレームの大きさの紙に、デザインを描く。背景など全面の色を決めておく。

②フォトフレームの土台にデザインをカーボン紙で描き写す。

③トイレットペーパーを細かくちぎり、ボウルに入れる。そこに水を入れて浸してか

ら絞って袋に入れる。※水で小さくしぼむので、多めにちぎっておく。

④③の袋に洗濯のりを入れてよくこね、使いたい色の数に小分けして袋に入れる。

⑤小分けした袋に絵の具を入れて、色のムラがなくなるまでよくこねる。

⑥デザインを見ながら、粘土をつまんでフォトフレームの土台に乗せ、指で押さえる。

※乾燥すると縮むので、よく水を切ってから隙間なく乗せて指で押さえる。

⑦風通しの良い所に置いて乾燥させ、完成。

・身近な物から制作材料を作ることができることを体感する。 ・普段とは違った素材で絵画を描くことで、様々な素材で制 作できることを知り、表現の幅を広げる。

23、「オリジナル粘土で絵を描こう」

つぶやき・・・コーナー ・細かい作業になるので、細かいデザインは表現するのが難しいと思います。生徒によっては、半立体絵画として色粘土を順番に並べたりするのもいいかと思います。

・良く乾燥させないと、湿気の多い時期やフォトフレームの素材によってはカビが生える恐れがありますので、乾燥棚等の通気性に優れた場所で乾燥させましょう。

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ねらい

準備物

和紙、ビー玉、輪ゴム (ビニールタイやひもでも可)、彩液、水彩絵の具、筆、スポイト、トレイ、新聞紙、半紙

実践例

①和紙を濡らす。(濡らさずに染めると、色止めができない。) ②握るように絞って水気をきる。(ねじると破れます。) ③ビー玉を 1 個好きな場所に置き、包む。(複数個入れると破れます。) ④輪ゴム等(ビニールタイ、ひもでも可)できつめにしばる。

(ゆるいと色止めができません)てるてる坊主みたいになります。 ⑤・間隔をあけて輪ゴムで止めていくと同心円状の模様になる。 ・別の場所にビー玉を入れてしばると丸い模様が複数できる。 見本をみせて自由に制作させる。 ⑥トレイに新聞紙を敷いて、作品を乗せ、好きな色で染める。筆やスポイトを使う。彩液が鮮やかに染まるが、彩液だけだと色が混ざる時に濁るので、水彩絵の具も使うと良い。(この時は彩液2,3色と水彩絵の具 1,2 色で染めた)

⑦ある程度乾いたら、輪ゴム等をほどく。取りにくい時は切るとよい。(全然乾いてない時はタオルなどで水気を取ってもよいが、色が薄くなるので自然乾燥が適当。もしくは濡れたままほどく。この時は染めるのを一人ずつ行って乾く時間を作った。)

⑧広げて半紙の上に乗せ、半紙に名前を書いてできあがり。(この時はできなかったが、新聞紙の上に広げ、上に半紙を乗せて押さえると和紙がきれいに伸びる。半紙もきれいに染まるので何かに使えるかもしれません。)

・T シャツの絞り染めのための導入(練習)。 ・輪ゴムやビー玉など身近な素材を使って制作を楽しむ。 ・絞り染めという伝統的な技法に親しむ。

24、「和紙で絞り染め体験」

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ねらい

準備物

視覚的にわかりやすい色(黄・赤)2色で細さも少し幅を持たせた布を交互に縫いつなげたことで、30m・50m離れたスタート位置からゴール位置を確認し、見通しを持って走ることができるようにした。実はこれは 2 号で、1 号は薄手の布で作ったので、張りを持たすため筒状にし、わかりやすいようにと太く長くしたため、重くなってしまった。そこで、2号は端を折り返して縫うだけで張りのある帆布を使い、太さも少し細くし、持ちやすくなった。

実践例

・短距離走のゴールより 2~5m 離れた位置に二人で持つ。 ・幼・小低学年はゴールより 2m 程度離れた位置で頭上にあげて持ち、テープの下を児童が走りぬけるようにする。 ・小中学年以上は、ゴールより 3m 以上離れた位置で腰~胸の高さで持ち、ゴールを走り抜ける際に 1 人が手を離す。

短距離走のゴール位置を視覚的にわかりやすく提示する。

25、「カラフルゴールテープ」

つぶやき・・・コーナー 走る位置にラインを引いていてもまっすぐに走ることが難しい生徒へ、赤や黄色を伝えることで、その色までだいたいまっすぐ走ることができた。 ゴールの印が、ラインやコーンだけのときより、速い記録を残す児童・生徒が多かった。

赤、黄各1mのものを4つずつ交互に縫い合わせています。全長8mくらい。

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ねらい

準備物

視覚的にわかりやすいように、歌詞カードの工夫をおこなった。 各パートの歌詞を、カエルに型取った画用紙に書き、カエルの色も全て別の色にする。

実践例

各パートの歌詞カードを用意する。毎時、新しい旋律を紹介し2部合唱→3部合唱・・・というように、旋律を増やし、完成に導く。 ①ケロケロクワックワッ・・・・(最後まで) ②(ケロケロクワックワッ×2)ケロ カエル ケロ カエル・・・(最後まで) ③(ケロケロクワックワッ×2)ウン クワッ ウン クワッ・・・(最後まで) ④(ケロケロクワックワッ×4)かえるのうたが~・・・(最後まで) ⑤(ケロケロクワックワッ×4)(かえるのうたが~)かえるのうたが~・・・(最後まで)

原符は無伴奏となっているが、歌いやすいように伴奏をつける。

異なるメロディーとリズムを同時に歌うことに慣れていない生徒に、合唱の導入として使用。慣れ親しんだ楽曲を使い、簡単に合唱ができる。楽曲を簡単すぎると感じる生徒にも、同時に違うメロディーとリズムを歌うという課題があるので、比較的意欲的に取り組める。

26、「カエルのケロケロ合唱団」

つぶやき・・・コーナー 毎時、色の違うカエルが出てくることを楽しんでいる生徒が多く見られた。 参考資料 音楽之友社 「大村典子ハッピーコーラス vol . 5」 より「カエルのケロケロ合唱団」

-47-

ねらい

準備物

・花の型(型にクリアファイルを使用した。カッターで花びらの形を切り抜いておく。) ・マスキングテープ ・画用紙 ・絵の具 ・筆 ・絵皿 ・水 ・スポンジ

実践例

1.型を画用紙の上にのせ、四隅をマスキングテープで固定する。

2.水を含ませたスポンジで全体を押さえ、画用紙に水をつける。

3.水で湿らせた画用紙に絵の具を少しつけ、絵の具をにじませる。

4.型を画用紙からそっと外す。

にじみによる色の変化を生かして花の絵を描く。

27、「にじみでお花を描こう」

つぶやき・・・コーナー ・この授業を行うまでに、絵の具の混色や、絵の具による野菜のスケッチの授業を行い、

絵の具の扱い方を練習した。 ・生徒は絵の具がにじむ様子をよく観察していた。

花の型 型を使って描いた花の絵

-48-

ねらい

準備物

特にありません。

実践例

手の代わりに顔でグー、チョキ、パーを表現してじゃんけんをするゲーム。 ①グー、チョキ、パーそれぞれの顔を練習する。 ②①の時に、それぞれの顔のポイントを伝え、できているか確認する。 ③二人組みになって、顔じゃんけんをする。 ④トーナメント戦にして、優勝者を決める。 お

・楽しみながら顔全体の筋肉を動かす。 ・目、口、眉など特定の顔の部位に意識を集中させて、思い通りに動かす。

28、「顔じゃんけん」

つぶやき・・・コーナー 中学部の自立活動の授業で実践しました。楽しみながらも勝負に勝とうと一生懸命に顔の筋肉を動かす生徒が多くいました。チョキの時に眉を上げると同時に目も開いてしまい、パーとの差が感じられにくかったので、チョキでは思いきり目をつむる顔に変えてもいいかもしれないと思いました。

グー:両頬に空気を溜めて、思い切り膨らませる。 チョキ:唇をとがらせる(「う」の口形)と同時に、眉も上げる。 パー:口を大きく開く(「あ」の口形)と同時に目も大きく見開く。

グー:息が漏れないように唇をしっかり閉じる。 チョキ:眉に意識を集中させる。 パー:目をしっかり開ける。

-49-

ねらい

① この教材を使って、全体で順序数、集合数について考える。

② 教科書を使い、個別で実際にカードを操作しながら考える。

という授業の組み立てで、「なんばんめ?」に対する理解を深めました。

準備物

・ボール紙(A4サイズ 4枚をつなげ、景色で雰囲気つくりをしました)

・電車、動物のイラスト(ラミネーターをし、マジックテープを付け、操作できるように

しました)

実践例

・教師の「○○から△番目に□□さんを乗せてください」という問いを聞いて、動物を電車に

乗せる。

・実際にトンネルをくぐり、隠れている動物は何匹かを考える。 〈順序数〉 〈集合数〉

・前後、左右から何番目がわかる。

・集合数について考えることができる。

29、「なんばんめ?」

子どもたちから見る

とこんな感じです。

左右、前後から○番

目に乗せてください

中に電車をくぐら

せて隠れている動

物が何匹かを考え

ました。

-50-

ねらい

準備物

お金の模型(作り方は次ページ)

実践例

①黒板の端にお金の模型を掲示しておく。(図1)1円玉5枚で5円玉に変わることを確認す

る。

②例題を出し、示された金額になるようにボードに貼る活動に取り組ませる。(図2)また、

1円玉が5枚集まったら模型を裏返すことを生徒に伝え、実践させる。(図3)

③続いて、10円以上になるように問題を出し、例題と同様に行う。

5円のかたまりが2つできたら(図4)、上に厚紙を重ねて貼り、10円の模型を貼り付ける。

(図5)

・指定された金額を出すことができる。

・お金には様々な種類があることを知る。

・お金自体の枚数は違っても、価値が同じであることを理解する。

30、「1円・5円・10 円を活用した学習」

図1

1 1 1

1 1 1

図3

5 1 1 1 1 1

図2

例題 8円をつくろう。

1 1 1

ひっくり返す

-51-

④最後に「1円玉5枚で5円玉1枚」、「5円玉2枚で10円玉1枚」、「1円玉10枚で10円

玉1枚」になるということを確認する。

〈教材の作り方〉

①1円玉のイラストをカラーコピーし、ラミネートする。(厚みが必要な場合は、厚紙やスチレンボード等に

貼り付ける。)その裏にマジックテープをつける。

②土台になる厚紙(もしくはスチレンボード)にマジックテープとマグネットを貼る。

②の厚紙をひっくり返し、中心に5円のイラストを貼り、表面と同じように両端にマグネットを貼る。

完成

問題 12 円をつくろう。

1 1

図5

10

問題 12 円をつくろう。

1 1

図4

厚紙を貼る

マジックテープ

マジックテープ

マグネット

5えん

- 52 -

叱らず済んで、子どもにもわかりやすい言葉を集めました。

・(廊下を)走らない!→危ないから歩いていこうね。

※必ず「あっ!歩いてくれてるね、ありがとう。安心して廊下が歩けるよ。」と出

来たことをさりげなく誉める。

・(席を)立ち歩かない!→イスに座って先生の話を聞きましょう。

・ちゃんとしなさい!→口を閉じて、前を向いて話を聞きます。

・丁寧に!→ゆっくり、枠からはみ出さないように書こうね。

→黒板のチョークが残らないように消そうね。

・痛い!叩いたらダメ!→優しく肩をトントンとしようね。

・散らかさない→ここにしまおうね。いらないものはゴミ箱に捨てましょう。

・頑張らなかったら給食はなし!→頑張った方が給食がおいしいねー。

必ず約束をしてすかさず・ ・ ・ ・

誉める。

★約束どおり発言カードを用いて発言できたら…

「今日は発言カードを出して当てられてから答えられたね。」

「今日は約束の10分間座っていられたね。」

※始めは「授業中・ ・ ・

」ではなく、「10分間・ ・ ・

」等短い時間に設定すると達成出来ますね。

これがスモールステップです☝

★たとえばそうじのシーンで…

・えらいね!→ きれいに掃除してくれてありがとう。

★パニックをおこしてしまっても…

「よく我慢したねー!えらかったねー♪」

子ども達は、“悪いことをしたら叱られる”ということを十分理解しています。本当は誉めら

れたくて、子どもなりに限界まで我慢しています。大人目線であれもできない、これもできな

い!と思うと子どもはどんどん自尊心が傷つけられ、自尊感情が低下してしまいます。その子

目線でできる課題を設定すると「できた!」という成功経験が積み上げられます。

❀今すぐできる魔法の言葉❀

❀嬉しくなる魔法の誉め方❀

- 53 -

今、気になっているその子はどんな子ですか?

※きちんと?ちゃんと?

便利なようで分かりづらい言葉です…

これらはその子自身が困っていることなのかもしれません。

それは私たち周りの大人に対するSOSであり、気になる子というのは気にすべき子なので

す。

その子が何に困っているのか…その子の行動の裏に隠されている背景を知ることが必要です。

(きっとこうだろう…)と想像や予想だけで決めつけてはいけません。

ABC分析等のアセスメントを通じて正確に原因をつきとめなければ、間違った支援をして

しまいかねません。

すぐに友達と

けんか… また忘れ物して!

静かに!!

じっとしなさい!

きちんと座りなさい!

あ~ぁ、できるくせに

またさぼってる… またノート書いてな

い!やる気あるの!?

わがまま…

突然パニックをおこして

手がつけられないなぁ…

これでは叱られてばかりで

成功体験が積めませんね…

分かりたいけど学習の仕方が

わからないのです…

空気が読めて

ないなぁ…

見通しが持てないと不安にな

るのです。

冗談や皮肉、適切な距離感が理解

しづらいのです。 失礼だなぁ…

関わりづらいなぁ…

- 54 -

ABC分析

子どもの一つの行動について記録し、原因と結果から今後の手立てを考える行動分析。

・背景要因

寝不足、イライラ、家で叱られた、学習についていけない

・誘発要因

難しい課題をせまられた、強い口調で叱られた、特定の音が流れた

・結果条件

注目をあびる、欲しい物・やりたいことの入手、苦手な課題や音から逃れられる など…

MAS(Motivation Assessment Scale)

子どもの「問題となる行動」を機能分析する行動観察手法の一つ。

行動を分析する観点項目(一部)

②上記の各設問の答えの番号を「感覚」「逃避」「注目」「物や活動の要求」の(4つの機能の)

項目に分かれた票に記入し、合計、平均得点を求める。

③各機能の平均点をもとにグラフを作成する。

先行条件

(Antecedent)

・背景要因

・誘発要因

(直前のきっかけ)

行動

(Behavior)

・不適切行動

結果条件

(Consequence)

・直後の周囲の反応

・最終的な結果

記入の方法…問題となる行動について、以下の16の設問に該当する答えの番号を、下記の評定基準

の中から選んで( )に記入してください。

1. その行動は、長い時間(例えば何時間も)誰も対応せずに放っておくと、いつまでも繰り返しお

こりますか? ( )

2. その行動は、あなたが難しいことを要求すると起こりますか? ( )

3. その行動は、あなたが部屋で他の人に関わっている時に起こるようですか? ( )

0 1 2 3 4 5 6 全くない ほとんど 時々ある ある時と たいてい ほとんど いつもある

ない ない時が半々 ある いつもある

- 55 -

※参考文献「基礎からわかる特別支援教育とアセスメント」

編著:須田正信 著:小田浩伸・大谷博俊・伊丹昌一

出版:明治図書(2009)

- 56 -

その子の良い面・行動はどんなところですか?

それはその子の伸ばすべきところなのです。

個に応じた支援教育を行うためには、障がい特性を理解することはもちろん、環境の調整等を含

めてその子自身を理解する必要があります。

このところ、特性についての理解はずいぶん進んできていますが、実際には「自閉症のある子に

はこれ☝」「ADHDのある子だからこうすればよい☝」という答えはないのです。

今、手立てのヒントは身近に溢れています。

でも、その手立てはその子を理解した上で行って初めて活かされるのです。

この子はどんな子だろう…?と理解しようと見つめれば見つめるほど支援の手立てが見えてくる

はずです。

“困った子”を“困っている子”という視点で見るのと同じように、その子の行動を“こちらが困

るから改善したい”ではなく“この子の困り感を社会参加に向けてどう支援していくか”、その子の

つまずきの原因や背景を理解し、子どもの立場になって考えていくことが大切です。

目の前にいるたくさんの“困っている子”“気にすべき子”達…

今ある障がい特性の知識に+αして、「この子はどんな子だろう?」と見つめる視点を大切にしな

がら一人で抱えこむのではなく、支援学校や地域、専門機関等を含め“みんなでみんな”を支援し

ていくことができれば幸いです。

✿参考&おすすめ文献✿

題名 作者 出版

・教室で気になる子 LD、ADHD、高機能自

閉症児への手だてとヒント 黒川君江 編著 小学館

・視覚シンボルで楽々コミュニケーション 障

害時の暮らしに役立つシンボル1000

ドロップレット

・プロジェクト 編 エンパワメント研究所

・基礎からわかる特別支援教育とアセスメント 須田正信 編著 明治図書

・発達障害のある子の「行動問題」解決 ケー

ススタディ やさしく学べる応用行動分析 小笠原恵 編著 中央出版

・ソーシャルストーリーブック 書き方と文例 キャロル・グレイ 編著 かもがわ出版

・どうぶつえあわせ ぴったりカード わらべきみか ポプラ社

・10ぴきのかえるのふゆごもり 間所 ひさこ PHP研究所

反応が速い! 行動が速い! 元気がいい!

決められたこと

は最後までやり

とげられる☝

電車のことになる

とどれだけでも集

中しているなぁ…

高めよう支援教育「その子理解」に基づく「授業のユニバーサルデザイン」

~行動理解と教材活用の工夫~ 平成 27年 10月改訂版

発行元:大阪府立寝屋川支援学校

編 集:大阪府立寝屋川支援学校 支援部

住 所:〒572-0854

大阪府寝屋川市寝屋川公園2100番地

TEL:072-824-1734

FAX:072-824-3709

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