日向市未来創生人口ビジョン 中間報告(2015.6 · 「未来を支える人を育て...

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1 日向市未来創生人口ビジョン 中間報告(2015.6.12) 日向市の目指す将来像 「未来を支える人を育て 新たなものをつくりだし 元気で活力のあるまち」の実現 1.人口動向分析 (1)日向市の人口の推移 図表 1-1 は、日向市の総人口と、人口増減の要因となる自然動態人口(出生数、死亡数)及び社 会動態人口(転入数、転出数)の推移をグラフにしたものです。 日向市の総人口は、昭和 50 年代前半までは、転入数が転出数を上回る社会増と、出生数が死亡 数を上回る自然増が相まり急増していますが、その後は、転出数が転入数を上回る社会減に転じ、 それを自然増が補う形で緩やかな減少傾向が続いてきました。 しかし、平成 17 年以降、出生数と死亡数がほぼ同数となり、同 22 年からは死亡数が出生数を上 回る自然減に転じていることから、今後、人口は急激に減少する恐れがあります。高齢化の進展に より死亡数は今後も増加していくことが予想されます。 資料6

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日向市未来創生人口ビジョン 中間報告(2015.6.12)

日向市の目指す将来像

「未来を支える人を育て 新たなものをつくりだし 元気で活力のあるまち」の実現

1.人口動向分析

(1)日向市の人口の推移

図表 1-1は、日向市の総人口と、人口増減の要因となる自然動態人口(出生数、死亡数)及び社

会動態人口(転入数、転出数)の推移をグラフにしたものです。

日向市の総人口は、昭和 50 年代前半までは、転入数が転出数を上回る社会増と、出生数が死亡

数を上回る自然増が相まり急増していますが、その後は、転出数が転入数を上回る社会減に転じ、

それを自然増が補う形で緩やかな減少傾向が続いてきました。

しかし、平成 17年以降、出生数と死亡数がほぼ同数となり、同 22年からは死亡数が出生数を上

回る自然減に転じていることから、今後、人口は急激に減少する恐れがあります。高齢化の進展に

より死亡数は今後も増加していくことが予想されます。

資料6

資料6

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(2)人口構成

図表 1-2は、性別、年齢ごとの人口構成を検証するために、日向市と全国の人口ピラミッドの形

を比較したものです。

17歳以下の世代については、男女とも全国を若干上回っており、65歳以上の世代は、女性が僅

かに全国を上回っているものの大きな違いはありません。

大きな歪が見られるのは、18・19歳から 40台半ばまでの世代で、全国に比較して著しく少ない

状況となっています。日向市には、大学などの高等教育機関がないため、高校卒業後、大学等への

進学により市外に転出し、そのまま市外に就職、居住する傾向が高いのではないかと推察されます。

県内外を通して、人口の最大の流出先は宮崎市となっ

ており、1年間で 132人(転入数 332人、転出数 454

人)が流出しています。県外では、関東、近畿、中部

地方への流出が多く、宮崎県内を除く九州地方では、

福岡県が最大の流出先であり、65人(転入数 108人、

転出数 173人)が流出しています。

一方、流入先を見ると、県内では、宮崎県北市町村

からの人口の流入が見られ、県外では、福岡県、大分

県を除く九州各県と北海道、東北地方からの流入がみ

られます。

しかしながら、純移動による流入数は流出数に比べ

非常に少なく、結果的にこの1年間で 231人(転入数

1,923人、転出数 2,154人)が市外に流出している状

況です。

図表 1-2 日向市と全国の人口ピラミッドの比較

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(3)人口の移動状況

人口の移動状況を把握するために、平成 25年 10月 1日から同 26年 9月 30日までの1年間の転

入、転出の状況を分析します。図表 1-3は、転入数から転出数を差し引いた人口の純移動の状況を

地図に示したものです。

県内外を通して、人口の最大の流出先は宮崎市となっており、1年間で 132 人(転入数 332 人、

転出数 454人)が流出しています。県外では、関東、近畿、中部地方への流出が多く、宮崎県内を

除く九州地方では、福岡県が最大の流出先であり、65 人(転入数 108 人、転出数 173 人)が流出

しています。 一方、流入先を見ると、県内では、宮崎県北市町村からの人口の流入が見られ、県

外では、福岡県、大分県を除く九州各県と北海道、東北地方からの流入がみられます。

しかしながら、純移動による流入数は流出数に比べ非常に少なく、結果的にこの1年間で 231人

(転入数 1,923人、転出数 2,154人)が市外に流出している状況です。

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(4)産業別人口

図表 1-10 は男女別の産業人口及び特化係数(市のx産業の就業者比率/全国のx産業の就業者

比率)をグラフにしたものです。

男性では、「製造業」への従事者が最も多く、以下、「建設業」、「卸売業、小売業」と続きます。

女性では、「医療、福祉」が最も多く、次いで、「卸売業、小売業」、「製造業となっています。

特化係数で見ると、2を上回っているのが、男性の「漁業」及び「複合サービス事業」となって

おり、次いで、「農業、林業」、「漁業」、男性の「建設業」及び「電気・ガス・熱供給・水道業」が

高い値を示しています。一方で、男女とも「情報通信業」の特化係数が著しく低い状況となってい

ます。

図表 1-3 人口の純移動の状況

図表 1-11 男女別、年齢階級別の産業人口

図表 1-10 男女別産業人口

図表 1-11 男女別、年齢階級別の産業人口

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図 1-11は、男女別、年齢階級別の産業人口をグラフにしたものです。特化係数の高い「農業」、

「林業」及び「漁業」において従事者の高齢化が顕著に見られ、特に農業においては、男女とも従

事者の 80%近くが 50歳以上という状況になっています。

高齢化率の高い産業については、今後の高齢化の進行により、急速に就業者数が減少する可能性

が考えられるため、新規就業者の掘り起しや後継者の育成など、早急な対応が求められます。

図表 1-11 男女別、年齢階級別の産業人口

図表 1-11 男女別、年齢階級別の産業

人口

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2.将来人口推計

(1)「国立社会保障・人口問題研究所」と「日本創生会議」による推計

図表 1-12 は、「国立社会保障・人口問題研究所※1(以下「社人研」という。)」と「日本創生会

議※2(以下「創生会議」という。)」により推計された日向市の将来人口をグラフにしたものです。

社人研の推計(「日本の地域別将来推計人口」(平成 25 年 3 月推計))によると、日向市の人口は

2060年には 40,445人に減少し、65歳以上の総人口に占める割合は 38.0%に達するとされています。

更に、創生会議では、社人研の推計を上回るスピードで人口減少が進むことが推計されており、2040

年には人口が 5万人を下回るとされています。

図表 1-12 人口推計

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■国立社会保障・人口問題研究所の推計

主に 2005 年から 2010 年の人口の動向を勘案し将来の人口を推計。移動率は今後、全域的に縮

小すると仮定

①出生に関する仮定

2010 年の全国の子ども女性費(15~49 歳女性人口に対する 0~4 歳人口の比)と各市町村の子

ども女性比との比をとり、その比が 2015年以降 2060年まで一定と仮定

②死亡に関する仮定

原則として 55~59歳⇒60~64歳以下では、全国と都道府県の 2005年⇒2010年の生存率の比か

ら算出される生存率を一律に適用。60歳~64歳⇒65~69歳以上では、上述に加えて都道府県と市

町村の 2000年⇒20005年の生存率の比から算出される生存率を市町村別に適用

③移動に関する仮定

2005年~2010年の国勢調査に基づいて算出された純移動率が 2015年~2020年までに定率で 0.5

倍に縮小し、その後はその値が一定と仮定

■日本創生会議の推計

社人研推計をベースに、移動に関して異なる仮定を設定

①②出生・死亡に関する仮定

社人研推計と同じ

③移動に関する仮定

全国の移動総数が、社人研の 2010 年~2015 年の推計値から縮小せずに、2035 年~2040 年まで

概ね同水準で推移すると仮定(社人研推計に比べて純移動率(の絶対値)が大きな値となる)

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(2) 人口減少が地域の将来に与える影響の分析

図表 1-15は、上記の推計方法により求められた将来の個人市民税額及び生産年齢人口(15歳~64

歳の人口)の推移をグラフにしたものです。

平成 26(2014)年度で 22億円だった個人市民税額は、平成 52(2040)年度には 16億 4千万円と

なり、平成 26 年度から比較すると 25%程度の減少が見込まれます。更に、平成 72(2060)年度で

は、同年比較で 40%程度減少することが見込まれるなど、生産年齢人口の減少に伴い個人市民税額

が減少していくことが予想されます。

図表 1-15 個人市民税額の推計

■個人市民税額の推計方法

① 年齢階級ごとの税額を算出(下の算出式による。)

社人研推計による5歳

年齢階級ごとの推計人口 × 当該年齢階級の

課税者割合 × 当該年齢階級の

一人当たりの税額

② ①で算出された年齢階級ごとの税額を合算し将来の個人市民税額を算出

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図表 1-16は、本市の普通会計歳出(決算)の推移をグラフにしたものです。中長期的な傾向とし

て、普通建設事業費などの投資的経費は減少傾向にある一方で、経常的経費は増加傾向が続いてい

ます。

経常的経費の中でも、特に増加傾向が著しいのが社会保障費などの扶助費で、平成 25年度の扶助

費は 67億円と、平成 12年度の 35億円から比較すると2倍近く増加しています。

図表 1-16 普通会計歳出(決算)の推移

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図表 1-17 人口ピラミッドの推移(社人研推計による)

図表 1-17は、社人研の将来推計人口に基づく5歳階級ごとの年齢を人口ピラミッドで示したも

のです。年を経るごとに、高齢者の占める割合が顕著になります。

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図表 1-18 は、同じく社人研の推計に基づき、75 歳以上及び 65 歳以上の高齢者一人当たりの生

産年齢(15歳~64歳)人口を示したものです。直近の国勢調査が実施された平成 22(2010)年の

時点では、75 歳以上で 4.7 人、65 歳以上で 2.5 人程度であったものが、平成 72(2060)年には、

75 歳以上で 2 この条件下での推計人口は、2060 年時点で 43,635 人と、社人研推計(40,445 人)

を、3,000 人以上上回り、65 歳以上の高齢化率は 35.9%と、社人研推計(38.0%)から、2%程

度減少することが見込まれます(社人研推計については 12 ページ図表 1-12 を参照)。人を割り、

65歳以上でも 1.35人程度に達する見込みです。人口減少問題への対応は、市の歳出面、特に、社

会保障の面からも早急に取り組まなければならない課題と言えます。

図表 1-18 高齢者一人当たりの生産年齢人口の推移(社人研推計による)

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現在市が保有している公共施設(建物)の全てを、現在の規模で将来に亘って維持することを前

提として、今後 50年間の改修・更新費用を推計すると 1,528億円が必要になります。1年当たりに

すると約 30億円となり、これに、建物以外の道路や橋梁などのインフラ施設の改修費用等を加える

と、1年当たり約 45億円に達する見込みです。

人口の減少により、市の予算規模が縮小していくことが想定される中、市が保有する全ての施設

を現在の規模で維持・管理していくことは困難です。

少子高齢化による人口構造の変化への対応、既存の公共施設に求められる機能、市民ニーズの変

化への対応、更には生産年齢人口の減少に伴う税収の推移等を考慮した公共施設の運営、維持管理、

更新等の取組が求められます。

図表 1-22 公共施設(建物)の更新費用の推計

図表 1-23 公共施設(インフラ施設)の更新費用推計

項 目 整備所要額 1年当たり 推計期間

道路 461.8億円 11.5億円

40年間

橋りょう 104.3億円 2.6億円

上水道(簡易水道含む) 369.5億円 9.2億円

下水道(公共下水道・農業集落排水) 264.6億円 6.6億円

合 計 1,200.2億円 29.9億円

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① 合計特殊出生率と出生数の推移

図表 1-24のグラフは、宮崎県と全国の合計特殊出生率※1と宮崎県の出生数の推移を示したもの

です。

宮崎県全体の合計特殊出生率は、全国を上回る形で推移しており、いずれも 2005 年に最低を記

録し近年では上昇傾向が続いています。2013年の合計特殊出生率は、全国が 1.43で、宮崎県は 1.72

と、都道府県で見ると1位の沖縄県 1.94に次ぐ第2位となっています。

本市の合計特殊出生率は、2013年で 1.79と、宮崎県全体を上回っている状況ですが、現在の我

が国における人口置換水準※2は概ね 2.07とされており、将来の人口減少を抑制していくためには、

合計特殊出生率の更なる向上が求められます。

出生動向基本調査(独身者調査) 出生動向基本調査(夫婦調査)

結婚意思

あり

(男性)

結婚意思

あり

(女性)

平均希望

子ども数

(男性)

平均希望

子ども数

(女性)

平均理想

子ども数

平均予定

子ども数

完結出生

児数

全国 86.3% 89.4% 2.04 2.12 2.42 2.07 1.96

北海道 85.2% 84.1% 2.03 2.07 2.33 1.97 1.81

東北 84.4% 89.8% 2.11 2.21 2.53 2.19 2.11

関東 85.6% 90.2% 2.02 2.07 2.33 1.97 1.84

中部・北陸 85.2% 88.8% 2.01 2.09 2.43 2.07 1.97

近畿 87.1% 89.0% 2.02 2.08 2.35 2.02 1.86

中国・四国 87.4% 92.0% 2.10 2.20 2.49 2.18 2.14

九州・沖縄 89.3% 87.9% 2.11 2.26 2.65 2.33 2.16

図表 1-24 合計特殊出生率と出生数の推移

図表 1-26 出生動向基本調査

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3.将来人口の独自推計

県が策定した『みやざき創生人口ビジョン』(仮)では、2060年の目指す姿として「人口減少に

対応した社会・経済システムの転換と「新しいゆたかさ」の実現」を掲げており、合計特殊出生率

が 2.07 に上昇し、29 歳以下の流出を 30%抑制した場合に、県内の人口が 80 万人を超えると予想

しております。

合計特殊出生率、人口移動ともに県の目標値を採用した場合の3年齢区分の人口の推移を図

表 1-31に示します。

■推計の条件

合計特殊出生率 2030年に 2.07まで上昇し、その後維持する。

人口移動 29歳以下の転出超過を段階的に 30%抑制する。

この条件下での推計人口は、2060年時点で 43,635人と、社人研推計(40,445人)を、3,000人

以上上回り、65歳以上の高齢化率は 35.9%と、社人研推計(38.0%)から、2%程度減少すること

が見込まれます(社人研推計については 12ページ図表 1-12を参照)。

図表 1-31 将来人口独自推計(3年齢区分)

4.人口の将来展望 ※現在、検討中