わが国の家禽におけるh5n1亜型高病原性鳥インフルエンザ …以降,...

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わが国の家禽におけるH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザ の発生事例記録 誌名 誌名 鶏病研究会報 ISSN ISSN 0285709X 著者 著者 鶏病研究会, 巻/号 巻/号 51巻2号 掲載ページ 掲載ページ p. 67-80 発行年月 発行年月 2015年8月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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  • わが国の家禽におけるH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザの発生事例記録

    誌名誌名 鶏病研究会報

    ISSNISSN 0285709X

    著者著者 鶏病研究会,

    巻/号巻/号 51巻2号

    掲載ページ掲載ページ p. 67-80

    発行年月発行年月 2015年8月

    農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

  • 〈解説 〉

    わが国の家禽における H5Nl亜型高病原性

    烏インフルエンザの発生事例記録

    鶏病研究会

    干 305-0856茨城県つくば市観音台 1-21-3サンビレッジ川村 C-101

    キーワード:高病原性鳥インフルエンザ (HPAI) H5Nl ~型,家禽,発生記録

    はじめに

    2003年以降,アジアを中心に H5N1血清亜型の高病原

    性烏インフルエンザ (HPAI)ウイルスの流行が続いてい

    る。本ウイルスの感染により,これまで世界中で億単位の

    家禽・野鳥の死亡淘汰という事態を招き,また, 400人以

    上の人の感染死を起こすなど,家畜衛生のみならず公衆衛

    生上その対策は重要な課題となっている。わが国でも

    却04年に 79年ぶりに本ウイルスによる HPAIが山口県の

    養鶏場で確認された2)。以降, HPAIの発生が数回わが国

    で確認されてきており, 2014年から 2015年にかけては

    H5N8血清亜型 HPAIウイルスによる発生が熊本県や宮崎

    県等で確認された。本記録は, 2011年までわが国で確認

    された H5N1亜型ウイルスによる HPAI発生事例につい

    て疫学的にその情報を整理することで,今後の HPAI対

    策強化に資するものである。

    l. 2004年の発生

    1) 山口県における発生

    山口県阿東町の採卵鶏農場(飼養羽数34,640羽)にお

    いて, 2003年 12月28日に 1号鶏舎(約 6,000羽飼養)の

    2カ所ある入口のうち農場内の中央通路側にある入口の窓

    側付近2ヶ所で, 8羽の死亡鶏が確認された。それ以前は,

    多くとも 1日あたり 3羽程度の死亡であった。その後,死

    亡鶏が増加し他の鶏舎にも広がって行ったことから, 12

    月30日に当該農場は,管轄の家畜保健衛生所(家保)に

    病性鑑定の実施を依頼した。家保の剖検では,消化不良,

    血便,卵巣の異常,盲腸の出血等が確認されたことから,

    ニューカッスル病 (ND),伝染性気管支炎 (IB),コクシ

    ジウム症を疑い,これらに対する PCR・虫卵検査を実施

    したが陰性であった。 2004年 1月5日になっても死亡羽

    数が減らなかったので,大腸菌症を疑い抗生物質投薬を関

    2015年6月8日受付この解説は,鶏病研究会専門委員会で検討されたものである。担当委員:真瀬昌司,渡遼理,細川みえ,巽俊彰,片山雅一,坂井利夫

    鶏病研報51巻2号, 67-80 (2015)

    67

    始したがその後も死亡鶏が増加し続けたため, 1月9日,

    再度,家保の立ち入り検査が行われた。病性鑑定材料につ

    いてウイルス分離検査を実施したところ,鳥インフルエン

    ザウイルスを疑うウイルスが認められたことから, 1月11

    日,県畜産課にこの旨を報告し同課は農林水産省に

    HPAIの発生を疑う旨の報告を行った。山口県は検査材料

    を独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛

    生研究所(動物衛生研究所)に搬入し,同研究所において

    病性鑑定を行ったところ, 1月12日, H5亜型の A型イ

    ンフルエンザウイルスの感染が確認されたため,当該鶏は

    HPAIの患畜と確定された。 1月13日には,検出された

    HPAIウイルスは,血清亜型がH5N1亜型であることが確

    認された。本農場における発症鶏群の死亡羽数の推移を図

    lに示した。国内では 79年ぶりの発生であり,他の疾病

    を疑って対処したため HPAIの典型的な死亡羽数の推移

    を示したと思われるが, HPAIの感染鶏群を放置した場合,

    このような死亡羽数の推移をとるものと考えられる2)。

    2004年の HPAI発生の概要についてはまとめて表1に示

    した。

    2) 大分県における発生

    大分県九重町の愛玩鶏飼養者宅(飼養羽数チャボ 13羽,

    アヒル 1羽)において, 2004年2月14日,チャボ3羽が

    死亡したため,飼養者は町役場を通じて管轄家保に通報し

    た。通報を受けて,家保は立入検査を行い,死亡したチャ

    ボ、2羽を持ち帰って剖検およびウイルス分離検査を開始

    し, 2月16日朝,新たに 4羽が死亡したとの連絡が飼養

    者からあったため,再度立入検査を実施した。同日夕方,

    14日に持ち帰った検体から烏インフルエンザウイルスを

    疑うウイルスが分離されたため,管轄家保は県畜産課にこ

    の旨を報告し,同課は農林水産省に HPAIの発生を疑う

    旨の報告を行った。当該飼養者宅の残りのチャボ6羽,ア

    ヒル 1羽は,飼養者の同意を得た上で自衛殺処分した。翌

    17日,大分県は検査材料を動物衛生研究所に搬入,同研

    究所において死亡鶏の病性鑑定を行ったところ, H5亜型

    のA型インフルエンザ、ウイルスの感染が確認されたため,

    HPAIの患畜と確定された。当該ウイルスは 19日, H5N1

  • 鶏病研究会報

    2500

    1500

    1000

    500

    。、28、29、30'31、1、2、3、4、5、6'7‘8、9、10、11

    2003年12月 2004年1月

    図1. 山口県の HPAI囲内初発農場における死亡羽数の推移

    亜型と判明した(表 1)。

    大分県における HPAIの発生は,小規模鶏飼育者にお

    ける発生であったが, 2番目の発生でもあり,防疫措置と

    して半径5kmの移動制限と半径30kmの搬出制限が実施

    された。それにより, 1,000羽以上の大規模養鶏場51戸と

    1,000羽以下の小規模養鶏場 113戸が制限の対象となった。

    本発生を契機に,愛玩鶏の飼育者(小規模鶏飼育者)に対

    しでも,養鶏場の家禽に準じた適切な指導が求められ,そ

    の飼育の実態の把握と HPAI発生防止対策の徹底が急務となった2)。

    3) 京都府における 1例目の発生

    2004年2月17日,京都府丹波町の採卵鶏農場(飼養羽

    数225,000羽)において, 8号鶏舎(約 30,000羽収容)の

    死亡鶏が増加,数日中にほぼすべての鶏舎に感染が拡大し

    た。この間,飼養者から家保への通報はなされなかったが,

    2月27日未明,家保は,当該農場で大量の死亡鶏が発生

    している旨の匿名電話を受け,立入検査を実施した。この

    結果,大量の死亡鶏が確認され,市販キットによる簡易抗

    原検出(簡易検査)で陽性反応が得られたことから,府畜

    産課は農林水産省に HPAIを疑う旨の連絡を行った。そ

    の後,京都府は検査材料を動物衛生研究所に搬入し,同研

    究所において死亡鶏等の病性鑑定を行ったところ, 2月29

    日, H5亜型の A型インフルエンザウイルスの感染が確認

    されたため,当該鶏は HPAIの患畜と確定された。当該

    ウイルスは, 3月1日, H5N1亜型であることが判明した。

    また,当農場から出荷された鶏は,搬入先の兵庫県の食烏

    処理場でも感染が確認された。当該処理場では,当農場の

    感染鶏の一部 (16羽)が脱走し残っていたため,翌日処

    理するために搬入されていた岡山県からの搬入鶏 6,700羽

    に感染した。その処理場の食鳥処理残誼は,香川県の化成

    処理場に送られており,その残誼からも H5N1亜型ウイル

    スが分離された(表 1)。

    本発生における通報の遅れ,大量死発生後も鶏卵・鶏の

    出荷がなされていたことなど,的確な対応とは言い難い感

    染例が確認されたことから,通報義務違反に対する罰則の

    強化,移動制限命令に協力した養鶏農家に対する助成措置

    の制度化等を内容とする家畜伝染病予防法の改正がなされ

    た。

    4) 京都府における 2例目の発生

    わが国における 3例目となる京都府の発生農場から北東

    へ4km離れた京都府内のブロイラ}農場(飼養羽数

    15,000羽)において, 3月3日に死亡鶏が急増したため,

    当該農場の管理者は家保に通報した。家保が直ちに農場の

    立入検査を行い,当該農場の死亡鶏について,簡易検査を

    実施したところ,陽性反応が得られたことから,府畜産課

    は農林水産省に対し HPAIの感染を疑う旨の連絡を行っ

    た。その後,家保が実施したウイルス分離でHPAIを疑

    う結果が得られたため, 3月5日,京都府は死亡鶏等の検

    査材料を動物衛生研究所に搬入し病性鑑定を実施した。

    この結果,分離されたウイルスは H5亜型の A型インフ

    ルエンザウイルスであることが確認されたため,当該鶏は

    HPAIの患畜と確定された。当該ウイルスは 3月8日

    H5N1亜型であることが判明した(表1)。

    5) 2004年に分離されたウイルスの性状

    2004年に分離されたウイルスは,全て H5N1亜型の高

    病原性であった。動物衛生研究所で実施したウイルスの遺

    伝子解析では,全ての発生は遺伝学的に非常に近縁のウイ

    ルスによるもので, 2003年に韓国で流行していたウイル

    スとも近縁であった(図 2)2)。

    6) 2004年に発生した HPAIの感染経路究明報告

    3府県4カ所の発生場所の飼養規模,飼育方法は大きく

    異なっており,相互に関連は認められなかった。囲内で分

    離されたウイルス株は,同一起源の非常に強い病原性の株

    であったが,比較的近い時期に分化した異なったウイルス

    株であり, 3府県の発生はそれぞれ別の感染源による独立

    した発生と考えられた。これらのウイルスは,圏内に浸潤

    していた低病原性のウイルスが,高病原性に変異したとは

    考えにくく,また海外から人や物を介して農場に持ち込ま

    れたとも考えにくく,朝鮮半島から渡り鳥によって持ち込

    まれた可能性が考えられた。鶏舎への侵入は,カモなどの

    渡り鳥の糞が感染源となり,付近に生息する留鳥,ネズミ

    等の動物や人などの媒介により持ち込まれた可能性が考え

    られた。ネズミ等の体表等にウイルスが付着し,鶏舎内に

    ウイルスを持ち込んだ可能性や,ハエなどの見虫が鶏舎周

    辺のウイルスを体に付着させて鶏舎内へ運んだ可能'性が考

    えられた2)。

    2. 2007年の発生

    1) 宮崎県清武町における発生

    宮崎県清武町のブロイラ一種鶏農場(飼養羽数12,000羽)

    において, 1月上旬より一部の鶏舎において,死亡羽数の

    - 68-

  • 増加,顔面腫脹などの臨床症状が確認されたため,管理獣

    医師に往診依頼したところ,インフルエンザ、ウイルス簡易

    検査の結果は陰性であった。しかしながら,その後も死亡

    羽数が増加したことから,再度簡易検査を実施したところ

    陽性となったため,家保において,ウイルス分離を実施し

    た。 1月12日,烏インフルエンザウイルスを疑うウイル

    スが分離されたため,動物衛生研究所においてウイルスの

    同定検査を実施したところ, 1月13日,当該ウイルスは

    H5亜型であることが確認された。死亡鶏は,鶏舎内全域

    に偏り無く存在し,最初の感染鶏の場所を特定することは

    できなかった。また,発生当初は雌より雄の死亡が多かっ

    た3)。写真 1は,発生鶏群の殺処分前日の状態で, HPAI

    発症鶏群の終末状態を示している。ほとんどの鶏が死亡し

    ており,生存しているもの晴眠,沈うつ状態で肉冠や肉垂

    は重度のチアノーゼを示している(写真 2)02007年の

    HPAI発生の概要についてもまとめて表1に示した。

    2) 宮崎県日向市における発生

    宮崎県日向市のブロイラー農場(飼養羽数53,000羽)

    において, 1月22日,鶏舎の中央部にて死亡鶏の急な増

    加が認められたため,管理獣医師は簡易検査を行った。そ

    の検査はすべて陰性であったが,管理獣医師から家保へ状

    況報告を行い,翌 1月23日,家保および管理獣医師が農

    場へ立ち入札病性鑑定を実施した。 1月23日の死亡鶏

    は326羽に増加し,簡易検査で陽性が認められた。同日,

    農場の隔離や農場内および鶏舎周囲の消毒・石灰散布を実

    施した。 1月25日,動物衛生研究所にて, H5亜型の烏イ

    ンフルエンザ、ウイルスの感染を確認した(表 1)3)。

    3) 岡山県高梁市における発生

    岡山県高梁市の採卵鶏農場(飼養羽数 12,000羽)にお

    いて, 1月22日,一部の鶏舎において同一ケージの 2羽

    の死亡が発見された。 1月27日, 2羽の死亡した位置に近

    い場所でさらに 15羽の死亡が確認されたため,農場主が

    家保に通報,同日家保は臨床検査および採材を実施した。

    発症鶏は,鶏舎入口より左奥の一角のみに限定しており,

    数羽に噌眠,沈うつ,羽毛逆立を認めた。インフルエンザ

    ウイルス簡易検査の結果が陽性であったため,農場の隔離

    と鶏および物品の移動自粛を要請し,翌 1月28日,農場

    内および鶏舎周囲,発生鶏舎内の消毒・石灰散布を実施し

    た。また HPAIの確定に先立ち, r家きん疾病小委員会」の検討を踏まえ,半径 10km以内の周辺農場について家

    禽卵出荷監視検査を実施した。 1月29日,動物衛生研究

    所にて H5亜型の A型インフルエンザウイルスの感染を

    確認した。 1月30日の殺処分開始時に採材を行い,抗体

    検査およびウイルス分離検査を実施したが,入口側左奥で

    採材した検体でのみウイルスが分離されたことから,本例

    では感染が限局していることも確認できた(表 1)3)。

    4) 宮崎県新富町における発生

    宮崎県新宮町の採卵鶏農場(飼養羽数93,000羽)にお

    第 51巻 2015 年

    いて, 1月30日,鶏舎の南西部の一角で鶏が集中して死

    亡しているのが発見された。前日まで全く異常がなかった。

    発生鶏群の臨床症状は軽度で,一部の死亡鶏の肉冠に極軽

    度のチアノーゼが認められ,数羽の鶏で噌眠が確認された

    程度であった(写真 3)。家保のインフルエンザウイルス

    簡易検査の結果は陽性で,同日,ウイルス分離を開始した。

    2月1日,動物衛生研究所において H5亜型の A型インフ

    ルエンザウイルスの感染を確認した(表1)3)。

    5) 分離されたウイルスの性状

    宮崎県と岡山県で分離された H5N1亜型ウイルスは全て

    高病原性であった。動物衛生研究所で実施したウイルスの

    遺伝子解析では, 2007年の全ての HPAI発生は遺伝学的

    に非常に近縁のウイルスによるもので, 2005年に中国の

    青海湖の野鳥から分離されたウイルスの系統であった。こ

    の系統のウイルスは 2005年以降,モンゴル,ロシア,欧州,

    アフリカ,韓国等で野鳥または家禽から分離されている。

    わが国では宮崎県の発生に先立つ 1月4日に熊本県で衰弱

    死したクマタカから,遺伝的に極めて近縁な HPAIウイ

    ルスが3月18日に確認されている。(図 2)3,11)。

    6) 2007年に発生した HPAIの感染経路究明報告

    宮崎県の 3例の農場は,直線距離にして 30kmずつ離

    れており,また,人や物等による農場開の接点はなく, 3

    例の発生は各々単独で、発生したものと考えられた。また,

    3例の所有者,従業員等の最近の海外渡航歴は無く,所有

    者等による海外からのウイルス持ち込みも否定された。 l

    例目農場は,畑と住居または家屋に固まれ, 2例目農場は

    山間地域にあり,スズメやカラス等の陸生鳥類の飛来は認

    められたが,水禽類が生息しやすい場所とは言い難い環境

    であった。 3例目の農場付近には水禽類が渡ってくる農業

    用ため池があった。 3例とも飼料や給水による感染の可能

    性は低く,入り口からかなり離れた場所で鶏死亡羽数の増

    加が認められたことから,人や物によるウイルスの持ち込

    みの可能性も低かった。1.2例目では,野鳥の侵入はなかっ

    たが,ネズミの存在が頻繁に確認されており, 3例目では

    野鳥の侵入が確認されていた。これらの理由により,渡り

    鳥によって中国大陸あるいは朝鮮半島から囲内に HPAI

    ウイルスが持ち込まれ,野鳥やネズミ等の野生動物によっ

    て鶏舎内にウイルスが侵入した可能性が考えられた3)。

    3. 2010~11 年における発生

    1) 発生の概要

    2010年 11月29日に島根県で HPAIが発生し,その後,

    2011年 1月22日以降,宮崎県 (13農場),鹿児島県(1

    農場),愛知県 (2農場),大分県 (1農場),和歌山県 (1

    農場),三重県 (2農場),奈良県 (1農場)および千葉県 (2

    農場)で相次いでHPAIが発生した。合計9県 24農場の

    発生となり,約 180万羽の家禽が殺処分の対象となった。

    これらの発生状況を表2に示したが,ほとんどの事例が死

    - 69-

  • 鶏病研究会報

    表1. 2004年および2007年の H5Nl亜型の高病原性鳥インフ

    年度 2004

    発生府県 山口 大分 尽都

    発生市町 阿武郡阿東町 玖珠郡九重町 船井郡丹波町

    鶏種 採卵鶏 愛玩鶏 採卵鶏

    飼養羽数 羽 34.640 14 225.3251

    防疫措置 発生日 (HPAI確定または疑似患畜確定) (月日) 1112 2/17 2/281

    農場防疫措置完了(月日) 1121 2/18 3/22

    農場の防疫処理に要した日数(日) 9 23

    患畜・疑似患畜の処理方法 埋却 埋却 埋却(焼却)

    鶏舎構造 開放・低床 鶏小屋 開放・高床

    給水(消毒の実施) 井戸 池・井戸(未) 池(未)

    死亡羽数の推移 5目前 159

    4目前 必4

    3日前 419

    2目前 839

    前日 1238 >10000

    検査当日 2345 3

    死亡鶏発見場所等 大腸菌症を疑う。チャボ 3羽死亡. 1 1.000羽以上の鶏が羽顔面腫張 毎日死亡(通報)

    市販キットによるA型インフルエンザ抗原検出状況

    簡易検査

    臨床症状 急死 。死亡羽数増加 。沈うつ(噌眠) 。 。斜頚および頭部の痘掌

    顔面および飛節の浮腫 。鶏冠・肉垂のチアノーゼ 。鼻出血

    緑便および総排池腔退色

    その他(羽毛逆立等) 0クロアカ暗赤色

    解剖所見 脳:充血

    喉頭・気管充血と粘膜の出血 。肺:充血・水腫 。勝臓..壊死巣(白斑)を伴う退色 0白色化

    心臓・牌臓・肝臓.充血

    肝臓:壊死(白色結節)形成を伴う退色

    牌臓:壊死(白色結節)形成

    骨格筋充血(出血) 0点状出血

    腎臓:充血・腫大 。胸腺.充血・点状出血および萎縮

    腸および腸管膜.充血 。頭部および胸部の皮下:水腫 。その他(臓器の脆弱化,卵胞融解等) ミューラー管遺残 盲腸.F嚢出血 0肝,牌,腎脆弱

    組織所見脳・充血,グリオーシス(巣状壊死).囲管性細胞浸潤,神経細胞。 。 。の変性,神経食現象

    心臓 充血,出血,筋線維の変性壊死 6

    気管充血,粘液線の過形成,粘膜下組J織の水腫および線毛消失 。肺:充血・水腹,出血,脈管炎,単核細胞浸潤 。肝臓:充血,巣状壊死,血管周囲への単核細胞浸潤,急性細胞膨。 。化クッパー細胞の増殖

    牌臓:充血,巣状壊死.I1制包細胞の減数(消失).細網内皮細胞の 。 。 。肥大および、マクロファージ浸潤

    腎臓:充血,出血,急性の糸球体細胞の膨化,尿細管の壊死 。 。胸腺;充血,胸腺細胞の消失,マクロファージ、の浸潤

    骨格筋・充血(出血).筋芽細胞増殖,硝子様変性 。肉冠.うっ血,壊死 。勝臓:充血および腺房の壊死 。

    免疫組織検査 A型インフルエンザ抗原陽性 。 N.T. N.T 出典 N akatani et al. 畜産技術協会 種子回ら

    *臨床症状,解剖所見,組織所見の調査項目は. Gowthamanらの報告 (2010)を改変した。

    - 70

  • 第 51巻 2015 年

    ルエンザの発生状況,臨床症状,解剖所見および病理組織所見

    2004年2007

    2007年集計 集計

    兵庫 尽都 宮崎① 宮崎② 岡山 宮崎③

    多可郡八千代町 船井郡丹波町 宮崎郡清武町 日向市 高梁市 児湯郡新富町

    採卵鶏 プロイフー ブロイフ一種鶏 ブロイラー 採卵鶏 採卵鶏

    6.800 14.996 12.000 53.000 12.000 93.000

    2/29 3/4 1/13 1/25 1/29 2/1

    3/6 3/11 1/16 1/30 217 217

    6 7 3 5 9 6

    焼却 埋却(焼却) 焼却 埋却 焼却 埋却

    処理場 開放・平飼い 開放・平飼い セミウインドウレス 開放・低床 開放・高床

    井戸(未実施) 水道水 沢(消毒) 地下水(消毒) 井戸(未)

    4 。 21 20 2 18 2 37

    3 18 15 28

    4 246 12 17 38

    21 500 250 24 23

    尽都の出荷処理場。 死亡 20羽,家保に 3鶏舎中 1鶏舎で死 5鶏舎中 1鶏舎で死 死亡する鶏が多いと 鶏舎の一角で死亡羽処理予定鶏に感染 検査依頼 亡羽数増加 亡羽数増加 の連絡受ける 数増加

    陽性 (20/25) 陽性 陽性 (15/20) 陽性 (5/11) 陽性 (717) 陽性 (7/13)

    。 215 。 。 2/4 1/5 。 。 。 3/4 。 。 4/5 。 。 。 。 4/4 0/5 0/4

    1/5 。 。 2/4 1/5 。 。 。 。 4/4 0/5 0/4

    0/5 0/4

    0羽毛逆立

    N.T. 0/4 0/4

    N.T. 1/4 0/4

    N.T. 1/4 。 1/4 N.T. 1/4 0/4

    N.T. 0/4 0/4

    N.T. 0/4 0/4

    N.T. 0/4 0/4

    N.T. 1/4 。 L::, 2/4 N.T. 1/4 0/4

    N.T. 0/4 0/4

    N.T. 1/4 0/4

    N.T. 1/4 。 。 ム 3/4 卵墜 N.T.

    。 N.T. 4/4 。 。 。 。 4/4 N.T. 1/4 0/4

    N.T. 1/4 0/4 。 N.T. 2/4 。 1/4 。 N.T. 3/4 。 1/4

    N.T. 3/4 。 1/4 N.T. 2/4 0/4

    N.T. 0/4 N.T. 0/4

    N.T. 1/4 。 N.T. L::, 2/3 N.T目 1/4 。 。 N.T. L::, 3/3

    L::, N.T 2/4 。 114 。 N.T 2/2 。 。 N.T. 。 3/3 兵庫県業発 種子田ら 丸田ら 丸田ら 岡山県業発 丸田ら

    -71一

  • 鶏病研究会報

    写真 1. 2007年の宮崎県清武町の発生農家における発症鶏群 (2号鶏舎)の殺処分前日の状態。

    ほとんどの鶏が艶死している。宮崎県提供

    写真 2. 2007年の宮崎県清武町の発症鶏。肉冠,肉垂のチアノーゼ(暗赤色化),顔面の腫脹,

    沈うつ J稽眠 (昏睡),呼吸器症状,銘死な

    どが認められた。挿入図は,沈うつ状態を示

    す。宮崎県提供

    亡羽数の増加によって通報され,病性鑑定が行われている。

    また,全般に発生時の各県の防疫対応も迅速かつ的確に

    なってきており,ほとんどの例で疑似患畜確定後 2-3日

    (14農場が72時間以内),長くても 11日間までに防疫措置が完了している4.5)。

    2) 分離されたウイルスの性状

    2010-2011年に分離された H5N1亜型ウイルスは全て

    高病原性であり,遺伝子解析の結果,全ての HPAI発生

    は遺伝学的に非常に近縁のウイルスによるものであった。

    (図 2)

    島根県分離株は, HA遺伝子全長の塩基配列の系統樹解

    析では,OIE-FAO鳥インフルエンザネットワークの基準

    による HAの分類法に基づくクレード 2.3.2に属すること

    が明らかになった。2008年に北海道,東北地方のハクチョ

    写真 3. 2007年の宮崎県新富町の発症鶏。死亡鶏の近くでH香眠状態の鶏が認められた。発症鶏の

    脚部には出血等の症状は認めなかった。(採

    卵鶏 500日齢)宮崎県提供

    ウから分離された Whooperswan/ Akita/1/08, Whooper

    swan/ Aomori/l/08, Whooper swan/ Aomori/2/08,

    Whooper swan/Hokkaido/1/08およびWhooperswan/

    Hokkaido/2/08が同じクレード 2.3.2に属することが明ら

    かになっており ,クレード 2.3.2に属する株は,近年多様

    に進化していることが示されている。塩基配列レベルでの

    Ck/Shimane/1/2010とWhooperswan/ Akita/1/08との相

    向性は 97%であった。一方で, Ck/Shimane/1/2010と2010

    年5月のモンゴルの白鳥から分離された Whooperswan/

    Mongolia/21/10との相同性は 99%であった。Ck/Shimane/

    1/2010は,2009年から 2010年にモンゴルや中央ロシアの

    野鳥から分離された同系統のウイルス (Whooperswan/

    Mongolia/4/09, Whooper swan/Mongoloia/21/10等) と

    より近縁である一方, 2008年から 2009年に香港の野鳥か

    ら分離された同系統のウイルス (GreategretlHong Kong/

    807/08, Feral pigeon/HongKong/3409/09等)および2008

    年に秋田県等で分離されたウイルス (Whooperswan/ Akital

    1/08等)とは,系統樹上で明確に区別された4.5.7.10)。

    3) 201O~2011 年に発生した HPAI の感染経路究明報告

    今回の発生において,圏内の広い地域でウイルスが検出

    された理由として,①早期にウイルスが持ち込まれた結果,

    留鳥等により冬季の聞に圏内でウイルスが拡散した可能性

    があること, ②複数のルートで日本にウイルスが持ち込ま

    れた可能性があること, ③寒波により移動してきた野鳥の

    数が例年より増加した可能性があることなどが指摘されて

    いる。2010年 10月にはすでに北海道稚内市で水禽類の糞

    から HPAIウイルスが分離されていた。複数のルートに

    より持ち込まれた H5N1亜型の HPAIウイルスが冬の問

    に広範囲に拡散し多くの野鳥に感染した結果,各地での

    死亡事例や家禽における HPAIの多発に至ったと考えら

    -72-

  • 0.010 0

    DklHunan/l4912005 . DkfHunanll39厄005

    Gu田 gxVl12005

    AnhuVl/2006 .DklGuiy叩 gl324212005CklGuiy田 gl305512005

    2010ー11年分離株Clade2.3.2.1

    第 51巻 2015 年

    IndonesiaJ546H12006 IndonesiaJCDC625L12006

    図 2. HA遺伝子に基づいた分子系統樹

    れた。また,発生農場では,実際に小型野鳥が鶏舎内で確

    認され (2農場),防烏ネットの破損や鶏舎の隙間 (8農場)

    が確認されたこと,ウインドウレス鶏舎が5農場あったも

    のの 24農場全てにおいてネズミ類等が確認されたことか

    ら,鶏舎への侵入経路のーっとしては野鳥以外に野生動物

    を介した経路が考えられた。また,今回の 24農場の発生

    では, 7農場の近隣に湖,川,ため池があり,未消毒の表

    層水(池,川,湖の水)を飲用水に用いていた農場 (8農場)

    もあった。また,長靴等の交換や消毒に不備があった農場

    (6農場)や不特定多数の車両が進入していた農場や畜産

    関係車両の消毒の不備があった農場 (2農場)もあり,車

    両によるウイルスの伝播の可能性も否定できなかった。こ

    れらのことから, 2010-11年は,広範囲の野外環境で

    H5N1亜型の HPAIウイルスによる汚染があり,野外環境

    のウイルスを人や野鳥,衛生動物などが鶏舎に運んだ可能

    性が考えられた4.5)。

    4) 宮崎県で多発した理由

    2010-2011年においては,宮崎県の 13戸の鶏飼養農場

    でHPAIの発生が確認された。他県での発生は 2農場以

    下にとどまっており,比較すると宮崎県での発生件数は多

    い。宮崎県では野鳥での感染確認事例も多く,県の広域で

    7羽の感染が確認されている。隣県鹿児島県では l農場の

    発生にとどまった。宮崎県でHPAIが多発した理由のひ

    とつとして,同県ではカモ類の生息数が比較的多いことが

    指摘されている。特に,宮崎県の中央部ではカモ類のうち,

    日本や韓国でウイルスの分離例が多いオシドリの生息確認

    数が多いという特徴がある。野鳥の確認数は調査場所や調

    査時の状況によって変化するため単純に比較することは難

    しいが,多くの鶏飼養農場が岡県に存在することと併せて,

    このようなオシドリを含むカモ類の分布が宮崎県で 13農

    場もの発生があったことと関連している可能性がある。

    また,野鳥の HPAI感染確認場所も宮崎県の広域に及

    んでいる。その中で,感染した野鳥を捕食して感染したと

    推定されるハヤブサでの感染確認事例も 3例と多く,宮崎

    県の広い地域で野鳥がウイルスに感染していたことが示唆

    される。これらのことから,多くの家禽飼養農場がある宮

    崎県および鹿児島県のうち,宮崎県で、の発生が多かった要

    因としては,広い範囲で野鳥が感染していたことも関連し

    73 -

  • 鶏病研究会報

    表 2. 2010-2011年の H5Nl亜型の高病原性烏インフルエ

    年度 2010 2011

    発生府県 島根 宮崎 1 宮崎2 鹿児島 愛知 1 宮崎3 宮崎4 宮崎 5 宮崎6 宮崎7 大分

    発生市町安来市

    宮崎市佐 児湯郡新出水市 豊橋市

    児湯郡都 児湯郡川 延岡市北 児湯郡局 宮崎市高大分市

    土原町 富町 農町 南町 川町 鍋町 岡町

    鶏種ブロイ ブロイ ブロイ ブロイ

    採卵鶏 種鶏 採卵鶏 採卵鶏 採卵鶏フー フー

    種鶏フー ブー

    採卵鶏

    飼養羽数 jjjj 21.500 10.300 67.200 8.500 142.200 19.500 91.300 7.000 39.500 169.100 8.000

    防疫措置 発生日 (HPAI確定または疑似患畜確 11/29 1122 1/23 1126 1/27 1/27 1/28 1129 1/31 2/1 2/2 定) (月日)

    農場防疫措置完了12/5 1124 2/2 1/26 2/3 1129 1131 1130 2/1 2/4 2/5

    (月日)

    農場の防疫処理に6 2 10 。 7 2 3 I 1 3 3

    要した日数(日)

    患畜・疑似患畜の焼却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却

    処理方法

    鶏舎構造開放・高 開放・平 開放・高 開放・低

    ウインド開放・平 開放・平 開放・平 開放・平 開放・平 開放・高

    床 飼い 床 床ウレス・

    飼い 飼い 飼い 飼い 飼い 床高床

    給水(消毒井戸 湧き水 井戸

    の実施) 地下水 山水(未)水道水 井戸(未)(消毒)

    水道水 地下水(未) (消毒)

    井戸(未) 川(未)

    死亡羽数 5目前 23 46 8 37 の推移 4目前 。 。 21 29 。-1 10 23

    3目前 1 2 35 31 。-1 15 14 2目前 5 。 。 40 54 0-1 24 15 前日 24 2 120 300 151 。-1 50 55 30 検査当日

    5 12 20 120 186 423 6 97 191 60

    死亡鶏発午前 24 3 jj~. 5 死亡羽数 死亡羽数 3号舎で

    産卵率低見場所等 朝. 5羽

    羽,午後羽とかた

    増加,寒 死亡羽数 増加,出死亡数が 通常より 死亡羽数 40羽. 18 下,かた

    の死亡を まって死 さらに増 死亡羽数 が前日の 号舎で, まって死確認

    12羽の死亡。死亡

    冷ストレ 増加 荷鶏も死力日 増加 2倍 前日 160 亡羽数増

    亡を確認増加

    スを疑う 亡増加jj~ 力H

    市販キッ A型インフルエン陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性

    トによる ザ抗原検出状況

    簡易検査(3/5) (617) (5/6) (8/9) (4/5) (13/19) (5/5) (9/10) (4/5) (617) (8111)

    臨床症状 急死 。 。死亡羽数増加 。 。 。 。 。 。 。 。 。沈うつ(噌眠) [:,与 。 。 。斜頚および頭部の蜜筆

    顔面および飛節の

    浮腫

    鶏冠・肉垂のチア 。 。 。 。 。 。 。 [:,与ノーゼ

    鼻出血

    緑使および総排池

    腔退色

    その他(羽毛逆立 羽毛逆 腹水症,産卵低下

    等) 立,奇声 大腸菌症

    解剖所見 脳:充血 ム硬膜内

    喉頭・気管・充血 。 。 。 。 C 。 。と粘膜の出血腕:充血・水腫 [:,与 。勝臓壊死巣 (白斑)を伴う退色

    心臓・牌臓・肝臓・

    充血

    肝臓壊死(白色結0結節無

    節)形成を伴う退 ム出血 。色

    牌臓壊死(白色結C 節)形成

    骨格筋;充血(出

    "'" 。 。 。 。 C 。血)

    74

  • 第 51巻 2015 年

    ンザの発生状況,臨床症状,解剖所見および病理組織所見

    2010-11 年集計

    宮崎8 宮崎9 宮崎 10 宮崎 11 愛知2 和歌山 二重 宮崎 12 二重 奈良 宮崎 13 千葉 千葉

    西臼杵郡 児湯郡都 東臼杵郡 宮崎市高新城市

    紀の川市 牟婁郡紀 延岡市北 度合郡南伊勢五線市

    東臼杵郡千葉市 千葉市

    高千穂町 農町 門川町 岡町 貴志川町 宝町 浦町 町 門川町

    ブロイ ブロイ ブロイ プロイブロイ

    プロイ ブロイ プロイ プロイラー・採 採卵鶏 採卵鶏 採卵鶏 採卵鶏

    フー フー フー フー卵用種

    フー フー フー フー

    58.300 86.300 33.700 31.000 17.500 98.300 65.100 18.300 234.400 104.900 33.800 34.100 53.100

    2/4 2/5 2/5 2/7 2/14 2/15 2/16 2/17 2/26 2128 3/5 3/13 3/16

    2/6 2/7 2/7 2/8 2/16 2/20 2/21 2/17 3/6 3/7 3/7 3/24 3/24

    2 2 2 1 2 5 5 。 8 7 2 11 8 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 埋却 焼却 焼却

    開放・平 開放・平 開放・平 開放・平 開放・平セミイウ セミイウ

    開放・平 ウインドウレウインド

    開放・平 開放・高セミウイ

    飼い 飼い 飼い 飼い 飼いインドウ インドウ

    飼い ス・高床ウレス

    飼い 床ンドウレ

    レス レス (直立) ス

    農業用水 井戸井戸・池・

    湧き水 水道水(消毒)

    井戸(未) 沢(消毒)(消毒)

    沢(未) 上水道 川(未)(未)

    井戸(消毒) 井戸(未)(消毒)

    井戸(未)井戸(未)混合

    50 4 127 7 7

    13 31 11 77 5 4

    24 25 8 98 10 7

    27 35 14 97 10 9

    34 35 33 100 10 20 10

    60 147 200 119 20 10 60 前日の

    40 42 2 2倍以上

    死亡羽数 死亡羽数朝死亡羽

    特定の鶏 死亡数増1例目の

    死亡羽数 が前日の が前日の数の増加 前日の 2

    舎でかた 加,圧死午前,死

    死亡数増加の40羽がか

    死亡羽数飼養鶏が 移動制限

    の増加 35羽から 33羽からを確認, 倍以上の

    まって死 を疑うが亡羽数30

    報告たまって

    増加突然死と 区域の発

    140羽 200羽に午後も増 死亡

    亡 更に増加羽に 死亡 の通報 生状況検

    力日 査で確認

    陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性 陽性ウイルス

    (17/20) (414) (4/4) (3/3) (4/5) (5/10) (6/10) (6/10) (4/10) (10/10) (8/10) (417) 分離(116) 。 。 4/24 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 4124 。 5124 0/24

    。 1/24 L:,与 L:,与 。 。 。 ム (1/4) 。 。 16/24

    0124

    0出血 1/24

    脚の投げだし

    N.T. N.T. 。 N.T. 2/21 。 。 。 。 N.T. 。 N.T. 。 N.T. 14/21 。 N.T. 。 N.T. N.T. 4/21

    N.T. N.T. N.T. 0121

    N.T. N.T. N.T. 0/21

    N.T. N.T. N.T. 3/21

    。 N.T. N.T. N.T. 2/21 。 。 。 N.T. N.T. 。 N.T 11/21

    -75一

  • 鶏病研究会報

    年度 2010 2011

    腎臓:充血・腫大 。 。 。解剖所見 胸腺:充血・点状

    N.T. 。出血および萎縮

    腸および腸管膜・ ム腸管膜 。 。。 。充血 出血

    頭部および胸部の 。 。。皮下:水腫

    その他(臓器の脆卵墜 卵墜 卵胞融解弱化,卵胞融解等)

    組織所見 脳.充血,グリオーシス(巣状壊死).囲管性細胞浸潤, 。 。 。 。 。 N.T. 。。 N.T. 。神経細胞の変性,神経食現象

    心臓:充血,出血, 。 N.T. N.T. 筋繊維の変性壊死気管:充血,粘液線の過形成,粘膜 ム凝固壊 。 N.T. N.T. 下組織の水腫およ 死ぴデシレーション

    肺充血・水腫,出血,脈管炎,単 。 。 。 N.T. N.T. 核細胞浸潤

    肝臓:充血,巣状壊死,血管周囲への単核細胞浸潤, 。 ム L::, 。 N.T. N.T. 。急性細胞膨化およびクッパー細胞の増殖

    牌臓:充血,巣状壊死,漣、胞細胞の減数(消失).縮網。 。 。 。 。 。 N.T. 。。 N.T. 。内皮細胞の肥大およびマクロファージ浸潤

    腎臓:充血,出血,急性の糸球体細胞。 。 N.T. N.T. の膨化,尿細管の壊死

    胸腺:充血,胸腺細胞の消失,マク N.T. N.T. N.T. ロファージの浸潤

    骨格筋:充血(出血).筋芽細胞増 ム tぅ N.T. Le与 Le与 N.T. 殖,硝子様変性

    肉冠:うっ血,壊ム 。 i己 。 。 N.T. 。ム N.T.

    勝臓:充血およびム 。 N.T. N.T. 腺房の壊死

    免疫組織 A型インフルエン 。 。 。 。 。 。 N.T. 。。 N.T. 。検査 ザ抗原陽性出典 獣医3学

    丸田ら 丸田ら 鶏病研報H23全国

    丸田ら 丸田ら 丸田ら 丸田ら 丸田ら 山田ら会(中国) 業発

    *臨床症状,解剖所見,組織所見の調査項目は. Gowthamanらの報告(2010)を改変した。

    ているかもしれない。

    また,農場開での伝播が否定できない事例があったこと

    も宮崎県で発生数が多かった理由の一つである可能性が考

    えられている。

    4. わが国の発生事例における臨床症状と病理所見

    HPAIの臨床症状は多様であり,主なものは,突然の死

    亡,呼吸器症状,顔面,肉冠または脚部の浮腫,出血斑あ

    るいはチアノーゼ,産卵率の低下または産卵の停止,神経

    症状,下痢または飼料若しくは飲水の摂取量の低下などで

    ある。また,烏の種類または分離されたウイルス株により

    症状やウイルスの排出量は異なる6)。

    1) 2004年発生事例

    この年の発生例では,急死,死亡羽数の増加とともに沈

    うつ,稽眠といった臨床症状が認められた(山口県,京都

    府,兵庫県の 4/5例)。特に山口県の死亡羽数の推移は,

    本病による典型的な死亡羽数の推移と考えられる。大分県

    のチャボでは顔面・頚部皮下水腫がみられ,鶏冠・肉垂の

    チアノーゼを伴い,気管の充出血,食道・卵巣・卵管およ

    び盲腸築膜面の出血が認められた。京都府の採卵鶏では,

    -76 -

  • 。 N.T 。 。 N.T.

    。 。 。 。 N.T. 。 。 N.T.

    N.T. 心膜水増量 (3/6)

    N.T. N.T. N.T. N.T. 。 N工 。(6/6)

    民T. N.T. N.T. N.T. N.T

    N.T. N.T N.T. N.T. 。 N.T.

    N.T N.T N.T N.T. 。 N.T.

    N.T. N.T. N.T. N.T. 。 N.T.

    N目T. N.T. N.T. N.T 。 N.T. ム (1/6)

    N.T. N.T. N.T. N.T. 。 N.T. o (2/6)

    N.T. N.T. N.T目 N.T. N.T.

    N.T. N.T. N.T. N.T N.T.

    N工 N.T. N.T. N.T. 。 N.T. N.T. N.T. N.T. N.T目 。 N.T. o (1/6) N.T. N.T. N.T. N.T. 。 N.T. 。(6/6)丸田ら 丸田ら 丸田ら 丸田ら

    H23全国 二重県業業発 発

    肺の充血・水腫,勝臓の白斑,骨格筋の点状出血,腎臓の

    充血・腫大を伴い,兵庫県の採卵鶏では,卵墜も認められ

    た。病理組織学的には全例に共通して,脳のグリア細胞を

    伴う巣状壊死,神経細胞の変性,神経食現象,肝臓の肝細

    胞巣状壊死,血管周囲への単核細胞浸潤,血栓形成,牌臓

    の英組織壊死,櫨胞細胞の減数などが認められ,山口県と

    兵庫県の事例では勝臓腺房細胞の壊死,山口県と京都府の

    事例では,腎臓の出血,糸球体細胞の膨化,尿細管の壊死

    が認められた。山口県の事例では,骨格筋の出血,筋線維

    の硝子様変性も認められた(表 1)2)。

    第 51巻 2015 年

    2010-11 年集計

    N.T N.T. 4/21

    。 N.T. N.T. 4/21 N.T. 。 N.T. 10/21

    。 N.T. 。 N.T. 7/21 顔面チアノー

    N.T. N.T. ゼ (3/4)

    N.T. 。(4/4) N.T. 。 。 N.T. 13/14

    N.T. N.T. ム N.T 2/14

    N.T. N.T. N. T. N.T. 3/13

    N.T. N.T. 。 N.T. 5/14

    N.T. N.T. 。 N.T 7/14

    N.T. 6 (1/4) N.T. 。 N.T. 13/14

    N.T. N.T N.T. 4/14

    N.T. N.T N. T N.T. 017

    民T. N.T. L:o与 N. T. N.T目 5/13

    N.T. N. T. N.T. 0血栓形 。 N.T. 10/13 成

    N.T. 。(4/4) N.T. 。 N.T. 6/13 N.T. 。(4/4) N.T. 。 N. T. N.T. 13/13 丸田ら 三重県業発 松田ら 丸田ら 関口ら

    2) 2007年発生事例

    この年の発生では,急死 (2/4事例)と死亡羽数の増加

    (3/4事例)が一つの特徴的症状であったが,宮崎県の清武

    町をはじめ, 2県4症例に共通して,沈うつ,晴眠などの神

    経症状が認められ,典型的な鶏冠や肉垂のチアノーゼも認

    められた。また,宮崎県の清武町と日向市の事例では,顔

    面の浮腫を伴っていた。インフルエンザウイルス簡易検査

    による迅速診断とウイルス分離が初期診断マニュアルとなっ

    てきたためか,報告書の解剖所見記述は少ない。日向市の

    事例で,肺の水腫,宮崎県の 2例で骨格筋の出血が認めら

    -77 -

  • 鶏病研究会報

    表 3. 2004年から 2011年の国内 HPAI擢患鶏におけ

    年度 2004年

    都道府県 山口県 兵庫県

    組織 ウイルス抗原陽性細胞

    大脳,視葉,小脳,延髄,脊髄 血管内皮細胞,神経細胞,グリア細胞,上衣細胞 一~+ ++ 勝臓 腺房細胞 一~++ ++ 牌臓 血管内皮細胞,マクロファージ 一~+++ N.T. 腎臓 尿細管上皮細胞,血管内皮細胞 一~++ ++ 十二指腸・空腸 粘膜上皮,血管内皮細胞,マクロファージ 一~+++ ++ 盲腸扇桃 血管内皮細胞,マクロファージ N.T. + 卵管 卵管上皮細胞 一~+++ N.T. 卵巣 卵胞上皮細胞や線維性結合組織 一~++ N.T. 心臓 血管内皮細胞,心筋細胞 一~+++ + 肝臓 血管内皮細胞,肝細胞,マクロファージ ー~+十十 ++ 肺 血管内度細胞,マクロファージ 一~+ ++ 気管 粘膜上皮細胞や固有層 十

    気嚢 上皮細胞 N.T. N.T. 筋胃,腺胃 腺上皮細胞 一~++ + 肉冠・肉垂 血管内皮細胞 一~++ ±

    備考 出典 Avian Dis. 県業発発表者 Nakatani, H. 富田啓介

    * (+)は,全臓器の血管内皮細胞における陽性抗原の確認との記述による表示 N.T.は記述なしもしくは検索せず

    れ,宮崎県の 3例では,頭部,胸部の皮下の水腫の記述が

    残されている。しかしながら,病理組織学的検査において,

    中枢神経系に神経細胞の変性やグリア結節の形成,囲管性

    細胞浸潤などが認められている。今回当研究会が実施した

    調査では,肉冠および肉垂の血管炎と水腫を伴う充出血,

    うっ血,壊死が2007年の発生では顕著に認められている

    (3/3事例)。また,骨格筋線維の硝子様壊死も認められて

    おり (2/3事例),岡山県の事例では肺の充血・水腫や肝臓・

    牌臓の多発性巣状壊死も認められている(表 1)3)。

    3) 2010~2011 年発生事例

    この年の発生は 9県24例と大きな流行となったが発生

    事例の多くは,死亡羽数の増加で病性鑑定の依頼を受けた

    ものであり (19/24事例),清浄性の確認検査で検出され

    たものもある(千葉県2例目)。そのため,臨床症状とし

    て把握されている内容は,急死や死亡羽数の増加(前日の

    2倍以上)などが多い。急死と記述されている事例は,島

    根県,宮崎県の 1例目,千葉県の 1例目である。この年の

    発生の臨床症状は,顔面の浮腫が確認された事例は少なく

    (1124事例),沈うつ,稽眠といった神経障害の報告例も

    少ない (5/24事例)。鶏冠のチアノーゼは,比較的頻発す

    る共通所見 (16/24例)であった。しかしながら,チアノー

    ゼを示したのはブロイラーで,採卵鶏でチアノーゼを示し

    た事例は少ない。そのほかの臨床症状としては羽毛の逆立,

    産卵低下などが認められた4.5)。

    この年からインフルエンザ簡易検査による疑似患畜決定

    とウイルス分離により診断が確定し直ちに防疫活動に入

    るため,解剖を実施していない県もある(和歌山県,奈良

    県)。解剖所見として,脳の充・出血はあまり確認されて

    いない (2事例)が,喉頭・気管の充血と粘膜の出血が比

    較的高率に認められた (14/21事例)。また,骨格筋の出血・

    変性も出現頻度は高い (11121事例)。若齢のブロイラー

    では,胸腺が発達している時期であるためか出血病変が比

    較的高率に見られ(ブロイラーで4112事例),採卵鶏では,

    腸管の出血(採卵鶏で 10/12例)が高率に認められた。採

    卵鶏では,卵巣の病変である卵墜(2/21,採卵鶏の 2112例),

    卵胞融解(採卵鶏で 1/12例)も散見された。愛知県では,

    採卵鶏で肝臓の白色結節(壊死巣)を確認しており,ブロ

    イラーで牌臓の白色結節(壊死巣)を確認している県もあっ

    た。

    HPAI確定診断が行われた後は防疫活動を集中的に行う

    ため,病理組織学的検査が実施されている症例はさらに少

    ない (14/24事例)。検索された症例では,神経細胞の変性,

    グリオーシスや囲管性細胞浸潤など脳病変の出現頻度が高

    い (13/14事例)。そのほかの共通病変は肝臓 (7114事例),

    牌臓 (13/14事例),勝臓 (6114事例)の限局性から多発

    性の巣状壊死が確認されている。この結果は 2004年の山

    口県の野外症例や Nakamuraら9)やGowthamanら1)の分

    離ウイルスの実験感染結果と類似していた。心外膜炎や牌

    臓の爽組織における線維素渉出が見られる例 (2011年宮

    崎県4例目)や,心膜水の増量などの認められる例 (2011

    -78 -

  • 第 51巻 20日年

    る免疫組織化学染色による A型ウイルス抗原の分布

    2007年 2010-2011年

    宮崎県 1 宮崎県2 宮崎県3 三重県 l 三重県2 大分県 愛知県 鹿児島 宮崎県

    ++ ++ ++ +-++ +-+十 ++ ++ ++ ++ N.T. N.T. N.T. ー-++ ++ + (+ ) N.T. + (+ ) (+ ) (+ ) +-+++ +-++ +++ (+ ) (+ ) + + (+ ) (+ ) +-十+ +-++ ++ ++ (+ ) + (+ ) (十) (+ ) ー-+ + + (+ ) (+ ) (+ ) (+ ) (+ ) (+ ) +-十+ 十 (+ ) (+ ) (+ ) N.T. N.T. N.T. N.T. ++ + N.T. ++ (+ ) N.T. N.T. N.T. + ++ N.T. N.T. 十+ N.T. (+ ) (+ ) (+ ) +-++ ++ ++ 十十 (+ ) N.T. (+ ) (+ ) (+ ) +-++ 十-++ + + (+ ) (十)(+ ) (+ ) (+ ) 十-++ +-++ + 十 ++ ++ + N.T. N.T. +-++ + N.T. N.T. N.T. N.T. N.T.

    N.T. N.T. N.T. -++ ー-+++ 十+ +十 N.T. N.T.

    中央畜産会資料 県業発

    竹馬工

    年三重県例)もあったがこれらはそのほかの大腸菌やアデ

    ノウイルスの感染症など複合感染が起こっていた症例と推

    察されている430

    4) 各発生事例の病理組織学的検索における HPAIウ

    イルス抗原局在

    HPAI発症鶏体組織中におけるウイルス抗原の検索は,

    2007年の宮崎県事例を中心に行われているが,中枢神経

    系の壊死部位や神経細胞,肉冠および肉垂の血管で高率に

    検出されており,他の臓器では気管や腎臓等の上皮細胞に

    ウイルス抗原が検出されている(表 3)。またウイルス抗

    原は臓器の壊死部と血管内皮細胞,臓器の実質やマクロ

    ファージなど全身に分布しており,各事例共通して心筋細

    胞に多数のウイルス抗原が検出された。また,ブロイラー

    では筋胃の腺上皮細胞に,採卵鶏では卵管と卵巣に多数の

    ウイルス抗原検出されるのが特徴的であった。また採卵鶏

    では卵巣や卵管上皮に多量のウイルス抗原が認められた。

    肉眼的に臨床症状や肉眼病変をほぼ欠いていた事例にお

    いても,組織学的にウイルス抗原が全身に分布していたこ

    とは,ウイルスの病原性の強さと早期診断の重要性を示唆

    するものである。ウイルス排世による感染拡大を防ぐため

    にも農場内での簡易検査を慣行的に行い早期に通報し,封

    じ込め等の防疫対策を直ちに開始することが重要であるこ

    とが改めて示唆された。

    + N.T. N.T. ++ N.T. N.T. N.T. N.T.

    N.T. N.T N.T. N.T.

    N.T. (+ ) (+ ) ++

    県業発 県業発 県業発 県業発

    山田美那子村越奈穂子 是枝輝紀 片山貴志

    おわりに

    千葉県 1例目の発生状況においては,前日に同一ケージ

    の2羽が揃って死亡したことから管理獣医師に通報がなさ

    れ,そのケージの近くで沈うつ状態を示した 1羽が簡易検

    査で陽性になった。一方,千葉県2例目の肉用鶏農場では

    近年大腸菌症およびアデノウイルス感染症で死亡が多かっ

    たことから, HPAIを当初疑っていなかった。こうしたこ

    とから,今後家禽飼育者の注意深い観察や管理獣医師の定

    期的な観察,診療がHPAIの早期発見に繋っていくもの

    と思われる。また 2011年 1月から 2月にかけての連続発

    生の最中,鶏の死亡数が過去3週間の平均死亡数の 2倍以

    上になった場合,速やかに家保に通報することが農水省か

    ら通知された (1月28日)。その後,この通知内容は,改

    正された家畜伝染病予防法に収録され,そして 2012年 10

    月 l日から施行されている。肉眼的に症状や病変を欠く事

    例においても,このような死亡数の変化の確認によって速

    やかな HPAIの早期発見に繋る。最近の事例では, 2014

    年から 2015年2月にかけて, H5N8血清亜型ウイルスに

    よる HPAIが熊本県,宮崎県,山口県,岡山県および佐賀

    県の養鶏場で発生したが,いずれも早期に発見されている。

    文 献

    1) Gowhaman, V. et al., : Influence of dose of inocula on out-come of clinical disease in highly pathogenic avian influ-

    79 -

  • 鶏病研究会報

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    Summary of the Outbreaks of H5Nl Highly Pathogenic A vian In丑uenzain Poultry in J apan

    The J apanese Society on Poultry Diseases

    C-101 Sun village kawamura. 1-21-7 kannondai. Tsukuba. Ibaraki 306-0856

    Summary

    Outbreaks of HP AI caused by highly pathogenic avian in:fl.uenza of H5N1 subtype have been continu司

    ing since 2003. especially in Asia. In J apan. outbreaks of HP AI of this subtype virus were confirmed for

    the first time in a poultry farm in Yamaguchi Prefecture in 2004. Thereafter. outbreaks of HP AI caused

    by this subtyp巴 havebeen confirmed several times J apan. To contribute to future HP AI prevention. in-

    formation of the outbreaks of HP AI by H5N1 subtype virus in J apan has been summarized epidemiologi-

    cally.

    (J. Jpn. Soc. Poult. Dis.. 51. 67-80. 2015)

    Key words: H5N1 subtype. highly pathogenic avian in:fl.uenza. poultry. summary of outbreaks

    nu