医療ic医療ictシンポジウム - 横浜国立大学...平成27年度...

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医療IC 医療 I CTシンポジウム 医療 I CTシンポジウム SMICT2016 SMICT2016 2016 Symposium on Medical Information and Communications Technology 医療・ヘルスケアの新ビジネスとグローカル展開へ 医療・ヘルスケアの新ビジネスとグローカル展開へ 平成27年度 平成27年度 http://www.mict.ynu.ac.jp/smict2016.htm http://www.mict.ynu.ac.jp/smict2016.htm http://www.mict.ynu.ac.jp/smict2016.htm 2016 日(金) 2016 日(金) 【会場】パシフィコ横浜(会議センター5F) 10:00 17:30 10:00 17:30 主催 協賛 後援 情報通信研究機構(NICT)、オウル大学、 電子情報通信学会(MICT研究専門委員会) 情報通信研究機構(NICT)、オウル大学、 電子情報通信学会(MICT研究専門委員会) 総務省、横浜市、横浜市立大学 総務省、横浜市、横浜市立大学 横浜国立大学 (未来情報通信医療社会基盤センター、先端科学高等研究院) 神奈川県 (かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター)

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医療IC医療ICTシンポジウム医療ICTシンポジウム

SMICT2016SMICT20162016 Symposium on Medical Information

and Communications Technology

医療・ヘルスケアの新ビジネスとグローカル展開へ医療・ヘルスケアの新ビジネスとグローカル展開へ

平成27年度平成27年度

http://www.mict.ynu.ac.jp/smict2016.htmhttp://www.mict.ynu.ac.jp/smict2016.htmhttp://www.mict.ynu.ac.jp/smict2016.htm

2016年3月4日(金)2016年3月4日(金)

【会場】パシフィコ横浜(会議センター5F)10:00~ 17:3010:00~ 17:30

主催

協賛

後援

情報通信研究機構(NICT)、オウル大学、電子情報通信学会(MICT研究専門委員会)情報通信研究機構(NICT)、オウル大学、電子情報通信学会(MICT研究専門委員会)

総務省、横浜市、横浜市立大学総務省、横浜市、横浜市立大学

横浜国立大学(未来情報通信医療社会基盤センター、先端科学高等研究院)神奈川県(かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター)

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平成27年度 医療ICTシンポジウム(SMICT2016)

― 医療・ヘルスケアの新ビジネスとグローカル展開へ ―2016年3月4日(金)

■午前の部 10:00~12:15  ◆開会挨拶 長谷部 勇一 横浜国立大学 学長         吉川 伸治  神奈川県 副知事  ◆基調講演   - 医療・ヘルスケアプログラムのグローカル展開 -      座長: 河村 篤男 横浜国立大学 大学院工学研究院 教授   古田  耕 神奈川県立がんセンター 医療技術部 部長   河野 英子 横浜国立大学 大学院国際社会科学研究院 教授   南  重信 前 横浜国立大学 客員教授・㈱東芝ヘルスケア社、北海道大学 特任教授

■昼の部・午後の部Ⅰ 12:15~14:00   展示とデモ・研究ポスター - 新ビジネスへの扉を開く -

■午後の部Ⅱ 14:00~17:30 講演とパネル討論   - 医療・ヘルスケアのビジネス展開へ:先端技術とレギュラトリーサイエンス -      コーディネータ:河野 隆二               横浜国立大学 未来情報通信医療社会基盤センター センター長              大学院工学研究院 教授、フィンランド・オウル大学 Distinguished Professor

  ◆講  演:渡邉 昌俊 横浜国立大学 大学院工学研究院 教授         丸尾 昭二 横浜国立大学 大学院工学研究院 教授         根本 明宜 横浜市立大学 医学部医療情報学 准教授                兼 同附属病院医療情報部長

  ◆パネル討論   パネリスト:(上記の講演者に加えて)        宮城 洋平 神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん分子病態学部 部長        高橋  透 株式会社ニューチャーネットワークス 代表取締役        南  重信 前 横浜国立大学 客員教授・㈱東芝ヘルスケア社、北海道大学 特任教授        西野  均 日本アイ・ビー・エム株式会社 研究開発ビジネス開発部 部長

  ◆閉会挨拶 森下  信 横浜国立大学 理事・副学長

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ご挨拶国立大学法人 横浜国立大学 学長

長谷部 勇一(Yuichi HASEBE)

 平成27年度医療ICTシンポジウム(SMICT2016)の開催にあたりまして、主催者を代表して、ご挨拶申し上げます。 まず、本日の医療ICTシンポジウムにご参加下さいました多数の皆様、ご来賓、講演者・パネリストの皆様方に深く感謝する次第です。 皆様方もよくご承知のように、我が国は、超高齢化社会が進行中であるとともに、世界でもまれに見る人口減少社会を迎えています。そして度重なる自然災害、地方での過疎化、厳しい経済状況の下での労働・生活環境における様々な問題など、幼児から大人を問わず、私どもをとりまく厳しい状況があります。その中で身体と心に関する多様な疾病や老化に伴う問題など、命と健康への脅威がますます増大しており、これらの問題は先進諸国のみならず近い将来、中国など新興国でも必ずや顕在化するものです。したがって、人間の命と健康を守っていくことは、わが国だけでなく多くの国でその解決が求められている最重要課題となっております。 この課題に対して、先進的な科学技術や情報通信システムを研究開発し、医療の現場に迅速に効率的に導入することによって、いつでもどこでも人々の命と健康を守り、先進的で効果的な医療活動を展開することが可能となると考えております。このため、私ども横浜国立大学では、全学を結集した未来情報通信医療社会基盤センターを中核にして、「情報通信技術での医工融合」のグローバルCOEプログラム等を実施するなど、この分野での研究と教育活動を展開して参りました。 本日は、私どものこの間の研究教育活動を新たに発展させる方向性について議論を進める場としたいと考えております。特に、医工融合により先端的な医療技術の研究開発を進めたとしても、これを医療現場に迅速に導入すること、そして産業化も進めていくためには、新技術の有効性や安全性、リスクを試験・評価する治験等のプロセスが不可欠です。このプロセスを適切かつ効率的に進めるためにはレギュラトリー科学の構築が重要になります。また、社会制度や産業・経済・経営の観点からの取り組みとの連携も重要です。たとえば、私の専門とする経済学には医療経済学という分野があります。医療サービスは、その特殊性から市場による需要と供給の調整機能のみに委ねることが難しいため、政府・自治体の関与が必要とされています。そこでは、費用はどのように負担されるべきか、医療保険や社会保障制度をどのように設計するかなどが中心課題となっています。すると、最新医療技術を現場に導入する場合、その費用と便益をどのように捉えるのか、また予防医学を取り入れるとすればどのような制度が望ましいのか、など経済学的な研究が必要とされるでしょう。そして、企業の皆様の立場からは、最新医薬品や技術製品を展開するためにはどのようなビジネスモデルが適しているのかという経営学的な研究との連携も考えられます。さらにいえば、医療サービスの便益の評価として究極的には人間の命をどのような評価するかという問題もあり、社会科学だけでなく、哲学、倫理など人文科学の立場からのアプローチも必要となることでしょう。本学は、一つのキャンパスに人文系、社会系、理工学系部局を有しているという特色がありますので、医工連携を軸としながら文理

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融合の事業として展開を進めていきたいと考えております。 勿論、この分野は、産業界や地域、行政などとの実のある連携も重要な鍵であります。この点では、昨年度から神奈川県からの受託により、「かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター」の事業を県の皆様、企業や研究機関の皆様と連携して実施しております。その中で、産官学から40社の参加を得て活発なコンソーシアム活動も推進しており、医療ヘルスケアのイノベーションを開拓し、これをビジネス展開に結びつけ、アジア、欧州、中近東などグローバルな展開も始めるという成果も生んでおります。私自身、昨年11月にフィンランド オウル大学を訪問し、オウル大学医学部およびオウルヘルスラボでは、最新の通信技術を利用した医療ヘルスケア分野での本学との交流の期待を実感してきたところであり、国際展開も視野におきたいと思います。そして大学として忘れてならないのは、このような幅広い領域において働き、文理融合の視点を持った国際的な舞台で活躍できる高度な専門人材の育成であります。これらを踏まえて、今後に向けて社会システムとしてのイノベーションを進める大学として発展をしていきたいと考えております。 本シンポジウムにおきまして、基調講演や個別の講演、パネル討論などを通じて、私どもの研究成果はもちろん、内外の研究開発や教育、さらには実証や実用への取り組みの動向などについて把握していただくとともに、将来展望についてのイメージを共有させていただくこともできれば幸いです。 最後に、ご参加の皆様にとりまして本日のシンポジウムが、大学・地域・産業界の連携による未来社会に向けたイノベーションを推進する有為かつ重要な機会となることを願いましてご挨拶とさせていただきます。

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ご挨拶横浜国立大学 大学院工学研究院 教授未来情報通信医療社会基盤センター長

河野 隆二(Ryuji KOHNO)

 超高齢化社会へと進みつつある我が国において、現代の医療施設・従事者不足、医療過誤、地域格差などの社会問題は、さらに重要な課題となっています。この背景の下、情報通信技術(ICT)をはじめとする最先端の科学技術を医療や予防・保健の分野に迅速に導入することで国民の生命と健康を守ることは、国家戦略として掲げられていることからも分かる通り、まさに喫緊の課題となっています。 ICTの導入を円滑に進めるためには、先端科学技術のイノベーションだけではく、医療機器や医薬品の有効性(ベネフィット)と危険性(リスク)のバランスを、従来の統計学・疫学的な証明を超えて原因と結果の因果関係の下で解析的に示し、不確実性やコストも考慮して万人の合意を得て法制化するレギュラトリーサイエンスが重要となります。また、高信頼かつ高効率な先端技術による医療機器の薬事承認と共に、経済的に公的な社会サービスと民間によるグローバルビジネスの推進により、持続可能なディペンダブルな医療社会インフラを世界に発信していく必要があります。さらに近年では、災害・テロ・感染症などの多様な脅威が世界的に広がる中、国内・国際的(グローカル)な取り組みとして先端技術と医療との融合が効率的に実用化されることが期待されております。この実現のためには、大学・地域・産業界が連携し、医工融合と共に文理融合も推進し、幅広いアプリケーションを新ビジネスとしてグローカルに展開することが求められます。 この社会的要請に対し、横浜国立大学はこれまで10年以上にわたり、横浜市立大学、フィンランド・オウル大学、情報通信研究機構などと連携し、近年盛んな医工連携の中でも、日本が誇る世界最先端のICTをコアとして先端医療を融合した新領域「医療ICT」を創生し、新しい医療の世界を切り拓くことを目指して参りました。平成14年度に採択された、21世紀COEプログラム「情報通信技術に基づく未来社会基盤創生」の成果を発展させるために、平成17年に横浜国立大学に全学組織として「未来情報通信医療社会基盤センター(略称:医療ICTセンター)」が設立されました。その輝かしい成果により、平成20年度に文部科学省GCOEプログラム「情報通信による医工融合イノベーション創生」が採択され、横浜をボストンに並び立つ医工融合都市とすべく、医工連携研究の更なる展開、深化を進めて参りました。 これらの地域・国際・産学官連携により、学術、実用上の多種多様な成果を上げ、BANの研究開発や国際標準化、医学と工学の両博士号(Double Ph.D. Degree)授与者の育成などに代表されるように、世界最高水準の多様な研究成果、ならびに高度な人材育成を達成してきました。しかし、安心・安全で充実したディペンダブル医療社会インフラを現実のものとするためには、科学技術の研究開発とその成果を安全で迅速・効率的に実用化につなげていくためのレギュラトリーサイエンス、医療ICT産業振興や安心安全な医療社会インフラを持続発展させるための標準化、法制化を含む国際ビジネスモデルやMoTなどが不可欠であります。また、医療・ヘルスケア分野における新ビジネスを、グローカル展開の中で後押しすることが、今後一層重要になると考えております。 H26年度より、神奈川県との強力な連携に基づき、国家戦略特区、京浜臨海部ライフイノベーショ

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ン国際戦略総合特区において、「医療・ヘルスケアのイノベーション拓く医療機器レギュラトリーサイエンス」を推進するために、神奈川県受託事業として「かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター」をH26年9月に発足させました。本センターの下、40社・機関による産学官連携コンソーシアムを運営し、先端科学技術とレギュラトリーサイエンスに基づく、医療・ヘルスケアのイノベーションを開拓して参りました。これにより、医療や保険システムの革新、幅広いアプリケーション・新ビジネスのグローカル展開、さらにはこれらの分野で活躍する人材育成は、確実に進展しているものと自負しています。この近年の活動の成果、ならびに今後の活動ビジョンを皆様と共有したいとの思いから、本シンポジウムを開催させて頂く運びとなりました。 本日ははじめに、本学の長谷部勇一学長の開会の辞に続き、神奈川県副知事の吉川伸治様よりご挨拶を頂戴します。そして午前の部では基調講演として、まず神奈川県立がんセンターの古田耕様から、超高齢化社会を背景とした医療分野における、試料および情報の利活用についてご講演を頂きます。次に、本学国際社会科学研究院の河野英子教授より、医療機器分野における新ビジネスの可能性について、社会科学の知見からご講演頂きます。さらに、これまで本学にて客員教授をお勤め頂いた北海道大学特任教授の南重信先生より、未病・急病の「見える化」の取り組みについて、実証研究の状況などご紹介頂きます。 続いて午後の部では「医療・ヘルスケアのビジネス展開」と題して、ICTを中心とした先端技術とレギュラトリーサイエンスに関わる現場での話題や研究の状況など、3件の講演とパネル討論を通じて、多角的な議論を展開して参ります。まず冒頭に本学での話題として、工学研究院から2件、本学での研究成果を交えた講演を申し上げます。渡邉昌俊教授からは、レギュラトリーサイエンスの観点からナノマテリアルの安全性についてご紹介頂きます。そして丸尾昭二教授からは、超高精細技術の医療応用に関する最新の研究成果についてのご講演となります。3件目のご講演として、密に連携する横浜市立大学から根本明宜准教授にお越し頂き、リハビリテーションの現場におけるICTの活用と課題について、ご紹介を頂きます。パネル討論では、上記3名のご講演者を含め、神奈川県立がんセンターがん分子病態学部長の宮城洋平様、(株)ニューチャーネットワークスにてヘルスケアIoTに取り組んでおられる高橋透様、日本アイ・ビー・エム株式会社にてワトソン・ヘルスの開発を進められている西野均様、また基調講演を頂く南重信先生にも再度加わって頂き、レギュラトリーサイエンスに根差した今後の医療・ヘルスケア分野のビジネス展開や、そこでICTが果たすべき役割について、議論を深めて参ります。なお、この午後の部は本センター代表の河野隆二がコーディネータを務めさせて頂きますこと、合わせて申し上げます。また、午前と午後の部の間には、「新ビジネスへの扉を開く」と題して、本拠点における研究開発成果に関する展示、デモ、ポスター紹介も行いますので、是非会場へ足をお運び頂ければ幸いです。 本シンポジウムにご来場頂きました皆様には、講演やパネル討論、展示などの場を通じて活発な情報交換・交流を進めて頂くと共に、私どもの活動に対して忌憚のないご意見やご批判を賜れば幸いです。皆様方の本シンポジウムへのご参加、ご協力に重ねて感謝申し上げます。

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基 調 講 演 1

医療分野由来の試料および情報の利活用と価値の創出

神奈川県立がんセンター医療技術部 部長

古田 耕(Koh FURUTA)

 最終学歴 1982年3月 九州大学医学部 卒業

 取得資格 1992年    九州大学医学博士 取得

 職  歴 1982年   九州大学医学部第一外科研修医 1987年   新潟大学医学部第一病理医員 1990年   福岡大学医学部第一外科医員 1992年   Johns Hopkins大学外科・病理・分子薬理学研究員 1997年   九州大学医学部臨床検査医学および同薬学部生理化学医員 1998年   産業医科大学産業保健学部第一生体情報学助教授 2001年   国立がん(研究)センター中央病院臨床検査部医長 2015年7月 神奈川県立がんセンター医療技術部部長、現在に至る

 (2010年11月12日より2011年2月28日     University of Minnesota Mechanical Engineering Department 訪問研究員)

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 講演概要 バイオテクノロジー産業の新たな発展に向けた政策提言書が平成28年1月14日に独立行政法人製品評価技術基盤機構から開示された。 (http://www.nite.go.jp/nbrc/information/2016_bio_proposal.html) これは、今後の日本の経済政策の方向を指し示すものである。この中で医療分野由来の試料および情報の利活用による価値の創出に重点的に取り組むべきであるということが述べられている。ここでいう利活用には、まず試料および情報の一次利用が考えられる。すなわち試料や情報の存在自体により価値を生み出す枠組みである。次に二次利用として試料および情報を取り扱う技術分野での価値の創出があると考えられる。運搬、解析のplatformの提案などはこの段階の価値創出かもしれない。さらに三次利用として試料および情報の背景にある隠れたmessageを解き明かすことで価値を創出するということがあろう。バイオマーカー開発や創薬などがこれにあたると考えられる。 少子高齢化の我が国では、医療分野も先細りのような眼でみられることもまれではない。しかし逆の見方をすれば世界に先駆けて超高齢化社会に突入しているということであり、この観点からみると高齢化人口を背景とした非常に魅力的な試料および情報が手に入るということになる。高齢者というのは、ある意味、様々な淘汰圧を乗り越えて高齢に至りえた人々である。まだ、誰も手をつけていない、気づいていない価値がこれらの方々由来の試料と情報の中に隠されている。 科学が進歩、分業化した現在では、医療分野の研究者だけではこれを解明していくのは困難である。異分野の人々とくに工学系の研究者との協力が必要である。このような観点から今回の横浜国立大学と神奈川県立がんセンターの交流は意義深いことである。多様かつ束縛のない両者の協力により想像すらできない価値が創出されるであろうことを確信している。いうまでもないがこの共生の最大の受益者は将来の患者であり、かつ最優先のendpointは、将来の患者にとって何らかの救いになる価値を混沌の中から掘り出すことでなければならない。

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基 調 講 演 2

医療機器新ビジネスをいかに生み出すか-社会科学的アプローチ-

横浜国立大学大学院国際社会科学研究院 教授

河野 英子(Hideko KONO)

 略  歴  早稲田大学 第一文学部哲学科社会学専修 卒業 株式会社長銀総合研究所 副主任研究員(証券アナリスト) 早稲田大学大学院 商学研究科 博士後期課程修了(商学博士) 東京富士大学大学院 経営学研究科 教授 横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院 教授(現職) 一般社団法人 経営研究所 理事(兼業)

 講演概要 医療機器分野で新ビジネスをいかに生み出していくか、そこでは社会科学における知見が手がかりを与えてくれる可能性がある。 技術・製品の普及において、経路依存性という問題があることが、医療機器分野で外資系メーカーが優位性を持つ状況から脱することの、ひとつの阻害要因となると考えられる。しかしながら、技術の分散化という潮流が、当該分野におけるイノベーションの性質・担い手等を変えていく可能性がある。 時代の波を捉えて医療イノベーションの担い手となり、新ビジネスを推進していくためには、社外のマネジメント、さらには社内のマネジメントを見直していくことが有用である。

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基 調 講 演 3

未病・急病を見える化する暖かみのあるIoT

前 横浜国立大学 客員教授・  ㈱東芝ヘルスケア社北海道大学 特任教授

南 重信(Shigenobu MINAMI)

 略  歴  ₁₉₇₉年   早稲田大学 理工学部 電子通信学科 修士卒       同年 東芝総合研究所 入社       以降 東芝にてディジタル信号処理応用製品、MPEG4 LSIの事業化等に従事。 ₁₉₈₉︲₉₁年  カリフォルニア大学バークレイ校にてJPEG画像のブロッキングノイズ抑圧の研究に

従事。 ₂₀₁₀年    北海道大学大学院情報科学研究科メディアネットワーク専攻社会人博士課程修了。 

東芝ヘルスケア社にてウェアラブル・バイタルサインセンサの技術開発・製品化に従事するとともに、横浜国立大学未来情報通信医療社会基盤センター客員教授を兼ねる。

  現在、北海道大学 大学院 情報科学研究科 特任教授として、ウェアラブルバイタル・サインセンサの未病・急病応用および共通化・標準化を推進。

 講演概要 IoT(Internet of Things)が流行語になっているが、無機的な"モノ"とインターネットを繋げるだけでなく、センサを搭載した多様な"モノ"が暖かみのある人に触れることにより、未病・急病の"見える化"の新天地を切り開くと考えられる。  このような人間主体のIoT社会の実現には、ウェアラブルバイタルサインセンサ、AI、ビックデータ解析などの技術進展だけでなく、レギュラトリサイエンス等の制度設計も含んだソーシャルデザインのもと、官民、医工、産学といった横断的な連携が重要となる。 本講演では2020年の暖かみのあるIoT社会を想定し、現在、講演者らが取り組んでいる実証試験や、横国大、オウル市等での先駆的な取り組みを紹介する。 また、これらの取り組みで得られた知見や課題のもと、今後の方向性や解決すべき課題について概観する。

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講演とパネル討論

-医療・ヘルスケアのビジネス展開へ: 先端技術とレギュラトリーサイエンス- コーディネータ

河野 隆二  横浜国立大学 未来情報通信医療社会基盤センター センター長              大学院工学研究院 教授

 講  演

渡邉 昌俊  横浜国立大学 大学院工学研究院 教授丸尾 昭二  横浜国立大学 大学院工学研究院 教授根本 明宜  横浜市立大学 医学部医療情報学 准教授 兼 同附属病院医療情報部長

 パネリスト(上記の講演者に加えて)

宮城 洋平  神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん分子病態学部 部長高橋  透  株式会社ニューチャーネットワークス 代表取締役南  重信  前 横浜国立大学 客員教授・(株)東芝ヘルスケア社、北海道大学 特任教授西野  均  日本アイ・ビー・エム株式会社 研究開発ビジネス開発部 部長

 本パネルでは、先端科学技術に基づく医療、ヘルスケアを実社会に安全にかつ経済的に導入、浸透させ、持続可能な社会サービス、ビジネス展開とするために、何が必要かを、医師、技術者、経営者、科学者の多様な視点から議論する。特に、こうした先端医療、ヘルスケアの持続可能な社会サービス、ビジネスには、研究開発、教育人材育成、標準化、法制化、および産業化、ビジネス展開のあらゆる場面で有用なレギュラトリーサイエンス、すなわち、新規医薬品、医療機器の有効性(ベネフィット)と危険性(リスク)のバランスを科学的に定量化し、万人が納得し合意が得られる法制化の技術基準を定め、必要な治験を経て速やかに認証し、保険収載、市販後も治験をする必要があり、そのための科学が重要である。本学が神奈川県受託事業として実施している「かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター」の活動も紹介し、そのあるべき姿などについて、広範な議論を行う。

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コーディネーター 河野 隆二(Ryuji KOHNO)

横浜国立大学 未来情報通信医療社会基盤センター センター長かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター センター長横浜国立大学 大学院工学研究院 知的構造の創生部門 教授フィンランド・オウル大学 Distinguished Professorオウル大学日本研究所-CWC日本株式会社 CEO

 略  歴  昭和59年 東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻 博士課程修了・工学博士昭和59年 東洋大学工学部電気工学科 専任講師昭和59年 カナダ・トロント大学 客員研究員昭和61年 東洋大学工学部 助教授昭和63年 横浜国立大学工学部電子情報工学科 助教授平成10年 同 教授平成11年 株式会社 ソニーコンピュータサイエンス研究所 先端情報通信研究室 室長(兼業)平成14年 独立行政法人 通信総合研究所UWB結集型特別グループ グループリーダー(併任)平成14年 文部科学省21世紀COEプログラム 拠点リーダー平成17年 未来情報通信医療社会基盤センター センター長平成18年 独立行政法人情報通信研究機構 プログラムコーディネーター(兼業)平成19年 Finnish Distinguished Professor, University of Oulu(兼業)平成20年 横浜国立大学 グローバルCOEプログラム 「情報通信による医工融合イノベーション創生」拠点リーダー平成24年 フィンランドOulu大学日本研究所University of Oulu Research Institute Japan – CWC-Nippon(株),CEO(兼業)現在に至る

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講 演 1

私から見たレギュラトリーサイエンス

横浜国立大学 大学院工学研究院 教授

渡邉 昌俊(Masatoshi WATANABE)

 略  歴   1983  横浜国立大学工学部卒業 1983  三重大学医学部入学,1989同卒業 1989  同大学大学院医学研究科入学,同大学附属病院第一内科,      尾鷲市民病院内科研修,1993同修了 1993  国立がんセンター研究所レジデント(~1995) 1995  三重大学医学部助手 1997  三重大学医学部病理学第二講座助教授。      米国国立環境衛生研究所(NIH/NIEHS)文部省在外研究員・客員研究員(~1999) 2003  横浜国立大学大学院工学研究院教授(~現在) 2003  横浜市立大学医学部客員教授(~2006, 2011~現在)日本病理学会専門医,日本臨床細胞学会細胞診専門医,日本臨床検査医学会臨床検査専門医他。日本病理学会(学術評議員,刊行委員),日本癌学会(評議員),日本がん疫学・分子疫学研究会(幹事)他

 講演概要 渡邉研究室では、主として癌分子病理学、ナノメディシン、ナノトキシコロジーをテーマに研究を行っている。本講演では、ナノメディシン、ナノトキシコロジーをレギュラトリーサイエンスの観点から新たに見直し(図1および2)、特にナノトキシコロジーを舞台に考えていく。ナノマテリアルの安全性を必要かつ十分な科学的根拠に基づいて評価し、その研究成果をガイドラインに反映させ、またベネフィットとリスクを考慮し、ナノマテリアルの社会的受容の実現を目指すことが求められている。また、動物愛護の3R(Replacement・Reduction・Refi nement)の観点から、動物代替法(新規in vitro評価法)の開発も進めて行かなければならない。一方では、メカニズムの解明などの基礎的研究も今更ながら重要であることは変わらない。 本講演では、いずれ実用化あるいはレギュラトリーサイエンスの基盤となるような、本学の物質とエネルギーの創生工学コースの教員によるシーズも紹介したい。

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講 演 2

超高精細3Dプリンティングによるオープンイノベーションと医療応用

横浜国立大学 大学院工学研究院 教授

丸尾 昭二(Shoji MARUO)

 略  歴   1997年大阪大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士後期課程修了.博士(工学).名古屋大学リサーチアソシエイト・助手,日本学術振興会特別研究員を経て、2003年より横浜国立大学大学院工学研究院助教授.2014年4月から同大学院教授.専門は、3次元マイクロ・ナノ光造形・鋳型技術の開発とその応用.特に、光ピンセットを活用したラボオンチップや、圧電セラミックスを用いた振動発電素子など3次元マイクロ・ナノデバイスの開発に従事.応用物理学会講演奨励賞,第15回 日本ロボット学会研究奨励賞,安藤博記念学術奨励賞,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門ROBOMEC表彰,日本機械学会機械材料・材料加工部門優秀講演論文賞などを受賞.応用物理学会,日本機械学会,電気学会,IEEE各会員.連絡先 E-mail: [email protected]

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講 演 3

最近の脳卒中リハビリテーションに於けるICTの活用、今後の課題

横浜市立大学医学部医療情報学 准教授

兼 同附属病院医療情報部長

根本 明宜(Akinobu NEMOTO)

 学  歴  H2.3 横浜市立大学医学部卒業 H27.3 横浜国立大学大学院工学府 博士課程後期修了

 職  歴  H2.6  横浜市立大学医学部附属病院 臨床研修医 H4.6  神奈川リハビリテーション病院 リハビリテーション科 医員 H6.6 横浜市立大学医学部附属病院 リハビリテーション科 助手 H10.6 横浜市立大学医学部附属病院 リハビリテーション科 常勤特別職 H10.7 米国ミネソタ州 ジレット小児病院留学(客員研究員) H13.4 横浜市立大学医学部附属病院 医学情報部部長、講師 H17.2 国立大学法人横浜国立大学大学院 客員助教授 H17.4 公立大学法人横浜市立大学附属病院 医療情報部長、準教授 (H19.4 同准教授。現在に至る)

 免許・資格  H2.5 医師免許証 医籍第331658号 H4.12 厚生省主催第35回義肢装具等適合判定医師研修会 第2481号 H7.9 身体障害者福祉法第15条指定医  横浜市 第1300号 H7.10 日本リハビリテーション医学会認定医 第5057号 H9.3 日本リハビリテーション医学会専門医 第649号 

 所属学会,委員等  日本リハビリテーション医学会(代議員、ガイドラインコア委員会、前用語・評価委員会委員長)、

日本脊髄障害学会、日本義肢装具学会(正社員、前編集長)、日本医療情報学会、日本医療・病院管理学会、米国脳性麻痺学会、日本リウマチ学会、日本小児リウマチ学会、日本医療マネージメント学会、日本ニューロモジュレーション学会(評議員)、国際ニューロモジュレーション学会、米国医療情報学会、神奈川県地域がん登録推進委員会委員

 海外協力経験  2002~2003年、JICAカンボディア王国母子保健プロジェクトフェーズ2に医療情報管理分野の短期専門家として参加。

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 講演概要  脳卒中は急性発症する脳血管疾患をひとまとめにする疾患群であり、脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れる脳出血、脳表面の血管がこぶ状になった動脈瘤が破れるくも膜下出血に分類される。1960年代から70年代には死因のトップであったが、高血圧対策、救急対策などが進み、死因としては現在は4位までおちついている。しかし、発症はあいかわらず多く、救命はされるものの脳が損傷される疾患であり、障害の原因、寝たきりの原因として最大の疾患群である。 従って、リハビリテーションの対象としても重要な疾患群であり、脳損傷後の片麻痺、高次脳機能障害にどう対応するかは長年研究され、新しい治療法も開発されている。対象が多く、社会的な影響も大きい疾患であり、エビデンスレベルの高い研究も数多くなされており、リハビリテーションの分野ではエビデンスに基づく治療としてガイドラインが策定されたのが早い疾患群でもある。2000年10月20日に日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本神経学会、日本神経治療学会、日本リハビリテーション医学会の5学会と厚生労働省の脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血の3研究班の合同委員会として脳卒中合同ガイドライン委員会が立ち上げられ、2004年に脳卒中治療ガイドラインを刊行した。その後、2009年、2015年と概ね5年毎の改定が行われ、昨年に最新版の脳卒中治療ガイドライン2015が発行された。ここでは、ガイドライン2015に取り上げられた治療について概観しICTの活用、問題点などについて考察したい。 脳卒中ガイドライン2015において脳卒中リハビリテーションに際して重要な3つの要素として1)量依存性

(dose dependent)、2)課題特異性(task specificity)、3)神経可塑性(neural plasticity)があげられている。脳卒中において早期からの積極的なリハビリテーションの重要性、量的異存の考え方より訓練量や頻度を増やすことが奨められる、回復期リハビリテーション病棟という診療報酬制度が本邦では確立されつつある。また、下肢機能や日常生活動作に関しては、課題特異性の考え方より、課題を繰り返す、課題反復訓練が進められている。上肢機能においても、日常生活での使用を拡大することが求められている。神経可塑性を誘導するための技術として、Neuromodulationの手段として、電気刺激や経頭蓋磁気刺激による非侵襲的脳刺激が推奨されている。 訓練量を増やすこと、刺激との同期を図ることが訓練の質を高めるために求められており、具体的な手段として、ロボットによるリハビリテーション、安全な懸垂による運動の拡大、電気刺激によるアシストなどが行われ、工学的な機器の導入が進んでいる。しかし、新たな機器の導入に際して、医療機器としての認可の問題が立ちはだかっており、訓練量の拡大のための自宅への貸し出しなどは十分対応できていないなどの問題がある。また、機器そのものの開発においても、刺激を行う為の生体信号の導出など工学的な技術の応用により改善の余地があると思われる部分も多い。 新たな機器の導入を図る場合に問題となる点も多く、思いつくままに列挙すると ・新たな機器を用いた診療に保険点数が付かない(混合診療禁止があり自費請求も困難) ・新たな機器を研究用途として導入せざるを得ない ・機器の開発者が医療機器の薬事承認に関する知識が不足している ・開発者が機器開発まではできても、臨床試験を行う資源が不足している ・保険診療として認められるまでに時間がかかる ・誰が機器の操作をして良いか不明瞭な点がある ・想定をしない有害事象が生じた場合の対策 ・機器を病院の備品として導入しないといけない(リース等ができない) ・十分な数を確保することが困難(1人の患者さんの使用時間が短くなる) ・機器を身体に適合させることが難しい ・義肢装具士が適切に関与しにくい ・臨床側が新しい機器の利点/欠点についての理解が不足し導入が遅れる ・業者側が機器の制御ロジックなどを明らかにしないなど、いろいろな問題がある。そのため、実施できる施設が限られたり、導入までに時間を要したりより良い治療の患者さんへの提供が遅れてしまう。 Neurorehabilitationとも言われる脳卒中リハビリテーションの進歩を紹介し、活用されるロボット、刺激装置などの紹介を行いながら、医工連携の現状の紹介や臨床応用における問題提起を行いたい。

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パネル討論

神奈川県立がんセンター臨床研究所

がん分子病態学部 部長

宮城 洋平(Yohei MIYAGI)

がん医療・がん臨床研究現場からの話題 学  歴1986年3月 横浜市立大学医学部卒業1992年3月  横浜市立大学大学院医学研究科博士課程修了(医学

博士)所属機関(現在本務先):  地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立がんセンター

臨床研究所  職  名:総括部長、がん分子病態学部・部長  学  位:博士(医学)  専門分野:分子腫瘍学、腫瘍病理学、分子診断学

 職  歴₁₉₈₆年6月~₁₉₈₈年3月 横浜市立大学医学部病院・研修医₁₉₉₀年4月~₁₉₉₃年3月  国立がんセンター研究所・生物物理部・

リサーチレジデント(癌研究振興財団・非常勤職員)

₁₉₉₃年4月~₁₉₉₉年8月  横浜市立大学医学部病理学第2講座・助手₁₉₉₄年₁₂月~₁₉₉₆年3月  スクリップス研究所(米国サンディエゴ)・

免疫血管生物学部・フェロー₁₉₉₉年9月~₁₉₉₉年₁₂月  横浜市立大学医学部病理学第2講座・

講師₂₀₀₀年1月  神奈川県立がんセンター臨床研究所・腫瘍病理学研

究室,研究員₂₀₀₄年4月  神奈川県立がんセンター臨床研究所・腫瘍病理学研

究室,室長₂₀₁₀年4月  神奈川県立がんセンター臨床研究所・総括部長       同・ がん分子病態学部(腫瘍病理学研究室から改

組)・部長₂₀₁₅年4月 神奈川県立がんセンター腫瘍組織センター部長(兼務)現在に至る

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パネル討論

ソーシャルイノベーションとしてのヘルスケアIoT 略  歴 1987年上智大学経済学部経営学科卒業後、 旭硝子株式会社入社。セラミックスのマーケティング、新規事業の消費財の商品企画、広告宣伝を担当。その後大手コンサルティング会社を経て、1996年に経営コンサルティング会社“ニューチャーネットワークス”を設立し、 代表取締役を務める。2009年より上智大学経済学部非常勤講師。 主な訳書、著書に 「勝つための競合分析と競争戦略」 (著、中央経済社)「90日で絶対目標達成するリーダーになる方法」(著、 SBクリエイティブ) 「GE式ワークアウト」(デーブ・ウルリヒ他著、共訳、日経BP) 「ネットワークアライアンス戦略」(共著、日経BP)

「事業戦略 計画のつくりかた」(著、 PHP研究所)、「図解でわかる・技術マーケティング」(共著、JMAM)「インテレクチュアル・キャピタル」(マイケル・S・マローン他著、訳、JMAM)などがある。日経BP社プレミアムサイトコラム執筆。日経産業新聞WEB

「企業マネジメント最新トレンド」コラム執筆など。 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業 高信頼多機能ウェアラブル・バイタルセンサの用途開拓・普及事業 研究会委員長。

 講演概要・IoTに関する議論の問題点〝サービス市場の視点の欠落″・ヘルスケアIoTはソーシャルイノベーションそのもの・国・行政、学会、産業界の連携の考え方、方法を変える・ 事業化を急げ〝日本はヘルスケアIoTで負けるわけにはいかない″・サービスで顧客の意識、行動を変革できるかがキー

株式会社ニューチャーネットワークス代表取締役

高橋 透(Toru TAKAHASHI)

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パネル討論

コグニティブ・コンピュティング-ワトソン・ヘルスの取り組み- 略  歴    日本IBM 藤沢研究所入社、ソフトウエア開発、エンジニア通信基盤ソフト開発担当。 米国IBMノースキャロライナ洲 ラーレ研究所にて通信半導体のプロジェクトマネージャを歴任。 帰国後、テクノロジーサービスビジネス担当、センサーソリューション・アジアパシフィック担当などを歴任。 現在Tokyo Labにて、ヘルスケア関連の新規ビジネス開発を担当。

 講演概要 IBMでは昨年、ワトソン・ヘルス事業を米国でスタートさせました。これはコグニティブ・コンピューティングとよばれる様々なデータから認知する、また学習するシステムにより実現されています。発表ではワトソン・ヘルスとは何かについて簡単にご説明します。

日本IBM株式会社 研究開発 ビジネス開発部 部長

西野 均(Hitoshi NISHINO)

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未来情報通信医療社会基盤センター http://www.mict.ynu.ac.jp/

SMICT2016SMICT2016 2016 Symposium on Medical Information and Communications Technology