創めます…未来への選択 · 2010. 4. 24. · ラジオに変わる頃、...
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社団法人 日本プリント回路工業会
創めます…未来への選択
世界経済が混迷する状況にあって、基本的な経済構造が、「物作り重視の時代」から
「金融施策が先行する時代」へと移り変わり、より一層の経済政策の質的転換が求め
られております。しかしながら、我が国の産業は、戦後一貫して加工型産業の道を歩み、
今後も高品質・高機能の製品作りを追求することによって、より一層、高付加価値生産
体制を確立することが、肝要であります。とりわけ、エレクトロニクス産業は、先端産業の
一翼を担う産業として、確固たる地位を築いて参りました。
そのような状況下にあって、プリント配線板は、技術的に高度な要求と共にコストの
低減をも同時に求められる極めて厳しい産業分野であります。プリント配線板メーカは、
電子機器、電子部品メーカとお互いに密接な関係を保ちながら発展して参りました。
今後もよりよい継続的なパートナーシップを築き上げたく、プリント配線板メーカが
直面している現状をご理解頂くために、本小冊子を作成致しましたので、ご高覧下さい。
(1) プリント配線板の歴史日本におけるプリント配線板の歴史は、配線板として、1937年(昭和12年)に、宮田 繁太郎氏が「メタリコン」法吹着配線方法の特許を受けたことに始まります。その後、真空管ラジオからトランジスタラジオに変わる頃、1950年代半ばから「プリント配線板」として実用化されました。このプリント配線板の実用化に伴い、高度成長の波にも乗り、ラジオ・テレビからテープレコーダなどの音響製品や洗濯機・冷蔵庫などプリント配線板の用途拡大が続き、いまや情報通信機器にもなくてはならないものとなってきています。
昭和11年 日本で初めて配線板を搭載したミヤタ受信機「メタリコン」法吹着配線板
目 的
1.プリント配線板とは
1
目 的 ………………………………………………………………………………………… 1
1. プリント配線板とは………………………………………………………………………… 1
(1) プリント配線板の歴史
(2) プリント配線板の生産額推移
(3) プリント配線板の製造方法(特にビルドアップ法について)
(4) 高密度実装技術を担うプリント配線板
2. プリント配線板を巡る取引環境…………………………………………………………… 4
(1) 取引環境
(2) 取引の現状
3. 受入検査実施について ………………………………………………………………… 5
(1) 検査の種類
(2) 欠陥の種類
(3) 検査実施の重要性
(4) 検査方法と返品期間について
4. 基本契約書における「瑕疵担保責任」モデル条文……………………………………… 7
5. 100%オーダーメードの「プリント配線板」 ……………………………………………… 8
6. 取引適正化推進活動について ………………………………………………………… 8
(1) プリント配線板製造における金型のお取扱い改善について(お願い)
(2) プリント配線板製造における電気検査治具のお取扱い改善について(お願い)
(3) プリント配線板製造における印刷版のお取扱い改善について(お願い)
【参考】 本パンフレットで使用されている主な用語の説明 …………………………………………………… 12
プ ラ イ ム セ レ ク シ ョ ン はじ
Prime Selection 創めます…未来への選択
お客様とプリント配線板メーカが未来に向かって新
しいパートナーシップを築くために重要な第一歩を
踏み出すという意味で、タイトルをつけました。
世界経済が混迷する状況にあって、基本的な経済構造が、「物作り重視の時代」から
「金融施策が先行する時代」へと移り変わり、より一層の経済政策の質的転換が求め
られております。しかしながら、我が国の産業は、戦後一貫して加工型産業の道を歩み、
今後も高品質・高機能の製品作りを追求することによって、より一層、高付加価値生産
体制を確立することが、肝要であります。とりわけ、エレクトロニクス産業は、先端産業の
一翼を担う産業として、確固たる地位を築いて参りました。
そのような状況下にあって、プリント配線板は、技術的に高度な要求と共にコストの
低減をも同時に求められる極めて厳しい産業分野であります。プリント配線板メーカは、
電子機器、電子部品メーカとお互いに密接な関係を保ちながら発展して参りました。
今後もよりよい継続的なパートナーシップを築き上げたく、プリント配線板メーカが
直面している現状をご理解頂くために、本小冊子を作成致しましたので、ご高覧下さい。
(1) プリント配線板の歴史日本におけるプリント配線板の歴史は、配線板として、1937年(昭和12年)に、宮田 繁太郎氏が「メタリコン」法吹着配線方法の特許を受けたことに始まります。その後、真空管ラジオからトランジスタラジオに変わる頃、1950年代半ばから「プリント配線板」として実用化されました。このプリント配線板の実用化に伴い、高度成長の波にも乗り、ラジオ・テレビからテープレコーダなどの音響製品や洗濯機・冷蔵庫などプリント配線板の用途拡大が続き、いまや情報通信機器にもなくてはならないものとなってきています。
昭和11年 日本で初めて配線板を搭載したミヤタ受信機「メタリコン」法吹着配線板
目 的
1.プリント配線板とは
1
目 的 ………………………………………………………………………………………… 1
1. プリント配線板とは………………………………………………………………………… 1
(1) プリント配線板の歴史
(2) プリント配線板の生産額推移
(3) プリント配線板の製造方法(特にビルドアップ法について)
(4) 高密度実装技術を担うプリント配線板
2. プリント配線板を巡る取引環境…………………………………………………………… 4
(1) 取引環境
(2) 取引の現状
3. 受入検査実施について ………………………………………………………………… 5
(1) 検査の種類
(2) 欠陥の種類
(3) 検査実施の重要性
(4) 検査方法と返品期間について
4. 基本契約書における「瑕疵担保責任」モデル条文……………………………………… 7
5. 100%オーダーメードの「プリント配線板」 ……………………………………………… 8
6. 取引適正化推進活動について ………………………………………………………… 8
(1) プリント配線板製造における金型のお取扱い改善について(お願い)
(2) プリント配線板製造における電気検査治具のお取扱い改善について(お願い)
(3) プリント配線板製造における印刷版のお取扱い改善について(お願い)
【参考】 本パンフレットで使用されている主な用語の説明 …………………………………………………… 12
プ ラ イ ム セ レ ク シ ョ ン はじ
Prime Selection 創めます…未来への選択
お客様とプリント配線板メーカが未来に向かって新
しいパートナーシップを築くために重要な第一歩を
踏み出すという意味で、タイトルをつけました。
(3) プリント配線板の製造方法(特にビルドアップ法について)プリント配線板の主な製造方法として①サブトラクティブ法(金属張基板上の導体はくの不要部分を、例えば、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する製法)、②アディティブ法(絶縁基板上に、選択的にめっきなどによって導体パターンを形成する製法)の2つに大別されます。ここでは、プリント配線板の主な製造方法と、今話題となっている「ビルドアップ法」の工程を一例として示します。
プリント配線板�
片面プリント配線板� サブトラクティブ法�
アディティブ法�フルアディティブ法�
セミアディティブ法�
サブトラクティブ法�
ビルドアップ法�
サブトラクティブ法�
アディティブ法�
ED法�
テンティング法�
穴埋め法�
多層プリント配線板�
両面プリント配線板�
パターン�プレーティング法�
パネル�プレーティング法�
(多層プリント配線板の積層方法)�
繰り返し�
レーザバイア��
無電解銅めっき�
めっきレジスト�
絶縁層�
絶縁層�
2導体層完成�
コア基板�
絶縁層塗布・�ラミネーション��
レーザ穴明け�
無電解銅めっき�
表面パターン形成�パターンめっき�
レジストはく離�エッチング�
第ニ絶縁層�形成�
完成品�
コア材�
積層前処理�
樹脂付き銅箔�積 層��
デスミア�
レーザバイア�パターン作成�
レーザ穴明け�(プラズマ穴明け)�
銅箔ハーフ�エッチング�
銅箔全面�エッチング�
レーザ穴明け�
積層前処理� 積層前処理�
熱硬化性樹脂�コート、ラミネート�
感光性樹脂�コート、ラミネート�
紫外線露光�現 像�
レーザ穴明け�
樹脂表面粗化� 樹脂表面粗化�
無電解銅めっき� 無電解銅めっき�無電解銅めっき�
1導体層完成�
パネルめっき法�(電解銅めっき)�外層パターン�作 成�
パターンめっき法�(電解銅めっき)�外層パターン�作 成�
セミアディティブ法�(電解銅めっき)�外層パターン�作 成�
フルアディティブ法�(電解銅めっき)�外層パターン�作 成�
繰り返し�
レーザ�
電解銅めっき�
コア材� コア材�
無電解銅めっき�
(2) プリント配線板の生産額推移生産額においても、当工業会が統計調査を始めた頃(1969年)に比べ、25倍以上となり、1兆円を超えるまでに成長しました。もちろん、
市場のニーズに合わせて形状・機能共に変化していますが、今後もますます発展していく産業であると言えるでしょう。
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
1969年度�
生産額�
1979年度� 1989年度�
その他のプリント配線板�
フレキシブルプリント配線板�
多層プリント配線板�
両面プリント配線板�
片面プリント配線板�
1997年� 1998年計画�
267.3
1867.8
8558.4
10136.510851.7
■■��
■■��
■■��
■■��
■■��
5,332.24,791.8
743.7
2,783.9
3,052.1
1,507.5
2,693.1
974.6
1,469.61,585.5
2,787.8
883.5
(億円)�
(4) 高密度実装技術を担うプリント配線板プリント配線板が誕生してから60年を経た今、昨今の各種携帯機器の急増による小型、軽量、薄型化や高度化するICチップの性能
を生かす上でプリント配線板は、必要不可欠なものとなってきています。チップ部品もICパッケージも、そのサイズ、ピッチにおいて限界に近づき、更にここにきて、CSPの出現、FC(フリップチップ)実装の増加等により、ますます高密度実装技術に対応したプリント配線板が望まれるようになってきました。
CSP実装機器�
VTR/携帯電話�
MCM実装機器�
パーソナル�コンピュータ�
'93
'96
'90
100
1
10
ライン幅/間隙�150 100 50 10(μm)�
2000�次世代超小型携帯電子機器�
ファイン化�
実装密度�
(ピン/cm2)�高密度化�
2 3
低実装コスト�
実用化段階� 実装方式�
1.5
0.5
0.3
1.0
10 30 100 300 1,000(ピン/cm2)�
高密度化�
PBGA
TBGA
CSPQFP
SMT
多ピン�
周辺端子実装�
ボールグリッドアレイ実装�
=FBGA/LGA
TCP FC
実装ピッチ�
(mm)�
個別�
一括リフロー�
�
プリント配線板の生産額の推移
プリント配線板の製造方法
ビルドアップ法における材料とバイア作成プロセスの比較
レーザバイア・パターンめっきによるビルドアップ法
高密度実装技術の流れ プリント配線板の細線化動向
ビルドアップ法の一例
(3) プリント配線板の製造方法(特にビルドアップ法について)プリント配線板の主な製造方法として①サブトラクティブ法(金属張基板上の導体はくの不要部分を、例えば、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する製法)、②アディティブ法(絶縁基板上に、選択的にめっきなどによって導体パターンを形成する製法)の2つに大別されます。ここでは、プリント配線板の主な製造方法と、今話題となっている「ビルドアップ法」の工程を一例として示します。
プリント配線板�
片面プリント配線板� サブトラクティブ法�
アディティブ法�フルアディティブ法�
セミアディティブ法�
サブトラクティブ法�
ビルドアップ法�
サブトラクティブ法�
アディティブ法�
ED法�
テンティング法�
穴埋め法�
多層プリント配線板�
両面プリント配線板�
パターン�プレーティング法�
パネル�プレーティング法�
(多層プリント配線板の積層方法)�
繰り返し�
レーザバイア��
無電解銅めっき�
めっきレジスト�
絶縁層�
絶縁層�
2導体層完成�
コア基板�
絶縁層塗布・�ラミネーション��
レーザ穴明け�
無電解銅めっき�
表面パターン形成�パターンめっき�
レジストはく離�エッチング�
第ニ絶縁層�形成�
完成品�
コア材�
積層前処理�
樹脂付き銅箔�積 層��
デスミア�
レーザバイア�パターン作成�
レーザ穴明け�(プラズマ穴明け)�
銅箔ハーフ�エッチング�
銅箔全面�エッチング�
レーザ穴明け�
積層前処理� 積層前処理�
熱硬化性樹脂�コート、ラミネート�
感光性樹脂�コート、ラミネート�
紫外線露光�現 像�
レーザ穴明け�
樹脂表面粗化� 樹脂表面粗化�
無電解銅めっき� 無電解銅めっき�無電解銅めっき�
1導体層完成�
パネルめっき法�(電解銅めっき)�外層パターン�作 成�
パターンめっき法�(電解銅めっき)�外層パターン�作 成�
セミアディティブ法�(電解銅めっき)�外層パターン�作 成�
フルアディティブ法�(電解銅めっき)�外層パターン�作 成�
繰り返し�
レーザ�
電解銅めっき�
コア材� コア材�
無電解銅めっき�
(2) プリント配線板の生産額推移生産額においても、当工業会が統計調査を始めた頃(1969年)に比べ、25倍以上となり、1兆円を超えるまでに成長しました。もちろん、
市場のニーズに合わせて形状・機能共に変化していますが、今後もますます発展していく産業であると言えるでしょう。
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2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
1969年度�
生産額�
1979年度� 1989年度�
その他のプリント配線板�
フレキシブルプリント配線板�
多層プリント配線板�
両面プリント配線板�
片面プリント配線板�
1997年� 1998年計画�
267.3
1867.8
8558.4
10136.510851.7
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5,332.24,791.8
743.7
2,783.9
3,052.1
1,507.5
2,693.1
974.6
1,469.61,585.5
2,787.8
883.5
(億円)�
(4) 高密度実装技術を担うプリント配線板プリント配線板が誕生してから60年を経た今、昨今の各種携帯機器の急増による小型、軽量、薄型化や高度化するICチップの性能
を生かす上でプリント配線板は、必要不可欠なものとなってきています。チップ部品もICパッケージも、そのサイズ、ピッチにおいて限界に近づき、更にここにきて、CSPの出現、FC(フリップチップ)実装の増加等により、ますます高密度実装技術に対応したプリント配線板が望まれるようになってきました。
CSP実装機器�
VTR/携帯電話�
MCM実装機器�
パーソナル�コンピュータ�
'93
'96
'90
100
1
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ライン幅/間隙�150 100 50 10(μm)�
2000�次世代超小型携帯電子機器�
ファイン化�
実装密度�
(ピン/cm2)�高密度化�
2 3
低実装コスト�
実用化段階� 実装方式�
1.5
0.5
0.3
1.0
10 30 100 300 1,000(ピン/cm2)�
高密度化�
PBGA
TBGA
CSPQFP
SMT
多ピン�
周辺端子実装�
ボールグリッドアレイ実装�
=FBGA/LGA
TCP FC
実装ピッチ�
(mm)�
個別�
一括リフロー�
�
プリント配線板の生産額の推移
プリント配線板の製造方法
ビルドアップ法における材料とバイア作成プロセスの比較
レーザバイア・パターンめっきによるビルドアップ法
高密度実装技術の流れ プリント配線板の細線化動向
ビルドアップ法の一例
4 5
2.プリント配線板を巡る取引環境
(1) 取引環境プリント配線板メーカ1社あたりの取引社数は、多いところで180社、平均77社となっており、取引形態(発注・納品)を図に示すと次のようになります。
(2) 取引の現状お客様とのお取引の中でプリント配線板メーカが直面している現状には次のようなものがあります。
(1) 検査の種類プリント配線板及び部品実装の検査としては、次のような検査があります。
部品実装の検査
・ インサーキットテスト:プリント配線板に実装された個々の部品を周辺の素子から影響をなくし、1個ずつ検査する。・ ファンクションテスト:ボード全体を動作させて、その全体の製作の良否、検査を判定する。
(2) 欠陥の種類検査は目視検査(10倍程度の拡大鏡を併用)が主体でしたが、導体パターンの欠陥(導体細り、欠けなど導体の切れかかり、ショート
しかかり)の検査には自動外観検査機が使われるようになりました。しかし、プリント配線板の高密度・高機能化が進むにつれて、これらの欠陥の検出が非常に難しくなってきています。導体パターンの欠陥例を次に示します。
●プローブピンの配置スペースが� 確保できない�●導通検査が困難�
●欠け、細り、ピンホール、銅残り�●オープン・ショート事故��
●内層の確認が困難�●積層してからの不良損失��
二重チェック�
不良防止�
受入検査の実施�
高密度部品の増加�
回路の微細化�
多 層 化
検査の重要性�
3.受入検査実施について
セット�メーカ�
発注�
納品�
装置関連�資機材�
実装専門加工�メーカ�
基板材料�メーカ�
実装加工�メーカ�
電子部品�メーカ�
プリント配線板�メーカ�
プリント配線板�専門加工メーカ�
取引形態
プリント配線板の検査
・ 外観検査、自動外観検査(AOI):高密度・薄型化の進展により、回路の欠け、銅残りによるショート寸前の欠陥の検出を行う。・ 布線検査:設計の接続情報に基づき、パターンのオープン、ショートを検査する。
(3) 検査実施の重要性近年の電子機器の高密度・高機能・薄型化に伴う部品リードの多ピン化、狭ピッチ、小径スルーホール化により、プリント配線板のパターン
はますます細線化され、プリント配線板メーカのみによる検査では、その欠陥を検出することが非常に難しくなってきております。プリント配線板メーカと致しましては、一貫した品質保証体制の確立と社内での品質管理の徹底を図ることを原則とし、出荷検査に万全を期しておりますが、昨今、お客様による受入検査の省略が多く見受けられます。双方にとってより良いパートナーシップを築き、また最悪の事態を防ぐためには、お客様による品質の確認(受入検査)は、有効な事前策となりますので、受入検査の実施をお願い致します。
◇難しくなる検査プリント配線板の高密度・高機能化による検査コストの増大が、経営を圧迫してきている
◇瑕疵担保責任不良発生により責任範囲を超える補償が要求される
◇㎡換算高密度化したプリント配線板の価値が適正に評価されていない
換算�
検査�
瑕疵�
プリント配
線板メーカを取りまく現状
・・・。�
導体パターンの欠陥
欠け�
銅残り�
ショート�太り�
断線寸前の欠け�(切れかかり)�
突起�
細り�
ピンホール�断線�
4 5
2.プリント配線板を巡る取引環境
(1) 取引環境プリント配線板メーカ1社あたりの取引社数は、多いところで180社、平均77社となっており、取引形態(発注・納品)を図に示すと次のようになります。
(2) 取引の現状お客様とのお取引の中でプリント配線板メーカが直面している現状には次のようなものがあります。
(1) 検査の種類プリント配線板及び部品実装の検査としては、次のような検査があります。
部品実装の検査
・ インサーキットテスト:プリント配線板に実装された個々の部品を周辺の素子から影響をなくし、1個ずつ検査する。・ ファンクションテスト:ボード全体を動作させて、その全体の製作の良否、検査を判定する。
(2) 欠陥の種類検査は目視検査(10倍程度の拡大鏡を併用)が主体でしたが、導体パターンの欠陥(導体細り、欠けなど導体の切れかかり、ショート
しかかり)の検査には自動外観検査機が使われるようになりました。しかし、プリント配線板の高密度・高機能化が進むにつれて、これらの欠陥の検出が非常に難しくなってきています。導体パターンの欠陥例を次に示します。
●プローブピンの配置スペースが� 確保できない�●導通検査が困難�
●欠け、細り、ピンホール、銅残り�●オープン・ショート事故��
●内層の確認が困難�●積層してからの不良損失��
二重チェック�
不良防止�
受入検査の実施�
高密度部品の増加�
回路の微細化�
多 層 化
検査の重要性�
3.受入検査実施について
セット�メーカ�
発注�
納品�
装置関連�資機材�
実装専門加工�メーカ�
基板材料�メーカ�
実装加工�メーカ�
電子部品�メーカ�
プリント配線板�メーカ�
プリント配線板�専門加工メーカ�
取引形態
プリント配線板の検査
・ 外観検査、自動外観検査(AOI):高密度・薄型化の進展により、回路の欠け、銅残りによるショート寸前の欠陥の検出を行う。・ 布線検査:設計の接続情報に基づき、パターンのオープン、ショートを検査する。
(3) 検査実施の重要性近年の電子機器の高密度・高機能・薄型化に伴う部品リードの多ピン化、狭ピッチ、小径スルーホール化により、プリント配線板のパターン
はますます細線化され、プリント配線板メーカのみによる検査では、その欠陥を検出することが非常に難しくなってきております。プリント配線板メーカと致しましては、一貫した品質保証体制の確立と社内での品質管理の徹底を図ることを原則とし、出荷検査に万全を期しておりますが、昨今、お客様による受入検査の省略が多く見受けられます。双方にとってより良いパートナーシップを築き、また最悪の事態を防ぐためには、お客様による品質の確認(受入検査)は、有効な事前策となりますので、受入検査の実施をお願い致します。
◇難しくなる検査プリント配線板の高密度・高機能化による検査コストの増大が、経営を圧迫してきている
◇瑕疵担保責任不良発生により責任範囲を超える補償が要求される
◇㎡換算高密度化したプリント配線板の価値が適正に評価されていない
換算�
検査�
瑕疵�
プリント配
線板メーカを取りまく現状
・・・。�
導体パターンの欠陥
欠け�
銅残り�
ショート�太り�
断線寸前の欠け�(切れかかり)�
突起�
細り�
ピンホール�断線�
より良いパートナーシップを築くため
よろしくご協力お願い致します。
4.基本契約書における「瑕疵担保責任」モデル条文
6 7
(4) 検査方法と返品期間について 「下請代金支払遅延等防止法」では「検査方法と返品期間」の関係について次のように規定しています。
モデル条文
*甲:(お客様)、 乙(プリント配線板メーカ)
◇瑕疵担保責任
乙(注文請負者)から甲(注文者)に目的物を引き渡したときから( 年/ヵ月)以内に当該目的物に
乙の責に帰する瑕疵が発見されかつ瑕疵の修補、代替品の請求を甲が乙にした場合、乙はこれに
応ずるものとする。
甲乙いずれかの責に帰するか不明な瑕疵が発見された場合は別途協議するものとする。
<参考>1.「下請代金支払遅延等防止法第4条第1項に関する運用基準」では、6ヵ月(下請事業者の給付を使用した親事業者の製品について一般消費者に対し6ヵ月を超える保証期間を定めている場合においては最長1年以内)と定められています。
2.商法第526条{買主の目的物の検査と瑕疵通知義務}では6ヵ月と定められています。3.民法第637条{担保責任の存続期間(1)}では、1年以内と定められています。
昨今、プリント配線板を納入したお客様から、不良発生に伴い、電子部品代及び実装費用を請求されるケースがまま見受けられます。お客様とプリント配線板メーカの間で取り交わされている基本契約書の中で、「瑕疵担保責任」に関する条項について、当工業会としては、次のような標準的な「モデル条文」を策定致しましたので、本モデル条文をご使用下さい。
*瑕疵(かし)担保 : 売買その他の有償契約において契約の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)がある時、売主や物を引き渡した人が負うべき担保責任。
受入検査を自社で�行う場合�
全数検査を�行う場合�
直ちに発見することの�できない瑕疵がある�
受領後6ヶ月以内であれば返品可�(ユーザー保証がある場合1年以内)�
抜取検査を行う場合�(ロット単位)�
合 格�
不合格� 速やかに返品すること�
直ちに発見することの�できない瑕疵がある�
受領後6ヶ月以内であれば返品可�(ユーザー保証がある場合1年以内)�
直ちに発見することの�できる瑕疵がある�
合 格�
不合格� 速やかに返品すること�
返品不可�
受入検査を自社で�行わない場合�
受入検査を下請事業者に�文書で委任している場合�
直ちに発見することの�できない瑕疵がある�
受領後6ヶ月以内であれば返品可�(ユーザー保証がある場合1年以内)�
検査を省略する場合・�下請事業者に口頭で�委任する場合など�
下請事業者の行った�検査に明らかな�手落ちがある�
受領後6ヶ月以内であれば返品可�
返品不可�
*本図における自社とは、お客様のことです。�
「下請代金支払遅延等防止法」の適用対象は、①資本金が1億円を超える会社が、資本金が1億円以下の会社又は個人に製造委託又は修理委託する場合、②資本金が1千万円を超え1億円以下の会社が、資本金が1千万円以下の会社又は個人に製造委託又は修理委託する場合、となっております。〔 〕
より良いパートナーシップを築くため
よろしくご協力お願い致します。
4.基本契約書における「瑕疵担保責任」モデル条文
6 7
(4) 検査方法と返品期間について 「下請代金支払遅延等防止法」では「検査方法と返品期間」の関係について次のように規定しています。
モデル条文
*甲:(お客様)、 乙(プリント配線板メーカ)
◇瑕疵担保責任
乙(注文請負者)から甲(注文者)に目的物を引き渡したときから( 年/ヵ月)以内に当該目的物に
乙の責に帰する瑕疵が発見されかつ瑕疵の修補、代替品の請求を甲が乙にした場合、乙はこれに
応ずるものとする。
甲乙いずれかの責に帰するか不明な瑕疵が発見された場合は別途協議するものとする。
<参考>1.「下請代金支払遅延等防止法第4条第1項に関する運用基準」では、6ヵ月(下請事業者の給付を使用した親事業者の製品について一般消費者に対し6ヵ月を超える保証期間を定めている場合においては最長1年以内)と定められています。
2.商法第526条{買主の目的物の検査と瑕疵通知義務}では6ヵ月と定められています。3.民法第637条{担保責任の存続期間(1)}では、1年以内と定められています。
昨今、プリント配線板を納入したお客様から、不良発生に伴い、電子部品代及び実装費用を請求されるケースがまま見受けられます。お客様とプリント配線板メーカの間で取り交わされている基本契約書の中で、「瑕疵担保責任」に関する条項について、当工業会としては、次のような標準的な「モデル条文」を策定致しましたので、本モデル条文をご使用下さい。
*瑕疵(かし)担保 : 売買その他の有償契約において契約の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)がある時、売主や物を引き渡した人が負うべき担保責任。
受入検査を自社で�行う場合�
全数検査を�行う場合�
直ちに発見することの�できない瑕疵がある�
受領後6ヶ月以内であれば返品可�(ユーザー保証がある場合1年以内)�
抜取検査を行う場合�(ロット単位)�
合 格�
不合格� 速やかに返品すること�
直ちに発見することの�できない瑕疵がある�
受領後6ヶ月以内であれば返品可�(ユーザー保証がある場合1年以内)�
直ちに発見することの�できる瑕疵がある�
合 格�
不合格� 速やかに返品すること�
返品不可�
受入検査を自社で�行わない場合�
受入検査を下請事業者に�文書で委任している場合�
直ちに発見することの�できない瑕疵がある�
受領後6ヶ月以内であれば返品可�(ユーザー保証がある場合1年以内)�
検査を省略する場合・�下請事業者に口頭で�委任する場合など�
下請事業者の行った�検査に明らかな�手落ちがある�
受領後6ヶ月以内であれば返品可�
返品不可�
*本図における自社とは、お客様のことです。�
「下請代金支払遅延等防止法」の適用対象は、①資本金が1億円を超える会社が、資本金が1億円以下の会社又は個人に製造委託又は修理委託する場合、②資本金が1千万円を超え1億円以下の会社が、資本金が1千万円以下の会社又は個人に製造委託又は修理委託する場合、となっております。〔 〕
5.100%オーダーメードの「プリント配線板」
プリント配線板は、技術的に高度な要求とコスト低減をも同時に求めら
れる極めて厳しい製品でありますが、その種類・用途とも多岐に渡り、様々
な技術を結集して製造されるオーダーメード製品であると言えます。
プリント配線板の主要換算方法として従来より広く用いられてきた「㎡換算」
は、あくまで換算方法であり、プリント配線板の価値を表現するものではあり
ません。プリント配線板の真の価値は、プリント配線板が有する技術的難易度、
ロット、納期等を仕様ごとに積算することで決まります。
プリント配線板メーカは、このような認識に基づき、またこのことに対する
お客様のご理解を頂き、今後も高品質・高機能の製品作りの追求をしながら
発展し、努力していきたいと考えております。
6.取引適正化推進活動について 当業界は、お客様に対し、時々の経済状況の変化に即応して、取引の適正化を図るため、下記の通り様々なお取扱い改善のお願いを行って参りました。(1) プリント配線板製造における金型のお取扱い改善について (平成7年3月17日付)(2) プリント配線板製造における電気検査治具のお取扱い改善について(同上)(3) プリント配線板製造における印刷版のお取扱い改善について(平成9年3月10日付)
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(1) プリント配線板製造における金型のお取扱い改善について(お願い)
5.100
%オーダーメードの「プリント配線板」
プリント配線板は、技術的に高度な要求とコスト低減をも同時に求めら
れる極めて厳しい製品でありますが、その種類・用途とも多岐に渡り、様々
な技術を結集して製造されるオーダーメード製品であると言えます。
プリント配線板の主要換算方法として従来より広く用いられてきた「㎡換算」
は、あくまで換算方法であり、プリント配線板の価値を表現するものではあり
ません。プリント配線板の真の価値は、プリント配線板が有する技術的難易度、
ロット、納期等を仕様ごとに積算することで決まります。
プリント配線板メーカは、このような認識に基づき、またこのことに対する
お客様のご理解を頂き、今後も高品質・高機能の製品作りの追求をしながら
発展し、努力していきたいと考えております。
6.取引適正化推進活動について
当業界は、お客様に対し、時々の経済状況の変化に即応して、取引の適正化を図るため、下記の通り様々な
お取扱い改善のお願いを行って参りました。
(1) プ
リント配線板製造における金型のお取扱い改善について (平成7年3月17日付)
(2) プ
リント配線板製造における電気検査治具のお取扱い改善について(同上)
(3) プ
リント配線板製造における印刷版のお取扱い改善について(平成9年3月10日付)
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(1) プリント配線板製造における金型のお取扱い改善について(お願い)
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(2) プリント配線板製造における電気検査治具のお取扱い改善について(お願い)
(3) プリント配線板製造における印刷版のお取扱い改善について(お願い)
1011
(2) プリント配線板製造における電気検査治具のお取扱い改善について(お願い)
(3) プリント配線板製造における印刷版のお取扱い改善について(お願い)
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本パンフレットで使用されている主な用語の説明
プリント回路(printed circuits):プリント配線と、プリント部品及び(又は)搭載部品とから構成される回路。
プリント配線(printed wiring):回路設計に基づいて、部品間を接続するために導体パターンを絶縁基板の表面又は表面とその内部に、プリントによって形成する配線又はその技術。〈備考〉プリント部品の形成技術は含まない。
プリント回路板(printed circuit board):プリント回路を形成した板。〈備考〉プリント回路実装品(printed circuit assembly)ともいう。
プリント配線板(printed wiring board):プリント配線を形成した板。
フレキシブルプリント配線板(flexible printed wiring board):柔軟性がある絶縁基板を用いたプリント配線板。
片面プリント配線板(single-sided printed wiring board):片面だけに導体パターンがあるプリント配線板。
両面プリント配線板(double-sided printed wiring board):両面に導体パターンがあるプリント配線板。
多層プリント配線板(multilayer printed wiring board):表面導体層を含めて3層以上に導体パターンがあるプリント配線板。
ビルドアップ配線板(build-up printed circuit board):めっき、プリントなどによって順次導体層、絶縁層を積み上げたプリント配線板。
印刷版:印刷をするために用いる版。ステンレス、ポリエステル等があり、枠にはアルミが主に用いられる。
金 型:印刷、エッチングによって形成されたパネルに、部品取り付け穴、外形、自動挿入用基準穴等をワンパンチショットで打ち抜き加工するため、プレス加工機に取り付けられるもの。
コンタクトプローブ(プローブピン):布線検査を行うため、プリント配線板上の導体パターンに接触させるためのピン。
電気検査治具:電気的検査を行うために用いられる治具。ピン接触方式では、治具として、コンタクトピンを固定し、配線してあるもの、マスキングシートを用いるもの、アクリル板にピンを立てるもの、異方導電性方式では薄いプリント配線板を用いる。
BGA(Ball Grid Array):表面実装型パッケージの一つで、パッケージの裏面に面格子状にはんだボールを外部端子として設けたもの。
CSP(Chip Size/Scale Package):チップサイズと同等或いはわずかに大きいパッケージの総称。
FC(Flip Chip):ベアチップを基板に直接実装する方法で、実装面積・高さの薄型・小型化・配線長が短くでき、回路特性の向上に効果があるパッケージ方式。
MCM(Multi Chip Module):
高密度配線基板上に複数のベアチップを実装し、パッケージングした構造のもので、外形構造としては1つのLSIのような機能を持ったもののこと。
【 参 考 】
1999年 1月 発行
発行 社団法人 日本プリント回路工業会
〒167‐0042 東京都杉並区西荻北 3‐12‐2
回路会館 2階
TEL:03‐5310‐2020 FAX:03‐5310‐2021
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本パンフレットで使用されている主な用語の説明
プリント回路(printed circuits):プリント配線と、プリント部品及び(又は)搭載部品とから構成される回路。
プリント配線(printed wiring):回路設計に基づいて、部品間を接続するために導体パターンを絶縁基板の表面又は表面とその内部に、プリントによって形成する配線又はその技術。〈備考〉プリント部品の形成技術は含まない。
プリント回路板(printed circuit board):プリント回路を形成した板。〈備考〉プリント回路実装品(printed circuit assembly)ともいう。
プリント配線板(printed wiring board):プリント配線を形成した板。
フレキシブルプリント配線板(flexible printed wiring board):柔軟性がある絶縁基板を用いたプリント配線板。
片面プリント配線板(single-sided printed wiring board):片面だけに導体パターンがあるプリント配線板。
両面プリント配線板(double-sided printed wiring board):両面に導体パターンがあるプリント配線板。
多層プリント配線板(multilayer printed wiring board):表面導体層を含めて3層以上に導体パターンがあるプリント配線板。
ビルドアップ配線板(build-up printed circuit board):めっき、プリントなどによって順次導体層、絶縁層を積み上げたプリント配線板。
印刷版:印刷をするために用いる版。ステンレス、ポリエステル等があり、枠にはアルミが主に用いられる。
金 型:印刷、エッチングによって形成されたパネルに、部品取り付け穴、外形、自動挿入用基準穴等をワンパンチショットで打ち抜き加工するため、プレス加工機に取り付けられるもの。
コンタクトプローブ(プローブピン):布線検査を行うため、プリント配線板上の導体パターンに接触させるためのピン。
電気検査治具:電気的検査を行うために用いられる治具。ピン接触方式では、治具として、コンタクトピンを固定し、配線してあるもの、マスキングシートを用いるもの、アクリル板にピンを立てるもの、異方導電性方式では薄いプリント配線板を用いる。
BGA(Ball Grid Array):表面実装型パッケージの一つで、パッケージの裏面に面格子状にはんだボールを外部端子として設けたもの。
CSP(Chip Size/Scale Package):チップサイズと同等或いはわずかに大きいパッケージの総称。
FC(Flip Chip):ベアチップを基板に直接実装する方法で、実装面積・高さの薄型・小型化・配線長が短くでき、回路特性の向上に効果があるパッケージ方式。
MCM(Multi Chip Module):
高密度配線基板上に複数のベアチップを実装し、パッケージングした構造のもので、外形構造としては1つのLSIのような機能を持ったもののこと。
【 参 考 】
1999年 1月 発行
発行 社団法人 日本プリント回路工業会
〒167‐0042 東京都杉並区西荻北 3‐12‐2
回路会館 2階
TEL:03‐5310‐2020 FAX:03‐5310‐2021
社団法人 日本プリント回路工業会
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